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【発明の名称】 灰溶融炉のレベル測定方法及びレベル測定装置
【発明者】 【氏名】大上 雅晴

【氏名】加藤 考太郎

【要約】 【課題】焼却灰等の被溶融物を溶融するプラズマ式電気溶融炉等の灰溶融炉に適用されるレベル測定方法及びレベル測定装置に於て、イニシャルコストやランニングコストを削減できる様にする。

【解決手段】昇降可能な電極53の中空孔52から炉本体51内に不活性ガスAを供給している灰溶融炉50に於て、前記電極53を降下させながら炉本体51内に供給している不活性ガスAの背圧を測定し、背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルSLと溶融メタルレベルMLを検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な電極の中空孔から炉本体内に不活性ガスを供給している灰溶融炉に於て、前記電極を降下させながら炉本体内に供給している不活性ガスの背圧を測定し、背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルと溶融メタルレベルを検出する事を特徴とする灰溶融炉のレベル測定方法。
【請求項2】
炉本体に昇降可能に設けられて中空孔を備えた電極と、電極を昇降させる為の昇降手段と、電極の中空孔を介して炉本体内に不活性ガスを供給する為のガス供給手段と、不活性ガスの背圧を検出する為の背圧検出手段と、背圧検出手段に依る背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルと溶融メタルレベルを演算する為の演算手段と、から構成した事を特徴とする灰溶融炉のレベル測定装置。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば焼却灰等の被溶融物を溶融するプラズマ式電気溶融炉等の灰溶融炉に適用されるレベル測定方法及びレベル測定装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、灰溶融炉に於ける溶融スラグレベルや溶融メタルレベルを測定する方法としては、例えば特許文献1〜7に記載されたものが知られている。
又、灰溶融炉に用いられるものではないが、ガス管から送給されるガスの背圧の変化を検出して溶湯レベルを測定するものも知られている(特許文献8〜11参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−271319公報
【特許文献2】特開平8−320111公報
【特許文献3】特開平10−9555号公報
【特許文献4】特開平10−122544公報
【特許文献5】特開平10−332268号公報
【特許文献6】特開2001−50528号公報
【特許文献7】特開2003−42428号公報
【特許文献8】特開昭63−196820公報
【特許文献9】特開平6−588公報
【特許文献10】特開平6−589公報
【特許文献11】特開平9−126858公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、何れのものも、専用の測定装置を用いて測定するものであったので、それだけイニシャルコストやランニングコストが余分に掛かる難点があった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、イニシャルコストやランニングコストを削減できる様にした灰溶融炉のレベル測定方法及びレベル測定装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の灰溶融炉のレベル測定方法は、昇降可能な電極の中空孔から炉本体内に不活性ガスを供給している灰溶融炉に於て、前記電極を降下させながら炉本体内に供給している不活性ガスの背圧を測定し、背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルと溶融メタルレベルを検出する事に特徴が存する。
【0007】
本発明の灰溶融炉のレベル測定装置は、炉本体に昇降可能に設けられて中空孔を備えた電極と、電極を昇降させる為の昇降手段と、電極の中空孔を介して炉本体内に不活性ガスを供給する為のガス供給手段と、不活性ガスの背圧を検出する為の背圧検出手段と、背圧検出手段に依る背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルと溶融メタルレベルを演算する為の演算手段と、から構成した事に特徴が存する。
【0008】
液体に気体を吹き込むと、液体の比重と浸漬深さに応じて気体の背圧が変化する事が知られている。この原理を応用して、電極の先端から窒素等の不活性ガスを噴出させながら電極を降下させると、炉内ガスと溶融スラグと溶融メタルの比重の差で、ガス部と溶融スラグ、溶融スラグと溶融メタルの各境界層で不活性ガスの背圧の増加率が変化する。これらの変化点から溶融スラグレベルと溶融メタルレベルを検出する事ができる。
【0009】
溶融スラグ層の厚みは、溶融スラグレベルから溶融メタルレベルまでの電極の移動距離から算出する事ができる。
溶融メタル層の厚みは、スラグ流出口の高さを基準とし、電極下端からスラグ流出口の高さまでの距離と溶融メタルレベルまでの電極の移動距離から算出する事ができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 昇降可能な電極の中空孔から炉本体内に不活性ガスを供給している灰溶融炉に於て、前記電極を降下させながら炉本体内に供給している不活性ガスの背圧を測定し、背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルと溶融メタルレベルを検出する様にしたので、イニシャルコストやランニングコストが削減できる。
(2) 灰溶融炉の電極と昇降手段とガス供給手段を利用する様にしたので、灰溶融炉の構造が複雑化したり、設置スペースが余分に必要になったり、現場での作業等が増えたりする事がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のレベル測定装置を適用した灰溶融炉を示す概要図。図2は、本発明のレベル測定方法の概要を示す説明図。図3は、電極高さと窒素供給圧力との関係を示すグラフである。
【0012】
レベル測定装置1は、プラズマ式電気溶融炉等の灰溶融炉50に適用される。
灰溶融炉50は、炉本体51と、炉本体51に昇降可能に設けられて中空孔52を備えた電極(主電極)53と、電極53を昇降させる為の昇降手段54と、電極53の中空孔52を介して炉本体51内に不活性ガスAを供給する為のガス供給手段55と、炉底に設置された炉底電極56と、被溶融物Bを炉本体51に供給する被溶融物供給手段57と、溶融スラグSを排出する流出口58と、始動時に使用するスタート電極59等から構成されている。
【0013】
焼却灰等の被溶融物Bは、コンテナに貯えられてスクリューコンベヤ等の被溶融物供給手段57により炉本体51内へ連続的に投入される。炉本体51は、1800℃以上の高温に耐える耐火材により形成されると共に、その外周を断熱材で覆われており、更に、その外部に冷却ジャケットが設けられている。
【0014】
炉本体51には、炉頂部から略垂直に昇降可能に挿入されて炉内の被溶融物Bとの間に一定の距離を保つ黒鉛主電極53(マイナス極)と、炉底に設置された炉底電極56(プラス極)とが設けられており、両電極53、56間に印加された直流電源装置(容量約600〜1000kWH/T・被溶融物)の直流電圧(200〜500V)により、電流が流れてプラズマアークが発生する。これによって被溶融物Bが1300℃〜1600℃に加熱され、順次溶融スラグSとなる。
【0015】
溶融前の被溶融物Bは、導電性が低いため、始動時にはスタート電極59を炉本体51内へ挿入してこれをプラス極とし、これと主電極53の間へ通電することにより被溶融物Bが溶融するのを待つ。そして、被溶融物Bが溶融するとその導電性が上昇するため、スタート電極59を炉底電極56へ切り換える。
炉本体51の内部は、溶融スラグSや主電極53等の酸化を防止するために還元性雰囲気に保持されており、ガス供給手段55からの窒素等の不活性ガスAが、中空筒状に形成した主電極53の中空孔52を通して、また覗き窓のパージとして炉本体51内へ連続的に供給されている。
【0016】
被溶融物Bが溶融すると、揮発成分や炭素はガス化し、一酸化炭素を含んだガスとなり、一方、鉄を始めとする金属、ガラス、砂等の不燃性成分は溶融状態となる。前記ガスは、出口ダクト60を経て燃焼室に入り、そこで、燃焼空気ファンにより送入された燃焼用空気によって未燃焼分を完全燃焼せしめられた後、燃焼室から排気されて冷却された後、フィルタを経て煙突に導かれる。
【0017】
被溶融物Bには、焼却灰、シリカ、アルミナ、カルシアや、鉄等が含まれているため、これが炉内で溶融されると、シリカ、アルミナ、カルシアを主成分とする溶融スラグが上方に浮上すると共に、鉄を主成分とする溶融金属が下方に沈下し、炉底から溶融メタル層Mと溶融スラグ層Sを順次形成し、分離された2層を形成する。
そして、溶融スラグ層Sは、流出口58から連続的に溢出し、水を満たしたスラグ水冷槽に落下して水砕スラグとなり、搬出コンベヤにより搬出される。
溶融メタル層Mは、炉底に蓄積したまま次第にその層厚を増し、炉底からの層厚が所定層厚を超えたときには、少なくともその一部が炉外へ排出されて所謂湯抜きが行われる。
【0018】
レベル測定装置1は、この様な灰溶融炉50に適用され、炉本体51に昇降可能に設けられて中空孔52を備えた電極(主電極)53と、電極53を昇降させる為の昇降手段54と、電極53の中空孔52を介して炉本体51内に不活性ガスAを供給する為のガス供給手段55と、不活性ガスAの背圧を検出する為の背圧検出手段2と、背圧検出手段2に依る背圧の増加率の変化から溶融スラグレベルSLと溶融メタルレベルMLを演算する為の演算手段3とを備えている。
レベル測定装置1は、電極53の下端位置を検出する為の赤外線カメラ手段4も備えている。
【0019】
ガス供給手段55は、図略しているが、窒素等の不活性ガス源と減圧弁と定流量弁等を備えている。
背圧検出手段2は、ガス供給手段55の電極53側に接続して設けられている。
【0020】
赤外線カメラ手段4は、流出口58側の炉本体51に設けられた覗き窓5の外側に設置されている。
【0021】
演算手段3は、昇降手段54からの信号と背圧検出手段2からの信号と赤外線カメラ手段4からの信号に依り溶融スラグレベルSLと溶融メタルレベルMLと溶融スラグ層Sの厚みSTと溶融メタル層Mの厚みMTとを演算する様になっている。
【0022】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
図2及び図3に示す如く、液体に気体を吹き込むと、液体の比重と浸漬深さに応じて気体の背圧が変化する事が知られている。
この原理を応用して、ガス供給手段55からの窒素等の不活性ガスAを電極53の中空孔52を介してその先端から噴出させながら、昇降手段54に依り電極53を降下させると、炉内ガスと溶融スラグSと溶融メタルMの比重の差で、ガス部と溶融スラグ、溶融スラグと溶融メタルの各境界層で不活性ガスAの背圧の増加率が変化する。そこで、この不活性ガスAの背圧を背圧検出手段2に依り計測して演算手段3に依り演算すると、これらの変化点から溶融スラグレベルSLと溶融メタルレベルMLを検出する事ができる。
【0023】
溶融スラグ層Sの厚みSTは、溶融スラグレベルSLから溶融メタルレベルMLまでの電極53の移動距離から算出する事ができる。電極53の移動距離は、昇降手段54からの信号を演算手段3に依り演算して求める事ができる。
【0024】
溶融メタル層Mの厚みMTの算出には、基準高さが必要であり、本発明ではスラグ流出口の高さを用いる。溶融メタル層Mの厚みMTの算出は、例えば次の様にして行われる。
(1) 赤外線カメラ手段4の画像中で電極53の下端が判別できる高さまで、昇降手段54に依り電極53を上昇させる。
(2) 予め赤外線カメラ手段4の画像中でスラグ流出口の高さを設定する。炉底からスラグ流出口の高さまでの距離Cは既知である。スラグ流出口の高さから電極53の下端までの距離Dを赤外線カメラ手段4で測定する。よって、炉底からスラグ流出口の高さまでの距離Cと前記の距離Dの和が、炉底から電極53の下端までの距離C+Dとなる。
(3) 電極53を昇降手段54に依り降下させ、溶融メタルレベルMLを検出する。前記(1)の位置にある電極53の下端位置から溶融メタルレベルMLまでの電極移動距離をEとする。
(4) 前記(2)で算出した距離C+Dと、前記(3)の電極53の移動距離Eとの差を溶融メタル層Mの厚みMTとする(図1ではC+D−E)。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のレベル測定装置を適用した灰溶融炉を示す概要図。
【図2】本発明のレベル測定方法の概要を示す説明図。
【図3】電極高さと窒素供給圧力との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0026】
1…レベル測定装置、2…背圧検出手段、3…演算手段、4…赤外線カメラ手段、5…覗き窓、50…灰溶融炉、51…炉本体、52…中空孔、53…電極(主電極)、54…昇降手段、55…ガス供給手段、56…炉底電極、57…被溶融物供給手段、58…流出口、59…スタート電極、60…出口ダクト、A…不活性ガス、B…被溶融物、C…炉底からスラグ流出口の高さまでの距離、D…電極の下端からスラグ流出口の高さまでの距離、E…電極の下端から溶融メタルレベルまでの距離、S…溶融スラグ(層)、M…溶融メタル(層)、SL…溶融スラグレベル、ML…溶融メタルレベル、ST…溶融スラグ層の厚み、MT…溶融メタル層の厚み。
【出願人】 【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
【出願日】 平成19年5月25日(2007.5.25)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫


【公開番号】 特開2008−292072(P2008−292072A)
【公開日】 平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願番号】 特願2007−138887(P2007−138887)