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【発明の名称】 制御装置
【発明者】 【氏名】猿渡 博孝

【氏名】松浦 弘幸

【氏名】林 万里央

【要約】 【課題】空調機の異常発生時に備えて、その異常の要因分析に必要な情報を記憶する制御装置を提供する。

【構成】制御装置4は、空調室外機2と空調室内機3とで構成された空調機1を制御する制御装置であって、マイコン5とメモリ6を備えている。マイコン6は、空調室外機2に設けられた室外通信部21と、空調室内機3に設けられた室内通信部31との間で信号の送受信を行なわせる。メモリ6は、マイコン5からの命令によって所定情報を記憶する。そして、マイコン5は、空調機1の信号の送受信状態を含む運転情報を一定時間毎にメモリ6に記憶させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室外機(2)と空調室内機(3)とで構成された空調機(1)を制御する制御装置であって、
前記空調室外機(2)に設けられた室外通信部(21)と、前記空調室内機(3)に設けられた室内通信部(31)との間で信号の送受信を行なわせるマイコン(5)と、
前記マイコン(5)からの命令によって所定情報を記憶するメモリ(6)と、
を備え、
前記マイコン(5)は、前記空調機(1)の前記信号の送受信状態を含む運転情報を一定時間毎にメモリ(6)に記憶させる、
制御装置(4)。
【請求項2】
前記メモリ(6)は、前記運転情報を記憶する所定数の領域(61〜74)を有し、
前記マイコン(5)が新たな前記運転情報を前記メモリ(6)に記憶させるときに、前記領域(61〜74)が全て使用されている場合は、最も古い前記運転情報を記憶している前記領域に、新たな前記運転情報を上書きする、
請求項1に記載の制御装置(4)。
【請求項3】
前記運転情報には、前記マイコン(5)および前記メモリ(6)が配置されている場所の雰囲気温度が含まれている、
請求項1に記載の制御装置(4)。
【請求項4】
前記マイコン(5)は、前記室外通信部(21)が前記一定時間内に前記室内通信部(31)からの信号を正常に受信することができなかった回数に基づいて受信異常発生率を算出し、前記受信異常発生率を前記運転情報として前記メモリ(6)に記憶させる、
請求項1に記載の制御装置(4)。
【請求項5】
前記メモリ(6)が不揮発性である、
請求項1に記載の制御装置(4)。
【請求項6】
前記マイコン(5)は、前記運転情報を前記空調機(1)から離れた端末装置へ送信する、
請求項1に記載の制御装置(4)。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機の制御装置では、空調機に異常が発生したときの要因分析を容易にする目的で、異常発生時の運転情報をメモリに記憶させる方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−156829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、提供される情報が異常発生時の運転情報であるため、詳細な要因分析を実施するには不十分である。
【0004】
本発明の課題は、空調機の異常発生時に備えて、その異常の要因分析に必要な情報を記憶する制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る制御装置は、空調室外機と空調室内機とで構成された空調機を制御する制御装置であって、マイコンとメモリを備えている。マイコンは、空調室外機に設けられた室外通信部と、空調室内機に設けられた室内通信部との間で信号の送受信を行なわせる。メモリは、マイコンからの命令によって所定情報を記憶する。そして、マイコンは、空調機の信号の送受信状態を含む運転情報を一定時間毎にメモリに記憶させる。
【0006】
この制御装置では、空調機の異常発生時に備えて、マイコンが、信号送受信状態の時系列、および運転情報の時系列をデータとしてメモリに記憶させる。このため、異常発生時は、データの変化を分析できるので、複合要因で発生した異常であるのか、或は外的要因で発生した異常であるのかを判断することが容易になる。さらに、異常が発生していなくても、データの傾向から、異常発生の兆候が見つかれば、事前にメンテナンスを実施することができる。
【0007】
第2発明に係る制御装置は、第1発明に係る制御装置であって、メモリが、運転情報を記憶する所定数の領域を有する。マイコンが新たな運転情報をメモリに記憶させるときに、領域が全て使用されている場合は、最も古い運転情報を記憶している領域に、新たな運転情報を上書きする。
【0008】
この制御装置では、マイコンは、メモリに記憶した空調機の運転情報を古いものから順次更新する。このため、使用するメモリ容量の大規模化が回避される。
【0009】
第3発明に係る制御装置は、第1発明に係る制御装置であって、運転情報には、マイコンおよびメモリが配置されている場所の雰囲気温度が含まれている。
【0010】
この制御装置では、異常発生時に備えて、マイコンが、雰囲気温度の時系列をメモリに記憶させる。このため、温度変化に伴う電子部品の挙動変化が推定されるようになり、異常要因の絞込みが容易になる。
【0011】
第4発明に係る制御装置は、第1発明に係る制御装置であって、マイコンが、室外通信部が一定時間内に室内通信部からの信号を正常に受信することができなかった回数に基づいて受信異常発生率を算出し、その受信異常発生率を運転情報としてメモリに記憶させる。
【0012】
この制御装置では、空調機の異常発生時に備えて、マイコンが、受信異常発生率の時系列をメモリに記憶させる。このため、信号伝送系の異常発生時に、要因の絞込みが容易になる。
【0013】
第5発明に係る制御装置は、第1発明に係る制御装置であって、メモリが不揮発性である。
【0014】
この制御装置では、電力供給が途切れても記憶内容が消滅しない。
【0015】
第6発明に係る制御装置は、第1発明に係る制御装置であって、マイコン5が、運転情報を空調機から離れた端末装置へ送信する。
【0016】
この制御装置では、マイコンが、空調機のサービスパーソンへ運転状態を知らせることができる。あるいは、空調機のサービスパーソンが遠隔地からマイコンに対して運転情報を要求することができる。これによって、サービスパーソンは、遠隔地で空調機のメンテナンスの必要性を検討し、必要な場合はメンテナンスに必要なものを事前に準備して現地に赴くことができる。このため、メンテナンスの作業性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
第1発明に係る制御装置では、空調機の異常発生時に、複合要因で発生した異常であるのか、或は外的要因で発生した異常であるのかを判断することが容易になる。さらに、異常が発生していなくても、異常発生の兆候が見つかれば、事前にメンテナンスを実施することができる。
【0018】
第2発明に係る制御装置では、マイコンが、メモリに記憶した空調機の運転情報を古いものから順次更新する。このため、使用するメモリ容量の大規模化が回避される。
【0019】
第3発明に係る制御装置では、異常発生時に備えて、マイコンが、雰囲気温度の時系列をメモリに記憶させる。このため、温度変化に伴う電子部品の挙動変化が推定されるようになり、異常要因の絞込みが容易になる。
【0020】
第4発明に係る制御装置では、空調機の異常発生時に備えて、マイコンが、受信異常発生率の時系列をメモリに記憶させる。このため、信号伝送系の異常発生時に、要因の絞込みが容易になる。
【0021】
第5発明に係る制御装置では、電力供給が途切れても記憶内容が消滅しない。
【0022】
第6発明に係る制御装置では、サービスパーソンは、空調機のメンテナンスの必要性を検討し、必要な場合は、メンテナンスに必要なものを事前に準備して現地に赴くことができる。このため、メンテナンスの作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<空調機の構成>
図1は、空調機の構成図である。空調機1は、ビル用のマルチタイプの空気調和装置であって、1つ又は複数の空調室外機2に対して複数の空調室内機3が並列に接続され、冷媒が流通できるように、圧縮機111などの機器が接続されて冷媒回路10が形成されている。
【0024】
図2(a)は、本実施形態に係る制御装置のブロック図であり、図2(b)は、メモリの拡大図である。空調室外機2、空調室内機3は、それぞれ室外通信部21、室内通信部31を有し、互いに信号の送受信が可能である。制御装置4には、マイコン5、メモリ6、および室外通信部21が搭載されている。マイコン5は、室外通信部21と室内通信部31との間で信号の送受信を行なわせ、その信号の送受信の状態、および空調機1の運転情報をメモリ6に記憶させる。メモリ6は、14個の領域61〜74を有し、所定の運転情報を一定時間毎に領域61から領域74へ順次書込む。領域74の次は領域61から順次上書きしていく。なお、メモリ6は不揮発性であり、電力供給が途切れても記憶内容は消滅しない。
【0025】
また、マイコン5は、温度センサ42を介して制御装置4が配置されている場所の雰囲気温度を監視している。なお、温度センサ42を、空調機1が設置されている場所の外気温を検出する外気温センサで代用してもよい。なお、制御装置4には温度センサ42以外にも、多くの機器(図示せず)が接続されているが、説明は省略する。
【0026】
<異常兆候データ書込み・読取りシステム>
本実施形態では、空調機1の異常が発生する兆しをデータとしてメモリ6に記憶していくシステムが組み込まれており、これを異常兆候データ書込み・読取りシステムと呼んでいる。ここでいう異常兆候データとは、空調機1の異常発生時に備えて、一定時間毎に記憶されている運転情報であり、これらのデータから運転情報の時間的変化を観測することができる。
【0027】
図3(a)は、異常兆候データ書込みシステムのイメージ図である。マイコン5は、所定の運転情報を1時間毎にメモリ6の領域61〜74へ順次書込んでおり、14時間で全ての領域が埋まる。そして、15時間目の情報は領域61に上書きされる。したがって、空調機1が異常停止した場合は、異常停止した時点から少なくとも13時間前までの所定の運転情報が異常兆候データとしてメモリ6に記憶されていることになる。
【0028】
図3(b)は、異常兆候データ読取りシステムのイメージ図である。サービスパーソンは、異常停止した空調機1の異常要因を分析するために、携帯端末(例えば、携帯型のパソコン90)を使ってマイコン5に異常兆候データを要求すると、マイコン5は、メモリ6から記憶されている異常兆候データを読取り、パソコン90へ送信する。
【0029】
<異常兆候データ>
(受信異常発生率)
異常兆候データ書込み・読取りシステムでは、制御装置4が常に監視している物理量(例えば雰囲気温度)、および空調機1が頻繁に実施している動作の結果(例えば、指令信号の送受信状態)が観測対象となる。従来、空調機1が異常停止した場合は、リモコンの表示部に異常コードが表示されるので、ある程度までの要因分析は可能となっている。但し、その異常が外的要因で発生したものか、劣化などの複合要因で発生したものかを判断することはできない。特に、空調室外機2と空調室内機3との間で行われる情報伝達(以後、内外伝送とよぶ)に異常が発生した場合は、異常の要因分析は非常に困難である。そこで本実施形態では、外気温と、空調室外機2側の受信異常発生率とを異常兆候データの観測対象としている。
【0030】
マイコン5は、空調室外機2に設けられた室外通信部21と、空調室内機3に設けられた室内通信部31との間で信号の送受信を行なわせているが、室外通信部21がデータを15秒間正常に受信しなかった場合は、受信異常として計数している。そして、マイコン5は、1時間内に室外通信部21が行なった受信回数と、発生した受信異常回数とから受信異常発生率を算出し、メモリ6に記憶させている。同時に、マイコン5は、1時間毎に温度センサ42の出力値もメモリ6に記憶させている。
【0031】
(異常兆候データの書込み制御)
図4は、異常兆候データの書込み制御のフローチャートである。マイコン5は、S1で1時間タイマを始動させ、S2で室外通信部21が室内通信部31からの信号を受信した回数をカウントする。S3では、室外通信部21が正常に受信することができなかった回数をカウントする。本実施形態では、室外通信部21が室内通信部31からの信号を15秒間正常に受信することができなかった状態を受信異常発生回数としてカウントしている。
【0032】
マイコン5は、S4で1時間が経過したか否かを判定し、1時間が経過した場合は、S5で受信異常発生率を算出する。なお、受信異常発生率=受信異常発生回数/受信回数である。1時間が経過していない場合は、S1へ戻る。
【0033】
マイコン5は、S6で外気温を検出し、S7では、S5で算出した受信異常発生率と、S6で検出した外気温とを、異常兆候データとしてメモリ6に書込む。
【0034】
受信異常発生率と外気温とは、1時間毎にメモリ6の領域61〜74へ順次書込まれ、14時間で全ての領域61〜74が埋まる。そして、15時間目のデータは領域61に上書きされる。したがって、空調機1が異常停止した場合は、異常停止した時点から少なくとも13時間前までの受信異常発生率と外気温とが、異常兆候データとしてメモリ6に記憶されていることになる。
【0035】
(異常兆候データの読取り制御)
図5は、異常兆候データの読取り制御のフローチャートである。空調機1が異常停止した場合、サービスパーソンは現地に赴き、携帯端末であるパソコン90を使って異常兆候データ要求信号をマイコン5へ送信する。マイコン5は、S11で異常兆候データ要求信号を受信する。S12では、メモリ6から異常兆候データとして、受信異常発生率データと外気温データとを読取り、S13では、S12で読取ったデータをサービスパーソンのパソコン90へ送信する。
【0036】
サービスパーソンは、異常停止の13時間前から異常停止するまでの1時間毎の受信異常発生率と外気温とを入手し、異常の要因を分析する。例えば、室外通信部21は、ノイズの影響を受けて受信異常を発生することがある。但し、ノイズの発生は突発的であるので、受信異常発生率に規則性、或は増加傾向がないならば、ノイズが要因と考えられる。
【0037】
一方、受信異常発生率に規則性、或は増加傾向がある場合は、室外通信部21など電子部品の劣化が進行している可能性が高い。特に電子部品は、周囲温度の影響を受け易いので、受信異常発生率の時系列と、外気温の時系列を比較することによって、電子部品の故障であるのか、外気温変化が電子部品の劣化を誘発して起こした故障であるのかが判明する。
【0038】
<特徴>
(1)
この制御装置4は、空調室外機2と空調室内機3とで構成された空調機1を制御する制御装置であり、マイコン5とメモリ6を備えている。マイコン5は、空調室外機2に設けられた室外通信部21と、空調室内機3に設けられた室内通信部31との間で信号の送受信を行なわせる。そして、マイコン5は、室外通信部21が1時間内に室内通信部31からの信号を正常に受信することができなかった回数に基づいて受信異常発生率を算出し、受信異常発生率を異常兆候データとしてメモリ6に記憶させる。同時に、1時間毎の温度センサ42の出力値もメモリ6に記憶させる。このため、受信異常発生率の時系列、および外気温の時系列がデータとして蓄積され、データの傾向から、複合要因で発生した異常であるのか、或は外的要因で発生した異常であるのかを判断することが容易になる。
【0039】
(2)
この制御装置4では、受信異常発生率と外気温とが、1時間毎にメモリ6の領域61〜74へ順次書込まれ、14時間で全ての領域61〜74が埋まる。そして、15時間目のデータは領域61に上書きされる。したがって、空調機1が異常停止した場合は、異常停止した時点から少なくとも13時間前までの受信異常発生率と外気温とが、異常兆候データとしてメモリ6に記憶されていることになる。このため、使用するメモリ6の容量を大規模化する必要がなく経済的である。
【0040】
(3)
この制御装置4では、メモリ6が不揮発性であるので、電力供給が途切れても記憶内容が消滅しない。
【0041】
〔変形例〕
以上、本発明について説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0042】
例えば、マイコン5が、メモリ6へ異常兆候データを書込む際に、空調機1の運転状態を一括管理している集中管理センターへ送信してもよい。集中管理センターは、送信されてきた異常兆候データから、空調機1が将来に異常を発生する可能性を分析し、事前に対策を施すことができる。
【0043】
また、空調機1のサービスパーソンは、遠隔地から無線通信によって異常兆候データを読取ってもよい。これによって、サービスパーソンは、空調機1のメンテナンスに必要な機器を揃えて現地に向かうことができるので、メンテナンス作業が効率よく実施される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、空調機に異常が発生したときの要因分析を容易にするので、空調機の制御装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】空調機の構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る制御装置のブロック図。
【図3】(a)異常兆候データ書込みシステムのイメージ図。 (b)異常兆候データ読取りシステムのイメージ図。
【図4】異常兆候データ書込み制御のフローチャート。
【図5】異常兆候データ読取り制御のフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
1 空調機
2 空調室外機
3 空調室内機
21 室外通信部
31 室内通信部
4 制御装置
5 マイコン
6 メモリ
61〜74 領域
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男

【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠

【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣

【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修


【公開番号】 特開2008−14521(P2008−14521A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183701(P2006−183701)