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【発明の名称】 圧延素板
【発明者】 【氏名】南 和彦

【氏名】貝村 哲

【氏名】明城 信彦

【要約】 【課題】扁平管製造用板状体を圧延により形成する際に側壁用凸条の高さが不足することを防止しうる圧延素板を提供する。

【構成】圧延素板は、扁平管を製造する扁平管製造用板状体20を形成するためのものである。扁平管製造用板状体20は、上下壁形成部21,22、上下壁形成部21,22どうしを連結しかつ一方の側壁を形成する連結部23、および各平坦壁形成部21,22における連結部23とは反対側の側縁に一体成形されかつ板状体20が連結部23でヘアピン状に折り曲げられた際に相互に突き合わせられる側壁用凸条9,11を備えている。圧延素板は、Al−Mn系合金製の芯材の両面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる。アルミニウムブレージングシートの芯材のr値が0.65以下となっており、同じく芯材の結晶粒の平均アスペクト比が5以下となっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が1枚の金属板からなり、かつ2つの平坦壁形成部、平坦壁形成部どうしを連結しかつ一方の側壁を形成する連結部、および各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁にそれぞれ同方向に突出するように一体成形されるとともに金属板が連結部でヘアピン状に折り曲げられた際に相互に突き合わせられる側壁用凸条を備えている扁平管製造用板状体を圧延により形成するための圧延素板であって、
Al−Mn系合金製の芯材の少なくとも片面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなるとともに、ろう材層面が、側壁用凸条が一体成形される側壁用凸条形成面であり、前記芯材のr値が0.65以下である圧延素板。
【請求項2】
前記芯材の結晶粒の平均アスペクト比が5以下である請求項1記載の圧延素板。
【請求項3】
前記芯材の結晶粒の平均アスペクト比が3以下である請求項2記載の圧延素板。
【請求項4】
前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径が20〜200μmである請求項1〜3のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【請求項5】
前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径が40〜150μmである請求項4記載の圧延素板。
【請求項6】
幅方向の両端部における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD1、幅方向の両端部を除いた他の部分における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD2とした場合、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たす請求項1〜5のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【請求項7】
両側壁用凸条が幅方向の両端から2mmの範囲内に一体成形されている扁平管製造用板状体を形成する圧延素板であって、幅方向の両端から2mmの範囲内の部分における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD1、この範囲外の部分における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD2とした場合、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たす請求項6記載の圧延素板。
【請求項8】
Al−Mn系合金製の両面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる請求項1〜7のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【請求項9】
Al−Mn系合金製の芯材の片面にアルミニウムろう材層が設けられ、他面にAl−Zn合金からなる犠牲腐食層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる請求項1〜7のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【請求項10】
請求項1記載の圧延素板を製造する方法であって、Al−Mn系合金製の芯材の少なくとも片面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる広幅の原金属板を定められた幅にスリットした後、350〜430℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施し、芯材のr値を0.65以下にすることを特徴とする圧延素板の製造方法。
【請求項11】
前記原金属板を定められた幅にスリットする前に、150〜250℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施す請求項10記載の圧延素板の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜9のうちのいずれかに記載された圧延素材を圧延することにより形成された扁平管製造用板状体が、連結部においてヘアピン状に折り曲げられて側壁用凸条どうしが突き合わされるとともに、側壁用凸条どうしがろう付され、両平坦壁形成部により互いに対向する1対の平坦壁が形成され、連結部により一方の側壁が形成され、相互にろう付された側壁用凸条により他方の側壁が形成されている扁平管。
【請求項13】
一方の平坦壁に、他方の平坦壁側に突出した補強壁用凸条が形成され、他方の平坦壁に、一方の平坦壁側に突出した補強壁用凸条が形成され、両平坦壁の補強壁用凸条により、内部を複数の流体通路に仕切る補強壁が形成されている請求項12記載の扁平管。
【請求項14】
両平坦壁の補強壁用凸条どうしが互いに突き合わされてろう付されている請求項13記載の扁平管。
【請求項15】
互いに間隔をおいて平行に配置された1対のヘッダと、請求項12〜14のうちのいずれかに記載された扁平管からなりかつ両端がそれぞれ両ヘッダに接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間の通風間隙に配置されるとともに熱交換管にろう付されたフィンとよりなる熱交換器。
【請求項16】
圧縮機、コンデンサ、エバポレータおよび減圧器を備えており、かつフロン系冷媒を用いる冷凍サイクルであって、コンデンサが請求項15記載の熱交換器からなる冷凍サイクル。
【請求項17】
圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、ガスクーラが請求項15記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
【請求項18】
請求項16または17記載の冷凍サイクルが、カーエアコンとして搭載されている車両。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は圧延素板に関し、さらに詳しくは、たとえばカーエアコンのコンデンサおよびエバポレータ、自動車用ラジエータ、自動車用オイルクーラなどの熱交換器の熱交換管として使用される扁平管を製造する扁平管製造用板状体を圧延により形成するための圧延素板に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。なお、当然のことながら、元素記号で表現された金属には、その合金は含まれない。
【背景技術】
【0003】
近時、たとえばフロン系冷媒を使用するカーエアコン用コンデンサとして、図7に示すように、互いに間隔をおいて平行に配置された1対のヘッダ(40)(41)と、両端がそれぞれ両ヘッダ(40)(41)に接続された並列状のアルミニウム製扁平状熱交換管(42)と、隣り合う熱交換管(42)の間の通風間隙に配置されるとともに、両熱交換管(42)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(43)と、第1ヘッダ(40)の周壁上端部に接続された入口管(44)と、第2ヘッダ(41)の周壁下端部に接続された出口管(45)と、第1ヘッダ(40)の中程より上方位置の内部に設けられた第1仕切板(46)と、第2ヘッダ(41)の中程より下方位置の内部に設けられた第2仕切板(47)とを備えており、第1仕切板(46)よりも上方に配置された熱交換管(42)の本数、第1仕切板(46)と第2仕切板(47)との間に配置された熱交換管(42)の本数、第2仕切板(47)よりも下方に配置された熱交換管(42)の本数がそれぞれ上から順次減少されて通路群を構成しており、入口管(44)から流入した気相の冷媒が、出口管(45)より液相となって流出するまでに、コンデンサ内を各通路群単位に蛇行状に流れるようになされているいわゆるマルチフロー型と称されるコンデンサが、従来のサーペンタイン型コンデンサに代わり、高性能化、低圧力損失および超コンパクト化を実現しうるものとして広く使用されている。
【0004】
上記コンデンサの熱交換管(42)は、熱交換効率が優れていることはもちろんのこと、その内部に高圧ガス冷媒が導入されるため耐圧性が要求される。しかも、コンデンサのコンパクト化を図るため熱交換管(42)の管壁が薄肉でかつ管高さが低いことが要求される。
【0005】
上述した熱交換管(42)に用いられる扁平管として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された扁平管は、互いに対向する1対の平坦壁と、両平坦壁の両側縁にまたがる両側壁と、両側壁間において両平坦壁にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁とを備えているとともに、内部に並列状の複数の流体通路を有している。ここで、各補強壁は、一方の平坦壁より内方隆起状に一体成形された補強壁用凸条と、他方の平坦壁より内方隆起状に一体成形された補強壁用凸条とが相互に突き合わされてろう付されることにより形成されたものである。
【0006】
このような扁平管は、特許文献1に記載されているように、全体が1枚の金属板よりなり、両平坦壁を形成する同幅の2つの平坦壁形成部、平坦壁形成部どうしを連結しかつ一方の側壁を形成する連結部、各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁にそれぞれ隆起状に一体成形されかつ他方の側壁を形成する側壁用凸条、ならびに各平坦壁形成部にそれぞれ隆起状に一体成形された補強壁用凸条を有する扁平管製造用板状体を、連結部においてヘアピン状に曲げ、両側壁用凸条どうしを突き合わせて相互にろう付するとともに、一方の平坦壁形成部に形成された補強壁用凸条と他方の平坦壁形成部に形成された補強壁用凸条とを突き合わせて相互にろう付することにより製造されている。
【0007】
上述した扁平管製造用板状体は、たとえば両面にろう材層が設けられているアルミニウムブレージングシートからなる圧延素板を、側壁用凸条および補強壁用凸条を成形するための環状溝が全周にわたって形成された第1ワークロールと、周面が円筒面となされた第2ワークロールとを備えた圧延装置により圧延することによって製造されている。
【0008】
しかしながら、上記方法で製造された扁平管製造用板状体において、側壁用凸条の高さが不足する場合がある。側壁用凸条の高さが不足すると、扁平管製造用板状体を連結部においてヘアピン状に曲げる際の側壁用凸条どうしの突き合わせが安定せず、その結果製造される扁平管の断面形状が予め定められた形状にならない場合がある。また、上述した側壁用凸条の高さ不足を解消するには、圧延の際の圧下率を上げる必要があるが、この場合圧延機およびワークロールに大きな負担がかかるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明者等が、上記方法で製造された扁平管製造用板状体において、側壁用凸条の高さが不足する原因について鋭意研究した結果、圧延素板の芯材の異方性が高い場合、圧延時に第1ワークロールの側壁用凸条成形用の環状溝内への材料の充填が不十分となって、上述した側壁用凸条の高さが不足することを見出した。このような側壁用凸条の高さ不足は、側壁用凸条の高さが平坦壁形成部の肉厚の1.5倍以上である場合に、発生しやすい。
【特許文献1】特開2006−78163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の目的は、前記問題を解決し、上述した扁平管製造用板状体を圧延により形成する際に側壁用凸条の高さが不足することを防止しうる圧延素板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様よりなる。
【0012】
1)全体が1枚の金属板からなり、かつ2つの平坦壁形成部、平坦壁形成部どうしを連結しかつ一方の側壁を形成する連結部、および各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁にそれぞれ同方向に突出するように一体成形されるとともに金属板が連結部でヘアピン状に折り曲げられた際に相互に突き合わせられる側壁用凸条を備えている扁平管製造用板状体を圧延により形成するための圧延素板であって、
Al−Mn系合金製の芯材の少なくとも片面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなるとともに、ろう材層面が、側壁用凸条が一体成形される側壁用凸条形成面であり、前記芯材のr値が0.65以下である圧延素板。
【0013】
上記r値は、圧延方向のr、圧延方向に対して45度傾斜した方向のr45、圧延方向と直角方向のr90の平均値であり、公知のようにr=(r+r90+2r45)/4という式で表される。
【0014】
上記1)の圧延素板において、前記芯材のr値を0.65以下に限定したのは、r値が0.65を超えると、芯材の異方性が高くなり、圧延時に第1ワークロールの側壁用凸条成形用の環状溝内への材料の充填が不十分となって、得られた扁平管製造用板状体の側壁用凸条の高さが不足するからである。なお、r値の下限は0.4程度である。
【0015】
2)前記芯材の結晶粒の平均アスペクト比が5以下である上記1)記載の圧延素板。
【0016】
上記平均アスペクト比は結晶粒の縦横比であって、圧延素板の1つの結晶粒の圧延方向の結晶粒長さL1および板厚方向の結晶粒長さL2を、幅方向の両端部および中央部の9視野(1視野は1mm×1mm)においてそれぞれ計測するとともに、各視野おける前記両結晶粒長さの比L1/L2を求め、全27視野のL1/L2の平均値を取ったものである。ここで、圧延素板の幅方向の両端部および中央部のそれぞれの9視野は、コイル状に巻き取られていた圧延素板の巻き取り始端部、巻き取り終端部および巻き取り方向中央部の3箇所にそれぞれ3視野ずつ設定されたものである。
【0017】
上記2)の圧延素板において、前記芯材の結晶粒の平均アスペクト比を5以下とすることが好ましい理由は、この平均アスペクト比が5を超えると異方性が高くなってr値が0.65を超えるおそれがあるからである。
【0018】
3)前記芯材の結晶粒の平均アスペクト比が3以下である上記2)記載の圧延素板。
【0019】
4)前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径が20〜200μmである上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【0020】
上記平均結晶粒径は、幅方向の両端部および中央部の9視野(1視野は1mm×1mm)においてそれぞれ結晶粒の結晶粒径を計測し、その平均値を取ったものであり、幅方向の両端部の結晶粒の平均結晶粒径と、幅方向中央部の結晶粒の平均結晶粒径とが含まれる。ここで、圧延素板の幅方向の両端部および中央部のそれぞれの9視野は、コイル状に巻き取られていた圧延素板の巻き取り始端部、巻き取り終端部および巻き取り方向中央部の3箇所にそれぞれ3視野ずつ設定されたものである。
【0021】
上記4)の圧延素板において、前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径を20〜200μmとすることが好ましい理由は、20μm未満であるとろう付時にろう材による侵食が大きくなってろう付性が低下し、200μmを超えると肌荒れ等が発生しやすく、成形性が不安定になるおそれがあるからである。
【0022】
5)前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径が40〜150μmである上記4)記載の圧延素板。
【0023】
6)幅方向の両端部における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD1、幅方向の両端部を除いた他の部分における前記芯材の平均結晶粒径をD2とした場合、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たす上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【0024】
7)両側壁用凸条が幅方向の両端から2mmの範囲内に一体成形されている扁平管製造用板状体を形成する圧延素板であって、幅方向の両端から2mmの範囲内の部分における前記芯材の平均結晶粒径をD1、この範囲外の部分における前記芯材の平均結晶粒径をD2とした場合、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たす上記6)記載の圧延素板。
【0025】
上記6)および7)の圧延素板において、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たすことが好ましい理由は、この関係を満たしていないと前記芯材の幅方向の機械的特性にばらつきが生じ、圧延時に第1ワークロールの側壁用凸条成形用の環状溝内への材料の充填が不十分となるおそれがあるからである。
【0026】
8)Al−Mn系合金製の両面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【0027】
9)Al−Mn系合金製の芯材の片面にアルミニウムろう材層が設けられ、他面にAl−Zn合金からなる犠牲腐食層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の圧延素板。
【0028】
10)上記1)記載の圧延素板を製造する方法であって、Al−Mn系合金製の芯材の少なくとも片面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる広幅の原金属板を定められた幅にスリットした後、350〜430℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施し、芯材のr値を0.65以下にすることを特徴とする圧延素板の製造方法。
【0029】
上記10)の圧延素板の製造方法において、焼鈍処理の際の加熱温度を350〜430℃、加熱時間を1〜4時間に限定したのは、加熱温度が350℃未満であるとともに、加熱時間が1時間未満であると、原金属板を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材の再結晶化が不十分になって、芯材の結晶粒を平均アスペクト比の小さな微細な再結晶粒とすることができず、その結果異方性が高くなるからである。また、加熱時間が430℃を超えると、ろう材層を形成するアルミニウムろうが芯材中に拡散しやすくなって、圧延素板からつくられた扁平管製造用板状体から扁平管を製造する際のろう付性が低下するからである。さらに、焼鈍処理の際の加熱時間が4時間を超えても焼鈍の効果は変わらず、不経済になるからである。
【0030】
11)前記原金属板を定められた幅にスリットする前に、150〜250℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施す上記10)記載の圧延素板の製造方法。
【0031】
上記11)の圧延素板の製造方法において、焼鈍処理の際の加熱温度を150〜250℃に限定したのは、150℃未満であると前記芯材の軟化が不十分であり、250℃を超えると軟化しすぎてその後のスリットが困難になるからである。また、焼鈍処理の際の加熱時間を1〜4時間に限定したのは、1時間未満であると前記芯材の軟化が不十分であり、4時間を超えても焼鈍の効果は変わらず、不経済になるからである。
【0032】
12)上記1)〜9)のうちのいずれかに記載された圧延素材を圧延することにより形成された扁平管製造用板状体が、連結部においてヘアピン状に折り曲げられて側壁用凸条どうしが突き合わされるとともに、側壁用凸条どうしがろう付され、両平坦壁形成部により互いに対向する1対の平坦壁が形成され、連結部により一方の側壁が形成され、相互にろう付された側壁用凸条により他方の側壁が形成されている扁平管。
【0033】
13)一方の平坦壁に、他方の平坦壁側に突出した補強壁用凸条が形成され、他方の平坦壁に、一方の平坦壁側に突出した補強壁用凸条が形成され、両平坦壁の補強壁用凸条により、内部を複数の流体通路に仕切る補強壁が形成されている上記12)記載の扁平管。
【0034】
14)両平坦壁の補強壁用凸条どうしが互いに突き合わされてろう付されている上記13)記載の扁平管。
【0035】
15)互いに間隔をおいて平行に配置された1対のヘッダと、上記12)〜14)のうちのいずれかに記載された扁平管からなりかつ両端がそれぞれ両ヘッダに接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間の通風間隙に配置されるとともに熱交換管にろう付されたフィンとよりなる熱交換器。
【0036】
16)圧縮機、コンデンサ、エバポレータおよび減圧器を備えており、かつフロン系冷媒を用いる冷凍サイクルであって、コンデンサが上記15)記載の熱交換器からなる冷凍サイクル。
【0037】
17)圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、ガスクーラが上記15)記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
【0038】
18)上記16)または17)記載の冷凍サイクルが、カーエアコンとして搭載されている車両。
【発明の効果】
【0039】
上記1)の圧延素板によれば、Al−Mn系合金製の芯材の少なくとも片面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなるとともに、ろう材層面が、側壁用凸条が一体成形される側壁用凸条形成面であり、前記芯材のr値が0.65以下となっているので、この圧延素板を、上述した第1ワークロールおよび第2ワークロールを備えた圧延装置により圧延して扁平管製造用板状体を形成する場合、第1ワークロールの側壁用凸条成形用の環状溝内への材料の充填率が向上し、得られた扁平管製造用板状体における側壁用凸条の高さ不足を解消することができる。したがって、この扁平管製造用板状体を連結部においてヘアピン状に曲げる際の側壁用凸条どうしの突き合わせが安定し、その結果製造される扁平管の断面形状を予め定められた形状にすることが可能になり、この扁平管の耐圧性および扁平管を用いた熱交換器の耐圧性が向上する。しかも、圧延の際の圧下率を上げる必要がなくなり、圧延機およびワークロールにかかる負担を小さくすることができる。
【0040】
上記2)〜7)の圧延素板によれば、この圧延素板を圧延することにより得られた扁平管製造用板状体における側壁の高さ不足を効果的に解消することができる。
【0041】
上記10)の圧延素板の製造方法によれば、Al−Mn系合金製の芯材の少なくとも片面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる広幅の原金属板を定められた幅にスリットした後、350〜430℃で1〜4時間加熱する焼鈍処理を施すことにより、芯材を微細に再結晶させてアスペクト比の小さな再結晶組織を得ることが可能となり、r値を低下させて0.65とすることができる。
【0042】
上記11)の圧延素板の製造方法によれば、前記原金属板を定められた幅にスリットする前に、150〜250℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施すので、原金属板が軟化し、簡単にスリットすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0044】
図1および図2はこの発明による圧延素板から形成された扁平管製造用板状体を用いて製造された扁平管を示し、図3はこの発明による圧延素板から形成された扁平管製造用板状体を示し、図4は圧延素板から扁平管製造用板状体を圧延により形成する装置を示し、図5は扁平管製造用板状体から扁平管を製造する工程の一部を示す。
【0045】
なお、以下の説明において、図1〜図6の上下、左右をそれぞれ上下、左右というものとする。
【0046】
図1および図2において、扁平管(1)はアルミニウム製であり、互いに対向する平らな上下壁(2)(3)(1対の平坦壁)と、上下壁(2)(3)の左右両側縁どうしにまたがる左右両側壁(4)(5)と、上壁(2)の左側縁に一体に形成され、かつ左側壁(4)の外面全体を覆う被覆壁(6)と、左右両側壁間(4)(5)において上下壁(2)(3)にまたがるとともに相互に所定間隔をおいて設けられ、かつ長さ方向に伸びる複数の補強壁(7)とよりなり、内部に並列状の複数の流体通路(8)を有するものである。なお、図示は省略したが、全ての補強壁(7)には、隣接する流体通路(8)どうしを通じさせる複数の連通穴が、全体として平面から見て千鳥配置状となるようにあけられている。
【0047】
左側壁(4)は、上壁(2)の左側縁より下方隆起状に一体成形された側壁用凸条(9)と、下壁(3)の左側縁より上方隆起状に一体成形された側壁用凸条(11)とが、先端どうしが相互に突き合わされてろう付されることにより形成されている。両側壁用凸条(9)(11)の先端部どうしは相欠き状に突き合わされている。すなわち、上壁(2)の側壁用凸条(9)の先端部は左半部が欠き取られたような形状となっているとともに、下壁(3)の側壁用凸条(11)の先端部は右半部が欠き取られたような形状となっており、上壁(2)の側壁用凸条(9)の突出部(9a)が下壁(3)の側壁用凸条(11)の欠き取り部(11b)内に嵌り、下壁(3)の側壁用凸条(11)の突出部(11a)が上壁(2)の側壁用凸条(9)の欠き取り部(9b)内に嵌っている。右側壁(5)は、上下壁(2)(3)と一体に形成されている。
【0048】
被覆壁(6)は、上壁(2)の左側縁を左方に延長することにより形成された被覆壁形成部を折り曲げて左側壁(4)外面に沿わせることにより形成されており、その先端部が、下壁(3)の左側縁部の傾斜面(3a)に係合させられた状態で、左側壁(4)、すなわち両側壁用凸条(9)(11)の外面全体および下壁(3)の傾斜面(3a)にろう付されている。
【0049】
補強壁(7)は、上壁(2)より下方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(12)(13)と、下壁(3)より上方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(14)(15)とが、先端どうしが相互に突き合わされてろう付されることにより形成されている。上壁(2)および下壁(3)には、それぞれ肉厚の異なる2種類の補強壁用凸条(12)(13)および(14)(15)が左右方向に交互に形成されており、上壁(2)における肉厚の厚い補強壁用凸条(12)と下壁(3)における肉厚の薄い補強壁用凸条(15)とがろう付され、上壁(2)における肉厚の薄い補強壁用凸条(13)と下壁(3)における肉厚の厚い補強壁用凸条(14)とがろう付されている。以下、上下両壁(2)(3)の肉厚の厚い補強壁用凸条(12)(14)をそれぞれ第1補強壁用凸条といい、同じく薄い補強壁用凸条(13)(15)をそれぞれ第2補強壁用凸条というものとする。上下壁(2)(3)の第1補強壁用凸条(12)(14)の先端面には、それぞれその長さ方向に伸びかつ他方の壁(3)(2)の第2補強壁用凸条(15)(13)の先端部が嵌る凹溝(16)(17)が全長にわたって形成されている。そして、上壁(2)の第1補強壁用凸条(12)の凹溝(16)内に下壁(3)の第2補強壁用凸条(15)の先端部が、下壁(3)の第1補強壁用凸条(14)の凹溝(17)内に上壁(2)の第2補強壁用凸条(13)の先端部がそれぞれ圧入された状態で、両補強壁用凸条(12)(15)および(13)(14)がろう付されている。
【0050】
扁平管(1)は、図3に示す扁平管製造用板状体(20)を用いて製造される。
【0051】
扁平管製造用板状体(20)は、全体が両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる圧延素板を圧延することにより形成されたものであり、上下壁(2)(3)を形成する相互に同幅および同肉厚の平らな上壁形成部(21)(平坦壁形成部)および下壁形成部(22)(平坦壁形成部)と、上下壁形成部(21)(22)どうしを一体に連結するとともに右側壁(5)を形成する連結部(23)と、上壁形成部(21)および下壁形成部(22)における連結部(23)とは反対側の側縁より上方隆起状に一体成形されかつ左側壁(4)を形成する側壁用凸条(9)(11)と、上壁形成部(21)における連結部(23)とは反対側の側縁(右側縁)を左右方向外方(右方)に延長することにより形成された被覆壁形成部(24)と、上壁形成部(21)および下壁形成部(22)にそれぞれ左右方向に所定間隔をおいて上方隆起状に一体成形された複数の第1および第2補強壁用凸条(12)(13)(14)(15)とを備えており、上壁形成部(21)の第1補強壁用凸条(12)と下壁形成部(22)の第2補強壁用凸条(15)、および下壁形成部(22)の第1補強壁用凸条(14)と上壁形成部(21)の第2補強壁用凸条(13)とが、それぞれ連結部(23)の左右方向の中心線に対して左右対称となる位置にある。
【0052】
ここで、上壁形成部(21)の側壁用凸条(9)は、扁平管製造用板状体(20)の幅方向の右端部、すなわち扁平管製造用板状体(20)の右側縁から2mmの範囲内に形成されている。また、当然のことながら、下壁形成部(22)の側壁用凸条(11)は、扁平管製造用板状体(20)の左側縁から2mmの範囲内に形成されている。
【0053】
下壁形成部(22)下面の左側縁部には、左方に向かって上方に傾斜した傾斜面(3a)が形成されている。上下壁形成部(21)の側壁用凸条(9)(11)は、それぞれ先端部に突出部(9a)(11a)および欠き取り部(9b)(11b)を有しており、上壁形成部(21)の側壁用凸条(9)の突出部(9a)と下壁形成部(22)の側壁用凸条(11)の欠き取り部(11b)、および上壁形成部(21)の側壁用凸条(9)の欠き取り部(9b)と下壁形成部(22)の側壁用凸条(11)の突出部(11a)とが、それぞれ連結部(23)の左右方向の中心線に対して左右対称となる位置にある。また、両側壁用凸条(9)(11)の寸法、すなわち高さ、全体の肉厚および突出部(9a)(11a)の肉厚は同一である。上壁形成部(21)の第1補強壁用凸条(12)の先端面に下壁形成部(22)の第2補強壁用凸条(15)が圧入される凹溝(16)が形成され、下壁形成部(22)の第1補強壁用凸条(14)の先端面に上壁形成部(21)の第2補強壁用凸条(13)が圧入される凹溝(17)が形成されている。上壁形成部(21)の第1補強壁用凸条(12)および下壁形成部(22)の第1補強壁用凸条(14)の寸法、すなわち高さ、肉厚、凹溝(16)(17)の幅および凹溝(16)(17)の深さは同一である。また、上壁形成部(21)の第2補強壁用凸条(13)および下壁形成部(22)の第2補強壁用凸条(15)の寸法、すなわち高さおよび肉厚は同一である。被覆壁形成部(24)の肉厚は上下壁形成部(21)(22)の肉厚と等しくなっている。
【0054】
なお、両面にろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる圧延素板を圧延することにより、上壁形成部(21)、下壁形成部(22)、連結部(23)、側壁用凸条(9)(11)、被覆壁形成部(24)、および補強壁用凸条(12)(13)(14)(15)が一体成形されていることにより、下壁形成部(22)の側壁用凸条(11)の外側面(左側面)、および被覆壁形成部(24)の先端面(右端面)を除いた全体がろう材層により覆われている。換言すれば、上壁形成部(21)および下壁形成部(22)の上下両面、連結部(23)の上下両面、連結部(23)における上下両壁形成部(21)(22)よりも上方に突出した部分の左右両側面、側壁用凸条(9)および補強壁用凸条(12)(13)(14)(15)の先端面および左右両側面、第1補強壁用凸条(12)(14)の凹溝(16)(17)の内周面、側壁用凸条(11)の先端面および右側面、ならびに被覆壁形成部(24)の上下両面にろう材層(19)が形成され、下壁形成部(22)の側壁用凸条(11)の左側面および被覆壁形成部(24)の先端面にはろう材層は形成されていない。
【0055】
また、上記においては、圧延素板は、両面にろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなるが、これに限定されるものではなく、Al−Mn系合金製の芯材の片面にろう材層が設けられ、他面にAl−Zn合金からなる犠牲腐食層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなるものであってもよい。この場合、ろう材層面が側壁用凸条形成面となり、この面に連結部(23)、側壁用凸条(9)(11)、および補強壁用凸条(12)(13)(14)(15)が一体成形される。
【0056】
扁平管製造用板状体(20)は、以下に述べる方法でつくられる。
【0057】
まず、Al−Mn系合金製の芯材の両面にアルミニウムろう材層が設けられたアルミニウムブレージングシートからなる広幅の原金属板を用意する。ここで、アルミニウムブレージングシートの芯材は、たとえばMn0.4〜1.5質量%、Cu0.01〜0.6質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成される。また、原金属板を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材のr値は、0.65を超えていてもよいが、0.95以下に調整されていることが好ましい。このようなr値の調整は、アルミニウムブレージングシートの製造の際の熱間圧延や冷間圧延の条件を種々変更することにより行われる。
【0058】
ついで、原金属板を定められた幅にスリットした後、350〜430℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施すことにより、扁平管製造用板状体(20)を圧延するための圧延素板を製造する。
【0059】
この圧延素板を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材のr値は0.65以下である。また、圧延素板を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材は再結晶組織となっており、結晶粒の平均アスペクト比は5以下であることが好ましく、3以下であることが望ましい。また、圧延素板を形成するアルミニウムブレージングシートの少なくとも芯材の結晶粒の平均結晶粒径は20〜200μmであることが好ましく、40〜150μmであることが望ましい。さらに、圧延素板の幅方向の両端部における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD1、幅方向の両端部を除いた他の部分における前記芯材の結晶粒の平均結晶粒径をD2とした場合、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たしていることが好ましい。上述したように、扁平管製造用板状体(20)の側壁用凸条(9)(11)が、板状体(20)の幅方向の両端から2mmの範囲内に一体成形されている場合、圧延素板の幅方向の両端から2mmの範囲内の部分における前記芯材の平均結晶粒径をD1、この範囲外の部分における前記芯材の平均結晶粒径をD2とした場合、0.8≦D1/D2≦1.2という関係を満たしていることが好ましい。
【0060】
また、上述した原金属板を定められた幅にスリットする前に、150〜250℃で1〜4時間加熱して焼鈍処理を施すことが好ましい。
【0061】
なお、圧延素板を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材のr値が0.65以下であれば、製造方法は上記の方法に限定されない。すなわち、原金属板を定められた幅にスリットする前に上記条件で焼鈍処理を施してもよい。また、焼鈍温度の上限も430℃に限定されず、加熱時間の上限も4時間に限定されない。但し、焼鈍温度の上限が430℃を超えるとろう付性が低下し、加熱時間の上限が4時間を超えると不経済になる。
【0062】
そして、上述した圧延素板を、図4に示すように、第1および第2ワークロール(25)(26)を備えた圧延装置を用いて圧延し、扁平管製造用板状体(20)をつくる。
【0063】
第1ワークロール(25)は、ロール本体(27)と、ロール本体(27)の両端に固定されかつロール本体(27)よりも大径のフランジ(28)とよりなる。ロール本体(27)の周面の軸方向の両端部にそれぞれ側壁用凸条(9)(10)を成形する第1の環状溝(29)が刻設され、ロール本体(27)の周面における両第1環状溝(29)間の左右方向中央部に連結部(23)を成形する第2の環状溝(31)が刻設され、ロール本体(27)の周面における両第1環状溝(29)と第2環状溝(31)との間の部分に、それぞれロール本体(27)の軸方向に間隔をおいて、第1補強壁用凸条(12)(14)を成形する第3の環状溝(32)、および第2補強壁用凸条(13)(15)を成形する第4の環状溝(33)が刻設されている。各環状溝(29)(31)(32)(33)の横断面形状は、側壁用凸条(9)(11)、連結部(23)、第1補強壁用凸条(12)(14)および第2補強壁用凸条(13)(15)の横断面形状に合致している。なお、第1ワークロール(25)のロール本体(27)の周面における側壁用凸条(9)を形成する第1環状溝(29)よりも左側の部分は、被覆壁形成部(24)を成型するために円筒面となっている。
【0064】
第2ワークロール(26)の両端部に小径部(34)が設けられており、第2ワークロール(26)における小径部(34)を除いた大径部(35)は、第1ワークロール(25)の両フランジ(28)間に嵌り込んでおり、その周面が加工面(35a)となっている。第2ワークロール(26)の加工面(35a)の右端部に、軸方向外方に向かって徐々に大径となるように傾斜した傾斜面形成部(35b)が形成されている。第2ワークロール(26)の加工面(35a)における傾斜面形成部(35b)を除いた部分は円筒面となっている。
【0065】
そして、圧延素板を、圧延装置の第1および第2ワークロール(25)(26)間に通し、圧延素板に、第1ワークロール(25)に形成された第1〜第4環状溝(29)(31)(32)(33)、および第2ワークロール(26)に形成された傾斜面形成部(35b)が転写されることにより、扁平管製造用板状体(20)が製造される。
【0066】
次に、扁平管製造用板状体(20)を用いての扁平管(1)の製造方法を、図5を参照して説明する。
【0067】
すなわち、ロールフォーミング法により、扁平管製造用板状体(20)を連結部(23)の左右両側で順次折り曲げていき(図5(a)参照)、最後にヘアピン状に折り曲げて両側壁用凸条(9)(11)の突出部(9a)(11a)と欠き取り部(11b)(9b)とを嵌め合わせるとともに、第2補強壁用凸条(13)(15)の先端部を第1補強壁用凸条(12)(14)の凹溝(17)(16)内に圧入する。
【0068】
ついで、被覆壁形成部(24)を折り曲げていき、両側壁用凸条(9)(11)の外面に沿わせるとともに、その先端部を下壁形成部(22)の傾斜面(3a)に係合させて折り曲げ体(20A)を得る(図5(b)参照)。
【0069】
その後、折り曲げ体(20A)を所定温度に加熱し、両側壁用凸条(9)(11)の先端部どうしおよび両補強壁用凸条(12)(15)および(13)(14)の先端部どうしを上記ろう材層を利用して相互にろう付することにより左側壁(4)と補強壁(7)を形成し、連結部(23)により右側壁(5)を形成し、さらに上壁形成部(21)により上壁(2)を、下壁形成部(22)により下壁(3)をそれぞれ形成する。また、被覆壁形成部(24)を上記ろう材層を利用して左側壁(4)および下壁(3)の傾斜面(3a)にろう付することにより被覆壁(6)を形成する。こうして、扁平管(1)が製造される。
【0070】
扁平管(1)が、たとえば図7に示すコンデンサの熱交換管(42)として用いられる場合、扁平管(1)の製造は、コンデンサの製造と同時に行われることがある。すなわち、コンデンサは次のようにして製造される。まず、複数の折り曲げ体(20A)を用意するとともに、複数の折り曲げ体挿入穴を有する1対のアルミニウム製ヘッダ(40)(41)と、複数のアルミニウム製コルゲートフィン(43)とを用意する。ついで、1対のヘッダ(40)(41)を間隔をおいて配置するとともに、折り曲げ体挿入穴と同数の折り曲げ体(20A)とフィン(43)とを交互に配置し、折り曲げ体(20A)の両端部をヘッダ(40)(41)の折り曲げ体挿入穴に挿入する。その後、これらを所定温度に加熱し、上述したようにして扁平管(1)を製造するのと同時に、扁平管(1)とヘッダ(40)(41)、ならびに扁平管(1)とコルゲートフィン(43)とを、それぞれ扁平管製造用板状体(20)のろう材層を利用して同時にろう付する。こうして、コンデンサが製造される。
【0071】
上述した扁平管(1)を備えた熱交換器は、フロン系冷媒を使用し、かつ圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを有する冷凍サイクルが、カーエアコンとして搭載されている車両、たとえば自動車において、上記冷凍サイクルのコンデンサとして用いられる。また、上記冷凍サイクルのエバポレータとして用いられる。さらに、上述した扁平管(1)を備えたオイルクーラやラジエータとして自動車に搭載されることもある。
【0072】
なお、上述した扁平管(1)は、CO冷媒などの超臨界冷媒を使用し、かつ圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を有する超臨界冷凍サイクルが、カーエアコンとして搭載されている車両、たとえば自動車において、ガスクーラやエバポレータに用いられることがある。
【0073】
以下、この発明の具体的実施例について、比較例とともに説明する。
【0074】
実施例1〜5および比較例1〜2
Mn0.8質量%、Cu0.4質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金よりなる芯材の両面に、JIS A4045合金よりなるろう材層がクラッドされたアルミニウムブレージングシート製原金属板を用意した。なお、各ろう材層のクラッド率は6%である。
【0075】
ついで、アルミニウムブレージングシートからなる原金属板を定められた幅にスリットし、このスリットの前または後に、原金属板に焼鈍処理を施して圧延素板を製造した。圧延素板の肉厚は1.4mmである。焼鈍時期および焼鈍条件を表1に示す。
【0076】
その後、これらの圧延素板の結晶組織を調べたところ再結晶組織となっていた。そして、これらの圧延素板の芯材のr値および平均アスペクト比を求めた。さらに、これらの圧延素板の幅方向の一端から2mmの範囲内の部分における前記アルミニウムブレージングシートの芯材の平均結晶粒径(端部の平均結晶粒径)と、圧延素板の幅方向の中央部の平均結晶粒径(中央部の平均結晶粒径)とを求めた。これらの結果も表1に示す。
【表1】


【0077】
その後、これらの圧延素板を、図4に示す第1および第2ワークロール(25)(26)を有する圧延装置により圧下率80%で圧延し、図3に示す扁平管製造用板状体(20)をつくった。
【0078】
そして、下壁形成部(22)の側壁用凸条(11)が、設計寸法通りに成形されているか否かを調べた。図6に示すように、扁平管製造用板状体(20)の各部の設計寸法は、上下壁形成部(21)(22)の肉厚(T1):0.28mm、側壁用凸条(11)の高さ(H1):0.45mm、全体の肉厚(T2):0.4mmおよび突出部(11a)の肉厚(T3):0.2mm、第1補強壁用凸条(14)の高さ(H2):0.43mm、肉厚(T4):0.27mm、凹溝(17)の幅(W1):0.15mmおよび凹溝(17)の深さ(D):0.15mm、ならびに第2補強壁用凸条(15)の高さ(H3):0.43mmおよび肉厚(T5):0.17mmである。下壁形成部(21)の側壁用凸条(11)が設計寸法通りに成形されているか否かの判断は、実際に成形された側壁用凸条(11)の高さの設計寸法に対する比率(高さ比)を求めることにより行った。その結果も表1に示す。
【0079】
表1に示す結果から明らかなように、圧延素板を構成するアルミニウムブレージングシートの芯材のr値が0.65以下である実施例1〜5の圧延素板を用いて製造された扁平管製造用板状体(20)の側壁用凸条(11)の高さ比は100%であって、設計寸法通りに成形されていたが、前記r値が5を超える比較例1〜2の圧延素板を用いて製造された扁平管製造用板状体(20)の側壁用凸条の高さ比は表1に示す通りであって、側壁用凸条が設計寸法通りに成形されていないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明による圧延素板から形成された扁平管製造用板状体を用いて製造された扁平管を示す横断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】この発明による圧延素板から形成された扁平管製造用板状体を示す正面図である。
【図4】この発明による圧延素板を圧延して扁平管製造用板状体を形成する圧延装置を示す垂直断面図である。
【図5】図3に示す扁平管製造用板状体から扁平管を製造する工程の一部を示す図である。
【図6】扁平管製造用板状体の設計寸法を説明する図3の部分拡大図である。
【図7】カーエアコン用コンデンサを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
(1):扁平管
(2):上壁(平坦壁)
(3):下壁(平坦壁)
(4)(5):側壁
(7):補強壁
(8):流体通路
(9)(11):側壁用凸条
(12)(13)(14)(15):補強壁用凸条
(20):扁平管製造用板状体
(21):上壁形成部(平坦壁形成部)
(22):下壁形成部(平坦壁形成部)
(23):連結部
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦

【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助

【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 彰

【識別番号】100069338
【弁理士】
【氏名又は名称】清末 康子


【公開番号】 特開2008−25957(P2008−25957A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201517(P2006−201517)