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【発明の名称】 熱交換器
【発明者】 【氏名】井口 雅博

【氏名】三木 俊一

【要約】 【課題】フィンチューブ式熱交換器のチューブやフィンを銅材料で構成する場合は腐食し易いため、耐蝕性のコーティング層を形成するにしても、フィンの外周のエッジ部にはコーティング層が形成されにくく腐食の起点となるため耐蝕性を確保するのが困難である。

【構成】チューブ(3)に伝熱させる為の複数の銅製のフィン(4)を備えた熱交換器において、フィン(4)の表面に耐蝕性のコーティング層(9)が形成され、フィン(4)の外周部の少なくとも一部の端部近傍部に複数の小孔(8)が間隔を空けて形成され、各小孔(8)にコーティング層(9)に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層(10)が形成され、フィン(4)の外周端から腐食が始まって小孔(4)に達すると閉塞層(10)で腐食の進行が遮断され、閉塞層(10)のアンカーリング機能により小孔(4)の付近のコーティング層(9)の膨れや剥離が抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブに伝熱させる為の複数の銅製のフィンを備えた熱交換器において、
前記フィンの表面に耐蝕性のコーティング層が形成され、フィンの外周部の少なくとも一部の端部近傍部に複数の小孔が間隔を空けて形成され、各小孔にコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記フィンの表面のコーティング層の表面と前記閉塞層の表面が、平滑な面で連なっていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記小孔が長孔に形成され、前記熱交換器をコーティング材に浸漬してフィンにコーティング層を形成する際に小孔の長辺方向が略水平方向に向くように前記小孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記フィンの外周部の全周に亙る端部近傍部に複数の小孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数の小孔は、フィンの外周端と平行な2列の千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記フィンの外周部の端部近傍部よりも内側の部位にも複数の小孔が分散状に形成され、これらの小孔の各々にもコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記コーティング層は、フィンの表面に形成されたプライマー層とこのプライマー層の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、特に伝熱用の銅製のフィンに形成するコーティング層、フィン、熱交換器の耐久性を向上させ得るように構成したものに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器には、燃焼ガスから顕熱回収用の主熱交換器と、主熱交換器を出た燃焼排ガスから顕熱と潜熱を回収する副熱交換器が設けられている。燃焼排ガスは、硫黄(S)や窒素(N)を含む腐食性ガスであり、副熱交換器において潜熱回収により結露したドレンには硫酸や硝酸など腐食性物質が含まれている。
【0003】
副熱交換器としては、1又は複数のチューブとこのチューブに伝熱可能に固定された複数のフィンからなるフィンチューブ式熱交換器が採用され、チューブやフィンをステンレス材料で構成したもの、チューブやフィンを銅材料で構成したものが採用されている。
【0004】
特許文献1に記載の触媒燃焼加熱装置に設けられた触媒担持熱交換器においては、偏平なチューブに波形に屈曲させた触媒担持フィンの複数の屈曲部が接合され、これら屈曲部の近傍位置に複数の小さな矩形穴が形成され、これら複数の矩形穴により触媒担持フィンからチューブへの伝熱面積を小さくして触媒担持フィンの温度低下を防止する構成が採用されている。
【0005】
特許文献2に記載の潜熱回収型熱交換器においては、銅製のチューブに複数の銅製の複数のフィンが外嵌して接合され、チューブとフィンの全表面にニッケルクロムメッキ層が形成され、このニッケルクロムメッキ層の表面にエポキシ樹脂コーティング層が形成され、メッキ層とコーティング層とで耐蝕性を高めてある。
【特許文献1】特開平8−152286号公報
【特許文献2】特開2003−161595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱交換器のチューブとフィンをステンレス材料で構成する場合には、銅材料で構成する場合よりも熱伝導性が低いため、熱交換器が大型化すること、製作費を低減するのが容易ではないことなどの問題がある。そこで、チューブとフィンを銅材料で構成すれば、熱交換器の小型化を図ることができるものの、腐食性のドレンによりチューブとフィンが腐食しやすくなり、熱交換器の耐久性を確保するのが難しい。
【0007】
そこで、特許文献2のように、ニッケルクロムメッキ層とエボキシ樹脂コーティング層を形成すれば、耐蝕性を確保できるものの、製作コストが非常に高価になり、メッキ廃液の処理も面倒である。そこで、ニッケルクロムメッキ層を省略し、エポキシ系やフッ素樹脂系の合成樹脂コーティング層のみを形成することが考えられる。
【0008】
しかし、合成樹脂コーティング層のみを形成する場合、フィンの端部(エッジ部)に塗膜(コーティング層)形成されにくく、或いは非常に薄い塗膜しか形成されないため、そのエッジ部から腐食が始まり、その腐食部が起点となって銅製のフィンの表面から塗膜の剥離が進行する。しかも、銅材料は、有機系塗膜との密着性が悪いため腐食の進行も速くなる。塗膜の剥離によりフィンの基材の露出と溶解が発生し、腐食がチューブまで伝搬して最終的にはチューブからの漏水に至ることになる。
【0009】
本発明の目的は、銅製のフィンを採用した熱交換器に耐蝕性のコーティング層を形成する場合に、エッジ部からの塗膜の剥離と腐食の進行を抑制して、コーティング層の耐久性を高め、熱交換器の耐蝕性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の熱交換器は、チューブに伝熱させる為の複数の銅製のフィンを備えた熱交換器において、前記フィンの表面に耐蝕性のコーティング層が形成され、フィンの外周部の少なくとも一部の端部近傍部に複数の小孔が間隔を空けて形成され、各小孔にコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この熱交換器においては、銅製のフィンの表面に耐蝕性のコーティング層が形成されているため、このコーティング層によりフィンの腐食が防止されるが、フィンの外周部の端部(エッジ部)にはコーティング層が形成されず、或いは極く膜厚の小さなコーティング層しか形成されないため、その端部から腐食が始まる虞がある。しかし、フィンの外周部の少なくとも一部の端部近傍部に複数の小孔が間隔を空けて形成され、各小孔にコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されているため、腐食が小孔まで進行したとしても、小孔に形成されたコーティング材からなる閉塞層は腐食しないため、閉塞層により腐食の進行が遮断されるから、腐食の伝搬が停止する。
尤も、小孔と小孔の間には閉塞層がないので腐食が進行する虞があるが、小孔の閉塞層によりコーティング層がアンカーリングされているため、閉塞層の付近のコーティング層の剥離が抑制されるから、腐食の進行と伝搬が抑制される。
【0012】
請求項2の熱交換器は、請求項1の発明において、前記フィンの表面のコーティング層の表面と前記閉塞層の表面が、平滑な面で連なっていることを特徴としている。
請求項3の熱交換器は、請求項1又は2の発明において、前記小孔が長孔に形成され、前記熱交換器をコーティング材に浸漬してフィンにコーティング層を形成する際に小孔の長辺方向が略水平方向に向くように前記小孔が形成されていることを特徴とている。
【0013】
請求項4の熱交換器は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記フィンの外周部の全周に亙る端部近傍部に複数の小孔が形成されていることを特徴としている。
請求項5の熱交換器は、請求項4の発明において、前記複数の小孔は、フィンの外周端と平行な2列の千鳥状に配置されていることを特徴としている。
【0014】
請求項6の熱交換器は、請求項1〜5の何れかの発明において、前記フィンの外周部の端部近傍部よりも内側の部位にも複数の小孔が分散状に形成され、これらの小孔の各々にもコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項7の熱交換器は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記コーティング層は、フィンの表面に形成されたプライマー層とこのプライマー層の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、銅製のフィンの外周部の少なくとも一部の端部近傍部に複数の小孔が間隔を空けて形成され、各小孔にコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されたので、フィンの端部から腐食が始まって小孔に達すると、小孔の閉塞層により腐食の進行が遮断され、腐食の伝搬が停止する。しかも、小孔と小孔の間のコーティング層も、小孔に形成された閉塞層のアンカーリング機能により剥離が抑制される。従って、銅製フィンの外周側部分の腐食を抑制し、フィンの耐蝕性を格段に高めることができ、コーティング層、フィン、熱交換器の耐久性を高めることができる。しかも、コーティング層の形成前に、フィンの外周部の端部近傍部の少なくとも一部に複数の小孔を形成するだけで達成できるから、製作コスト面で有利である。
【0017】
請求項2の発明によれば、前記フィンの表面のコーティング層の表面と前記閉塞層の表面が平滑な面で連なっているため、小孔の周縁部の部位のコーティング層が薄くなることもなく、小孔の閉塞層により腐食の進行を遮断する効果を確保することができる。
請求項3の発明によれば、前記小孔が長孔に形成され、前記熱交換器をコーティング材に浸漬してフィンにコーティング層を形成する際に小孔の長辺方向が略水平方向に向くように前記小孔が形成されているため、フィンにコーティング層を形成する際に、コーティング材が小孔に均一に滞留し易く、小孔の全体を埋めるような閉塞層を形成することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、前記フィンの外周部の全周に亙る端部近傍部に複数の小孔が形成されているため、フィンの外周部の全周に亙って腐食の伝搬を抑制し、フィンの耐蝕性を高めることができる。
請求項5の発明によれば、前記複数の小孔は、フィンの外周端と平行な2列の千鳥状に配置されているため、仮に外側の1列目の小孔と小孔の間から内側へ腐食が進行したとしても、2列目の小孔に形成された閉塞層により腐食の進行が遮断されるため、フィンの耐蝕性を一層高めることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、前記フィンの外周部の端部近傍部よりも内側の部位にも複数の小孔が分散状に形成され、これらの小孔の各々にもコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層が形成されている。燃焼排ガス中には、コーティング層を透過する腐食性ガスや腐食性物質も含まれていて、それらがコーティング層を透過してコーティング層の膨れ、剥離が始まることになるが、フィンの外周部の端部近傍部よりも内側の部位にも小孔と閉塞層が分散状に形成されるため、閉塞層のアンカーリング機能によりコーティング層の膨れや剥離が抑制され、フィンの外周部の端部近傍部によりも内側の部位の耐蝕性を格段に向上させることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、前記コーティング層は、フィンの表面に形成されたプライマー層とこのプライマー層の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層を含んでいる。フッ素樹脂コーティング層は銅材料との密着性が弱いので、銅材料との密着性が高いプライマー層をフィンの表面に形成し、その表面にフッ素樹脂コーティング層を形成することにより、銅製のフィンとコーティング層との密着性を高めることができ、コーティング層およびフィンの耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る熱交換器は、銅製のフィンの表面に耐蝕性のコーティング層を形成し、フィンの外周部の端部近傍部に複数の小孔を間隔を空けて形成し、各小孔にコーティング層に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層を形成したものである。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例について図1〜図7に基づいて説明する。
図1に示す熱交換器1は、給湯器において主熱交換器で燃焼ガスから顕熱回収後に、燃焼排ガスから顕熱と潜熱を回収する為の副熱交換器である。
【0023】
図1〜図5に示すように、熱交換器1は、ケース2と、銅製の例えば6本のチューブ3と、銅製の複数(例えば13枚)のフィン4と、入口ヘッダー5と、出口ヘッダー6などを有する。図1の背面図に示すように、ケース2の背面には、顕熱及び潜熱回収後の排ガスを外部へ排出する為の排ガス出口7が形成され、ケース2の前面には主熱交換器から出た燃焼排ガスをケース2内へ導入する為のガス導入口(図示略)が形成されている。
【0024】
入口ヘッダー5の一端部に水導入ポート5aが形成され、入口ヘッダー5の内部通路5bが6本のチューブ3の入口側端部3aに接続されている。出口ヘッダー6の一端部に温水出口ポート(図示略)が形成され、出口ヘッダー6の内部通路6aが6本のチューブ3の出口側端部3bに接続されている。図2はケース2を取り外した本体組立体1Aを示し、この本体組立体1Aから判るように、各チューブ3は、3つのU形屈曲部により蛇行形状に形成され、各チューブ3が複数のフィン4を貫通して複数のフィン4にロウ付けされている。
【0025】
複数のフィン4は、小間隔おきに平行に配設され、燃焼排ガスから吸収した熱をチューブ3に伝達し、チューブ3内を流れる水又は温水が温められる。各フィン4は例えば厚さ0.3mmの銅板で構成されている。
【0026】
図4〜図7に示すように、複数のフィン4の各々において、各フィン4の外周部4aの全周に亙る端部近傍部(フィン4の外周端4bの近傍部)に複数の小孔8が間隔を空けて1列状に形成され、それら小孔8の形成後に、各フィン4の表面に耐蝕性のコーティング層9が形成され、各小孔8にコーティング層9に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層10が形成されている。フィン4の表面のコーティング層9の表面と閉塞層10の表面が平滑な面で連なっている。
【0027】
小孔8の孔径は例えば2.0mmであり、小孔8の中心間距離は例えば4.0mmであり、フィン4の外周端4bから小孔8の中心までの距離は例えば3.0〜4.0mmである。但し、小孔8の形状は円形に限定されず、長円形、楕円形、矩形、三角形などの形状でもよい。小孔8の孔径も2.0mmに限定されず、2.0mmよりも小さくてもよく、大きくてもよい。小孔8の中心間距離も、4.0mmに限定されず、小孔8と小孔8との間に例えば2.0〜3.0mm程度の間隔が空くような種々の値に設定してもよい。
【0028】
上記のコーティング層9は、フィン4の表面に形成されたエポキシ樹脂系塗料あるいはシリコーン樹脂系塗料からなるプライマー層9aであって銅材料との密着性に優れるプライマー層9aと、このプライマー層9aの表面に形成された四フッ化エチレン樹脂からなる耐蝕性に優れるフッ素樹脂コーティング層9bとからなる。コーティング層9を形成する場合、最初にエポキシ樹脂系塗料あるいはシリコーン樹脂系塗料のコーティング材をスプレイ塗布後乾燥させてプライマー層9aを形成し、その塗膜乾燥後に、本体組立体1Aをフッ素樹脂コーティング材に2回浸漬(dipping )することによりフッ素樹脂コーティング層9bを形成する。
【0029】
図7は図6のVII −VII 線拡大断面図であり、フィン4の表面にプライマー層9a(例えば、膜厚5〜10μm)が形成され、このプライマー層9aの表面にフッ素樹脂コーティング層9b(例えば、膜厚80〜130μm)が形成されている。フッ素樹脂コーティング層9bの形成の際、1回目の浸漬により膜厚20〜45μmのフッ素樹脂コーティング層を形成し、2回目の浸漬により膜厚60〜85μmのフッ素樹脂コーティング層を形成する。各小孔8内には、コーティング層9に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層10が形成されている。閉塞層10は、プライマー層9aに連なる第1閉塞層10aと、フッ素樹脂コーティング層9bに連なる第2閉塞層10bとからなる。
【0030】
次に、以上説明した熱交換器1の作用、効果について説明する。
フィン4の端部のコーティング層9の薄い個所11(図7参照)から腐食が始まって小孔8に達すると、小孔8の閉塞層10は腐食しないので、この閉塞層10により腐食の進行が遮断され、腐食の伝搬が停止する。しかも、小孔8と小孔8の間のコーティング層9も、小孔8に形成された閉塞層10のアンカーリング機能により剥離が抑制される。従って、銅製フィン4の外周側部分の腐食を抑制し、コーティング層9、フィン4、熱交換器1の耐久性を高めることができる。しかも、コーティング層9の形成前に、フィン4の外周部4aの全周に亙る端部近傍部に複数の小孔8を形成するだけで達成できるから、製作コスト面で有利である。
【0031】
フィン4の表面のコーティング層9の表面と閉塞層10の表面が平滑な面で連なっているため、小孔8の周縁部のコーティング層9が薄くなることもなく、小孔8の閉塞層10により腐食の進行を遮断する効果を確保することができる。フィン4の外周部4aの全周に亙る端部近傍部に複数の小孔8が形成されているため、フィン4の外周部の全周における腐食を抑制し、フィン4の耐蝕性を高めることができる。
【0032】
銅材料との密着性が高いプライマー層9aをフィン4の表面に形成し、その表面にフッ素樹脂コーティング層9bを形成するため、銅製のフィン4とコーティング層9との密着性を高めることができ、非常に簡単な構成でもって、コーティング層9、フィン4、熱交換器1の耐久性を高めることができる。
【実施例2】
【0033】
次に、上記の実施例1を部分的に変更した実施例2について説明するが、前記実施例1と同様の構成に同一符号を付し、主として異なる構成について説明する。
図8に示すように、フィン4Aの外周部の全周の端部近傍部において、複数の小孔8は、フィン4Aの外周端4bと平行な2列の千鳥状に配置されている。そのため、外側の1列目の小孔8と小孔8の間から内側(外周端4bからフィン4Aの中央部の方へ向かう側)へ腐食が進行したとしても、2列目の小孔8に形成された閉塞層10により腐食の進行が遮断されるため、フィン4Aの耐蝕性を一層高めることができる。
【実施例3】
【0034】
次に、上記の実施例1を部分的に変更した実施例3について説明するが、前記実施例1と同様の構成に同一符号を付し、主として異なる構成について図9に基づいて説明する。 この熱交換器1の本体組立体1Aの場合、プライマー層9aの形成の際、スプレー塗布ではなく浸漬によりプライマー層9aが形成される。フィン4Bに形成される小孔8Aが長孔に形成される。この長孔は例えば長さ4.0〜6.0mm、幅2.0〜3.0mmのものである。
【0035】
本体組立体1Aを矢印12の方へ下降させてコーティング材に浸漬してフィン4Bにコーティング層9a,9bを形成する際に小孔8Aの長辺方向が略水平方向を向くように小孔8Aが形成されている。そのため、フィン4Bにコーティング層9a,9bを形成する際に、コーティング材が小孔8Aに均一に滞留し易く、小孔8Aの全体を埋めるような閉塞層10を形成することができる。尚、小孔として、形状の異なる小孔を組み合わせて形成してもよく、小孔を1列に配置する構成と小孔を2列に配置する構成とを組み合わせて用いてもよい。
【実施例4】
【0036】
次に、上記の実施例1を部分的に変更した実施例4について説明するが、実施例1と同様の構成に同一符号を付し、主として異なる構成について説明する。
図10に示すように、フィン4Cの外周部の端部近傍部よりも内側(フィン4Cの外周端4bからフィン4Cの中央の方へ向かう側)の部位であって、チューブ列とチューブ列との間の3つの帯状部位にも複数の小孔8Bが分散状に間隔を空けて形成され、これらの小孔8Bの各々にもコーティング層9に連なるコーティング材を充填してなる閉塞層(図示略)が形成されている
【0037】
燃焼排ガス中には、コーティング層9を透過する腐食性ガスや腐食性物質も含まれていて、それらがコーティング層9を透過してコーティング層9の膨れや剥離を引き起こすことになるが、フィン4Cの外周部の端部近傍部よりも内側の部位にも小孔と閉塞層が分散状に形成されるため、閉塞層のアンカーリング機能によりコーティング層9の膨れや剥離が抑制され、フィン4Cの外周部の端部近傍部よりも内側の部位の耐蝕性を格段に向上させることができる。
【0038】
ここで、前記実施例では、コーティング層9をプライマー層9aとフッ素樹脂コーティング層9bとで形成する場合を例にして説明したが、プライマー層9aを省略し、フィン4,4A〜4Cの表面の粗さを増すような表面処理を施してからフッ素樹脂コーティング層9bを形成してもよい。また、フッ素樹脂コーティング層9bは、耐蝕性のコーティング層の一例であり、エポキシ樹脂コーティング層やその他の合成樹脂コーティング層などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1に係る熱交換器の背面図である。
【図2】熱交換器からケースを取り外した本体組立体の背面図である。
【図3】図1のIII 矢視図である。
【図4】図2のIV矢視図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】図6のVII −VII 線拡大断面図である。
【図8】実施例2に係る図6相当図である。
【図9】実施例3に係る図6相当図である。
【図10】実施例4に係る図5相当図である。
【符号の説明】
【0040】
1 熱交換器
4,4A,4B,4C フィン
8,8A,8B 小孔
9 コーティング層
9a プライマー層
9b フッ素樹脂コーティング層
10 閉塞層
【出願人】 【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄


【公開番号】 特開2008−25953(P2008−25953A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201466(P2006−201466)