【発明の名称】 |
フィンチューブ型熱交換器 |
【発明者】 |
【氏名】鎌田 俊光
【氏名】藤野 宏和
【氏名】金 鉉永
【氏名】笠井 一成
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【要約】 |
【課題】本発明の課題は、ガイドを有するフィンチューブ型熱交換器であって、ガイド上に水滴が保持されにくいフィンチューブ型熱交換器を提供することにある。
【解決手段】本発明のフィンチューブ型熱交換器1は、伝熱フィン2と複数の伝熱管3とを備える。伝熱フィンは気流中に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置される。伝熱フィンには、伝熱管の鉛直方向における両側において上流側から下流側に向かって並ぶ複数のガイド21a〜21fが形成される。複数のガイドの少なくとも一部は、第1素材M1と第2素材M2とからなる異種接合材料からなる異種接合ガイドである。異種接合ガイドは、第1状態の場合に下向きに傾斜し、第2状態の場合に伝熱フィン面に対して略垂直になる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 気流中に配置された伝熱フィン(2)と、 前記伝熱フィンに挿入されており、前記気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管(3)と、 を備え、 前記伝熱フィンには、前記伝熱管の鉛直方向における両側において前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数のガイド(21a〜21f)が形成されており、 前記複数のガイドを仮想的に結ぶ直線(L1,L2)は、前記伝熱管近傍の気流が前記伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜しており、 前記複数のガイドの少なくとも一部は、第1素材(M1,M3)と前記第1素材の下面に張り合わされた第2素材(M2,M4)とからなる異種接合材料からなる異種接合ガイドであり、 前記異種接合ガイドは、第1状態の場合に下向きに傾斜し、第2状態の場合に前記伝熱フィン面に対して略垂直になる、 フィンチューブ型熱交換器(1)。 【請求項2】 前記異種接合ガイドは、前記伝熱管の下側に形成される前記複数のガイドである、 請求項1に記載のフィンチューブ型熱交換器。 【請求項3】 前記第1素材(M1)は、水膨張率が大きい素材であり、 前記第2素材(M2)は、水膨張率が小さい素材であり、 前記第1状態は、前記異種接合ガイドが水を含んでいる状態であり、 前記第2状態は、前記異種接合ガイドがほとんど水を含んでいない状態である、 請求項1または2に記載のフィンチューブ型熱交換器(1)。 【請求項4】 前記第1素材(M3)は、熱膨張率が小さい素材であり、 前記第2素材(M4)は、熱膨張率が大きい素材であり、 前記第1状態は、前記異種接合ガイドの温度が所定温度よりも高くなっている状態であり、 前記第2状態は、前記異種接合ガイドの温度が前記所定温度よりも低くなっている状態である、 請求項1または2に記載のフィンチューブ型熱交換器。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、フィンチューブ型熱交換器、特に、気流中に配置された伝熱フィンと、伝熱フィンに挿入されており気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管とを備えたフィンチューブ型熱交換器に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、フィンチューブ型熱交換器の熱交換効率を高める手法として、伝熱管の気流の流れ方向後側に気流を導くように伝熱フィンに切り起こし部を形成するものが知られている(特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2007−10279号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、特許文献1に示される技術のように、伝熱フィン面上に切り起こし部(ガイド)を設置する手法を空気調和装置の熱交換器の伝熱フィンに適用すると、結露水などの水滴(以下ドレン水と呼ぶ)が発生した場合に、ガイドの上に水滴が乗ってしまい落ちにくくなることがある。また、カラーとガイドとの間で水滴がブリッジして保持される場合もある。このように、ガイドとカラーとの間に水滴が溜まると、水滴が通風抵抗となり、熱交換器を通過する風量が低下して熱交換効率が低下するという問題がある。 【0004】 本発明の課題は、ガイドを有するフィンチューブ型熱交換器であって、ガイドの上に水滴が保持されにくいフィンチューブ型熱交換器を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 第1発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、伝熱フィンと、複数の伝熱管とを備える。伝熱フィンは、気流中に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置される。伝熱フィンには、伝熱管の鉛直方向における両側において気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数のガイドが形成されている。複数のガイドを仮想的に結ぶ直線は、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。複数のガイドの少なくとも一部は、第1素材と第1素材の下面に張り合わされた第2素材とからなる異種接合材料からなる異種接合ガイドである。異種接合ガイドは、第1状態の場合に下向きに傾斜し、第2状態の場合に伝熱フィン面に対して略垂直になる。 【0006】 本発明では、複数のガイドの少なくとも一部が、第1状態の場合に下向きに傾斜し、第2状態の場合に伝熱フィン面に対して略垂直に立ち上がる。したがって、例えば、第1状態がドレン水などの水滴が発生して水を吸収した状態の場合に、水を吸収した異種接合ガイドを下向きに傾斜させることができ、伝熱フィン面にドレン水などの水滴が発生した場合に、水滴を下方に流下させることができる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。 【0007】 第2発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、異種接合ガイドは、伝熱管の下側に形成される複数のガイドである。 【0008】 本発明では、ドレン水は特に、冷媒が直接中を流れる伝熱管の近傍に発生しやすい。このため、伝熱管の下側に多くのドレン水が流下することになり、伝熱管の下側に形成される複数のガイドの上に保持される場合が多い。本発明では、伝熱管の下側に形成される複数のガイドを異種接合材料からなる異種接合ガイドとしている。 【0009】 したがって、特にドレン水が保持されやすい伝熱管の下側に形成される複数のガイドを異種接合ガイドとすることで、水滴を効率よく排水することができる。 【0010】 第3発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第1素材は、水膨張率が大きい素材である。また、第2素材は、水膨張率が小さい素材である。そして、第1状態は、異種接合ガイドが水を含んでいる状態である。第2状態は、異種接合ガイドがほとんど水を含んでいない状態である。 【0011】 本発明では、第1素材は水膨張率が大きく、逆に第2素材は水膨張率が小さい素材である。また、第1状態は、異種接合ガイドが水を含んでいる状態であり、第2状態は、第1状態とは逆に水をほとんど含んでいない状態である。異種接合ガイドは、水を含んだ場合に、上面の第1素材が膨張し第2素材がほとんど膨張しないため、下向きに傾斜することになる。また、それとは逆に、水を含んでいない状態になった場合に、伝熱フィン面に対して垂直に立ち上がることになる。 【0012】 したがって、ドレン水などの水滴が発生した場合に、異種接合ガイドを下向きに傾斜させることができ、水滴を効率よく排出することができる。また、水滴が発生していない場合には、異種接合ガイドを伝熱フィン面に対して垂直に立ち上げることができるため、伝熱管の気流の流れ方向後側に気流を導くことができる。このため、死水域を低減することができ、熱交換効率を向上させることができる。 【0013】 第4発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第1素材は、熱膨張率が小さい素材である。第2素材は、熱膨張率が大きい素材である。第1状態は、異種接合ガイドの温度が所定温度よりも高くなっている状態である。第2状態は、異種接合ガイドの温度が所定温度よりも低くなっている状態である。 【0014】 本発明では、第1素材は熱膨張率が小さい素材であり、逆に、第2素材は熱膨張率が大きい素材である。また、第1状態は、異種接合ガイドの温度が所定温度よりも高い状態であり、第2状態は、第1状態とは逆に異種ガイドの温度が所定温度よりも低い状態である。 【0015】 ここで、異種接合ガイドは、例えば、フィンチューブ型熱交換器が凝縮器として機能した場合に、伝熱フィン面の温度は約50℃となり下面の第2素材が膨張し上面の第1素材がほとんど膨張しないで、伝熱フィン面と略垂直になる。逆に、フィンチューブ型熱交換器が蒸発器として機能した場合に、伝熱フィン面の温度は約0℃となり、伝熱フィン面の温度が約50℃と高温の場合と比べて、上面の第1素材はあまり収縮せずに、下面の第2素材が第1素材よりも大きく収縮することになる。このため、蒸発器として機能した場合には、異種接合ガイドは下向きに傾斜することになる。ドレン水は、フィンチューブ型熱交換器が蒸発器として機能して伝熱フィン面の温度が約0℃と低くなった場合に発生しやすい。 【0016】 したがって、ドレン水などの水滴が発生しやすい場合に、異種接合ガイドを下向きに傾斜させることができ、発生した水滴を効率よく排出することができる。また、フィンチューブ型熱交換器が凝縮器として機能して伝熱フィン面の温度が約50℃と高温の場合には、水滴はほとんど発生していな。このため、異種接合ガイドを伝熱フィン面に対して垂直に立ち上げることができるため、伝熱管の気流の流れ方向後側に気流を導くことができる。これにより、死水域を低減することができ、熱交換効率を向上させることができる。 【発明の効果】 【0017】 第1発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、例えば、第1状態がドレン水などの水滴が発生して水を吸収した状態の場合に、水を吸収した異種接合ガイドを下向きに傾斜させることができ、伝熱フィン面にドレン水などの水滴が発生した場合に、水滴を下方に流下させることができる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。 【0018】 第2発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、特にドレン水が保持されやすい伝熱管の下側に形成される複数のガイドを異種接合ガイドとすることで、水滴を効率よく排水することができる。 【0019】 第3発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、ドレン水などの水滴が発生した場合に、異種接合ガイドを下向きに傾斜させることができ、水滴を効率よく排出することができる。また、水滴が発生していない場合には、異種接合ガイドを伝熱フィン面に対して垂直に立ち上げることができるため、伝熱管の気流の流れ方向後側に気流を導くことができる。このため、死水域を低減することができ、熱交換効率を向上させることができる。 【0020】 第4発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、ドレン水などの水滴が発生しやすい場合に、異種接合ガイドを下向きに傾斜させることができ、発生した水滴を効率よく排出することができる。また、フィンチューブ型熱交換器が凝縮器として機能して伝熱フィン面の温度が約50℃と高温の場合には、水滴はほとんど発生していな。このため、異種接合ガイドを伝熱フィン面に対して垂直に立ち上げることができるため、伝熱管の気流の流れ方向後側に気流を導くことができる。これにより、死水域を低減することができ、熱交換効率を向上させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下、本発明にかかるフィンチューブ型熱交換器の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。 【0022】 図1〜図4に本発明の一実施形態にかかるフィンチューブ型熱交換器1の要部を示す。ここで、図1は、フィンチューブ型熱交換器1の断面図である。図2は、図1のII−II断面図である。図3は、図1のIII−III断面図である。図4は、図1のIV−IV断面図である。 【0023】 (1)フィンチューブ型熱交換器の基本構成 フィンチューブ型熱交換器1は、クロスフィンアンドチューブ型熱交換器であり、主として、複数のプレート状の伝熱フィン2と、複数の伝熱管3とを備えている。伝熱フィン2は、その平面方向を空気等の気流の流れ方向に概ね沿わせた状態で、板厚方向に並んで配置されている。伝熱フィン2には、気流の流れ方向に略直交する方向に間隔を空けて複数の貫通孔2aが形成されている。貫通孔2aの周囲部分は、伝熱フィン2の板厚方向の一方側に突出する環状のカラー部23となっている。カラー部23は、板厚方向に隣り合う伝熱フィン2のカラー部23が形成された面と反対の面に当接しており、各伝熱フィン2の板厚方向間に所定の間隔Hを確保している。伝熱管3は、内部に冷媒等の熱媒体が流れる管部材であり、板厚方向に並んで配置された複数の伝熱フィン2に挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置されている。具体的には、伝熱管3は、伝熱フィン2に形成された貫通孔2aを貫通しており、フィンチューブ型熱交換器1の組立時の拡管作業によって、カラー部23の内面に密着している。 【0024】 また、本実施形態のフィンチューブ型熱交換器1は、複数の伝熱管3の配列方向が略上下方向となるように設置された状態で使用されるものである。このため、気流は、フィンチューブ型熱交換器1を、略水平方向に向かって横切るように流れることになる。なお、以下の説明において、「上側」、「上方」や「下側」、「下方」という文言を用いる場合には、伝熱管3の配列方向を示しているものとする。 【0025】 (2)伝熱フィンの詳細形状 次に、本実施形態のフィンチューブ型熱交換器1に用いられている伝熱フィン2の詳細形状について説明する。 【0026】 伝熱フィン2には、各伝熱管3の鉛直方向における両側(すなわち、各伝熱管3の下側および上側)において、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数(本実施形態では、下側に3つ、上側に3つ)のガイド21a〜21fが、伝熱フィン2面に形成されている。ここで、下側のガイドを第1ガイド21a〜21c、上側のガイドを第2ガイド21d〜21fとする。この第1ガイド21a〜21cを仮想的に結ぶ第1直線L1または第2ガイド21d〜21fを仮想的に結ぶ第2直線L2は、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。ここで、第1直線L1および第2直線L2の気流の流れ方向に対する迎え角α1,α2は、10°〜30°の範囲内になるように設定されている。 【0027】 このように第1ガイド21a〜21cおよび第2ガイド21d〜21fは、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように気流の流れ方向に対して傾斜している。このため、主として、ガイド21a〜21fのうち伝熱フィン2の気流の流れ方向上流側に配置された第1ガイド21aおよび第2ガイド21dによって境界層を更新する効果を確実に得ることができる。また、伝熱フィン2の気流の流れ方向下流側に配置された第1ガイド21cおよび第2ガイド21fによって伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。 【0028】 また、各ガイド21a〜21fは、気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増するように形成されている。本実施形態において、各ガイド21a〜21fは、略台形状または略三角形状であり(図3参照、図3は、第2ガイド21d〜21fを示す図であるが、第1ガイド21a〜21cについても同様の形状を有する)、その最大高さhがカラー部23の高さHよりも低くなるように形成されている。 【0029】 このように、各伝熱管3の両側に形成されたガイド21a〜21fのそれぞれが気流の流れ方向上流側から下流側に向かう複数(本実施形態では、上下で各3つずつ)の第1ガイド21a〜21cおよび第2ガイド21d〜21fに分割されている。このため、伝熱フィン2に発生したドレン水を第1ガイド21a〜21cの隙間および第2ガイド21d〜21fの隙間から排出されやすくできる。 【0030】 また、伝熱フィン2には、カラー部23の周囲にカラー部23と同心円形状の凹部24が設けられている。この凹部24は、図2に示すように断面がカラー部23に外接する位置にカラー部23とは逆の方向に伝熱フィン2を凹ませて形成されている。 【0031】 このように、伝熱フィン2における伝熱管3の周囲全体に凹部24を形成している。したがって、この凹部24にドレン水が一時的に滞留し、所定量以上のドレン水が滞留した後に流下し排出されることになる。このため、第1切り起こし部21a〜21cと伝熱管3との間に滞留することなく、ドレン水を排出することができる。 【0032】 さらに、第1ガイド21a〜21cおよび第2ガイド21d〜21fが気流の流れ方向上流側から下流側に向かって第1直線L1および第2直線L2上を真っ直ぐに並ぶことによって、ガイド21a〜21fのうち伝熱フィン2の気流の流れ方向下流側に配置された第1ガイド21cおよび第2ガイド21fが気流の流れ方向上流側に配置された第1ガイド21aおよび第2ガイド21dと同じ傾斜を有することになるため、伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減するだけでなく、第1ガイド21cおよび第2ガイド21fの背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができる。 【0033】 以上のように、本実施形態のフィンチューブ型熱交換器1では、伝熱フィン2に発生するドレン水の影響を受けることなく、ガイド21a〜21fによる伝熱促進効果を得ることができるとともに、第1ガイド21cおよび第2ガイド21fの背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができるため、ガイド21a〜21fによる伝熱促進効果と排水性とを両立させることができる。 【0034】 また、このフィンチューブ型熱交換器1では、各ガイド21a〜21fの形状を気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増した形状にすることによって、各ガイド21a〜21fの背後に縦渦を生じさせることができるため、各ガイド21a〜21fによる伝熱促進効果をさらに高めることができる。 【0035】 (3)ガイドの構造 各ガイド21a〜21fは、図4に示す断面図のように2枚の薄い板状の第1素材M1と第2素材M2とを張り合わせて構成されている。この、2枚の薄い板状の第1素材M1と第2素材M2とを張り合わせた素材を異種接合材料と呼ぶことにする。図4は、図1のIV−IV断面図である。 【0036】 第1素材M1は水に触れると水を吸収して膨張し、第2素材M2は水に触れてもほとんど膨張しない。例えばフィンチューブ型熱交換器1が蒸発器として機能するなどして、伝熱フィン2面上にドレン水が発生すると、各ガイド21a〜21fは、第1素材M1が発生したドレン水を吸収して第2素材M2よりも膨張するため、各ガイド21a〜21fの根元部分から下向きに湾曲して傾くことになる(図5参照)。 【0037】 また、伝熱フィン2面上にドレン水などの水分がなくなり、各ガイド21a〜21fの第1素材M1が吸収した水分がなくなると、膨張していた第1素材M1はほとんど元の体積に戻る。このため、根元から下向きに湾曲して傾いていた各ガイド21a〜21fは、元通りになり、伝熱フィン2と略垂直に立ち上がることになる(図4参照)。 【0038】 このように、各ガイド21a〜21fは、ドレン水などの水滴が発生して各ガイド21a〜21fの上面に触れると、上面に貼り付けられている第1素材M1が膨張して、下向きに湾曲して傾くことになる。したがって、ドレン水などの水滴が発生した場合に、各ガイド21a〜21fから水滴を下方に流下させやすくできる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器1内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。また、ドレン水などに水が発生しなくなってフィンチューブ型熱交換器1が乾燥すると、各ガイド21a〜21fは、元通りになり、伝熱フィン2と略垂直に立ち上がることになり、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるガイドとしての役目を果たすことになる。したがって、これらのガイド21a〜21fは、ドレン水などの水滴が発生して通風抵抗になる可能性がある場合にのみ、ドレン水を排出するように下向きに傾いて、それ以外の場合にはガイドとしての役目を果たすことができるため、その状況(水滴の発生の有無)に応じて熱交換効率を向上させるように機能することができる。 【0039】 <特徴> (1) 本実施形態では、各ガイド21a〜21fが、水に触れた場合に下向きに湾曲して傾斜し、乾燥して水を放出した場合に伝熱フィン2面に対して略垂直に立ち上がる。したがって、各ガイド21a〜21fがドレン水などの水滴が発生して水を吸収した状態の場合に、水を吸収した各ガイド21a〜21fを下向きに湾曲させて傾斜させることができ、伝熱フィン2面にドレン水などの水滴が発生した場合に、水滴を下方に流下させることができる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器1内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。 【0040】 (2) 本実施形態では、異種接合材料を形成する2種類の素材のうちで、一方の第1素材M1は水膨張率が大きく、逆に他方の第2素材M2は水膨張率が小さい素材である。そして、各ガイド21a〜21fには、この異種接合材料が利用されている。このため、各ガイド21a〜21fは、水を含んだ場合に、上面の第1素材M1が膨張し第2素材M2がほとんど膨張しないため、下向きに湾曲して傾斜することになる。また、それとは逆に、各ガイド21a〜21fが水を含んでいない状態になった場合に、伝熱フィン2面に対して垂直に立ち上がることになる。 【0041】 したがって、ガイド21a〜21fは、ドレン水などの水滴が発生して通風抵抗になる可能性がある場合にのみ、ドレン水を排出するように下向きに傾いて、それ以外の場合にはガイドとしての役目を果たすことができるため、その状況(水滴の発生の有無)に応じて熱交換効率を向上させるように機能することができる。 【0042】 <変形例> 以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。 【0043】 (1) 本実施形態では、ガイド21a〜21fは、水膨張率が異なる2つの素材(第1素材M1および第2素材M2)を利用して水はけ効率を向上させているが、これに限らず、熱膨張率が異なる2つの素材(第3素材M3および第4素材M4)を利用して水はけ効率を向上させても構わない。具体的には、ガイド41a〜41fを構成する素材として、上面側に熱膨張率の小さい第3素材M3を利用し、下面側に熱膨張率の大きい第4素材M4を利用する。そして、このフィンチューブ型熱交換器1aが凝縮器として機能しており、伝熱フィン面の温度が高くなった場合(例えば50℃付近まで上昇)に、各ガイド41a〜41fが伝熱フィン4面に対して垂直に立ち上がるようにする(図4参照)。フィンチューブ型熱交換器1aが蒸発器として機能して伝熱フィン面の温度が低くなった場合(例えば0℃付近まで下降)に、各ガイド41a〜41fは、膨張していた第4素材M4が収縮してほとんど膨張していなかった第3素材はほとんど収縮しないため下向きに湾曲して傾斜することになる(図5参照)。 【0044】 このように、ドレン水が発生しやすい温度になった場合に、各ガイド41a〜41fは、下向きに湾曲して傾斜するため、ドレン水がこれらのガイド41a〜41fの上側に発生しても、ドレン水をガイド41a〜41fの下方に流下させることができ、水はけ性能を向上させることができる。したがって、これらのガイド41a〜41fは、ドレン水などの水滴が発生しやすい場合にのみ、ドレン水を排出するように下向きに傾いて、それ以外の場合にはガイドとしての役目を果たすことができるため、その状況(水滴の発生の有無)に応じて熱交換効率を向上させるように機能することができる。 【0045】 (2) 本実施形態では、ガイド21a〜21fの全てに異種接合材料を利用して水はけ効率を向上させているが、全てのガイド21a〜21fに異種接合材料を利用しなくてもよく、伝熱管3の下側の第1ガイド21a〜21cにのみ異種接合材料を利用してもよい。ドレン水は、冷媒が直接中を流れる伝熱管3の近傍に特に発生しやすい。このため、伝熱管3の下側に多くのドレン水が流下することになり、伝熱管3の下側に形成される第1ガイド21a〜21cの上に保持される場合が多い。 【0046】 したがって、特にドレン水が保持されやすい第1ガイド21a〜21cを異種接合材料を利用することのみでも、ほとんどの水滴を効率よく排水することができる。また、第2ガイド21d〜21fには、異種接合材料を利用しなくともよいため上記実施形態の場合よりも生産コストを削減できる。 【産業上の利用可能性】 【0047】 本発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができ、フィンチューブ型熱交換器、特に、気流中に配置された伝熱フィンと、伝熱フィンに挿入されており気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管とを備えたフィンチューブ型熱交換器等として有用である。 【図面の簡単な説明】 【0048】 【図1】第1実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。 【図2】図1、図5、および図9のII−II断面図。 【図3】図1のIII−III断面図。 【図4】図1、図5、および図9のIV−IV断面図。 【図5】第2実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。 【符号の説明】 【0049】 1 フィンチューブ型熱交換器 2,4 伝熱フィン 3 伝熱管 21a〜21c 第1ガイド(複数のガイド) 21d〜21f 第2ガイド(複数のガイド) 41a〜41c 第1ガイド(複数のガイド) 41d〜41f 第2ガイド(複数のガイド) M1 第1素材 M2 第2素材 M3 第3素材(第1素材) M4 第4素材(第2素材)
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【出願人】 |
【識別番号】000002853 【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
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【出願日】 |
平成19年3月5日(2007.3.5) |
【代理人】 |
【識別番号】110000202 【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
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【公開番号】 |
特開2008−215726(P2008−215726A) |
【公開日】 |
平成20年9月18日(2008.9.18) |
【出願番号】 |
特願2007−54435(P2007−54435) |
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