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【発明の名称】 一体型熱交換器
【発明者】 【氏名】早坂 厚

【氏名】真田 良一

【氏名】中下 功一

【氏名】山本 宏一

【要約】 【課題】1つの熱交換器コアに互いに独立した2つ以上の熱交換器部を有する一体型熱交換器において、チューブの熱歪みを低減する。

【構成】熱媒体が流通する平行に配置された複数のチューブ1と、チューブ1の外表面に接合されて熱媒体の熱交換を促進するフィン2とを有するコア部3と、チューブ1の長手方向両端部にてチューブ1の長手方向と直交する方向に延びてチューブ1と連通するヘッダタンク4とを備え、複数のチューブ1のうち特定の隣接する2つのチューブを、熱媒体が流通しないダミーチューブ10として構成し、2つのダミーチューブ10の間を境として、ヘッダタンク4を分割し、コア部3に、2つのダミーチューブ10を境界として、互いに独立したATFクーラ部31およびコンデンサ部32を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体が流通する平行に配置された複数のチューブ(1)と、前記チューブ(1)の外表面に接合されて前記熱媒体の熱交換を促進するフィン(2)とを有するコア部(3)と、
前記チューブ(1)の長手方向両端部にて前記チューブ(1)の長手方向と直交する方向に延びて前記チューブ(1)と連通するヘッダタンク(4)とを備え、
前記複数のチューブ(1)のうち特定の隣接する2つのチューブは、前記熱媒体が流通しないダミーチューブ(10)として構成されており、
前記2つのダミーチューブ(10)の間を境として、前記ヘッダタンク(4)が分割されており、
前記コア部(3)には、前記2つのダミーチューブ(10)を境界として、互いに独立した熱交換器部(31、32)が構成されていることを特徴とする一体型熱交換器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの熱交換器コアに互いに独立した2つ以上の熱交換器部を有する一体型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、エンジン冷却用のラジエータや、空調冷媒冷却用のコンデンサの他に、オートマチック車用トランスミッションオイル冷却用のオイルクーラ(ATFクーラ)や、エンジンオイル冷却用のオイルクーラ、近年のいわゆるハイブリッド車両においては電動モータの制御を行うインバータ等の電子部品冷却用のラジエータ等、多くの熱交換器が備えられている。
【0003】
近年、車両の衝突安全性に伴う熱交換器の薄幅化、コンパクト化による設置スペースの節減、組み付け作業工数の削除等が望まれている。その対応として、1つの熱交換器の上下一対のヘッダ(タンク)内を、互いに対応する位置で仕切板で仕切ることにより、1つの熱交換器コアに互いに独立した第1の熱交換器部と第2の熱交換器部の2つの熱交換器機能を持たせるようにした一体型熱交換器が知られている。
【0004】
このような一体型熱交換器において、第1の熱交換器部と第2の熱交換器部は、互いにその使用用途が異なるので、熱媒体の温度も互いに異なっている。このため、2つの熱交換器部の境界部分に大きな温度差が発生する。これにより、2つの熱交換器部の境界部分に大きな熱応力が発生し、境界部分に位置するチューブとヘッダタンクとの接合部に亀裂が発生する可能性があった。
【0005】
これに対し、2つの熱交換器部の境界部分に位置するチューブを熱媒体が流れないダミーチューブにするとともに、ダミーチューブを境にタンクを分割することで、2つの熱交換器部間相互の熱伝達を抑制し、熱応力を低減する一体型熱交換器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−18880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の一体型熱交換器では、チューブとダミーチューブとの間に配設されているフィンを介して熱応力が伝達するため、ダミーチューブに隣接するチューブに大きな熱歪みが発生し、それによりチューブが破損するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、1つの熱交換器コアに互いに独立した2つ以上の熱交換器部を有する一体型熱交換器において、チューブの熱歪みを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、熱媒体が流通する平行に配置された複数のチューブ(1)と、チューブ(1)の外表面に接合されて熱媒体の熱交換を促進するフィン(2)とを有するコア部(3)と、チューブ(1)の長手方向両端部にてチューブ(1)の長手方向と直交する方向に延びてチューブ(1)と連通するヘッダタンク(4)とを備え、複数のチューブ(1)のうち特定の隣接する2つのチューブは、熱媒体が流通しないダミーチューブ(10)として構成されており、2つのダミーチューブ(10)の間を境として、ヘッダタンク(4)が分割されており、コア部(3)には、2つのダミーチューブ(10)を境界として、互いに独立した熱交換器部(31、32)が構成されていることを特徴としている。
【0009】
このように、複数のチューブ(1)のうち特定の隣接する2つのチューブをダミーチューブ(10)とするとともに、2つのダミーチューブ(10)を境としてヘッダタンク(4)を分割することで、互いに独立した熱交換器部(31、32)間の温度差に基づく熱応力を2つのダミーチューブ(10)によって吸収することができる。これにより、チューブ(1)の熱歪みを低減することが可能となる。
【0010】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る一体型熱交換器を示す正面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の一体型熱交換器は、複数のチューブ1およびフィン2からなる1つのコア部3と、コア部3の左右両端部に組み付け配置される一対のヘッダタンク4とを有している。
【0013】
チューブ1は熱媒体が流れる管であり、このチューブ1は、空気の流通方向(紙面垂直方向)が長径方向と一致するように扁平状に形成されているとともに、その長手方向が水平方向に一致するように鉛直方向に複数本平行に配置されている。フィン2は、波状に成形されるとともに、チューブ1の両側の扁平面に接合されており、このフィン2により空気との伝熱面積を増大させて熱媒体と空気との熱交換を促進している。また、コア部3の両端部には、チューブ1の長手方向と略平行に延びてコア部3を補強するインサート5が設けられている。
【0014】
ヘッダタンク4は、チューブ1の長手方向端部(本実施形態では、左右端)にてチューブ1の長手方向と直交する方向(本実施形態では、鉛直方向)に延びて複数のチューブ1と連通するもので、このヘッダタンク4は、チューブ1が挿入接合されたコアプレート4aと、コアプレート4aとともにタンク内空間を構成するタンク本体4bとを有して構成されている。
【0015】
図2は、図1のA部拡大図である。図1および図2に示すように、コア部3は、オートマチック車用トランスミッションオイル冷却用のオイルクーラ部(以下、ATFクーラ部31という)と、空調冷媒冷却用のコンデンサ部32とを構成するものである。本実施形態では、ATFクーラ部31が鉛直方向上方側に配置され、コンデンサ部32が鉛直方向下方側に配置されている。なお、ATFクーラ部31およびコンデンサ部32が、本発明の熱交換器部に相当している。
【0016】
ATFクーラ部31とコンデンサ部32との境界部に配設される2つのチューブは、熱媒体が流れないダミーチューブ10となっている。本実施形態では、ダミーチューブ10は、その長手方向両端部を閉塞することにより形成されている。
【0017】
ヘッダタンク4は、2つのダミーチューブ10の間を境として、ヘッダタンク長手方向(鉛直方向)に2つに分割されている。すなわち、ヘッダタンク4は、ATFクーラ部31に対応するATFクーラ用ヘッダ41と、コンデンサ部32に対応するラジエータ用ヘッダ42とに分割されており、ラジエータ用ヘッダ42は、ATFクーラ用ヘッダ41からヘッダタンク長手方向(鉛直方向)に沿って間隔をおいて配置されている。
【0018】
次に、本実施形態の作動を説明する。図3は、本実施形態における一体型熱交換器においてATFクーラ部31およびコンデンサ部32の温度差が大きくなった状態を示す正面図である。ATFクーラ部31およびコンデンサ部32の温度差が大きくなると、図3に示すように、ATFクーラ部31およびコンデンサ部32の間に配設されているフィンを介して、2つのダミーチューブ10に大きな熱歪みが発生する。このとき、チューブ1にはほとんど熱歪みが発生していない。
【0019】
以上説明したように、複数のチューブ1のうち特定の隣接する2つのチューブをダミーチューブ10とするとともに、2つのダミーチューブ10を境としてヘッダタンク4を分割することで、ATFクーラ部31およびコンデンサ部32の温度差に基づく熱応力を2つのダミーチューブ10によって吸収することができる。これにより、チューブ1の熱歪みを低減することが可能となる。
【0020】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、熱媒体が水平方向に流れるクロスフロー型の熱交換器に本発明を適用した実施形態について述べたが、熱媒体が上下方向に流れるダウンフロー型の熱交換器に本発明を適用することもできる。
【0021】
なお、上記実施形態では、熱交換器部としてATFクーラ部31およびコンデンサ部32を用いたが、これに限らず、エンジン冷却用のラジエータ部、エンジンオイル冷却用のオイルクーラ部、およびハイブリッド車両における電動モータの制御を行うインバータ等の電子部品冷却用のラジエータ部等を用いることができる。
【0022】
また、上記実施形態では、隣接する2つのダミーチューブ10を1組設けるとともにヘッダタンク4を2つに分割したが、これに限らず、ダミーチューブ10を2組以上設けるとともにヘッダタンク4を3つ以上に分割してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る一体型熱交換器を示す正面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】本発明の実施形態における一体型熱交換器においてATFクーラ部31およびコンデンサ部32の温度差が大きくなった状態を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1…チューブ、2…フィン、3…コア部、4…ヘッダタンク、10…ダミーチューブ、31…ATFクーラ部(熱交換器部)、32…コンデンサ部(熱交換器部)。

特許の図
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二

【識別番号】100108198
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 高広

【識別番号】100111578
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 史博


【公開番号】 特開2008−2723(P2008−2723A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170914(P2006−170914)