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【発明の名称】 油圧緩衝器
【発明者】 【氏名】新井 武志

【氏名】菊田 晋

【氏名】竹花 大貴

【氏名】江口 宗光

【要約】 【課題】油圧緩衝器において、自転車等のスタート時に、車体の沈み込みを防止するとともに、車輪に作用する異常な突き上げ等の大入力を吸収すること。

【構成】油圧緩衝器10において、シリンダ11の油室38A、38Bと減衰力発生部60の間の連通路57上に、外部からの電気的操作にて該連通路57を遮断する開閉弁80を設け、減衰力発生部60と開閉弁80をバイパスし、シリンダ11の油室38A、38Bとリザーバ51を連通するバイパス路58を設け、該バイパス路58上にブロー弁100を設けたもの。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダの油室にピストンロッドを挿入し、シリンダの油室に進退するピストンロッドの容積を補償するリザーバを連通路によりシリンダの油室に連通し、該連通路に減衰力発生部を設けてなる油圧緩衝器において、
シリンダの油室と減衰力発生部の間の連通路上に、外部からの電気的操作にて該連通路を遮断する開閉弁を設け、
減衰力発生部と開閉弁をバイパスし、シリンダの油室とリザーバを連通するバイパス路を設け、該バイパス路上にブロー弁を設けたことを特徴とする油圧緩衝器。
【請求項2】
前記ブロー弁に開弁圧調整部を設けた請求項1に記載の油圧緩衝器。
【請求項3】
前記開閉弁を外部から電気的操作にて一定時間だけ遮断する請求項1又は2に記載の油圧緩衝器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は自転車や自動二輪車等の車体と車輪との間に介装されて路面からの衝撃を吸収する油圧緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の油圧緩衝器は、ダンパ本体とリザーバを連通する通路中に、油の通過時に減衰力を発生すると共に外部からの電気的信号の入力で発生減衰力を高低調整する減調部を有するものとしている。
【0003】
特許文献2に記載の油圧緩衝器は、ダンパ本体とリザーバを連通する通路中に、油の通過油量をオリフィスにて調整する手動調整部と、手動調整部を迂回するバイパス路中に外部からの電気的信号の入力でこのバイパス路中における通過油量を調整する自動調整部を有するものとしている。
【特許文献1】特開2001-304325
【特許文献2】特開2001-294027
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の油圧緩衝器によれば、自転車等のスタート時にライダーがペダルを強く踏み込んだとき、ライダーもしくは駆動チェーンからの入力に対し、減衰力を高く調整し、車体の沈み込みを防止できる。しかしながら、減衰力を高く調整した状態において、車輪に異常な突き上げ等の大入力があった場合、油圧緩衝器はロック状態となり、車体の転倒或いは、油圧緩衝器の破損を生ずるおそれがある。
【0005】
特許文献2の油圧緩衝器にあっては、自転車等のスタート時に自動調整部を閉鎖しても、手動調整部を構成するオリフィスが油の流通を許容するから、車体の沈み込みを防止できない。また、車輪に異常な突き上げ等の大入力があるとき、手動調整部を構成するオリフィスだけでは大入力を吸収できない。
【0006】
本発明の課題は、油圧緩衝器において、自転車等のスタート時に、車体の沈み込みを防止するとともに、車輪に作用する異常な突き上げ等の大入力を吸収することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、シリンダの油室にピストンロッドを挿入し、シリンダの油室に進退するピストンロッドの容積を補償するリザーバを連通路によりシリンダの油室に連通し、該連通路に減衰力発生部を設けてなる油圧緩衝器において、シリンダの油室と減衰力発生部の間の連通路上に、外部からの電気的操作にて該連通路を遮断する開閉弁を設け、減衰力発生部と開閉弁をバイパスし、シリンダの油室とリザーバを連通するバイパス路を設け、該バイパス路上にブロー弁を設けたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ブロー弁に開弁圧調整部を設けたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記開閉弁を外部から電気的操作にて一定時間だけ遮断するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1)
(a)自転車等のスタート時にライダーがペダルを強く踏み込んだとき、外部から開閉弁を電気的操作して減衰力発生部の連通路を遮断すれば、減衰力発生部の流路が完全に不通になり、ライダーもしくは駆動チェーンからの入力に対する油圧緩衝器のフワフワ感をなくし、車体の沈み込みを防止できる。
【0011】
(b)上述(a)の開閉弁が減衰力発生部の連通路を遮断した状態において、車輪に異常な突き上げ等の大入力があるときには、ブロー弁が開いてシリンダ内の異常高圧をリザーバに逃し、大入力を吸収する。これにより、大入力に起因する車体の転倒或いは油圧緩衝器の破損を回避できる。ブロー弁は通常走行時の乗心地に関係しないから、上述の大入力を吸収するに足る適宜のブロー圧を設定できる。
【0012】
(c)自転車等の通常走行時には、上述(a)の開閉弁による連通路の遮断は解除され、減衰力発生部が適宜の大きさの減衰力を発生する。減衰力発生部は通常走行時の乗心地だけを考慮した適宜の減衰力を設定できる。
【0013】
(請求項2)
(d)ブロー弁の上述(b)のブロー圧を、その開弁圧調整部により適宜に調整できる。ライダーの好みに応じたライディングスタイルを選択でき、或いは路面状況に応じた調整が可能になる。
【0014】
(請求項3)
(e)上述(a)の開閉弁をタイマー連動とし、外部からの電気的操作にて一定時間だけ開閉弁を遮断することにより、自転車等の車速がスタートから一定速度まで上昇する間のみ(例えばタイマーを5秒にセットする)減衰力発生部の流路を不通にし、その後は減衰力発生部に設定した上述(c)の通常の減衰力を自動的に発生させ、操縦安定性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は油圧緩衝器を示す平面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4はピストンバルブ装置を示す断面図、図5は図2の減衰力発生部と開閉弁を示す断面図、図6は図3のブロー弁を示す断面図、図7は制御系を示すブロック図である。
【実施例】
【0016】
油圧緩衝器10は、図1〜図3に示す如く、シリンダ11に中空ピストンロッド12を挿入し、シリンダ11とピストンロッド12の外側部に懸架スプリング13を介装している。
【0017】
シリンダ11は車体側取付部材14を備え、ピストンロッド12に車輪側取付部材15を備える。シリンダ11の外周部にはばね受け調整リング16がばね受け17を備えて螺着され、ピストンロッド12にはばね受け18が固定されており、ばね受け17とばね受け18の間に懸架スプリング13を介装し、ばね受け調整リング16の螺動により懸架スプリング13の設定長さを調整可能としている。懸架スプリング13の弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0018】
シリンダ11はピストンロッド12が貫通するロッドガイド21を備える。ロッドガイド21は、Oリング22を介してシリンダ11に液密に装着されるとともに、オイルシール23、ブッシュ24、ダストシール25を備える内径部にピストンロッド12を液密に摺動自在としている。尚、シリンダ11は、ロッドガイド21の外側に圧側バンパ26を備え、最圧縮時に、ピストンロッド12が備えるバンパストッパ27にこの圧側バンパ26を衝合して最圧縮ストロークを規制可能としている。また、シリンダ11は、ロッドガイド21の内側にワッシャ28、伸側バンプラバー29を備えている。
【0019】
油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)30と、ベースバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有している。油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置30とベースバルブ装置50が発生する減衰力により、懸架スプリング13による衝撃力の吸収に伴うシリンダ11とピストンロッド12の伸縮振動を抑制する。
【0020】
(ピストンバルブ装置30)(図4)
ピストンバルブ装置30は、図2〜図4に示す如く、シリンダ11に挿入されたピストンロッド12の端部に中空ピストンボルト31を螺着し、ピストンボルト31にピストン32、第1圧側板バルブ33A、第2圧側板バルブ33B、伸側板バルブ34A、バルブストッパ35を挿着し、これらをナット36で固定している。
【0021】
ピストン32は、Oリング37A、ピストンリング37Bを外周に備えてシリンダ11の内部を摺接し、シリンダ11の内部をピストンロッド12が収容されないピストン側油室38Aと、ピストンロッド12が収容されるロッド側油室38Bに区画する。ピストン32は、低速時減衰用の第1圧側板バルブ33Aと高速時減速用の第2圧側板バルブ33Bを備えてピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとを連通可能にする圧側流路33と、伸側板バルブ34Aを備えてピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとを連通可能にする伸側流路34とを備える。
【0022】
ピストンバルブ装置30は減衰力調整装置40を有している。減衰力調整装置40は、図4に示す如く、スライダ装置41により操作される減衰力調整ロッド42をピストンロッド12〜ピストンボルト31の中空部に進退自在に通し、この調整ロッド42の先端のニードル弁43により、ピストンボルト31に設けてあるピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとのバイパス流路44の開口面積を調整可能としている。
【0023】
スライダ装置41は、ピストンロッド12の車輪側取付部15に該ピストンロッド12の軸方向に直交する方向から圧入固定されたアジャストホルダ45と、このアジャストホルダ45に枢着されたアジャスタ46と、アジャスタ46の軸直角外方向にセットスプリング47で付勢されてアジャストホルダ45の側の係合凹部に係合可能とされるボール48と、アジャスタ46のねじ部に螺着されたスライダ49とから構成される。アジャスタ46はダイアル46Aを備える操作端側をアジャストホルダ45に支持され、反操作端側を車輪側取付部15に支持され、ダイアル46Aにより回転操作され、ボール48をアジャストホルダ45の周方向複数位置に配置(等配)されている係合凹部のそれぞれに順に係合し、アジャスタ46をそれらの回転操作停止位置に節度感をもって設定替え可能とされる。他方、スライダ49は、アジャスタ46のねじ部に螺着された状態で、車輪側取付部15に設けてあるガイド15Aに回り止め状態で軸方向に往復動可能にガイドされている。これにより、スライダ装置41は、アジャスタ46の回転操作によりスライダ49を調整ロッド42の軸方向に直交する方向に進退可能とする。
【0024】
調整ロッド42の先端ニードル弁43は、ピストンロッド12の中空部にOリング43Aを介して液密に挿入され、バイパス流路44の開口面積を調整する。このとき、調整ロッド42は、シリンダ11のピストン側油室38Aの油圧に基づくスラスト力により、その基端ロッドエンド42Aを上述のスライダ49のテーパ面49Aに圧接せしめられる。
【0025】
即ち、ピストンバルブ装置30にあっては、スライダ49のテーパ面49Aを調整ロッド42の基端ロッドエンド42Aに当接させ、スライダ装置41のアジャスタ46のダイアル46Aに加える回転操作に基づくスライダ49の進退により調整ロッド42を軸方向に進退させ、調整ロッド42の先端のニードル弁43の移動によりバイパス流路44の開口面積を調整する。
【0026】
尚、ピストンボルト31のバイパス流路44において、ピストン側油室38Aに臨む開口端には、ピストンボルト31の径方向に刺通されるピン31Aにより抜け止めされるボール弁31Bが着座可能にされており、バイパス流路44に、ロッド側油室38Bからピストン側油室38Aへの流れのみを許容している。これにより、減衰力調整装置40は、油圧緩衝器10の伸長行程においてのみ作動する。
【0027】
従って、油圧緩衝器10の圧縮時には、ピストン側油室38Aの油が圧側流路33を通り、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のときには第1圧側板バルブ33Aを撓み変形させてロッド側油室38Bに流れ、圧側の減衰力を得る。また、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が高速のときには、ピストン側油室38Aの油が第2圧側板バルブ33Bを撓み変形させてロッド側油室38Bに流れ、圧側の減衰力を得る。
【0028】
また、油圧緩衝器10の伸長時には、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のとき、ロッド側油室38Bの油がニードル弁43のあるバイパス流路44を通ってピストン側油室38へ流れ、この間のニードル弁43による絞り抵抗により伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、スライダ装置41のアジャスタ46の回転操作により調整される。
【0029】
また、油圧緩衝器10の伸長時で、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室38Bの油が伸側流路34を通り伸側バルブ34Aを撓み変形させてピストン側油室38Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0030】
(ベースバルブ装置50)(図5)
ベースバルブ装置50は、シリンダ11にリザーバ51を一体化し、このリザーバ51のキャップ52で封止される内部をダイヤフラム型(フリーピストン型でも可)の隔壁部材53により、油室54とガス室55とに区画している。キャップ52には、ガス室55に加圧ガスを封入するガス封入バルブ56が設けられている。
【0031】
ベースバルブ装置50は、図5に示す如く、シリンダ11とリザーバ51の連結部に、シリンダ11の油室38A、38Bをリザーバ51の油室54に連通する連通路57を設け、シリンダ11の油室38A、38Bに進入/退出するピストンロッド12の容積をリザーバ51により補償し、この連通路57に減衰力発生部60を設けてある。
【0032】
減衰力発生部60は、図5に示す如く、シリンダ11のピストン側油室38Aとリザーバ51の油室54との間の連通領域にバルブハウジング61を設け、シリンダ11に螺着されるプラグボルト62によってこのバルブハウジング61を固定してある。バルブハウジング61にはピストン63が固定化され、ピストン63には流路64を設けてある。ピストン63の中央部にはバイパス形成ボルト65がナット66で固定され、バイパス形成ボルト65の中央部まわりには流路64を圧縮時に開とする圧側バルブ67と、流路64を伸長時に導通する伸側バルブ(チェックバルブ)68とが設けられる。
【0033】
減衰力発生部60は、プラグボルト62にダイアル71Aを備えたアジャストロッド71を回転可能に装着し、このアジャストロッド71の先端部に回転方向には係合し軸方向には相対移動できるニードル弁72を備え、プラグボルト62の先端側に加締固定してあるナット73にニードル弁72の外周ねじ部を螺着してある。また、アジャストロッド71は、アジャストロッド71の軸方向外方向にセットスプリング74で付勢されてプラグボルト62の係合凹部に係合可能とされるボール75を備えている。これにより、ニードル弁72をバイパス形成ボルト65のバイパス流路65Aに対して進退し、バイパス流路65Aの開口面積を調整可能とする。
【0034】
従って、油圧緩衝器10の通常の稼動状態の圧縮時には、シリンダ11に進入したピストンロッド12の進入容積分の油が、ピストン側油室38Aからバイパス形成ボルト65のバイパス流路65A、もしくはピストン63の流路64を通ってリザーバ51の油室54に排出される。このとき、低速のときには、バイパス流路65Aに設けてあるニードル弁72による絞り抵抗により圧側の減衰力を得る。この減衰力は、アジャストロッド71により調整される。また、中高速のときには、ピストン側油室38Aから流路64を通る油が圧側バルブ67を撓み変形させてリザーバ51の油室54に導かれ、圧側の減衰力を生ずる。
【0035】
油圧緩衝器10の伸長時には、シリンダ11から退出するピストンロッド12の退出容積分の油が、リザーバ51の油室54から伸側バルブ68、流路64を通ってピストン側油室38Aに返送される。
【0036】
ベースバルブ装置50は、図5に示す如く、シリンダ11のピストン側油室38Aと減衰力発生部60の間の連通路57上に、外部からの電気的操作にて連通路57を遮断する開閉弁80を設けてある。
【0037】
開閉弁80は、シリンダ11において、連通路57の中間部を横切って設けた弁室81の軸方向に摺動可能に装填され、弁室81の開口端側に螺着されてOリング84Aを介して固定された孔開きキャップ82にOリング84Bを介して貫通するとともに、弁室81の閉塞端と開閉弁80との間にコイルばね83(図示省略)を介装する。コイルばね83の付勢力により開閉弁80をキャップ82に押し当てる待機位置(図5の開閉弁80の左半部)で、開閉弁80が弁座81Aから離れて弁室81の両側の連通路57、57を導通する。開閉弁80は弁室81に摺接して上記待機位置からコイルばね83を加圧する方向の遮断作業位置(図5の開閉弁80の右半部)まで押し込み移動可能にされ、遮断作業位置で連通路57を遮断する。
【0038】
電磁ソレノイド90は取付板91にねじ止めされ、取付板91とともにシリンダ11にボルト止めされるカバー92により被覆されてシリンダ11に固定される。電磁ソレノイド90は、図7に示す如く、押ボタンスイッチ93のオン信号を受けるコントローラ94により励磁され、プランジャ90Aを突出させ、プランジャ90Aが同軸的に突き当てられている開閉弁80を前述の待機位置から遮断作業位置に押し込み移動せしめる。95はバッテリ又はDC電源等に接続される給電端子である。コントローラ94は、内蔵タイマーにセットされた一定時間だけ、電磁ソレノイド90を上述の如く励磁し、開閉弁80により連通路57を当該一定時間だけ遮断する。この一定時間の経過後、電磁ソレノイド90は消磁され、開閉弁80はコイルばね83の付勢力により待機位置に自動復帰せしめられる。尚、コイルばね83は設けなくても良い。
【0039】
ベースバルブ装置50は、図1に示す如く、シリンダ11とリザーバ51の連結部に、減衰力発生部60と開閉弁80をバイパスし、シリンダ11の油室38A、38Bとリザーバ51の油室54を連通するバイパス路58を設け、このバイパス路58上にブロー弁100を設けてある。
【0040】
ブロー弁100は、図6に示す如く、シリンダ11にOリング101Aを介して挿入されるアジャストホルダ101を螺着し、アジャストホルダ101にOリング102Aを介してアジャスタ102を枢支し、アジャスタ102の軸直角外方向にセットスプリング103で付勢されてアジャストホルダ101の側の係合凹部に係合可能にされるボール104を設け、アジャスタ102に同軸をなして回転方向で凹凸係合されたばね押え105をシリンダ11に螺着し、ばね押え105により支持される圧縮ばね106がバックアップするボール状弁体107をバイパス路58の中間部に設けた弁室108の弁座108Aに押圧し、シリンダ11の油室38Aに連通しているバイパス路58を閉じる。油室38Aの油圧がばね106の付勢力を超える一定のブロー圧に達したとき、弁体107は弁座108Aから離れてバイパス路58を開く。アジャスタ102はダイアル109(開弁圧調整部)を備える。アジャスタ102はダイアル109により回転操作され、ボール104をアジャストホルダ101の周方向複数位置に配置(等配)されている係合凹部のそれぞれに順に係合し、アジャスタ102をそれらの回転操作停止位置に節度感をもって設定替えされる。ブロー弁100は、アジャスタ102のダイアル109に加える回転操作によりばね押え105を軸方向に螺動させ、ばね106のばね力を調整することにより、弁体107を開くブロー圧(開弁圧)を調整可能にする。
【0041】
しかるに、油圧緩衝器10にあっては、自転車等のスタート時に、車体の沈み込みを以下の如くにより防止する。
【0042】
(1)ライダーが押ボタンスイッチ83をオン操作することにより、コントローラ84が前述の如くの一定時間だけ開閉弁80を閉じ、連通路57が遮断され、結果として減衰力発生部60の流路が完全に不通になり、ライダーによるペダルの強い踏み込みに対し、油圧緩衝器10のフワフワ感を解消し、車体の沈み込みを防止できる。ライダーの踏ん張り力を逃がすことなく自転車等の走行に用いることができる。
【0043】
(2)自転車等の車輪に異常な突き上げ等の大入力が作用したときには、バイパス路58のブロー弁100が開いて油の流れを許容し、大入力を吸収する。これにより、大入力に起因する車体の転倒或いは、油圧緩衝器10の破損を回避できる。
【0044】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)自転車等のスタート時にライダーがペダルを強く踏み込んだとき、外部から開閉弁80を電気的操作して減衰力発生部60の連通路57を遮断すれば、減衰力発生部60の流路が完全に不通になり、ライダーもしくは駆動チェーンからの入力に対する油圧緩衝器のフワフワ感をなくし、車体の沈み込みを防止できる。
【0045】
(b)上述(a)の開閉弁80が減衰力発生部60の連通路57を遮断した状態において、車輪に異常な突き上げ等の大入力があるときには、ブロー弁100が開いてシリンダ11内の異常高圧をリザーバ51に逃し、大入力を吸収する。これにより、大入力に起因する車体の転倒或いは油圧緩衝器の破損を回避できる。ブロー弁100は通常走行時の乗心地に関係しないから、上述の大入力を吸収するに足る適宜のブロー圧を設定できる。
【0046】
(c)自転車等の通常走行時には、上述(a)の開閉弁80による連通路57の遮断は解除され、減衰力発生部60が適宜の大きさの減衰力を発生する。減衰力発生部60は通常走行時の乗心地だけを考慮した適宜の減衰力を設定できる。
【0047】
(d)ブロー弁100の上述(b)のブロー圧を、その開弁圧調整部(ダイアル109)により適宜に調整できる。ライダーの好みに応じたライディングスタイルを選択でき、或いは路面状況に応じた調整が可能になる。
【0048】
(e)上述(a)の開閉弁80をタイマー連動とし、外部からの電気的操作にて一定時間だけ開閉弁80を遮断することにより、自転車等の車速がスタートから一定速度まで上昇する間のみ(例えばタイマーを5秒にセットする)減衰力発生部60の流路を不通にし、その後は減衰力発生部60に設定した上述(c)の通常の減衰力を自動的に発生させ、操縦安定性を確保できる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は油圧緩衝器を示す平面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4はピストンバルブ装置を示す断面図である。
【図5】図5は図2の減衰力発生部と開閉弁を示す断面図である。
【図6】図6は図3のブロー弁を示す断面図である。
【図7】図7は制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
10 油圧緩衝器
11 シリンダ
12 ピストンロッド
38A、38B 油室
51 リザーバ
57 連通路
58 バイパス路
60 減衰力発生部
80 開閉弁
90 ソレノイド
93 押ボタンスイッチ
94 コントローラ
100 ブロー弁
【出願人】 【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治


【公開番号】 特開2008−8390(P2008−8390A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178819(P2006−178819)