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【発明の名称】 熱交換器、熱交換器の製造方法、および空気調和装置の室内機
【発明者】 【氏名】北澤 昌昭

【氏名】土井 隆司

【要約】 【課題】本発明の課題は、伝熱フィンの形状が原因となる騒音の発生を抑えた熱交換器を提供することにある。

【構成】本発明の熱交換器30〜30cは、伝熱フィン5と、複数の伝熱管61とを備える。伝熱フィンは、空気流に略平行に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、空気流に交差する方向に配置される。伝熱フィンは、第1変形部52と第2変形部53とを有する。第1変形部は、第1塑性変形加工により形成したものである。第2変形部は、第1変形部の内の少なくとも一部を、第1塑性変形加工前の第1形状に近づくように第2塑性変形加工を行ったものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流に略平行に配置された伝熱フィン(5)と、
前記伝熱フィンに挿入されており、前記空気流に交差する方向に配置された複数の伝熱管(61)と、
を備え、
前記伝熱フィンは、第1塑性変形加工により形成した第1変形部(52)と、前記第1変形部の内の少なくとも一部を、前記第1塑性変形加工前の第1形状に近づくように第2塑性変形加工を行った第2変形部(53)とを有する、
熱交換器(30〜30c)。
【請求項2】
前記第1形状は、略平坦な面である、
請求項1に記載の熱交換器(30〜30c)。
【請求項3】
前記第1変形部は、前記空気流に対して抵抗となる切り起こし部である、
請求項1または2に記載の熱交換器(30〜30c)。
【請求項4】
前記伝熱フィンは、前記第2変形部を含む前記第2変形部周辺の範囲に、第3塑性変形加工を行った第3変形部(54)をさらに有し、
前記第3変形部は、前記空気流をさまたげる抵抗となる、
請求項1から3のいずれかに記載の熱交換器(30a)。
【請求項5】
前記第3変形部は、前記第1変形部よりも前記空気流に対する抵抗が大きい、
請求項4に記載の熱交換器(30a)。
【請求項6】
前記第3変形部は、ワッフル形状である、
請求項5に記載の熱交換器(30a)。
【請求項7】
空気流に略平行に配置された伝熱フィン(5)と、
前記伝熱フィンに挿入されており、前記空気流に交差する方向に配置された複数の伝熱管(61)と、
を備え、
前記伝熱フィンは、第1塑性変形加工により形成した第1変形部(52)と、前記第1変形部の内の少なくとも一部を、前記第1変形部よりも前記空気流に対する抵抗が大きいワッフル形状に第3塑性変形加工させた前記第3変形部(54a)とを有する、
熱交換器(30〜30c)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の熱交換器(30〜30c)と、
前記空気流を生成する送風機(31)と、
を備えた空気調和装置(1)の室内機(3)。
【請求項9】
前記送風機は、前駆空気流に対して前記熱交換器の下流側に設けられる、
請求項8に記載の空気調和装置(1)の室内機(3)。
【請求項10】
前記第2変形部は、前記送風機近傍に設けられる、
請求項9に記載の空気調和装置(1)の室内機(3)。
【請求項11】
前記送風機は、クロスフローファン(31)である、
請求項10に記載の空気調和装置(1)の室内機(3)。
【請求項12】
伝熱フィンと伝熱管とを有する熱交換器の製造方法であって、
前記伝熱フィンに第1変形部を形成する第1塑性変形加工ステップ(S3)と、
前記第1変形部の内の少なくとも一部を前記第1塑性変形加工前の第1形状に近い第2変形部を形成する第2塑性変形加工ステップ(S4)と、
を備えた熱交換器の製造方法。
【請求項13】
前記第2変形部を含む前記第2変形部周辺の範囲を、空気流をさまたげる第3変形部を形成する第3塑性変形加工ステップ(S5)を、
さらに備えた請求項12に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項14】
伝熱フィンと伝熱管とを有する熱交換器の製造方法であって、
前記伝熱フィンに第1変形部を形成する第1塑性変形加工ステップ(S3)と、
前記第1変形部の内の少なくとも一部を前記第1変形部よりも前記空気流に対する抵抗が大きいワッフル形状に前記第3変形部を形成する第3塑性変形加工ステップ(S6)と、
を備えた熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
騒音対策を施したクロスフィン式の熱交換器、熱交換器の製造方法、および空気調和装置の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置などに搭載される熱交換器として、伝熱フィンに伝熱管を貫通させて形成されるクロスフィン式のものがある。このようなクロスフィン式の熱交換器には、その伝熱フィンに切り起こし部を入れるなどして、熱交換効率を高めているものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−244593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1のような技術では、切り起こし部が通風抵抗となっているため、この部分が原因で騒音が生じるという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、伝熱フィンの形状が原因となる騒音の発生を抑えた熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る熱交換器は、伝熱フィンと、複数の伝熱管とを備える。伝熱フィンは、空気流に略平行に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、空気流に交差する方向に配置される。伝熱フィンは、第1変形部と第2変形部とを有する。第1変形部は、第1塑性変形加工により形成したものである。第2変形部は、第1変形部の内の少なくとも一部を、第1塑性変形加工前の第1形状に近づくように第2塑性変形加工を行ったものである。
【0006】
この熱交換器では、伝熱フィンの第1変形部に対して第2加工を施して第1形状に近い第2変形部とすることで、通風抵抗を減少させている。これにより、騒音の原因となる渦流の発生を抑制できる。したがって、騒音の発生を抑制することができる。また、第1変形部の一部を形成しないような金型を新たに作成する必要がないため生産コストを削減することができる。
【0007】
第2発明に係る熱交換器は、第1発明に係る熱交換器であって、第1形状は、略平坦な面である。
【0008】
この熱交換器では、第1形状は略平坦な面であるため、第2変形部は平坦な面に近い形状である。したがって、第2変形部として第1変形部を平坦な面に近い形状に塑性変形させることにより、その部分の通風抵抗を減少させている。このため、騒音の原因となる渦流の発生を抑制できる。
【0009】
第3発明に係る熱交換器は、第1発明または第2発明に係る熱交換器であって、第1変形部は、空気流に対して抵抗となる切り起こし部である。
【0010】
この熱交換器では、第1変形部として、伝熱フィンに切り起こし部を形成することで空気流に対しての抵抗にしている。したがって、空気流の中に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化させたることができる。このため、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減することができる。
【0011】
第4発明に係る熱交換器は、第1発明から第3発明のいずれかに係る熱交換器であって、伝熱フィンは、第2変形部を含む第2変形部周辺の範囲に、第3塑性変形加工を行った第3変形部をさらに有する。第3変形部は、空気流をさまたげる抵抗となる。
【0012】
この熱交換器では、第2変形部に対してさらに第3塑性変形加工を行い、抵抗を少なくした第2変形部の領域を再び通風抵抗としている。したがって、空気流の中に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化させたることができる。このため、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減することができる。
【0013】
第5発明に係る熱交換器は、第4発明に係る熱交換器であって、第3変形部は、第1変形部よりも空気流に対する抵抗が大きい。
【0014】
この熱交換器では、第3変形部を第1変形部よりも通風抵抗が小さなものにすることで、空気流に乱流を生じさせて、空気流に対して伝熱管の下流側に生じる大きな渦流の平均速度分布を均一化することができる。
【0015】
第6発明に係る熱交換器は、第5発明に係る熱交換器であって、第3変形部は、ワッフル形状である。
【0016】
この熱交換器では、第3変形部として第2変形部を含む第2変形部周辺の範囲をワッフル形状にすることで、第1変形部よりも通風抵抗が大きなものとすることができる。
【0017】
第7発明にかかる熱交換器は、伝熱フィンと複数の伝熱管とを備える。伝熱フィンは、空気流に略平行に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、空気流に交差する方向に配置される。伝熱フィンは、第1変形部と第3変形部とを有する。第1変形部は、第1塑性変形加工により形成したものである。第3変形部は、第1変形部の内の少なくとも一部を、第1変形部よりも空気流に対する抵抗が大きいワッフル形状に第3塑性変形加工させたものである。
【0018】
この熱交換器では、第1変形部に対して、さらに第3塑性変形加工を行い、より抵抗の大きな第3変形部を形成している。したがって、空気流の中に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化させたることができる。このため、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減することができる。
【0019】
第8発明に係る空気調和装置の室内機は、熱交換器と、送風機とを備える。熱交換器は、第1発明から第7発明のいずれかに記載のものである。送風機は、空気流を生成する。
【0020】
この空気調和装置の室内機では、熱交換器として、第1発明から第7発明のいずれかに記載のものを搭載している。このため、騒音の発生を抑えたものを提供できる。
【0021】
第9発明に係る空気調和装置の室内機は、第8発明に記載の空気調和装置の室内機であって、送風機は、空気流に対して熱交換器の下流側に設けられる。
【0022】
この熱交換器では、空気流が伝熱管に対して略垂直に流れるために、空気流に対して伝熱管の下流方向に渦流が生じる。このように空気流に対して熱交換器の下流側に送風機が設けられる空気調和装置には、伝熱管の下流側に生じた渦流が送風機に巻き込まれると耳障りな音が生じ、騒音の原因となっている。
【0023】
このような空気調和装置の室内機であっても、伝熱フィンに、第2変形部または第3変形部を形成することで騒音の原因となる伝熱フィン形状を変形させて、伝熱管の下流側に生じる渦流を小さくさせている。このため、騒音を抑えることができる。
【0024】
第10発明に係る空気調和装置の室内機は、第9発明に記載の空気調和装置の室内機であって、第2変形部は、送風機近傍に設けられる。
【0025】
この空気調和装置の室内機では、 第2変形部を送風機の近傍に設けることで、騒音の原因となる渦流が送風機に巻き込まれないようにしている。これにより、伝熱管が原因となる騒音の発生を抑えることができる。また、送風機の近傍は、最も風速の大きな領域であるため、伝熱フィンが原因となる騒音の中でも、この領域の騒音は大きい。このため、この領域に第2変形部を設けることで、伝熱フィンが原因となる騒音の発生を抑えることができる。
【0026】
第11発明に係る空気調和装置の室内機は、第10発明に係る空気調和装置の室内機であって、送風機は、クロスフローファンである。
【0027】
この空気調和装置の室内機では、送風機としてクロスフローファンを搭載している。このため、空気調和装置の室内機を薄型化することができる。
【0028】
第12発明に係る熱交換器の製造方法は、伝熱フィンと伝熱管とを有する熱交換器の製造方法であって、第1塑性変形加工ステップと、第2塑性変形加工ステップとを備える。第1塑性変形加工ステップは、伝熱フィンに第1変形部を形成する。第1変形部の内の少なくとも一部を第1塑性変形加工前の第1形状に近い第2変形部を形成する。
【0029】
この熱交換器の製造方法では、第1変形部を形成した箇所に第2変形部を形成できるため、第1塑性変形加工ステップで使用する金型と、第2塑性変形加工ステップで使用する金型があれば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。これにより、特別に金型を作る必要がなくなるため、生産コストを削減することができる。
【0030】
第13発明に係る熱交換器の製造方法は、第12発明に係る熱交換器の製造方法であって、第3塑性変形加工ステップをさらに備える。第3塑性変形加工ステップは、第2変形部を含む第2変形部周辺の範囲を、空気流をさまたげる第3変形部を形成する。
【0031】
この熱交換器の製造方法では、第2変形部を形成した箇所に、さらに、第3変形部を形成できるため、第3塑性変形加工ステップで使用する金型があれば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。
【0032】
第14発明に係る熱交換器の製造方法は、伝熱フィンと伝熱管とを有する熱交換器の製造方法であって、第1塑性変形加工ステップと、第3塑性変形加工ステップとを備える。第1塑性変形加工ステップは、伝熱フィンに第1変形部を形成する。第3塑性変形加工ステップは、第1変形部の内の少なくとも一部を第1変形部よりも空気流に対する抵抗が大きいワッフル形状に第3変形部を形成する。
【0033】
この熱交換器の製造方法では、第1変形部を形成した箇所の内の少なくとも一部に、さらに、第3変形部を形成できるため、第3塑性変形加工ステップで使用する金型が有れば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。
【発明の効果】
【0034】
第1発明に係る熱交換器では、伝熱フィンの第1変形部に対して第2加工を施して第1形状に近い第2変形部とすることで、通風抵抗を減少させている。これにより、騒音の原因となる渦流の発生を抑制できる。したがって、騒音の発生を抑制することができる。
【0035】
第2発明に係る熱交換器では、第1形状は略平坦な面であるため、第2変形部は平坦な面に近い形状である。したがって、第2変形部として第1変形部を平坦な面に近い形状に塑性変形させることにより、その部分の通風抵抗を減少させている。このため、騒音の原因となる渦流の発生を抑制できる。
【0036】
第3発明に係る熱交換器では、第1変形部として、伝熱フィンに切り起こし部を形成することで空気流に対しての抵抗にしている。したがって、空気流の中に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化させたることができる。このため、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減することができる。
【0037】
第4発明に係る熱交換器では、第2変形部に対してさらに第3塑性変形加工を行い、抵抗を少なくした第2変形部の領域を再び通風抵抗としている。したがって、空気流の中に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化させたることができる。このため、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減することができる。
【0038】
第5発明に係る熱交換器では、第3変形部を第1変形部よりも通風抵抗が大きなものにすることで、空気流に乱流を生じさせて、空気流に対して伝熱管の下流側に生じる大きな渦流の平均速度分布を均一化することができる。
【0039】
第6発明に係る熱交換器では、第3変形部として第2変形部を含む第2変形部周辺の範囲をワッフル形状にすることで、第1変形部よりも通風抵抗が大きなものとすることができる。
【0040】
第7発明に係る熱交換器では、第1変形部に対して、さらに第3塑性変形加工を行い、より抵抗の大きな第3変形部を形成している。したがって、空気流の中に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化させたることができる。このため、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減することができる。
【0041】
第8発明に係る空気調和装置の室内機では、熱交換器として、第1発明から第7発明のいずれかに記載のものを搭載している。このため、騒音の発生を抑えたものを提供できる。
【0042】
第9発明に係る空気調和装置の室内機では、伝熱フィンに、第2変形部または第3変形部を形成することで騒音の原因となる伝熱フィン形状を変形させて、伝熱管の下流側に生じる渦流を小さくさせている。このため、騒音を抑えることができる。
【0043】
第10発明に係る空気調和装置の室内機では、第2変形部を送風機の近傍に設けることで、騒音の原因となる渦流が送風機に巻き込まれないようにしている。これにより、伝熱管が原因となる騒音の発生を抑えることができる。また、送風機の近傍は、最も風速の大きな領域であるため、伝熱フィンが原因となる騒音の中でも、この領域の騒音は大きい。このため、この領域に第2変形部を設けることで、伝熱フィンが原因となる騒音の発生を抑えることができる。
【0044】
第11発明に係る空気調和装置の室内機では、送風機としてクロスフローファンを搭載している。このため、空気調和装置の室内機を薄型化することができる。
【0045】
第12発明に係る熱交換器の製造方法では、第1変形部を形成した箇所に第2変形部を形成できるため、第1塑性変形加工ステップで使用する金型と、第2塑性変形加工ステップで使用する金型があれば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。これにより、特別に金型を作る必要がなくなるため、生産コストを削減することができる。
【0046】
第13発明に係る熱交換器の製造方法では、第2変形部を形成した箇所に、さらに、第3変形部を形成できるため、第3塑性変形加工ステップで使用する金型があれば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。
【0047】
第14発明に係る熱交換器の製造方法では、第1変形部を形成した箇所の内の少なくとも一部に、さらに、第3変形部を形成できるため、第3塑性変形加工ステップで使用する金型が有れば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面に基づいて、本発明に係る空気調和装置の実施形態について説明する。
【0049】
<空気調和装置の概略構成>
本発明の一実施形態が採用された空気調和装置1は、室内の壁面に設置される室内機3と、室外に設置される室外機2とを備えている。室内機3内および室外機2内にはそれぞれ熱交換器が収納されており、各熱交換器が冷媒配管により接続されることにより冷媒回路を構成している。空気調和装置1の冷媒回路の構成を図1に示す。
【0050】
この冷媒回路は、主として室内熱交換器30、圧縮機22、四路切換弁23、室外熱交換器30および膨張弁24で構成される。
【0051】
室内機3に設けられている室内熱交換器30は、冷媒と室内空気との間で熱交換を行う。また、室内機3には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器30に通し熱交換が行われた後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン31が設けられている。クロスフローファン31は、室内機3内に設けられる1つの室内ファンモータ32によって回転駆動される。室内機3の側面図である図2に示すように、クロスフローファン31は室内機ケーシング4内に配置されている。室内機ケーシング4には、二点鎖線で示す吸込口が前方、上方に設けられ、吹出口が下方に設けられている。室内熱交換器30は、室内機ケーシング4内において、クロスフローファン31を吸込口との間で取り囲むように、多段曲げされて配置されている。室内機3は、クロスフローファン31が回転駆動すると、室内空気RAが室内熱交換器30を介して取り込まれ、熱交換されて加熱または冷却された調和空気SAを再び室内に戻すことにより、対象となる空間を空調する。
【0052】
室外機2には、圧縮機22と、圧縮機22の吐出側に接続される四路切換弁23と、圧縮機22の吸入側に接続されるアキュムレータ21と、四路切換弁23に接続された室外熱交換器20と、室外熱交換器20に接続された膨張弁24とが設けられている。膨張弁24は、液閉鎖弁26を介して配管に接続されており、この配管を介して室内熱交換器30の一端と接続される。また、四路切換弁23は、ガス閉鎖弁27を介して配管に接続されており、この配管を介して室内熱交換器30の他端と接続されている。また、室外機2には、室外熱交換器20での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン28が設けられている。このプロペラファン28は、室外ファンモータ29によって回転駆動される。
【0053】
<室内熱交換器30の構造>
以下、室内機3の室内熱交換器30の詳細構成について説明する。本発明の室内熱交換器30の正面図を図3に示す。また、室内機3内の室内熱交換器の拡大詳細側面図を図4に示す。
【0054】
ここで、各図において、L1は伝熱フィン5の長手方向を、L2は伝熱フィン5の幅方向、L3は伝熱フィン5の板厚方向をそれぞれ示すものとする。
【0055】
この室内熱交換器30は、図3に示すように、矩形平板状の外観形状を有するクロスフィン型の熱交換器である。この室内熱交換器30は、図3に示すように、略平行に配置された複数のヘアピン形状の伝熱管61と、伝熱管61が板厚方向に貫通する孔51を有し板厚方向に所定の間隔を空けて配置された複数の伝熱フィン5と、各伝熱管61のヘアピン部62とを備えている。
【0056】
<伝熱フィンの形状>
図4は、室内機3内の拡大図であって、伝熱フィン5の形状の詳細とクロスフローファン31との位置関係を示したものである。伝熱フィン5は、孔51と、膨出スリット52とを備えている。この孔51は、伝熱フィン5の板厚方向L3に貫通する円形状の孔であり、伝熱フィン5の長手方向L1において所定ピッチ(18mmの間隔)で、2列設けられている。この2列の孔51は、各列が伝熱フィン5の長手方向L1に半ピッチだけずれて、千鳥状に配置されている。また、膨出スリット52は、伝熱フィン5の長手方向L1に伸びており、複数設けられている。この複数の膨出スリット52が一単位となって、孔51のピッチと同様にして所定間隔で、伝熱フィン5の長手方向L1において孔51と交互に繰り返して設けられている。この孔51と膨出スリット52とは、図5(a)のA−A断面図に示すように、伝熱フィン5が板厚方向L3に膨出することによって形成されている。このうち孔51の周辺は、略円柱状になっている。また、膨出スリット52は、長手方向L1に向けて切り込みが入れられて、伝熱フィン5の板厚方向L3に対して塑性変形することで膨出して形成されており、この膨出部分において伝熱フィン5の幅方向L2に貫通した状態になっている。また、クロスフローファン31近傍には膨出スリット52はなく、図5(b)のB−B断面図に示すように、膨出スリット52を平坦面に近い形状にした平坦スリット53がある。クロスフローファン31近傍の風速が大きくなる領域Zにおいて、膨出スリット52を設けると耳障りな騒音が発生する原因となる。このため、伝熱フィン5のクロスフローファン31近傍の領域において、膨出スリット52を潰して平坦面に近い形状である平坦スリット53とすることで、騒音の発生を低減している。
【0057】
<室内熱交換器の製造工程>
(フィンの製造工程)
ここでは、伝熱フィンの製造工程について説明する。このフィン製造工程は、幅広のアルミニウム製の帯状薄板でなる素材Wから、複数の孔51と複数の膨出スリット52と平坦スリット53とを備えた伝熱フィン5を一枚ずつ連続的に製造するものである。素材Wをその長手方向に所定ピッチで間欠送給し、素材Wに対してその送給方向に順次配置されたしごき加工工程、穴抜き加工工程、スリット加工工程、平坦スリット加工工程、ミシン目加工工程、サイドカット加工工程、およびカットオフ加工工程においてそれぞれ所要の加工を行うことで、最終的に複数の孔51と膨出スリット52と平坦スリット53とを備えた伝熱フィン5が得られる。
【0058】
具体的には次の通りである。各加工工程における加工範囲は、このフィン10の平面形状に合致した形状を単位加工範囲としている。具体的には、同図において各加工境界線L、あるいはミシン目71で囲まれた範囲であり、各加工工程における金型はこの加工範囲に対応した形状とされている。
【0059】
図6は、伝熱フィン5の製造工程の流れを示すフローチャートである。また、図7は伝熱フィン5の製造の各工程について示したものである。
【0060】
ステップS1において、しごき加工工程を行う。しごき加工工程では、孔51になる部分を円筒状に絞り出して凸部55を形成している。ステップS1が終了するとステップS2に移行する。
【0061】
ステップS2では、穴抜き加工工程を行う。穴抜き加工工程では、ステップS1で円筒形状にした凸部55の平面部分を打ち抜き、伝熱管61が貫通する孔51をあける。ここまでの、ステップS1およびステップS2は、所定の配置パターンで複数の孔51を形成する工程である。ステップS2が終了するとステップS3に移行する。
【0062】
ステップS3では、スリット加工工程が行われる。スリット加工工程では、穴抜き加工が完了した各加工範囲に対してそれぞれ所定の配置パターンで膨出スリット52を形成する。ステップS3が終了するとステップS4に移行する。
【0063】
ステップS4では、平坦スリット加工工程が行われる。平坦スリット加工工程では、ステップS3により形成された複数の膨出スリット52のうちで、任意に選択したものを平坦化して平坦スリット53を形成している。ステップS4が終了するとステップS5に移行する。
【0064】
ステップS5では、ミシン目加工工程が行われる。ミシン目加工工程は、素材Wから伝熱フィン5を切り取るための準備段階として各加工範囲ごとにその境界線に沿ってミシン目71を形成する工程である。ステップS5が終了するとステップS6に移行する。
【0065】
ステップS6では、サイドカット加工工程が行われる。サイドカット加工工程は、素材Wから各加工範囲の短辺部分を切断して伝熱フィン5の長さを整える工程である。ステップS6が終了するとステップS7に移行する。
【0066】
ステップS7では、カットオフ加工工程が行われる。カットオフ加工工程は、最終的に素材Wを各加工範囲ごとに素材Wの幅方向に切断して製品としての伝熱フィン5を切り出す工程である。
【0067】
このように、素材Wをその長手方向に送給し、その送給方向の先端側から順次伝熱フィン5を切り出すようにしているため、各伝熱フィン5のそれぞれに対して、例えばステップS1およびステップS2において、孔51の径とその配置パターンとを適宜設定することで、各伝熱フィン5に設けられる各孔51の径寸法(即ち、この孔51に嵌挿される伝熱管61の管径)およびその配置パターンを、同一フィン5内において複数種類の異なったものとすることが可能である。また、同様に、例えば膨出スリット成形金型のポンチ形状とその配置パターンとを適宜設定することで、各膨出スリット52も、その形状と配置パターンを、同一伝熱フィン5内において複数種類の異なったものとすることが可能である。さらに、同様に、例えば平坦スリット成形金型を任意の位置で有効になるようにすることで、任意の位置に平坦スリット53を形成することができる。
【0068】
この製造方法によって、管径あるいは配置パターンの異なる孔51、形状あるいは配置パターンが異なる膨出スリット52を、格別な工程変更を伴うことなく容易に製造することができる。さらに、複数の膨出スリット52のうち任意の位置にあるものを選択して配置パターンの異なる位置に平坦スリット53を特別な金型を用意することなく容易に製造することができる。
【0069】
(室内熱交換器の製造工程)
次に室内熱交換器30の製造方法について説明する。図8は、室内熱交換器30の製造工程を表すフローチャートである。
【0070】
ステップS11では、スタッキング加工工程が行われる。スタッキング加工工程では、複数の伝熱フィン5を集積させる。これにより複数の伝熱フィン5が整列される。ステップS11が終了するとステップS12に移行する。
【0071】
ステップS12では、差し込み込み加工工程が行われる。差し込み加工工程では、ステップS11で整列された伝熱フィン5の複数の孔51に対して複数の伝熱管61を差し込む。ステップS12が終了するとステップS13に移行する。
【0072】
ステップS13では、拡管加工工程が行われる。拡管加工工程では、ステップS12で整列状態の伝熱フィン5の複数の孔51に対して差し込まれた伝熱管61の拡管を行う。これにより、各伝熱管61に対して伝熱フィン5が固定されて、位置が定まる。これにより、室内熱交換器30を得る。
【0073】
<特徴>
(1)
この空気調和装置1の室内機3では、室内熱交換器30の伝熱フィン5の膨出スリット52に対して第2加工を施して平坦な面に近い形状の平坦スリット53とすることで、通風抵抗を減少させている。これにより、騒音の原因となる渦流の発生を抑制できる。したがって、騒音の発生を抑制することができる。
【0074】
(2)
この空気調和装置1の室内機3では、室内熱交換器30の伝熱フィン5に膨出スリット52を形成することで空気流に対しての抵抗にしている。これにより、伝熱フィン5表面と熱交換する空気の量を多くすることができる。このため、効率よく熱交換をすることができる。
【0075】
(3)
この空気調和装置1の室内機3では、 平坦スリット53をクロスフローファン31の近傍に設けることで、騒音の原因となる渦流がクロスフローファン31に巻き込まれないようにしている。これにより、伝熱管6が原因となる騒音の発生を抑えることができる。また、クロスフローファン31の近傍の領域Zは、最も風速が大きいため、伝熱フィン5が原因となる騒音の中でもこの領域Zにおける騒音は大きい。このため、この領域Zの膨出スリット52を平坦スリット53とすることで、伝熱フィン5が原因となる騒音の発生を抑えることができる。
【0076】
また、この空気調和装置1の室内機3では、送風機としてクロスフローファン31を搭載している。このため、空気調和装置1の室内機3を薄型化することができる。
【0077】
(4)
この熱交換器30の製造方法では、膨出スリット52を形成した箇所に平坦スリット53を形成できるため、第1塑性変形加工ステップS3(切り込み加工)で使用する金型と、第2塑性変形加工ステップS4(平坦化加工)で使用する金型があれば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。これにより、特別に金型を作る必要がなくなるため、生産コストを削減することができる。
【0078】
<変形例>
(1)
本実施形態では、クロスフローファン31近傍の伝熱フィン5上の領域Z内の膨出スリット52に平坦化加工を施し平坦スリット53としているが、これに限らず、平坦スリット53にさらに第3塑性変形を施してワッフル形状のワッフル部54を形成しても構わない(図9、図10参照)。
【0079】
この室内熱交換器30aでは、平坦スリット53にさらに第3塑性変形を行いワッフル部54を形成することで通風抵抗としている。このため、強制的に乱流を生みだして渦流の平均速度分布を均一化することができ、騒音の原因となる渦流の影響を低減することができる。これにより、騒音の発生を低減させることができる。
【0080】
また、この熱交換器の製造方法では、本実施例の熱交換器の製造方法のステップS4の後に、ステップS21(図11参照)としてワッフル加工工程が行われる。ワッフル加工工程では、ワッフル部54を形成する絞り加工を行う。そしてステップS21の後にステップS5のミシン目加工工程を行うことになる。このステップS21により、平坦スリット53を形成した箇所に、さらに、ワッフル部54を形成できるため、第3塑性変形加工ステップで使用する金型があれば、さまざまな形状の伝熱フィンに対応できる。
【0081】
(2)
変形例(1)で、平坦化加工をせずに領域Z内の膨出スリット52に、そのまま第3塑性変形を施してワッフル形状のワッフル部54aを形成しても構わない(図12、図13参照)。
【0082】
この場合の、室内熱交換器30bの製造方法では、ステップS4の平坦スリット加工を行わずに、ステップS21のワッフル加工を行う。
【0083】
(3)
本実施形態では、クロスフローファン31近傍の領域Z内にある膨出スリット52を全て平坦スリット53としていたが、領域Z内の膨出スリット52全てに限らない。領域Z内の膨出スリット52の一部であっても構わない。例えば、図14、図15のように、領域Z内にある膨出スリット52の内、クロスフローファン31に近い側から2列を平坦スリット53cとしても構わない。
【0084】
また、クロスフローファン31に近い側から順に1列ずつ平坦化するのに限らず、領域Z内であればランダムに平坦化するようにしても構わない。さらに、領域Zは、クロスフローファン31に近い側の伝熱管61の列の中で、クロスフローファン31近傍の4本の伝熱管61の間の領域としているが、4本の伝熱管61に限らず、5本、6本、7本、などであっても構わない。また、この領域Zは、クロスフローファン31に近い側の伝熱管61の列だけでなく、クロスフローファン31から遠い側の伝熱管61列まで及んでも構わない。
【0085】
(4)
本実施形態では、切り起こし部として短い間隔で並行に2本の切れ目が入っている膨出スリット52を利用しているが、これに限らず、図16、図17のような1本の切れ目からその部分を起こすような形状の切起こしルーバー52dであっても構わない。この場合も、膨出スリット52の場合と同様に、クロスフローファン31に近い領域Zに存在する切り起ルーバー52dを平坦化させて、平坦ルーバー53dを形成している。
【0086】
(5)
本実施形態では、伝熱フィン5の幅方向L2に素材Wを送って伝熱フィン5一枚ずつ加工しているが、これに限らず、図18のように素材Wを伝熱分5の長手方向L1に送ることで、図18の例では伝熱フィン5を8枚分をステップS1のしごき加工工程からステップS6のサイドカット加工工程までまとめて行い、それから1枚ずつ切断するステップS7のカットオフ加工工程を行うようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る熱交換器、熱交換器の製造方法、および空気調和装置の室内機は、騒音の発生を抑制することができ、騒音対策を施したクロスフィン式熱交換器等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態が採用された空気調和装置の冷媒回路図。
【図2】室内機の側面図。
【図3】室内熱交換器の正面図。
【図4】室内機内の拡大図であって、伝熱フィン5の形状の詳細図。
【図5】(a)図4のA−A断面図。 (b)図4のB−B断面図。
【図6】熱交換器の伝熱フィンの製造工程のフローチャート。
【図7】熱交換器の伝熱フィンの製造工程の説明図。
【図8】熱交換器の製造工程のフローチャート。
【図9】変形例(1)に係る室内機内の拡大図であって、伝熱フィン5の形状の詳細図。
【図10】(a)図9のA1−A1断面図。 (b)図9のB1−B1断面図。
【図11】変形例(1)に係る熱交換器の製造方法のフローチャート。
【図12】変形例(2)に係る室内機内の拡大図であって、伝熱フィン5の形状の詳細図。
【図13】(a)図12のA2−A2断面図。 (b)図12のB2−B2断面図。
【図14】変形例(3)に係る室内機内の拡大図であって、伝熱フィン5の形状の詳細図。
【図15】(a)図13のA3−A3断面図。 (b)図13のB3−B3断面図。
【図16】変形例(4)に係る室内機内の拡大図であって、伝熱フィン5の形状の詳細図。
【図17】(a)図13のA3−A3断面図。 (b)図13のB3−B3断面図。
【図18】変形例(5)に係る熱交換器の伝熱フィンの製造工程の説明図。
【符号の説明】
【0089】
1 空気調和装置
3 室内機
5〜5c 伝熱フィン
30〜30c 室内熱交換器(熱交換器)
52 膨出スリット(第1変形部)
53 平坦スリット(第2変形部)
54、54a ワッフル部(第3変形部)
61 伝熱管
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男

【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠

【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣

【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修


【公開番号】 特開2008−25941(P2008−25941A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200635(P2006−200635)