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【発明の名称】 復水器の据付工法
【発明者】 【氏名】五島 俊一

【氏名】松尾 義行

【氏名】秋葉 正

【要約】 【課題】タービン建屋の構造強度などを確保しつつ、管束モジュールの据付工期を短縮できること。

【解決手段】タービン建屋22に設置された復水器20に、伝熱管を備えた管束モジュール21を複数台据え付ける復水器の据付工法において、タービン建屋には、復水器から伝熱管を引き抜くための伝熱管引抜スペース23と、復水器を隔てて伝熱管引抜スペースの反対側に位置する反対側スペース24とが設けられ、この反対側スペースに対応してタービン建屋に形成された開口部40を通し、新規の管束モジュール21を反対側スペース24に吊り下げて搬入し、この新規の管束モジュール21を、復水器に設置された複数台の既設の管束モジュールのうちの一部を撤去して形成された空間43内に通過させて伝熱管引抜スペース23に搬送し、新規の管束モジュールを伝熱管引抜スペース23から復水器20の所望位置へ搬入し据え付けるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン建屋に設置された復水器に、伝熱管を備えた管束モジュールを複数台据え付ける復水器の据付工法において、
上記タービン建屋には、上記復水器から前記伝熱管を引き抜くための伝熱管引抜スペースと、上記復水器を隔てて上記伝熱管引抜スペースの反対側に位置する反対側スペースとが設けられ、
この反対側スペースに対応して前記タービン建屋に形成された開口部を通し、新規の管束モジュールを上記反対側スペースに吊り下げて搬入し、
この新規の管束モジュールを、前記復水器に設置された複数台の既設の管束モジュールのうちの一部を撤去して形成された空間内に通過させて前記伝熱管引抜スペースへ搬送し、
上記新規の管束モジュールを上記伝熱管引抜スペースから前記復水器の所望位置に搬入し据え付けることを特徴とする復水器の据付工法。
【請求項2】
前記新規の管束モジュールを、復水器内に設置されたレールを用いて移動させると共に、据付時には、上記レールに支持体を介して据え付けることを特徴とする請求項1に記載の復水器の据付工法。
【請求項3】
前記タービン建屋に設けられた伝熱管引抜スペース側の開口部内に、上記タービン建屋の天井クレーンに接続されたワイヤを通過させ、上記伝熱管引抜スペース内に搬入された新規の管束モジュールを、当該伝熱管引抜スペース内で上記天井クレーンにより吊り上げて段積みすることを特徴とする請求項1または2に記載の復水器の据付工法。
【請求項4】
前記復水器内に搬入された新規の管束モジュールの、伝熱管を支持する支え板を、上記復水器の胴体部に取り付けられた補強部材に固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の復水器の据付工法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の伝熱管を備えた管束モジュールを復水器内に搬入して据え付ける復水器の据付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の動向として、発電プラントに対して、定格出力割れの改善、熱出力一定運転、メンテナンス費の削減、事故によるプラント停止の予防等が要求されており、その対策として、プラント性能向上や劣化更新を実施していく必要がある。
【0003】
このような発電プラントにおいて、タービン設備を構成する機器の中に復水器がある。この復水器は、一般に、蒸気タービンで仕事を終えたタービン排気蒸気を海水と熱交換することによって凝縮し、凝縮後の復水を再生(予熱)して例えば原子炉等の蒸気発生器に戻すものであり、この復水器の構成の一例を図11及び図12に示す。
【0004】
復水器20は、蒸気タービン1に接続する連絡口4を備えた連絡胴体部2と,この連絡胴体部2に連通する本体胴体部3とを備えた構成になっている。
【0005】
連絡胴体部2は、蒸気タービン1からのタービン排気蒸気を本体胴体部3へ導くものである。この連絡胴体部2には、設置面積の有効活用を図るために、給水加熱器5や抽気管、復水管等の配管(図示せず)等が設置されている。
【0006】
一方、本体胴体部3は、両側に入口水室6と出口水室7を備えると共に、これらの入口水室6、出口水室7と本体胴体部3とをそれぞれ区画する入口側管板9、出口側管板10を備える。これらの入口側管板9及び出口側管板10は、複数本の伝熱管(細管)8の両端部を支持する。複数本の伝熱管8の両端部以外の中間部分は、複数枚の支え板11によって支持される。
【0007】
本体胴体部3は、複数枚の支え板11と複数本の伝熱管8を、群としてまとめて構成する管束12を収容するとともに、タービン排気蒸気を凝縮することで生成される復水を溜めるためのホットウェル13を底部に備えている。
【0008】
このような構成を備えた復水器20は、蒸気タービン1から流出したタービン排気蒸気を連絡胴体部2内で圧力を回復させ、本体胴体部3の管束12で熱交換して凝縮させた後、復水としてホットウェル13に集める。上記管束12を構成する伝熱管8内には、例えば海水などの冷却水が入口水室6から出口水室7へ向かって流れている。
【0009】
ところで、一般に、復水器20の伝熱管8としてはアルミニウム黄銅管が採用されているが、この場合、海水に対する耐食性が低いので、メンテナンスが大変であり、海水漏えいに対する信頼性が劣り、復水器真空度が低下する等の問題点がある。このため、伝熱管8として、海水腐食に対して優れたチタン管を採用することにより、メンテナンス性及び信頼性を向上させ、更に、復水器真空度を改善してタービンの熱落差を大きくし、出力を増大(性能向上)させたいという要求がある。この要求を満たすために、チタン製の伝熱管8に取り替える作業が必要となる。
【0010】
伝熱管8の取替工法においては、作業者の労力を低減し、かつ簡易・簡素にして短期に据付作業を実施できる復水器の据付工法が望まれており、例えば特許文献1に記載のように、管束12、入口側管板9及び出口側管板10を一体の構造物とした新規の管束構造体(管束モジュール)をタービン建屋に搬入し、復水器に据え付ける復水器の据付工法が提案されている。
【0011】
図13及び図14には、アルミニウム黄銅管製の伝熱管8を撤去した後の復水器20に、チタン管製の伝熱管8、支え板11、入口側管板9及び出口側管板9を一体構造とした管束モジュール21を搬入し据え付ける復水器の据付工法の一部が示されている。
【0012】
この復水器の据付工法では、タービン建屋22のオペレーションフロア22A上で天井クレーン41により管束モジュール21を吊り上げ、この管束モジュール21を、タービン建屋22に設けられた伝熱管引抜スペース23側の開口部14を通して、伝熱管引抜スペース23内に吊り下ろし搬入している。そして、この伝熱管引抜スペース23に搬入された管束モジュール21を復水器20の据付位置、つまり復水器20Aの据付位置A−1、A−2、復水器20Bの据付位置B−1、B−2、復水器20Cの据付位置C−1、C−2にそれぞれ搬入し据え付ける。
【特許文献1】特開2002−286378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように、発電プラントのタービン建屋22では、伝熱管引抜スペース23側に設けられた開口部14を通して、管束モジュール21を搬入している。この伝熱管引抜スペース23は、伝熱管8を復水器20から引き抜くためのスペースとして確保されているため、大口径配管や機器などが設置されておらず、十分な空間を有している。このため、新規の管束モジュール21を伝熱管引抜スペース23内に搬入しても干渉物が少なく、干渉物の撤去・復旧作業の作業期間を短縮でき、復水器の据付工期も全体として短縮できるメリットがある。
【0014】
ところが、タービン建屋22において伝熱管引抜スペース23側に開口部14が存在しない場合には、開口部14を新たに形成する必要があるが、タービン建屋22の構造強度や機器配置などの観点から、開口部14を新たに設置することが困難な場合がある。また、伝熱管引抜スペース23側に開口部14が存在しても、管束モジュール21の大きさによっては、この開口部14を拡大せざるを得ない場合があり、この場合、上述と同様な理由で、開口部14の拡大工事を実施することが困難な場合がある。
【0015】
このような場合には、タービン建屋22の構造強度などを十分に確保できることを前提として、伝熱管引抜スペース23の反対側に位置する反対側スペース24(図15)に設けられた開口部16を拡大するなどして有効活用するか、この開口部16が存在しない場合には新たに開口部を形成し、この開口部16を通して新規の管束モジュール21を吊り下ろし、反対側スペース24内へ搬入することになる。しかしながら、図15に示すように、タービン建屋22の反対側スペース24には、100A以上の大口径配管15などの干渉物が多く存在し、この反対側スペース24に新規の管束モジュール21を搬入する場合、それらの多くの干渉物を撤去し復旧させる作業期間が必要となるので、復水器の据付期間が長期化するという課題がある。
【0016】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、タービン建屋の構造強度などを確保しつつ、管束モジュールの据付工期を短縮できる復水器の据付工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、タービン建屋に設置された復水器に、伝熱管を備えた管束モジュールを複数台据え付ける復水器の据付工法において、上記タービン建屋には、上記復水器から前記伝熱管を引き抜くための伝熱管引抜スペースと、上記復水器を隔てて上記伝熱管引抜スペースの反対側に位置する反対側スペースとが設けられ、この反対側スペースに対応して前記タービン建屋に形成された開口部を通し、新規の管束モジュールを上記反対側スペースに吊り下げて搬入し、この新規の管束モジュールを、前記復水器に設置された複数台の既設の管束モジュールのうちの一部を撤去して形成された空間内に通過させて前記伝熱管引抜スペースへ搬送し、上記新規の管束モジュールを上記伝熱管引抜スペースから前記復水器の所望位置に搬入し据え付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タービン建屋の構造強度などを確保しつつ、管束モジュールの据付工期を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
[A]第1の実施の形態(図1〜15)
図1は、本発明に係る復水器の据付工法における第1の実施の形態を実施している状況を示すタービン建屋の側面断面図である。図2は、図1のタービン建屋の平面断面図である。本実施の形態において、図10〜図15に示す従来技術と同様な部分は同一の符号を付し、主要部以外の説明を省略する。
【0021】
図1及び図2に示すように、タービン建屋22には、複数台の復水器20(例えば復水器20A、20B)が一列に設置され、各復水器20内に、図4に示すように、管束モジュール21が水平方向に複数台据え付けられている。各管束モジュール21は、図6を用いて後に詳説するが、複数本の伝熱管8を備える。また、図2における符号A−1、A−2、B−1、B−2は、それぞれの管束モジュール21の据付位置を示す。
【0022】
この図2に示すように、タービン建屋22には、伝熱管引抜スペース23と、複数台の復水器20を隔てて上記伝熱管引抜スペース23の反対側に位置する反対側スペース24とが設けられている。伝熱管引抜スペース23は、各復水器20内に設置された既設の管束モジュール21から伝熱管8を引き抜くためのスペースである。この伝熱管引抜スペース23には、大口径の配管や機器などが設置されておらず、伝熱管8を引き抜くために十分な空間が確保されている。これに対し、反対側スペース24には、一般に大口径の配管15(図15参照)や機器などが設置されている。
【0023】
さて、上述の復水器20は、図6に示すように、蒸気タービン1に接続するための連絡口4を備えた連絡胴体部2と、この連絡胴体部2に連通する本体胴体部3とを有して構成され、蒸気タービン1からの排気蒸気やその他の流体が連絡胴体部2を経て本体胴体部3へ導かれる。この本体胴体部3には、外側に入口水室6、出口水室7が対向して配置されると共に、内側に複数本の伝熱管8が、入口水室6から出口水室7へ延在して配置されている。入口水室6には海水等の冷却水が供給され、この冷却水は、伝熱管8内を流れる間に上記排気蒸気等と熱交換し、この排気蒸気等を凝縮して復水とした後、出口水室7を経て排出される。
【0024】
複数本の伝熱管8の管配列の断面は例えばU字形状であり(図11参照)、これらの伝熱管8の両端部が入口側管板9、出口側管板10によりそれぞれ支持される。入口側管板9は、本体胴体部3と入口水室6とを区画し、また、出口側管板10は、本体胴体部3と出口水室7とを区画する機能を有する。複数本の伝熱管8の両端部以外の部分は、伝熱管8の管軸方向に所定間隔で配列された複数枚の支え板11により支持される。この支え板11は、支柱25により本体胴体部3の底板26等に支持される。
【0025】
これらの支え板11によって、自重による伝熱管8の過大な撓みが防止されると共に、排気蒸気等による伝熱管8の過大な振動が防止される。これら複数本の伝熱管8及び複数枚の支え板11が群としてまとめられて、管束12が構成される。更に、この管束12に入口側管板9及び出口側管板10を含めて、管束モジュール21が構成される。即ち、管束モジュール21は、複数本の伝熱管8、複数枚の支え板11、入口側管板9及び出口側管板10が一体に組立てられた構造体である。
【0026】
上述のように構成された復水器20において、新規の管束モジュール21を据え付けるために撤去する既設の管束モジュール21の撤去工事は、次のようにして実施する。
【0027】
図3及び図6に示すように、まず、入口水室6及び出口水室7を取り除き、次に、入口側管板9及び出口側管板10を取り除き、その後、伝熱管8を引き抜いて抜管する。この伝熱管8の抜管後に、支え板11を切断して除去すると共に、支柱25を切断して、長さの短い短支柱25Aと、長さの長い長支柱25Bを形成する。
【0028】
このようにして既設の管束モジュール21を撤去した後、図1に示すように、新規の管束モジュール21を復水器20内へ搬入させるための曳き込み架台27を、復水器20内に構築する。この曳き込み架台27の構築と相前後して、新規の管束モジュール21を復水器20へ搬送させるための曳き込み構台32を復水器20外に構築する。
【0029】
上記曳き込み架台27の構築は、図3及び図4に示すように、まず、複数本の第1架台枠材28を、伝熱管8の管軸方向に対し直交して配置し、上記短支柱25Aにて支持する。次に、複数本の第2架台枠材29を、伝熱管8の管軸方向に配置して、第1架台枠材28に格子状に組み付ける。その後、第2架台枠材29に敷板30を載置して、曳き込み架台27を復水器20内に構築する。上記第1架台枠材28及び第2架台枠材29は、型鋼などの鋼材である。この曳き込み架台27の敷板30に台車31(後述)を介して新規の管束モジュール21が載置されることで、台車31の駆動により、新規の管束モジュール21は復水器20内で移動され当該復水器20内に収容される。
【0030】
前記曳き込み構台32は、図5に示すように、複数本の支持脚33に長尺状の第1構台枠材34を複数本設置し、この第1構台枠材34に複数本の第2構台枠材35を、第1構台枠材34に直交して設置し、この第2構台枠材35に敷板36を設置して構成される。上記第1構台枠材34及び第2構台枠材35は、型鋼などの鋼材である。この曳き込み構台32の敷板36は、曳き込み架台27の敷板30と略同一高さに設定されている。曳き込み構台32の敷板36に台車31を介して新規の管束モジュール21が載置されることで、この台車31の駆動により、新規の管束モジュール21は曳き込み構台32上を復水器20へ向かって搬送される。
【0031】
上記台車31は、曳き込み架台27の敷板30または曳き込み構台32の敷板36上を移動可能なキャスタ37と、このキャスタ37に設置されたレベル調整可能な調整台38とを有して構成され、更に、キャスタ37を駆動するドライブユニット39を有して構成されるものもある。この台車31は、新規の管束モジュール21を載置して、曳き込み構台32の敷板36及び曳き込み架台27の敷板30上を連続して移動する。
【0032】
上記曳き込み構台32は、図1及び図2に示すように、タービン建屋22における伝熱管引抜スペース23及び反対側スペース24にそれぞれ設置される。伝熱管引抜スペース23内で曳き込み構台32は、平面視(図2参照)において、複数台の復水器20に接する略全領域に設置される。また、反対側スペース24内で曳き込み構台32は、平面視において、開口部40の直下位置から、この開口部40近傍の復水器20Bに設置された、当該開口部40近傍の管束モジュール21の据付位置B−1までの範囲に設置される。上記開口部40は、反対側スペース24に対応してタービン建屋22に形成されたものである。タービン建屋22における天井クレーン41にて支持されられた新規の管束モジュール21は、タービン建屋22のオペレーションフロア22A上から上記開口部40を通って吊り下ろされ、反対側スペース24内へ搬入される。
【0033】
尚、管束モジュール21の据付位置B−1とB−2とが、共に開口部40近傍である場合には、曳き込み構台32は反対側スペース24内で、平面視において、開口部40の直下位置から復水器20B内の管束モジュール21の据付位置B−2までの範囲に設置されてもよい。いずれの場合も、反対側スペース24内において曳き込み構台32は、開口部40から復水器20Bの据付位置B−1またはB−2までの範囲にのみに設置されることになるので、この範囲付近に存在する大口径配管15(図15参照)や機器のみを撤去し、他の配管等を撤去する必要はない。
【0034】
上述のように構成された曳き込み架台27、曳き込み構台32及び天井クレーン41等を用いて、新規の管束モジュール21を復水器20の所望の据付位置A−1、A−2、B−1、B−2…へ搬入し据え付ける据付手順を、図1及び図2を用いて次に説明する。
【0035】
タービン建屋22におけるオペレーションフロア22A上で天井クレーン41を用いて新規の管束モジュール21を吊り上げ、この管束モジュール21をタービン建屋22の開口部40を通して吊り下げて反対側スペース24内へ搬入し、この反対側スペース24内の曳き込み構台32に吊り下ろす。
【0036】
次に、上記新規の管束モジュール21を、反対側スペース24内の曳き込み構台32上で台車31を用いて移動させ、復水器20に設置された複数台の既設の管束モジュール21のうちの一部を撤去して形成された空間43内を通過させて、伝熱管引抜スペース23内へ搬送する。上記空間43は、タービン建屋22の開口部40近傍の復水器20Bに設置された、当該開口部40近傍の据付位置B−1に据え付けられた管束モジュール21を撤去して形成された空間である。新規の管束モジュール21は、上記空間43の下方の曳き込み架台27上を、台車31を用いて搬送されて、伝熱管引抜スペース23の曳き込み構台32上へ導かれる。
【0037】
次に、伝熱管引抜スペース23に至った新規の管束モジュール21を、当該伝熱管引抜スペース23の曳き込み構台32上で、台車31を用いて方向転換し、所望の復水器20の所望の据付位置(例えば復水器20Aの据付位置A−1)へ搬送する。そして、この復水器20A内の据付位置A−1で、新規の管束モジュール21を、曳き込み架台27上において台車31を用いて搬入し、当該復水器20Aの据付位置A−1に収容し据え付ける。
【0038】
この新規の管束モジュール21の据付は、図4に示すように、曳き込み架台27の例えば第1架台枠材28に油圧ジャッキ44を設置し、この油圧ジャッキ44により管束モジュール21を持ち上げて台車31を取り外し、管束モジュール21の水平位置を調整した後、パイプなどの支持体45を長支柱25Bに固定し、油圧ジャッキ44を下降させて、新規の管束モジュール21を支持体45を介して長支柱25Bにより支持させて据え付ける。この管束モジュール21の据付後には、不要となった曳き込み架台27を復水器20から撤去するのが好ましい。
【0039】
同様にして、図1及び図2に示すタービン建屋22の開口部40を通して反対側スペース24内に吊り下ろした新規の管束モジュール21を、復水器20Bにおいて据付位置B−1の管束モジュール21を撤去して形成された空間43内を通過させて伝熱管引抜スペース23へ搬送し、所望の復水器20の据付位置A−2、B−2…へ順次搬送して据え付け、最後に据付位置B−1に搬入して据え付ける。
【0040】
ここで、新規の管束モジュール21が順次搬送された位置を、図1において符号P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7を用いて示し、図2において符号S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8を用いて示す。
【0041】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば次の効果(1)を奏する。
【0042】
(1)タービン建屋22の伝熱管引抜スペース23には、搬入する新規の管束モジュール21に対する干渉物(大口径配管15や機器など)が少なく、反対側スペース24には干渉物が多数存在するが、タービン建屋22の構造強度などの観点から、タービン建屋22における反対側スペース24側の開口部40を通して、新規の管束モジュール21を当該反対側スペース24に吊り下ろして搬入する。この場合、この搬入された新規の管束モジュール21を、上記開口部40近傍の復水器20Bにおける上記開口部40近傍の据付位置B−1に据え付けられた管束モジュール21を撤去して形成された空間43内に通過させて伝熱管引抜スペース23へ搬送し、この新規の管束モジュール21を上記伝熱管引抜スペース23内で方向変換して、所望の復水器20の据付位置に搬入し据え付ける。従って、タービン建屋22の反対側スペース24内で移動する新規の管束モジュール21の経路が、上記開口部40から復水器20Bの据付位置B−1における撤去空間43までの一律な経路となるので、この反対側スペース24における干渉物の撤去は上記経路付近で足り、このため、反対側スペース24における干渉物の撤去及び復旧作業を省力化できる。この結果、タービン建屋22の構造強度などを確保しつつ、管束モジュール21の据付工期を短縮できる。
【0043】
尚、上記実施の形態において、タービン建屋22に復水器20が1台に設置されている場合には、まず、新規の管束モジュール21をタービン建屋22の開口部40を通して吊り下ろし、反対側スペース24内に搬入する。次に、この反対側スペース24内に搬入された新規の管束モジュール21を、復水器20において開口部40近傍の据付位置に据え付けられた管束モジュール21を撤去して形成された空間内に通過させて、伝熱管引抜スペース23へ搬送する。そして、新規の管束モジュール21を伝熱管引抜スペース23内で方向変換して当該復水器の所望の据付位置に搬入して据え付ける。
【0044】
[B]第2の実施の形態(図7、図8)
図7は、本発明に係る復水器の据付工法における第2の実施の形態の一部を実施している状況を示し、(A)が復水器の一部及び曳き込み構台などを示す側面図、(B)が曳き込み構台などを示す平面図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0045】
この第2の実施の形態における復水器の据付工法が前記第1の実施の形態と異なる点は、復水器20内で既設の管束モジュール21を撤去した後、第1の実施の形態の曳き込み架台27に代えてレール構造物50を設置し、このレール構造物50を用いて新規の管束モジュール21を移動(搬送)させ、且つ据え付ける点である。
【0046】
つまり、レール構造物50は、図7及び図8に示すように、復水器20の本体胴体部3内において、複数本の支持構造物51に複数本のレール支持材52を水平方向に掛け渡し、このレール支持材52にレール53を、伝熱管8の管軸方向に沿い、且つ上記レール支持材52に直交して複数本設置して構成される。上記レール支持材52は、型鋼などの鋼材である。また、上記支持構造物51は、既設の管束モジュール21を支持した支柱25(図6)、またはこの支柱25を切断して形成された短支柱25A(図3)もしくは長支柱25Bであってもよい。
【0047】
新規の管束モジュール21の下部に取り付けられた台車54(図7)が、レール構造物50のレール53上を移動することで、当該新規の管束モジュール21は復水器20内で搬送される。このレール構造物50を利用して、曳き込み構台32から復水器20内のレール構造物50へ新規の管束モジュール21を搬送する際に、前方側の台車31のキャスタ37が復水器20の本体胴体部3に干渉する可能性がある。この場合には前方側の台車31を取り外し、後方側の台車31を駆動させて、当該新規の管束モジュール21を復水器20内へ搬入させる。
【0048】
また、新規の管束モジュール21をレール構造体50を用いて復水器20に据え付ける際には、レール構造体50の例えばレール支持材52またはレール53に油圧ジャッキ55を設置して新規の管束モジュール21を持ち上げ、台車54を取り外した後水平位置を調整し、レール53にパイプなどの支持体56を設置する。その後、油圧ジャッキ55による新規の管束モジュール21の持ち上げを解除して、当該新規の管束モジュール21を、支持体56を介してレール構造物50により支持させ据え付ける。尚、図8中の符号57は、復水器20のホットウェル13を覆うホットウェル天井板である。
【0049】
従って本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏する他、次の効果(2)を奏する。
【0050】
(2)新規の管束モジュール21を、復水器20内に設置されたレール構造物50のレール53上で移動させて復水器20内で搬送させ、据付時には、レール構造物50のレール53に支持体56を介して据え付ける。これらのことから、新規の管束モジュール21を復水器20内において搬送させるためのレール構造物50を、当該管束モジュール21の据付完了後に撤去せず、復水器20の構造物の一部とすることができる。この結果、新規の管束モジュール21の据付完了後に、管束モジュール21を復水器20内で搬送させるための大型の架台(例えば第1実施形態の曳き込み架台27等)を撤去する作業を無くすことができるので、管束モジュール21の据付工事を一層短縮できる。
【0051】
[C]第3の実施の形態(図9)
図9は、本発明に係る復水器の据付工法における第3の実施の形態の一部を実施している状況を示し、(A)がタービン建屋の一部側面断面図、(B)がタービン建屋の一部正面断面図である。本実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0052】
この第3の実施の形態の復水器の据付工法が前記第1の実施の形態と異なる点は、タービン建屋の反対側スペース24から復水器20の空間43を通過して伝熱管引抜スペース23内に搬入された新規の管束モジュール21を、この伝熱管引抜スペース23内でタービン建屋22の天井クレーン41により吊り上げて段積みし、所望の復水器20内へ搬入する点である。
【0053】
つまり、タービン建屋22に設けられた伝熱管引抜スペース23側の開口部、例えば中間組合せ弁用開口部60(図2、図9)内に、タービン建屋22の天井クレーン41におけるフック62に接続されて吊り下げられたワイヤ61を通過させ、このワイヤ61を用いて、伝熱管引抜スペース23内に搬入された新規の管束モジュール21を吊り上げ、この管束モジュール21を伝熱管引抜スペース23内の曳き込み構台32上で段積みする。そして、段積みされた1組の管束モジュール21を曳き込み構台32、曳き込み架台27及び台車31を用いて所望の復水器20の据付位置へ搬入し据え付ける。
【0054】
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏する他、次の効果(3)を奏する。
【0055】
(3)タービン建屋22に設けられた伝熱管引抜スペース23側の中間組合せ弁用開口部60内に天井クレーン41に接続されたワイヤ61を通過させ、このワイヤ61を用いて伝熱管引抜スペース23内に搬入された新規の管束モジュール21を吊り上げ段積みすることから、既設の設備(例えば天井クレーン41)を利用して管束モジュール21を段積みできる。従って、管束モジュール21の段積みのために、タービン建屋22への埋め込み金具の設置工事を伴うチェーンブロック63や、専用の揚重機などを使用する必要がないので、その分コストを低減できる。更に、上記チェーンブロック63等の設置・取外し作業が発生しないので、その分管束モジュール21の据付工期を短縮できる。
【0056】
[D]第4の実施の形態(図10)
図10は、本発明に係る復水器の据付工法における第4の実施の形態の一部を実施している状況を示し、(A)が復水器の一部正面断面図、(B)が図10(A)のX部における部分拡大平面図である。本実施の形態において、前記第1及び第2の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0057】
この第4の実施の形態の復水器の据付工法が前記第1及び第2の実施の形態と異なる点は、復水器20の据付位置に搬入された新規の管束モジュール21の、伝熱管8を支持する支え板11を、復水器20の本体胴体部3に取り付けられた補強部材としての補強鋼管70に固定して、支え板11を支持する点である。
【0058】
つまり、復水器20の本体胴体部3には、管束モジュール21における伝熱管8の管軸方向に沿って、この伝熱管8を支持する支え板11と同じ間隔で複数本の補強鋼管70が、本体胴体部3の高さ方向の複数箇所に固定して取り付けられている。新規の管束モジュール21を復水器20に据え付けるに際しては、当該管束モジュール21の支え板11と上記補強鋼管70とを、スリーブ71等を介し、溶接またはボルト締め、その他の方法で固定して結合する。
【0059】
従って、本実施の形態によれば、前記第1及び第2の実施の形態の効果(1)及び(2)の他、次の効果(4)を奏する。
【0060】
(4)復水器20内で新規の管束モジュール21を据え付ける際に、当該管束モジュール21の支え板11を、復水器20の本体胴体部3に取り付けられた補強鋼管70にスリーブ71を用いて溶接などにより固定して結合することから、この新規の管束モジュール21を復水器20の本体胴体部3に簡単且つ確実に支持することができる。この結果、施工性が良好となって、管束モジュール21の据付工期を短縮できると共に、管束モジュール21の支え板11の変形等を防止できるので、復水器20の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る復水器の据付工法における第1の実施の形態を実施している状況を示すタービン建屋の側面断面図。
【図2】図1のタービン建屋の平面断面図。
【図3】図1の復水器内に形成された曳き込み架台等を示す復水器の側面断面図。
【図4】図3のIV矢視図。
【図5】図1の復水器内に設置された曳き込み構台等を示し、(A)が側面図、(B)が平面図。
【図6】図1の復水器(既設)を概略して示し、(A)が側面図、(B)が正面図。
【図7】本発明に係る復水器の据付工法における第2の実施の形態の一部を実施している状況を示し、(A)が復水器の一部及び曳き込み構台などを示す側面図、(B)が曳き込み構台などを示す平面図。
【図8】図7の管束モジュールを据え付けた状態を示す図7のVIII矢視図。
【図9】本発明に係る復水器の据付工法における第3の実施の形態の一部を実施している状況を示し、(A)がタービン建屋の一部側面断面図、(B)がタービン建屋の一部正面断面図。
【図10】本発明に係る復水器の据付工法における第4の実施の形態の一部を実施している状況を示し、(A)が復水器の一部正面断面図、(B)が図10(A)のX部における部分拡大平面図。
【図11】従来の復水器を示す正面断面図。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面図。
【図13】従来の復水器の据付工法を実施している状況を示すタービン建屋の部分側面断面図。
【図14】図13の据付工法を実施している状況を示すタービン建屋の部分平面断面図。
【図15】タービン建屋における伝熱管引抜スペースの反対側に位置する反対側スペースを示すタービン建屋の部分平面断面図。
【符号の説明】
【0062】
1 蒸気タービン
8 伝熱管
9 入口側管板
10 出口側管板
11 支え板
20 復水器
21 管束モジュール
22 タービン建屋
23 伝熱管引抜スペース
24 反対側スペース
27 曳き込み架台
32 曳き込み構台
40 開口部
41 天井クレーン
43 空間
50 レール構造物
53 レール
56 支持体
60 中間組合せ弁用開口部
61 ワイヤ
70 補強鋼管(補強部材)
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
【出願日】 平成19年1月26日(2007.1.26)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100130731
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 修

【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦


【公開番号】 特開2008−185225(P2008−185225A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−16564(P2007−16564)