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【発明の名称】 サーモラベル付きドレントラップ及びドレントラップの点検方法
【発明者】 【氏名】藤重 英樹

【要約】 【課題】ドレントラップの表面の温度を簡単に表示させ、直ちに目視で判定できるようにすることで、多数のドレントラップの点検を短時間で簡単且つ安価に行うことができるようにする。

【構成】ドレントラップ(1)の外表面に、温度によって色が変化する材料(4)を設け、その色の変化の有無を観察して故障を判定できるようにする。材料(4)は、50℃以下になった時に変色するものであることが好ましく、50℃以下になった時に変色する領域(43)を少なくとも備えたサーモラベルであることがより好ましい。サーモラベルは、ドレントラップのドレン入口(2)付近に設けることが好ましく、その上に1層以上の透明フィルムを積層してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度によって色が変化する材料(4)を外表面に備えてなることを特徴とするドレントラップ。
【請求項2】
温度によって色が変化する前記材料(4)が、50℃以下になった時に変色するもの(43)である請求項1に記載のドレントラップ。
【請求項3】
温度によって色が変化する前記材料(4)が、50℃以下になった時に変色する領域(43)を少なくとも備えているサーモラベル(4)である請求項2に記載のドレントラップ。
【請求項4】
前記サーモラベル(4)が、ドレントラップのドレン入口(2)付近に設けられている請求項3に記載のドレントラップ。
【請求項5】
前記サーモラベル(4)は、その上に1層以上の透明フィルムが積層されている請求項2乃至4の何れか1項に記載のドレントラップ。
【請求項6】
ドレントラップ(1)の外表面に、温度によって色が変化する材料(4)を設け、その色の変化の有無を観察することを特徴とするドレントラップの点検方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、正常に動作しているかどうかを簡単に判定できるドレントラップ、及びドレントラップの点検方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒸気を熱源として使用する発電所等のプラントや建築物などの施設では、蒸気を輸送する蒸気配管系で発生したドレンを、運転効率を高めるために、速やかに蒸気配管系から排出する必要がある。そのために、蒸気配管系には、随所に、ドレントラップ(別称:スチームトラップ)が設置されている。
【0003】
ドレントラップは、ドレンが発生した場合に弁を開放してこれを排出する一方で、ドレンが発生していない場合には蒸気を漏らさないように弁を閉止するように構成されており、通常、一定量のドレンが溜まる時間間隔毎に弁を開放してドレンを排出するように間欠的に動作したり、ドレンを実質的に常時滴下して排出するように連続的に動作するように構成されている。
【0004】
しかしながら、蒸気配管系の内部には錆や垢が存在し、これがドレントラップの弁に集積すると、弁が閉塞してドレンが排出されなくなる。ドレンが排出されなくなると、運転効率が低下して施設の操業に支障を来たすこととなるので、ドレントラップが正常に動作しているかどうかは、定期的に点検する必要がある。
【0005】
ドレントラップの弁が閉塞すると、ドレントラップの内部にドレンが溜まり、ドレントラップの温度が低下する。したがって、ドレントラップが正常に動作しているかどうかは、通常、ドレントラップの外表面に直接手で触れて温度を調べたり、聴診棒でドレントラップを聴診し、蒸気の流れやトラップの動作音を確認することでドレンが溜まっていないかどうかを調べたり、ドレンの排出時に目視でドレンの噴出状況を確認する等の方法で行われている。
【0006】
しかしながら、発電所などの大規模な施設では、ドレントラップは無数に設けられており、全てのドレントラップを上記のような方法で点検するには、多くの手間と時間を要する。また、ドレントラップは、容易に接近できないような狭い場所に設けられていることも多い。
【0007】
そこで、ドレントラップの外表面の温度を、そこから放出される赤外線の強度を検出し、ドレントラップの温度を非接触的に点検できるようにした装置が既に提案されている(特許文献1及び2参照)。しかしながら、この装置は、コンピュータを内蔵した複雑な構成を備えるものであり、また、高価なものである。
【0008】
【特許文献1】特許第2954183号公報
【特許文献2】特開2001-324389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ドレントラップの表面の温度を簡単に表示させ、直ちに目視で判定できるようにすることで、多数のドレントラップの点検を短時間で簡単且つ安価に行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、上記目的は、温度によって色が変化する材料、好ましくはサーモラベルを外表面に備えてなることを特徴とするドレントラップによって達成される。
また、本発明の他の局面によれば、上記目的は、ドレントラップの外表面に、温度によって色が変化する材料、好ましくはサーモラベルを設け、その色の変化を観察することを特徴とするドレントラップの点検方法によって達成される。
【0011】
本発明において、ドレントラップは特に限定されず、例えば、内部に設けられたフロートによって弁を開閉する機械式ドレントラップ、内部にディスク式の弁が設けられたディスク式ドレントラップ、バイメタル又は感温液を包入したベローズ若しくはエレメントを弁の開閉に利用したサーモスタティック型ドレントラップなどが挙げられる。これらのドレントラップは、排出ドレンの温度を任意に設定できる温調トラップであってもよい。
【0012】
本発明において、温度によって色が変化する材料は特に限定されず、温度に応じて変色する特殊なインク及び塗料、サーモラベルなどが挙げられるが、好ましくは、サーモラベルである。通常の蒸気配管系において、ドレントラップの外表面の温度は正常運転時で90〜130℃であるが、ドレントラップの弁が閉塞して故障した場合、夏の暑い時期でもドレントラップの外表面の温度は45℃程度までしか上昇しなくなる。したがって、当該材料は、温度が50℃以下になった時に変色する材料であることが好ましい。当該材料は、温度によって可逆的に色が変化するものであっても、温度によって非可逆的に色が変化するものであってもよいが、好ましくは後者である。また、サーモラベルは、一般に、異なる温度で変化する複数の領域を備えているが、50℃以下になった時に変色する領域を少なくとも備えているものが好ましく、ドレントラップの故障の度合いを判定できるようにするために、50℃以下になった時に変色する領域以外に、60℃以下になった時に変色する領域、及び/又は、70℃以下になった時に変色する領域を少なくとも備えているものが更に好ましい。
【0013】
本発明において、サーモラベル等の前記材料は、ドレントラップのドレン入口付近に設けることが好ましい。当該入口付近は、ドレントラップの弁の正常時と故障時で最も温度が大きく変化する箇所だからである。
本発明において、サーモラベル等の前記材料は、その上に1層以上の透明フィルムを積層しておくことが好ましい。透明フィルムで積層することにより、サーモラベル等の前記材料が風雨で劣化したり埃が付着するのを防止できる。透明フィルムは多層に積層した場合、点検毎に最外層のフィルムを剥すことにより、常に埃の無い状態で変色を正確に確認できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドレントラップの外表面に温度によって色が変化する材料を設けることとしたので、ドレントラップの弁が故障してその温度が変化した時に該材料の色が自動的に変化するので、その変化を一目で確認することができる。したがって、多数のドレントラップが設置された発電所等の大規模なプラントでも、簡単に短時間で多数のドレントラップの点検を実施することができる。また、既存の設備においても、ドレントラップの外表面に、サーモラベルなどの温度によって色が変化する材料を設けるだけで、安価にドレントラップの点検を実施できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の具体例を図面に基づいて説明するが、本発明は下記の具体例のみに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明のドレントラップの一例を概略的に示す側面図であり、ドレントラップとしてディスク式ドレントラップを使用した例を示す。図1において、数字1はドレントラップを全体的に示し、数字2はドレン入口を示し、これには、蒸気配管系の蒸気管20が連結している。数字3はドレン出口を示し、これには、ドレンタンク(図示せず)に連結したドレン管30が連結している。
【0017】
そして、ドレントラップ1の外側面には、ドレン入口2に隣接させて、サーモラベル4が貼り付けられている。このサーモラベル4は、ドレン出口の方向から、順次、70℃以下で変色する領域41と、60℃以下で変色する領域42と、50℃以下で変色する領域43とからなる3つの異なる領域を備えている。
【0018】
図1のドレントラップ1は、蒸気管20にドレンが溜まっていない時は、ドレントラップ1内の弁が閉止され、ドレン出口3への蒸気の流通は阻止される。しかしながら、蒸気管20にドレンが溜まった時、ドレントラップ1の温度が若干低下することに応答してドレントラップ1内の弁が開放し、ドレンがドレン出口3へ排出される。
【0019】
しかしながら、図1のドレントラップ1が故障した場合、蒸気管20にドレンが溜まっていても、ドレントラップ1内の弁が開放せず、ドレンがドレントラップ1内及びドレン入口21付近の蒸気管20に集積する。この場合、ドレントラップ1の外表面の温度が徐々に低下し、最終的には、50℃以下に低下する。
【0020】
本発明のドレントラップでは、図1に示されるように、ドレントラップ1の外表面にサーモラベル4が貼り付けられているため、故障してドレントラップの温度が低下していることをサーモラベルの変色により判断することができる。図1のサーモラベルは、3種類の領域41,42,43を備えているので、ドレントラップ1の温度の低下の程度を判定することができ、例えば、領域41のみが変色したときは「注意」、領域41及び42が変色したときは「排出不良」、領域41、42及び43が変色したときは「故障」などの判定を下すこともできる。サーモラベル1は、図1に示されるように、ドレントラップ1の外表面のうち、弁の故障により最も温度変化が表われやすい箇所、すなわち、ドレントラップ1内部のドレンの流通路に隣接した外側面であって、ドレン入口20に隣接した箇所に変色領域41〜43が位置するように設けることが好ましい。
【0021】
図1に示されるサーモラベル4は、市販のものをそのまま使用することができ、既設のドレントラップ1の外表面にサーモラベル4を貼り付けるだけで、容易にドレントラップの点検を行うことができるようになる。また、予め外表面にサーモラベルを貼り付けたドレントラップ1を設置して使用してもよいことは言うまでもない。
【0022】
ドレントラップ1の外表面にサーモラベル1を貼り付けて使用する場合、経時的にサーモラベル1に埃が付着して検査時に変色を観察しにくくなることを防止するために、サーモラベル1の表面に透明プラスチックフィルム(図示せず)を積層しておいてもよい。このようにすると、点検時に埃の付着でサーモラベル1の変色が観察しにくい場合、プラスチックフィルムを剥して変色を観察することができる。透明プラスチックフィルムは多層に積層してもよい。この場合、点検毎に最外層のプラスチックを剥すことで、サーモラベル1を正確に観察できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ドレントラップを備えた蒸気配管系が設けられている発電所、工場、建築物などの施設において有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のドレントラップの一例を蒸気配管系に接続した状態で示す概略的側面図。
【符号の説明】
【0025】
1…ドレントラップ、2…ドレン入口、3…ドレン出口、4…サーモラベル、41,42,43…変色領域、20…蒸気管、30…ドレン管。
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威

【識別番号】100125933
【弁理士】
【氏名又は名称】野上 晃


【公開番号】 特開2008−64209(P2008−64209A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243661(P2006−243661)