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【発明の名称】 熱交換器用偏平伝熱管および該伝熱管を組込んだ多管式熱交換器並びにEGRガス冷却装置
【発明者】 【氏名】臼井 正佳

【氏名】近藤 啓明

【要約】 【課題】素材に対する簡略な加工手段によって低コストの矩形断面を有するコルゲートフィンを形成し、該コルゲートフィンを内装した熱交換器用の偏平伝熱管と、該伝熱管を少なくとも2本以上配設した多管式熱交換器並びに熱交換型EGRガス冷却装置を、優れた性能を有しながらも低価格で提供する。

【構成】偏平伝熱管の内周面に内装される前記コルゲートフィン2が金属性薄板によるフープ材3からなり、該フープ材に対して所定の間隔で穴開け加工を施すことによって多行多列に複数のスリット状の切り欠き部4を形成し、次いで該フープ材を所定の寸法で折り曲げることにより、断面略矩形のチャンネル形状のコルゲートフィンを形成し、該コルゲートフィンの少なくとも1本が、その内周壁面に接して内装され、相互に通流可能な流体の小流路を形成する熱交換器用偏平伝熱管を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面にコルゲートフィンを内装してなる断面略長円形のレーストラック形状、若しくは略長方形を含む矩形断面の熱交換器用偏平伝熱管において、該偏平伝熱管の内周面に内装される前記コルゲートフィンが金属性薄板からなり、該金属性薄板材に対して所定の間隔で穴開け加工を施すことによって多行多列に複数のスリット状の切り欠き部を形成し、次いで該金属性薄板材を所定の寸法で折り曲げることにより、断面略矩形のチャンネル形状で、長手方向に直線状若しくは自由波形状のコルゲートフィンを形成し、得られた該コルゲートフィンの少なくとも1本が、その内周壁面に接して内装され、相互に通流可能な流体の小流路を形成することを特徴とする熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項2】
前記金属性薄板にて形成される多行多列のスリット状の切り欠き部が、長方形若しくは長円形或いはそれに準ずる任意の形状に形成され、該切り欠き部の行間若しくは列間毎の配列が、任意所望の形態に形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項3】
前記金属製薄板に対するスリット状の切り欠き部の形成手段が、プレスによる打ち抜きその他の機械的加工方法若しくはエッチングを含む化学的加工方法のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項4】
前記金属製薄板に対する断面矩形で長手方向に直線状若しくは自由波形状とする波形の折り曲げ加工手段が、プレス成形加工であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項5】
前記金属製薄板が、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のオーステナイト系ステンレススチールからなり、その板厚が0.05〜0.3mmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項6】
前記偏平伝熱管が、内装されるコルゲートフィンと同一の金属性素材からなる円筒管を圧延した偏平管、該金属性素材を予め偏平にロールフォーミングして電縫溶接した偏平管、プレス成形した上板と下板とを最中合せにして接合した偏平管等であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項7】
前記コルゲートフィンの偏平伝熱管に内装され内周面への固着手段が、ろう付け、溶接、拡散接合、接着剤を用いた接着、その他の接合手段の中から適宜選択され、該偏平伝熱管内周壁面へ接して、一体として密着固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱交換器用偏平伝熱管。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱交換器用偏平伝熱管の少なくとも2以上がシェル本体内に組込まれ、該偏平伝熱管内に内装されたコルゲートフィンによって隔てられた小流路間を、相互に通流可能に被冷却媒体であるガス体が流過することを特徴とするシェルアンドチューブ型の多管式熱交換器。
【請求項9】
前記熱交換器用偏平伝熱管内を流過するガス体がEGRガスであり、該偏平伝熱管を組込んだシェルアンドチューブ型の多管式熱交換器が、EGR再循環システムにおけるガス流路に組込まれることを特徴とするEGR冷却装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂シェルアンドチューブ型の排気ガス冷却装置における熱交換器用伝熱管に係り、詳しくは該熱交換器に複数配設されて排気ガス流路を形成する断面形状が偏平の伝熱管であって、該偏平伝熱管の内周面に内装され、管内を通流する排気ガスの流路を小流路に分割して、熱交換性能の向上を促す断面チャンネル形状のコルゲートフィンを、金属製薄板材に対して所定の加工を施すことによって、比較的低コストで提供することを可能とするものであり、得られた該コルゲートフィンをその内周壁面に接して内装した熱交換器用の偏平伝熱管と、該偏平伝熱管を複数組込んだ多管式熱交換器、並びに該多管式熱交換をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込んだEGRガス冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気系から排気ガスの一部を取り出して再びエンジンの吸気系に戻し、混合気に加える方法は、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)と称され、NOx(窒素酸化物)の発生を抑制し、ポンプ損失の低減や燃焼ガスの温度低下に伴う冷却液への放熱損失の低減、作動ガス量・組成変化による比熱比の増大と、それに伴うサイクル効率の向上など、多くの効果が得られるところから、ディーゼルエンジンの排気ガスの浄化や、熱効率を改善するための有効な方法として広く採り入れられている。
【0003】
ところが、EGRガスの温度が上昇し、EGRガス量が増大すると、その熱作用によってEGRバルブの耐久性が劣化し、早期に破損する虞れが生ずるため、その防止策として冷却系を設けて水冷構造とする必要に迫られたり、吸気温度の上昇に伴い充填効率が低下して燃費が低下するという現象を招来する。このような事態を回避するためにエンジンの冷却液、カーエアコン用冷媒または冷却風などによってEGRガスを冷却する装置が用いられ、とりわけ、気体であるEGRガスをエンジン冷却水で冷却する気−液熱交換タイプのEGRガス冷却装置が多数提案され使用されている。この気−液熱交換タイプのEGRガス冷却装置の中でも、構造がシンプルで狭隘な設置空間においても容易に取付けが可能な、2重管式熱交換タイプのEGRガス冷却装置に依然として根強い需要があり、例えば高温のEGRガスを通す内管の外側に液体を通す外管を配設し、ガスと液体間で熱交換を行う交換器において、内管内に金属コルゲート板がフィンとして挿入されている2重管式熱交換器(例えば、特許文献1参照)、内側に被冷却媒体を流通させる内管と、該内管の外周を離間して囲むように設けられた外管と、前記内管の内部に配設された熱応力緩和機能を有する放熱フィンとから構成された2重管式熱交換器(例えば、特許文献2参照)をはじめとして、フィン構造体に対する様々な改良が施された数多くの2重管式熱交換器が提案され、その構造が簡略でコンパクトであるにも拘らず、それなりに優れた冷却効率が期待できるために、小型自動車など設置空間に限りのあるEGRガス冷却用の熱交換器として、既に数多く実用に供されているが、構造上コンパクトであるがゆえに通流する流体の絶対量においては自ずと限界があり、結果としてトータルの熱交換効率においては充足し得ないという未解決な課題が残されていた。
【0004】
斯かる課題を解消するためには構造上多少複雑で大型化が余儀なくされても、所謂シェルアンドチューブ型の多管式熱交換器を採用せざるを得ず、これらの熱交換器についても様々な改良がなされている。例えば、図10に示すシェルアンドチューブ型の多管式熱交換器によれば、冷却ジャケットを構成するシェル本体40の外周部に、冷却水入口70−1と冷却水出口70−2となる冷却水用ノズルがそれぞれ備えられ、該シェル本体40の内周部には左右の両端部に取付けられたヘッダープレート30を介して、その内周面にマルチエントリー型の波型フィン10を内装した、複数の偏平チューブ20からなる伝熱管が間隔を隔てて装着され、さらにその両端部のヘッダープレート30の外側には、排気ガスの導入口80−1および排出口80−2となるガス配管を備えたボンネット50が、それぞれ一体として取付けられた排気ガス冷却装置用の多管式熱交換器100が提案され(例えば、特許文献3参照)、偏平チューブからなる伝熱管の内周面に内装されるマルチエントリー型の波形フィンの作用により、優れた伝熱性能が得られた旨報告されている。また、本願出願人が先に出願した特願2005−203906号の発明においては、熱交換器用の偏平伝熱管内に内装され、該伝熱管内を通流する被冷却媒体若しくは冷却媒体からなる流体の流路を、複数の小流路に区画する断面が矩形で長手方向に自由形状を有するプレートフィンからなり、該プレートフィンの側面若しくは上下の壁面に、少なくとも1以上の切り欠き部、貫通孔、切起こし部、凹凸状部等を形成することにより、隣接する小流路間において通流する流体同士が相互に連通し、均一な流速を維持し易い構造の偏平伝熱管を開発し、高いレベルでの熱交換性能が得られることが確認された旨開示されている。
【特許文献1】特開平11−23181号公報
【特許文献2】特開2000−111277号公報
【特許文献3】特開2002−137054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各従来技術において、特許文献1〜2に開示されている2重管タイプのEGRガス冷却装置の場合は、上記のようにその構造が簡略でコンパクトであるにも拘らず、それなりに優れた冷却効率が期待できるために、小型自動車など設置空間に限りのあるEGRガス冷却用の熱交換器としては、既に数多く実用に供されているが、構造上コンパクトであるがゆえに通流する流体の絶対量においては自ずと限界があり、結果としてトータルの熱交換効率においては未解決な課題が残されていた。斯かる課題を解消するための上記特許文献3における、シェルアンドチューブタイプの多管式熱交換型EGRガス冷却装置においては、該熱交換器本体に間隔を隔てて複数配設され、被冷却媒体である排気ガス流路を形成する伝熱管を、より広い伝熱面積を有する偏平チューブとし、加えて該偏平チューブの内面にマルチエントリー型のコルゲートフィンを内装させて伝熱管を形成し、該伝熱管内を通流する高温のEGRガスに対する撹拌作用を促すことにより、該伝熱管壁面を介しての熱交換が促進されるよう構成されている。ここで伝熱管内面に内装される上記コルゲートフィンと、該伝熱管内面とは通常ろう付によって一体として接合されるが、当該ろう接面に部分的な欠陥があって非ろう付部が生じた場合、交換熱量の低下が懸念されるために、上記特許文献3による偏平チューブへのフィンの内装手段は、接合面となる偏平チューブ内面とフィンとの間隙を100μm以下に維持し、その間にろう材を介装させてろう付することによって均一なろう付面が得られ、ろう付の信頼性を確保しつつ熱交換性能を向上した旨報告されている。然しながら、偏平管の内周面やそれに接するコルゲート状のフィンの頂部は、必ずしも面一に相対してはおらず、広汎な接触面の間隙を100μm以下で均一に維持することは意に反して容易なことではなく、該間隙を100μm以下の精度を確保しつつで均一に維持するように仕上げるためには、極めて高度な加工技術が必要となり、結果として著しいコスト上昇を招くことになる。一方、本出願人の先願になる特願2005−203906号の発明によるプレートフィンにおいては、該プレートフィンの側面や上下の壁面に形成される少なくとも1以上の切り欠き部、貫通孔、切起こし部、凹凸状部等の作用により、高いレベルでの熱交換性能が得られることが確認されているが、該プレートフィンに対する切り欠き部、貫通孔、切起こし部、凹凸状部等の加工方法や、加えてこれを断面矩形で長手方向に自由形状とするための加工手段に難があり、得られるフィン構造体そのものが高価とならざるを得ず、結果としてこれを内装する伝熱管、並びに該伝熱管を組込む熱交換器等のコスト上昇を招き、早急に改善を求められる大きな課題であった。
【0006】
本発明は上記課題を解決することを所期の目的とし、伝熱管に内装されるコルゲートフィンの形成素材として、金属製薄板による好ましくはフープ材に着目し、該フープ材に対する打ち抜きなどの簡略な加工方法によって、予めスリット状の切り欠き部を設け、しかる後に所定の折り曲げ加工を施すことによって、矩形断面を有するチャンネル形状のコルゲートフィンを、極めて低い加工コストによって形成し、このようにして得られた該コルゲートフィンの少なくとも1本を、偏平伝熱管内周面に内装させることによって、高い伝熱性能を有しながらも、比較的低コストでの熱交換器用偏平伝熱管を得ることに成功して本発明を完成した。即ち本発明は金属製薄板からなるフープ材に対する簡略な加工方法を施すことにより、低コストで矩形断面を有するコルゲートフィンを形成し、得られた該コルゲートフィンを内装した熱交換器用の偏平伝熱管と、該伝熱管を少なくとも2本以上配設した多管式熱交換器、さらには熱交換型ガス冷却装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明による伝熱管は、内周面にコルゲートフィンを内装してなる断面略長円形のレーストラック形状、若しくは略長方形を含む矩形断面の熱交換器用偏平伝熱管において、該偏平伝熱管の内周面に内装される前記コルゲートフィンが金属性薄板からなり、該金属性薄板材に対して所定の間隔で穴開け加工を施すことによって多行多列に複数のスリット状の切り欠き部を形成し、次いで該金属性薄板材を所定の寸法で折り曲げることにより、断面略矩形のチャンネル形状で、長手方向に直線状若しくは自由波形状のコルゲートフィンを形成し、得られた該コルゲートフィンの少なくとも1本が、その内周壁面に接して内装され、相互に通流可能な流体の小流路を形成することを特徴的構成要件とする熱交換器用偏平伝熱管を要旨とするものである。
【0008】
また、本発明による上記熱交換器用偏平伝熱管において、内装される波形状のコルゲートフィンが金属性薄板からなり、該金属性薄板にて形成される多行多列のスリット状の切り欠き部が、長方形若しくは長円形或いはそれに準ずる任意の形状に形成され、該切り欠き部の行間若しくは列間毎の配列が、任意所望の形態に形成されることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明による上記熱交換器用偏平伝熱管において、内装される波形状のコルゲートフィンは、前記金属製薄板に対するスリット状の切り欠き部の形成手段が、プレスによる打ち抜きその他の機械的加工方法若しくはエッチングを含む化学的加工方法のいずれかであり、また該金属性薄板材に対する断面矩形で長手方向に自由形状とする波形の曲げ加工手段が、プレス成形加工であることを好ましい態様とするものである。
【0010】
本発明による上記熱交換機用偏平伝熱管はまた、内装されるコルゲートフィンを形成する前記金属製薄板が、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のオーステナイト系ステンレススチールからなり、その板厚が0.05〜0.3mmであることを好ましい態様とするものである。
【0011】
本発明による上記熱交換器用偏平伝熱管はさらに、前記偏平伝熱管が、内装される前記コルゲートフィンと同一の金属性素材からなり、該金属製素材による円筒管を圧延した偏平管、該金属性素材を予め偏平にロールフォーミングして電縫溶接した偏平管、プレス成形した上板と下板とを最中合せにして接合した偏平管等であることを好ましい態様とするものである。
【0012】
本発明による上記熱交換器用伝熱管において、前記コルゲートフィンの偏平伝熱管内周面への内装手段が、ろう付け、溶接、拡散接合、接着剤を用いた接着、その他の接合手段の中から適宜選択され、該偏平伝熱管内周壁面へ接して、一体として密着固定されることを好ましい態様とするものである。
【0013】
本発明による上記シェルアンドチューブ型の多管式熱交換器は、上記の熱交換器用偏平伝熱管の少なくとも2以上がシェル本体内に組込まれ、該偏平伝熱管内に内装されたコルゲートフィンによって隔てられた小流路間を、相互に通流可能に被冷却媒体であるガス体が流過することを特徴的構成要件とする多管式熱交換器を要旨とするものである。
【0014】
本発明による上記EGRガス冷却装置は、前記熱交換器用偏平伝熱管内を流過するガス体がEGRガスであり、該偏平伝熱管を組込んだシェルアンドチューブ型の多管式熱交換器が、EGR再循環システムにおけるガス流路に組込まれることを特徴的構成要件とするEGR冷却装置を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る上記熱交換器用偏平伝熱管は、該偏平伝熱管内の排気ガス流路が、内装される断面が略矩形のチャンネル形状のコルゲートフィンによって、複数の小流路に隔てられ、しかも該コルゲートフィンに形成された複数のスリット状の切り欠き部により、該流路内を流過する排気ガスは隣接する流路間を相互に通流可能となるために、流体圧力が均一化されることにより、該伝熱管内における小流路に分割された全ての流路間で、その伝熱性能がほぼ均等な状態で向上する。さらに該切り欠き部によって流体の流線が複雑に撹乱され、乱流や渦流を生起せしめられて効果的な攪拌が繰返されると同時に、そのエッジ効果が作用して層流が至るところで剥離されて、偏平伝熱管の内外を通流する流体は繰返し該伝熱管壁面と接触し、伝熱管外周面における冷却媒体若しくは被冷却媒体との熱交換が効率的に促進され、優れた冷却効率が確保される。また、上記コルゲートフィンを内装した本発明による偏平伝熱管が、少なくとも2本以上配設された本発明による多管式熱交換器、或いは該多管式熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込んだEGRガス冷却装置は、該偏平伝熱管内を流過する高温の排気ガスが、該伝熱管壁面との接触を繰返されることによって、伝熱管外周面を流れる冷却媒体への熱交換が効率的に促進され、優れた冷却効率が確保される。さらにその優れた熱交換性能がそれら装置の小型軽量化に寄与し、該装置のコンパクト化を可能として、限られたスペースに容易に設置することを可能とする。一方、本発明に係る上記熱交換器用偏平伝熱管は、内装されるコルゲートフィンが、金属製薄板からなる好ましくはフープ材に対して予め所定の形状に打ち抜き加工を施し、多行多列に複数のスリット状の切り欠き部を形成した後、該フープ材を所定の寸法形状に折り曲げるという、省略された工程による極めて簡素な加工手段によって得られるものであるところから、その加工コストが大幅に削減され、結果としてこれを内装する偏平伝熱管のコストも低価格に抑えることができ、優れた伝熱性能を有しながらも比較的低コストの熱交換器用偏平伝熱管として市場に提供することができる。従って該伝熱管を複数配設してなる多管式熱交換器、さらにはEGRガス冷却装置の価格をも大幅に削減することができるという多大の効果がもたらされる。また、波形コルゲートフィンを使用すると更に伝熱性能の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付した図面並びに実施例に基づいて更に詳細に、且つ具体的に説明するが、本発明はこれによって拘束されるものではなく、得られる偏平伝熱管や該伝熱管に内装されるコルゲートフィンの構造や形状を含め、本発明の主旨の範囲内で自由に設計変更が可能である。
【0017】
図1は本発明に係る第1実施例による熱交換器用偏平伝熱管を模式的に示す要部拡大斜視図、図2は同実施例において、金属製薄板からなるフープ材に対して所定の間隔で穴あけ加工を施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図、図3は同実施例において、切り欠き部が形成された前記フープ材に対してプレス成形による折り曲げ加工を施し、断面チャンネル形状のコルゲートフィンを形成した状態を模式的に示す要部拡大斜視図、図4は本発明に係る第2実施例において、フープ材に対して交互に異なる形状に穴あけ加工施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図、図5は同実施例において、切り欠き部が形成された前記フープ材に対してプレス成形による折り曲げ加工を施し、断面チャンネル形状のコルゲートフィンを形成した状態を模式的に示す要部拡大斜視図、図6は本発明に係る第3実施例において、フープ材に対して千鳥状に穴あけ加工を施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図、図7は同実施例において、千鳥状に切り欠き部が形成された前記フープ材に対してプレス成形加工を施し、断面チャンネル形状の波形コルゲートフィンを形成した状態を模式的に示す要部拡大斜視図、図8は本発明に係る第4実施例において、フープ材に対して位置や形状がそれぞれ異なる穴あけ加工を施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図、図9は本発明に係る第5実施例による波形コルゲートフィンを内装した熱交換器用偏平伝熱管を模式的に示す要部拡大斜視図である。
【実施例1】
【0018】
本発明に係る第1実施例による熱交換器用偏平伝熱管は、図1に要部を拡大して示すように断面形状が略長円形のレーストラック形状で、板厚が0.5mmのSUS304Lオーステナイト系ステンレススチールを素材として形成された偏平管であって、その内周面に断面矩形のチャンネル形状であって、長手方向に所定の間隔で切り欠き部4が形成されたコルゲートフィン2が内装され、該偏平伝熱管内を通流する流体の流路を、複数の小流路に区画するように構成されている。ここで本実施例による上記熱交換器用偏平伝熱管に内装される流体攪拌用のコルゲートフィン2は、図2に示すように板厚が0.05mmの同種のSUS304Lオーステナイト系ステンレススチールからなるフープ材3からなり、該フープ材3に対して所定の間隔で且つ多行多列に、プレスによる打ち抜きによって穴開け加工を施して、予め長方形のスリット状の切り欠き部4を形成し、次いで後該フープ材3に対してプレス成形による屈曲部5を繰り返した折りの曲げ加工を施して、図3に示すように断面が矩形のチャンネル形状で、長手方向に多行多列の切り欠き部4が形成されたコルゲートフィン2が形成される。形成された本実施例によるコルゲートフィン2は、上記偏平伝熱管1に内装され、その内周面にろう付によって一体として固着され、該偏平伝熱管1内における流体の流路を複数の小流路に区画すると同時に、長手方向に多行多列に設けられた前記多数の切り欠き部4によって、区画された該小流路内を通流する流体は相互に自由に行き来を繰り返すことが可能となり、各流路間における流速の偏りが効果的に解消される。また、形成された複数の切り欠き部4のエッジ作用によって層流が至るところで剥離され、該偏平伝熱管1の外側を流れる冷却媒体に対する熱交換が促進されることにより、その伝熱性能が著しく向上することとなる。このようにして形成された本実施例による偏平伝熱管1を複数用意し、図示を省略する排気ガス冷却装置用の多管式熱交換器におけるガス流路として組込み、排気ガスの冷却性能試験に供した結果、内装されているコルゲートフィン2が設計値どおりに機能して、熱交換器としての伝熱効率が極めて高いレベルに到達していることが実証され、さらに該熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込むことにより、高温のEGRガスが初期の設定温度まで効率的に冷却されることが確認された。なお、フープ材ではなく、伝熱管の長さに整合させて切断された平板材から折り曲げ成形してコルゲートフィン2を製作してもよい。
【実施例2】
【0019】
フープ材3aをプレスによって打ち抜いて、多行多列の穴開け加工を施す際に、図4に示すように各行に所定の間隔を隔てて、長円形の切り欠き部4aと長方形の切り欠き部4bとをそれぞれ各列交互に、且つ隣接する行間において各列を位相ずらして形成した以外は、上記実施例1と同様にして図5に示すような断面が矩形のチャンネル形状で、長手方向に多行多列の切り欠き部4aおよび4bが多数形成されたコルゲートフィン2aを形成し、次いで該コルゲートフィン2aを実施例1と同様にして偏平管に内装して、本実施例による熱交換器用偏平伝熱管(図示を省略)を得た。得られた本実施例による該熱交換器用偏平伝熱管複数を用意し、上記実施例1と同一にして排気ガス冷却装置用の多管式熱交換器におけるガス流路として組込み、同一の条件で排気ガスの冷却性能試験に供した結果、内装されているコルゲートフィン2aが優れた機能を示し、熱交換器の伝熱効率が実施例1と同様極めて高いレベルに到達していることが実証され、さらに該熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込むことにより、実施例1とほぼ同等の冷却効率を得られることが確認された。
【実施例3】
【0020】
フープ材3bをプレスによって打ち抜いて、多行多列の穴開け加工を施す際に、図6に示すように各行に間隔を隔てて形成される長方形の切り欠き部4cの間に、隣接する行間に連なり、且つ各列を千鳥状に位相ずらして長方形の切り欠き部4d形成した以外は、上記実施例1と同様にして図7に示すような断面が矩形のチャンネル形状で、長手方向に多行多列の切り欠き部4cおよび4dが多数形成されたコルゲートフィン2bを形成し、次いで該コルゲートフィン2bを実施例1と同様にして偏平管に内装して、本実施例による熱交換器用偏平伝熱管(図示を省略)を得た。得られた本実施例による該熱交換器用偏平伝熱管複数を用意し、上記実施例1と同一にして排気ガス冷却装置用の多管式熱交換器(図示を省略)におけるガス流路として組込み、同一の条件で排気ガスの冷却性能試験に供した結果、内装されているコルゲートフィン2bに千鳥状に形成された切り欠き部4cおよび4dが、特有の優れた機能を発揮し、伝熱管の上面並びに下面側を通流する冷却媒体とほぼ均等に熱交換され、熱交換器としての伝熱効率が実施例1と同等以上の、極めて高いレベルに到達していることが実証され、さらに該熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込むことにより、実施例1を上回る冷却効率を得られることが確認された。
【実施例4】
【0021】
フープ材3cをプレスによって打ち抜いて、多行多列の穴開け加工を施す際に、図8に示すように各行に間隔を隔てて形成される長方形の切り欠き部4e、前方に凹部を有する切り欠き部4f、前方に凸部を有する切り欠き部4g等を、隣接する行間で適宜に位相ずらして形成した以外は、上記実施例1と同様にして断面が矩形のチャンネル形状で、長手方向に多行多列の切り欠き部4e、4fおよび4gが形成されたコルゲートフィン(図示を省略)を形成し、次いで該コルゲートフィンを実施例1と同様にして偏平管に内装して、本実施例による熱交換器用偏平伝熱管(図示を省略)を得た。得られた本実施例による該熱交換器用偏平伝熱管を複数用意し、上記実施例1と同一にして排気ガス冷却装置用の多管式熱交換器(図示を省略)におけるガス流路として組込み、同一の条件で排気ガスの冷却性能試験に供した結果、内装されているコルゲートフィンに形成された切り欠き部4e、4fおよび4gが、それぞれ特有の作用を示し、通流するガスは複雑に撹拌され、層流の剥離はさらに進行して、伝熱管の外側を流れる冷却媒体と効果的に熱交換され、熱交換器としての伝熱効率が実施例1と同等以上の極めて高いレベルに到達していることが実証され、さらに該熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込むことにより、実施例1を上回る冷却効率を得られることが確認された。
【実施例5】
【0022】
実施例1によって形成されたコルゲートフィン2に対して、さらにドローベント加工を施すことによって、図9に示すような長手方向に所定のピッチ間隔で、波形のうねりが形成された波形コルゲートフィン2cを形成し、次いで該コルゲートフィンを実施例1と同様にして偏平管に内装して、図9に示すような本実施例による熱交換器用偏平伝熱管1aを得た。得られた本実施例による該熱交換器用偏平伝熱管1aを複数用意し、上記実施例1と同様にして排気ガス冷却装置用の多管式熱交換器(図示を省略)におけるガス流路として組込み、同一の条件で排気ガスの冷却性能試験に供した結果、内装されている波形コルゲートフィン2cに形成された切り欠き部4と、長手方向に所定のピッチ間隔で形成されたうねりとが相乗効果をもたらし、熱交換器としての伝熱効率が実施例1以上の極めて高いレベルに到達していることが実証され、さらに該熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込むことにより、実施例1をさらに上回る冷却効率を得られることが確認された。
【0023】
本発明に基づく上記各実施例において、偏平伝熱管に内装されるコルゲートフィンを形成する金属製薄板からなるフープ材としては、板厚が0.05mmのSUS304Lオーステナイト系ステンレススチールを素材として採用しているが、該フープ材はこれに限定されるものではなく、板厚が0.05〜0.5mmのその他のステンレススチール、例えば、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のオーステナイト系ステンレススチールのなかから適宜に選択して用いることも可能であり、偏平伝熱管を形成する偏平管は、基本的にそれより板厚が上回る同種の素材によって形成されることが好ましく、円筒管を圧延して断面形状が略長円形のレーストラック形状に形成したものの他に、該金属性素材を予め偏平にロールフォーミングして電縫溶接した偏平管、プレス成形した上板と下板とを最中合せにして接合した偏平管等を好ましく採用することも可能である。また、フープ材に対するスリット状の穴開け加工は、上記各実施例におけるプレスによる打ち抜きの他に、他の機械的加工手段やエッチングによる化学的加工手段等を適宜に選択することもでき、形成されるスリット状の切り欠き部の形状や配列の形態等については、本発明の目的を達成し得る範囲内において任意に変更することを妨げない。さらに該コルゲートフィンの偏平伝熱管内周面への内装手段は、上記実施例におけるろう付のほかに溶接、拡散接合、接着剤による接合等の中から任意に選択することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上記各実施例からも明らかなように本発明による熱交換器用偏平伝熱管は、該偏平伝熱管内における排気ガス流路が、内装される断面が略矩形のチャンネル形状で、長手方向に直線状若しくは自由形状を有するコルゲートフィンによって、複数の小流路に隔てられ、しかも該コルゲートフィンに形成された複数のスリット状の切り欠き部により、該流路内を流過する排気ガスは隣接する流路間を相互に通流可能となるために、流体圧力が均一化されることにより、該伝熱管内における小流路に分割された全ての流路間で、その伝熱性能がほぼ均等な状態で向上する。さらに該切り欠き部のエッジ効果によって流体の流線が複雑に撹乱され、乱流や渦流を生起せしめられて効果的な攪拌が繰返されると同時に、そのエッジ効果が作用して層流が至るところで剥離されて、偏平伝熱管の内外を流過する流体は繰返し該伝熱管壁面と接触し、伝熱管外周面における冷却媒体若しくは被冷却媒体との熱交換が効率的に促進され、優れた冷却効率が確保される。また、上記コルゲートフィンを内装した本発明による偏平伝熱管が、少なくとも2本以上配設された本発明による多管式熱交換器、或いは該多管式熱交換器をEGR再循環システムにおけるガス流路に組込んだEGRガス冷却装置は、該偏平伝熱管内を流過する高温の排気ガスが、該伝熱管壁面との接触を繰返されることによって、伝熱管外周面を流れる冷却媒体への熱交換が効率的に促進され、優れた冷却効率が確保される。さらにその優れた熱交換性能がそれら装置の小型軽量化に寄与し、該装置のコンパクト化を可能として、限られたスペースに容易に設置することを可能とする。一方、本発明に係る上記熱交換器用偏平伝熱管は、内装されるコルゲートフィンが、金属製薄板からなるフープ材に対して予め所定の形状に打ち抜き加工を施し、多行多列に複数のスリット状の切り欠き部を形成した後、該フープ材を所定の寸法形状に折り曲げるという、省略された工程による極めて簡素な加工手段によって得られるものであるところから、その加工コストが大幅に削減され、結果としてこれを内装する偏平伝熱管のコストも低価格に抑えることができ、優れた伝熱性能を有しながらも比較的低コストの熱交換器用偏平伝熱管として市場に提供することを可能とし、該伝熱管を複数配設してなる多管式熱交換器、さらには該多管式熱交換器を装着したEGRガス冷却装置の価格をも大幅に削減することができる。さらに、本発明による上記コルゲートフィンを内装した偏平伝熱管を搭載することにより、熱交換型の冷却装置の構造が簡略化されるにも拘らず、優れた冷却効率を示すところから、それら装置の軽量・小型化を可能とするため前記自動車用のEGRガス冷却装置のみならず、被冷却媒体と冷却媒体との対象条件が、気体−気体、気体−液体、液体−液体に変換されるなど、その粘性や温度に変化が生じた場合においてもフレキシブルに対応することが可能で、他のガス冷却装置、オイルや燃料等液体の冷却装置としても十分に転用することが可能であり、当業界における幅広い用途に期待が持たれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る第1実施例による熱交換器用偏平伝熱管を模式的に示す要部拡大斜視図である。
【図2】同実施例において、金属製薄板からなるフープ材に対して所定の間隔で穴あけ加工を施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図である。
【図3】同実施例において、切り欠き部が形成された前記フープ材に対してプレス成形加工を施し、断面チャンネル形状のコルゲートフィンを形成した状態を模式的に示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る第2実施例において、フープ材に対して交互に異なる形状に穴あけ加工施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図である。
【図5】同実施例において、切り欠き部が形成された前記フープ材に対してプレス成形加工を施し、断面チャンネル形状のコルゲートフィンを形成した状態を模式的に示す要部拡大斜視図である。
【図6】本発明に係る第3実施例において、フープ材に対して千鳥状に穴あけ加工施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図である。
【図7】同実施例において、千鳥状に切り欠き部が形成された前記フープ材に対してプレス成形加工を施し、断面チャンネル形状のコルゲートフィンを形成した状態を模式的に示す要部拡大斜視図である。
【図8】本発明に係る第4実施例において、フープ材に対して位置や形状がそれぞれ異なる穴あけ加工を施し、スリット状の切り欠き部を形成した状態を示す要部拡大平面図である。
【図9】本発明に係る第5実施例による熱交換器用偏平伝熱管を模式的に示す要部拡大斜視図である。
【図10】従来の多管式熱交換型EGRガス冷却装置を示し、(a)はその一部破断斜視図、(b)は内装される偏平伝熱管単体の分解斜視図、(c)は該偏平伝熱管単体の要部断図である。
【符号の説明】
【0026】
1、1a 偏平伝熱管
2、2a、2b コルゲートフィン
2c 波形コルゲートフィン
3、3a、3b、3c フープ材
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g 切り欠き部
5、5a、5c、5d 屈曲部
【出願人】 【識別番号】000120249
【氏名又は名称】臼井国際産業株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆

【識別番号】100046719
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良輝


【公開番号】 特開2008−14566(P2008−14566A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186131(P2006−186131)