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【発明の名称】 熱交換器用伝熱管及びこれを用いたEGRガス冷却装置
【発明者】 【氏名】宮内 祐治

【氏名】後藤 忠弘

【氏名】滝川 一儀

【要約】 【課題】伝熱管内の排気ガス流路を通流する高温の排気ガスに対する伝熱性能の向上を図り、該伝熱管の外側を通流する冷却媒体との熱交換を、効率良く促進する熱交換器用伝熱管並びに該伝熱管を用いたEGRガス冷却装置を提供する。

【解決手段】排気ガス流路となる内周面の断面形状が偏平の熱交換器用伝熱管において、該偏平伝熱管の長辺部における上下の内周面に、その底部を接して二つの波形フィン構造体を、該波形フィン構造体のフィンの一部が上下交互に相手領域に入り込むようにして内装し、さらに前記偏平伝熱管の短辺部における内周面の高さHに対し、該波形フィン構造体における波の頂部の高さhを、h≧1/2Hとすることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス流路となる内周面の断面形状が偏平の熱交換器用伝熱管において、該偏平伝熱管の長辺部における上下のそれぞれの内周面に、その底部を接して二つの波形フィン構造体が、該波形フィン構造体のフィンの一部が上下交互に相手領域に入り込むようにして内装され、かつ前記偏平伝熱管の短辺部における上下間の内周面の高さHに対し、該波形フィン構造体におけるフィンの高さhが、h≧1/2Hであることを特徴とする熱交換器用伝熱管。
【請求項2】
前記波形フィン構造体における上下のフィンが管幅方向に略等間隔に配設されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項3】
前記波形フィン構造体における上下のフィンの管幅方向間隔とフィンの幅とが略等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項4】
前記伝熱管の短辺部における内周面の高さHに対し、前記波形フィン構造体におけるフィンの高さhが、h≦3/4Hであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項5】
前記波形フィン構造体におけるフィンが管軸方向に波状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項6】
前記波形フィン構造体におけるフィンの形状が、断面略矩形のチャンネル形状の波形、頂部が略円形または略三角形の波形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項7】
前記伝熱管が断面形状略長円形で、レーストラック形状に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項8】
前記伝熱管が、長辺部と短辺部とからなる断面長方形の偏平管であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項9】
前記波形フィン構造体が金属製板材からなり、その加工手段がプレス成形、ギア成形およびそれらの組合せの中から選択され、伝熱管内周壁面への接合手段が、溶接、ろう付、拡散、その他の接合方法の中から選択され、前記伝熱管内周面に一体として組込まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項10】
前記波形フィン構造体を形成する金属製板材がSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のオーステナイト系ステンレススチールからなり、その板厚が0.05〜0.3mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱交換器用伝熱管。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の熱交換器用伝熱管の複数を組込んだ多管式熱交換器を、EGRガス再循環システムにおける排気ガス冷却系配管に介装させて構成したことを特徴とするEGRガス冷却装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるシェルアンドチューブ型の排気ガス冷却装置における熱交換器用伝熱管に係り、詳しくは該熱交換器に複数配設されて排気ガス流路を形成する断面形状が偏平の伝熱管であって、該伝熱管の内周面に熱交換性能の向上を促すために波形フィン構造体を内装すると共に、該波形フィン構造体によってもたらされる熱伝達性能の向上を図るために、伝熱管内周面への波形フィン構造体組付け方法に特有の改良を施すことにより、該伝熱管内の排気ガス流路を通流する高温の排気ガスに対する伝熱性能の向上を図り、該伝熱管の外側を通流する冷却媒体との熱交換を、効率よく促進する熱交換器用伝熱管並びに該伝熱管を用いたEGRガス冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気系から排気ガスの一部を取り出して再びエンジンの吸気系に戻し、混合気に加える方法は、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)と称され、NOx(窒素酸化物)の発生を抑制し、ポンプ損失の低減や燃焼ガスの温度低下に伴う冷却液への放熱損失の低減、作動ガス量・組成変化による比熱比の増大と、それに伴うサイクル効率の向上など、多くの効果が得られるところから、ディーゼルエンジンの排気ガスの浄化や、熱効率を改善するための有効な方法として広く採り入れられている。
【0003】
ところが、EGRガスの温度が上昇し、EGRガス量が増大すると、その熱作用によってEGRバルブの耐久性が劣化し、早期に破損する虞れが生ずるため、その防止策として冷却系を設けて水冷構造とする必要に迫られたり、吸気温度の上昇に伴い充填効率が低下して燃費が低下するという現象を招来する。このような事態を回避するためにエンジンの冷却液、カーエアコン用冷媒または冷却風などによってEGRガスを冷却する装置が用いられ、とりわけ、気体であるEGRガスをエンジン冷却水で冷却する気−液熱交換タイプのEGRガス冷却装置が多数提案され使用されている。この気−液熱交換タイプのEGRガス冷却装置の中でも、構造がシンプルで狭隘な設置空間においても容易に取付けが可能な、2重管式熱交換タイプのEGRガス冷却装置に依然として根強い需要があり、例えば高温のEGRガスを通す内管の外側に液体を通す外管を配設し、ガスと液体間で熱交換を行う交換器において、内管内に金属コルゲート板がフィンとして挿入されている2重管式熱交換器(例えば、特許文献1参照)、内側に被冷却媒体を流通させる内管と、該内管の外周を離間して囲むように設けられた外管と、前記内管の内部に配設された熱応力緩和機能を有する放熱フィンとから構成された2重管式熱交換器(例えば、特許文献2参照)をはじめとして、数多くの2重管式熱交換器が提案されている。
【0004】
上記のように種々の改良が施されたフィン構造体を内装した2重管式熱交換器によれば、その構造が簡略でコンパクトであるにも拘らず、それなりに優れた冷却効率が期待できるために、小型自動車など設置空間に限りのあるEGRガス冷却用の熱交換器として、既に数多く実用に供されているが、構造上コンパクトであるがゆえに通流する流体の絶対量においては自ずと限界があり、結果としてトータルの熱交換効率においては未解決な課題が残されていた。斯かる課題を解消するためには構造上多少複雑で大型化が余儀なくされても、いわゆるシェルアンドチューブ型の多管式熱交換器を採用せざるを得ず、これらの熱交換器についても様々な改良がなされている。
【0005】
例えば、シェルアンドチューブ型の多管式熱交換器においては、シェル内に間隔を隔てて多数配設されて伝熱管群を形成する各伝熱管に、均一な流量分布と流速を以って被冷却媒体であるEGRガスを通流させると同時に、被冷却媒体並びに冷却媒体である流体相互の間に、適宜に乱流や渦流を生起させてその攪拌作用を高めることが、熱交換効率を向上させるうえで大きな要件となるが、図9(a)に示すEGRガス冷却装置によれば、冷却ジャケットを構成するシェル本体30内に複数配設されて伝熱管群10aを形成する伝熱管10を、底部10−6と上蓋部10−5とからなる上下組込み型の偏平伝熱管10とし、同図(b)に示すように該伝熱管10の内周面に断面形状が略矩形のチャンネル形状で、長手方向に所定のピッチ間隔を以って波形のうねり20−1を有する波形フィン20が内装されると共に、該偏平伝熱管10における排気ガス流路10−4面に、複数の凹部10−3や凸部10−2を設けることによって、ガスの流れに対する乱流形成部10−1が形成された熱交換器用の偏平伝熱管10(例えば、特許文献3参照)が提案され、該偏平伝熱管10におけるガス流路10−4内を通流するEGRガスに、周期的な乱流を生起させて煤の付着を効果的に防止すると共に、該伝熱管10の外周面を通流する冷却水等の冷却媒体に対しても効果的な攪拌を促して、気−液相互間における熱交換性能の向上を図ることができた旨の報告がなされている。また、図10(a)に示す熱交換器用コアにおいては、同図(b)に示すように上下一対の溝部材30および40の組合せにより偏平チューブ50が構成されるが、前記溝部材30および40はそれぞれ側壁部が断面円弧状で、一方の側壁部の縁部は全長に渡り凹陥した接続縁を有し、両者が該接続縁を含む接合部を介して一体に形成されると共に、該組合せ偏平チューブ50の内周面における排気ガス流路g−10には、断面コの字型でチャンネル形状のインナーフィン70が配置され、該偏平チューブの外面に形成された突起部60どうしが接触するようにして複数の組合せ偏平チューブ50が組み立てられ、組み立てられたそれぞれの偏平チューブ50の両端が、チューブプレート80のチューブ挿通孔に挿通され、上記各接触部間が一体にろう付により固定されて熱交換器用コアが形成され、例えば、排気ガス再循環型のEGRクーラー用コアとして組込み、流路内における煤の付着が抑制されると共に、コアの組み立てが容易で量産性が確保され、かつ上記の接合部分等において信頼性の高い熱交換器用コアとして提供できる旨報告されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−23181号公報
【特許文献2】特開2000−111277号公報
【特許文献3】特開2004−263616号公報
【特許文献4】特開2004−28469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記各従来技術において、特許文献1〜2に開示されている2重管タイプのEGRガス冷却装置の場合は、上記ようにその構造が簡略でコンパクトであるにも拘らず、それなりに優れた冷却効率が期待できるために、小型自動車など設置空間に限りのあるEGRガス冷却用の熱交換器としては、既に数多く実用に供されているが、構造上コンパクトであるがゆえに通流する流体の絶対量においては自ずと限界があり、結果としてトータルの熱交換効率においては未解決な課題が残されていた。斯かる課題を解消するための上記特許文献3における、シェルアンドチューブタイプの多管式熱交換型EGRガス冷却装置においては、熱交換器用伝熱管をより広い伝熱面積を有する偏平管とし、該偏平管に断面コの字形状で略矩形のチャンネル形状のフィンを内装すると共に、長手方向にも波形のうねりが形成された波形フィンとし、加えて該偏平管の流体流路面に複数の凹凸を設けて乱流形成部としたり、或いは該偏平伝熱管の外側を通流する冷却水等の冷却媒体に攪拌作用を促して、気−液相互間における優れた熱交換性能が得られた旨報告されているが、偏平伝熱管内に内装されて該管内を通流する高温流体と、該管外を通流する冷却媒体との熱交換を効果的に促進させるための上記の波形フィン構造体においても、一端流路内に流入したガスの流れは整流されてフィン壁面との繰り返しの接触が妨げられ、その上フィンそのものからの伝熱管壁面への伝導面面は伝熱管内面における排気ガス流路を、上下に仕切る面に限定されるために十分な伝熱面積を確保することができず、結果として初期の熱交換性能を得られず更なる改善の余地が残されていた。
【0007】
また、上記特許文献4の熱交換器用コアは、上下一対の溝部材によって構成される偏平チューブと、該偏平チューブ内に配置されるインナーフィン、さらにはチューブプレートへの組み込みや一体ろう付手段等を改善することによって、熱交換器用コアの量産化と接合部分の信頼性の向上には十分な成果が見られるものの、例えば複数の偏平チューブを多段に積層する際には、頂部が平坦に形成された突起部どうしを相互に接触させて組上げるため、コアとしての強度は向上するものの、該突起部どうしの接触面には冷却媒体は通流せず、偏平チューブ内における高温流体との非接触面が形成されると共に突起部にはフィンと接しない断熱空間が形成されるために、熱交換効率の面ではむしろ妨げとなっていた。一方、偏平管の内周面にフィンが内装される従来の伝熱管においては、1枚フープを用いて成形された1枚のフィンをそのままで挿入して、偏平管内周面における上下面に接合する方式が採られるために、熱伝達に資する部分が底面から天井部分に延びる垂直の壁面に限られ、偏平管単体によってもたらされる広い伝熱面積に比較して極めて限定的なものである上に、フィンの底面と上面を偏平管の上下の内周面の全長にわたって均一に接して接合するためには、偏平管の内周面およびフィンの加工工程におけるその高さおよび平坦度の精度が厳しく求められるという課題も残されていた。
【0008】
本発明は一端整流された流体の流れは同一形態の流路内においては、通常そのままの状態を維持して流下するという流体が有する特有の慣性に着目し、偏平管内に内装されて排気ガス流路を形成する波形フィン構造体における波形の形態について、様々な角度から種々の実験を伴う検討を重ねた結果、流路内に流入する排気ガスの流れを効果的に乱し攪拌するために、内装される波形フィン構造体のピッチ間隔を狭くすることと、ガス流路内における波形フィン構造体の伝熱面積の増加を図るために、該波形フィン構造体の偏平管内周面への接合部分を除く波の頂部を、ガス流路内における空間に位置するように配置したものであり、該流路内における熱伝達性能を高度に維持することによって、優れた熱交換性能を促そうとしたものである。即ち本発明は、上記の課題を解決することを所期の目的とし、熱交換器用の偏平伝熱管におけるEGRガス流路において、内装される波形フィン構造体の波の形態と、その接合方法に所定の改良を加えることにより、該フィン構造体の内装手段をより簡略化すると同時に、フィン構造体そのものの伝熱面積の拡大と流路内を通流するガスの流れの整流化を効果的に抑制して、EGRガス冷却装置に組込まれる熱交換器用伝熱管に、高温のEGRガスを所定の流速と流量を以って導入することを可能とし、該伝熱管内におけるガスの流れを乱し攪拌された状態で維持して、優れた熱交換性能を得ることができる熱交換器用伝熱管と、EGRガス冷却装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る熱交換器用伝熱管は、排気ガス流路となる内周面の断面形状が偏平の熱交換器用伝熱管において、該偏平伝熱管の長辺部における上下の内周面に、その底部を接して二つの波形フィン構造体が、該波形フィン構造体のフィンの一部が上下交互に相手領域に入り込むようにして内装され、かつ前記偏平伝熱管の短辺部における上下間の内周面の高さHに対し、該波形フィン構造体におけるフィンの高さhが、h≧1/2Hであることを構成上の特徴とするものである。
【0010】
また本発明に係る熱交換器用伝熱管は、前記波形フィン構造体における上下のフィンが管幅方向に略等間隔に配設されること、前記波形フィン構造体における上下のフィンの管幅方向間隔とフィンの幅とが略等しいことを特徴とするものである。
【0011】
さらに本発明に係る熱交換器用伝熱管は、前記伝熱管の短辺部における内周面の高さHに対し、前記波形フィン構造体におけるフィンの高さhが、h≦3/4Hであることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る熱交換器用伝熱管はまた、前記波形フィン構造体におけるフィンが管軸方向に波状に形成されていること、前記波形フィン構造体におけるフィンの形状が、断面略矩形のチャンネル形状の波形、頂部が略円形または略三角形の波形であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る上記熱交換器用伝熱管はさらに、前記伝熱管が断面形状略長円形で、レーストラック形状に形成されるか、あるいは長辺部と短辺部とからなる断面長方形の偏平管であることを好ましい態様とするものである。
【0014】
上記構成の本発明の熱交換器用伝熱管は、前記波形フィン構造体が金属製板材からなり、その加工手段がプレス成形、ギア成形およびそれらの組合せの中から適宜に選択され、伝熱管内周壁面への接合手段が、溶接、ろう付、貼着、その他の接合方法の中から適宜選択され、前記伝熱管内周面に一体として組込まれることを特徴とするものである。
【0015】
また、上記本発明の熱交換器用伝熱管において、前記波形フィン構造体を形成する金属製板材はSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のオーステナイト系ステンレススチールからなり、その板厚は0.05〜0.3mmであることを好ましい態様とするものである。
【0016】
本発明に係るEGRガス冷却装置は、上記の熱交換器用伝熱管の複数を組込んだ多管式熱交換器を、EGRガス再循環システムにおける排気ガス冷却系配管に介装させて構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱交換器用伝熱管は、ガス流路内における波形フィンのピッチ間隔が狭隘となり、伝熱性能の阻害要因となる整流化が効果的に防止されると同時に、ガス流路内におけるフィン構造体の伝熱面積が大幅に増大することが相伴って、熱交換効率の向上に大きく寄与することができる。加えて本発明による二つの波形フィン構造体は、その底部を偏平管内における上下の内周面に接して接合されるのみで、波の頂部は該偏平管内にガス流路にフリーな状態で位置するために、波形フィンそのものの波の頂部の高さについては厳密な寸法精度が要求されず、成形加工や伝熱管内周面への接合手段等で工程の簡略化が図られ、加工コストが大幅に削減されるにもかかわらず、得られる効果は著しく優れたものであるところから、これを取付けた多管式熱交換器はEGRガス冷却装置の小型軽量化を低コストで実現できるなど、省エネルギーの観点においても多大な貢献が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について添付した図面と実施例に基づいて更に詳細に、かつ具体的に説明するが、本発明はこれによって拘束されるものではなく、伝熱管や該伝熱管に内装される波形フィン構造体の構造や形状を含め、本発明の主旨の範囲内において自由に設計変更が可能である。
【0019】
図1は本発明に係る第1実施例による熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す正面図、図2は本発明に係る第2実施例における熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す要部拡大正面図、図3は本発明に係る第3実施例における熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す要部拡大正面図、図4は本発明に係る第4実施例における熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す要部拡大正面図、図5は本発明に係る第5実施例における熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す正面図、図6は本発明に係る第6実施例による積層タイプの熱交換器と、内装される波形フィン構造体を示す正面図、図7は本発明に係る一実施例による偏平伝熱管の単体を示す正面図、図8は本発明に係る波形フィン構造体の単体を示し、(a)は成形後の拡大要部斜視図、(b)は同図(a)における成形前のフープ材の要部拡大平面図である。
【0020】
まず、本発明の熱交換器用伝熱管の本体を構成する偏平管について説明すると、図7にその一例を示すように、本発明の偏平管2cは、板厚が0.5mm程度の例えばSUS304Lオーステナイト系ステンレススチールを素材として、プレス成形などによって形成され、上部内周面2c−3と下部内周面2c−4とからなる平坦な長辺部2c−1と、略円弧状の左右両側壁部からなる短辺部2c−2とからなり、基本的に断面形状が長円形のレーストラック形状であって、その内周面の長手方向に流体流路が形成される筒状体である。
本発明においては、当該筒状体からなる偏平管2cの上部内周面2c−3と下部内周面2c−4とに、例えば図8に示すような断面が略矩形のチャンネル形状の波形フィン構造体3fが二つ、そのフィン3f−2の頂部3f−3が交互に相手領域に入り込むようにしてその底部3f−1を接して内装されるが、この際、該波形フィン構造体3fにおけるフィン3f−2の高さhは、前記偏平管2cにおける下部内周面2c−4から上部内周面2c−3に達するまでの高さHに対して、h≧1/2Hの関係になるようにして組込まれる。即ち、本発明における波形フィン構造体3fのフィン3f−2の高さhは、偏平管2c内におけるガス流路の中間点以上の相手領域に入り込んで配置されることにより、ガス流路内における隣接するフィンとのピッチ間隔を狭めることとなる。
【0021】
また、本発明において、偏平管2cのガス流路内における波形フィン構造体3fのフィン3f−2の高さhは、前記偏平管2cにおける内周面2c−4および2c−3の上下間の高さHに対し、h≦3/4Hの関係にあることが好ましい。即ち、偏平管2c内におけるフィン構造体3fのフィンの高さは、ガス流路内の相手領域の1/2以下を上限とすることで、フリーな状態にあるフィンの頂部3f−3の強度を安定的に保つことができる。
本発明による波形フィン構造体3fは上記偏平管2cと同一の素材によって形成され、通常板厚が0.2mm程度の例えばSUS304Lオーステナイト系ステンレススチールを素材として、プレス成形などによって形成され、偏平管2cの上下内周面2c−4および2c−3へはろう付等によって一体に接合されるが、この際、波形フィン構造体3fの底部3f−1のみが接合され、フィンの頂部3f−3はガス流路内における相手領域に入り込んでフリーであるため、厳密な寸法精度は要求されず、接合手段を含めた加工方法の簡略化が図られ、加工コストの大幅な削減が可能となる。
【0022】
本発明の波形フィン構造体3fは、偏平管2cの上下の内周面2c−3および2c−4に接する底部3f−1に比較して、ガス流路内に位置するフィン自体の全体面積が拡大して設けられることによってその熱伝達面積が増大し、当該フィンのピッチ間隔の狭隘化と相乗的に作用して、優れた熱交換性能が確保される。従って、このようなフィン構造体3fを内装する本発明の熱交換器用伝熱管は、導入される高温の排気ガスを効率良く熱交換することを可能とする。このような熱交換性能が優れた本発明の熱交換器用伝熱管の複数を組込んだ多管式熱交換器は、EGRガス再循環システムの冷却系配管に介装してEGRガス冷却装置を構成することができる。
【実施例1】
【0023】
本発明に係る第1実施例による熱交換器用伝熱管1は、図1に示すように断面形状が略レーストラック形状の板厚が例えば0.5mmの、SUS304Lオーステナイト系ステンレススチールを素材として形成された偏平管2の内部に、板厚が0.1mmの同種のステンレススチール製板材にプレス成形を施して略矩形のフィン3−2を形成した波形フィン構造体3の二つを、それぞれの底部3−1を前記偏平管2の上下の内周面2−3および2−4に接するように挿入すると共に、そのフィン3−2の頂部3−3が等間隔で交互に相手領域に入り込むようにして、ろう付、溶接、拡散等によって一体として接合することにより構成したものである。
ここで、本実施例による二つの波形フィン構造体3は、図1に示すようにその断面形状が略矩形のチャンネル形状のフィン形に形成され、それぞれのフィン3−2の頂部3−3が偏平管2内における排気ガス流路を、相手領域にまで入り込んで等間隔で配設され、その底部3−1をそれぞれ偏平管2の上部内周面2−3と、下部内周面2−4とに接して一体に接合されている。この際、ガス流路内における相手領域にまで入り込むフィンの頂部3−3は、そのフィン3−2の底部3−1から頂部3−3の高さをhとし、偏平管2の上下の内周面2−3および2−4間の距離をHとしたときに、h≦3/4Hの関係になるように配設する。より具体的には、前記偏平管2の上下の内周面2−3および2−4間の距離Hは例えば5.0mmとし、前記フィンの底部3−1からフィンの頂部3−3までの高さhは例えば3.5mmとする。また、偏平管2内に上記波形フィン構造体3を組込む際は、EGRガスの流れのバランスを考慮して該波形フィン構造体3における上下のフィン3−2の管幅方向間隔wが略等間隔になるように配設するか、または上下のフィン3−2の管幅方向間隔wとフィン3−2の幅tとが略等しくなるように配設するのが好ましい。
このようにして得られた本実施例による熱交換器用伝熱管1は、該伝熱管1の流路内を通流する高温のガスの熱が、フィン形フィン構造体3を介して該伝熱管1の外側を通流する冷却水に効果的に熱交換される。
本実施例による熱交換器用伝熱管1の熱交換性能を調べるため、図示を省略する熱交換器に当該伝熱管を8本セットしてEGRガス冷却装置を構成し、EGRガス冷却系におけるガス流路に組み込み、冷却性能試験に供した結果、該伝熱管内を通流する高温のEGRガスは、フィン形フィン構造体3による狭隘なピッチ間隔によってその流れが攪拌されると共に、ガス流路内に位置するフィン形フィン構造体3の拡大された伝熱面積とが相乗的に作用して、伝熱管1外周の冷却ジャケットへの熱交換が効率良く促進され、EGRガス出口側から排出されるEGRガスは、所定の温度域にまでに効果的に冷却されることが確認された。
【実施例2】
【0024】
本発明に係る第2実施例における熱交換器用伝熱管1aは、図2に要部を拡大して示すように実施例1と同一の仕様の偏平管2の上下の内周面2−3および2−4にその底部3a−1を接して内装される二つのフィン構造体3aの形状を、フィンの頂部3a−3を略円弧状に形成すると共に、フィン3a−2の底部3a−1と偏平管2の上下内周面2−3および2−4への当接部分にR面を設けた以外は、実質的に実施例1と同様にして波形フィン構造体3aを内装して構成したものである。この熱交換器用伝熱管1aを実施例1と同一の条件でEGRガス冷却装置における冷却性能試験に供した結果、本実施例においても実施例1と同様の優れた効果が確認された。
なお、本実施例の熱交換器用伝熱管1aの場合も、偏平管2内に上記波形フィン構造体3aを組込む際は、EGRガスの流れのバランスを考慮して該波形フィン構造体3aにおける上下のフィン3a−2の管幅方向間隔wが略等間隔になるように配設するか、または上下のフィン3a−2の管幅方向間隔wとフィン3a−2の幅tとが略等しくなるように配設するのが好ましい。また、本実施例の場合は、偏平管2の上下内周面2−3および2−4への当接部分にR面を設けたことによりフィン構造体3aのプレス性形成が向上し、特に管軸方向に波状成形するのに適する。
【実施例3】
【0025】
本発明に係る第3実施例における熱交換器用伝熱管1bは、図3に要部を拡大して示すように実施例1と同一の仕様の偏平管2の上下の内周面2−3および2−4にその底部3b−1を接して内装される二つのフィン構造体3bの形状を、フィンの頂部3b−3においては上記実施例1とほぼ同様の矩形断面とし、フィン3b−2の底部3b−1と偏平管2の上下の内周面2−3および2−4への当接部分には、前記実施例2と同様のR面に加えフィンの頂部3b−3に小さなr面を設けた以外は、実質的に実施例1と同様のフィン形フィン構造体3bを内装して構成したものである。この熱交換器用伝熱管1bを実施例1と同一の条件でEGRガス冷却装置における冷却性能試験に供した結果、本実施例においても実施例1と同様の優れた効果が確認された。
なお、本実施例の熱交換器用伝熱管1bの場合も、偏平管2内に上記波形フィン構造体3bを組込む際は、EGRガスの流れのバランスを考慮して該波形フィン構造体3bにおける上下のフィン3b−2の管幅方向間隔wが略等間隔になるように配設するか、または上下のフィン3b−2の管幅方向間隔wとフィン3b−2の幅tとが略等しくなるように配設するのが好ましい。また、本実施例の場合は、偏平管2の上下内周面2−3および2−4への当接部分のR面とフィンの頂部3b−3に小さなr面を設けたことによりフィン構造体3bのプレス性形成がより向上し、特に管軸方向に波状成形するのにいっそう適する。
【実施例4】
【0026】
本発明に係る第4実施例における熱交換器用伝熱管1cは、図4に要部を拡大して示すように実施例1と同一の仕様の偏平管2の上下の内周面2−3および2−4に、その底部3c−1を接して内装される二つの波形フィン構造体3cとして、フィン3c−2の頂部3c−3の形状が略三角形に形成されている以外は、実質的に実施例1と同様の波形フィン構造体3cを内装して構成したものである。この熱交換器用伝熱管1cを実施例1と同一の条件でEGRガス冷却装置における冷却性能試験に供した結果、本実施例においても実施例1と同様の優れた効果が確認された。
なお、本実施例の熱交換器用伝熱管1cの場合は、フィン3c−2の形状が比較的単純であることからプレス成形性がさらに良い。
【実施例5】
【0027】
本発明に係る第5実施例における熱交換器用伝熱管1dは、図4に要部を拡大して示すようにほぼ長方形の偏平管2aの上下の内周面2a−3および2a−4に、その底部3d−1を接して内装される二つのフィン構造体3dの形状を、波の頂部3d−3を半円状に形成した以外は、実質的に実施例1と同様の波形フィン構造体3dを内装して構成したものである。この熱交換器用伝熱管1dを実施例1と同一の条件でEGRガス冷却装置における冷却性能試験に供した結果、本実施例においても実施例1と同様の優れた効果が確認された。
【実施例6】
【0028】
本発明に係る第5実施例は、図6に示すように矩形断面を有する積層型熱交換器4の長辺部2b−1における上下の内周面2b−3および2b−4に、その底部3e−1を接して内装される二つのフィン構造体として、前記実施例4とほぼ同様の仕様の波形フィン構造体3eを用いた以外は、実質的に実施例1と同様の波形フィン構造体3eを内装して構成した積層型の熱交換器4を示したものである。この積層型熱交換器4を実施例1と同一の条件でEGRガス冷却装置における冷却性能試験に供した結果、実施例1と同様の優れた効果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上記各実施例からも明らかなように、本発明による熱交換器用伝熱管は、ガス流路内における波形フィンのピッチ間隔が狭隘となり、伝熱性能の阻害要因となる流れが整流されることなく攪拌されると同時に、ガス流路内におけるフィン構造体の伝熱面積が大幅に増大することとが相伴って、熱交換効率の向上に大きく寄与することができる。加えて本発明による二つの波形フィン構造体は、その底部を偏平管内における上下の内周面に接して接合されるのみで、フィンの頂部は該偏平管内のガス流路にフリーな状態で位置するために、波形フィンそのもののフィンの頂部の高さについては厳密な寸法精度が要求されず、成形加工や伝熱管内周面への接合手段等において工程の簡略化が図られ、加工コストが大幅に削減される。しかも得られる効果は著しく優れたものであるところから、これを取付けた多管式熱交換器はEGRガス冷却装置の小型軽量化を低コストで実現できるなど、省エネルギーの観点においても多大な成果が得られ、当該産業分野において幅広く採用されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る第1実施例の熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す正面図である。
【図2】本発明に係る第2実施例の熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す要部拡大正面図である。
【図3】本発明に係る第3実施例の熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す要部拡大正面図である。
【図4】本発明に係る第4実施例の熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す要部拡大正面図である。
【図5】本発明に係る第5実施例における熱交換器用伝熱管と、内装された波形フィン構造体を示す正面図である。
【図6】本発明に係る第6実施例の積層タイプの熱交換器と、内装される波形フィン構造体を示す正面図である。
【図7】本発明に係る偏平伝熱管の単体の一実施例を示す正面図である。
【図8】本発明に係る波形フィン構造体の単体を示し、(a)は成形後の拡大要部斜視図、(b)は同図(a)における成形前のフープ材の要部拡大平面図である。
【図9】従来の熱交換型EGRガス冷却装置を示し、(a)はその一部破断斜視図、(b)は用いられる伝熱管単体の分解斜視図、(c)該伝熱管単体の要部横断面図である。
【図10】他の従来例のEGRガス冷却装置の熱交換器コアを示し、(a)はその斜視図、(b)は上記コア組込まれる伝熱管とフィンの構造を示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1、1a、1b、1c、1d 熱交換器用伝熱管
2、2a、2c 偏平管
2−1、2a−1、2b−1、2c−1 長辺部
2−2、2a−2、2b−2、2c−2 短辺部
2−3、2a−3、2b−3、2c−3 上部内周面
2−4、2a−4、2b−4、2c−4 下部内周面
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f 波形フィン構造体
3−1、3a−1、3b−1、3c−1、3d−1、3e−1、3f−1 底部
3−2、3a−2、3b−2、3c−2、3d−2、3e−2、3f−2 フィン
3−3、3a−3、3b−3、3c−3、3d−3、3e−3、3f−3 頂部
4 積層型熱交換器
【出願人】 【識別番号】000120249
【氏名又は名称】臼井国際産業株式会社
【出願日】 平成19年2月20日(2007.2.20)
【代理人】 【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆

【識別番号】100046719
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良輝


【公開番号】 特開2008−202846(P2008−202846A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−38875(P2007−38875)