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【発明の名称】 多流体熱交換器およびその製造方法
【発明者】 【氏名】斎藤 真樹

【要約】 【課題】多数の偏平なチューブを互いに接触して並列すると共に、そのチューブの並列方向中間位置に仕切プレートを挿入した多流体熱交換器において、その製造が容易で且つ、全体を一体的にろう付けすることができる多流体熱交換器およびその製造方法の提供。

【構成】仕切プレート4を浅い皿状に形成すると共に、その外周にフランジ部4cを設け、そのフランジ部4cの両端をチューブプレート2のスリット5に嵌着する。そして仕切プレート4の凹陥部4aに皿状のカッププレート8の凹陥部8aが対向するように、両者が嵌着し、仕切プレート4及びカッププレート8の外面に隣接するチューブ1の外面が接触し、全体が一体的にろう付け固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する平坦な外面の一部が互いに接するように、多数の偏平なチューブ(1) が並列されると共に、各チューブ(1) の両端が一対のチューブプレート(2) のチューブ挿通孔(3) に挿通され、
各チューブ(1) の並列方向の中間に仕切プレート(4) が配置され、その仕切プレート(4) の両端がチューブプレート(2) のスリット(5) に挿通されてコア(6) を構成し、
そのコア(6) の外周がケーシング(7) で被嵌され、
前記仕切プレート(4) を境にその両側で、ケーシング(7) 内の一方側に第1流体が、他方側に第2流体が流通すると共に、前記チューブ(1) 内に第3流体が流通する多流体熱交換器において、
前記仕切プレート(4) は、外周にフランジ部(4c)を有する浅い皿状に凹陥して形成され、そのフランジ部(4c)の両端が前記一対のチューブプレート(2) の前記スリット(5) に嵌着され、
その仕切プレート(4) の凹陥部(4a)に、皿状のカッププレート(8) がその凹陥部(8a)を仕切プレート(4) の凹陥部(4a)に対向するようにして嵌着され、
前記仕切プレート(4) およびカッププレート(8) の外面が対向する前記チューブ(1) の外面の一部に接触して、全体が一体的にろう付け固定された多流体熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケーシング(7) が、コア(6) の両側部を被蔽する一対の第1プレート(7a)と、そのコア(6) の正面および裏面を被蔽する一対の第2プレート(7b)との組合体からなり、
前記仕切プレート(4) の両側に突起部(4d)が形成され、その突起部(4d)が前記一対の第2プレート(7b)のスリット(15)に嵌着された多流体熱交換器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記カッププレート(8) の長手方向両端にエア抜き用の欠切部(8b)が設けられた多流体熱交換器。
【請求項4】
請求項2の多流体熱交換器の製造方法において、
前記コア(6) を組み立てた後に、その外周にケーシング(7) を被嵌して全体を組み立てる工程と、その全体を外周から中心側に締結した状態で、一体にろう付けする工程と、を具備することを特徴とする多流体熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも三つの異なる流体間で熱交換を行う多流体熱交換器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一例として、船舶用のインタークーラとコンデンサとを一体化し、冷却水等の冷媒によりそれらの内部に流通する二種の高温ガスを同時に冷却する一体型の多流体熱交換器が知られている。この場合、多数のチューブを並列し、各チューブの両端を一対のタンクに連通させてコアを構成し、そのコアの中間部に仕切を設けると共に、コア外周をケーシングによって被嵌する。そしてタンクを介し、各チューブ内に冷却水を流通させると共に、仕切を挟んでその両側に第1の流体と第2の流体とを流通させ、夫々の流体を冷却水によって冷却することができる。
このような熱交換器において、よりコンパクトで且つ部品点数の少ない熱交換器として、コアを構成する各チューブを偏平な一対の溝型プレートを組合せて形成し、そのチューブ外面にディンプルを突設することにより、隣接するチューブ間をそのディンプル部分で接触させ、全体を一体的にろう付け固定した熱交換器が存在する。係る熱交換器は、各チューブ間のピッチを小さくすることができ、それにより放熱面積を大きくして熱交換を促進させることができる。
【0003】
図10〜図13の熱交換器は、その一例である。この熱交換器は、多数の偏平なチューブ1が並列され、その外面に突設されたディンプル13によって互いに接触し、各チューブ1の両端が一対のチューブプレート2のチューブ挿通孔3に挿通され、チューブ1の並列方向の中間に仕切プレート4が配置され、その両端がチューブプレート2のスリット5に図12の如く挿通されてコア6を構成する。そしてチューブプレート2にはタンク本体12aが被嵌され、それらによりタンク12を構成する。次に、仕切プレート4は平板状に形成され、その両側に仮介装体17が位置され、各仮介装体17の外面が隣接するチューブ1のディンプル13に接触する。各チューブ1は図12に示す如く、浅い溝状に形成された一対のプレートを逆向きに嵌着させたものからなり、各溝状プレートの外面にはディンプル13が突設されている。
【0004】
このように組み立てられたコア6は、チューブ1の並列方向両側から圧縮され、その圧縮状態で高温の炉内に挿入され、各部品間が一体的にろう付け固定される。次いでろう付けされたコアから仮介装体17が取り除かれる。次に、コア6の外周にケーシング7が被嵌される。ケーシング7は少なくとも2分割されたものからなり、それを組合せたものである。そして重ね合わせ部をティグ溶接等により溶接すると共に、その長手方向両端とチューブプレート2との間を一体的に溶接固定したものである。
なお、ケーシング7には図11に示す如く、仕切プレート4を挟んでその両側に一対づつの第1出入口パイプ9,第2出入口パイプ10が取付けられ、第1出入口パイプ9から第1流体が流通し、第2出入口パイプ10から第2流体が流通するものである。そしてタンク12に突設された第3出入口パイプ11を介し、各チューブ1内に第3流体が流通する。そしてその第3流体と第1流体との間、及び第2流体と第3流体との間に熱交換が行われるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにチューブ1が互いに接触したチューブピッチの小さな熱交換器であって、中間に仕切プレート4を有するものは、そのコア6の製造時に、前述の如く、一対の仮介装体17を必要としていた。これは平坦な仕切プレート4にチューブ1の外面を直接接触させることが、チューブプレートの製造上困難だからである。即ち、チューブ1の両端を挿通するチューブ挿通孔3のピッチは比較的短く、隣接するチューブ挿通孔3の孔縁間の距離Tはディンプル13の高さの二倍(図13)となる。この距離Tは、プレスによる穴加工の限度となる必要最小限に設定される。逆にいえば、距離Tをより小さくすると、プレス加工の際、隣接するチューブ挿通孔3の穴加工が互いに影響しあい、チューブ挿通孔3の精度を正確に保てないものである。この穴加工は、仕切プレート4の端部を挿通するスリット5と、隣接するチューブ挿通孔3とでも、同様の問題が生じ、それらの間隔もT以上とする必要がある。
【0006】
すると、平坦な仕切プレート4と隣接するチューブ1の外面との間に隙間が生じる。この隙間を放置したままろう付けのために各チューブ1間を両側から締結すると、チューブ1が変形し、ろう付けの信頼性を保てない。 即ち、チューブ1は一対の浅い溝状プレートからなるため、それを互い締結した状態でろう付けする必要がある。そして、各チューブ1はろう付け時に熱膨張し、その厚み方向にも膨張して変形するおそれがある。その変形防止のため、コア6の両側からそれらを締結状態でろう付けする必要がある。
【0007】
その仕切プレート4の両側に仮介装体17が存在すると、別の問題が発生する。即ち、ろう付け後に仮介装体17を取り外す必要がある。そして仮介装体17を取り外した後に、その外周に改めてケーシング7を被嵌し、ケーシング7とチューブプレート2との間その他を気密に溶接固定する必要があり、製造工数が多くなり面倒であった。
さらには仮介装体17を取り除いた部分に隙間ができ、第1流体及び第2流体がそこからバイパスされるおそれがあった。
そこで本発明は、係る問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、隣接する平坦な外面の一部が互いに接するように、多数の偏平なチューブ(1) が並列されると共に、各チューブ(1) の両端が一対のチューブプレート(2) のチューブ挿通孔(3) に挿通され、
各チューブ(1) の並列方向の中間に仕切プレート(4) が配置され、その仕切プレート(4) の両端がチューブプレート(2) のスリット(5) に挿通されてコア(6) を構成し、
そのコア(6) の外周がケーシング(7) で被嵌され、
前記仕切プレート(4) を境にその両側で、ケーシング(7) 内の一方側に第1流体が、他方側に第2流体が流通すると共に、前記チューブ(1) 内に第3流体が流通する多流体熱交換器において、
前記仕切プレート(4) は、外周にフランジ部(4c)を有する浅い皿状に凹陥して形成され、そのフランジ部(4c)の両端が前記一対のチューブプレート(2) の前記スリット(5) に嵌着され、
その仕切プレート(4) の凹陥部(4a)に、皿状のカッププレート(8) がその凹陥部(8a)を仕切プレート(4) の凹陥部(4a)に対向するようにして嵌着され、
前記仕切プレート(4) およびカッププレート(8) の外面が対向する前記チューブ(1) の外面の一部に接触して、全体が一体的にろう付け固定された多流体熱交換器である。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記ケーシング(7) が、コア(6) の両側部を被蔽する一対の第1プレート(7a)と、そのコア(6) の正面および裏面を被蔽する一対の第2プレート(7b)との組合体からなり、
仕切プレート(4) の両側に突起部(4d)が形成され、その仕切プレート(4) の突起部(4d)が前記一対の第2プレート(7b)のスリット(15)に嵌着された多流体熱交換器である。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2において、
前記カッププレート(8) の長手方向両端にエア抜き用の欠切部(8b)が設けられた多流体熱交換器である。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、請求項2の多流体熱交換器の製造方法において、
前記コア(6) を組み立てた後に、その外周にケーシング(7) を被嵌して全体を組み立てる工程と、その全体を外周から中心側に締結した状態で、一体にろう付けする工程と、を具備することを特徴とする多流体熱交換器の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多流体熱交換器は、コア6の中間に位置する仕切プレート4の凹陥部4aにカッププレート8が嵌着され、それらの外面が対向するチューブ1の外面の一部に接触して、全体が一体的にろう付け固定されるものであるから、コア6のろう付け時に従来の如く仮介装体を入れる必要がなく、各チューブ1の熱膨張に伴う変形を防止して、ろう付けの信頼性を向上し得る。即ち、従来の仮介装体を本発明の仕切プレート4とカッププレート8とで形成できる。
さらに、コア6の外周にケーシング7を被嵌した組立状態で、そのケーシング7と共に全体を一体にろう付け固定することができ、量産性の高い熱交換器を提供できる。
【0013】
上記構成において、ケーシング7を夫々一対の第1プレート7aと第2プレート7bとの組合体から形成し、仕切プレート4の両側に突起部4dを設け、その突起部4dを一対の第2プレート7bのスリット15に嵌着することができる。それにより、コア6とケーシング7との組み立てを容易とし且つ、両者の位置決めを行ってろう付けの信頼性を向上できる。
【0014】
上記構成において、仕切プレート4の長手方向両端にエア抜き用の欠切部8bを設けることができる。それにより、互いに嵌着されたカッププレート8と仕切プレート4とで形成される空間内のエアがろう付け時に膨張しても、それを外部に放出し、ろう付けの信頼性を確保できる。それと共に、使用中にそれらの内部に生じる結露等を容易に流下させることができる。
【0015】
上記構成の多流体熱交換器の製造方法において、コア6を組み立てた後に、その外周にケーシング7を被嵌して全体を組み立てる工程と、その全体を外周から中心側に締結した状態で一体的にろう付け固定する工程を設けることにより、各部品間の接続部を確実に接触した状態で全体を一体的にろう付け固定することができる。それにより、信頼性の高い多流体熱交換器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の熱交換器の一部破断正面図であり、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図1の III− III矢視断面図、図4は図3のIV−IV矢視断面図、図5は同熱交換器に用いられる仕切プレート4及びカッププレート8を互いに分離した状態を示す正面図、図6は同右側面図、図7は同平面図である。また、図8は同熱交換器の組み立て状態を示す正面図、図9は同右側面図である。なお、従来型熱交換器と同一部品には同一の番号を付し、構造の同一部分は説明の重複をできる限り省略する。
【0017】
この熱交換器において、従来技術と異なる点は仕切プレート4及びカッププレート8並びにケーシング7である。そして各チューブ1,タンク12は従来技術と同一であり、チューブ1は夫々浅い溝状の一対のプレートを逆向きにしたものからなり、その外面には夫々ディンプル13が突設されている。
仕切プレート4は図5〜図7に示す如く、略矩形の浅い皿状又は鍋状に凹陥して形成され、その外周にフランジ部4cが設けられている。また、そのフランジ部4cの上下両端の中央には突起部4eが突設されている。さらに仕切プレート4の両側には、そのフランジ部4cにおいてその上下両端位置及び中間位置に夫々突起部4dが突設されている。
【0018】
カッププレート8は、仕切プレート4の凹陥部4aの内周に整合する外周を有する皿状又は浅い鍋状に形成され、仕切プレート4の凹陥部4aとカッププレート8の凹陥部8aとが互いに対向するように両者が嵌着される。カッププレート8の上下両端には、図7に示す如く欠切部8bが形成されている。そして両者が嵌着された状態で、図1及び図2に示す如くチューブ1の並列方向中間位置に、それらが挿入され、カッププレート8の外面及び仕切プレート4の外面が隣接するチューブ1のディンプル13に接触する。そして仕切プレート4の上下両端の突起部4eは、図3及び図4の如くチューブプレート2のスリット5に嵌着する。また、チューブプレート2にはタンク本体12aの開口側が嵌着されてタンク12を構成し、コア6が組み立てられる。
【0019】
このようなコア6の外周に、ケーシング7が被嵌される。ケーシング7は図2に示す如く、コア6の両側部を被蔽する一対の第1プレート7aと、コア6の正面及び裏面を被蔽する一対の第2プレート7bとの組合体からなる。そして第2プレート7bの上下両端部及び中間部には、仕切プレート4の突起部4dに整合する位置に夫々スリット15が形成されている。そこで先ず、一対の第2プレート7bがコア6の正面および裏面に被嵌される。このときその上下両端は、チューブプレート2の外周に接触する。そして各スリット15に、仕切プレート4の突起部4dが嵌着する。次いで、一対の第1プレート7aがコア6の両側に嵌着する。このとき、第1プレート7aの内面が隣接するチューブ1のディンプル13に接触する。また、一対のタンク12には夫々第3出入口パイプ11が取付けられ、各第2プレート7bには仕切の両側に一対づつの第1出入口パイプ9,第2出入口パイプ10が取付けられる。
【0020】
このようにして各部品が全て組み立てられた後に、一対の第1プレート7a間が互いに圧縮されて各チューブ及び仕切プレート4,カッププレート8が接触状態で高温の炉内に挿入され、ろう材を介して各部品間が一体的に且つ気密及び液密にろう付け固定される。そして、図8及び図9に示す、熱交換器を完成する。
このような熱交換器は、一例として第3出入口パイプ11から各チューブ1内に第3流体として冷却水が流通し、一対の第2出入口パイプ10を介し仕切プレート4の図8において右側に第2流体が流通し、左側に一対の第1出入口パイプ9を介し第2流体が流通する。そして、第3流体と第1流体との間、第3流体と第2流体との間で熱交換されるものである。
なお、第1〜第3流体は上記の例に限るものではなく、適宜な流体を流通して互いに熱交換を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の熱交換器の一部破断正面図。
【図2】図1のII−II矢視断面図。
【図3】図1の III− III矢視断面図。
【図4】図3のIV−IV矢視断面略図
【図5】本熱交換器に用いられる仕切プレート4及びカッププレート8を僅かに分離させた状態を示す正面図。
【図6】同右側面図。
【図7】同平面図。
【0022】
【図8】同熱交換器の組み立て状態を示す正面図。
【図9】同右側面図。
【図10】従来型熱交換器のコア6の製造工程を示す説明図。
【図11】同側面図。
【図12】図10の XII− XII矢視断面図。
【図13】図10のXIII部拡大断面図。
【符号の説明】
【0023】
1 チューブ
2 チューブプレート
3 チューブ挿通孔
4 仕切プレート
4a 凹陥部
4c フランジ部
4d 突起部
4e 突起部
5 スリット
6 コア
【0024】
7 ケーシング
7a 第1プレート
7b 第2プレート
8 カッププレート
8a 凹陥部
8b 欠切部
9 第1出入口パイプ
10 第2出入口パイプ
【0025】
11 第3出入口パイプ
12 タンク
12a タンク本体
13 ディンプル
14 補強リブ
15 スリット
16 インナーフィン
17 仮介装体
【出願人】 【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美


【公開番号】 特開2008−64428(P2008−64428A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245923(P2006−245923)