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【発明の名称】 蒸気発生装置
【発明者】 【氏名】志満津 孝

【要約】 【課題】微細な粒子径を有する液滴を効果的に捕獲して蒸発させることができる蒸気発生装置を得る。

【解決手段】蒸気発生装置10は、液体を気化するための蒸気発生部18を含む蒸気発生器12と、蒸気発生部12の下流側の蒸気流路36を複数の多数の隔壁34にて多数の流路に区画する蒸気トラップ30と、蒸気トラップ30の表面温度を液滴がライデンフロスト現象を生じる下限温度以上に保つための温度制御部38と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を気化するための蒸気発生部と、
前記蒸気発生部の下流側の蒸気流路を複数の流路に区画する流路区画体と、
前記流路区画体の表面温度を、前記液体の液滴がライデンフロスト現象を生じる下限温度以上に保つための温度制御手段と、
を備えた蒸気発生装置。
【請求項2】
前記流路区画体は、該流路区画体が区画した上記流路の代表直径を該流路区画体よりも上流側が飛翔する前記液滴の直径以下となるように配置されている請求項1記載の蒸気発生装置。
【請求項3】
前記蒸気発生部は、微細な代表直径を有する流路の周壁を加熱することで、該流路に供給された液体を気化するようになっており、
前記流路区画体は、該流路区画体が区画した上記流路の代表直径を前記蒸気発生部における流路の代表直径以下とするように配置されている請求項1又は請求項2記載の蒸気発生装置。
【請求項4】
前記流路区画体が区画する流路は、重力方向の上側から蒸気が流入されるように配置されている請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の蒸気発生装置。
【請求項5】
前記蒸気発生部は、供給された水を気化するようになっており、
前記温度制御手段は、前記流路区画体の表面温度を160℃以上に保つようになっている請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の蒸気発生装置。
【請求項6】
前記温度制御手段は、前記流路区画体の表面温度をライデンフロスト温度以下に保つようになっている請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の蒸気発生装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を気化して蒸気を発生するための蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発部とスーパヒート部とをジャバラパイプより成るUターン部にて連通すると共に、該Uターン部内に液滴の移動を抑制するガイドを配設した改質器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、蒸発部からスーパヒート部へ向けて飛翔する液滴を、ガイドにてUターン部(ジャバラパイプ)の下壁面に落下させ、該Uターン部の下壁面のジャバラ凹部に接触させて効果的に蒸発させるようになっている。
【特許文献1】特開2004−224621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、蒸発特性、熱交換効率の向上の要求から微細な代表直径を有する多数の流路を有する蒸発器が開発されてきている。このような微細流路を通過した液滴は、その粒子径が小さく蒸気流れに対する追従性が高いため、上記の如き従来の技術におけるガイド、ジャバラパイプでは捕獲が困難である。すなわち、上記の如き従来の技術では、比較的大径の液滴を捕獲するのには有効であるものの、蒸気流れに対する追従性が高い小径の液滴を捕獲することについて改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、微細な粒子径を有する液滴を効果的に捕獲して蒸発させることができる蒸気発生装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る蒸気発生装置は、液体を気化するための蒸気発生部と、前記蒸気発生部の下流側の蒸気流路を複数の流路に区画する流路区画体と、前記流路区画体の表面温度を、前記液体の液滴がライデンフロスト現象を生じる下限温度以上に保つための温度制御手段と、を備えている。
【0006】
請求項1記載の蒸気発生装置では、蒸気発生部で液体が気化されて蒸気が発生し、この蒸気は流路区画体にて区画された流路を通過して装置外に排出(供給)される。ここで、温度制御手段によって流路区画体がライデンフロスト現象を生じる下限温度以上に保たれているため、蒸気発生器から気化されない液滴が流出した場合に、該液滴を流路区画体との間に生成される蒸気膜によって捕獲することができる。なお、ライデンフロスト現象とは、広義には液滴と加熱面との間に蒸気膜が生成される現象であり、ライデンフロスト現象を生じる下限温度は、その物質の飽和温度を超える所定温度として把握することができる。液滴が捕獲される態様としては、例えば、流路区画体間に形成された流路の代表直径以下の粒子径の液滴では該流路区画体間で捕獲される態様が、流路区画体間に形成された流路の代表直径を超える粒子径の液滴では流路区画体の端部で捕獲される態様が考えられる。そして、流路区画体によって捕獲された液滴は、該流路区画体(温度制御手段)からの熱供給によって、その外周から徐々に蒸発し、完全に気化させることができる。
【0007】
このように、請求項1記載の蒸気発生装置では、微細な粒子径を有する液滴を効果的に捕獲して蒸発させることができる。なお、例えば、蒸気発生部の蒸気流路が隔壁にて多数の微細の流路に区画されている構成においては、流路区画体は、蒸気発生部の隔壁から連続して構成されても良い。
【0008】
請求項2記載の発明に係る蒸気発生装置は、請求項1記載の蒸気発生装置において、前記流路区画体は、該流路区画体が区画した上記流路の代表直径を該流路区画体よりも上流側が飛翔する前記液滴の直径以下となるように配置されている。
【0009】
請求項2記載の蒸気発生装置では、蒸気発生部で生じ得る液滴の粒子径範囲は、該蒸気発生部の仕様により推定され、この粒子径範囲の下限よりも代表直径が小さい複数の流路に区画されるように流路区画体を配置することで、該流路区画体間に入り込む前(流路区画体の端部で)液滴を確実に捕獲することができる。これにより、液滴が流路区画体間を通過することが防止され、微細な粒子径を有する液滴を一層効果的に捕獲して蒸発させることができる。さらに、捕獲した液滴(粒子)が気化するのに伴って発生する蒸気膜が液滴粒子の通過をさらに防止(阻害)する効果を示す。
【0010】
請求項3記載の発明に係る蒸気発生装置は、請求項1又は請求項2記載の蒸気発生装置において、前記蒸気発生部は、微細な代表直径を有する流路の周壁を加熱することで、該流路に供給された液体を気化するようになっており、前記流路区画体は、該流路区画体が区画した上記流路の代表直径を前記蒸気発生部における流路の代表直径以下とするように配置されている。
【0011】
請求項3記載の蒸気発生装置では、蒸気発生部において、微細な代表直径を有する流路の周壁を加熱することで液体の気化が行われる。したがって、この蒸気発生部から飛翔する液滴は、上記代表直径以下の粒子径を有している。ここで、液滴を捕獲するための流路区画体が区画する流路の代表直径が蒸気発生部における流路の代表直径以下であるため、蒸気発生部からの液滴を、蒸気膜を介して確実に捕獲することができる。
【0012】
請求項4記載の発明に係る蒸気発生装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の蒸気発生装置において、前記流路区画体が区画する流路は、重力方向の上側から蒸気が流入されるように配置されている。
【0013】
請求項4記載の蒸気発生装置では、流路区画体が上流端を重力方向の上側に向けて配置されているので、流路区画体が区画する流路の代表直径よりも大きい粒子径の液滴を、重力と蒸気膜の力を均衡させつつ(他の部分に逃げないように)、流路区画体の端部の上側で確実に捕獲し、蒸発させることができる。特に、請求項2の如く、流路区画体が区画する流路の代表直径が液滴に粒子径以下である構成とすることが好ましい。
【0014】
請求項5記載の発明に係る蒸気発生装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の蒸気発生装置において、前記蒸気発生部は、供給された水を気化するようになっており、前記温度制御手段は、前記流路区画体の表面温度を160℃以上に保つようになっている。
【0015】
請求項5記載の蒸気発生装置では、流路区画体の温度が160℃以上であるため、該流路区画体に水滴が近接すると、例えば蒸気膜の不安定性により水滴が分裂したりダンスするような挙動を示し、流路の特定部位を水滴が閉止するが防止される。
【0016】
請求項6記載の発明に係る蒸気発生装置は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の蒸気発生装置において、前記温度制御手段は、前記流路区画体の表面温度をライデンフロスト温度以下に保つようになっている。
【0017】
請求項6記載の蒸気発生装置では、流路区画体の温度がライデンフロスト温度以下であるため、液滴が回転楕円形状で静止するスフェロイド状態(スフェロイダルステート)に移行することが防止される。このため、液滴が流路区画体が区画する複数の流路のうち特定の流路を閉止することが防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明に係る蒸気発生装置は、微細な粒子径を有する液滴を効果的に捕獲して蒸発させることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生装置10について、図1乃至図6に基づいて説明する。図1には、蒸気発生装置10の概略全体構成が模式図にて示されている。この図に示される如く、蒸気発生装置10は、蒸気発生器12を備えている。蒸気発生器12は、液体タンク14からポンプ16によって供給されてきた液体を蒸発させ、蒸気を発生する蒸気発生部18と、蒸気発生部18を加熱(蒸発線熱を供給)するための加熱部20とを含んで、加熱式の蒸発器として構成されている。
【0020】
図5に示される如く、蒸気発生部18は、略矩形筒状に形成された蒸気発生管22の内部空間が多数の隔壁24にて微細な代表直径Deを有する多数の微細流路18Aに区画されて構成されており、蒸気発生管22及び多数の隔壁24(及び後述する緩衝ガス流路26)を介して加熱部20から伝わる熱にて液体を気化するマイクロチャンネル式蒸発器として構成されている。
【0021】
また、この実施形態では、蒸気発生部18と加熱部20との間には、緩衝ガス流路26が設けられており、例えば蒸気発生装置10が適用される装置で利用されるガスを通過させて予熱又は加熱するようになっている。このように蒸気発生部18と加熱部20との間に緩衝ガス流路26を挟むことにより、蒸気発生器12では、蒸気発生量を変化させるべく蒸気発生部18への液体供給量及び熱供給量を変化させた場合に、緩衝ガス流路26が蒸気発生部18の急激な温度変化を吸収するようになっている。
【0022】
なお、蒸気発生装置10では、図示しないコントローラによって、蒸気発生量の変化要求に対し、ポンプ16による液体供給量、加熱部20による熱供給量を変化させる構成とされている。また、図5に示される如く、緩衝ガス流路26は、加熱部20から緩衝ガス流路26、蒸気発生部18への伝熱経路としても機能する多数の隔壁28にて、ガス流通管29の内部空間が微細な多数のガス流路26Aに区画されて構成されている。
【0023】
さらに、蒸気発生器12の蒸気発生部18における蒸気出口18Bには、液滴トラップ30が連通されている。図2及び図3に示される如く、液滴トラップ30は、略矩形枠(筒)状に形成された蒸気流路形成管32の内部空間が流路区画体としての流路隔壁34にて多数の微細な代表直径Dtを有する微細流路30Aに区画されて構成されている。蒸気トラップ30又は隔壁34が本発明における流路区画体に相当する。
【0024】
液滴トラップ30を構成する微細流路30Aの代表直径Dtは、蒸気発生部18を構成する微細流路18Aの代表直径De以下とされている。なお、微細流路18A、微細流路30Aの如き矩形状流路の代表直径(代表長さ)Dは、流路断面積をS、ぬれぶち長さをLとして、D=4×S/Lとなる。なお、矩形状流路である微細流路18A、微細流路30Aのアスペクト比が16以上である場合には、代表直径D(De、Dt)を、近似的に蒸気流れ方向視の流路断面の短辺長さとすることができる。
【0025】
この実施形態では、液滴トラップ30における代表直径Dtは、蒸気発生部18で蒸発されずに蒸気発生部18と液滴トラップ30との間の蒸気流路36に至り、該蒸気流路36を飛翔する液滴dの粒子径Dd以下とされている。より具体的には、蒸気発生部18の微細流路18Aから排出される液滴の粒子径Ddの範囲は、該微細流路18Aの代表直径Deに依存し、代表直径Deから推定することができる。微細流路18Aが十分な流路長さを有する場合には、粒子径Dd<代表直径Deの関係が成り立つ(この実施形態では、粒子径Ddは、サブミリメートル、数ミリメートルのオーダー)。そして、図4に示される如く、液滴トラップ30を構成する微細流路30Aの代表直径Dtは、蒸気発生部18の代表直径Deから推定される粒子径Dd(範囲)の下限の粒子径以下として設定されている。図4では、便宜上、微細流路30Aの代表直径Dtを該微細流路30Aの短辺長さとして図示している。
【0026】
以上説明した液滴トラップ30は、その蒸気流れ方向の上流端30Bが、重力方向の上側を向く姿勢で配置されている。この姿勢で液滴トラップ30は、温度制御手段としての温度制御部38によって、流路隔壁34及び蒸気流路形成管32の表面温度Tが所定温度Tl以上で、かつ別途所定温度Tu以下(Tl≦T≦Tu)に保たれるようになっている。所定温度Tlは、蒸気発生部18で蒸発されずに蒸気流路36で飛翔する液滴dがライデンフロスト現象を生じる下限温度として設定されており、別途所定温度Tuは、ライデンフロスト温度として設定されている。
【0027】
このライデンフロスト現象及びライデンフロスト温度について、図6に基づいて補足する。図6は、固体表面で液体(この例では、水)が蒸発する場合における、固定表面温度と液滴の寿命(蒸発に消費される時間)との関係を示す線図である。この図から、固体表面で液体が蒸発する場合には、液滴寿命が固体表面温度の上昇と共に短くなる温度領域A、温度領域Aの高温側に連続し液滴寿命が固体表面温度の上昇と共に長くなる温度領域B、温度領域Bの高温側に連続し液滴寿命が固体表面温度の上昇と共に長くなる温度領域Cが存在することがわかる。
【0028】
温度領域Aでは、液滴は固定表面に付着してレンズ状蒸発を生じる。温度領域Bでは、液滴の蒸発に伴って蒸気膜(気泡)が部分的に生じ、液滴は固体表面に間欠的に接触して該固体表面上をダンスするような挙動を示す。このダンスのような挙動に伴い、液滴が分裂を伴うこともある。これらにより、液滴寿命が固体表面温度の上昇に伴い長くなる。温度領域Cでは、液滴は蒸気膜に支えられて(浮上して)回転楕円体のまま静止しつつ蒸発するスフェロイド状態に遷移する(スフェロイドステート現象を示す)。
【0029】
そして、広義には、液滴と固体表面との間に蒸気膜が形成される現象(温度領域B、C)がライデンフロスト現象であり、液滴の寿命が極大となる温度がライデンフロスト温度である。また、狭義には、ライデンフロスト温度以下の温度領域Bで液滴が示す挙動をライデンフロスト現象という場合がある。何れにしても、液滴dがライデンフロスト現象を生じる下限温度である所定温度Tlは、温度領域Bの下限温度として設定され、ライデンフロスト温度である別途所定温度Tuは、温度領域Bの上限(温度領域Cとの境界)の温度として設定されている。
【0030】
したがって、蒸気発生装置10で蒸発させる液体がほぼ大気圧の水である場合、図6に示される如く、液滴トラップ30の蒸気流路形成管32、流路隔壁34の表面温度Tは、温度制御部38によって160℃≦T≦300℃に制御(管理)される。この実施形態では、温度制御部38は、液滴トラップ30の蒸気流路形成管32、流路隔壁34を加熱する加熱装置として把握することができ、例えば蒸気トラップ30の表面温度に応じた信号を出力する図示しない温度センサの信号に基づいてフィードバック制御を行うことで、液滴トラップ30の蒸気流路形成管32、流路隔壁34の表面温度Tを上記範囲に保つ構成とされている。
【0031】
次に、第1の実施形態の作用を、蒸発させる液体が水である場合を例にして説明する。
【0032】
上記構成の蒸気発生装置10では、起動によりポンプ16、加熱部20、温度制御部38が作動される。すると、ポンプ16によって液体タンク14の水が蒸気発生部18に供給される。蒸気発生部18では、緩衝ガス流路26を経由して加熱部20からの熱供給を受けて、供給された水を蒸発させる。この水蒸気は、蒸気発生部18の蒸気出口18Bから排出され、蒸気流路36、液滴トラップ30を経て、例えば水蒸気消費装置に供給される。
【0033】
ところで、蒸気発生装置10では、図2に示される如く、蒸気発生部18内で突沸や圧力変動に伴い気化されない状態で水滴dが蒸気出口18Bから排出され、蒸気流路36内を飛翔する場合がある。
【0034】
ここで、蒸気発生装置10では、液滴トラップ30の微細流路30Aの代表直径Dtが水滴dの粒子径Dd以下であり、液滴トラップ30を構成する蒸気流路形成管32内を多数の微細流路30Aに区画する流路隔壁34及び蒸気流路形成管32の表面温度Tが160℃≦T≦300℃であるため、蒸気流路36を飛翔して液滴トラップ30の上流端30Bに至った水滴dは、蒸気膜を介して液滴トラップ30の上流端30Bに捕獲される。すなわち、下流側への液体状態での排出(蒸気消費装置への供給)が禁止される。
【0035】
そして、液滴トラップ30を構成する流路隔壁34の表面温度Tが図6の温度領域Bに相当する温度に管理されるため、換言すれば、水滴dが狭義のライデンフロスト現象を生じる温度に流路隔壁34の表面温度が管理されているため、水滴dは、蒸気膜の不安定性によっていくつかに分裂したりダンスをするような挙動を示し、液滴トラップ30の上流端30B面上や流路隔壁34間を移動しつつ、流路隔壁34を経由した温度制御部38からの熱供給によって徐々に蒸発される。特に、液滴トラップ30は、蒸気流れ方向の上流端30Bを重力方向の上側に向ける姿勢で配置されているため、例えば蒸気流れ方向が水平方向に沿うように配置された構成のように水滴dを蒸気流路36の重力方向下側に逃がすことなく、確実に捕獲して蒸発させることができる。
【0036】
このように、第1の実施形態に係る蒸気発生装置10では、微細な粒子径を有する液滴(水滴)dを効果的に捕獲して蒸発させることができる。これにより、液滴dは完全に気化され、蒸気消費装置に液滴が供給されてしまうことを効果的に防止することができる。
【0037】
また、蒸気発生装置10では、液滴トラップ30の表面温度Tの上限がライデンフロスト温度以下に管理されているため、水滴dが液滴トラップ30の上流端30B上でスフェロイド状態に遷移することが防止される。これにより、液滴トラップ30で捕獲された水滴dは液滴トラップ30の上流端30B上面に沿って移動したり、ダンスをするように移動したりして、特定の微細流路30Aの蒸気流れを阻害することがない。このため、蒸気流路の一部を成す液滴トラップ30に局所的な低温部が生じたり、多数の微細流路30Aでの蒸気濃度のムラが生じたりすることが防止される。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態に係る蒸気発生装置50について、図7及び図8に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態と基本的に同一の部品・部分には、上記第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略し、また図示を省略する場合がる。
【0039】
図7には、蒸気発生装置50の概略全体構成が模式図にて示されている。この図に示される如く、蒸気発生装置50は、蒸気発生器12に代えて、蒸気発生部18と加熱部20との間にスーパヒート部52を挟み込んだ蒸気発生器54を備える点で、第1の実施形態に係る蒸気発生装置10とは異なる。以下、具体的に説明する。
【0040】
蒸気発生装置50は、蒸気発生部18の蒸気出口18Bとスーパヒート部52の蒸気入口52Aとを連通するためのUターン流路56Aを形成するUターン流路部材56を備えている。図8に示される如く、スーパヒート部52は、第1の実施形態における緩衝ガス流路26と同様に、加熱部20から該スーパヒート部52自体及び蒸気発生部18への伝熱経路としても機能する多数の隔壁28にて、スーパヒート蒸気流通管58の内部空間が微細なスーパヒート蒸気ガス流路58Aに区画されて構成されている。
【0041】
そして、この実施形態では、スーパヒート部52における蒸気入口52A(上流端側の少なくとも一部)が液滴トラップ30とされている。具体的には、スーパヒート蒸気ガス流路58Aの代表直径Dtは、蒸気発生部18を構成する微細流路18Aの代表直径De以下とされており、また、Uターン流路部材56を飛翔する液滴dの粒子径Dd以下に設定されている。
【0042】
さらに、スーパヒート部52は、蒸気流れ方向の上流端である蒸気入口52Aが重力方向の上側を向く姿勢で配置されている。そして、この実施形態における加熱部20は、スーパヒート蒸気流通管58、隔壁28の表面温度を上記した所定温度Tl以上で、かつ別途所定温度Tu以下(Tl≦T≦Tu)に保つように構成されている。
【0043】
したがって、蒸気発生装置50では、蒸気発生器54に液滴トラップ30が一体的に組み込まれており、かつ加熱部20が温度制御部38を兼ねて構成されているもの把握することができる。蒸気発生装置50における他の構成は、蒸気発生装置10の対応する構成と同じである。
【0044】
したがって、第2の実施形態に係る蒸気発生装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る蒸気発生装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。すなわち、蒸気発生装置50では、微細な粒子径を有する液滴を効果的に捕獲して蒸発させることができる。
【0045】
また、蒸気発生装置50では、主にスーパヒート部52の蒸気入口52A(蒸気流れ方向の上流端面)を液滴トラップ30として用いたので、部品点数を増加することなく、液滴トラップ30を構成することができる。これにより、蒸気発生装置50では、蒸気発生装置10と比較してコンパクトに構成することが可能になる。
【0046】
なお、上記した第2の実施形態では、加熱部20が液滴トラップ30の温度制御(管理)を行う例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、加熱部20とは独立した温度制御部38にて液滴トラップ30(例えばスーパヒート部52の上流端側の一部)の温度制御を行うようにしても良い。
【0047】
また、上記した第2の実施形態では、液滴トラップ30がスーパヒート部52に一体的に設けられた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、スーパヒート部52とは別体の液滴トラップ30を該スーパヒート部52の蒸気入口52A上に設けた構成としても良い。この構成では、代表直径Dtをスーパヒート部52の長さや代表直径(隔壁28の配置)とは独立して設定することができる。
【0048】
さらに、上記した各実施形態では、液滴トラップ30の代表直径Dtが液滴dの粒子径Dd以下である例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、液滴トラップ30の代表直径Dtが液滴dの粒子径Ddと同等以上である構成としても良い。この場合でも、流路隔壁34の表面温度を狭義のライデンフロスト現象を生じる温度領域B内に管理することで、液滴dは、単に液滴トラップ30を通過してしまうことなく、流路隔壁34上を転がったりダンスしたりしながら徐々に蒸発される。この場合、流路隔壁34の延在方向(微細流路30Aの蒸気流れ方向)は、重力方向に対し傾斜させても良く、水平方向にしても良い。
【0049】
またさらに、上記した各実施形態では、蒸気流路形成管32が流路隔壁34にて多数の微細流路30Aに区画されて蒸気トラップ30が構成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、蒸気出口18Bに接続された蒸気排出ラインに網状の流路区画体にて多数の微細流路(流れ方向に短い流路)に区画するようにしても良い。
【0050】
また、上記した各実施形態では、微細流路30Aが矩形状流路を成すように平板状(格子状)の流路隔壁34を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、蒸気トラップ30は、ハニカム状に形成されても良く、多数の円筒パイプの外周面を接続した如く構成しても良い。これらの場合、蒸気流路36内を飛翔する液滴dが微細流路を通過しないように、該微細流路の代表直径を決めることが好ましい。
【0051】
さらに、上記した各実施形態では、蒸気発生器12、54が蒸気発生部18と20との間に緩衝ガス流路26、スーパヒート部52を挟み込んで構成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、液滴が生成される可能性のあるあらゆる蒸気発生器に本発明適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生装置の概略全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生装置を構成する液滴トラップを模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生装置を構成する液滴トラップの平面断面視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生装置を構成する液滴トラップの一部を拡大して示す平面断面視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る蒸気発生器を構成する蒸気発生器を模式的に示す斜視図である。
【図6】ライデンフロスト現象を説明するための線図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る蒸気発生装置の概略全体構成を示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る蒸気発生装置を構成する蒸気発生器を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
10 蒸気発生装置
12 蒸気発生器(蒸気発生部)
18 蒸気発生部
30 液滴トラップ(流路区画体)
34 隔壁(流路区画体)
38 温度制御部
50 蒸気発生装置
54 蒸気発生器(蒸気発生部)
【出願人】 【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【出願日】 平成19年2月5日(2007.2.5)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳


【公開番号】 特開2008−190785(P2008−190785A)
【公開日】 平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願番号】 特願2007−25732(P2007−25732)