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【発明の名称】 加圧流動層ボイラ
【発明者】 【氏名】吉廻 秀久

【氏名】坂田 太郎

【氏名】山下 由香

【氏名】岩瀬 徹哉

【氏名】河崎 照文

【氏名】石田 孝行

【氏名】牧野 秀則

【要約】 【課題】火炉出口の燃焼ガス出口流路にアンモニアを注入するノズルの冷却のための構造を簡略化することで、その重量を低減し、メンテナンス性を向上すると共に、冷却水流路の気密性を向上させることである。

【解決手段】加圧流動層ボイラの流動層火炉2を内包す
る圧力容器1を貫通して火炉出口に燃焼ガス出口流路106を設け、該出口流路106を横断する方向にアンモニア注入ノズル147を設け、該ノズル147のアンモニア注入ノズル外管22内の管軸方向に流路を冷却水流入路と冷却水流出路に二分する冷却水仕切板25を取り付け、該冷却水仕切板25内にアンモニア配管21を設け、該アンモニア配管21から冷却水仕切板25を貫通して前記燃焼ガス出口流路106内の排ガスに向けてアンモニアを注入する複数のアンモニア噴霧開口部25aを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管群を内部に配置した流動媒体を含む流動層内で燃料を燃焼させる火炉と、該火炉を内包する高圧の圧力容器と、火炉内の流動媒体を流動させて燃料の流動燃焼を行うための空気供給手段と、流動層中に配置した伝熱管群と、圧力容器を貫通して火炉出口に設けた燃焼ガス出口流路とを有する加圧流動層ボイラにおいて
火炉出口の燃焼ガス出口流路アンモニアを注入するアンモニア注入装置を配置し、
アンモニア注入装置には、火炉出口の燃焼ガス出口流路を横断する方向にアンモニア供給配管を設け、該アンモニア供給配管の管軸方向に該アンモニア供給配管内の流路を却水流入路と冷却水流出路に二分する冷却水仕切板を取り付け、該冷却水仕切板内にアンモニア流入路を設け、該アンモニア流入路から冷却水仕切板を貫通して前記燃焼ガス出口流路内の排ガスに向けてアンモニアを注入する複数のアンモニア噴霧開口部を設けたことを特徴とする加圧流動層ボイラ
【請求項2】
前記アンモニア噴霧開口部を設けた冷却水仕切板とアンモニア供給配管の内壁は溶接で接合したことを特徴とする請求項記載の加圧流動層ボイラ
【請求項3】
前記アンモニア供給配管の先端部にはアンモニア注入ノズル底板が設置されていることを特徴とする請求項記載の加圧流動層ボイラ
【請求項4】
前記複数のアンモニア噴霧開口部は、燃焼ガス出口流路を横断する方向にアンモニア供給配管に均等に配置されていることを特徴とする請求項1記載の加圧流動層ボイラ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器内に流動層内伝熱管構造の火炉を配置する加圧流動層ボイラシステムに関し、特に、冷却水気密性に好適なアンモニアまたはアンモニア水を注入するアンモニア注入装置を備えた加圧流動層ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因である二酸化炭素は地球規模でその排出量を少なくするよう求められている。排ガス量が多く影響度の大きい発電プラントでは、抑制策として高効率発電が実施されようとしているが、そのひとつに加圧流動層燃焼方式(PFBC)の発電プラントがある。
【0003】
PFBC方式の加圧流動層ボイラは数十気圧に加圧した流動層で石炭を燃焼させ、その熱で蒸気を発生し蒸気タービンを回す。そして、さらに高温高圧の燃焼排ガスでガスタービンを回し、発電するものである。発電効率は既存の発電プラントが約40%であるのに対し、50%近い効率が達成でき、熱効率が約40%と高い上に、流動層を形成する脱硫剤、例えば石灰石によって炉内脱硫されるため、脱硫装置が省けるというメリットがある。
【0004】
図10に加圧流動層ボイラのシステムを示す。コンプレッサ101によって導入される燃焼用空気は火炉入口配管102を通って圧力容器103内の流動層ボイラ火炉105に導入され、石炭を燃焼する。石炭の燃焼によって発生する排ガスは、火炉出口配管106を通り、ガスタービン107に導入され、発電を行うと同時にコンプレッサ101の駆動力源となる。ガスタービン107を出た排ガスは、ガスタービン出口ダクト108からガス温度が約400℃ と高温であるため、排熱回収ボイラ109の節炭器111内を通り熱回収され、さらに脱硝装置112で浄化された後、煙突ダクト113を経由して煙突114より放出される。
【0005】
上記の加圧流動層ボイラシステムの構想は以前からあったが、実用化されるようになったのは最近になってからである。実用化を難しくしている理由の一つに、大きな火炉105を加圧保持する圧力容器103の問題がある。実用プラントでは火炉105の径は10mのオーダになり、それを囲む圧力容器103は更に大きくなる。圧力容器103は製作が容易でない上に、容器103を耐熱温度以下にするための温度管理が必要となる。通常圧力容器103内に配置される火炉105の排ガス温度は約900℃であるのに対し、圧力容器103の耐熱温度は約400℃である。従って、圧力容器103は何らかの断熱構造を採用する必要がある。
【0006】
圧力容器103の強制冷却を機能させるには火炉105と圧力容器103との間を確実に空気が流れている必要がある。そのためには空気流速を上げればよいが、空気量は燃焼用に限定されるので増やすことはできない。従って、火炉105と圧力容器103との間の空間を極力狭くして空気流速を上げなければならない。ところが、火炉105には蒸気配管や足場が付設されているため、火炉105と圧力容器103との間の空気の流路抵抗に差が生じ、流れにくい領域が発生する。また、温度上昇した空気は密度が小さくなるので浮力によって、上部に溜まり局所的な高温場を形成し、圧力容器103の温度を上げる。
【0007】
図11、図12に実際の加圧流動層ボイラの構造図を示す。圧力容器103内に配置される火炉105の下部には圧力容器103内を加圧状態に保ちながら、コンプレッサ101(図10)からの燃焼用空気(約390℃)を取り入れる火炉入口配管102があり、分散板119によって一様に火炉105へ分散される。この時、燃料も配管120から吹き込まれ、流動化して燃焼する。砂や灰などの流動媒体を含む流動層122内には石灰石が混入されており、石炭に含まれる硫黄分を取り除く。また、流動層122内には伝熱管123が配置されており、燃料の燃焼による熱で伝熱管123内の水から発生した蒸気で蒸気タービン(図示せず)を回して発電する。火炉105の燃焼温度は約900℃で、排ガス出口配管106内部には断熱材が張ってあり、圧力容器103に火炉105からの熱が伝わらないようにしている。
【0008】
高温のヘッダ127及び排ガス出口配管106からの伝熱量を前記断熱材を入れることによって低下させているが、それだけでは耐熱温度以下に維持できない。そこで、冷却空気として燃焼用空気を火炉105に入る前に火炉105周りを通過させ、冷却している。冷却空気はその入口128から圧力容器103に入り、火炉105の表面を流れた後で冷却空気出口129に至り、一旦、圧力容器103から出る。その後、炉底から火炉105に再流入し、燃焼用空気となる。
【0009】
また、従来の加圧流動層ボイラの火炉105の要部構造は図13に示されるように横置多曲管で構成する層内の伝熱管123群の管長手方向のベンド部123aは炉壁と一定のクリアランスを保って配置されるため、流動媒体が火炉壁と層内伝熱管123の壁貫通部123bおよび層内伝熱管ベンド部123aの間のクリアランス部を吹き抜けて局所摩耗を発生するのを防止するために、層内伝熱管123の壁貫通部123b側の火炉壁をテーパ構造として、燃焼空気とともに流動媒体が炉壁近傍を上昇するのを抑制し、炉壁近傍に粒子の下降流(矢印A)を形成して気泡の上昇を防いでいる。
【0010】
しかしながら、上記した加圧流動層火炉構造では炉壁をテーパ構造とするために、炉壁の曲げ加工を必要とする。さらに、炉壁が曲がっているため火炉105をサポートするバックステー130などの火炉支持構造に加えて、火炉105の保温材131およびケーシング構造132が複雑な構造になる。
【0011】
加圧流動層ボイラは火炉105内に流動層122を形成する石灰石によって炉内脱硫されるため、脱硫装置が省けるというメリットがあることは既に述べたが、窒素酸化物(以下、NOxという)に関しては、低温燃焼によってNOx低減が図られたり、流動層122中のカーボンなどの還元物質によって起こるNOxの還元によってNOx濃度が低減できるなどのメリットを持っている。しかし、ボイラ負荷が低い場合には流動層122の層高が低くなり、このときはカーボンによる還元が進まず、火炉105の出口NOx濃度が上昇する欠点を有しており、必ずしもNOxについては従来の微粉炭焚きボイラと比較して優位であるとは言えなかった。
【0012】
図10に示す加圧流動層ボイラのシステムでは、アンモニア気化器141、コンプレッサ142、空気を導入してアンモニアを希釈する希釈器143、144からなるアンモニア注入装置を用いて火炉出口配管106に設けたアンモニア注入ノズル147から排ガス中にアンモニアを注入する無触媒脱硝装置領域及び排熱回収ボイラ109の節炭器111にアンモニアを注入して節炭器111内に設けられた脱硝触媒を有する有触媒脱硝装置112によって排ガス中のNOxを還元して、煙突入口NOxを環境規制値以下にしている。
【0013】
アンモニアは熱分解を起こしやすいという特性を有しており、アンモニア注入ノズル147から排ガス中にアンモニアを注入することで気相還元反応によってNOxを還元することができるが、アンモニア注入ノズル147においてアンモニアが熱分解しないよう、アンモニアを冷却する必要がある。
【0014】
そのため、図14(図14(a)は縦断面図、図14(b)は図14(a)のA−A線断面図)に示すように、アンモニア注入ノズル147は3重管構造となっており、アンモニア配管148の周りに冷却水内管149を配置している。冷却水内管149は2重管構造であり、アンモニア配管148側の空間に入口から冷却水が入り、冷却水内管149とアンモニア注入ノズル147の間から出口へ向けて流れる構造として、アンモニア配管148内のアンモニア又はアンモニア水を冷却していた。また、アンモニア配管148には冷却水内管149を貫通してアンモニア噴霧口148aが排ガス流路を構成する火炉出口配管106内に臨んでる。この噴霧口148a冷却水内管149を貫通する部分は溶接接続されている。
【0015】
また、何層ものセラミックスファイバ151を外管152の内側に張り付けた構成から成る火炉出口配管106の構造上、太いアンモニア注入ノズル147を挿入することは難しい作業となるだけでなく、摩耗等の問題があり、好ましくない。高温高圧下でのアンモニア注入ノズル147を高温、高圧下の排ガス中に挿入することは難しい作業になる。さらに、アンモニア注入ノズル147は排ガス中の高濃度のダストにさらされるため摩耗度が高く、アンモニア注入ノズル147を火炉出口配管106から抜き出してメンテナンスする必要がある。
【特許文献1】実開昭61−825号公報
【特許文献2】特開平5−212243号公報
【特許文献3】特開平11−108334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図14に示す従来技術のアンモニア注入ノズル147はアンモニアの冷却には適しているが、3重管構造のためアンモニア注入ノズル147の径が大きくなる。そのため、セラミックスファイバ151を設けた火炉出口配管106に注入するには好ましくなかった。さらに、アンモニア注入ノズル147を製作する際に3重管内の第2管目を溶接することが困難なため、冷却水内管149内を流れる導入される冷却水と排出する冷却水の流路間の気密性にも問題があった。また、アンモニア注入ノズル147が3重管である場合には、重量が大きくなり、火炉出口配管106に設置されるアンモニア注入ノズル147のメンテナンス性にも問題があった。
【0017】
そこで、本発明の課題は、アンモニア注入ノズルの冷却のための構造を簡略化することで、その重量を低減し、メンテナンス性を向上すると共に、冷却水流路の気密性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、伝熱管群を内部に配置した流動媒体を含む流動層内で燃料を燃焼させる火炉と、該火炉を内包する高圧の圧力容器と、火炉内の流動媒体を流動させて燃料の流動燃焼を行うための空気供給手段と、流動層中に配置した伝熱管群と、圧力容器を貫通して火炉出口に設けた燃焼ガス出口流路とを有する加圧流動層ボイラにおいて、火炉出口の燃焼ガス出口流路アンモニアを注入するアンモニア注入装置を配置し、該アンモニア注入装置には、火炉出口の燃焼ガス出口流路を横断する方向にアンモニア供給配管を設け、該アンモニア供給配管の管軸方向に該アンモニア供給配管内の流路を冷却水流入路と冷却水流出路に二分する冷却水仕切板を取り付け、該冷却水仕切板内にアンモニア流入路を設け、該アンモニア流入路から冷却水仕切板を貫通して前記燃焼ガス出口流路内の排ガスに向けてアンモニアを注入する複数のアンモニア噴霧開口部を設けた加圧流動層ボイラである
【0019】
請求項2記載の発明は、前記アンモニア噴霧開口部を設けた冷却水仕切板とアンモニア供給配管の内壁は溶接で接合した請求項記載の加圧流動層ボイラである
【0020】
請求項3記載の発明は、前記アンモニア供給配管の先端部にはアンモニア注入ノズル底板が設置されている請求項記載の加圧流動層ボイラである。
請求項4記載の発明は、前記複数のアンモニア噴霧開口部は、燃焼ガス出口流路を横断する方向にアンモニア供給配管に均等に配置されている請求項1記載の加圧流動層ボイラである。
本発明によれば、加圧流動層ボイラの火炉出口の燃焼ガス出口流路に配置されるアンモニアを注入するアンモニア注入装置を従来技術の3重管から本発明の2重管にすることでアンモニア注入ノズル径が従来技術に比べ約80%となり、火炉燃焼ガス出口の高温高圧配管へのアンモニアの注入が容易になると共に、アンモニア注入ノズルの圧損が低減できるため、加圧流動層複合発電プラントのプラント効率が向上する。また、従来技術と同様にアンモニアノズル底板が設置されており、高温ガス配管からの抜き差しができ、更に従来技術に比べアンモニア注入ノズル重量が50%低減できるので、メンテナンスする際のアンモニア注入ノズルの抜き差しが容易になる。
【0021】
また、アンモニア注入装置のアンモニア噴霧開口部の製作方法は、例えば図9に示すようにアンモニア配管21に冷却水仕切板25を溶接し、その後、冷却水仕切板25にアンモニア注入ノズル外管22の縦割り管を溶接し、冷却水仕切板25にアンモニア配管21を貫通するように複数のキリ穴25aをあけることで製作可能となる。
【0022】
また、図9に本発明の前記溶接部、図14に従来技術の溶接部を示すが、3重管構造の場合、アンモニア注入ノズルの溶接を図14に示す通り溶接する必要があり、製作が困難である上に、冷却水のシール性に問題があったが、本発明ではアンモニア注入ノズルを2重管にすることで、図9に示す溶接部を溶接するのみで、製作が容易である上に冷却水のシール性にも問題ない構造になる。
こうして、アンモニア注入ノズル147の製造工程を簡略化することができるのみならず、アンモニア注入ノズル147の重量が低減でき、メンテナンス性が向上すると共に、冷却水の気密性が向上する効果がある。
【0023】
さらに、図9に示す例にあるようにアンモニア注入ノズル147には底板23があるので、火炉出口配管106からの抜き差しができ、更に従来技術に比べアンモニア注入ノズル147の重量が50%低減できるので、メンテナンスする際のアンモニア注入ノズル147の抜き差しが容易になる。
また、火炉出口配管106などの高温ガス配管への挿入が容易になるため、高温ガス配管の摩耗などのトラブルの頻度が低減でき、プラント全体の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の加圧流動層ボイラの火炉出口の燃焼ガス出口流路に配置されるアンモニアを注入するアンモニア注入装置によれば、製造工程が従来技術に比べ比較的簡略化できるのみならず、アンモニア注入ノズルの重量が低減でき、メンテナンス性が向上すると共に、冷却水の気密性が向上する効果がある。さらに、高温ガス配管へのアンモニア注入ノズルの挿入が容易になるため、高温ガス配管の摩耗などのトラブルの頻度が低減でき、加圧流動層ボイラにおけるアンモニア注入装置プラント全体の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
図1に本発明のPFBC方式の加圧流動層ボイラの実施の形態を示す。図1に示す加圧流動層ボイラは図10に示したPFBCシステムに適用され、圧力容器1内配置される火炉2の下部には火炉2内を加圧状態に保ちながら、図示しないコンプレッサからの燃焼用空気(約390℃)を取り入れる燃焼用空気入口8があり、火炉2内で形成される流動層4の底部に配置された分散板11空気噴出口から一様に火炉2へ分散される。この時、燃料も火炉2内の流動層4内に挿入された燃料配管9から吹き込まれ、流動層4を流動化させながら燃焼する。砂や灰などの流動媒体を含む流動層4内には石灰石が混入されており、石炭に含まれる硫黄分を取り除く。また、流動層4内には伝熱管5が配置されており、燃焼用空気入口8から火炉2の底部に入った燃焼用空気と燃料配管9から入った石炭燃料とが混合して燃焼し、発生熱を伝熱管5に伝え、伝熱管5の内部を流れる水が加熱されて蒸気を発生する。伝熱管5内で発生した蒸気はヘッダ6に集められ、図示しない蒸気タービンへ送られ発電機を回す。
【0026】
また、燃焼用空気入口8を通って圧力容器1内の流動層ボイラ火炉2に導入された燃焼用空気により流動層4内の石炭などの燃料が燃焼し、燃焼排ガスは燃焼ガス出口10(図10の火炉出口配管106に接続)を通り、図示しないガスタービンに導入され、発電を行うと同時にコンプレッサの駆動力源となる。
【0027】
火炉2内の燃料の燃焼温度は約900℃であり、また燃焼ガス出口10内部には断熱材が張ってあり、圧力容器1に火炉2からの熱が伝わらないようにしている。伝熱管5のヘッダ6は高温となり、この高温ヘッダ6及び排ガス出口10からの伝熱量を前記断熱材を入れることによって低下させているが、それだけでは耐熱温度以下に維持できない。そこで、冷却空気として燃焼用空気を火炉2に入る前に火炉2周りを通過させ、冷却している。冷却空気はその入口3から圧力容器1に入り、火炉2の表面を流れた後で圧力容器1の頂部に設けられた冷却空気出口7に至り、一旦、圧力容器1から出る。その後、炉底から火炉2に再流入し、燃焼用空気となる。
【0028】
圧力容器1は、例えば高さ22m、幅10m、奥行き14mであり、火炉2の出力は125MW相当である。
ここで、各部の温度は以下の通りである。
部位 温度℃
火炉 400℃、
冷却空気(入口) 390℃、
冷却空気(出口) 391℃、
流動層 900℃、
ヘッダ 430℃、
燃焼排ガス 900℃、
【0029】
そして、冷却空気の平均温度上昇は僅か1℃であるが、圧力容器1内にはヘッダ6のように温度の高い部位もあるため、局部的には圧力容器1の耐熱温度400℃を超える可能性がある。局部的な温度上昇が発生すると圧力容器1に局所的な熱応力が発生し、寿命が低下する。従って、このような温度上昇はできるたけ避けねばならない。
【0030】
図1に示す装置では、冷却空気入口3が圧力容器1の左側壁よりに寄せて設定してある。この効果を確認するために汎用熱流体解析プログラムを用いて解析した。
解析結果を図6、図7に示す。図6は従来技術(図6(a))の構造と本発明(図6(b))の構造との差を図1などに示す圧力容器1と火炉2との間を流れる冷却空気の速度ベクトルを表示したものである。図6(a)に示す従来技術において冷却空気は火炉2周りを一様に流れるので、平均1m/s以下と速度ベクトルが小さい。これに対し、図6(b)に示す本発明では内部に強い循環流が発生しており、同量の空気流量であるのにも係わらず速度ベクトルが格段に上昇している。
【0031】
図7は冷却空気の温度を表示したものである。従来技術(図7(a))では圧力容器1上部の燃焼排ガス出口10の接合部に400℃近い領域が発生している。これに対し、本発明(図7(b))では温度が400℃近くになる領域がほとんど認められなく全体に均一温度である。
【0032】
図5は冷却空気入口3の偏心量と温度偏差(=冷却空気の最高温度−入口温度)の関係を前述の解析から求めたものである。縦軸は一様に冷却空気を投入する従来例を基準にして表示した。本発明では冷却空気入口3の圧力容器1の中央部からの偏心量が小さい場合には、冷却空気は火炉2の底部に衝突し、ほとんど均一に上昇するので、本発明の効果は冷却空気入口3が圧力容器1の中央部からはずれるほど急激に温度偏差が低下している。
【0033】
図2はPFBCの圧力容器1の冷却空気入口3を圧力容器1の下部側壁から水平方向に向けて圧力容器1内に挿入した本発明の他の実施の形態を示したものである。前記入口3の冷却空気噴出口の先に燃焼用空気入口配管8があるので、冷却空気が衝突し、循環流の発生効率は悪いが、図面の奥行き方向で調整すれば衝突は避けられ図1に示す場合と同等な効果が得られる。
【0034】
図3に示す例は圧力容器1の冷却空気入口3を圧力容器1の下部側壁から水平方向にけて圧力容器1内に挿入したものと圧力容器1の底部から鉛直方向上方に向けて圧力容器1内に挿入したものなど冷却空気入口3を複数箇所設けたもので、冷却空気噴流の方向が圧力容器1の水平面において右回りになるよう方向を合わせている。複数の冷却空気入口3の各噴出流が、火炉2の中心部を中心とする回転モーメント(=半径×噴出モーメント)ができるだけ大きくなるように冷却空気の流速を調整すると効率がよい。
【0035】
また、本例では圧力容器1の内部の所々にガイドベーン15を設置し、空気が停滞せずに、平均空塔速度(冷却空気の体積流量/圧力容器1と火炉2との間にできる流路断面積)より速くなるようにしてある。
【0036】
図4に示す例は圧力容器1の冷却空気入口3を圧力容器1の底部から鉛直方向上方に向けて燃焼用空気入口8の周りに等分割に複数箇所にわたり圧力容器1内に挿入し、圧力容器1の冷却空気出口7を燃焼ガス出口10の周りに複数箇所等分割して設け、さらに、圧力容器1の内部の所々にガイドベーン15を設置した構造である。このガイドベーン15により空気が停滞せずに、平均空塔速度(冷却空気の体積流量/圧力容器1と火炉2との間にできる流路断面積)より速くなるようにして冷却空気噴流の方向が圧力容器1の水平面において右回りまたは左回りになるよう調整する。この場合にも、複数の冷却空気入口3の各噴出流が、火炉2の中心部を中心とする回転モーメント(=半径×噴出モーメント)ができるだけ大きくなるように冷却空気の流速を調整すると効率がよい。
上記図3、図4に示すガイドベーン15の設置方法はいろいろあるが、極端な場合には圧力容器1の内部に螺旋階段状のベーンを設けることも可能である。
【0037】
従来技術に比べて、本発明の装置は、冷却空気入口3の設置位置を変えるだけなので、新規な部品を追加することなく達成できる。図1に示す実施の形態と図11に示す従来技術例とで圧力容器1の寿命を試算比較したところ、図1に示すものは20年以上寿命が向上していた。
【0038】
本発明の他の実施の形態を図8に示す。
加圧流動層ボイラの火炉2の構造の炉壁を鉛直方向に垂直な壁面を有するストレート構造にし、最上段の層内伝熱管5のベント部5aの最上部と分散板11の一番端部側の空気ノズル11aとを結ぶ平面が炉壁のストレート構造部と交差する角度である安息角Xが15度以上となるような箇所から分散板11の中心部寄りに空気ノズル11a群を設置する。そこで、空気ノズル11aから流動層4内に空気を吹き込むと流動層4内の流動媒体が流動化するが、空気ノズル11aのない位置に流動層4の流動停滞または固定層4aとして流動化しない部分が生まれる。
【0039】
これにより、層内伝熱管5の層内ベンド部5aおよび壁貫通部5bは流動層4の前記流動停滞または固定層4aに埋没することになり、この流動停滞または固定層4aでは気泡と流動媒体が火炉壁との隙間を吹き上げることはない。なお、図13に示すと同様に図8に示す火炉2には火炉2をサポートするバックステー16などの火炉支持構造に加えて、火炉2のケーシング17および保温材18が設けられている。
【0040】
本例による層内伝熱管5のベンド部5aおよび壁貫通部5bの摩耗防止は次のようにして行う。
前述のように空気ノズル11aより空気を吹き込むと、流動層4に流動停滞または固定層4aが形成され、火炉2内の流動層4充填部分で火炉2が、あたかもテーパ構造であるかのようになり、流動媒体粒子の下降流Aを形成する。
【0041】
こうして、層内伝熱管5の壁貫通部5bの摩耗を防ぎ、さらに形成された前記流動停滞または固定層4aの中に層内伝熱管ベンド部5aが埋没するので、該ベンド部5aの局所摩耗を防ぐことができる。加えて火炉壁面をストレート構造にすることで構造が単純化され、加工などが容易になり、加工および材料などのコストが低減される。
【0042】
図9(図9(a)は断面図、図9(b)は図9(a)のA−A線断面図)には、図10に示す加圧流動層ボイラシステムに適用される火炉出口配管106に希釈アンモニアを導入するアンモニア注入ノズル147に適用される本発明の実施の形態の詳細図を示す。
【0043】
アンモニア注入ノズル147はアンモニアまたはアンモニア水(NH4OH)を導入するアンモニア配管21、火炉出口配管106にアンモニアを噴霧するアンモニア注入ノズル外管22、アンモニア注入ノズル147先端部を塞ぐ底板23および流入冷却水流路24aと流出冷却水流路24bの流路を区別する冷却水仕切板25、そして冷却水仕切板25にキリ穴で開けられた複数のアンモニア噴霧開口部25aで構成される。また、火炉出口配管106は何層ものセラミックスファイバ27を外管28の内側に張り付けた構成からなる。
【0044】
アンモニアは、アンモニア配管21とアンモニア注入ノズル外管22の間の空間中の冷却水仕切入板25によって構成される流入冷却水流路24aと流出冷却水流路24bの流路内をそれぞれ流れる流入冷却水及び流出冷却水によって冷却されながらアンモニア配管21内に導入される。
【0045】
また、アンモニア配管21に導入されたアンモニアは冷却水仕切板25内に複数箇所設けられたアンモニア噴霧開口部25aを通って、NOxを含む火炉出口排ガスが流れている火炉出口配管106内に噴霧され、NOxと反応してNOxを窒素に還元する。
【0046】
アンモニア注入ノズル147は、アンモニア配管21に冷却水仕切板25を溶接することで作製する。さらに、冷却水仕切板25にアンモニア注入ノズル外管22である縦割り管を冷却水仕切板25に溶接し、冷却水仕切板25にアンモニア配管21とアンモニア注入ノズル外管22を貫通するようにキリ穴をあけて複数のアンモニア噴霧開口部25aを設ける。こうして、図9に示す溶接部を溶接するのみで、冷却水の気密性が保持可能となった。
【0047】
さらに、アンモニア注入ノズル147製作過程が
1)アンモニア配管21とノズル外管22に冷却水仕切板25を溶接する、
2)アンモニア注入ノズル147を縦割りにしたものを冷却水仕切板25に溶接する、
3)冷却水仕切板25にアンモニア噴霧開口部25aをあける
工程からなり、アンモニア注入ノズル147の製作を容易にするという利点を有している。
【0048】
さらに、アンモニア注入ノズル147として図14に示す従来技術の3重管を本発明では2重管にし、管径を小さくすることによって、何層ものセラミックスファイバ27によって構成される高温高圧ガス配管(図10で示す火炉出口配管106)へのアンモニア注入ノズル147の挿入が容易となる。
【0049】
こうして本発明によれば、アンモニア注入ノズル147の製造工程を簡略化することができるのみならず、アンモニア注入ノズル147の重量が低減でき、メンテナンス性が向上すると共に、冷却水の気密性が向上する効果がある。
【0050】
さらに、アンモニア注入ノズル147には底板23があるので、火炉出口配管106からの抜き差しができ、更に従来技術に比べアンモニア注入ノズル147の重量が50%低減できるので、メンテナンスする際のアンモニア注入ノズル147の抜き差しが容易になる。また、火炉出口配管106などの高温ガス配管へのアンモニア注入ノズル147の挿入が容易になるため、高温ガス配管の摩耗などのトラブルの頻度が低減でき、プラント全体の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラの側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラの側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラの側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラの側断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラの火炉構造の効果を示した図である。
【図6】本発明と従来技術の数値解析によって圧力容器内部の空気の速度ベクトルを見た図である。
【図7】本発明と従来技術の数値解析によって圧力容器内部の空気の温度分布をみた図である。
【図8】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラの火炉構造の要部側断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の加圧流動層燃焼ボイラシステムのアンモニア注入ノズル構造図である。
【図10】従来技術の加圧流動層燃焼ボイラプラントの概略図である。
【図11】従来技術の加圧流動層燃焼ボイラの側断面図である。
【図12】従来技術の加圧流動層燃焼ボイラの側断面図である。
【図13】従来技術の加圧流動層燃焼ボイラの火炉の要部側断面図である。
【図14】従来技術の加圧流動層ボイラの火炉出口配管に設けられるアンモニア注入ノズル構造図である。
【符号の説明】
【0052】
1、103圧力容器 2、105 火炉
3 冷却空気入口 4 流動層
4a 流動停滞または固定層 5 伝熱管
5a 伝熱管ベント部 5b 伝熱管壁貫通部
6 ヘッダ 7 冷却空気出口
8 燃焼用空気入口 9 燃料配管
10 燃焼ガス出口 11 分散板
11a 空気ノズル 18 保温材
17 ケーシング 16 バックステー
21 アンモニア配管 25 冷却水仕切板
25a アンモニア噴霧開口部
22 アンモニア注入ノズル外管
28 火炉出口配管外管 27 セラミックファイバ
101 コンプレッサ 102 火炉入口配管
106 火炉出口配管 107 ガスタービン
108 ガスタービン出口ダクト 111 節炭器
112 有触媒脱硝装置 113 煙突入口ダクト
114 煙突 141 アンモニア気化器
142 アンモニアコンプレッサ
143、144 アンモニア希釈器
147 アンモニア注入ノズル
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【代理人】 【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義


【公開番号】 特開2008−180499(P2008−180499A)
【公開日】 平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願番号】 特願2008−56723(P2008−56723)