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【発明の名称】 加熱装置及び燃料電池システム
【発明者】 【氏名】田辺 彰

【要約】 【課題】媒体流路を流通する被加熱媒体にガス流路から均一に熱を伝達して、効率良く被加熱媒体を加熱することができる加熱装置を提供する。

【解決手段】触媒が設けられ発熱反応可能な反応ガスが流通するガス流路層23と、ガス流路層23に隣接配置されるとともに被加熱媒体が流通する媒体流路層11と、を備え、反応ガスがガス流路層23内で触媒に反応して発熱し、この反応熱により媒体流路層11内の被加熱媒体を加熱する加熱装置10である。ガス流路層23は、媒体流路層11に対して非隣接位置に配置される第1の流路層26と、媒体流路層11に対して隣接位置に配置される第2の流路層27と、を有し、第1の流路層26の熱が層間部材24bを介して第2の流路層27に伝達されるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒が設けられ発熱反応可能な反応ガスが流通するガス流路層と、このガス流路層に隣接配置されるとともに被加熱媒体が流通する媒体流路層と、を備え、前記反応ガスが前記ガス流路層内で触媒に反応して発熱し、この反応熱により前記媒体流路層内の前記被加熱媒体を加熱する加熱装置であって、
前記ガス流路層は、前記媒体流路層に対して非隣接位置に配置される第1の流路層と、前記媒体流路層に対して隣接位置に配置される第2の流路層と、を有し、前記第1の流路層の熱が層間部材を介して前記第2の流路層に伝達されるように構成されてなるものである、
加熱装置。
【請求項2】
前記ガス流路層は、前記第1の流路層と前記第2の流路層とが一部で連通され、前記第1の流路層に前記反応ガスが供給される一方、前記第2の流路層から前記反応ガスが排出されるように構成されてなるものである、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記ガス流路層は、前記第1の流路層に存在する触媒の活性度が、前記第2の流路層に存在する触媒の活性度よりも高く設定されてなるものである、
請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記ガス流路層は、前記第1の流路層の一端側に設けられた前記反応ガスの供給部と、前記第1の流路層の他端側であって前記第1の流路層と前記第2の流路層との間の層間部材に設けられた連通路と、を有するものである、
請求項2又は3に記載の加熱装置。
【請求項5】
燃料ガス及び酸化ガスが供給されて電気化学反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池に冷媒を循環させて前記燃料電池の温度を調整する冷媒循環路と、
請求項1から4の何れか一項に記載の加熱装置と、を備え、
前記加熱装置は、前記燃料電池に供給される燃料ガス及び酸化ガスを反応ガスとして用いることにより、前記冷媒循環路を循環する被加熱媒体としての冷媒を加熱するものである、
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素等の燃料ガスと空気等の酸化ガスとを反応させて生じる熱により、燃料電池の温度調整用の冷却媒体等の流体を加熱する加熱装置が知られている。例えば、ガス流路及び媒体流路を有する熱交換部と、燃料ガス及び酸化ガスを供給する手段と、被加熱媒体を供給する手段と、を備え、ガス流路の少なくとも上流側部位に酸化触媒が担持された加熱装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載されたような従来の加熱装置では、通常、ガス流路と媒体流路とが一体的に積層されており、ガスを流通させる多数のガス流路が平行に設けられた層と、ガス流路の層に隣接してガス流路と直交する方向に媒体流路が設けられた層と、が配置されている。このような従来の加熱装置においては、燃料ガスと酸化ガスとが混合された反応ガスを加熱装置の一方向に流してガス流路の内部で触媒に接触させ反応させることにより熱を発生させ、この熱をガス流路に直交する媒体流路に伝達することにより、媒体流路を流通する媒体を加熱している。
【特許文献1】特開2003−211945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の加熱装置では、ガス流路が媒体流路に隣接する位置に配置されているため、このガス流路を反応ガスが流通する間に触媒と接触して反応し発熱すると、反応ガスがガス流路内の触媒に最初に接触する供給部位では、反応ガスの濃度が高く、反応速度が著しく速いため、反応が完了に近い程度まで進行する。このため、反応により生じた熱量のうち流路断面方向へ伝達される熱量が、ガスとともにガス流路に沿って伝達される熱量と比較して多く、反応ガスの供給部位近傍のガス流路の温度が局部的に極端に高くなり、局部的な高温領域が形成されていた。
【0005】
このようにガス流路に局部的に高温領域が形成されると、ガス流路に隣接する媒体流路の対応部位では、少ない面積に熱が集中し、局部的に流体の沸点を超える温度に上昇し易い。この結果、媒体流路では、熱伝達が不均一になって悪化し、被加熱媒体を効率良く加熱することができなくなっていた。また、媒体流路中の混合により均一にするとすれば、加熱装置が大型化し、表面積が増加することにより放熱量が増加するため、効率が低下して好ましくない。
【0006】
本発明は、媒体流路を流通する被加熱媒体にガス流路から均一に熱を伝達して、効率良く被加熱媒体を加熱することができる加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る加熱装置は、触媒が設けられ発熱反応可能な反応ガスが流通するガス流路層と、このガス流路層に隣接配置されるとともに被加熱媒体が流通する媒体流路層と、を備え、反応ガスがガス流路層内で触媒に反応して発熱し、この反応熱により媒体流路層内の被加熱媒体を加熱する加熱装置であって、ガス流路層は、媒体流路層に対して非隣接位置に配置される第1の流路層と、媒体流路層に対して隣接位置に配置される第2の流路層と、を有し、第1の流路層の熱が層間部材を介して第2の流路層に伝達されるように構成されてなるものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、第1の流路層において局部的に高温領域が生じても、その熱が第2の流路層に伝達されて、第2の流路層を流れる反応ガスに拡散されるため、媒体流路層が第1の流路層に局部的に生じた高温領域により局部的に過剰に加熱されることを抑制することができ、媒体流路層内で流れる被加熱媒体を均一に加熱することができる。また、第1の流路層で生じた熱は第2の流路層に伝達されて被加熱媒体の加熱に用いることができる。このため、効率良く被加熱媒体を加熱することができる。
【0009】
前記加熱装置において、第1の流路層と第2の流路層とが一部で連通され、第1の流路層に反応ガスが供給される一方、第2の流路層から反応ガスが排出されるように構成されてなるガス流路層を採用することができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、第1の流路層において生じた熱により昇温されたガスが、下流の第2の流路層に流れるため、第1の流路層で生じた熱を確実に被加熱媒体の加熱に利用することが可能である。また、第1の流路層に供給される反応ガスは第2の流路層を流れるガスに比べて濃度が高いため、第1の流路層でより局部的な高温領域が生じ易いが、下流の第2の流路層が媒体流路層に隣接しているので、媒体流路層側で局部的な高温領域が生じることをより確実に防止することができる。その結果、より効率良く被加熱媒体を加熱することができる。
【0011】
また、前記加熱装置において、第1の流路層に存在する触媒の活性度が、第2の流路層に存在する触媒の活性度よりも高く設定されてなるガス流路層を採用することができる。
【0012】
このようにすると、媒体流路層に隣接する第2の流路層に比べて第1の流路層がより高温に維持されるので、供給された反応ガスがより短時間で昇温されて反応が促進され易い。そのため、効率良く発熱させて被加熱媒体を加熱することができる。
【0013】
また、前記加熱装置において、第1の流路層の一端側に設けられた反応ガスの供給部と、第1の流路層の他端側であって第1の流路層と第2の流路層との間の層間部材に設けられた連通路と、を有するガス流路層を採用することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、第1の流路層で昇温されたガスがガス流路層の外部を流通しないため、加熱装置の小型化を図り易く、また、外部に放熱することによる損失を抑えることができる。さらに、第1の流路層内でガスを一端側から他端側まで流通させることができるため、反応を促進することができ、さらに効率良く被加熱媒体を加熱することができる。
【0015】
また、本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化ガスが供給されて電気化学反応により発電する燃料電池と、燃料電池に冷媒を循環させて燃料電池の温度を調整する冷媒循環路と、前記加熱装置と、を備え、前記加熱装置は、燃料電池に供給される燃料ガス及び酸化ガスを反応ガスとして用いることにより、冷媒循環路を循環する被加熱媒体としての冷媒を加熱するものである。
【0016】
かかる構成を採用すると、加熱装置が効率良く加熱できるものであるため、燃料電池を十分に加熱することが容易であり、氷点下以下でも効率良く安定に始動させることができる。また、加熱装置の反応ガスとして、燃料電池の燃料ガス及び酸化ガスを利用するので、加熱装置の動力や加熱源を設ける必要がなく、システム構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、媒体流路を流通する被加熱媒体にガス流路から均一に熱を伝達して、効率良く被加熱媒体を加熱することができる加熱装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
まず、図1を用いて、本実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。燃料電池システム1は、燃料電池2と、燃料電池2に酸化ガスとしての空気を供給するための酸化ガス供給系3と、過剰に供給された空気や発電時に生じた水蒸気を含む排ガスを排出するための酸化ガス排気系4と、燃料電池2に燃料ガスとしての水素ガスを供給するための燃料ガス供給系5と、過剰に供給された水素ガスを含む排ガスを排出するための燃料ガス排気系6と、を備えるとともに、燃料電池2の温度を調整するための冷却系7を備えている。また、本実施形態に係る燃料電池システム1は、燃料電池2の温度調整用の冷却媒体を加熱する加熱装置10を備えている。加熱装置10については、図2及び図3を用いて後に詳述することとする。
【0020】
燃料電池2は、例えば固体高分子電解質型で構成され、多数の単電池を積層したスタック構造を備えている。燃料電池2の単電池は、イオン交換膜からなる電解質の一方の面に空気極を有し、他方の面に燃料極を有し、さらに空気極及び燃料極を両側から挟みこむように一対のセパレータを有している。一方のセパレータの燃料ガス流路に燃料ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス流路に酸化ガスが供給され、このガス供給により燃料電池2は電力を発生する。
【0021】
酸化ガス供給系3は、空気供給流路31、コンプレッサ32、加湿モジュール33等を有している。空気供給流路31は、加湿モジュール33を経由して燃料電池2に接続される。また、酸化ガス供給系3は、空気供給流路31に分岐接続された(加湿モジュール33を経由しない)分岐流路34を有しており、この分岐流路34が、冷却系7のガス供給流路74に接続されている。酸化ガス排気系4は、空気排出流路41を有している。空気排出流路41は、燃料電池2に接続されるとともに、加湿モジュール33を経由して燃料ガス排気系6の希釈器65及びマフラ66に接続されている。
【0022】
燃料ガス供給系5は、図示していない水素供給源、水素供給源から供給される水素ガスを燃料電池2に供給するための燃料供給流路51、レギュレータ52、シャットバルブ53等を有している。また、燃料ガス供給系5は、燃料供給流路51に分岐接続された分岐流路54を有しており、この分岐流路54が、冷却系7のガス供給流路74に接続されている。燃料ガス排気系6は、燃料電池2から排出されるガスや生成水を流すための循環流路61、循環流路61に設けられた気液分離器62及び水素循環ポンプ63、気液分離器62に接続された排水排出流路64、排水排出流路64に設けられた希釈器65及びマフラ66等を有している。また、燃料ガス排気系6の循環流路61は、燃料ガス供給系5の燃料供給流路51及び分岐流路54に接続されており、分岐流路54を介して冷却系7のガス供給流路74に接続されることとなる。
【0023】
冷却系7は、燃料電池2の温度調整用の冷却媒体を流通させるための冷媒循環路71を有している。冷媒循環路71には、冷却媒体を冷却するラジエータ72と、冷却媒体を循環させるための冷却水ポンプ73と、が設けられるとともに、冷却媒体を加熱するための加熱装置10がラジエータ72と並列に設けられている。また、冷却系7は、加熱装置10にガスを供給するためのガス供給流路74と、加熱装置10からガスを排出するためのガス排出流路75と、希釈器76と、を有している。ガス供給流路74は、酸化ガス供給系3、燃料ガス供給系5及び燃料ガス排気系6に接続されており、燃料ガスとしての水素ガス及び酸化ガスとしての空気が分岐流路34、54を経由してガス供給流路74に供給されるようになっている。
【0024】
このように構成された燃料電池システム1の通常運転時には、燃料ガス供給系5と酸化ガス供給系3とから、各々燃料ガス(水素ガス)と酸化ガス(空気)とが燃料電池2に供給されて電気化学反応により発電が行われ、余剰ガス及び水分を含む排出ガスが燃料ガス排気系6と酸化ガス排気系4とから排出される。発電時には、冷却系7により、燃料電池2に冷却媒体を循環させて燃料電池2の温度が調整される。
【0025】
燃料電池2の温度が例えば氷点下のように低温の状態では、起動時に燃料電池2を加熱する必要がある。燃料電池2を加熱するには、冷却系7の三方弁77を切り換えて、ラジエータ72の代わりに、加熱装置10により冷媒循環路71を構成する。そして、燃料ガス供給系5及び/又は燃料ガス排気系6からの燃料ガスと、酸化ガス供給系3からの酸化ガスと、をガス供給流路74に供給し、ガス供給部21から加熱装置10に供給することにより、冷却媒体を加熱し、冷却水ポンプ73により冷媒循環路71内に加熱した冷媒を循環させることにより、燃料電池2を加熱する。
【0026】
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態に係る加熱装置10の構成について説明する。
【0027】
加熱装置10は、図2に示すように、被加熱媒体としての冷却媒体が図示しない一対の冷媒導入部及び冷媒排出部間を連通するように紙面に対して垂直に(例えば紙面手前側から奥側に向けて)冷却媒体を流通させる偏平角筒形状の複数の媒体流路層としての冷媒用チューブ11、冷媒用チューブ11の幅方向一方側に設けられたガス供給部21と他方側に設けられたガス排出部22との間を連通するように各冷媒用チューブ11間に複数設けられたガス流路層23、断熱材13等を備えている。複数の冷媒用チューブ11及び複数のガス流路層23は、各々平行に一体的に配設されており、熱伝達効率を高めるために層状に積層された状態で一体構造体となっている。
【0028】
各ガス流路層23は、図3に示すように、冷媒用チューブ11に沿って各々略平行な多数の仕切壁24a、24bを組み合わせて形成されている。冷媒用チューブ11間の中間が薄板状の孔無し仕切壁24aで仕切られ、孔無し仕切壁24aと各冷媒用チューブ11との間がそれぞれ2枚の薄板状の孔開き仕切壁24bで仕切られている。各孔開き仕切壁24bには、幅方向一方側に貫通孔24cが設けられており、他方側には貫通孔24cは設けられておらず、閉塞面24dとなっている。また、ガス供給部21側では、孔無し仕切壁24aと隣接する孔開き仕切壁24bとの間に供給開口部24eが設けられ、残りがガスストッパ24fにより閉塞されている。ガス排出部22側では、冷媒用チューブ11と隣接する孔開き仕切壁24bとの間に排出開口部24gが設けられ、残りがガスストッパ24hにより閉塞されている。さらに、各孔開き仕切壁24bには、各開口部24e、24g側に閉塞面24dが配置されている。孔開き仕切壁24bは、本発明における層間部材の一実施形態である。
【0029】
各ガス流路層23では、多数の仕切壁24a、24b及びガスストッパ24f、24hを接合することにより、冷媒用チューブ11間の中間に配置された孔無し仕切壁24aに隣接して設けられた第1の流路層26と、第1の流路層26と冷媒用チューブ11との間に設けられかつ冷媒用チューブ11と隣接する第2の流路層27と、が形成されている。第1の流路層26は、各々供給開口部24eから孔無し仕切壁24aに沿ってガスストッパ24hまで達している。また、第2の流路層27は、第1の流路層26から貫通孔24cにより連通され、孔開き仕切壁24b間に沿ってガスストッパ24fまで延在するとともに、貫通孔24cにより連通されて冷媒用チューブ11に沿って排出開口部24gまで達している。
【0030】
第1及び第2の流路層26、27内には、波板状に成形されて表面に触媒が担持された多数のフィン28が充填されている。フィン28の全面には、図示していない多数の貫通孔が設けられている。フィン28の積層数は、第1の流路層26及び第2の流路層27の流路幅に応じて、適宜(例えば4層〜8層)設定することができる。フィン28に担持される触媒は、各供給開口部24eに供給される反応ガスに応じて適宜選択することができる。例えば、ガス流路層26に水素と酸化ガスとからなる反応ガスが供給される場合には、Mg、Mn、Au、Pt、Pd等を触媒として採用することができる。本実施形態においては、上流側の第1の流路層26にPt、Pd等の反応活性度の比較的高い触媒を設け、下流側の第2の流路層27にMg、Mn、Au等の反応活性度の比較的低い触媒を設けている。第2の流路層27には触媒を設けなくても良い。
【0031】
なお、本実施形態においては、孔開き仕切壁24bの貫通孔24cを、板面の略半分程度の範囲に形成している。貫通孔24cの開口率は、板面積の20%〜30%に設定されることができる。また、加熱装置10は、耐熱性及び耐腐食性を有し、好ましくは熱伝導率の良い材料(例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属材料)で構成することができる。
【0032】
次に、本実施形態に係る加熱装置10の作用について説明する。
【0033】
まず、図1に示した冷却水ポンプ73を作動させて、各冷媒用チューブ11に被加熱媒体としての冷却媒体を流通させるとともに、図1に示したガス供給源(酸化ガス供給系3、燃料ガス供給系5及び燃料ガス排気系6)から反応により発熱可能な反応ガスを、ガス供給部21に供給する。本実施形態では、反応ガスとして、燃料ガス(水素ガス)と酸化ガス(空気)とを混合させた混合ガスを採用している。
【0034】
混合ガスは、各ガス流路層23の供給開口部24eから各々第1の流路層26に供給され、第1の流路層26内の雰囲気温度により昇温され、フィン28の触媒と接触することにより発熱反応を生じる。第1の流路層26内では水素濃度が高いため急速に反応が促進される。発熱により生じた熱量が大きいため、第1の流路層26内の流通するガスは、例えば500℃〜800℃程度に昇温される。さらに、生じた熱量が、流通するガス量に比較して過剰に大きいため、孔開き仕切壁24bの閉塞面24dを経由して隣接する第2の流路層27にも伝達される。
【0035】
第1の流路層26内を流通するガスは、反応を促進しつつ、例えば500℃〜800℃程度の過剰に高い温度で、ガスストッパ24h側へ流通する。この温度範囲では、フィン28の触媒の活性も高いため、相乗効果により、反応はより促進される。そして、ガスストッパ24h側に達すると、貫通孔24cを経由して第2の流路層27に導入される。
【0036】
第2の流路層27では、反応が十分に進行した状態でガスが導入される。このように導入されたガスは、第2の流路層27内でフィン28の触媒と接触して反応が促進されつつ流通される。また、前記したように第1の流路層26から孔開き仕切壁24bを介して伝達された熱がガスに供給されるため、ガスは、反応により生じた熱量と伝達された熱量とを吸収してガスストッパ24f側へ流通する。第2の流路層27内を流通するガスの熱の一部は、孔開き仕切壁24bの閉塞面24dを経由して、冷媒用チューブ11に隣接する第2の流路層27にも伝達される。そして、ガスは、ガスストッパ24f側に達すると、貫通孔24cを経由して、冷媒用チューブ11に隣接する第2の流路層27へ導入される。
【0037】
冷媒用チューブ11に隣接する第2の流路層27では、ガスは、過剰な発熱が生じることなく、排出開口部24g側へ流通され、隣接する冷媒用チューブ11と熱交換を行うことにより、冷媒用チューブ11に流通されている冷却媒体を加熱して昇温させる。冷媒用チューブ11に隣接する第2の流路層27内を流通するガスは、第1の流路層26側に隣接する第2の流路層27から熱量が供給されつつ、冷媒用チューブ11を流通する冷却媒体の加熱に熱量が消費される。そのため、ガスは、流路全体で略均一な温度(例えば約100℃)で流通し、冷媒用チューブ11の冷却媒体を加熱することができる。
【0038】
そして、第2の流路層27を流通するガスは、降温された後、排出開口部24gから水分等とともに排出される。一方、隣接する第2の流路層27から熱量が供給された冷媒用チューブ11では、流通される冷却媒体が昇温されて、所望の用途に利用されることとなる。
【0039】
以上の実施形態に係る加熱装置10においては、第1の流路層26において高温領域が生じても、その熱が第2の流路層27に伝達されて、第2の流路層27内を流通するガスに拡散されるため、冷媒用チューブ11が第1の流路層26の高温領域により局部的に過剰に加熱されることがなく、冷媒用チューブ11内で流れる冷却媒体を均一に加熱することが可能である。同時に、第1の流路層26で生じた熱を第2のガス流路27に伝達して冷却媒体の加熱に用いることができるため、効率良く冷媒を加熱することができる。
【0040】
例えば、図4に示すように、ガス流路層23の長さに相当する供給開口部24eから排出開口部24gまでの距離における冷媒用チューブ11内の冷却媒体の温度分布は、実線Aで示すように略均一となっている。この温度は、図4に示すように、冷却媒体の沸点より十分に低い値である。なお、従来のように、一方向に反応ガスが流通するガス流路層を冷媒用チューブ11に隣接させて配置し、同量の反応ガスを流通させると、図4の破線Bで示すように、供給開口部側(すなわち反応ガスが供給された直後の位置)の温度が著しく高く、沸点を越えている。このような状態では、効率良く加熱することが困難である。従って、本実施形態のように第1の流路層26及び第2の流路層27を設けることにより、効率良く冷媒を加熱できることが明らかである。
【0041】
また、以上の実施形態に係る加熱装置10においては、第1の流路層26と第2の流路層27とが孔開き仕切壁24bの貫通孔24cで連通されており、第1の流路層26に混合ガスが供給されるとともに第2の流路層27から排出されるように構成されているので、第1の流路層26において生じた熱により昇温されたガスを、下流の第2の流路層27に流すことができ、第1の流路層26で生じた熱を確実に冷媒用チューブ11内で流れる冷却媒体の加熱に利用することができる。また、第1の流路層26に供給される混合ガスは第2の流路層27を流通するガスに比べて濃度が高いため、第1の流路層26でより高温領域が生じ易いが、下流の第2の流路層27が冷媒用チューブ11に隣接しているので、冷媒用チューブ11側で高温領域が生じることをより確実に防止することができる。その結果、より効率良く被加熱媒体を加熱することができる。
【0042】
また、以上の実施形態に係る加熱装置10においては、第1の流路層26に反応活性度の比較的高い触媒(Pt、Pd等)を設け、第2の流路層27に反応活性度の比較的低い触媒(Mg、Mn、Au等)を設けており、冷媒用チューブ11に隣接する第2の流路層27に比べて第1の流路層26がより高温に維持されるので、供給された反応ガスがより短時間で昇温されて反応が促進され易い。そのため、効率良く発熱させて冷却媒体を加熱することができる。なお、第2の流路層27には触媒を設けなくても良い。
【0043】
また、以上の実施形態に係る加熱装置10においては、第1の流路層26の一端側に供給開口部24eが設けられており、第1の流路層26の他端側の第2の流路層27との間の孔開き仕切壁24bに第2の流路層27と連通する貫通孔24cが設けられているので、第1の流路層26内でガスを一端側から他端側まで流通させることができるため、反応を促進することができ、さらに効率良く冷媒を加熱することができる。また、第1の流路層26で昇温されたガスを、ガス流路層23の外部で流通させる必要がないため、加熱装置10の小型化を図り易く、また、外部に放熱することによる損失を抑えることができる。
【0044】
また、以上の実施形態に係る燃料電池システム1においては、燃料電池2を十分に加熱することが容易であり、氷点下以下でも効率良く安定に始動させることができる。また、加熱装置10の反応ガスとして、燃料電池2の燃料ガス及び酸化ガスを利用するので、加熱装置10の動力や加熱源を設ける必要がなく、システム構成を簡単にすることができる。更に、燃料ガスの余剰ガスを循環して利用することができるため、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0045】
なお、以上の実施形態においては、燃料電池システム1の燃料電池2の温度調整用の冷却媒体を加熱する加熱装置10に本発明を適用した例を示したが、他のシステムにおける触媒反応式の加熱装置(反応ガスの触媒反応熱により被加熱媒体を加熱するもの)に本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱装置の(図1のII−II部分における)断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る加熱装置の一部(図2のIII部分)の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る加熱装置の冷媒用チューブ内の温度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1…燃料電池システム、2…燃料電池、10…加熱装置、11…冷媒用チューブ(媒体流路層)、21…ガス供給部、22…ガス排出部、23…ガス流路層、24a…孔無し仕切壁、24b…孔開き仕切壁(層間部材)、24c…貫通孔(連通路)、26…第1の流路層、27…第2の流路層、71…冷媒循環路。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年10月31日(2006.10.31)
【代理人】 【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸

【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司

【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史


【公開番号】 特開2008−111595(P2008−111595A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−295105(P2006−295105)