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【発明の名称】 酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤
【発明者】 【氏名】引野 健治

【要約】 【課題】石炭火力発電システムにおける硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤を提供する。

【解決手段】燃料となる石炭に、石炭添加用酸化物低減剤を添加することにより、石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法であって、石炭添加用酸化物低減剤として、石灰石、消灰石、生石灰からなる群より選択される1種以上を含む酸化物低減剤を用いる。この場合、石炭100質量部に対して、石炭添加用酸化物低減剤を0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に、石炭添加用酸化物低減剤を添加することにより、前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法であって、
前記石炭添加用酸化物低減剤として、石灰石、消灰石、生石灰からなる群より選択される1種以上を含む酸化物低減剤を用いることを特徴とする酸化物低減方法。
【請求項2】
前記石炭100質量部に対して、前記石炭添加用酸化物低減剤を0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加する請求項1記載の酸化物低減方法。
【請求項3】
前記石炭火力発電システムが微粉炭燃焼方式の発電システムであり、前記石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラ内に添加する請求項1又は2記載の酸化物低減方法。
【請求項4】
前記石炭火力発電システムが微粉炭燃焼方式の発電システムであり、前記石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラ内より上流で添加する請求項1又は2記載の酸化物低減方法。
【請求項5】
前記石炭火力発電システムが微粉炭燃焼方式の発電システムであり、前記石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラの下流に配置される熱交換ユニット付近で添加する請求項1又は2記載の酸化物低減方法。
【請求項6】
前記硫黄酸化物及び/又は前記窒素酸化物のうち、特に、前記窒素酸化物を低減する請求項1から5いずれか記載の酸化物低減方法。
【請求項7】
石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に添加することにより、前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する石炭添加用酸化物低減剤であって、
石灰石、消灰石、生石灰からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする石炭添加用酸化物低減剤。
【請求項8】
前記石炭添加用酸化物低減剤は粒状又は粉末状である請求項7記載の石炭添加用酸化物低減剤。
【請求項9】
平均粒径が10μmから100μmである請求項7又は8記載の石炭添加用酸化物低減剤。
【請求項10】
前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物のうち、特に、窒素酸化物を低減する請求項7から9いずれか記載の石炭添加用酸化物低減剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電システムにおいて石炭を燃焼させる方法としては種々の方式があるが、なかでも、石炭を微粉砕した粒子を炉内に吹き込んで燃焼させる、いわゆる微粉炭燃焼が主に採用されている。
【0003】
ところで、石炭火力発電システムにおいて原料となる石炭は炭素以外にも、硫黄分及び窒素分を含んでいる。石炭の燃焼によって、硫黄分は硫黄酸化物(SOx)となり、窒素分は窒素酸化物(NOx、例えば、NO、NO)となる。これら硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物は、大気汚染物質であり、排ガス中に含まれて大気に放出されると酸性雨の原因となる。このため、従来、石炭火力発電システムでは、排ガス中に含まれる硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物をそれぞれ除去するために、様々な技術が検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1〜4には、硫黄酸化物を低減するための脱硫剤として主にカルシウム系化合物を使用し、脱硫剤の使用する温度、使用する場所等を管理することによって、排ガスの脱硫を行う技術が記載されている。
【0005】
さらに、近年、地球温暖化問題や酸性雨問題が深刻な事態を招いており、より一層の環境保全が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平3−59309号公報
【特許文献2】特開平4−18913号公報
【特許文献3】特開平4−59022号公報
【特許文献4】特開平5−57139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、更なる環境保全のため、これまで以上の硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物量の低減を目指す場合、新たに脱硫装置や脱硝装置を設ける必要がある。この場合、設置スペースの問題が発生するとともに、初期費用が増大するなど処理コストの問題が発生する。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、多額の初期投資が不要で、大規模な追加設備を必要としない、石炭火力発電システムにおける硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に、石炭添加用酸化物低減剤を添加することにより、前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法であって、前記石炭添加用酸化物低減剤として、石灰石、消灰石、生石灰からなる群より選択される1種以上を含む酸化物低減剤を用いることを特徴とする酸化物低減方法。
【0010】
(1)の発明によれば、酸化物低減剤の添加を、燃焼後の排ガスではなく、燃焼中又は燃焼前の石炭の段階で添加するので、既存の設備の改良で簡単に適用できる。なお、添加のタイミングは石炭の状態への添加であれば特に限定されず、後述する石炭供給部、微粉炭生成部、微粉炭燃焼部のいずれであってもよい。この微粉炭燃焼部には、燃焼ボイラの下流に配置される熱交換ユニット(いわゆる節炭器)付近まで含まれる。
【0011】
(2) 前記石炭100質量部に対して、前記石炭添加用酸化物低減剤を0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加する(1)記載の酸化物低減方法。
【0012】
(2)の発明によれば、より効果的に硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減することが可能である。石炭添加用酸化物低減剤の添加量が0.1質量部未満であると、硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物の低減効果が不充分となるので好ましくなく、10質量部を超えても硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物の低減効果に大きな向上は認められず、また、石炭灰表面の融点降下によって火炉内壁への石炭灰の多量の付着(スラッギング)を起こす恐れがあるので好ましくない。
【0013】
(3) 前記石炭火力発電システムが微粉炭燃焼方式の発電システムであり、前記石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラ内に添加する(1)又は(2)記載の酸化物低減方法。
【0014】
(4) 前記石炭火力発電システムが微粉炭燃焼方式の発電システムであり、前記石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラ内より上流で添加する(1)又は(2)記載の酸化物低減方法。
(5) 前記石炭火力発電システムが微粉炭燃焼方式の発電システムであり、前記石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラの下流に配置される熱交換ユニット付近で添加する(1)又は(2)記載の酸化物低減方法。
【0015】
(3)から(5)の発明は、石炭添加用酸化物低減剤の添加位置を規定するものである。本発明においては、石炭添加用酸化物低減剤を石炭の状態で添加するものであり、好ましい添加位置として、(3)の発明では燃焼ボイラ内に添加を行う。なお、本発明における「燃焼ボイラ内」には、燃焼ボイラが排ガスの再循環を行っている場合には、その配管への添加も含まれるものである。また、(4)の発明では、石炭添加用酸化物低減剤を燃焼ボイラ内より上流で添加する。「燃焼ボイラ内より上流」とは、例えば、後述する石炭供給部、微粉炭生成部である。(3)又は(4)の発明の態様によれば、原料石炭又は微粉炭の状態で添加できるので、より簡便な設備で添加が行え、既存の設備であっても容易に適用できる。
【0016】
また、(5)の発明では、石炭添加用酸化物低減剤を、燃焼ボイラの下流に配置される熱交換ユニット付近で添加する。この熱交換ユニットは節炭器又はエコノマイザー(ECO)等とも呼ばれ、450℃から500℃前後が維持されている領域である。このように、本発明における「石炭への添加」とは、火炉内の雰囲気温度が850℃から900℃の状態、または、450℃から500℃の状態で添加することが好ましい。
【0017】
(6) 前記硫黄酸化物及び/又は前記窒素酸化物のうち、特に、前記窒素酸化物を低減する(1)から(5)いずれか記載の酸化物低減方法。
【0018】
(6)の発明によれば、(1)から(5)に記載の発明は、特に、窒素酸化物の低減に効果を奏する。
【0019】
(7) 石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に添加することにより、前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する石炭添加用酸化物低減剤であって、石灰石、消灰石、生石灰からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする石炭添加用酸化物低減剤。
【0020】
(7)の発明は、上記(1)の発明を石炭添加用酸化物低減剤として捉えたものであり、上記(1)の発明と同様の効果が得られる。
【0021】
(8) 前記石炭添加用酸化物低減剤は粒状又は粉末状である(6)記載の石炭添加用酸化物低減剤。
【0022】
(9) 平均粒径が10μmから100μmである(6)又は(7)記載の石炭添加用酸化物低減剤。
【0023】
(8)の態様によれば、石炭添加用酸化物低減剤を粒状又は粉末状とすることで、添加が容易となり、また混合も均一にされて硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物の低減効果を高めることができる。なかでも、(9)の態様のように平均粒径を10μmから100μmとすることで石炭への混合を容易にして、特に硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する効果を高めることができる。
【0024】
(10) 前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物のうち、特に、窒素酸化物を低減する(7)から(9)いずれか記載の石炭添加用酸化物低減剤。
【0025】
(10)の発明によれば、(7)から(9)に記載の発明は、特に、窒素酸化物の低減に効果を奏する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤によれば、多額の初期投資が不要で、大規模な追加設備を必要とせずに、石炭火力発電システムにおける石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<A:石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設の構成>
以下、本発明の一例を示す実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設1を示すブロック図である。ここで、図1に示すように、微粉炭燃焼施設1は、石炭を供給する石炭供給部12と、供給された石炭を微粉炭にする微粉炭生成部14と、微粉炭を燃焼する微粉炭燃焼部16と、微粉炭の燃焼により発生した排ガスを処理する排ガス処理部18と、を備える。また、図2は、微粉炭燃焼部16における火炉161付近の拡大図である。
【0028】
<A−1:石炭供給部>
石炭供給部12は、石炭を貯蔵する石炭バンカ121と、この石炭バンカ121に貯蔵された石炭を供給する給炭機122と、を備える。石炭バンカ121は、給炭機122へ供給する石炭を貯蔵する。給炭機122は、石炭バンカ121から供給された石炭を連続して石炭微粉炭機141へ供給するものである。また、この給炭機122は、石炭の供給量を調整する装置を備えており、これにより、石炭微粉炭機141に供給される石炭量が調整される。また、これら石炭バンカ121と給炭機122との境界には石炭ゲートが設けられており、これにより、給炭機122からの空気が石炭バンカ121へ流入するのを防いでいる。
【0029】
<A−2:微粉炭生成部>
微粉炭生成部14は、石炭を微粉炭燃焼が可能な微粉炭にする石炭微粉炭機(ミル)141と、この石炭微粉炭機141に空気を供給する空気供給機142と、を備える。
【0030】
石炭微粉炭機141は、給炭機122から給炭管を介して供給された石炭を、微細な粒度に粉砕して微粉炭を形成するとともに、この微粉炭と、空気供給機142から供給された空気とを混合する。このように、微粉炭と空気とを混合することにより、微粉炭を予熱及び乾燥させ、燃焼を容易にする。形成された微粉炭には、エアーが吹きつけられて、これにより、微粉炭燃焼部16に微粉炭を供給する。
【0031】
石炭微粉炭機141の種類としては、ローラミル、チューブミル、ボールミル、ビータミル、インペラーミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく微粉炭燃焼で用いられるミルであればよい。
【0032】
<A−3:微粉炭燃焼部>
微粉炭燃焼部16は、微粉炭生成部14で生成された微粉炭を燃焼する火炉161と、この火炉161を加熱する加熱機162と、火炉161に空気を供給する空気供給機163と、を備える。
【0033】
火炉161は、加熱機162により加熱されて、石炭微粉炭機141から微粉炭管を介して供給された微粉炭を、空気供給機163から供給された空気とともに燃焼する。微粉炭を燃焼することにより石炭灰とともに排ガスが発生し、排ガスが排ガス処理部18に排出される。
【0034】
図2を参照して火炉161についてより詳しく説明すると、図2において、火炉161は、バーナ161aと、過熱器161b、161cと、1次節炭器161dと、2次節炭器161eと、を備える。微粉炭生成部14で生成された微粉炭は、空気供給機163から供給された空気とともに、この火炉161のバーナ161a、過熱器161b、161cで燃焼されるように構成されている。ここで、節炭器(ECOとも呼ばれる)とは、燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群である。
【0035】
<A−4:排ガス処理部>
排ガス処理部18は、微粉炭燃焼部16から排出された排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置181と、排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置182と、この脱硫装置182で処理された排ガスを大気に放出する煙突183と、を備える。
【0036】
脱硝装置181は、排ガス中の窒素酸化物を除去するものである。すなわち、比較的高温(300〜400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガスを注入し、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を無害な窒素と水蒸気に分解する、いわゆる乾式アンモニア接触還元法が好適に用いられる。
【0037】
脱硫装置182は、排ガス中の硫黄酸化物を除去するものである。すなわち、脱硫装置182は、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、排ガスに含まれる硫黄酸化物を混合液に吸収させて脱硫石膏スラリーを生成させる。脱硫装置182は、この脱硫石膏スラリーを脱水処理することで脱硫石膏を生成する。生成された脱硫石膏は、図示しない脱硫石膏回収装置に回収される。
【0038】
煙突183は、脱硝装置181及び脱硫装置182によって処理された排ガスを大気に放出するものである。
【0039】
なお、本実施形態では、石炭火力発電システムは、微粉炭燃焼方式、すなわち、ストーカ燃焼方式を採用しているが、本発明では、移動層燃焼方式が採用されるようにしてもよい。
【0040】
<B:本発明の酸化物低減方法>
本発明の酸化物低減方法は、石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に、石炭添加用酸化物低減剤を添加することにより、前記石炭の燃焼によって発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減する酸化物低減方法であって、前記石炭添加用酸化物低減剤として、石灰石、消灰石、生石灰より選択される1種以上を主成分として含む酸化物低減剤を用いるものであるが、これを、上記の微粉炭燃焼施設1を用いて説明する。
【0041】
窒素化合物低減方法の工程は、石炭を供給する石炭供給工程S10と、供給された石炭を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭生成工程S20と、この微粉炭を燃焼して排ガスが発生する微粉炭燃焼工程S30と、この排ガスを処理して大気に放出する排ガス処理工程S40とを含み、これら各工程は、それぞれ、上述の微粉炭燃焼施設1の石炭供給部12、微粉炭生成部14、微粉炭燃焼部16、及び排ガス処理部18、において行われる。そして、本発明の特徴である石炭添加用酸化物低減剤添加工程S50は、好ましくは上記の石炭供給工程S10、微粉炭生成工程S20、微粉炭燃焼工程S30のいずれかで行われる。
【0042】
<石炭供給工程S10>
まず、石炭供給工程では、石炭バンカ121に貯蔵された石炭が、給炭機122により、石炭微粉炭機141に供給される。なお、この石炭微粉炭機141に供給される石炭は、具体的には瀝青炭、亜瀝青炭、または褐炭等であるが、これらの石炭に限定されるものではなく微粉炭燃焼が行える石炭であればよい。
【0043】
<微粉炭生成工程S20>
次に、微粉炭生成工程では、給炭機122から供給された石炭が石炭微粉炭機141により粉砕されて、これにより、微粉炭が生成される。生成された微粉炭は、火炉161に供給される。このとき、この微粉炭生成工程で粉状に形成された微粉炭の平均の粒度は、
微粉炭燃焼で一般的に用いられる粒径範囲であればよく、一般的には、74μmアンダー80wt%以上の粉砕度である。なお、この範囲は石炭添加用酸化物低減剤が添加された場合にも適用できる。
【0044】
<微粉炭燃焼工程S30>
次に、微粉炭燃焼工程では、石炭微粉炭機141で生成された微粉炭が、火炉161により燃焼される。図2に示すように、バーナーゾーン161a’微粉炭の燃焼によって発生する排ガスは、矢印の方向に沿って上昇して石炭灰とともに過熱器161b、161cを通過し、1次節炭器161d、2次節炭器161eを順次通過する。上記のように、この節炭器付近は、850℃から900℃前後が維持されている領域であり、この燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群を通過することによって熱交換され、温度が低下する。そして、その後、後段の脱硝装置181に送られる。
【0045】
<排ガス処理工程S40>
その後、微粉炭の燃焼によって発生した排ガスは、脱硝装置181に送られ、更に脱硫装置182を経て、その後煙突183によって大気に放出される。
【0046】
<石炭添加用酸化物低減剤添加工程S50>
本発明の特徴である石炭添加用酸化物低減剤を添加する工程である石炭添加用酸化物低減剤添加工程S50は、図1に示すように、好ましくは上記の石炭供給工程S10(S51)、微粉炭生成工程S20、微粉炭燃焼工程S30のいずれかに対して行われる(それぞれ、図1におけるS51、S52、S53)。
【0047】
なお、石炭添加用酸化物低減剤の添加場所は、石炭の状態であれば特に限定されず、例えば、石炭供給工程S10と微粉炭生成工程S20との間の移送路や、微粉炭生成工程S20と微粉炭燃焼工程S30との間の移送路などで行われてもよい。
【0048】
具体的には、例えば、給炭機122ら石炭微粉炭機141に輸送する際の移送中のベルトコンベア上に石炭添加用酸化物低減剤を供給して混合する方法、石炭添加用酸化物低減剤を石炭微粉炭機141の石炭ホッパー(図示せず)に直接投入する方法、石炭微粉炭機141と火炉161の間の配管に剤投入口を設けて供給する方法、火炉161へ燃焼用空気とともに直接投入する方法、燃焼ボイラの直後に位置する1次節炭器161d、2次節炭器161e付近に添加する方法、などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。このように、本発明の方法は新たな設備を必要とせず、既存の設備の軽微な改良で適用可能であるため、既存設備を有効利用することができ、コスト的にも有利である。
【0049】
本発明の石炭添加用酸化物低減剤は、石灰石(CaCO)、消灰石(Ca(OH))、生石灰(CaO)からなる群より選択される1種以上を含むものである。また、石炭添加用酸化物低減剤は粒状又は粉末状であることが好ましく、具体的には、平均粒径が10μmから100μmであることが好ましく、10μmから60μmであることがより好ましい。
【0050】
石炭添加用酸化物低減剤の石炭への添加量は、石炭100質量部に対して、石炭添加用酸化物低減剤を0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
【0051】
本発明の酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤の作用については、以下のような機構が推定される。まず、脱硫機構としては、下記のような反応の進行が推定される。
CaO+SO+1/2O→CaSO
また、これ以外にも、石炭中の硫黄分が炉内で低融点化合物に取り込まれる機構も推定される。
【0052】
脱硝機構としては、石炭中の窒素分および燃焼用空気中Nの酸化反応をCaOが触媒の働きにより抑制すること、炉内で生じたNOxを炉内脱硝の形でNへの還元、が推定される。
【0053】
なお、本発明に係る酸化物低減方法及びそれに用いる石炭添加用酸化物低減剤は、石炭の燃焼によって発生した硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物の低減することが可能であるが、特に、石炭の燃焼によって発生した窒素酸化物の低減に効果がある。
【0054】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
<試験例1:小規模試験>
<実施例1>
台湾産の南屯炭(以下、石炭A)100重量部に、石灰石を3重量部混合した。この混合物をインペラーミルにより粉砕し、74μmアンダー80wt%、40μmアンダー50wt%、20μmアンダー25wt%となる粉体を得た。
【0055】
この粉体(石灰石含有微粉炭)を、微粉炭燃焼炉に供給し燃焼させた。微粉炭燃焼炉には、内径30cm、炉長2.5mの自燃式の縦型炉を使用し、粉体の投入量は、5〜6kg/hとした。このときの炉内温度は、1300℃に達した。燃焼後、排ガス中のSO及びNOx濃度をガスクロマトグラフ法により測定した。測定結果を表1に示す。
【0056】
<実施例2>
実施例1において、石炭A100重量部に、石灰石を1重量部混合した他は、実施例1と同様にして排ガス中のSO及びNOxの濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0057】
<比較例1>
実施例1において、石炭A100重量部に、石灰石を混合しなかった他は、実施例1と同様にして排ガス中のSO及びNOxの濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0058】
【表1】


【0059】
<実施例3>
実施例1において、オーストラリア産炭(石炭B)100重量部に、石灰石を3重量部混合した。この混合物をインペラーミルにより粉砕し、74μmアンダー80wt%、40μmアンダー50wt%、20μmアンダー25wt%となる粉体を得た。
【0060】
この粉体(石灰石含有微粉炭)を、実施例1と同様にして、排ガス中のSO及びNOxの濃度を測定した。測定結果を表2に示す。
【0061】
<実施例4>
実施例3において、石炭B100重量部に、石灰石を1重量部混合した他は、実施例3と同様にして排ガス中のSO及びNOxの濃度を測定した。測定結果を表2に示す。
【0062】
<比較例2>
実施例3において、石炭Bに石灰石を添加しなかった他は、実施例3と同様にして石炭灰を採取し、評価した。測定結果を表2に示す。
【0063】
【表2】


【0064】
表1及び表2に示した測定結果から明らかなように、本発明の方法を実施した場合は、排ガスのSOx及び/又はNOx濃度を低減することが可能である。従って、ミルに投入する前に、石炭に石灰石等の添加剤を投入するという簡単な操作によって、排ガス中のSOx及び/又はNOx濃度を低減できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、火力発電所等の微粉炭燃焼炉から発生する硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物を低減できることから、環境保全をより一層推進することを可能とする技術である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態を示す石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設の概略構成図である。
【図2】図1における火炉付近の拡大図である。
【符号の説明】
【0067】
1 微粉炭燃焼施設
12 石炭供給部
121 石炭バンカ
122 給炭機
14 微粉炭生成部
141 石炭微粉炭機
142 空気供給機
16 微粉炭燃焼部
161 火炉
162 加熱機
163 空気供給機
18 排ガス処理部
181 脱硝装置
182 脱硫装置
183 煙突
S10 石炭供給工程
S20 微粉炭生成工程
S30 微粉炭燃焼工程
S40 排ガス処理工程
S50 石炭添加用酸化物低減剤添加工程
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成19年1月12日(2007.1.12)
【代理人】 【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之

【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一

【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好

【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志


【公開番号】 特開2008−170107(P2008−170107A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−5208(P2007−5208)