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【発明の名称】 伝熱管及び液加熱装置
【発明者】 【氏名】仲川 一雄

【要約】 【課題】製造が容易なフィン付き伝熱管及び該伝熱管を使用した液加熱装置を提供する。

【構成】管体21内に波板状フィンを丸めてなるフィン部材22が挿入され、該フィン部材22の外周面が管体21の内周面に密接させられており、波板状フィンは、相互に平行な複数の側板部24の一側縁同士及び他の側縁同士を平板部25、26によって交互に連結させてなる断面矩形状の波形に形成されたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体内に波板状フィンを丸めてなるフィン部材が挿入され、該フィン部材の外周面が管体の内周面に密接させられていることを特徴とする伝熱管。
【請求項2】
前記波板状フィンは、相互に平行な複数の側板部の一側縁同士及び他の側縁同士を平板部によって交互に連結させてなる断面矩形状の波形に形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の伝熱管。
【請求項3】
前記フィン部材の外周面は、管体の長さ方向に沿って長尺な平面部が周方向に間隔をおいて複数配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の伝熱管。
【請求項4】
前記フィン部材の外周面と管体の内周面とはロウ付けされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の伝熱管。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の伝熱管が液槽内に該液槽を貫通するように設けられ、該伝熱管のいずれかの端部に連通する燃焼室が設けられ、他方の端部に連通するダクトが設けられていることを特徴とする液加熱装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フライヤー、ゆで麺器、湯沸かし器等の各種の液加熱装置に用いられる伝熱管及び該伝熱管を用いた液加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フライヤー、ゆで麺器、湯沸かし器等は、燃焼ガスの熱によって油や水等の液体を加熱するものであり、液槽内に、燃焼ガスを流通させる伝熱管が配置されている。この種の伝熱管には、伝熱面積を大きく確保するためにフィンが設けられる。
【0003】
このようなフィン付き伝熱管として、例えば、特許文献1に記載のものがある。この伝熱管は、管体の内周面に、断面略コ字状に形成されたフィンが固着された構成とされている。この場合、フィンは、コ字状を形成している両垂直壁が管体の中心方向に向けて固定されている。
このフィン付き伝熱管を製造する場合、所定形状に切断され管体を構成するためのプレートを用意し、このプレートの表面に、フィンをシーム溶接、ロウ付け、高周波溶接等の手段で固着した後、プレートを円筒状に折り曲げ、両側部を当接させ溶接により一体に固着する、といった製造方法が採用される。
【0004】
また、特許文献2記載の伝熱管は、管体内に複数個のフィン部材が管軸方向に間隔をおいて挿入固定され、各フィン部材は、放射方向に突出する複数本のアーム部材に管軸方向に沿う板状フィンが固着された構成とされ、管体の内周面にはアーム部材の先端及び板状フィンの側縁がロウ付けによって固定されている。この場合、アーム部材及び板状フィンに予めロウ材をメッキしておき、管体に挿入後にロウ材を溶融させて固化させる方法が採用される。
【特許文献1】特開2000−121274号公報
【特許文献2】特開2005−49007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の伝熱管では、管体にフィンを一つずつ固着していく作業性が悪く、全体としてコスト高を招く問題がある。
一方、特許文献2記載の伝熱管においても、管体への固定作業は容易になったが、フィン部材を予め組み立て固定しておく必要があり、全体としての作業性は必ずしも向上していない。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されたもので、製造が容易なフィン付き伝熱管及び該伝熱管を使用した液加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の伝熱管は、管体内に波板状フィンを丸めてなるフィン部材が挿入され、該フィン部材の外周面が管体の内周面に密接させられていることを特徴とする。
このような構成としたことにより、波板状フィンを丸めて管体に挿入するという簡単な作業でフィン付き伝熱管を製作することができる。そして、この伝熱管は、管体内でフィン部材が流路に突出して内部流体との間の大きな伝熱面積が確保される。
【0008】
この場合、前記波板状フィンは、相互に平行な複数の側板部の一側縁同士及び他の側縁同士を平板部によって交互に連結させてなる断面矩形状の波形に形成されたものであることを特徴とする。
この波板状フィンを丸めると、外周部側及び内周部側に平板部が周方向に並べられ、これらの間を側板部が連結した形態となり、これら平板部及び側板部により管体の内周部に大きな伝熱面積を確保することができる。
【0009】
また、前記フィン部材の外周面は、管体の長さ方向に沿って長尺な平面部が周方向に間隔をおいて複数配置されていることを特徴とする。
つまり、フィン部材の平面部と管体内周面の凹円弧面との間に微小空間が形成される。
さらに、前記フィン部材の外周面と管体の内周面とはロウ付けされていることを特徴とする。
前記微小空間にロウ材が充満してフィン部材と管体とを接着することができる。
【0010】
本発明の液加熱装置は、前記伝熱管が液槽内に該液槽を貫通するように設けられ、該伝熱管のいずれかの端部に連通する燃焼室が設けられ、他方の端部に連通するダクトが設けられていることを特徴とする。
伝熱管内にフィン部材によって大きな伝熱面積が確保されているので、熱効率がよく、液槽内の液を速やかに加熱することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の伝熱管及び液加熱装置によれば、波板状フィンを丸めて管体に挿入するという簡単な作業でフィン付き伝熱管を製作することができ、製作が容易で、生産性を著しく向上させることができる。そして、管体の内周部にフィン部材によって多数のフィンを配置し得て、内部を流通する流体との伝熱面積を大きく確保することができ、高い熱交換効率を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の伝熱管及び該伝熱管を組み込んだ液加熱装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0013】
この実施形態の液加熱装置1は、図1にその全体を示すように、調理油を加熱するためのフライヤーであり、架台2の上部に、調理油を満たすために上方を開放した状態の液槽3が設けられるとともに、この液槽3の高さの半分より若干下方位置に、液槽3を縦断するように前後に延びる伝熱管4が複数本(図示例では左右に並んで2本)設けられ、この伝熱管4の前側開口端部4aに連通して燃焼室5が設けられ、伝熱管4の後側開口端部4bに連通してダクト6が設けられている。そして、燃焼室5内に設置されたバーナー7の燃焼ガスが燃焼室5から両伝熱管4内を経由してダクト6から排出され、その間に伝熱管4を介して液槽3内の調理油に熱を伝えて、該調理油を加熱する構成である。
【0014】
前記液槽3は、ステンレス鋼板等によって形成され、両側壁11の間に、後部壁12と、その前側上部を形成する前部壁13と、該前部壁13からほぼ水平方向に延びる棚状壁14と、該棚状壁14から垂れ下がる垂下壁15とが設けられ、この垂下壁15、後部壁12、両側壁11の間を底壁16が閉塞した構成とされている。そして、棚状壁14と垂下壁15とにより、液槽3の前側下部が切りかかれた形状とされ、その部分に前記燃焼室5が形成されている。なお、液槽3の底壁16には、図示略の排出管が接続され、該排出管には開閉バルブが設けられ、その直下には移動可能な廃液タンクが設置される。
一方、ダクト6は、液槽3の後部壁12の背面に上下方向に沿って形成されており、その上部は架台2から上方に向けて煙突状に突出している。
なお、前記架台2は、液槽3及びダクト6の下部全体を囲む箱状に形成されている。
【0015】
前記伝熱管4は、液槽3の垂下壁15と後部壁11との間に水平に架け渡されるようにして液槽3を貫通しており、前側開口端部4aが燃焼室5に露出し、後側開口端部4bが前記ダクト6に露出している。したがって、燃焼室5内のバーナー7による燃焼ガスが伝熱管4内を通ってダクト6から排出される構成である。
【0016】
この伝熱管4は、図2に示すように、円筒状の管体21と、この管体21内に挿入固定されたフィン部材22とから構成されている。管体21は、例えばステンレス鋼から構成される。フィン部材22は、銅合金等からなる波板状フィン23を丸めるように折り曲げて形成したものである。丸める前の波板状フィン23は、図4に示すように、断面矩形状に屈曲形成された構成である。
【0017】
すなわち、波板状フィン23は、相互に平行な複数の側板部24の一側縁同士及び他の側縁同士を平板部25、26によって交互に連結させてなる断面矩形状の波形に形成されたものであり、側板部24、上側の平板部25、側板部24、下側の平板部26をこの順に繰り返し連続して形成されて構成されている。上側の平板部25と下側の平板部26とはほぼ同じ幅寸法Wに設定され、側板部24の高さHは、管体21の半径よりも小さい寸法(例えば管体21の半径の2/3程度)に設定されている。例えば、管体21の径が約50mmの場合、波板状フィン23は、厚さ0.3mmの銅合金板により、側板部24の高さHが16mm、上側及び下側の両平板部25、26の幅Wがいずれも4mmに設定されている。また、長さLは任意に設定されるが、例えば図2に示すように各管体21に間隔をあけて2個ずつ配置し得る程度の長さに設定される。
【0018】
そして、この波形フィン23の各上側の平板部25を相互に接近させるようにこれら上側の平板部25の間隔を狭め、逆に下側の平板部26の間隔を相互に広げるようにすることにより、この下側の平板部26の側を凸にして全体を湾曲させ、その両側縁部どうしを接触させて円筒状に丸められている。この丸めた状態では、前記下側の平板部26が外周部に、上側の平板部25が内周部にそれぞれ配置される。以下、図4の波形フィン23の状態の場合は上側の平板部26、下側の平板部25と称し、これを丸めた状態のフィン部材22においては、外側の平板部26、内側の平板部25と称す。
【0019】
そして、この丸めた状態のフィン部材22が管体21内に挿入され、各外側の平板部26が管体21の内周面に接触し、この平板部26と管体21の内周面との間がロウ付けされているものである。つまり、図3に拡大して示したように、平板部26の両側縁と円弧状凹面となる管体21の内周面とが接触することにより、これらの間に弓の形をした微小空間27が形成され、この微小空間27にロウ材28が充満して固着されている。
【0020】
また、このフィン部材22を丸めた状態では、隣り合う内側の平板部25が相互に接触して連続した状態となり、中心部に断面ほぼ円形の中空部31を形成した状態となるとともに、この中空部31の回りに、一対の側板部24と内側の平板部25とによって断面ほぼ三角形状の三角穴32と、外側の平板部26、両側板部24及び管体21によって形成される断面矩形状の矩形穴33とが周方向に交互に配置された状態となる。言い換えれば、管体21の内部空間が中心の前記中空部31とその回りに多数配置された三角穴32及び矩形穴33とに分割された状態となっている。
【0021】
なお、前記燃焼室5は、その下方は開放状態とされるとともに、その前面を形成する架台2の前壁には、空気取り入れ口(図示略)が形成されており、前記バーナー7は、燃焼室5内に水平に2列配置されている。また、架台2の前壁には、ガスの点火、油温の調整等を行う図示しない操作部が設けられている。
【0022】
このように構成される液加熱装置1において、その伝熱管4を製造する方法について説明する。
この伝熱管4は管体21とフィン部材22とが別々に用意される。管体21は平板を筒状に折り曲げて溶接するなどの方法で製造される。フィン部材22は、前述したように波板状フィン23をまず製作する。図5の(b)に矢印Aで示したように、波板状フィン23の各上側の平板部25を相互に接近させるようにこれら上側の平板部25の間隔を狭め、逆に下側の平板部26の間隔を相互に広げるようにすることにより、この下側の平板部26の側を凸にして全体を湾曲させ、その両側縁部どうしを接触させて円筒状に丸めながらフィン部材22を製作する。そして、図5の(c)で示すように、丸めた状態のフィン部材22を管体21内の目的の位置まで挿入する。
【0023】
次いで、図5の(d)にBで示すように、管体21の内周面においてフィン部材22の端面に接近した位置に周方向に沿ってロウ材を塗布する。また、丸めたフィン部材22の内側の平板部25によって形成される中空部31内に、該中空部31の内径とほぼ同じ外径のパイプCを挿入しておく。そして、このパイプCを挿入した状態で全体を加熱炉(図示略)の中に入れ、無酸素雰囲気で加熱することによりロウ材を溶融させる。
このロウ材が溶融すると、フィン部材22の外側の平板部26と管体21の内周面との間に形成されている微小空間27内に毛細管現象によって吸い込まれ、該微小空間27全体にロウ材28がいきわたる。この状態でロウ材28を固化させることにより、フィン部材22が管体21に緊密に固着されることになる。なお、フィン部材22の中空部31に挿入しておいたパイプCは、フィン部材22と管体21とのロウ付け後に取り除かれる。
【0024】
このようにしてフィン部材22を固着した伝熱管4は、外周面は平滑な円筒面であるのに対して、内周面には該内周面に接触状態のフィン部材22により、その側板部24等からなる多数のフィンが半径内方等に突出していることにより、大きい伝熱面積に設定されている。
【0025】
この伝熱管4を液加熱装置1に組み込んで運転すると、バーナー7からの燃焼ガスが伝熱管4内を通ってダクト6から排出され、伝熱管4内を流通する間に液槽3内の調理油と熱交換がされる。この際、伝熱管4の内部空間は、フィン部材22によって、中心の中空部31とその回りの多数の三角穴32及び矩形穴33とに分割されているから、伝熱管4内に流入した燃焼ガスは、これら中空部31、三角穴32、矩形穴33に分かれて流通し、その熱をフィン部材22の側板部24、内側の平板部25、外側の平板部26、並びに管体21にそれぞれ伝達して、これらの壁を伝わって液槽3内の調理油との間で熱交換し、該調理油を加熱することになる。
【0026】
また、フィン部材22が長さ方向に間隔をおいて二組設けられているから、フィン部材22の中空部31や各穴32、33に分かれて整然と流通した燃焼ガスは、最初のフィン部材22を通過し終わった時点で流路が広がるために一旦流れが乱された後、再度フィン部材22内に流通される。そして、その流れが乱されることにより攪拌作用が生じて、熱交換がより頻繁になされることになる。
【0027】
そして、伝熱管4が浸漬している調理油は、伝熱管4から伝わる熱によって高温になるが、伝熱管4より下方の部分は比較的温度が低く、主として伝熱管4より上方の部分が高温になり、その部分で揚げ物が揚げられる。揚げカスは液槽3の底部に沈むが、その部分は伝熱管4より下方であるため温度が低く、焦げにくくされている。
液槽3内の調理油が使用に供されなくなったら、液槽3の下方の開閉バルブを開いて、排出管から廃液タンク内に油が排出される。
【0028】
なお、前記実施形態においては、波板状フィン23を丸める際に、上側の平板部25を相互に接触させて、丸めた状態のフィン部材22においては中心に中空部31を形成するようにしているが、必ずしも平板部25を接触させる必要はなく、若干の隙間をあけておいてもよい。また、その波形の形状も、実施形態の断面矩形状に限らず、丸みを帯びた形状、三角形状等、種々の形状を採用することができる。
さらに管体への固着手段としてロウ付けを適用したが、必ずしもロウ付けでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態の液加熱装置を示す斜視図である。
【図2】図1の液加熱装置に使用されている伝熱管の斜視図である。
【図3】伝熱管の部分拡大断面図である。
【図4】伝熱管内のフィン部材を製作する際の原型となる波板状フィンの斜視図である。
【図5】伝熱管の製作工程を順に示す工程説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1…液加熱装置 2…架台 3…液槽 4…伝熱管 5…燃焼室 6…ダクト 7…バーナー 11…側壁 12…後部壁 13…前部壁 14…棚状壁 15…垂下壁 16…底壁 21…管体 22…フィン部材 23…波板状フィン 24…側板部 25…平板部 26…平板部 27…微小空間 28…ロウ材 31…中空部 32…三角穴 33…矩形穴

特許の図
【出願人】 【識別番号】506225662
【氏名又は名称】株式会社北山製作所
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉


【公開番号】 特開2008−8549(P2008−8549A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179476(P2006−179476)