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【発明の名称】 水冷媒熱交換器
【発明者】 【氏名】阿部 貴幸

【氏名】佐藤 元泰

【氏名】高橋 俊昭

【要約】 【課題】水管の出口側の高温加熱管内壁面に析出するスケール成分の付着を抑制させる水冷媒熱交換器を提供する。

【解決手段】水流路を構成する水管1と冷媒流路を構成する冷媒管2とを伝熱可能に密着させると共に、水の流通方向と冷媒の流通方向とを対向させた水冷媒熱交換器において、水管1の水出口8側には、水管1の水入口3側から流入してきた水を略垂直下方に流通させる直管部分を有した高温加熱管5と、高温加熱管5を流通した水を水出口8に導く導出管9と、高温加熱管5と導出管9とを連通させるスケール貯留体7とを設け、スケール貯留体7には、高温加熱管5及び導出管9の接続位置よりも低い位置に、スケールが堆積するスケール堆積部6を備えたので、高温加熱管5内壁面に析出するスケール成分はその自重と水流によりスケール貯留体7のスケール堆積部6に堆積され、高温加熱管5内壁面に析出するスケール成分の付着を抑制させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流路を構成する水管と冷媒流路を構成する冷媒管とを伝熱可能に密着させると共に、水の流通方向と冷媒の流通方向とを対向させた水冷媒熱交換器において、前記水管の水出口側には、前記水管の水入口側から流入してきた水を略垂直下方に流通させる直管部分を有した高温加熱管と、該高温加熱管を流通した水を水出口に導く導出管と、前記高温加熱管と前記導出管とを連通させるスケール貯留体とを設け、前記スケール貯留体には、前記高温加熱管及び前記導出管の接続位置よりも低い位置に、スケールが堆積するスケール堆積部を備えたことを特徴とする水冷媒熱交換器。
【請求項2】
前記導出管のスケール貯留体に対する接続位置の高さを、前記高温加熱管の接続位置以上としたことを特徴とする請求項1記載の水冷媒熱交換器。
【請求項3】
前記高温加熱管の流路断面積は、前記高温加熱管より上流側における水管の流路断面積より大きくしたことを特徴とする請求項1または2記載の水冷媒熱交換器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ式給湯機等に用いられる水冷媒熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯機用の水冷媒熱交換器においては、水温の上昇に伴い、水中に溶解しているスケール成分(例えば、炭酸カルシウム)が析出して、水が流通する水管内壁面に付着・蓄積することがあり、それにより水管壁面の伝熱性能が低下に伴う熱交換性能の低下や水管内の流路閉塞を引き起こす等の不具合があった。そこで水管の出口側であって水温がスケール成分が析出する温度(例えば、70℃)以上となる高温部分の水管の流路断面積を、当該部分より上流側における水管の流路断面積よりも大きくすることで、スケール成分に対する熱交換性能の低下を抑制し、水温がスケール成分が析出する温度以上となる高温部分の水管内の流路閉塞を抑制するものがあった。(特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2003−97898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来の水冷媒熱交換器では、水管の出口側であって水温がスケール成分が析出する温度以上となる高温部分は水平に設置されているので、当該部分の流路断面積を大きくしたとしても当該部分の水管内壁面に付着するスケール成分は排出されることなく蓄積し、熱交換性能が低下するおそれや水管内を閉塞するおそれがあり、長期の詰まり対策と言えるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、水流路を構成する水管と冷媒流路を構成する冷媒管とを伝熱可能に密着させると共に、水の流通方向と冷媒の流通方向とを対向させた水冷媒熱交換器において、前記水管の水出口側には、前記水管の水入口側から流入してきた水を略垂直下方に流通させる直管部分を有した高温加熱管と、該高温加熱管を流通した水を水出口に導く導出管と、前記高温加熱管と前記導出管とを連通させるスケール貯留体とを設け、前記スケール貯留体には、前記高温加熱管及び前記導出管の接続位置よりも低い位置に、スケールが堆積するスケール堆積部を備えたものとした。
【0005】
又請求項2では、前記導出管のスケール貯留体に対する接続位置の高さを、前記高温加熱管の接続位置以上であるものとした。
【0006】
又請求項3では、前記高温加熱管の流路断面積は、前記高温加熱管より上流側における水管の流路断面積より大きくするものとした。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、水管の出口側に、水管の水入口側から流入してきた水を略垂直下方に流通させる直管部分を有した高温加熱管を設けたことで、水温がスケール成分が析出する温度以上となる高温加熱管の管内壁面に析出するスケール成分をスケール成分の自重と水流により下方に押し流すことができ、さらに押し流されたスケール成分は、高温加熱管と導出管との間の熱交換に関与しないスケール貯留体のスケール堆積部に堆積されるので、高温加熱管内が析出したスケール成分により閉塞されるのを長期的に防ぎ、かつ高温加熱管のところでの熱交換性能の低下を抑制することができるものである。
【0008】
又請求項2によれば、導出管のスケール貯留体に対する接続位置の高さを、高温加熱管の接続位置以上としたことで、スケール貯留体内では水は導出管が接続された方向に向かって流れ、スケール成分はその自重からスケール堆積部の方向に流れるので、水の流れる方向とスケール成分の流れる方向を異ならせることができ、うまくスケール成分をスケール堆積部に堆積させることができるものである。
【0009】
又請求項3によれば、水温がスケール成分が析出する温度以上となる高温加熱管の流路断面積を、高温加熱管より上流側における水管の流路断面積より大きくしたことで、たとえスケール成分が高温加熱管の管内壁面に付着したとしても、高温加熱管内の水流路が閉塞してしまうまでの時間を長くすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を図1に基づき説明する。
この一実施形態では、ヒートポンプ式給湯機の二酸化炭素冷媒やフロン冷媒等の冷媒と貯湯タンクの水あるいは給水そのものとの間で熱交換する水冷媒熱交換器を例にとって説明するものである。
【0011】
1は水流路を構成する水管、2は冷媒流路を構成する冷媒管で、水管1は水管1の水入口3を有する螺旋状に巻回された螺旋状水管4と、螺旋状水管4を流通してきた水が略垂直下方に流通する直管部分を有した高温加熱管5と、高温加熱管5から押し流されてくるスケール成分を堆積させるスケール堆積部6を有したスケール貯留体7と、水管1の水出口8を有する導出管9とで構成される。
本実施形態では高温加熱管5の下流端部はスケール貯留体7の側面に接続され、導出管9はスケール貯留体7の上面に接続されているものであり、スケール成分を堆積させるスケール堆積部6は高温加熱管5の接続位置より低い位置の空間である。また、冷媒管2は冷媒管2の冷媒入口10及び直線状かつ冷媒が略垂直上方に流通する直管部分を有した高温冷媒管11と、冷媒管2の冷媒出口12を有する螺旋状に巻回された螺旋状冷媒管13とで構成されているものである。
【0012】
ここで、螺旋状水管4はつる巻き螺旋状に巻回され、その外側に螺旋状水管4の外周に伝熱可能に密着するように螺旋状冷媒管13がつる巻き螺旋状に巻回されて形成されており、高温冷媒管11は高温加熱管5に沿ってこの高温加熱管5の管軸と平行に伝熱可能に密着するように形成されているものである。冷媒と水との間には各管が二重の隔壁となり、何れか一方に万が一漏れが生じたとしても、他方に混じることがなく安全である。
【0013】
冷媒管2の冷媒入口10は、ヒートポンプ回路の冷媒圧縮機の出口(図示せず)と連通されており、圧縮機から吐出された冷媒は冷媒入口10から高温冷媒管11、螺旋状冷媒管13の順に流れ、給湯用の被加熱水は水入口3から螺旋状水管4、高温加熱管5の順に流れる。そのため、冷媒と水とが対向流で熱交換し、さらに伝熱可能に密着した螺旋状水管4と螺旋状冷媒管13のところでは同じ向きへ螺旋状に巻回されているため、冷媒と水との熱交換が連続的となるため熱交換効率が向上する。
【0014】
なお、螺旋状水管4は螺旋軸方向に扁平しており、螺旋状水管4同士の接触面積を少なくしつつ螺旋状冷媒管13と接触する面の伝熱面積を大きくしているものである。
【0015】
次に、この一実施形態の作用について説明すれば、水温がスケール成分(例えば、炭酸カルシウム)を析出する温度(例えば、70℃)以上となる部分には、水が略垂直下方に流通する直管部分を有した高温加熱管5を形成したことで、高温加熱管5の管内壁面に析出するスケール成分は水流とスケール成分自身の自重によりスケール貯留体7側に流されるので、高温加熱管5内が析出したスケール成分により閉塞されるのを長期的に防ぐことができるものである。さらに、高温加熱管5のところでの熱交換性能の低下を抑制することができるので、結果として従来品よりも製品寿命を増すことができるものである。ここで、高温加熱管5の下流端部はスケール貯留体7の側面に接続され、導出管9はスケール貯留体7の上面に接続されているので、スケール貯留体7内では、実線の矢印で示されるように水は導出管9が接続された方向に向かって流れ、スケール成分は点線の矢印で示されるようにその自重からスケール堆積部6の方向に流れるので、水の流れる方向とスケール成分の流れる方向を異ならせることができ、うまくスケール成分をスケール堆積部6に堆積させることができるものである。
【0016】
それに加えて、高温加熱管5の流路断面積は高温加熱管5より上流側の螺旋状水管4の流路断面積よりも大きくし、スケール付着許容量を増やしたので、たとえ高温加熱管5の管内壁面に析出するスケール成分が下方に押し流されずに付着したとしても、高温加熱管5内の水流路が閉塞してしまうまでの時間を長くすることができるものである。
【0017】
また、高温加熱管5と導出管9のスケール貯留体7に対する接続位置は、図1に示すようなスケール貯留体7の側面に高温加熱管5を接続し、スケール貯留体7の上面に導出管9を接続するものだけでなく、図2に示すようにスケール貯留体7の上面の別々のところに高温加熱管5及び導出管9を接続したり、図3に示すようにスケール貯留体7の側面で接続位置の高さが同じところに高温加熱管5及び導出管9を接続したりしてもよいが、導出管9のスケール貯留体7に対する接続位置の高さを、高温加熱管5の接続位置より高い位置にした方が、スケール成分はスケール成分自身の自重により下向きに流れ、水は上向きに流れ、水とスケール成分は互いに逆方向に流れることになるので、よりスケール成分をスケール堆積部6に堆積させることが可能となるものである。なお、高温加熱管5及び導出管9のスケール貯留体7に対する接続位置が高ければ高い程、スケール堆積部6の容積は大きくなるので、より多くのスケール成分を堆積させることができるものである。ここで、図2及び図3中の実線矢印と点線矢印は先に説明したように、実線矢印は水の流れを示し、点線矢印はスケール成分の流れを示すものとする。
【0018】
さらに、図4に示すようにスケール貯留体7の下部に、スケール堆積部6に堆積したスケール成分を排出するスケール排出口14と、このスケール排出口14に嵌合する凸状の着脱可能な蓋体15を設け、定期的に蓋体15を外しスケール堆積部6に堆積したスケール成分を排出・除去することで、高温加熱管5内の水流路が閉塞してしまうまでの時間をさらに長くすることができるものである。図4中の点線矢印は先に説明したように、スケール成分の流れを示すものとする。
【0019】
本発明は上記の一実施形態だけに限定されるものではなく、螺旋状水管4を内側にしその外側に螺旋状冷媒管13を螺旋状に巻回させる構成や、螺旋軸方向に螺旋状水管4と螺旋状冷媒管13を交互に重ねた二重螺旋状としてもよいものである。
【0020】
また、この一実施形態では高温加熱管5より上流側における水管1は螺旋状のものとしているが、この構造に限定されることなく、水管1と冷媒管2とが伝熱可能に密着して水を加熱可能な構成としていればよいものである。
【0021】
また、先に説明した水冷媒熱交換器はヒートポンプ式給湯機用としているが、例えばヒートポンプ式温水暖房機の水冷媒熱交換器としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態の水冷媒熱交換器の説明図。
【図2】本発明の他の実施形態の水冷媒熱交換器の説明図。
【図3】本発明の他の実施形態の水冷媒熱交換器の説明図。
【図4】スケール堆積部6よりスケール成分を排出・除去する状態の説明図で、 (a)蓋体15を締めた状態図。 (b)蓋体15を外した状態図。
【符号の説明】
【0023】
1 水管
2 冷媒管
3 水入口
5 高温加熱管
6 スケール堆積部
7 スケール貯留体
8 水出口
9 導出管
【出願人】 【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
【出願日】 平成19年2月5日(2007.2.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−190780(P2008−190780A)
【公開日】 平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願番号】 特願2007−25663(P2007−25663)