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【発明の名称】 熱交換器および熱交換器を備えた空気調和装置の室内機
【発明者】 【氏名】岩田 育弘

【氏名】尾崎 隆浩

【氏名】岡本 昌和

【要約】 【課題】ドレンが伝熱フィンの間に停滞することを抑制し、空気を通過しやすい熱交換器、およびこの熱交換器を備えた空気調和装置の室内機を提供する。

【構成】本発明に係る熱交換器6〜6bは、冷媒に超臨界冷媒を利用して冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器であって、伝熱フィン群71〜74,71a〜74a,71b〜74bと、複数の伝熱管12とを備える。伝熱フィン群は、所定の間隔をあけて鉛直方向と平行に配置される板状の複数の伝熱フィン11〜11bにより形成される。複数の伝熱管は、伝熱フィン群を貫通する。空気流と交差する第1方向に伝熱管を配置してできる伝熱管列61〜68,61a〜68a,61b〜68bが、空気流の上流から下流に向かって4列以上形成される。複数の伝熱フィンは、その下端の第1辺75が水平面に対して傾いている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒に超臨界冷媒を利用して前記冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器であって、
所定の間隔をあけて鉛直方向と平行に配置される板状の複数の伝熱フィン(11〜11b)により形成される伝熱フィン群(71〜74,71a〜74a,71b〜74b)と、
前記伝熱フィン群を貫通する複数の伝熱管(12)と、
を備え、
空気流と交差する第1方向に前記伝熱管を配置してできる伝熱管列(61〜68,61a〜68a,61b〜68b)が、前記空気流の上流から下流に向かって4列以上形成され、
前記複数の伝熱フィンは、その下端の第1辺(75)が水平面に対して傾いている、
熱交換器(6〜6b)。
【請求項2】
前記第1辺は、水平面に対して45度以上の範囲で傾斜している、
請求項1に記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項3】
前記第1辺の2つの端部のうち上側の第1辺上端部(77)を含む第1面(80)は、前記第1辺と略垂直であり、
前記伝熱フィン群は、前記第1面より上側の部分が、カットされている、
請求項1または2に記載の熱交換器(6a)。
【請求項4】
前記空気流の通過を抑える第1板(60)をさらに備え、
前記第1板は、前記第1面に沿うよう前記伝熱フィン群の端部に設置される、
請求項3に記載の熱交換器(6a)。
【請求項5】
前記第1辺と前記伝熱フィンの上端の第2辺(76)とは、前記第1方向と略平行である、
請求項1から4のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項6】
前記第2辺の2つの端部のうち下側の第2辺下端部(78)を含む第2面(81)は、前記第2辺と略垂直であり、
前記複数の伝熱管は、前記第2面より下側の前記伝熱フィン群に挿入されていない、
請求項5に記載の熱交換器(6a)。
【請求項7】
前記複数の伝熱管は、鉛直方向に前記空気流が流れやすいように配置される、
請求項1または2のいずれかに記載の熱交換器(6b)。
【請求項8】
前記複数の伝熱管は、鉛直方向視において複数の隙間を空けて配置される、
請求項7に記載の熱交換器(6b)。
【請求項9】
前記複数の伝熱管は、前記空気流が前記第1方向に対して略垂直の第2方向に通過しにくいように配置される、
請求項7または8に記載の熱交換器(6b)。
【請求項10】
前記複数の伝熱管は、前記第2方向視において隙間なく配置される、
請求項9に記載の熱交換器(6b)。
【請求項11】
少なくとも1組の隣り合う前記伝熱管列の間で前記伝熱フィンが分割されている、
請求項1から10のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項12】
全ての隣り合う前記伝熱管列の間で前記伝熱フィンが分割されている、
請求項1から11のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項13】
前記冷媒は、暖房運転の際に、前記空気流の下流側の前記伝熱管列に属する前記伝熱管から、前記空気流の上流側の前記伝熱管列に属する前記伝熱管へ流れる、
請求項1から12のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項14】
前記空気流は、前記伝熱フィンの下部から上部へと流れる、
請求項1から13のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項15】
前記伝熱フィンは、表面が親水処理されている、
請求項1から14のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項16】
前記伝熱フィンは、表面が撥水処理されている、
請求項1から14のいずれかに記載の熱交換器(6〜6b)。
【請求項17】
請求項1の熱交換器(6〜6b)と、
前記空気流を生成するファン(53)と、
を備えた空気調和装置(1〜1b)の室内機(51〜51b)。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
冷房時のドレン対策を施した熱交換器、およびこの熱交換器を備えた空気調和装置の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置の室内機に備えられている熱交換器には、クロスフィン式で冷媒と空気とを熱交換させるものがある。このクロスフィン式の熱交換器は、空気流の流れ方向に略平行な複数枚のフィンを所定間隔で配置するとともに、これら各フィンをその板厚方向に貫通する多列の伝熱管群を配置して構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−22995号公報 ところで、熱交換器では、冷房時にドレンが発生することがある。ドレンは、伝熱フィンを伝って上部から下部へと落ちるが、伝熱フィンと伝熱フィンとの間に停滞して目詰まりを起こしてしまう場合がある。このような場合、それが大きな空気抵抗となり冷房能力の低下を引き起こすことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、ドレンが伝熱フィンの間に停滞することを抑制し、空気を通過しやすい熱交換器、およびこの熱交換器を備えた空気調和装置の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1発明に係る熱交換器は、冷媒に超臨界冷媒を利用して冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器であって、伝熱フィン群と、複数の伝熱管とを備える。伝熱フィン群は、所定の間隔をあけて鉛直方向と平行に配置される板状の複数の伝熱フィンにより形成される。複数の伝熱管は、伝熱フィン群を貫通する。空気流と交差する第1方向に伝熱管を配置してできる伝熱管列が、空気流の上流から下流に向かって4列以上形成される。複数の伝熱フィンは、その下端の第1辺が水平面に対して傾いている。
【0005】
本発明では、複数の伝熱フィンの下端を傾斜させることで、伝熱フィンの下端を伝ってドレンを排出させやすくしている。したがって、ドレンにより目詰まりを起こすことを低減でき、空気を通過させやすくすることができる。このため、冷房能力の低下を抑えることができる。
【0006】
第2発明に係る熱交換器は、第1発明に係る熱交換器であって、第1辺は、水平面に対して45度以上の範囲で傾斜している。
【0007】
この熱交換器では、第1辺を水平面に対して45度以上の範囲で傾斜させることにより、より効率よくドレンを熱交換器内部から排出させることができる。
【0008】
第3発明に係る熱交換器は、第1発明または第2発明に係る熱交換器であって、第1辺の2つの端部のうち上側の第1辺上端部を含む第1面は、第1辺と略垂直である。伝熱フィン群は、第1面より上側の部分を、カットされている。
【0009】
空気流は、熱交換器の通過するときに最短距離を取る傾向にある。伝熱管列が斜めに傾いているような熱交換器の場合に、空気流は、伝熱管列に対して垂直に近い方向で通過する傾向にある。したがって、第1面より上側は空気流が通過しにくくなる。すなわち、第1面より上側の伝熱フィンおよび伝熱管は、あまり熱交換に寄与しない。
【0010】
本発明では、第1面より上側の伝熱フィンをカットしている。このため、あまり熱交換をしていない部分を排除することができ、熱交換器の生産コストを削減することができる。
【0011】
第4発明に係る熱交換器は、第3発明に係る熱交換器であって、空気流の通過を抑える第1板をさらに備える。第1板は、第1面に沿うよう伝熱フィン群の端部に設置される。
【0012】
第3発明のように、第1面よりも上側の伝熱フィンをカットするだけでは、空気流が熱交換器全体を通ることなくカットされた部分から逃げていく恐れがある。
【0013】
本発明では、伝熱フィンをカットした部分に第1板を設けることにより、熱交換器に流入してくる空気流が伝熱フィンのカットされた部分から逃げていくことを防いでいる。したがって、熱交換器全体に空気流を行き渡らせることができ、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0014】
第5発明に係る熱交換器は、第1発明から第4発明のいずれかに係る熱交換器であって、第1辺と伝熱フィンの上端の第2辺とは、第1方向と略平行である。
【0015】
伝熱フィンの下端の第1辺および上端の第2辺と伝熱管列の方向とを平行にすることで、伝熱フィンの形状に伝熱管の配列を合わせることができる。したがって、熱交換にあまり寄与しない伝熱フィンの面積を少なくすることができる。このため、熱交換器の生産コストを削減することができる。
【0016】
第6発明に係る熱交換器は、第5発明に係る熱交換器であって、第2辺の2つの端部のうち下側の第2辺下端部を含む第2面は、第2辺と略垂直である。複数の伝熱管は、第2面より下側の伝熱フィン群に挿入されていない。
【0017】
空気流は、熱交換器内を最短経路で通過する傾向にあるため、第2面より下側の伝熱フィンおよび伝熱管は、あまり熱交換に寄与しない。
【0018】
本発明では、第2面より下側の伝熱管を挿入しないことで、ドレンが伝熱フィンを伝って落ちやすくしつつ、あまり熱交換をしていない部分を排除している。このため、熱交換器の生産コストを削減することができる。
【0019】
第7発明に係る熱交換器は、第1発明または第2発明に係る熱交換器であって、複数の伝熱管は、鉛直方向に空気流が流れやすいように配置される。
【0020】
この熱交換器では、空気流は熱交換器の最短経路を通過する傾向にあるため、熱交換器の中で空気流に対して熱交換にあまり寄与しない部分が出てくる。
【0021】
本発明では、例えば、伝熱管を鉛直方向対して隙間をあけるように並べることで、空気流を鉛直方向に流れやすくしている。したがって、熱交換器全体に渡って空気流を流すことができ、熱交換器全体を熱交換に寄与させることができる。このため、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0022】
第8発明に係る熱交換器は、第7発明に係る熱交換器であって、複数の伝熱管は、鉛直方向視おいて複数の隙間を空けて配置される。
【0023】
この熱交換器では、伝熱管を鉛直方向に隙間を空けて並べている。したがって、空気流を鉛直方向に流れやすくすることができる。このため、熱交換器全体に空気流を流すことができ、熱交換に寄与する面積を増加させることができる。これにより、効率よく熱交換を行うことができる。
【0024】
第9発明に係る熱交換器は、第7発明または第8発明に係る熱交換器であって、複数の伝熱管は、空気流が第1方向に対して略垂直の第2方向に通過しにくいように配置される。
【0025】
本発明では、第1方向に対して略垂直に空気流が流れにくくなるように伝熱管を並べることで、最短経路で空気流が通過しにくくなるようにしている。したがって、熱交換器全体に渡って空気流を流すことができ、熱交換器全体を熱交換に寄与させることができる。
【0026】
第10発明に係る熱交換器は、第9発明に係る熱交換器であって、複数の伝熱管は、第2方向視において隙間なく配置される。
【0027】
この熱交換器では、第2方向視において伝熱管を隙間無く並べることで、熱交換器内を最短距離で空気流が通過しにくくなるようにしている。
【0028】
第11発明に係る熱交換器は、第1発明から第10発明のいずれかに係る熱交換器であって、少なくとも1組の隣り合う伝熱管列の間で伝熱フィンが分割されている。
【0029】
超臨界冷媒を用いた空気調和装置では、暖房運転時に、室内熱交換器は冷媒を冷却するガスクーラとなっている。ガスクーラでは、熱交換器全体において冷媒の入口側と出口側とで温度が異なる。このため、隣り合う伝熱管列同士が伝熱フィンにより接続されていると、伝熱管同士で伝熱フィンを介した熱交換を行ってしまい、熱損失が生じる恐れがある。
【0030】
本発明では、伝熱フィンを隣り合う伝熱管列の間で分割することで、伝熱フィンを介した熱交換を行われにくいようにしている。このため、この熱交換によって生じる熱損失を抑えることができる。
【0031】
第12発明に係る熱交換器は、第1発明から第11発明のいずれかに係る熱交換器であって、全ての隣り合う伝熱管列の間で伝熱フィンが分割されている。
【0032】
この空気調和装置の室内機では、1列の伝熱管列ごとに伝熱フィンが分割されている。したがって、より多くの伝熱管同士が伝熱フィンを介した熱交換を行うことを低減することができる。
【0033】
第13発明に係る熱交換器は、第1発明から第12発明のいずれかに係る熱交換器であって、冷媒は、暖房運転の際に、空気流の下流側の伝熱管列に属する伝熱管から、空気流の上流側の伝熱管列に属する伝熱管へ流れる。
【0034】
暖房運転の際に、冷媒の流れ方向と空気流の方向とを対向させることで、熱交換器全体における冷媒と空気との温度差を大きく保つことができる。このため、効率よく暖房運転を行うことができる。
【0035】
第14発明に係る熱交換器は、第1発明から第13発明に係る熱交換器であって、空気流は、伝熱フィンの下部から上部へと流れる。
【0036】
下吸い込み上吹き出し型室内機では、熱交換器の下部からの風により、ドレンが落下しにくくなる。このような熱交換器においても、ドレンの目詰まりを低減できる。
【0037】
第15発明に係る熱交換器は、第1発明から第14発明のいずれかに係る熱交換器であって、伝熱フィンは、表面が親水処理されている。
【0038】
伝熱フィンの表面が親水処理されているため、ドレンが発生した場合に、伝熱フィンを伝わせてドレンが流れやすいようにすることができる。
【0039】
第16発明に係る熱交換器は、第11発明から第14発明のいずれかに係る熱交換器であって、伝熱フィンは、表面が撥水処理されている。
【0040】
伝熱フィンの表面が撥水処理されているため、ドレンが発生した場合に、ドレンをはじいて熱交換器から落としやすくすることができる。
【発明の効果】
【0041】
第1発明に係る熱交換器では、複数の伝熱フィンの下端を傾斜させることで、伝熱フィンの下端を伝ってドレンを排出させやすくしている。したがって、ドレンにより目詰まりを起こすことを低減でき、空気を通過させやすくすることができる。このため、冷房能力の低下を抑えることができる。
【0042】
第2発明に係る熱交換器では、第1辺を水平面に対して45度以上の範囲で傾斜させることにより、より効率よくドレンを熱交換器内部から排出させることができる。
【0043】
第3発明に係る熱交換器では、第1面より上側の伝熱フィンをカットしている。このため、あまり熱交換をしていない部分を排除することができ、熱交換器の生産コストを削減することができる。
【0044】
第4発明に係る熱交換器では、伝熱フィンをカットした部分に第1板を設けることにより、熱交換器に流入してくる空気流が伝熱フィンのカットされた部分から逃げていくことを防いでいる。したがって、熱交換器全体に空気流を行き渡らせることができ、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0045】
第5発明に係る熱交換器では、伝熱フィンの下端の第1辺および上端の第2辺と伝熱管列の方向とを平行にすることで、伝熱フィンの形状に伝熱管の配列を合わせることができる。したがって、熱交換にあまり寄与しない伝熱フィンの面積を少なくすることができる。このため、熱交換器の生産コストを削減することができる。
【0046】
第6発明に係る熱交換器では、第2面より下側の伝熱管を挿入しないことで、ドレンが伝熱フィンを伝って落ちやすくしつつ、あまり熱交換をしていない部分を排除している。このため、熱交換器の生産コストを削減することができる。
【0047】
第7発明に係る熱交換器では、空気流を鉛直方向に流れやすくしている。したがって、熱交換器全体に渡って空気流を流すことができ、熱交換器全体を熱交換に寄与させることができる。このため、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0048】
第8発明に係る熱交換器では、空気流を鉛直方向に流れやすくすることができる。このため、熱交換器全体に空気流を流すことができ、熱交換に寄与する面積を増加させることができる。これにより、効率よく熱交換を行うことができる。
【0049】
第9発明に係る熱交換器では、第1方向に対して略垂直に空気流が流れにくくなるように伝熱管を並べることで、最短経路で空気流が通過しにくくなるようにしている。したがって、熱交換器全体に渡って空気流を流すことができ、熱交換器全体を熱交換に寄与させることができる。
【0050】
第10発明に係る熱交換器では、第2方向視において伝熱管を隙間無く並べることで、熱交換器内を最短距離で空気流が通過しにくくなるようにしている。
【0051】
第11発明に係る熱交換器では、伝熱フィンを隣り合う伝熱管列の間で分割することで、伝熱フィンを介した熱交換を行われにくいようにしている。このため、この熱交換によって生じる熱損失を抑えることができる。
【0052】
第12発明に係る熱交換器では、1列の伝熱管列ごとに伝熱フィンが分割されている。したがって、より多くの伝熱管同士が伝熱フィンを介した熱交換を行うことを低減することができる。
【0053】
第13発明に係る熱交換器では、暖房運転の際に、冷媒の流れ方向と空気流の方向とを対向させることで、熱交換器全体における冷媒と空気との温度差を大きく保つことができる。このため、効率よく暖房運転を行うことができる。
【0054】
第14発明に係る熱交換器では、下吸い込み上吹き出し型室内機では、熱交換器の下部からの風により、ドレンが落下しにくくなる。このような熱交換器においても、ドレンの目詰まりを低減できる。
【0055】
第15発明に係る熱交換器では、伝熱フィンの表面が親水処理されているため、ドレンが発生した場合に、伝熱フィンを伝わせてドレンが流れやすいようにすることができる。
【0056】
第16発明に係る熱交換器では、伝熱フィンの表面が撥水処理されているため、ドレンが発生した場合に、ドレンをはじいて熱交換器から落としやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
<空気調和装置の冷凍回路>
図1は、CO2冷媒を使用した空気調和装置1の冷凍回路である。空気調和装置1は、圧縮機2、四路切換弁3、室外熱交換器4、膨張弁5、および室内熱交換器6を、冷媒配管7で連結した冷凍回路を有する。図1において、実線および破線の矢印は冷媒の流れ方向を示している。空気調和装置1は、四路切換弁3で冷媒の流れ方向を切り換える事により、暖房運転と冷房運転とを切り換えることができる。
【0058】
冷房運転時においては、室外熱交換器4がガスクーラとなり、室内熱交換器6が蒸発器となる。一方、暖房運転時においては、室外熱交換器4が蒸発器となり、室内熱交換器6がガスクーラとなる。室外熱交換器4および室内熱交換器6は、それぞれ伝熱フィン11(図3参照)と伝熱管12(図3参照)とから成り、伝熱管12内の冷媒が空気流を介して伝熱フィン11と熱交換を行う。
【0059】
図1において、A点は暖房運転時における圧縮機2の吸入側であり、B点は暖房運転時における圧縮機2の吐出側である。C点は暖房運転時における室内熱交換器6の冷媒出口側であり、D点は暖房運転時における室外熱交換器4の冷媒入口側である。
【0060】
図2(a)は、CO2冷媒の圧力−エンタルピー状態図であり、縦軸が圧力P、横軸がエンタルピーhを表す。Tkは臨界点Kを通る等温線であり、Txは温度Txの等温線である。Tx>Tkであり等温線Tkの右側では、CO2冷媒が液化も2相化も起こらない。等温線Tkの右側で臨界圧Pk以上の領域を超臨界状態と呼び、第1実施形態の熱交換器を使用する空気調和装置1では、超臨界状態を含む冷凍サイクルで運転される。図2(a)のA、B、C、Dは、図1のA、B、C、Dの点に対応した冷媒の状態を表している。
【0061】
図2(b)は、CO2冷媒の温度−エントロピー状態図であり、縦軸は温度T、横軸はエントロピーsを表す。図2(b)のA、B、C、Dは、図1のA、B、C、Dの点に対応した冷媒の状態を表している。冷媒の温度は、圧縮機2の吐出側であるB点を出てから、室内熱交換器6の冷媒出口であるC点へ至るまでの間に低下する。このため、室内熱交換器6表面の温度は、冷媒の上流側の温度が高く下流側の温度が低くなる温度分布となっている。したがって、空気流が、冷媒の下流側から冷媒の上流側に向かって通過する方が、空気と室内熱交換器6との温度差が安定し、空気と室内熱交換器6との熱交換量が増加する。
【0062】
<室内熱交換器の構造>
図3は、本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の室内熱交換器の斜視図である。室内熱交換器6は、クロスフィン式の熱交換器である。伝熱フィン11は、薄いアルミニウム製の平板であり、一枚の伝熱フィン11には複数の貫通孔14が形成されている。伝熱管12は、伝熱フィン11の貫通孔14に挿入される直管12aと、隣り合う直管12aの端部同士を連結するU字管12bとから成る。なお、第1実施形態の伝熱管12は、直管12aとU字管12bとが一体に形成されており、図3背面側のU字管(図示せず)は、直管12aが伝熱フィン11の貫通孔14に挿入された後で、溶接などによって直管12aの端部に連結される。
【0063】
空気流は、室内熱交換器6内部を通り、伝熱管12内を流れる冷媒と熱交換を行っている。空気流と交差する方向に並ぶ伝熱管12の伝熱管列61〜68は、空気流の上流から空気流の下流に向かって8列配置されている。冷媒は、空気流の下流側の伝熱管列68に属する伝熱管12から、空気流の上流側の伝熱管列61に属する伝熱管12に流れる。この冷媒の流通経路はパス91(図4参照)と呼ばれ、このパス91によって、空気流と冷媒の流れとは、対向するようになり、対向しないものと比べて熱交換量が増加する。但し、実験によって、伝熱管列が3列以下の熱交換器では、空気流と冷媒の流れとが対向しても対向しなくても、効果に大差はないことがわかっている。
【0064】
なお、図3の伝熱管12内に描いた破線の矢印は、上述した冷媒が流れるパス91(図4参照)であり、接続管12d(図4参照)が隣り合う伝熱管列61〜68の互いに反対の方向の端に位置する伝熱管12同士を接続している。
【0065】
伝熱フィン11は、伝熱管列62と伝熱管列63との間で分割されている。この分割は、伝熱管列64と伝熱管列65との間、および伝熱管列66と伝熱管列67との間にも実施されている。伝熱フィン11は、伝熱管列61および伝熱管列62が挿入されている伝熱フィン群71と、伝熱管列63および伝熱管列64が挿入されている伝熱フィン群72と、伝熱管列65および伝熱管列66が挿入されている伝熱フィン群73と、伝熱管列67および伝熱管列68が挿入されている伝熱フィン群74とに分けられる。これによって、伝熱フィン11表面の熱は分割部13を超えて移動することはほとんどできなくなる。
【0066】
また、伝熱フィン11は、伝熱フィン群71の下端の第1辺75と伝熱フィン群74の上端の第2辺76とが水平面に対して45度傾いている。さらに、伝熱フィン11は、その表面が親水処理を施されている。この室内熱交換器6は、室内機が冷房運転をする際に、蒸発器となる。このため、ドレンが発生する。このように、室内熱交換器6の伝熱フィン群71〜74の下端の第1辺75を傾斜させて設置することにより、ドレンを伝熱フィン11の第1辺75を伝わらせて落下させやすくしている。これにより、ドレンによる目詰まりを低減しており、室内熱交換器6内部に空気が通りやすくなるようにしている。
【0067】
<空気調和装置の構成>
図4は、本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の室内機の縦断面図である。室内機51は、ケーシング52内部に室内熱交換器6を搭載している。室内熱交換器6の上方には、空気流を発生させるファン53が配置されており、ファン53の上方には、空気吹出口52aが設けられている。室内熱交換器6の下方には、空気吸込口52bが設けられている。なお、第1実施形態で使用するファン53は、シロッコファンである。
【0068】
伝熱管12の中心間を結ぶ線は、暖房運転時に冷媒が流れるパス91を示しており、実線は図の手前側にあるU字管12bを示し、破線は、反対側にあるU字管(図示せず)および接続管(図示せず)を示す。暖房運転時、冷媒は室内熱交換器6のパス91内を上方から下方へ向かって流れ、空気流は、室内熱交換器6の下方から上方へ向かって流れる。このため、空気流は、空気吹出口52aに近づくにつれてより高い温度の冷媒と熱交換を行ない温度上昇するので、室内熱交換器6がガスクーラとして機能するときの放熱工程の全域を通じて冷媒温度と空気温度との温度差が適正に維持される。
【0069】
<第1実施形態の特徴>
(1)
本発明の室内熱交換器6では、複数の伝熱フィン11の下端の第1辺75を水平面に対して45度傾斜させることで、伝熱フィン11の下端の第1辺75を伝ってドレンを排出させやすくしている。したがって、ドレンが目詰まりを起こすことを低減でき、空気を通過させやすくすることができる。このため、冷房能力の低下を抑えることができる。また、本実施例のような、下吸い込み上吹き出し型の室内機51では、ドレンが室内熱交換器6の下部からの風により落下しにくくなる。このような室内熱交換器6においても、ドレンの目詰まりを低減できる。
【0070】
(2)
伝熱フィン群71の第1辺75と伝熱フィン群74の第2辺76とを、伝熱管列61〜68の列方向と平行にすることで、伝熱フィン11の形状に伝熱管12の配列を合わせることができる。したがって、熱交換にあまり寄与しない伝熱フィン11の面積を少なくすることができる。このため、室内熱交換器6の生産コストを削減することができる。
【0071】
(3)
本発明の室内熱交換器6では、伝熱フィン11を隣り合う伝熱管列の間で分割することで、伝熱フィン11を介した熱交換を行わないようにしている。このため、この熱交換によって生じる熱損失を抑えることができる。
【0072】
(4)
暖房運転の際に、冷媒の流れ方向と空気流の方向とを対向させることで、室内熱交換器6全体における冷媒と空気との温度差を大きく保つことができる。このため、効率よく暖房運転を行うことができる。
【0073】
(5)
伝熱フィン11の表面が親水処理されているため、ドレンが発生した場合に、伝熱フィン11を伝わせてドレンが流れやすいようにすることができる。
【0074】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る熱交換器について、以下に、主として第1実施形態の室内熱交換器6との相違点について説明する。
【0075】
<室内熱交換器の構造>
図5は、本発明の第2実施形態に係る空気調和装置1aの縦断面図である。室内熱交換器6aは、クロスフィン式の熱交換器であり、主に、伝熱フィン11aと伝熱管12とから構成されている。
【0076】
伝熱管12は、空気流と交差する方向に並んでおり、伝熱管列61a〜68aが空気流の上流から空気流の下流に向かって8列配置されている。冷媒は、空気流の下流側の伝熱管列68aに属する伝熱管12から、空気流の上流側の伝熱管列61aに属する伝熱管12に流れる。この冷媒の流通経路はパス91a(図6参照)と呼ばれ、このパス91aによって、空気流と冷媒の流れとは、対向するようになり、対向しないものと比べて熱交換量が増加する。
【0077】
伝熱フィン11aは、伝熱管列62aと伝熱管列63aとの間で分割されている。これは、伝熱管列64aと伝熱管列65aとの間、および伝熱管列66aと伝熱管列67aとの間にも実施されている。これによって、伝熱フィン11a表面の熱は分割部13aを超えて移動することはできなくなる。
【0078】
また、伝熱フィン11aは、下端の第1辺75を水平面に対して45度傾いている。すなわち、伝熱フィン群71a〜74aの下端の第1辺75が水平面に対して45度傾いている。この室内熱交換器6aは、第1実施形態における室内熱交換器6と比べて、伝熱フィン群71aの下端の第1辺75の2つある端部のうち上側の第1端部77を含み、かつ、伝熱フィン群71aの下端の第1辺75と垂直な第1面80において、伝熱フィン群71a〜74aをカットしている。そして、このカットされた伝熱フィン群71a〜74aの端部に空気通過防止板60が接続されている。また、この室内熱交換器6aでは、第2辺76の2つある端部のうち下側の第2端部78を含んで空気通過防止板と平行な第2面81よりも下側の伝熱フィン11aに、伝熱管12は貫通していない。
【0079】
空気流は、熱交換器の通過経路として最短距離を取る傾向がある。第1実施形態のように伝熱管列61〜68が斜めに傾いているような室内熱交換器6の場合に、空気流は、伝熱管列61〜68に対して垂直に近い方向(図4の破線白抜き矢印A1参照)で通過する。このため、空気通過防止板60よりも上部の空間および第2面81よりも下部の空間には、あまり空気流が通らなくなる。第1実施形態の室内熱交換器6における伝熱フィン11と比べると、第2実施形態の室内熱交換器6aにおける伝熱フィン11aでは、第1面80よりも上部の部分がカットされている。そして、カットされた部分に空気通過防止板60を設けることで、カットした部分から空気流が逃げていかないようにし、室内熱交換器6a全体に空気流が行き渡るようにしている。そして、空気流は、図5の破線白抜き矢印A2のように流れる。第2実施形態の室内熱交換器6aでは、空気流があまり通らずに熱交換に寄与しにくい部分を排除して、生産コストの削減を図っている。また、第2面81よりも下部の伝熱フィン11aに伝熱管12を挿入していないことにより、同様に生産コストの削減を図っている。すなわち、この室内熱交換器6aでは、熱交換に寄与しにくい部分を排除することにより、熱交換の能力をあまり低下させることなく、生産コストを削減することができる。
【0080】
<第2実施形態の特徴>
第2実施形態に係る室内熱交換器6aでは、第1面80より上側の伝熱フィン11aがカットされている。そして、伝熱フィン11aがカットされた部分に空気通過防止板60が設けられている。また、伝熱フィン11aの第2面81より下側に伝熱管12を貫通させていない。
【0081】
このため、あまり熱交換をしていない部分を排除することができ、室内熱交換器6aの生産コストを削減することができる。また、室内熱交換器6aに流入してくる空気流をカットされた部分から逃がすことを防ぐことができ、室内熱交換器6a全体に空気流を行き渡らせることができる。これにより、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0082】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る熱交換器について、以下に、主として、第1実施形態の室内熱交換器6および第2実施形態の室内熱交換器6aとの相違点について説明する。
【0083】
<室内熱交換器の構造>
図6は、本発明の第3実施形態に係る空気調和装置1bの縦断面図である。室内熱交換器6bは、クロスフィン式の熱交換器であり、主に、伝熱フィン11bと伝熱管12とから構成されている。
【0084】
伝熱管12は、空気流と交差する方向に並んでおり、伝熱管列61b〜68bが空気流の上流から空気流の下流に向かって8列配置されている。冷媒は、空気流の下流側の伝熱管列68bに属する伝熱管12から、空気流の上流側の伝熱管列61bに属する伝熱管12に流れる。この冷媒の流通経路はパス91b(図6参照)と呼ばれ、このパス91bによって、空気流と冷媒の流れとは、対向するようになり、対向しないものと比べて熱交換量が増加する。
【0085】
伝熱フィン11bは、伝熱管列62bと伝熱管列63bとの間で分割されている。これは、伝熱管列64bと伝熱管列65bとの間、および伝熱管列66bと伝熱管列67bとの間にも実施されている。これによって、伝熱フィン11b表面の熱は分割部13bを超えて移動することはできなくなる。また、伝熱フィン11bは、下端の第1辺75を水平面に対して45度傾いている。すなわち、伝熱フィン群71b〜74bの下端の第1辺75が水平面に対して45度傾いている。
【0086】
また、伝熱管列61b〜68bは、室内熱交換器6bの上面視において、伝熱管12の直管12aが重なるように配置され、かつ、隣り合う伝熱管12の直管12aと隙間が空くように配置される。すなわち、空気流が伝熱管12の直管12aの間を鉛直方向(図6の破線白抜き矢印A3参照)に突き抜けるように形成されている。さらに、伝熱管12の直管12aは、伝熱フィン11bの下端の第1辺75に対する垂直視において、全て隙間が無く重ねて配置される。すなわち、伝熱フィン11bの下端の第1辺75に対する垂直視において、室内熱交換器6b全体を突き抜ける隙間がないように伝熱管12の直管12aが配置される。空気流は、熱交換器の通過経路として最短距離を取る傾向がある。本発明のように伝熱管列61b〜68bが斜めに傾いているような室内熱交換器6bの場合に、空気流は、伝熱管列61b〜68bに対して垂直に近い方向(図6の破線白抜き矢印A4参照)で通過しようとする。第3実施形態に係る室内熱交換器6bでは、破線白抜き矢印A4のように伝熱管列61b〜68bに対して垂直に近い方向に空気流が流れようとすると、室内熱交換器6b内の伝熱管12に進路を妨害される(図6の破線白抜き矢印A4の先端の×印参照)。この室内熱交換器6bでは、空気流は、室内熱交換器6内部を最短経路で通過しにくくなっており、鉛直方向に通過しやすくなっている。このため、室内熱交換器6b全体に渡って空気流を流すことができ、室内熱交換器6b全体を熱交換に寄与させることができる。
【0087】
<第3実施形態の特徴>
第3実施形態に係る室内熱交換器6bでは、伝熱管12を鉛直方向対して隙間をあけるように並べることで、空気流を鉛直方向に流れやすくしている。また、伝熱管列61〜68に対して垂直の方向視において、伝熱管12を隙間無く並べることで、空気流の流通経路が室内熱交換器6b内部で最短距離を取らないようにしている。したがって、室内熱交換器6b全体に渡って空気流を流すことができ、室内熱交換器6b全体を熱交換に寄与させることができる。このため、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0088】
<変形例>
(1)
上記実施形態に係る室内熱交換器6〜6bでは、伝熱フィン群1つに対して伝熱管列が2列貫通しているが、これに限らず、伝熱フィン群1つに対して伝熱管列が1列貫通する構成にしても構わない。
【0089】
(2)
上記実施形態に係る室内熱交換器6〜6bでは、床置き型の空気調和装置であるが、これに限らず、壁掛型、天井埋め込み型、壁埋め込み型などであっても構わない。
【0090】
(3)
上記実施形態に係る室内熱交換器6〜6bでは、伝熱フィン11の表面は親水処理を施されていたが、これに限らず、撥水処理でも構わない。
【0091】
この室内熱交換器では、ドレンが発生した場合に、ドレンをはじいて熱交換器から落としやすくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る熱交換器は、冷房能力の低下を抑えることができ、冷房時のドレン対策を施した熱交換器等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】CO2冷媒を使用した空気調和装置の冷凍回路。
【図2】(a)CO2冷媒の圧力−エンタルピー状態図。 (b)CO2冷媒の温度−エントロピー状態図。
【図3】第1実施形態に係る空気調和装置の室内熱交換器の斜視図。
【図4】空気調和装置の縦断面図。
【図5】第2実施形態に係る空気調和装置の縦断面図。
【図6】第3実施形態に係る空気調和装置の縦断面図。
【符号の説明】
【0094】
6〜6b 室内熱交換器(熱交換器)
11〜11b 伝熱フィン
12 伝熱管
60 空気通過防止板(第1板)
61〜68,61a〜68a,61b〜68b 伝熱管列
71〜74,71a〜74a,71b〜74b 伝熱フィン群
75 第1辺
76 第2辺
77 第1端部(第1辺上端部)
78 第2端部(第2辺下端部)
80 第1面
81 第2面

特許の図
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男

【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠

【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣

【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修


【公開番号】 特開2008−8542(P2008−8542A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178158(P2006−178158)