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【発明の名称】 熱交換器
【発明者】 【氏名】吉越 明

【氏名】宮澤 賢一

【氏名】岡田 有二

【氏名】渡辺 吉典

【要約】 【課題】フィンの間隙を小さくしても空気側の圧力損失が小さく、このためコンパクト化が可能で、しかも熱交換効率に優れた熱交換器を提供すること。

【解決手段】冷媒が流れるパイプと、このパイプがフィン孔14に挿通されて、前記冷媒と前記パイプの外側を流れる空気との間の熱交換効率を高めるフィン12とを備えた熱交換器であって、前記フィン12のフィンピッチが1.1mm〜1.4mmで、前記フィン12には切り起こし16が設けられ、この切り起こし16は隣り合うフィン孔14とフィン孔14との間に間隔をおいて平行に設けられ、かつ、前記切り起こし16の延長線と前記フィン孔14の中心同士を結ぶ直線とのなす角度が5゜〜10゜に設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れるパイプと、このパイプがフィン孔に挿通されて、前記冷媒と前記パイプの外側を流れる空気との間の熱交換効率を高めるフィンとを備えた熱交換器であって、
前記フィンのフィンピッチが1.1mm〜1.4mmで、前記フィンには切り起こしが設けられ、この切り起こしは隣り合うフィン孔とフィン孔との間に間隔をおいて平行に設けられ、かつ、前記切り起こしの延長線と前記フィン孔の中心同士を結ぶ直線とのなす角度が5゜〜10゜に設定されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記切り起こしのうち、下流側に位置する切り起こしが、上流側に位置する切り起こしの境界層の影響を受けない領域または受けにくい領域に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
冷媒が流れるパイプと、このパイプがフィン孔に挿通されて、前記冷媒と前記パイプの外側を流れる空気との間の熱交換効率を高めるフィンとを備えた熱交換器であって、
段ピッチを列ピッチで除した値が2以上となるように設定されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
死水領域をフィン有効部で除した値が0.1以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換器を備えた室内ユニットを具備してなることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、特に、冷房・暖房兼用の空気調和機に用いるに好適な熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷房・暖房兼用の空気調和機に用いるに好適な熱交換器としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【特許文献1】特開平11−183076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示された熱交換器は、当時としては空気側の圧力損失が小さく、しかも熱交換効率に優れた熱交換器であったが、時代の流れとともに、熱交換器のさらなる性能向上およびコンパクト化が求められている。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、フィンの間隙を小さくしても空気側の圧力損失が小さく、このためコンパクト化が可能で、しかも熱交換効率に優れた熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る熱交換器は、冷媒が流れるパイプと、このパイプがフィン孔に挿通されて、前記冷媒と前記パイプの外側を流れる空気との間の熱交換効率を高めるフィンとを備えた熱交換器であって、前記フィンのフィンピッチが1.1mm〜1.4mmで、前記フィンには切り起こしが設けられ、この切り起こしは隣り合うフィン孔とフィン孔との間に間隔をおいて平行に設けられ、かつ、前記切り起こしの延長線と前記フィン孔の中心同士を結ぶ直線とのなす角度が5゜〜10゜に設定されている。
【0006】
本発明に係る熱交換器によれば、各切りおこしの傾斜角θが5度〜10度に設定されているので、圧力損失(通風抵抗)を低減させることができるとともに、熱交換効率(熱伝達率)を向上させることができる。
【0007】
上記熱交換器において、前記切り起こしのうち、下流側に位置する切り起こしが、上流側に位置する切り起こしの境界層の影響を受けない領域または受けにくい領域に位置するように形成されているとさらに好適である。
【0008】
このような熱交換器によれば、下流側に位置する切り起こしが、上流側に位置する切り起こしの境界層の影響を受けない場所(領域)または受けにくい場所(領域)に位置するように形成されているので、熱交換効率(熱伝達率)をさらに向上させることができる。
【0009】
本発明に係る熱交換器は、冷媒が流れるパイプと、このパイプがフィン孔に挿通されて、前記冷媒と前記パイプの外側を流れる空気との間の熱交換効率を高めるフィンとを備えた熱交換器であって、段ピッチを列ピッチで除した値が2以上となるように設定されている。
【0010】
本発明に係る熱交換器によれば、段ピッチ/列ピッチ≧2となるように設定されているので、パイプ間を流れる空気の流速を遅く(低く)することができ、フィンの奥行き長さを短くすることができて、圧力損失(通風抵抗)を低減させることができるとともに、フィンの高さ方向に沿って切り起こしの長さを大きく取ることができ、熱交換効率(熱伝達率)を向上させることができる。
【0011】
上記熱交換器において、死水領域をフィン有効部で除した値が0.1以下となるように設定されているとさらに好適である。
【0012】
このような熱交換器によれば、死水領域/フィン有効部≦0.1となるように設定されているので、圧力損失(通風抵抗)をさらに低減させることができるとともに、熱交換効率(熱伝達率)をさらに向上させることができる。
【0013】
本発明に係る空気調和機においては、フィンの間隙を小さくしても空気側の圧力損失が小さく、このためコンパクト化が可能で、しかも熱交換効率に優れた熱交換器を具備しているので、低いファン動力で交換熱量を確保することができ、ランニングコストの低減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フィンの間隙を小さくしても空気側の圧力損失(通風抵抗)を低減させることができるとともに、熱交換効率(熱伝達率)を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る熱交換器の一実施形態を図1ないし図6に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る熱交換器を具備した室内ユニットの一具体例を示す断面図、図2は図1に示す熱交換器の平面図、図3は図1および図2に示す熱交換器の正面図、図4は図3のA−A矢視断面図である。
【0016】
図1に示すように、空気調和機の室内ユニット1は、吸込グリル2と、エアフィルタ3と、ケーシング4と、複数個(本実施形態では3個)のメイン熱交換器5aと、複数個(本実施形態では3個)のサブ熱交換器5bと、ドレンパン6a,6bと、タンジェンシャルファン7と、ルーバ8と、フラップ9とを主たる要素として構成されている。
【0017】
空気調和機が冷房運転された時、室内ユニット1のタンジェンシャルファン7が回転し、室内の空気は吸込グリル2、エアフィルタ3、熱交換器5a,5bを通って冷やされ、ルーバ8およびフラップ9で風向を決められ室内に吹出される。室外ユニット(図示せず)の圧縮機で圧縮され吐出された冷媒は、凝縮器で放熱し液化する。この冷媒液は、室内ユニット1の熱交換器5a,5bに分配され、これら熱交換器5a,5bに設けられたパイプ11を通過しながら吸熱し、パイプ11の外側を流れる空気を冷却したあと再び室外ユニットの圧縮器に戻される。
【0018】
一方、暖房運転時、室内ユニット1のタンジェンシャルファン7が回転し、室内の空気は、吸込グリル2、エアフィルタ3、熱交換器5a,5bを通って暖められて、ルーバ8およびフラップ9で風向を決められて室内に吹出される。室外ユニット(図示せず)の圧縮機から吐出された冷媒は、熱交換器5a,5bに分配され、これら熱交換器5a,5bに設けられたパイプ11中で凝縮して空気を暖める。この冷媒液は、室外ユニットの室外熱交換器で蒸発し、屋外の空気より吸熱したあと、ガス化して圧縮機に戻る。
【0019】
さて、このような空気調和機の室内ユニット1にあっては、大きさ、すなわち、外形寸法を変えずに大能力を得たいというコンパクト化の要求がある。そのため、熱交換器5a,5bのパイプ11は、例えば、外径6.35mm、肉厚0.2〜0.3mmの薄い銅管で構成されており、パイプ11の外側には、例えば、0.09〜0.12mmの厚さのアルミ材料等から成形されたフィン12が介装されている。このため、フィン12には、図3および図4に示すように、パイプ11を挿入するためのフィン孔14が形成されている。また、パイプ11とフィン12の間の熱抵抗(接触抵抗)を減らすために、パイプ11を拡管し、フィン12との隙間をなくしている。
【0020】
フィン12は、フィンピッチPf(隣り合うフィン12とフィン12との間隔)が1.1mm〜1.4mm(本実施形態では、メイン熱交換器5aのフィンピッチPfを1.2mm、サブ熱交換器5bのフィンピッチPfを1.4mmに設定されている。)で、フィン12には、図3に示すように、隣り合うフィン孔14の中心同士を結ぶ直線に平行に多数の切りおこし16が設けられている。また、フィン12の段ピッチP1(隣り合うフィン孔14の中心同士の高さ方向の距離)は22.4mm、列ピッチP2(隣り合うフィン孔14の中心同士の奥行き方向の距離)は11mmに設定されている。すなわち、段ピッチP1を列ピッチP2で除した値が2以上となるように設定されている。さらに、死水領域(フィン非有効部)D(図3において斜線で示す領域)をフィン有効部(段ピッチP1に列ピッチP2を乗じた値)で除した値が0.1以下となるように設定されている。
なお、フィンピッチPfが1.1mm未満であると、空気抵抗が過大となり、風量、性能が低下し、また騒音が大きくなる傾向にあり、1.4mmを超えると、熱交換効率が低下し易く、また熱交換器をコンパクトにし難い。
【0021】
切りおこし16は、隣り合うフィン孔14とフィン孔14との間において平行に6本ずつ設けられ、かつ、各切りおこし16の幅Lfは1.1mm、傾斜角θは5度〜10度(最も好ましくは8.5度)に設定されている。また、図4において中央部に位置する2枚の切り起こし16、すなわち、図4において左から3番目の切り起こし16および右から3番目の切り起こし16はそれぞれ、図4において両端部に位置する2枚の切り起こし16、すなわち、図4において左から1番目の切り起こし16および右から1番目の切り起こし16と略同じ高さに位置するように形成されている。
【0022】
本実施形態に係る熱交換器5a,5bによれば、各切りおこし16の傾斜角θが5度〜10度(最も好ましくは8.5度)に設定されているので、圧力損失(通風抵抗)を低減させることができるとともに、熱交換効率(熱伝達率)を向上させることができる。
また、下流側に位置する切り起こし16が、上流側に位置する切り起こし16の境界層の影響を受けない場所(領域)または受けにくい場所(領域)に位置するように形成されているので、熱交換効率(熱伝達率)をさらに向上させることができる。
さらに、段ピッチP1/列ピッチP2≧2となるように設定されているので、パイプ11間を流れる空気の流速を遅く(低く)することができ、フィン12の奥行き長さを短くすることができて、圧力損失(通風抵抗)をさらに低減させることができるとともに、フィン12の高さ方向に沿って切り起こし16の長さを大きく取ることができ、熱交換効率(熱伝達率)をさらに向上させることができる。
さらにまた、死水領域D/フィン有効部≦0.1となるように設定されているので、圧力損失(通風抵抗)をより一層低減させることができるとともに、熱交換効率(熱伝達率)をより一層向上させることができる。
【0023】
なお、各切り起こし16の幅Lfを1.1mm、傾斜角θを8.5度、段ピッチP1/列ピッチP2≧2、死水領域D/フィン有効部≦0.1となるように設定し、フィンピッチPfを1.1mm〜1.4mmの範囲で変化させて試験を行った結果、空気側フィン平均熱伝達率αa(W/mK)を空気側圧力損失ΔPa(Pa)で除した値として、14.5〜18.6という値を得た。また、各切り起こしの幅Lfを1.2mm、傾斜角θを20度となるように設定された従来の熱交換器を用いて、フィンピッチPfを1.3mm〜1.6mmの範囲で変化させて試験を行った結果、空気側フィン平均熱伝達率αa(W/mK)を空気側圧力損失ΔPa(Pa)で除した値として、9.4〜13.4という値を得た。このように、本発明に係る熱交換器によれば、従来のものよりも圧力損失(通風抵抗)を低減させることができるとともに、熱交換効率(熱伝達率)を向上させることができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器を具備した室内ユニットの一具体例を示す断面図である。
【図2】図1に示す熱交換器の平面図である。
【図3】図1および図2に示す熱交換器の正面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 室内ユニット
5a 熱交換器
5b 熱交換器
11 パイプ
12 フィン
14 フィン孔
16 切り起こし
D 死水領域
Lf フィンピッチ
P1 段ピッチ
P2 列ピッチ
θ 傾斜角
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成19年2月22日(2007.2.22)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生


【公開番号】 特開2008−202907(P2008−202907A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−42102(P2007−42102)