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【発明の名称】 フィンチューブ型熱交換器及び冷凍サイクル
【発明者】 【氏名】松田 拓也

【氏名】石橋 晃

【要約】 【課題】着霜が生じる条件下で運転する場合でも、各フィンの間隙が霜によって閉塞するのを防止することができ、熱交換能力が高くコンパクトなフィンチューブ型熱交換器を得る。

【解決手段】板状フィン1は、隣接する伝熱管2の間に空気流れ方向と略平行にスリット分割領域4を備え、スリット分割領域4の上部及び下部には分割スリット5を設け、スリット分割領域4内にはフィン中央部スリット6を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で平行に積層され、その間を気体が通過する複数の板状フィンと、
該板状フィンを積層方向に貫通して配置された複数の伝熱管とを有するフィンチューブ型熱交換器において、
前記フィンは、上下方向に隣接する前記伝熱管の間に前記気体の流通方向と略平行な列方向にスリット分割領域を備え、
該スリット分割領域の上部及び下部の前記フィン上には第1のスリットが設けられ、
前記スリット分割領域内の前記フィン上には、第2のスリットが設けられたことを特徴とするフィンチューブ型熱交換器。
【請求項2】
前記第2のスリットのスリット高さは、前記第1のスリットのスリット高さよりも低いことを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項3】
前記スリット分割領域の段方向幅をL1とし、
隣接する前記フィンと隣接する前記伝熱管により形成される前記気体流通方向に直角な断面における段方向長さをL2としたとき、
0.2<L1/L2<0.6
であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項4】
前記フィンの所定間隔をFpとし、
前記第1のスリットのスリット高さをH5としたとき、
Fp/3≧H5
であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項5】
前記フィンの側縁部には、段方向と平行に凸部が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項6】
前記スリット分割領域には、列方向と平行に凸部が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項7】
前記第1のスリットは、
前記スリット分割領域側のスリット脚部は、前記スリット分割領域と平行であり、
前記伝熱管側のスリット脚部は、前記伝熱管と対向するように傾斜していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項8】
前記第1のスリットは、
前記伝熱管側のスリット脚部は、前記伝熱管と対向するように傾斜しており、
前記スリット分割領域側であり且つ前記気体流通方向上流側のスリット脚部は、前記スリット分割領域に対して傾斜しており、前記気体流通方向上流側に開口していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項9】
前記フィン上には、
前記スリット分割領域、前記第1のスリット及び前記第2のスリットが設けられたスリット部と、
前記フィン上にスリットが設けられていないフラット部とが、
前記伝熱管の間に交互に配置されたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項10】
前記第1のスリットは、前記第2のスリットを中心として列方向に2分割され、
前記第1のスリットと第2のスリットは、列方向に合計3列のスリットを形成することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項11】
前記第1のスリットは、前記第2のスリットを中心として列方向に2分割され、
該2分割された第1の切り起こし部は、各々さらに列方向に2分割され、
前記第1のスリットと第2のスリットは、列方向に合計5列のスリットを形成することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載のフィンチューブ型熱交換器を用いたことを特徴とする冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、フィンチューブ型熱交換器及びこのフィンチューブ型熱交換器を用いた冷凍サイクルに関し、特に低温条件下でのフィンチューブ型熱交換器の熱交換能力向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィンチューブ型熱交換器としては、例えば「気流が間ごとに流動されるように所定の間隔をおいて平行に配列された複数の平板フィンと、流体が内部に流動されるように前記複数の平板フィンにたいして上下に千鳥状に直角になるように挿入配列された複数の伝熱管とから構成された空気調和機の熱交換器において、前記上下に配列された複数の伝熱管の間にたいして伝熱管の垂直中心線を通る位置に所定高さをもつように前記平板フィンに設けられた第5のスリット部と、前記第5のスリット部を基準として気流の流動進行の反対方向へ行くほど第5のスリット部より高さが漸次低くなるように前記複数の平板フィンに上下対称になるように設けられた第1および第2のスリット部と、前記第5のスリット部を基準として気流の流動進行方向へ行くほど第5のスリット部の高さより低い位置から高さが漸次高くなるように前記複数の平板フィンに上下対称になるように設けられた第3および第4のスリット部とから構成される」(例えば特許文献1参照)というものが提案されている。
また、例えば「所定間隔を置いて平行に配設され、その間を気流が流動する複数の平板フィン1と、内部を流体が流動するとともに複数の平板フィン1に対して直角に上下方向にジグザグ状に挿入された複数の伝熱管2とから構成され、平板フィン1の表面と裏面には、流動する気流を伝熱管2の周囲で乱流化させて伝熱効率を高めるために、気流の流動方向に沿って複数の伝熱管2の間に所定間隔を置いてスリット状切り起こし群10が形成され、さらに、スリット状切り起こし群10により乱流化された気流を混合して伝熱管2の後方に生じる死角流域を有効に減少させるために、気流の流動方向に沿ってスリット状切り起こし群10の中間部において平板フィン1に対してルーバー状切り起こし20が傾斜して形成されている。」(例えば特許文献2参照)というものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−206085号公報(段落番号0008、図6,7)
【特許文献2】特開平8−49870号公報(段落番号0010、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来よりフィンチューブ型熱交換器のフィンには、熱交換能力を向上するために、プレス加工などによりスリットと呼ばれる切り起こしが設けられている(例えば、特許文献1,2参照)。フィン表面にスリットがない場合には、フィンと熱交換を行う気体(例えば空気)の流れに沿ってフィン表面には温度境界層が発達し、空気とフィンとの熱交換が阻害されるが、フィン表面にスリットを設けることにより、温度境界層がスリットごとに分断、更新され、空気とフィンとの間の熱交換が促進されるからである。
【0005】
しかしながら、室外温度が約2℃以下という低外気温条件において、フィンチューブ型熱交換器を空調機の室外機用熱交換器として使用する場合、伝熱管やフィンの表面に付着した凝縮水が氷結し着霜してしまうことがある。特に、熱伝達率の高いスリット付近に多く着霜し、各フィンの間隙が霜によって閉塞することがある。このため、フィンチューブ型熱交換器を空調機の室外熱交換器として使用する場合、フィン表面にスリットを設けることができず、熱交換能力が低下していた。この場合、通常運転時(室外空気温度が約0℃以上)での熱交換能力を向上させるためには、熱交換器自体を大きくしたり、ファンの回転数を高くして熱交換器と熱交換をおこなう空気流量を増加させたりしなければならない。したがって、室外機設置面積の増加、フィンチューブ型熱交換器の材料費の増加及びファン動力増加による騒音の増加などを招くといった問題点があった。
【0006】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、着霜が生じる条件下で運転する場合でも、各フィンの間隙が霜によって閉塞するのを防止することができ、熱交換能力が高くコンパクトなフィンチューブ型熱交換器を得るものである。また、このフィンチューブ型熱交換器を用いた熱交換能力の高い冷凍サイクルを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るフィンチューブ型熱交換器においては、所定の間隔で平行に積層され、その間を気体が通過する複数の板状フィンと、該板状フィンを積層方向に貫通して配置された複数の伝熱管とを有するフィンチューブ型熱交換器において、前記フィンは、上下方向に隣接する前記伝熱管の間に前記気体の流通方向と略平行な列方向にスリット分割領域を備え、該スリット分割領域の上部及び下部の前記フィン上には第1のスリットを設け、前記スリット分割領域内の前記フィン上には、第2のスリットを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明においては、フィンにスリット分割領域を備えたため、従来のスリットがフィンに設けられたフィンチューブ型熱交換器では着霜し、各フィンの間隙が霜によって閉塞して使用できなかった環境でも、空気の流路が確保できるので高い熱交換能力を維持することができる。このため、従来使用していたフィンにスリットを設けていないフィンチューブ型熱交換器と比較して、熱交換能力の高くコンパクトなフィンチューブ型熱交換器が使用することできる。また、このフィンチューブ型熱交換器を用いた熱交換能力の高い冷凍サイクルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部断面図である。図2は本実施形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部側面図である。また、図3は図1におけるA−A断面図及びB−B断面図であり、(a)がA−A断面図、(b)がB−B断面図である。これらの図を用いて、以下本実施形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20について説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、板状フィン1は積層方向(図1に示す方向)に所定の間隔Fp(フィンピッチ)で平行に積層されている。また、伝熱管2は、板状フィン1に設けられたフィンカラー3によって積層方向に貫通、保持され、段方向(図1に示す方向)に所定の間隔で配置されている。
【0011】
板状フィン1には、隣接する伝熱管2の略中央部にスリット分割領域4が列方向(図1に示す方向で、空気の流通方向と略平行方向)に段方向の幅L1を持って形成されている。このスリット分割領域4の上部及び下部には、本発明の第1のスリットに相当する分割スリット5が設けられている。また、スリット分割領域4内の略中央部には、本発明の第2のスリットに相当するフィン中央部スリット6が設けられている。分割スリット5は、フィン中央部スリット6を略中心として列方向(空気流れと略平行方向)に2分割されている。つまり、分割スリット5及びフィン中央部スリット6は全体として列方向に3列のスリットを形成している。
【0012】
図3に示すように、分割スリット5及びフィン中央部スリット6は、板状フィン1から切り起こされ、それぞれ板状フィン1に対して傾斜した脚部5a,6a及び板状フィン1と平行な切り起こし部5b,6bからなり、切り起こし部5b,6bの側端部がそれぞれ空気流れ方向に対向するように形成されている。フィン中央部スリット6のスリット高さH6は、分割スリット5のスリット高さH5よりも低く形成されている。
また図1に示すように、分割スリット5の脚部5aは、スリット分割領域4側においてはスリット分割領域4と平行に設けられ、伝熱管2側においては伝熱管2に対向するように傾斜して設けられている。
【0013】
なお、本実施形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20では、伝熱管2としては、例えば外形が7mm、7.94mm、9.52mmの金属パイプ等が用いられる。伝熱管2を挿入するフィンカラーの直径としては、7.55mm、8.54mm、10.2mm等が用いられる。伝熱管2の伝熱管段方向配列ピッチは、例えば20.4mmに設定される。また、伝熱管2を列方向に複数本配置する場合には、伝熱管2の列方向配列ピッチは18mm、22mmに設定される。しかし、これらの値はすべて単なる例示であって、本発明がこれらの値に限定されるものではない。また、本実施形態1では伝熱管2を列方向に1列のみ配置したが、2列またはそれ以上設けることもできる。
【0014】
図4は、この発明の実施の形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20の着霜時における空気流れの説明図である。通常運転時(室外空気温度が約0℃以上)においては、風上側から流入した空気により板状フィン1に形成される温度境界層は、分割スリット5及びフィン中央部スリット6により分断、更新され、フィンチューブ型熱交換器20の熱交換能力が向上する。また、分割スリット5の脚部5aは伝熱管2に対向するように傾斜して設けられているため、空気流れ下流側にあたる伝熱管2の後方を流れる空気を、伝熱管2に沿った流れに形成できる。このため、分割スリット5が無い場合に伝熱管2の後方で発生する死水域(速度欠損領域)による伝熱低下を防ぐことができる。
【0015】
ところが、室外空気温度が約2度以下の着霜が生じる条件下で運転する場合は、熱交換能力の高い分割スリット5及びフィン中央部スリット6の空気流れ上流側側端部から霜が付着し始める。その後、分割スリット5及びフィン中央部スリット6に付着した霜は成長し、分割スリット5近傍では隣接する板状フィン1間は着霜により閉塞してしまう。しかしながら、本実施形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20にはスリット分割領域4が設けられており、また分割スリット5よりもフィン中央部スリット6のスリット高さが低いため、空気は図4に示す空気流路7a及び7bを通って流れることができる。さらに着霜が成長し、フィン中央部スリット6近傍の隣接する板状フィン1間が着霜により閉塞した場合でも、スリット分割領域4が設けられているため、空気は図4に示す空気流路7aを通って支障なく流れることができる。また、分割スリット5はフィン中央部スリット6を略中心として列方向(空気流れと平行方向)に2分割され、分割スリット5及びフィン中央部スリット6は全体として列方向に3列のスリットを形成しているため、空気流路7aを広く確保できる。
【0016】
図5は、比較例としてのスリット分割領域4が設けられていないフィンチューブ型熱交換器20の着霜時における空気流れの説明図である。着霜によって、分割スリット5近傍の隣接する板状フィン1間が着霜により閉塞した場合、フィンチューブ型熱交換器20内を流れる空気流路は無くなり(空気流路7c)、通風抵抗が大きくなる。
図6は、本実施形態1におけるスリット分割領域4が設けられたフィンチューブ型熱交換器20及び比較例であるスリット分割領域4が設けられていないフィンチューブ型熱交換器20における、着霜量と通風抵抗の関係を示す特性図である。ここで通風抵抗とは、フィンチューブ型熱交換器20に流れ込む空気の静圧と、フィンチューブ型熱交換器20から流れ出た空気の静圧との圧力差である。本実施形態1におけるスリット分割領域4が設けられたフィンチューブ型熱交換器20では、スリット分割領域4を設けたことにより、着霜量の増加による通風抵抗の増加は抑制されている。このため、スリット分割領域4が設けられていないフィンチューブ型熱交換器20と比較して通風抵抗が小さくなっている。
【0017】
図7は、図1及び図2に示すスリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2と、通風抵抗の関係を示す特性図である。本実施形態1では、伝熱管2はフィンカラー3に挿入、保持されて板状フィン1に設けられているため、隣接するフィンカラー3間の距離L2が、本発明においての隣接する板状フィン1と隣接する伝熱管2により形成される空気流れ方向に直角な断面における段方向長さに相当する。L1/L2の値が大きくなるほど、通風抵抗が小さくなっている。これは、スリット分割領域4の幅L1が広がったために、スリット分割領域4を流れる空気流量が増加したからである。また、隣接する板状フィン1の間を流れる空気が、分割スリット5を通過することにより発生する乱流の影響をあまり受けなくなったためである。
【0018】
図8は、分割スリット5のスリット高さH5と通風抵抗の関係を示す特性図である。分割スリット5のスリット高さH5が隣接する板状フィン1のフィンピッチFpの1/3より大きいときは、H5が小さくなるにしたがい通風抵抗は減少している。H5≦Fp/3では、低い通風抵抗をほぼ一定に保っている。これは、隣接する板状フィン1のフィンピッチFpが広がったために、隣接する板状フィン1の間を流れる空気が、分割スリット5を通過することにより発生する乱流の影響をあまり受けなくなったためである。
【0019】
図7及び図8の条件に従って、スリット分割領域4の幅L1、隣接するフィンカラー3間の距離L2、分割スリット5のスリット高さH5及び隣接する板状フィン1のフィンピッチFpを決定することで、実施形態1におけるフィンチューブ型熱交換器20を流れる空気の通風抵抗を抑えることができる。したがって、着霜運転時(室外空気温度が約2℃以下)に分割スリット5近傍において隣接するフィン1間が着霜により閉塞した場合でも、空気流路が確保できるので、本実施形態1の熱交換器を使用することができる。
しかし、空気流れから分割スリット5を通過することにより発生する乱流の影響を排除しすぎると、板状フィン1に形成される温度境界層を分断、更新することができず、通常運転時(室外空気温度が約0℃以上)での熱交換能力が低下してしまう。
【0020】
図9は、スリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2と、管外側熱伝達率と通風抵抗との比の関係を示す特性図である。ここで、管外熱伝達率とは、伝熱管2内を流れる冷媒が伝熱管2→フィンカラー3→フィン→空気と熱交換を行うときの熱伝達率である。L1/L2≦0.2の範囲では、(管外側熱伝達率/通風抵抗)の値は急激に増加している。0.2<L1/L2<0.6の範囲では、(管外側熱伝達率/通風抵抗)の値はなだらかに湾曲している。0.6≦L1/L2の範囲では、(管外側熱伝達率/通風抵抗)の値は急激に減少している。L1/L2≦0.2の範囲では、通風抵抗が大きいために各板状フィン1の間に流れる空気流量が少なく、フィンと空気の間での熱交換量が少なくなる。このため、熱伝達率が小さくなり、(管外側熱伝達率/通風抵抗)の値が小さくなる。0.6≦L1/L2の範囲では、通風抵抗は小さく各板状フィンの間に流れる空気流量は多いものの、分割スリット5が板状フィン1に形成される温度境界層を分断、更新することができず、フィンと空気の間での熱交換量が少なくなる。このため、熱伝達率が小さくなり、(管外側熱伝達率/通風抵抗)の値が小さくなる。この図9より、熱伝達率が大きく通風抵抗の小さいL1/L2の範囲、つまり熱交換能力の大きなL1/L2の範囲は0.2<L1/L2<0.6となる。
【0021】
このように構成されたフィンチューブ型熱交換器20においては、板状フィン1スリット分割領域4を備えたため、従来のスリットがフィンに設けられたフィンチューブ型熱交換器では着霜し、各フィンの間隙が霜によって閉塞して使用できなかった環境でも、空気の流路が確保できるのでスリットがフィンに設けられたフィンチューブ型熱交換器20を使用することができる。このため、従来使用していたフィンにスリットを設けていないフィンチューブ型熱交換器と比較して、熱交換能力の高くコンパクトなフィンチューブ型熱交換器20を使用することできる。また、この熱交換能力の高いフィンチューブ型熱交換器20を用いることで室外機をコンパクトに製作でき、室外機設置面積を低減できる。
【0022】
一般にフィンチューブ型熱交換器の熱交換能力はフィン間の距離であるフィンピッチに反比例する。したがって、この熱交換能力の高いフィンチューブ型熱交換器20を用いることで、フィンピッチを拡大することが可能となり、フィン枚数を減らしてフィンチューブ型熱交換器20の材料費を低減することができる。この熱交換能力の高いフィンチューブ型熱交換器20を用いることで、ファン動力増加による騒音を防止することができる。
【0023】
フィン中央部スリット6のスリット高さH6は、分割スリット5のスリット高さH5よりも低く形成されているため、着霜運転時(室外空気温度が約2℃以下)に分割スリット5近傍の隣接する板状フィン1間が着霜により閉塞した場合でも、空気はフィン中央部スリット6の上部を流れることができる。このため、着霜時に板状フィン1間を流れる空気流量をより確保できる。
【0024】
スリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2を0.2<L1/L2<0.6としたので、着霜運転時(室外空気温度が約2℃以下)及び通常運転時(室外空気温度が約0℃以上)の両運転条件でフィンチューブ型熱交換器20の熱交換能力を最適に発揮することができる。
【0025】
分割スリット5のスリット高さH5と板状フィン1のフィンピッチFpをH5≦Fp/3としたので、隣接する板状フィン1の間を流れる空気の通風抵抗を小さく抑えることができる。
【0026】
分割スリット5の脚部5aを、スリット分割領域4側においてはスリット分割領域4と平行に設け、また伝熱管2側においては伝熱管2に対向するように傾斜して設けたので、スリット分割領域4の幅L1を確保でき、また分割スリット5が無い場合に伝熱管2の下流側で発生する死水域(速度欠損領域)による伝熱低下を防ぐことができる。
【0027】
分割スリット5はフィン中央部スリット6を略中心として列方向(空気流れと平行方向)に2分割され、分割スリット5及びフィン中央部スリット6は全体として列方向に3列のスリットを形成しているため、空気流路7aを広く確保できる。このため、着霜運転時により多くの空気流量が板状フィン1間を流れることができる。
【0028】
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部断面図の一例である。また、図11は図10におけるC−C断面図の一例である。なお、本実施形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一機能については同一の符号を用いて述べることとする。板状フィン1の両側縁部には、段方向と平行に例えばプレス加工によって形成された凸部8が設けられている。凸部8の断面形状は図11(a)に示す半円形状に加工されていてもよいし、(b)に示す三角形状に加工されていてもよい。
【0029】
このように構成されたフィンチューブ型熱交換器20においては、板状フィン1の両側縁部に凸部8を設けることによって、板状フィン1の曲げ強度を高めてたわみを低減することができる。このため、板状フィン1の積層行程を高速化できる。また、外部から曲げモーメントが加えられても、分割スリット5のスリット高さH5と板状フィン1のフィンピッチFpの距離比及びスリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2を組立時の設定条件に保つことができ、フィンチューブ型熱交換器20の熱交換能力を維持することができる。
【0030】
実施の形態3.
図12はこの発明の実施の形態3におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部断面図の一例である。また、図13は図12におけるE−E断面図の一例である。スリット分割領域4の段方向略中央部には、フィン中央部スリット6の空気流れ上流部側及び下流部側に、列方向と平行に例えばプレス加工によって形成された凸部9が設けられている。凸部8の断面形状は図13(a)に示す半円形状に加工されていてもよいし、(b)に示す三角形状に加工されていてもよい。
【0031】
このように構成されたフィンチューブ型熱交換器20においては、スリット分割領域4の段方向略中央部において、フィン中央部スリット6の空気流れ上流部側及び下流部側に凸部9を設けたので、板状フィン1の座屈強度を高めて座屈を低減することができる。このため、板状フィン1の積層行程を高速化できる。また、外部から圧縮荷重が負荷されても、分割スリット5のスリット高さH5と板状フィン1のフィンピッチFpの距離比及びスリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2を組立時の設定条件に保つことができ、フィンチューブ型熱交換器20の熱交換能力を維持することができる。
【0032】
実施の形態4.
図14はこの発明の実施の形態4におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部断面図である。スリット分割領域4側における分割スリット5の脚部5aは、伝熱管2側における分割スリット5の脚部5aと平行に設けられている。つまり、スリット分割領域4側における分割スリット5の脚部5aは、空気流れ上流側に開口した形状で設けられている。
このように構成することで、空気流れをフィン中央部スリット6に誘導することができ、熱交換能力のさらなる向上を図ることができる。
【0033】
実施の形態5.
図15はこの発明の実施の形態5におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部断面図である。板状フィン1のスリット部10にはスリット分割領域4、分割スリット5及びフィン中央部スリット6が設けられている。また、板状フィン1フラット部11にはスリット分割領域4、分割スリット5及びフィン中央部スリット6が設けられていない。これらスリット部10及びフラット部11が伝熱管2の間に交互に配置されている。
このように構成することで、着霜運転時(室外空気温度が約2℃以下)に分割スリット5近傍及びフィン中央部スリット6の隣接する板状フィン1間が着霜により閉塞した場合でも、空気はフラット部を流れることができる。このため、着霜時に板状フィン1間を流れる空気流量をより確保でき、熱交換効率の低下を防止することができる。
【0034】
実施の形態6.
図16はこの発明の実施の形態6におけるフィンチューブ型熱交換器20を示す要部断面図である。スリット分割領域4の上部及び下部には、分割スリット5が設けられている。また、スリット分割領域4内の略中央部には、本発明の第2のスリットに相当するフィン中央部スリット6が設けられている。分割スリット5は、フィン中央部スリット6を略中心として列方向(空気流れと平行方向)に2分割されている。各々2分割された分割スリット5はさらに列方向(空気流れと平行方向)に2分割されている。つまり、分割スリット5及びフィン中央部スリット6は全体として列方向に5列のスリットを形成している。
このように構成することで、通風抵抗は若干大きくなるものの、板状フィン1に形成される温度境界層を分断、更新する能力が大きくなり、さらに熱交換能力を向上させることができる。
【0035】
実施の形態7.
図17は、上記実施の形態1〜実施の形態6に記載のいずれかのフィンチューブ型熱交換器20を室外熱交換器として用いた冷凍サイクルの一例である。圧縮機21、四方弁22、室内熱交換器23、膨張弁24、及び室外熱交換器であるフィンチューブ型熱交換器20が順次冷媒配管により接続されて冷凍サイクルを構成している。暖房時の冷媒流れは図17に矢印で示す方向となる。圧縮機21で圧縮されたガス状態の冷媒は、四方弁22を通り室内熱交換器23に入る。室内熱交換器23は、送風機25から送り出された空気との熱交換により放熱する。室内熱交換器23で熱交換を行った冷媒は過冷却状態の液冷媒となり、膨張弁24に入る。膨張弁24で膨張した低温低圧の冷媒は低乾き度の二相状態となり、室外熱交換器であるフィンチューブ型熱交換器20に入る。フィンチューブ型熱交換器20は、送風機26から送り出された空気との熱交換により吸熱する。フィンチューブ型熱交換器20で室外の空気と熱交換により吸熱した冷媒は蒸発してガス状態となり、圧縮機21に入る。
【0036】
このように、室外熱交換器に、本実施の形態1〜実施の形態6に記載のいずれかのフィンチューブ型熱交換器20を用いることで、上記それぞれの優れた特性を有するフィンチューブ型熱交換器20を備えた冷凍サイクルを提供することができる。なお、室内熱交換器23は、本実施の形態1〜実施の形態6に記載のいずれかのフィンチューブ型熱交換器20を用いる必要はなく、従来より使用している例えばフィンチューブ型熱交換器でよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態1を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部側面図である。
【図3】図1に示すA−A断面図及びB−B断面図であり、(a)がA−A断面図、(b)がB−B断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示すフィンチューブ型熱交換器20の着霜時における空気流れの説明図である。
【図5】スリット分割領域4が設けられていないフィンチューブ型熱交換器20の着霜時における空気流れの説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1を示すスリット分割領域4が設けられたフィンチューブ型熱交換器20及びスリット分割領域4が設けられていないフィンチューブ型熱交換器20における、着霜量と通風抵抗の関係を示す特性図である。
【図7】この発明の実施の形態1におけるスリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2と、通風抵抗の関係を示す特性図である。
【図8】この発明の実施の形態1における分割スリット5のスリット高さH5と通風抵抗の関係を示す特性図である。
【図9】この発明の実施の形態1におけるスリット分割領域4の幅L1と隣接するフィンカラー3間の距離L2との比L1/L2と、管外側熱伝達率と通風抵抗との比の関係を示す特性図である。
【図10】この発明の実施の形態2を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部断面図の一例である。
【図11】図10に示すC−C断面図の一例である。
【図12】この発明の実施の形態3を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部断面図の一例である。
【図13】図10に示すE−E断面図の一例である。
【図14】この発明の実施の形態4を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部断面図である。
【図15】この発明の実施の形態5を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部断面図である。
【図16】この発明の実施の形態6を示すフィンチューブ型熱交換器20の要部断面図である。
【図17】この発明の実施の形態1〜実施の形態7に記載のいずれかのフィンチューブ型熱交換器20を室外熱交換器に用いた冷凍サイクルの一例である。
【符号の説明】
【0038】
1 板状フィン、2 伝熱管、3 フィンカラー、4 スリット分割領域、5 分割スリット、5a 分割スリット脚部、5b 分割スリット切り起こし部、6 フィン中央部スリット、6a フィン中央部スリット脚部、6b フィン中央部スリット切り起こし部、7a 空気流路、7b 空気流路、7c 空気流路、8 凸部、9 凸部、10 スリット部、11 フラット部、20 フィンチューブ型熱交換器、21 圧縮機、22 四方弁、23 室内熱交換器、24 膨張弁、25 ファン、26 ファン、Fp フィンピッチ、H5 スリット高さ、H6 スリット高さ、L1 スリット分割領域4の幅、L2 フィンカラー3間の距離。

【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成19年3月6日(2007.3.6)
【代理人】 【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫

【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清

【識別番号】100061273
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 宗治

【識別番号】100070563
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 昇

【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫


【公開番号】 特開2008−215737(P2008−215737A)
【公開日】 平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願番号】 特願2007−55258(P2007−55258)