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【発明の名称】 熱交換器
【発明者】 【氏名】清水 知史

【氏名】相川 英一

【要約】 【課題】伝熱管に鋼管を用い、安価で耐圧強度の高い熱交換器を提供する。

【構成】複数枚の伝熱フィンに伝熱管が伝熱的に貫通した熱交換器において、伝熱管は、炭素含有量が0.1%以下の炭素鋼から形成されるとともに、表面に防錆処理が施され、肉厚が伝熱管外径の5%以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管挿通孔を有し、所定間隔を存して並設されるとともに互いの隙間に熱交換空気を流通させる複数枚の伝熱フィンと、前記伝熱管挿通孔を通して前記伝熱フィンに貫通して設けられ、内部に熱交換媒体を導通させる伝熱管とを具備した熱交換器において、前記伝熱管は、炭素含有量が0.1%以下の炭素鋼から形成されるとともに、表面に防錆処理が施され、肉厚が伝熱管外径の5%以下であることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記伝熱管は、内周面に溝を形成するとともに、断面を楕円形状あるいは、これらを扁平にした扁平形状に形成し、前記伝熱管の短手方向を熱交換空気流と直交にして配設することを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器に係り、特にフィンチューブ型で伝熱管に炭素鋼を採用した熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機用の熱交換器として多数のフィンを、伝熱管が伝熱的に貫通してなるフィンチューブ型熱交換器が用いられ、一般に、このフィンチューブ型熱交換器の伝熱管に銅管が用いられ、フィンにはアルミニウム材が用いられている。
【0003】
コストダウンの観点から、伝熱管に銅管を用いることに替えて、鋼管を用いることが提案されているが(特許文献1、2)、鋼管の使用は熱伝導率が低下するため、普及していない。
【0004】
さらに、フィンチューブ型熱交換器の製造方法は、所定の枚数、所定間隔をもって積重ねられたフィンに銅製の伝熱管を挿入し、伝熱管の端部拡径部側からマンドレルを挿し込み、マンドレルの先端に設けられた拡管用ポンチによって伝熱管を拡管し、伝熱管をフィンのカラーに圧接させて行われている。この拡管工程では、伝熱管は降伏点が低く延性に富むことが求められるため、伝熱管には銅管が用いられ、降伏点が高く延性に劣る鋼管はほとんど採用されていない。
【0005】
しかし、近年、銅の価格高騰により、空気調和機の熱交換器に鉄系の伝熱管を用いることの必要性が高まり、また、冷媒が高圧化することにより、伝熱管に耐圧強度の高いものが要求されている。
【特許文献1】特開平4−288957号公報
【特許文献2】実開平6−30678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、伝熱管に鋼管を用い、安価で耐圧強度の高い熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明に係る熱交換器は、伝熱管挿通孔を有し、所定間隔を存して並設されるとともに互いの隙間に熱交換空気を流通させる複数枚の伝熱フィンと、前記伝熱管挿通孔を通して前記伝熱フィンに貫通して設けられ、内部に熱交換媒体を導通させる伝熱管とを具備した熱交換器において、前記伝熱管は、炭素含有量が0.1%以下の炭素鋼から形成されるとともに、表面に防錆処理が施され、肉厚が伝熱管外径の5%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る熱交換器によれば、伝熱管に鋼管を用い、安価で耐圧強度の高い熱交換器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る熱交換器について添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明に係る熱交換器の斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る熱交換器の側面を切起しを省略して示す概念図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係る熱交換器1は、所定ピッチで多数離間して配置される伝熱フィン2を、伝熱管3が伝熱的に貫通してなるフィンチューブ型である。
【0012】
伝熱フィン2は金属薄板例えばアルミニウム薄板製で、伝熱管3が伝熱的に貫通される挿通孔2aが、所定ピッチで長手方向に複数段かつ幅方向に複数列設けられ、さらに、伝熱フィン2の挿通孔2a間には、熱交換効率を向上させるための複数個例えば4個の切起し2b1からなる切起し群2bが設けられる。
【0013】
伝熱管3は断面形状が円形をなし、炭素含有量が0.1%以下の低炭素鋼から形成され、さらに、その表面に防錆処理が施されている。
【0014】
また、伝熱管3の肉厚は伝熱管3の外径の5%以下に設定される。
【0015】
図3はステンレス鋼、炭素鋼、銅および炭素含有率が0.1%以下の炭素鋼の荷重とひずみの相関線図であり、図3に示すように、炭素含有率が0.1%以下の炭素鋼は、一般の炭素鋼(炭素含有率がほぼ0.2%)、一般のステンレス鋼に比べ、銅に近い特性を示し、降伏点も低く伸びも大きく加工性に優れている。
【0016】
従って、熱交換器の伝熱管に炭素含有率が0.1%以下の炭素鋼を使用することにより、拡管作業が一般の炭素鋼管、一般のステンレス鋼管に比べ容易であり、製造コストを低減することができる。
【0017】
炭素含有率が0.1%を超えると、降伏点が高くなって延性が劣化するため、熱交換器の製造が容易ではなくなる。伝熱管3の肉厚が伝熱管3の外径の5%を超えると、熱伝導率が低下する。
【0018】
さらに、炭素含有量が0.1%以下の炭素鋼の素材に表面処理として亜鉛めっき等の防錆処理を施し、伝熱管の肉厚を伝熱管外径の5%以下にする。
【0019】
但し、伝熱管の内周面に溝を設ける場合は、肉厚は溝底の肉厚である。このような肉厚にすることにより、銅製伝熱管と同等の熱交換器率を維持できる。
【0020】
図4に示すように、伝熱管3は板材3の状態にて内面となる面に溝3cを設ける溝加工を施し、板材3を丸曲げ加工した後、図5に示すように、突合せ溶接して管状にするので、内周面形状できまる伝熱管の管内熱伝達率を向上させることができる。
【0021】
また、図6に示すように、熱交換器1の伝熱管3の断面形状を円形に替えて、熱交換器1Aの伝熱管3Aは扁平形状でもよく、あるいは図7に示すように、熱交換器1Bの伝熱管3Bは楕円形状でもよく、さらに、図8に示すように、熱交換器1Cの伝熱管3Cはこれらをより扁平に変形した楕円形状でもよい。これらの伝熱管3A、3B、3Cの短手方向を熱交換空気流と直交にして配設することにより、同一冷媒流路面積を確保しながら、円形状伝熱管に比べて空気抵抗を減じることができる。
【0022】
本実施形態に係る熱交換器は以下の工程により製造される。
【0023】
熱交換器の製造に先立ち、予め伝熱管3は製造しておく。例えば、図4に示すように、板材3oの状態にて内面に溝加工を施し、図5に示すように、突合せ溶接して円管を製造する。
【0024】
図9(a)に示す管挿入工程では、所定の枚数積重ねられたフィン2を作業棒ごと取出し、管挿入装置の設置場所に移動させ、作業棒を抜き、さらに、両端に支持板4を位置させ、U字形状の伝熱管3を挿入する。各フィン2間は挿通孔2aの周囲に形成されたカラー2cにより所定ピッチが保たれる。
【0025】
図9(b)、(c)に示すように、拡管工程では、支持板4を利用して、この支持板4に設けられたパイプ貫通孔4aより伝熱管3の端部拡径部3aを支持し、この端部拡径部3a側からマンドレルMを挿し込み、マンドレルMの先端に設けられた拡管用ポンチPによって伝熱管3を拡管し、伝熱管3をカラー2cに圧接させる。
【0026】
この拡管工程において、伝熱管3は炭素含有率が0.1%以下の炭素鋼を用いているので、一般のステンレス鋼に比べ、銅に近い特性を持ち、降伏点も低く伸びも加工性に優れ、拡管加工が容易になる。
【0027】
端部連通工程では、拡管工程後、伝熱管3の開放端部にU字形状の接続管3bを溶着して、各伝熱管3が蛇行状に連続するように接続される。
【0028】
本実施形態に係る熱交換器によれば、伝熱管は、炭素含有量が0.1%以下の炭素鋼から形成されるとともに、表面に防錆処理が施され、肉厚が伝熱管外径の5%以下であるので、安価で耐圧強度の高い熱交換器が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る熱交換器の側面を示す概念図。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱交換器に採用する伝熱管の炭素鋼の荷重とひずみの相関図。
【図4】本発明の一実施形態に係る熱交換器に採用する伝熱管に用いる炭素鋼板材の平面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る熱交換器に採用する伝熱管を一部切欠して示す斜視図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る熱交換器の側面を示す概念図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る熱交換器の側面を示す概念図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る熱交換器の側面を示す概念図。
【図9】(a)、(b)、(c)は本発明の一実施形態に係る熱交換器の製造方法を示す概念図。
【符号の説明】
【0030】
1…熱交換器、2…伝熱フィン、2a…挿通孔、2b…切起し群、2b1…切起し、2c…カラー、3…伝熱管、3a…端部拡径部、3b…接続管、3c…溝。
【出願人】 【識別番号】399023877
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一

【識別番号】100130731
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 修

【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦


【公開番号】 特開2008−64427(P2008−64427A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245859(P2006−245859)