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【発明の名称】 熱交換器及びその製造方法
【発明者】 【氏名】布施 俊明

【氏名】齋藤 正弘

【氏名】吉岡 洋明

【氏名】丸山 茂樹

【要約】 【課題】複数枚の接合板の接合部に設けられる流路に支障をきたすことなく、これらの接合板を確実に接合して熱交換器を製造できること。

【構成】流路3が形成された第1接合板1と、流路4が形成された第2接合板2とを複数枚接合して熱交換器を製造する熱交換器の製造方法において、接合板1、2をろう材5を用いて接合するろう付け接合と、接合板1、2を加圧機により一軸方向に加圧することによって接合する拡散接合と、接合板1、2をガスによる等方圧力の加圧により接合する高温等方加圧接合処理とを、少なくとも2種類組み合わせることで複数枚の接合板1、2を接合するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が形成された複数枚の接合板を接合して熱交換器を製造する熱交換器の製造方法において、
上記接合板をろう材を用いて接合するろう付け接合と、上記接合板を加圧機により一軸方向に加圧することによって接合する拡散接合と、上記接合板をガスによる等方圧力の加圧により接合する高温等方加圧接合処理とを、少なくとも2種類組み合わせることで複数枚の上記接合板を接合することを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項2】
前記複数枚の接合板をそれぞれ接合する複数の接合部のうち、一の接合部と他の接合部とで、ろう付け接合、拡散接合、高温等方加圧接合処理の組合せ種類を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
前記接合板における接合面の縁近傍にろう材を配置してろう付け接合を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項4】
前記接合板の接合面に凹凸模様が形成され、対向する上記接合板の上記接合面を、上記凹凸模様を交差させて押し当てることにより拡散接合を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項5】
前記接合板における接合面の縁近傍にインサート材を配置して拡散接合を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項6】
対向する前記接合板の両接合面間に配置されるろう材またはインサート材を、これらのろう材またはインサート材の粉体を噴射することにより形成することを特徴とする請求項1、2、3または5に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項7】
対向する前記接合板の両接合面のうち、一方の接合面の縁近傍に凸部を形成し、この凸部を他方の接合面に押し当てることにより拡散接合を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項8】
前記凸部は尖鋭形状のエッジ状凸部であり、このエッジ状凸部を他方の接合面に押し当て食い込ませることにより拡散接合を実施することを特徴とする請求項7に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項9】
前記凸部またはエッジ状凸部を、接合材の接合面をエッチング加工することにより、または上記接合材と同一材質の粉体を噴射することにより形成することを特徴とする請求項7または8に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項10】
流路が形成された複数枚の接合板を接合して製造された熱交換器において、
上記接合板をろう材を用いて接合するろう付け接合と、上記接合板を加圧機により一軸方向に加圧することによって接合する拡散接合と、上記接合板をガスによる等方圧力の加圧により接合する高温等方加圧接合処理とが、少なくとも2種類組み合わされて複数枚の上記接合板が接合され構成されたことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流路が形成された複数枚の接合板を接合して製造される熱交換器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流路等が形成された複数枚の接合板を接合して製造される熱交換器について、特許文献1に「一体型積層構造熱交換器」が、特許文献2に「積層型蒸発器」が、特許文献3に「積層式熱交換器」がそれぞれ開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の「一体型積層構造熱交換器」は、流路が形成された金属板を積層し、拡散接合により一体の積層構造に構成したものである。また、特許文献2に記載の「積層型蒸発器」は、エッチング加工された溝を有する複数枚のプレートを積層し、拡散接合にて構成したものである。更に、特許文献3に記載の「積層式熱交換器」は、流路が形成された流路プレートを複数枚積層し、ろう付け接合して構成したものである。
【特許文献1】特開2005−282951号公報
【特許文献2】特開2003−269882号公報
【特許文献3】特開2001−215093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2には、熱交換器としての効率を向上させるための流路構造について主に説明されており、その製造に関しては、拡散接合を用いることのみが記載されている。また、特許文献3には、同様に流路構造について主に説明されており、その製造に関しては、ろう付け接合を用いることのみが記載されている。
【0005】
ところが、複数枚の接合板を拡散接合し、あるいはろう付け接合する場合には、種々の課題があり、実際には接合板の接合面を確実に接合することは容易でない。
【0006】
例えば、拡散接合では、ホットプレスなどを用いた加圧が必要であり、特に、耐熱性の高い接合板の場合にはそれに応じた高い加圧力が必要となる。このため、接合板に形成された流路が変形したり、加圧力の高い大型のホットプレスが必要になる。更に、ホットプレスを用いて接合板に高加圧力を作用しても、接合板の接合面への加圧力の作用が不均一となって、接合性の劣る部分(未接合部)が生ずる場合がある。
【0007】
また、ろう付け接合の場合には、冶具による拘束や加圧力などが簡易的でよいが、ろう材の流出により、接合板に形成された流路が閉塞されたり、流路の形状が損なわれる恐れがある。特に、熱交換器の性能向上を目指して微細な流路を形成した場合には、ろう材による影響が著しい。また、高温・高圧の流体が流路に流れる熱交換器の場合には、接合板に高温での強度に優れる材料が使用されるが、この強度と比較してろう付け接合部の強度が劣り、熱交換器の耐熱性及び耐圧性が低下する恐れがある。また、ろう付け接合時のろう材の流れは、対向する接合面における隙間の影響が大きく、これらの接合面の全面に均一にろう材を流すことは容易でない。このため、ろう付け接合では、ろう材の流れ不良に起因する未接合部が発生し易い。
【0008】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、複数枚の接合板の接合部に設けられる流路に支障をきたすことなく、これらの接合板を確実に接合して熱交換器を製造できる熱交換器の製造方法、及びその製造方法により製造された熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換器の製造方法は、上述した課題を解決するために、流路が形成された複数枚の接合板を接合して熱交換器を製造する熱交換器の製造方法において、上記接合板をろう材を用いて接合するろう付け接合と、上記接合板を加圧機により一軸方向に加圧することによって接合する拡散接合と、上記接合板をガスによる等方圧力の加圧により接合する高温等方加圧(Hot Isostatic Pressing(以下HIPという。))接合処理とを、少なくとも2種類組み合わせることで複数枚の上記接合板を接合することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る熱交換器は、上述した課題を解決するために、上記接合板をろう材を用いて接合するろう付け接合と、上記接合板を加圧機により一軸方向に加圧することによって接合する拡散接合と、上記接合板をガスによる等方圧力の加圧により接合するHIP接合処理とが、少なくとも2種類組み合わされて複数枚の上記接合板が接合され構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数枚の接合板を、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理の少なくとも2種類を組み合わせて接合することから、各接合の長所を有効に活用し、短所を解消することで、複数枚の接合板の接合部に設けられる流路に支障をきたすことなく、これらの接合板の接合性を向上させて熱交換器を製造できる。例えば、ろう付け接合、拡散接合において低加圧力を作用することで流路に支障をきたすことがなく、また、HIP接合処理を高加圧力で実施することで、接合部に残存する未接合部やボイドを消滅させて接合部の接合性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0013】
[A]第1の実施形態(図1)
図1は、本発明に係る熱交換器の製造方法における第1の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図である。
【0014】
この第1の実施形態における熱交換器の製造方法は、表面に流路3が形成された第1接合板1と、表面に流路4が形成された第2接合板2とを交互に複数枚、例えば10枚ずつ合計20枚接合して熱交換器を製造するものである。これらの第1接合板1と第2接合板2の接合は、ろう付け接合、拡散接合、HIP(Hot Isostatic Pressing)接合処理の少なくとも2種類(本実施形態では全種類)を順次実施することにより実現される。
【0015】
上記第1接合板1及び第2接合板2は、ステンレス鋼製であり、種々の寸法の板材が使用されるが、本実施形態では、例えば一辺が約100mmの正方形状で、厚さが約5mmの板材が用いられる。また、上記流路3及び4は、例えば幅が約5mmで、深さが約2mmであり、ろう付け接合時にろう材の流入によって閉塞や詰まりなどの恐れがない程度の寸法である。
【0016】
上記ろう付け接合は、ろう材を用いて被接合部材を接合するものであり、面シール性に優れる。本実施形態におけるろう付け接合時に使用されるろう材5は、第1接合板1及び第2接合板2の材質(ステンレス鋼)を考慮して、ニッケル系のアモルファスシートが用いられる。このろう材5は、図1(A)に示すように、第1接合板1の流路3を除く表面である接合面6と、第2接合板2の裏面である接合面9との間に配置され、更に、第2接合板2の流路4を除く表面である接合面7と、第1接合板1の裏面である接合面8との間に配置される。
【0017】
このようにして第1接合板1、第2接合板2間にろう材5を配置した構造体を真空炉内で、例えば約1050℃に15分間程度保持して、第1接合板1と第2接合板2とをろう付け接合する。但し、このろう付け接合により接合面6と9間、接合面7と8間にそれぞれ形成されるろう付け接合部10には、ろう材が均一に流れずにろう不足が生じた部分(未接合部)や、ボイドが存在している部分がある。これらのろう不足部分及びボイドを消失させるために、前記拡散接合を次に実施する。
【0018】
この拡散接合は、被接合部材を加熱しながら加圧し、これらの被接合部材の接合面に原子拡散を生じさせて、上記接合面を接合するものである。この拡散接合では、通常、ホットプレスを加工機として用いて、被接合部材に一軸方向の加圧力を作用して接合する。本実施形態においては、図1(B)に示すように、ろう付け接合された第1接合板1と第2接合板2の接合体を、ホットプレスを用い、例えば約1000℃で30分間程度加熱しつつ、接合面6、7、8、9に対し垂直な一軸方向に約5MPaの圧力で加圧して、拡散接合を実施する。この拡散接合では、第1接合板1の接合面6、8、第2接合板2の接合面7、9と、ろう材5の表面、裏面との間で、これらの接合板1、2とろう材5とが拡散により均一化されて接合される。
【0019】
この拡散接合により接合面6と9間、接合面7と8間にそれぞれ形成される拡散接合部11のろう層は、拡散接合時の加圧力により薄くなり、このろう層内において、ろう付け接合部10に生じたろう不足による未接合部にろう材が流れ込み、且つろう付け接合部10内に残存したボイドも減少した状態となる。但し、この拡散接合においては、第1接合板1の流路3、第2接合板2の流路4が変形しないように加圧力が抑制されていることから、上記ろう不足による未接合部や残存ボイドをすべて消失させることは困難であり、これらを消失させるために、前記HIP接合処理を次に実施する。
【0020】
このHIP接合処理は、高温雰囲気下で被接合部材を、ガスによる等方圧力の加圧によって接合するものであり、高い等方圧力を加えることが可能である。本実施形態では、拡散接合部11により接合された第1接合板1と第2接合板2の接合体をHIP炉(不図示)内に収容し、例えば約1000℃で60分間程度を加熱しつつ、ガスにより約100MPaの等方圧力を作用して、HIP接合処理を実施する。このHIP接合処理により、第1接合板1と第2接合板2とは、接合面6と9間、接合面7と8間にそれぞれ形成されたHIP接合部12により接合される。
【0021】
このHIP接合処理では、ガスによる高い等方圧力が第1接合板1、第2接合板2及び拡散接合部11に作用するので、HIP接合部12内では、拡散接合部11内に存在したろう不足による未接合部及び残存ボイドを略完全に消失させることができる。これにより、第1接合板1と第2接合板2が冶金的に一体となり、これらの第1接合板1と第2接合板2の接合性を向上させることができる。
【0022】
また、このHIP接合処理では、ガスによる高い圧力が第1接合板1、第2接合板2に作用し、従って、このガス圧力が第1接合板1の流路3及び第2接合板2の流路4内にも作用するので、これらの流路3及び流路4の変形や損傷を防止することが可能となる。
【0023】
尚、HIP接合処理においては、一般に、接合されるべき接合部位の周囲を溶接等によりシールして、この接合部位にHIP接合処理時のガスが流入しないようにシール処理する必要がある。これに対し、本実施形態では、第1接合板1、第2接合板2間のろう付け接合部10はシール性が高く、拡散接合部11は更にシール性が高くなっているため、上述のシール処理を施すことなくHIP接合処理を実施することが可能となる。
【0024】
以上のように、第1接合板1と第2接合板2とをろう付け接合し、次に拡散接合し、その後HIP接合処理を実施して熱交換器を製造することから、次の効果(1)〜(3)を奏する。
【0025】
(1)複数枚の第1接合板1及び第2接合板2を、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理を順次実施することで接合することから、ろう付け接合部10及び拡散接合部11に生ずるろう不足による未接合部や残留ボイドをHIP接合処理において略完全に消失させることができる。この結果、第1接合板1と第2接合板2を確実に接合して、熱交換器を製造することができる。
【0026】
(2)ろう付け接合時及び拡散接合時には、第1接合板1及び第2接合板2に低加圧力が作用するため、第1接合板1の流路3及び第2接合板2の流路4に変形等を生じさせることがない。更に、HIP接合処理時には、ガスによる高い等方圧力が作用するものの、このガス圧が第1接合板1の流路3、第2接合板2の流路4にも作用するので、これらの流路3及び流路4が変形等することがない。これらのことから、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理の順次実施により製造された熱交換器の寸法精度を良好に確保できる。
【0027】
(3)ろう付け接合部10、拡散接合部11のシール性が良好であることから、HIP接合処理において、接合部位の周囲を溶接等によりシールするシール処理を省略して、熱交換器を製造することができる。
【0028】
[B]第2の実施形態(図2)
図2は、本発明に係る熱交換器の製造方法における第2の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図である。
【0029】
この第2の実施形態における熱交換器の製造方法は、表面に流路23が形成された第1接合板21と、表面に流路24が形成された第2接合板22とを交互に複数枚、例えば5枚ずつ合計10枚接合し、これら複数の接合部のうち、一の接合部と他の接合部とで、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理の組合せ種類を異ならせて熱交換器を製造するものである。尚、上記第1接合板21及び第2接合板22は、ニッケル基超合金製である。
【0030】
つまり、第1接合板21の流路23を除く表面である接合面26と、第2接合板22の裏面である接合面29とを接合する接合部を、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理を順次実施して形成する。また、第2接合板22の流路24を除く表面である接合面27と、第1接合板21の裏面である接合面28とを接合する接合部を、拡散接合、HIP接合処理を順次実施して形成する。
【0031】
その理由は次の通りである。第1接合板21の上記流路23は、例えば幅が約5mmで、深さが約2mmに形成されており、ろう付け接合時のろう材の流入によっても閉塞される恐れが少ない。このため、この流路23を臨む接合面26と第2接合板22の接合面29との最初の接合をろう付け接合としたのである。また、第2接合板22の上記流路24は、例えば幅が約5mmで、深さが約1mmに形成されており、ろう付け接合時のろう材の流入によって閉塞される恐れがある。このため、流路24を臨む接合面27と第1接合板21の接合面28との最初の接合を拡散接合としたのである。
【0032】
このようにして製造する熱交換器の製造手順は、まず、図2(A)に示すように、第1接合板21の接合面26と第2接合板22の接合面29との間に図示しないろう材(例えばニッケルろう)を介装し、これらを真空炉内で例えば約1120℃に10分間程度保持して、第1接合板21と第2接合板22とをろう付け接合する。このろう付け接合により、第1接合板21の接合面26と第2接合板22の接合面29との間にろう付け接合部30が形成される。
【0033】
次に、図2(B)に示すように、ろう付け接合により接合された上述の接合体を5層(但し、図2(B)では簡略して3層を示す)積層する。そして、この積層体を、ホットプレスを用いて、例えば約1120℃で30分間程度を加熱しつつ、接合面26、27、28、29に対し垂直な一軸方向に約10MPaの圧力で加圧して、拡散接合を実施する。この拡散接合により、第2接合板22の接合面27と、第1接合板21の接合面28との間に拡散接合部31が形成される。更に、第1接合板21の接合面26と第2接合板22の接合面29との間にも拡散接合が実施されて、上記ろう付け接合部30が、前記第1実施形態と同様にして拡散接合部33となる。
【0034】
その後、ろう付け接合及び拡散接合された接合体をHIP炉に収容し、例えば約1120℃で30分間程度を加熱しつつ、ガスにより約100MPaの等方圧力を作用してHIP接合処理を実施する。このHIP接合処理により、図2(C)に示すように、第1接合板21の接合面26と第2接合板22の接合面29との間、第2接合板22の接合面27と第1接合板21の接合面28との間にHIP接合部32がそれぞれ形成される。このHIP接合部32では、拡散接合部31、33に残存した未接合部やボイドなどの欠陥が略完全に消失して、第1接合板21と第2接合板22とを冶金的に一体化でき、これらの第1接合板21と第2接合板22との接合性が向上する。
【0035】
ここで、前述のような第1接合板21の接合面26と第2接合板22の接合面29との最初の接合、第2接合板22の接合面27と第1接合板21の接合面28との最初の接合を、ろう付け接合時のろう材により流路23、24が閉塞されるか否かの観点からではなく、その他の観点または理由によって、ろう付け接合と拡散接合のいずれかを選択してもよい。一例として、流路23、24を流れる流体の温度や圧力の違いにより、当該流路23、24近傍の接合部に要求される強度が異なるので、この強度の相違に応じて、接合面を接合する接合部の最初の接合をろう付け接合、または拡散接合のいずれかに選択してもよい。
【0036】
具体的には、流路23、24が共に、例えば幅約5mmで、深さが約2mmに形成されて、ろう付け接合時にろう材により閉塞される恐れがない場合であっても、例えば流路24に流れるガスの温度や圧力が高く、この流路24近傍の、接合面27と接合面28との接合部に高強度が要求される場合には、当該接合面27と接合面28との最初の接合を拡散接合とする。また、例えば流路23に流れるガスの温度や圧力が低く、この流路23近傍の、接合面26と接合面29との接合部に高強度が要求されない場合には、当該接合面26と接合面29との最初の接合をろう付け接合とすることができる。
【0037】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば次の効果(4)等を奏する。
【0038】
(4)複数枚の第1接合板21及び第2接合板22を接合し、一の接合部と他の接合部とでろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理の組合せ種類を異にして熱交換器を製造する。
【0039】
例えば、ろう付け接合でろう材の流入により閉塞される恐れがある流路24近傍の接合部は、最初の接合を拡散接合とし、ろう付け接合でろう材により閉塞される恐れが低い流路23近傍の接合部は、最初の接合をろう付け接合とする。従って、種々の形状の流路23、24を有する第1接合板21、第2接合板22を用いて熱交換器を製造することができる。
【0040】
また、温度、圧力が異なる流体を流す流路23、24近傍の接合部は、要求される強度が異なるので、この接合部に要求される強度に応じて、各接合部の最初の接合をろう付け接合または拡散接合に選択することで、種々の温度、圧力の流体を流す流路を備えた第1接合板21、第2接合板22を用いて熱交換器を製造することができる。
【0041】
その他、本実施形態における熱交換器の製造方法においても、第1接合板21と第2接合板22の接合を、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理の少なくとも2種類を組み合わせて実施し、ろう付け接合、拡散接合部は低加圧力で接合を実施するので、前記第1の実施形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏する。
【0042】
[C]第3の実施形態(図3)
図3は、本発明に係る熱交換器の製造方法における第3の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図である。
【0043】
この第3の実施形態における熱交換器の製造方法は、表面に流路43が形成された第1接合板41と、表面に流路44が形成された第2接合板42とを、交互に複数枚(図3では簡略して、第1接合板41と第2接合板42とを1枚づつ図示)接合して熱交換器を製造するものである。このうち、第1接合板41の流路43を除く表面である接合面46と、第2接合板42の裏面である接合面49とは、後述の如く設置されたろう材45を用いてろう付け接合された後、HIP接合処理されて接合される。尚、第2接合板42の流路44を除く表面である接合面47と、第1接合板41の裏面である接合面48との接合については特に限定されず、ろう付け接合、拡散接合、HIP接合処理を2種類以上を組み合わせてもよく、または単独で実施してもよい。
【0044】
ここで、上記第1接合板41及び第2接合板42は純銅製である。また、上記ろう材45は、純銅のろう付けに適する共晶銀ろうが用いられる。また、このろう材45は、図3(A)に示すように、ろう付け接合時に第1接合板41の接合面46における縁近傍、即ちこの接合面46において、流路43の両側及び第1接合板41の端面50付近に設置される。このろう材45は、シート状のものであってもよく、ペーストを塗布して形成してもよく、或いはコールドスプレーなどのように、ろう材粉末を高速噴射してコーティング法により形成してもよい。
【0045】
上述のろう付け接合は、第1接合板41の接合面46上に上記ろう材45を上述の如く設置し、このろう材45上に第2接合板42の接合面49を重ね合わせ、真空炉内で例えば約850℃に5分間程度を保持して、第1接合板41と第2接合板42とをろう付け接合する。このろう付け接合により第1接合板41の接合面46と第2接合板42の接合面49との間にろう付け接合部51が形成される(図3(B))。このろう付け接合では、ろう材45が流路43に流入して当該流路43を閉塞しないようにろう材量が必要最少量に減少されているので、上記ろう付け接合部51においては、ろう材45が設置された部分は好適にろう付け接合されるが、この設置部分から離れた箇所ではろう材量が不足してボイド52が生じやすい。このボイド52内は、ろう付け接合が真空炉内で実施されているので、真空となっている。
【0046】
このろう付け接合部51により接合された第1接合板41と第2接合板42との接合体を、次にHIP接合処理する。上記ろう付け接合部51は、第1接合板41の接合面46における縁近傍がろう材45によりシールされているため、HIP接合処理において接合部位の周囲を溶接等によりシール処理する必要がない。従って、HIP接合処理は、ろう付け接合部51にて接合された第1接合板41及び第2接合板42の接合体を、そのままHIP炉内に収容し、ろう材45が溶融しない温度、例えば約700℃に30分間程度保持しつつ、ガスにより約100MPaの等方圧力を作用して実施する。
【0047】
このHIP接合処理により、図3(C)に示すように、第1接合板41の接合面46と第2接合板42の接合面49との間にHIP接合部53が形成される。このHIP接合部53には、ろう付け接合部51に残存したボイド52や未接合部などの欠陥が消失して、第1接合板41と第2接合板42とを冶金的に一体化でき、従って、これらの第1接合板41と第2接合板42の接合性が向上する。
【0048】
ここで、本実施形態において拡散接合を省略した理由を述べる。本実施形態の第1接合板41及び第2接合板42は、熱伝導性に優れた純銅が使用され、この純銅は軟質材料である。また、この純銅への濡れ性が良好な共晶銀ろうが、ろう材45として使用されているので、ろう付け接合部51の厚さは数10μm以下となっている。これらのことから、ろう付け接合後、拡散接合をせずに直接HIP接合処理を実施しても、ろう付け接合部51内のボイド52や未接合部を十分に消失させることができるからである。
【0049】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果(5)及び(6)等を奏する。
【0050】
(5)第1接合板41における接合面46の縁近傍にろう材45が設置されて、第1接合板41と第2接合板42とがろう付け接合されたことから、必要最少量のろう材45を用いることで、流路43の閉塞を確実に防止でき、流路欠陥のない熱交換器を製造できる。
【0051】
(6)第1接合板41における接合面46の縁近傍にろう材45が設置されてろう付け接合されるので、ろう付け接合部51のシール性が高まり、シール性に優れた熱交換器を製造できると共に、HIP接合処理において、接合部位周囲のシール処理を省略して熱交換器を製造できる。
【0052】
その他、本実施形態における熱交換器の製造方法においても、第1接合板41と第2接合板42との接合をろう付け接合とHIP接合処理とを組み合わせて実施し、ろう付け接合時には低加圧力で接合を実施することから、前記第1の実施形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏する。
【0053】
[D]第4の実施形態(図4)
図4は、本発明に係る熱交換器の製造方法における第4の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図である。
【0054】
この第4の実施形態における熱交換器の製造方法は、表面に流路63が形成された第1接合板61と、表面に流路64が形成された第2接合板62とを交互に複数枚、例えば5枚ずつ合計10枚接合して、熱交換器を製造するものである。このうち、第1接合板61の流路63を除く表面である接合面66と、第2接合板62の裏面である接合面69とは、拡散接合、HIP接合処理を順次実施して接合する。尚、第2接合板62の流路64を除く表面である接合面67と、第1接合板61の裏面である接合面68との接合については特に限定しないが、接合面66と接合面69の接合の場合と同様に実施するのが好ましい。
【0055】
ここで、第1接合板61及び第2接合板62の接合により製造される熱交換器が高温高圧ガスを流すものである場合には、上記第1接合板61及び第2接合板62は高強度が要求されるので、例えば酸化物分散強化型の鉄系合金が用いられる。また、同様の理由から、第1接合板61と第2接合板62との接合部にも高強度が要求されるため、これらの第1接合板61と第2接合板62との接合にはろう付け接合が採用されず、最初の接合として拡散接合が実施される。また、上記第1接合板61及び第2接合板62は、種々の形状のものが用いられるが、本実施形態では、例えば一辺が約200mmの正方形状で、厚さが約2mmの板材が用いられる。
【0056】
上述の拡散接合は、第1接合板61と第2接合板62とを重ね合わせ、真空雰囲気下でホットプレスを用い、例えば約1000℃で30分間程度加熱しつつ、接合面66、67、68、69に対し垂直な一軸方向に約30MPaの等方圧力を作用して実施する。この拡散接合により、図4(A)に示すように、対向する第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間に拡散接合部70が形成される。第1接合板61と第2接合板62とが比較的大面積であることから、上記拡散接合部70にはボイド(もしくは未接合部)72が残存し易い。拡散接合が真空雰囲気下で実施されるので、上記ボイド内は真空となっている。
【0057】
その後、拡散接合部70により接合された第1接合板61及び第2接合板62の接合体をHIP炉に収容し、例えば約1000℃で60分間程度加熱しつつ、ガスによる約100MPaの等方圧力を作用してHIP接合処理を実施する。このHIP接合処理により、図4(B)に示すように、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間にHIP接合部71が形成される。このHIP接合部71では、拡散接合部70に残存したボイド72等の欠陥が消失して、第1接合板61と第2接合板62とを冶金的に一体化でき、従って、これらの第1接合板61と第2接合板62との接合性が向上する。
【0058】
また、上記HIP接合処理においても、第1接合板61の流路63、第2接合板62の流路64は、内部にガスが満たされるので、高い加圧力によっても変形することがない。更に、拡散接合部70はシール性が良好に確保されているので、HIP接合処理の実施に際し、接合部位を溶接等でシール処理する必要がなく、拡散接合後直ちにHIP接合処理を実施することができる。
【0059】
上記拡散接合部70のシール性を更に高める方法として、例えば次の二つがある。
【0060】
一つは、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69に、図5に示すような凹凸模様73を、例えば機械加工またはエッチング加工等によって形成し、これらの凹凸模様73を交差させるようにして、上記接合面66と接合面69とを押し当て拡散接合する方法である。上記凹凸模様73は、凹部及び凸部のそれぞれが直線状に延在して形成されている。
【0061】
接合面66と接合面69の各凹凸模様73が平行となるように配置して拡散接合を実施すると、拡散接合部70に発生するボイド72は、凹凸模様73の方向に延びた形態になりやすく、第1接合板61、第2接合板62において、凹凸模様73の延在方向に対向する一対の端面74に露出して、拡散接合部70のシール性が低下してしまう。この状態でHIP接合処理を実施しても、HIP接合処理の使用ガスがボイド72の内部に露出部から侵入して、このボイド72を加圧により消失させることができない。
【0062】
これに対し、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69とを拡散接合させる際に、これらの接合面66と接合面69のそれぞれの凹凸模様73を互いに交差させた場合には、交差した各接合部分は押し潰されることで互いに接近し、各接合部分に生ずるボイド72の露出部分を閉塞するので、ボイド72の形態は閉じたものになり易い。この結果、拡散接合部70のシール性が高まり、その後のHIP接合処理により上記ボイド72を確実に消失させることが可能となる。
【0063】
拡散接合部70のシール性を更に高める他の方法は、拡散接合時に、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間にインサート材(不図示)を介装させる方法である。この場合、インサート材の使用量を低減つつ、且つ拡散接合部70のシール性を高めるために、当該インサート材を第1接合板61の接合面66における縁近傍、つまり当該接合面66において、流路63の両側及び第1接合板61の端面74付近に設置する(図3(A)参照)。このようにインサート材を設置することで、第1接合板61と第2接合板62との拡散接合部70のシール性を向上させ、その後のHIP接合処理において、拡散接合部70内のボイド72を確実に消失させることが可能となる。
【0064】
なお、上記インサート材は、第1接合板61の接合面62にシート状のものを設置してもよく、ペースト状のものの塗布してもよく、或いはインサート材の粉末を高速噴射させてコーティング法により形成してもよい。
【0065】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果(7)〜(9)等を奏する。
【0066】
(7)第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69とを拡散接合して、シール性の良好な拡散接合部70を形成した後にHIP接合処理を実施して、上記接合面66と接合面69とを接合している。第1接合板61及び第2接合板62が高強度材料から構成されている場合、拡散接合のみで上記接合面66と接合面69とを接合しようとすると、高い加圧力が必要となるので、第1接合板61の流路63及び第2接合板62の流路64等を変形させる恐れがある。しかし、拡散接合を低加圧力で実施し、その後、流路63及び流路64等を変形させる恐れがないHIP接合処理を高い加圧力で実施して、拡散接合部70内の残存ボイド72等を消失させるので、流路の寸法精度を確保しつつ、接合面66と接合面69、ひいては第1接合板61と第2接合板62とを確実に接合させた熱交換器を製造することができる。
【0067】
(8)第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69とに凹凸模様73を形成し、これらを互いに交差させた状態で接合面66と接合面69とを拡散接合させた場合には、拡散接合部70に生ずるボイド72を閉塞させたものとすることができるので、当該拡散接合部70のシール性が優れたものとなる。従って、その後に実施するHIP接合処理によって上記ボイド72等を確実に消失させることができるので、接合面66と接合面69、ひいては第1接合板61と第2接合板62とを確実に接合させた熱交換器を製造することができる。
【0068】
(9)第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間にインサート材を介装して拡散接合させた場合にも、拡散接合部70のシール性を高めることができる。特に、インサート材を接合面66の縁近傍に設置することで、インサート材の使用量を低減しつつ、拡散接合部70のシール性を高めることができる。
【0069】
その他、本実施形態においても、HIP接合処理の前に第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間にシール性の良好な拡散接合部70が形成されているので、前記第1の実施形態の効果(3)と同様な効果を奏する。
【0070】
[E]第5の実施形態(図6)
図6は、本発明に係る熱交換器の製造方法における第5の実施形態の接合板を一部切欠いて示す分解側面図である。この第5の実施形態において、前記第4の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0071】
この第5の実施形態においても、前記第4の実施形態と同様に、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69とを拡散接合した後、HIP接合処理を実施して、複数枚の接合板61及び接合板62から熱交換器を製造する。但し、この第5の実施形態においては、拡散接合を実施する第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69のうち、接合面66の縁近傍に凸部80が形成されている。つまり、この凸部80は、第1接合板61の接合面66において、流路63の両側及び第1接合板61の端面74付近に形成されている。
【0072】
上記凸部80は、第1接合板61を機械加工することによって形成してもよく、或いは第1接合板61において凸部80以外の部分を化学的にエッチング加工し減肉させて形成してもよい。または、第1接合板61の接合面66に、この第1接合板61と同一材質の粉末を高速噴射させるコールドスプレー等のコーティング法を用いて、上記凸部80を形成してもよい。この凸部80は、例えば幅が約0.5〜1.0mmで、高さが約0.1〜0.5mmに形成される。
【0073】
上記凸部80を備えた第1接合板61の接合面66と、第2接合板62の接合面69とを拡散接合すると、凸部80が接合面69に押し当てられて拡散接合される。従って、この拡散接合によって接合面66、69間に形成される図示しない拡散接合部は、シール性、特に凸部80が設置された部分のシール性が高いものとなる。
【0074】
また、第1接合板61における接合面66の片側の幅Wが例えば約10mmであり、凸部80の幅Mが例えば0.5mmのときには、第1接合板61の凸部80が第2接合板62の接合面69に当接する面積は、上記接合面66が上記接合面69に当接する面積に比べて1/10となる。従って、上記凸部80が上記接合面69に拡散接合する場合には、上記接合面66が上記接合面69に直接拡散接合する場合に比べて、第1接合板61及び第2接合板62に作用する荷重(加圧力)が1/10となる。この結果、第1接合板61の流路63及び第2接合板62の流路64の変形を抑制することが可能となる。
【0075】
上述のようにして拡散接合された第1接合板61及び第2接合板62を次にHIP接合処理する。このHIP接合処理によって、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間で、上記拡散接合部が図示しないHIP接合部となる。上記拡散接合部のシール性が良好であることから、HIP接合処理では、拡散接合部内のボイド(不図示)等が確実に消失して、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との接合性が向上する。
【0076】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果(10)及び(11)等を奏する。
【0077】
(10)対向する第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69とのうち、例えば接合面66の縁近傍に凸部80を形成し、この凸部80を接合面69に押し当てることで拡散接合を実施し、その後、第1接合板61及び第2接合板62にHIP接合処理を実施して熱交換器を製造する。このように接合面66に凸部80が形成されているため、上記拡散接合において形成される拡散接合部のシール性を高めることができる。この結果、HIP接合処理により接合面66と接合面69との接合、ひいては第1接合板61と第2接合板62との接合を確実化でき、接合性の良好な熱交換器を製造できる。
【0078】
(11)第1接合板61の接合面66に形成された凸部80が第2接合板62の接合面69に押し当てられて拡散接合が実施されるので、この拡散接合を低荷重(低加圧力)で実施でき、第1接合板61の流路63及び第2接合板62の流路64の変形を抑制できる。また、HIP接合処理においては、流路63及び流路64は、HIP接合処理の使用ガスで満たされるので、高加圧力が作用しても変形が抑制される。これらの結果、流路等の寸法精度が良好な熱交換器を製造できる。
【0079】
その他、本実施形態においても、HIP接合処理の前に、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間にシール性の良好な拡散接合部が形成されるので、前記第1の実施形態の効果(3)と同様な効果を奏する。
【0080】
[F]第6の実施形態(図7)
図7は、本発明に係る熱交換器の製造方法における第6の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図である。この第6の実施形態において、前記第4及び第5の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0081】
この第6の実施形態が第5の実施形態と異なる点は、凸部80が尖鋭形状のエッジ状凸部85(図7(A))とされ、対向する第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との拡散接合時に、図7(B)に示すように、上記エッジ状凸部85が接合面69に食い込んで接合される点である。従って、この拡散接合においては、より低い荷重(加圧力)で拡散接合を実施できると共に、この拡散接合により接合面66と接合面69との間に形成される拡散接合部86のシール性を向上させることができる。
【0082】
ここで、上記エッジ状凸部85も、前記凸部80と同様にして機械加工、エッチング加工またはコーティング法により形成される。
【0083】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果(12)及び(13)等を奏する。
【0084】
(12)対向する第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69とのうち、例えば接合面66の縁近傍にエッジ状凸部85を形成し、このエッジ状凸部85を接合面69に食い込ませることで拡散接合を実施し、その後、第1接合板61及び第2接合板62にHIP接合処理を実施して熱交換器を製造する。このように接合面66にエッジ状凸部85が形成され、このエッジ状凸部85が接合面66に食い込んで拡散接合が実施されるため、上記拡散接合において形成される拡散接合部のシール性をより一層高めることができる。この結果、HIP接合処理により接合面66と接合面69との接合、ひいては第1接合板61と第2接合板62との接合を確実化でき、接合性の良好な熱交換器を製造できる。
【0085】
(13)第1接合板61の接合面66に形成されたエッジ状凸部85が第2接合板62の接合面69に食い込んで拡散接合が実施されるので、この拡散接合をより低荷重(低加圧力)で実施でき、第1接合板61の流路63及び第2接合板62の流路64の変形を更に抑制できる。また、HIP接合処理においては、流路63及び流路64は、HIP接合処理の使用ガスで満たされるので、高加圧力が作用しても変形が抑制される。これらの結果、流路等の寸法精度が良好な熱交換器を製造できる。
【0086】
その他、本実施形態においても、HIP接合処理の前に、第1接合板61の接合面66と第2接合板62の接合面69との間にシール性の良好な拡散接合部が形成されるので、前記第1の実施形態の効果(3)と同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る熱交換器の製造方法における第1の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図。
【図2】本発明に係る熱交換器の製造方法における第2の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図。
【図3】本発明に係る熱交換器の製造方法における第3の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図。
【図4】本発明に係る熱交換器の製造方法における第4の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図。
【図5】図4における接合面の凹凸模様を示す図。
【図6】本発明に係る熱交換器の製造方法における第5の実施形態の接合板を一部切欠いて示す分解側面図。
【図7】本発明に係る熱交換器の製造方法における第6の実施形態を一部切欠いて示す製造工程図。
【符号の説明】
【0088】
1 第1接合板、
2 第2接合板
3、4 流路
5 ろう材
6、7、8、9 接合面
10 ろう付け接合部
11 拡散接合部
12 HIP接合部
21 第1接合板
22 第2接合板
23、24 流路
26、27、28、29 接合面
30 ろう付け接合部
31、33 拡散接合部
32 HIP接合部
41 第1接合板
42 第2接合板
43、44 流路
45 ろう材
46、47、48、49 接合面
51 ろう付け接合部
53 HIP接合部
61 第1接合板
62 第2接合板
63、64 流路
66、67、68、69 接合面
70 拡散接合部
71 HIP接合部
73 凹凸模様
80 凸部
85 エッジ状凸部
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一


【公開番号】 特開2008−39255(P2008−39255A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212116(P2006−212116)