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防振装置 - 特開2008−2565 | j-tokkyo
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【発明の名称】 防振装置
【発明者】 【氏名】山本 彦文

【氏名】加藤 洋徳

【要約】 【課題】吊り下げ方向の動ばね定数を小さくして、アイドリング入力時の防振効果を向上させつつ、耐久性の向上と加速入力時のこもり音の抑制とを図ることができる防振装置を提供すること。

【構成】エンジンを吊り下げ支持すると、中間ゴム部材4と本体ゴム部材3との間に第1の隙間が形成されるので、吊り下げ方向における動ばね定数を小さくして、アイドリング入力時の防振効果の向上を図る。一方、第1の隙間を越える大変位には、本体ゴム部材3と中間ゴム部材4との両ゴム部材が共に変形することで、本体ゴム部材3の歪み量を抑制して、その耐久性の向上を図る。更に、加速入力時の挿通部材5の横方向への変位には、この変位方向における厚み寸法を中間ゴム部材4の分だけ厚くして、動ばね定数が急激に上昇することを回避することで、こもり音の発生を抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部材と、開口部を有する基部材と、前記上部材と基部材とを連結すると共にゴム状弾性材から構成される本体ゴム部材とを備え、前記基部材を車体フレーム側に取着すると共に、前記基部材の開口部に挿通された挿通部材の一端を前記上部材に連結し他端をエンジン側に連結することで、前記エンジンを前記車体フレームに対して吊り下げ支持する防振装置において、
前記本体ゴム部材と基部材との間に配設されると共にゴム状弾性材から構成される中間ゴム部材と、前記基部材の上面に配設され、大変位入力時に前記上部材の下面に当接するストッパゴム部とを備え、
前記基部材は、
前記開口部が開口形成される底板部と、前記底板部から立ち上がる筒状の外筒部と、前記外筒部の上端から外方へ張り出し前記車体フレーム側に取着される取着板部とを有する外部材と、
前記外部材の外筒部の内径に対応する外径を有する筒状の内筒部と、前記内筒部の上端から外方へ張り出して前記外部材の取着板部に重合される張出板部とを有すると共に前記本体ゴム部材が連結される本体部材とを備え、
前記外部材の外筒部に前記本体部材の内筒部が内嵌圧入されることで、前記外部材と本体部材とが一体に構成され、
前記ストッパゴム部は、前記本体部材の張出板部の上面に連結されると共に、前記本体ゴム部材と一体に構成され、
前記中間ゴム部材は、前記挿通部材が挿通される挿通孔を備えると共に、前記外部材の底板部の上面に配置され、
前記エンジンを前記車体フレームに対して吊り下げ支持した状態において、前記中間ゴム部材の上面と前記本体ゴム部材の下面との間に第1の隙間が形成されると共に、その第1の隙間が前記ストッパゴム部と前記上部材の下面との間に形成される第2の隙間よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記外部材の底板部の上面と前記本体部材又は本体ゴム部材の下面との間には第3の隙間が形成され、
前記中間ゴム部材は、前記底板部に当接される座面の外縁から外方へ張り出すリップ部を備えると共に、前記リップ部が前記第3の隙間に位置していることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記底板部に開口される開口部は、長円形状に形成されると共に、前記長円形状の長軸方向が加速入力時における変位方向に沿って位置し、
前記中間ゴム部材は、前記底板部に当接される座面が前記開口部の長軸方向寸法よりも大きな外径の円形に形成されると共に、外縁から中心部に向かって4箇所にスリットを延設することで各スリット間に形成される4つの分割体部を備え、
前記4つの分割体部は、前記開口部の長軸上に位置する一対の第1分割体部と、前記開口部の長軸を挟んで位置する一対の第2分割体部とから構成されると共に、前記第1分割体部の幅寸法が前記第2分割体部の幅寸法よりも短くされていることを特徴とする請求項2記載の防振装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記底板部の開口部に達する位置まで延設されていることを特徴とする請求項3記載の防振装置。
【請求項5】
前記中間ゴム部は、前記座面に突設され、大変位入力時に前記挿通部材と前記開口部との間で挟持される被挟持部を備えると共に、前記被挟持部が前記開口部の内縁から離間して位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを吊り下げ支持する防振装置に関し、特に、吊り下げ方向の動ばね定数を小さくして、アイドリング入力時の防振効果を向上させつつ、耐久性の向上と加速入力時のこもり音の抑制とを図ることができる防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンなどの振動発生体を車体フレームに取り付ける場合には、従来より、振動発生体と車体フレームとの間に防振装置を介在させ、振動発生体の振動が車体フレームへ伝達されることを防止している。
【0003】
この防振装置としては、エンジンなどの振動発生体を車体フレームに対して吊下部材によって吊り下げた状態で防振支持するものが知られている(特許文献1)。このような吊り下げ式の防振装置の一例を図14に示す。
【0004】
従来の吊り下げ式の防振装置は、図14に示すように、上基板101と、開口部102aを有する下基板102と、それら上基板101と下基板102とを連結すると共にゴム状弾性材から構成される本体ゴム部材103とを主に備えて構成される。
【0005】
そして、図14に示すように、下基板102を車体フレームBFへ取着すると共に、下基板102の開口部102aに挿通された吊り下げ部材104の一端を上基板102に連結し他端をエンジン(図示せず)側に連結することで、エンジンを車体フレームBFに対して吊り下げた状態で支持する。
【特許文献1】特開2004−69038号(第1図など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した吊り下げ式の防振装置の場合、アイドリング時の防振効果をより効果的に得るべく、吊り下げ方向(図14上下方向)における動ばね定数は可能な限り小さな値であることが好ましい。そのため、本体ゴム部材103は、開口部102aと吊下部材104との間に位置する部位の厚み寸法は薄くされる必要がある。
【0007】
しかしながら、吊り下げ式の防振装置では、吊下部材104を本体ゴム部材103の内周面に当接させることで、エンジンの変位(例えば、急加速時やアクシデンタル負荷時の車両前後方向(図14左右方向)への変位)を規制する構造である。
【0008】
そのため、開口部102aと吊下部材104との間に位置する部位の厚み寸法が薄くされていると、エンジンの変位を規制するべく、吊下部材104の変位を受け止める場合に、動ばね定数が急激に上昇して、こもり音が発生するという問題点があった。また、上記部位の厚み寸法を薄くすると、本体ゴム部材103の歪み量が大きくなり、耐久性の低下を招くという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、吊り下げ方向の動ばね定数を小さくして、アイドリング入力時の防振効果を向上させつつ、耐久性の向上と加速入力時のこもり音の抑制とを図ることができる防振装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、請求項1記載の防振装置は、上部材と、開口部を有する基部材と、前記上部材と基部材とを連結すると共にゴム状弾性材から構成される本体ゴム部材とを備え、前記基部材を車体フレーム側に取着すると共に、前記基部材の開口部に挿通された挿通部材の一端を前記上部材に連結し他端をエンジン側に連結することで、前記エンジンを前記車体フレームに対して吊り下げ支持するものであり、前記本体ゴムと基部材との間に配設されると共にゴム状弾性材から構成される中間ゴム部材と、前記基部材の上面に配設され、大変位入力時に前記上部材の下面に当接するストッパゴム部とを備え、前記基部材は、前記開口部が開口される底板部と、前記底板部から立ち上がる筒状の外筒部と、前記外筒部の上端から外方へ張り出し前記車体フレーム側に取着される取着板部とを有する外部材と、前記外部材の外筒部の内径に対応する外径を有する筒状の内筒部と、前記内筒部の上端から外方へ張り出して前記外部材の取着板部に重合される張出板部とを有すると共に前記本体ゴム部材が連結される本体部材とを備え、前記外部材の外筒部に前記本体部材の内筒部が内嵌圧入されることで、前記外部材と本体部材とが一体に構成され、前記ストッパゴム部は、前記本体部材の張出板部の上面に連結されると共に、前記本体ゴム部材と一体に構成され、前記中間ゴム部材は、前記挿通部材が挿通される挿通孔を備えると共に、前記外部材の底板部の上面に配置され、前記エンジンを前記車体フレームに対して吊り下げ支持した状態において、前記中間ゴム部材の上面と前記本体ゴム部材の下面との間に第1の隙間が形成されると共に、その第1の隙間が前記ストッパゴム部と前記上部材の下面との間に形成される第2の隙間よりも小さくなるように構成されている。
【0011】
請求項2記載の防振装置は、請求項1記載の防振装置において、前記外部材の底板部の上面と前記本体部材又は本体ゴム部材の下面との間には第3の隙間が形成され、前記中間ゴム部材は、前記底板部に当接される座面の外縁から外方へ張り出すリップ部を備えると共に、前記リップ部が前記第3の隙間に位置している。
【0012】
請求項3記載の防振装置は、請求項2記載の防振装置において、前記底板部に開口される開口部は、長円形状に形成されると共に、前記長円形状の長軸方向が加速入力時における変位方向に沿って位置し、前記中間ゴム部材は、前記底板部に当接される座面が前記開口部の長軸方向寸法よりも大きな外径の円形に形成されると共に、外縁から中心部に向かって4箇所にスリットを延設することで各スリット間に形成される4つの分割体部を備え、前記4つの分割体部は、前記開口部の長軸上に位置する一対の第1分割体部と、前記開口部の長軸を挟んで位置する一対の第2分割体部とから構成されると共に、前記第1分割体部の幅寸法が前記第2分割体部の幅寸法よりも短くされている。
【0013】
請求項4記載の防振装置は、請求項3記載の防振装置において、前記スリットは、前記底板部の開口部に達する位置まで延設されている。
【0014】
請求項5記載の防振装置は、請求項1から4のいずれかに記載の防振装置において、前記中間ゴム部は、前記座面に突設され、大変位入力時に前記吊下部材と前記開口部との間で挟持される被挟持部を備えると共に、前記被挟持部が前記開口部の内縁から離間して位置していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防振装置。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の防振装置によれば、基部材が車体フレーム側に取着され、その基部材の開口部に挿通された挿通部材の一端が上部材に連結されると共に他端がエンジン側に連結されることで、エンジンが車体フレームに対して吊り下げ式に支持される。
【0016】
この吊り下げ支持された状態では、エンジンの荷重が本体ゴム部材のみにより支持されており、この本体ゴム部材が振動減衰機能及び振動絶縁機能を果たすことにより、エンジンから入力されるアイドリング振動の車体フレームへの伝達が抑制される。
【0017】
一方、吊り下げ方向に大変位の振動が入力されると、本体ゴム部材が中間ゴム部材と接触するまで変位し、これら本体ゴム部材と中間ゴム部材との両ゴム部材が同時に変形される。そして、この吊り下げ方向への大変位の振動が更に入力されると、上部材がストッパゴム部に当接されることで、ストッパ作用が発揮される。
【0018】
また、加速入力時のエンジンの変位に伴って、挿通部材が横方向へ変位されると、その挿通部材の変位が、本体ゴム部材だけでなく、中間ゴム部材によっても受け止められ、これら本体ゴム部材と中間ゴム部材との両者が変形することによって変位が規制される。
【0019】
このように、本発明の防振装置によれば、本体ゴム部材と中間ゴム部材とを別体で構成し、アイドリング入力時には本体ゴム部材のみを機能させる(中間ゴム部材を機能させない)一方、加速入力時や大変位入力時には本体ゴム部材と中間ゴム部材との両者を機能させるので、アイドリング入力時の防振効果を向上させつつ、その耐久性の向上と加速入力時のこもり音の抑制とを図ることができるという効果がある。
【0020】
即ち、本発明によれば、中間ゴム部材を本体ゴム部材と別体に構成すると共に、その中間ゴム部材を本体ゴム部材と基部材との間に配設し、かつ、エンジンを車体フレームに吊り下げ支持した状態においては、中間ゴム部材の上面と本体ゴム部材の下面との間に第1の隙間が形成されるように構成したので、エンジン荷重の支持に本体ゴム部材のみが寄与し、中間ゴム部材が寄与することを回避することができるので、その分、吊り下げ方向における動ばね定数を小さくして、アイドリング入力時の防振効果の向上を図ることができるという効果がある。
【0021】
ここで、アイドリング入力時の防振効果を得るべく、吊り下げ方向のばね定数を小さくすると、単位荷重に対する本体ゴム部材の変位量(歪み量)が大きくなるため、大変位の振動入力時の歪み量が過大となり、その分、本体ゴム部材の耐久性の低下を招くという問題点があった。
【0022】
これに対して、本発明によれば、中間ゴム部材が外部材の底板部の上面に配置されているので、第1の隙間を越えるような大変位の振動が吊り下げ方向へ入力された場合でも、本体ゴム部材が中間ゴム部材に接触し、これら本体ゴム部材と中間ゴム部材との両ゴム部材が共に変形することで、入力を受け止める。
【0023】
これにより、アイドリング入力時には、本体ゴム部材のみを寄与させて、動ばね定数を小さくすることで、防振効果を確保しつつも、大変位の振動入力時には、本体ゴム部材に加え中間ゴム部材も寄与させることで、本体ゴム部材の歪み量を抑制して、その耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
【0024】
そして、本発明によれば、大変位入力時に上部材の下面に当接するストッパゴム部を基部材の上面に配設すると共に、このストッパゴム部と上部材の下面との間に形成される第2の隙間を第1の隙間よりも大きな隙間に構成したので、上記した大変位の振動を越える振動が更に入力される場合であっても、ストッパゴム部に上部材の下面が当接されることで、大変位の入力を規制することができる。その結果、本体ゴム部材及び中間ゴム部材の歪み量を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
【0025】
また、ここで、従来品のように、中間ゴム部材を備えず、本体ゴム部材のみで構成すると、挿通部材の横方向への変位を受け止める部位の厚み寸法の確保が困難となるため(この厚み寸法を厚くすると、上述したように、吊り下げ方向のばね定数が増加して、アイドリング時の防振効果の低下を招く)、加速入力時のエンジンの変位を規制するべく、挿通部材の変位を受け止めた場合には、動ばね定数が急激に上昇して、こもり音が発生するという問題点があった。
【0026】
これに対し、本発明によれば、挿通部材を挿通するための挿通孔を中間ゴム部材が備えると共に、この中間ゴム部材を外部材の底板部の上面に配置する、即ち、外部材の外筒部(及び本体部材の内筒部)の内周側に形成される空間内に中間ゴム部材が位置するように構成したので、挿通部材が横方向へ変位する場合には、かかる挿通部材と外筒部の内周側との間で中間ゴム部材を押圧することができる。
【0027】
即ち、加速入力時に、エンジンの変位に伴って、挿通部材が横方向へ変位する場合には、かかる挿通部材の変位を本体ゴム部材で受け止めるだけでなく、中間ゴム部材にも挿通部材の変位を受け止めさせることができるので、この変位方向における厚み寸法を中間ゴム部材の分だけ厚くして、動ばね定数が急激に上昇することを回避することができる。
【0028】
これにより、アイドリング入力時には、上述したように、本体ゴム部材のみを寄与させて、動ばね定数を小さくすることで、防振効果を確保しつつも、加速入力時には、本体ゴム部材に加え中間ゴム部材も寄与させて、横方向におけるゴム部材の厚み寸法を確保することで、横方向への変位に伴って動ばね定数が急激に上昇することを抑制して、加速入力時のこもり音の発生を抑制することができるという効果がある。
【0029】
このように、アイドリング時の防振効果の向上と、加速入力時のこもり音の抑制及び耐久性の向上とは、相反する関係にあり、その両立は従来品の構成では達成不可能であるが、本発明のように、本体ゴム部材と中間ゴム部材とを別体に構成すると共に、それらが寄与する入力を分離させることで初めて達成可能となったものである。
【0030】
また、本発明の防振装置によれば、基部材が外部材と本体部材とを備え、外部材の外筒部に本体部材の内筒部を内嵌圧入する構成であるので、中間ゴム部材を本体ゴム部材と別体に構成した場合でも、基部材を一体化する工程(圧入工程)において、中間ゴム部材を本体ゴム部材と底板部との間に容易に配設することができる。その結果、組みって作業を容易として、防振装置全体としての組み立て工数の低減を図ることができるという効果がある。
【0031】
また、本体部材は、内筒部の上端に張出板部が外方に張り出して形成されているので、本体部材の内筒部を外部材の外筒部に内嵌圧入する際には(圧入工程)、本体部材の張出板部が外部材の取着板部に重合する位置まで圧入することで、圧入方向の位置決め(圧入量の調整)を容易に行うことができる。その結果、圧入作業を容易として、防振装置全体としての組み立て工数の低減を図ることができるという効果がある。
【0032】
また、上述したストッパゴム部が張出板部の上面に配設される構成であるところ、この張出板部は、外部材の取着板部に重合される部位であるので、これら張出板部と取着板部との2枚重ねによりその強度を確保することができるという効果がある。更に、張出板部は、全周に亘って設けずに、ストッパゴム部に対応する位置のみに部分的に設けることで、ストッパ部として機能する部分の強度は上述した重合効果により確保しつつも、その他の部位は重合しないことで、その分、軽量化を図ることができるという効果がある。
【0033】
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、底板部に当接される座面の外縁から外方へ張り出すリップ部を中間ゴム部材が備えるので、例えば、加速入力時の挿通部材の横方向の変位に伴って、その変位方向へ向けて中間ゴム部材が移動されると共に、その移動方向から逆方向へ向けて中間ゴム部材が復帰しようとする場合には、リップ部がガイドの役割を果たすことで、復帰方向側の外縁が底板部の開口部に嵌りこみ、初期位置へ復帰できなくなる、或いは、嵌り込んだ部分が破損するという不具合を未然に回避することができるという効果がある。
【0034】
更に、本発明の防振装置によれば、外部材の底板部の上面と本体部材又は本体ゴム部材の下面との間に第3の隙間を形成し、その第3の隙間により形成される空間内にリップ部が位置するように構成したので、デッドスペースとなる無駄な空間を有効に利用することができるという効果がある。
【0035】
これにより、リップ部を設けることで、中間ゴム部材の外径が小径化して、耐久性の低下を招くという不具合や、或いは、中間ゴム部材の体積(外径)を確保するべく、基部材(内筒部及び外筒部)を大径化することに伴って、防振装置全体が大型化するという不具合を回避することができ、その結果、防振装置全体としての大型化を防止しつつ、中間ゴム部材の体積を確保して、上述した耐久性の向上や加速入力時のこもり音の抑制を効率的に図ることができるという効果がある。
【0036】
請求項3記載の防振装置によれば、請求項2記載の防振装置の奏する効果に加え、底板部に開口される開口部を長軸方向が加速入力時における変位方向(即ち、挿通部材の移動方向)となる長円形状に形成すると共に、底板部に当接される中間ゴム部材の座面を開口部の長軸方向寸法よりも大径の円形に形成する構成であるので、挿通部材の変位可能領域を確保しつつ、中間ゴム部材の座面と底板部との接触面積を拡大して、中間ゴム部材の耐久性の向上を図ると共に、防振装置全体としての小型化とを図ることができるという効果がある。
【0037】
即ち、中間ゴム部材の座面と底板部との接触面積を確保することができない場合には、吊り下げ方向への大変位の入力時において、中間ゴム部材の変位(歪み量)が大きくなり、その耐久性の低下を招く一方で、中間ゴム部材の座面と底板部との接触面積を広くした場合には、耐久性の向上は得られるが、防振装置全体としての大型化を招くという問題点がある。また、開口部の開口面積を小さくした場合には、大型化の抑制と接触面積の確保とを得ることができるが、挿通部材の移動に必要な領域を確保することができないという問題点がある。
【0038】
これに対し、本発明の防振装置によれば、長軸方向が加速入力時における挿通部材の移動方向となる長円形状に開口部を形成するので、挿通部材の移動に必要な領域は確保しつつ、かかる開口部の開口面積をより小さくすることができる。そして、開口部を長円形状に形成する一方で、中間ゴム部材の座面を円形に構成するので、中間ゴム部材の小型化を図りつつ、中間ゴム部材の座面と底板部との接触面積を必要分だけ効率良く確保することができる。その結果、上述した問題点を解消することができる。
【0039】
ここで、本発明の防振装置によれば、上述したように、加速入力時の挿通部材の横方向の変位に伴って、その変位方向へ向けて中間ゴム部材が移動されると共に、その移動方向から逆方向へ向けて中間ゴム部材が復帰しようとする場合、リップ部がガイドの役割を果たすことで、中間ゴム部材の外縁が開口部へ入り込むことを防止する。
【0040】
しかしながら、加速入力時の変位が大きい場合には、中間ゴム部材の偏心変形が大きいため、リップ部に傾斜やしわが発生して、かかるリップ部がガイドの役割を十分に発揮することができなくなる。
【0041】
これに対し、本発明の防振装置によれば、中間ゴム部材の外縁から中心部に向かってスリットを4箇所に延設し、これら各スリット間に4つの分割体部を形成した、即ち、リップ部を4箇所で分断する構成であるので、加速入力時の変位が大きく、挿通部材の横方向への移動に伴って、中間ゴム部材が大きく偏心変形する場合であっても、リップ部が周方向に連続していないので、偏心変形に伴うリップ部の傾斜やしわの発生を効果的に抑制して、かかるリップ部にガイドとしての役割を十分に発揮させることができるという効果がある。
【0042】
また、スリットがリップ部のみを分断するのではなく、リップ部を越える位置までスリットを延設する構成(4つの分割体部が形成される構成)であるので、中間ゴム部材が大きく偏心変形した場合には、リップ部の傾斜やしわの発生を防止するだけでなく、中間ゴム部材自体の変形を抑制することができる。特に、偏心方向側の部位の変形が偏心方向と反対側の部位に影響を与えに難くして、偏心方向と反対側の部位(特に、分割体部)が初期形状を保つようにすることができる。その結果、偏心変形に伴うリップ部の傾斜やしわの発生を効果的に抑制して、かかるリップ部にガイドとしての役割をより確実に発揮させることができるという効果がある。
【0043】
ここで、開口部が長円形状に形成されているので、中間ゴム部材は、開口部の長軸方向に大きく偏心変形されるところ、各スリット間に形成される4つの分割体部は、開口部の長軸上に位置する一対の第1分割体部の幅寸法が、開口部の長軸を挟んで位置する一対の第2分割体部の幅寸法よりも短くされているので、中間ゴム部材が開口部の長軸方向へ大きく偏心変形した場合であっても、偏心方向と反対側の部位が初期形状を保つようにする作用をより発揮させることができる。その結果、偏心変形に伴うリップ部の傾斜やしわの発生を効果的に抑制して、かかるリップ部にガイドとしての役割をより確実に発揮させることができるという効果がある。
【0044】
請求項4記載の防振装置によれば、請求項3記載の防振装置の奏する効果に加え、底板部の開口部に達する位置までスリットを延設するので、異音の発生を抑制することができるという効果がある。
【0045】
即ち、吊り下げ方向への大変位の振動の入力に伴って、本体ゴム部材の下面が中間ゴム部材の上面に接触してこれを押圧すると、これら両ゴム部材間に取り残された空気が圧縮されると共に、その圧縮された空気が本体ゴム部材と中間ゴム部材との接触面間などから一気に外部に排出されることで、異音が発生するところ、本発明の防振装置によれば、スリットによって、両ゴム部材間に取り残された空気を外部へ逃がすための経路が確保されるので、かかる空気が圧縮されることを未然に回避して、異音の発生を抑制することができるという効果がある。
【0046】
請求項5記載の防振装置によれば、請求項4記載の防振装置の奏する効果に加え、中間ゴム部の座面部に被挟持部を突設して、横方向への大変位入力時には、かかる被挟持部が挿通部材と開口部の内縁との間で挟持されるように構成したので、挿通部材が開口部の内縁に衝突する際の衝撃を被挟持部により吸収して、打音の発生を抑制することができるという効果がある。
【0047】
更に、被挟持部が開口部の内縁から離間して位置するように構成したので、挿通部材が開口部の内縁に衝突する際に、その衝突に伴って被挟持部が開口部から底板部の上面に乗り上げると共に、その乗り上げた被挟持部が底板部の上面から開口部内へ戻らなくなるという不具合を抑制することができるという効果がある。その結果、上記した打音発生の抑制効果を安定して発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における防振装置100の正面図であり、図2は、防振装置100の部分断面斜視図である。また、図3は、防振装置100の上面図であり、図4は、図3のIV−IV線における防振装置100の断面図である。
【0049】
なお、図1から図4は、エンジンが防振装置100により吊り下げ式に支持された状態を図示している。また、図面を簡素化して、理解を容易とするために、図2から図4では、締結ナット61及び締結ボルト62が省略された状態を図示しており、図4では、更に挿通部材5を仮想的に図示している。
【0050】
防振装置100は、図1から図4に示すように、基部材2を車体フレームBFに取着すると共に、基部材2の開口部22aに挿通された挿通部材5の一端を上部材1に連結し、他端をエンジン側部材EMに連結することで、図示しないエンジンを車体フレームBFに対して吊り下げ式に防振支持することで、エンジンの振動が車体フレームBFへ伝達されることを防止するための装置であり、上部材1と、基部材2と、本体ゴム部材3と、中間ゴム部材4とを主に備えて構成されている。
【0051】
上部材1は、図2及び図4に示すように、後述する本体ゴム部材3が加硫接着されるボス部材1aと、そのボス部材1aの上端面に連結固定される平板部材1bとを備えて構成される。ボス部材1aは、軸心O回りに対称な下窄まりの断面略円錐台形状に、平板部材1bは、横長の平板形状に、それぞれ鉄鋼材料から構成されている。
【0052】
これらボス部材1a及び平板部材1bは、図2及び図4に示すように、軸心Oに沿って穿設される挿通孔11a,11bをそれぞれ備えており、これら挿通孔11a,11bに後述する挿通部材5が挿通され、その先端(図2上側)に締結ナット61が締結されることで、ボス部材1aと平板部材1bとが連結固定される。
【0053】
なお、ボス部材1aの挿通孔11aは、図2及び図4に示すように、小径部と大径部を備えており、それら小径部と大径部との間に形成される段部により、挿通部材5の段部を受け止めて、軸心O方向への位置決めを行う。
【0054】
基部材2は、図1から図4に示すように、車体フレームBFに取着される外部材21と、その外部材21に内嵌圧入されると共に後述する本体ゴム部材3が連結される本体部材25とを備え、これら外部材21及び本体部材25はそれぞれ鉄鋼材料から略カップ形状に構成されている。
【0055】
外部材21は、図2及び図4に示すように、開口部22aが開口形成される底板部22と、その底板部22の外縁から上方(図4上方)へ向けて立ち上がると共に軸心O回りに対称な筒状に形成される外筒部23と、その外筒部23の上端(図4上方端)から外方へ張り出して形成される取着板部24とを備えて構成されている。
【0056】
なお、取着板部24は、図1から図4に示すように、長手方向両端の2箇所に貫通孔24aが穿設されており、この貫通孔24aに挿通された締結ボルト63により、車体フレームBFに取着(締結固定)される。
【0057】
本体部材25は、図2及び図4に示すように、外部材21の外筒部23の内径に対応する外径を有する筒状の内筒部26と、その内筒部27の上端(図4上方端)から外方へ張り出して形成される張出板部27とを備えて構成されている。
【0058】
なお、図2及び図4に示すように、本体部材25の内筒部26が外部材21の外筒部23に内嵌圧入されることで、これら本体部25と外部材21とが一体に構成される。また、本体部25の張出板部27は、外部材21の取着板部24に重合されると共に、図3に示すように、後述するストッパゴム部3aが配設される部位のみ部分的に外方に大きく形成されている。
【0059】
このように、本体部材25は、内筒部26の上端に張出板部27が外方に張り出して形成されているので、内筒部26を外部材21の外筒部23に内嵌圧入する圧入工程では、張出板部27が外部材21の取着板部24に重合する位置まで圧入することで、圧入方向の位置決め(圧入量の調整)を容易に行うことができる。その結果、圧入作業を容易として、防振装置100全体としての組み立て工数の低減を図ることができる。
【0060】
また、張出板部27は、後述するように、その上面にストッパゴム部3bが配設され強度が要求される箇所を構成する部材であるところ、この張出板部27は、図1から図4に示すように、外部材21の取着板部24に重合される部位であるので、これら張出板部27と取着板部24との2枚重ねによりその強度を確保することができる。
【0061】
更に、張出板部27は、図3に示すように、全周に亘って設けずに、ストッパゴム部3bに対応する位置のみが部分的に大きく設けられているので、ストッパ部として機能する部分の強度は上述した重合効果により確保しつつも、その他の部位は張出板部27を設けないことで、その分、軽量化を図ることができる。
【0062】
本体ゴム部材3は、図1から図4に示すように、ゴム状弾性材から軸心O回りに対称な断面円錐台形状に形成され、ボス部材1aの外周面と本体部材25の内周面(内筒部材26の内周面及び張出板部27の上面)との間に加硫接着されている。
【0063】
また、本体ゴム部3の下端部(図4下方端)には、内筒部材26の内周面に加硫接着されるゴム壁部3aが連なっており、このゴム壁部3aには、図2及び図4に示すように、後述する中間ゴム部材4の側面が当接されている。
【0064】
また、本体ゴム部材3の側面からは、張出板部27の上面(図4上側面)に加硫接着されるストッパゴム部3bが連なっており、このストッパゴム部3bには、エンジン吊り下げ方向(図1上下方向)への大変位の振動が入力された場合に、上部材1(平板部材1b)の下面が当接され、ストッパ作用が発揮される。
【0065】
中間ゴム部材4は、図2及び図4に示すように、ゴム状弾性材から構成され軸心O回りに対称な円環状に形成されており、本体ゴム部材3と底板部22との間に配設されている。なお、挿通部材5は、軸心Oに沿って穿設され挿通孔41を中心部に備えており、この挿通孔41には、挿通部材5が挿通される。
【0066】
エンジン側部材EMと外部材21(底板部22)との間には、図1及び図2に示すように、自己潤滑性のゴム状弾性材から円板状に構成されるストッパ部材7が配設されており、大変位入力によってエンジン側部材EMが底板部22に衝突される際の打音の発生が防止されている。
【0067】
なお、防振装置100は、エンジンを車体フレームBFに対して吊り下げ支持した状態において、図4に示すように、中間ゴム部材4の上面と本体ゴム部材3の下面との間に隙間t1が、ストッパゴム部3bの上面と上部材1(平板部材1b)の下面との間に隙間t2が、それぞれ形成されると共に、隙間t1が隙間t2よりも小さくなるように構成されている(t1<t2)。
【0068】
以上のように、中間ゴム部材4を本体ゴム部材3と別体に構成すると共に、その中間ゴム部材4を本体ゴム部材3と底板部22との間に配設し、かつ、エンジン(図示せず)を車体フレームBFに吊り下げ支持した状態においては、中間ゴム部材4の上面と本体ゴム部材3の下面との間に隙間t1が形成されるように構成された防振装置100によれば、エンジン荷重の支持に本体ゴム部材3のみが寄与し、中間ゴム部材4が寄与しないので、その分、吊り下げ方向(図4上下方向)における動ばね定数を小さくして、アイドリング入力時の防振効果の向上を図ることができる。
【0069】
また、防振装置100に隙間t1を越えるような大変位の振動が吊り下げ方向(図4上下方向)へ入力された場合には、本体ゴム部材3が中間ゴム部材4に接触し、これら本体ゴム部材3と中間ゴム部材4との両ゴム部材3,4が共に変形して、大変位の入力を受け止める。
【0070】
これにより、アイドリング入力時には、本体ゴム部材3のみを寄与させて、動ばね定数を小さくすることで、防振効果を確保しつつも、大変位の振動入力時には、本体ゴム部材3に加え中間ゴム部材4も寄与させることで、本体ゴム部材3の歪み量を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
【0071】
そして、上記した大変位の振動を越える振動が更に入力される場合には、ストッパゴム部3bに上部材1(平板部材1b)の下面が当接されることで、その大変位の入力を規制することができる。その結果、本体ゴム部材3及び中間ゴム部材4の歪み量を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
【0072】
また、本実施の形態における防振装置100によれば、後述するように、挿通部材5を挿通するための挿通孔41を中間ゴム部材4が備えると共に、この中間ゴム部材4を外部材21の底板部22の上面に配置する、即ち、外部材21の外筒部23の内周側(即ち、ゴム壁部3aの内周側)に形成される空間内に中間ゴム部材4が位置するので、挿通部材5が横方向へ変位する場合には、かかる挿通部材5と外筒部23の内周側との間で中間ゴム部材4(及びゴム壁部3a)を押圧することができる。
【0073】
即ち、加速入力時に、エンジンの変位に伴って、挿通部材5が横方向(図4左右方向)へ変位する場合には、かかる挿通部材5の変位を本体ゴム部材3で受け止めるだけでなく、中間ゴム部材4にも挿通部材5の変位を受け止めさせることができるので、この変位方向における厚み寸法を中間ゴム部材4の分だけ厚くして、動ばね定数が急激に上昇することを回避することができる。
【0074】
これにより、アイドリング入力時には、上述したように、本体ゴム部材3のみを寄与させて、動ばね定数を小さくすることで、防振効果を確保しつつも、加速入力時には、本体ゴム部材3に加え中間ゴム部材4も寄与させて、横方向におけるゴム部材の厚み寸法を確保することで、横方向への変位に伴って動ばね定数が急激に上昇することを抑制して、加速入力時のこもり音の発生を抑制することができる。
【0075】
次いで、図5を参照して、外部材21の詳細構成について説明する。図5(a)は、外部材21の上面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における外部材21の断面図である。
【0076】
外部材21は、上述したように、本体部材25と共に基部材2を構成する部材であり、図5に示すように、底板部22と、内筒部23と、取着板部24とを備えて構成されると共に、底板部22には、開口部22aが開口されている。
【0077】
開口部22aは、上述したように、挿通部材5が挿通される部位であり、図5(a)に示すように、外部材21(取着板部24)の長手方向に長い長円形状に形成されている。この開口部22aの長軸L方向(図5(a)左右方向)は、加速入力時における挿通部材5の変位方向に沿って位置している。
【0078】
次いで、図6及び図7を参照して、中間ゴム部材4の詳細構成について説明する。図6(a)は、中間ゴム部材4の上面図であり、図6(b)は、中間ゴム部材4の下面図である。また、図7は、図6(a)のVII−VII線における中間ゴム部材4の断面図である。
【0079】
中間ゴム部材4は、上述したように、ゴム状弾性材から軸心O回りに対称な円環状に形成されるものであり、図6及び図7に示すように、中心部に穿設される挿通孔41と、底板部22に当接される座面42の外縁から外方へ張り出すリップ部43と、外縁から軸心Oに向かって4箇所にスリット4を延設することで、これら各スリット間に形成される4つの分割体部45と、座面42から突設される被挟持部46とを主に備えて構成されている。
【0080】
挿通孔41は、上述したように、挿通部材5が挿通される部位であり(図2参照)、軸心O回りに対称な断面円形であって挿通部材5の外径よりも若干大きな内径に形成されている。座面42は、底板部22に当接される平坦面であり、底板部22に開口される開口部22aの長軸L方向寸法(図6(a)左右方向寸法)よりも大きな外径の円形に形成されている。
【0081】
リップ部43は、後述するように中間ゴム部材4が左右方向(図7左右方向)に移動する際のガイドの役割を担う部位であり、外方へ張り出すフランジ状に形成されている。なお、座面42とリップ部43の下面(図7下側面)とは、図6及び図7に示すように、面一に形成されている。
【0082】
ここで、図8及び図9を参照して、リップ部43の機能について説明する。図8は、防振装置100の部分拡大断面図であり、図9は、中間ゴム部材4のリップ部43を省略して構成した場合における防振装置の部分拡大断面図である。
【0083】
なお、図8(a)及び図9(a)は、挿通部材5が初期位置にある状態に対応し、図8(b)及び図9(b)は、挿通部材5が初期位置から横方向へ移動された状態に対応する。また、図8に示す防振装置100と図9に示す防振装置との差異は、リップ部43の有無のみであり、他の部位はすべて同一に構成されている。
【0084】
図9に示すように、中間ゴム部材4がリップ部43を有せずに構成されていると仮定すると次の不具合が生じる。即ち、加速入力時の挿通部材5の横方向(図9(a)左方向)への変位に伴って、図9(a)に示すように、挿通部材5の変位と同じ方向へ中間ゴム部材4が移動された後、その移動方向から逆方向(図9(a)右方向)へ向けて中間ゴム部材4が復帰しようとする場合には、図9(b)に示すように、復帰方向側の外縁(図9右側の側面)が底板部22の開口部22aに嵌り込み、初期位置へ復帰できなくなる、或いは、開口部22aに嵌り込んだ部分が破損するという不具合が生じる。
【0085】
これに対し、本実施の形態における防振装置100によれば、座面42の外縁から外方へ張り出すリップ部43を中間ゴム部材4に設けたので、加速入力時の挿通部材5の横方向(図8(a)左方向)の変位に伴って、図8(a)に示すように、挿通部材5の変位方向へ向けて中間ゴム部材4が移動された後、その移動方向から逆方向(図8(a)右側)へ向けて中間ゴム部材5が復帰しようとする場合には、図8(b)に示すように、リップ部43がガイドの役割を果たすことで、復帰方向側の外縁(図8右側)が底板部22の開口部22a内に嵌り込むことを回避することができる。
【0086】
また、本実施の形態における防振装置100によれば、図8(a)に示すように、外部材21の底板部22の上面と本体部材25の内筒部材25及び本体ゴム部材3のゴム壁部3aの下面との間に隙間t3が形成されており、初期状態(横方向への移動がない状態)では、その隙間t3により形成される空間内にリップ部43が位置するように構成したので、デッドスペースとなる無駄な空間を有効に利用することができる。
【0087】
これにより、リップ部43を設けることで、中間ゴム部材4全体としての外径が小径化して、耐久性の低下を招くという不具合や、或いは、中間ゴム部材4の体積(外径)を確保するべく、基部材2(内筒部26及び外筒部23)を大径化することに伴って、防振装置100全体の大型化を招くという不具合を回避することができる。即ち、防振装置100全体としての小型化を図りつつ、中間ゴム部材4の体積を確保して、耐久性の向上や加速入力時のこもり音の抑制を効率的に図ることができる。
【0088】
図6及び図7に戻って説明する。スリット44は、図6及び図7に示すように、中間ゴム部材4の外縁から中心部(軸心O)に向かって延設される切欠き部であり、このスリット44が周方向4箇所に所定の間隔を隔てて形成されることで、図6に示すように、これら各スリット44間に4つの分割体部45が形成される。
【0089】
4つの分割体部45は、図6に示すように、開口部22aの長軸L上に位置する一対の第1分割体部45aと、開口部22aの長軸Lを挟んで位置する一対の第2分割体部45bとから構成されると共に(図9参照)、第1分割体部45aの幅寸法が第2分割体部45bの幅寸法よりも短くされている(即ち、第1分割体部45aを形成するスリット44間の角度θ1が、第2分割体部45bを形成するスリット44間の角度θ2よりも小さな角度とされている(θ1<θ2))。
【0090】
ここで、図10及び図11を参照して、スリット44の機能について説明する。図10は、防振装置100の下面図である。また。図11(a)は、防振装置100の部分拡大断面図であり、図11(b)は、中間ゴム部材4のスリット44を省略して構成した場合における防振装置の部分拡大断面図である。
【0091】
なお、図10は、図3における防振装置100を紙面裏側から視た状態に対応し、図11(a)及び図11(b)は、挿通部材5が初期位置から横方向へ移動された状態に対応する。また、図11(a)示す防振装置100と図11(b)に示す防振装置との差異は、スリット44の有無のみであり、他の部位はすべて同一に構成されている。
【0092】
上述したように、外部材21の底板部22に開口される開口部22aは、図10に示すように、その長軸L方向(図10左右方向)が加速入力時における変位方向(即ち、挿通部材5の移動方向)となる長円形状に形成され、この底板部22に当接される中間ゴム部材5の座面42は、開口部22aの長軸L方向寸法(図10左右方向寸法)よりも大径の円形に形成されている。
【0093】
これにより、挿通部材5の変位可能領域を確保しつつ、中間ゴム部材5の座面42と底板部22との接触面積を拡大して、中間ゴム部材5の耐久性の向上を図ると共に、防振装置100全体としての小型化とを図ることができる。
【0094】
即ち、中間ゴム部材4の座面42と底板部22との接触面積を確保することができない場合には、吊り下げ方向(図10紙面手前方向)への大変位の入力時において、中間ゴム部材4の変位(歪み量)が大きくなり、その耐久性の低下を招く一方で、中間ゴム部材4の座面42と底板部22との接触面積を広くした場合には、耐久性の向上は得られるが、防振装置100全体としての大型化を招くという問題点がある。また、開口部22aの開口面積を小さくした場合には、大型化の抑制と接触面積の確保とを得ることができるが、挿通部材5の移動に必要な領域を確保することができないという問題点がある。
【0095】
これに対し、本実施の形態における防振装置100によれば、長軸L方向が加速入力時における挿通部材の移動方向となる長円形状に開口部22aを形成するので、挿通部材5の移動に必要な領域は確保しつつ、かかる開口部22aの開口面積をより小さくすることができる。
【0096】
そして、このように開口部22aを長円形状に形成する一方で、中間ゴム部材4の座面42を円形に構成するので、中間ゴム部材4の小型化を図りつつ、中間ゴム部材4の座面42と底板部22との接触面積を必要分だけ効率良く確保することができる。その結果、上述した問題点を解消することができる。
【0097】
ここで、本実施の形態における防振装置100によれば、上述したように、加速入力時に挿通部材5が横方向に変位した場合には、リップ部43がガイドの役割を果たすことで、中間ゴム部材4の外縁が開口部22aへ入り込むことを防止する(図8参照)。
【0098】
しかしながら、加速入力時の変位が大きい場合には、図11に示すように、リップ部43が開口部22aの内縁から離間されるだけでなく、中間ゴム部材4の偏心変形が大きいため、図11(b)に示すように、リップ部43に傾斜やしわが発生して、かかるリップ部がガイドの役割を十分に発揮することができなくなる。
【0099】
これに対し、本実施の形態における防振装置100によれば、中間ゴム部材4の外縁から中心部に向かってスリット44を4箇所に延設し、これら各スリット44間に4つの分割体部45を形成した、即ち、リップ部43を4箇所で分断する構成であるので、加速入力時の変位が大きく、挿通部材5の横方向への移動に伴って、中間ゴム部材4が大きく偏心変形する場合であっても、リップ部43が周方向に連続していないので、図11(a)に示すように、偏心変形に伴うリップ部43の傾斜やしわの発生を効果的に抑制して、かかるリップ部43にガイドとしての役割を十分に発揮させることができる。
【0100】
また、スリット44は、上述した通り、リップ部43のみを分断するのではなく、リップ部43を越える位置まで延設されている(4つの分割体部45が形成されている)ので、中間ゴム部材4が大きく偏心変形した場合には、リップ部43の傾斜やしわの発生を防止するだけでなく、中間ゴム部材4自体の変形を抑制することができる。
【0101】
特に、偏心方向側の部位の変形が偏心方向と反対側の部位に影響を与えに難くして、偏心方向と反対側の部位(特に、分割体部45a)が初期形状を保つようにすることができる。その結果、図11(a)に示すように、偏心変形に伴うリップ部43の傾斜やしわの発生を効果的に抑制して、かかるリップ部43にガイドとしての役割をより確実に発揮させることができる。
【0102】
ここで、図10に示すように、開口部22aが長円形状に形成されているので、中間ゴム部材4は、開口部22aの長軸L方向(図10左右方向)に大きく偏心変形されるところ、各スリット44間に形成される4つの分割体部45は、上述したように、開口部22aの長軸上に位置する一対の第1分割体部45aの幅寸法(角度θ1)が、開口部22aの長軸Lを挟んで位置する一対の第2分割体部45bの幅寸法(角度θ2)よりも短くされている(小さな角度にされている、図6(a)参照)。
【0103】
これにより、中間ゴム部材4が開口部22aの長軸L方向へ大きく偏心変形した場合であっても、偏心方向と反対側の部位が初期形状を保つようにする上述した作用をより効果的に発揮させることができ、その結果、図11(a)に示すように、偏心変形に伴うリップ部43の傾斜やしわの発生を効果的に抑制して、かかるリップ部43にガイドとしての役割をより確実に発揮させることができる。
【0104】
また、ここで、吊り下げ方向(例えば、図4下方向)への大変位の振動の入力に伴って、本体ゴム部材3の下面が中間ゴム部材4の上面に接触してこれを押圧すると、これら両ゴム部材3,4間に取り残された空気が圧縮されると共に、その圧縮された空気が本体ゴム部材3と中間ゴム部材4との接触面間などから一気に外部に排出されることで、異音が発生する。
【0105】
これに対し、本実施の形態における防振装置100は、図10に示すように、スリット44が底板部22の開口部22aに達する位置まで延設されているので、このスリット44によって、両ゴム部材3,4間に取り残された空気が開口部22aから外部へ逃げるための経路を確保することができる。その結果、かかる空気が圧縮されることを未然に回避して、異音の発生を抑制することができる。
【0106】
図6及び図7に戻って説明する。被挟持部46は、挿通部材5と開口部22aの内縁との間に位置し、挿通部材5が開口部22aの内縁に衝突する際の打音を防止するための部位であり、図6(b)に示すように、開口部22aの形状に対応する長円形状に形成されている。
【0107】
これにより、横方向への大変位入力時には、かかる被挟持部46が挿通部材5と開口部22aの内縁との間で挟持されることで、挿通部材5が開口部22aの内縁に直接衝突することを防止するだけでなく、衝突する際の衝撃を被挟持部46により吸収して、打音の発生を抑制することができる。
【0108】
更に、被挟持部46は、開口部22aの内縁から離間して位置するように構成されているので(図10参照)、挿通部材5が開口部22aの内縁に衝突する際には、その衝突に伴って被挟持部46が開口部22aから底板部22の上面(例えば、図4上側面)に乗り上げると共に、その被挟持部46が底板部22の上面に乗り上げられたまま開口部22a内へ戻らなくなるという不具合を抑制することができ、その結果、被挟持部46が切断されることを抑制することができると共に、上記した打音発生の抑制効果を安定して発揮することができる。
【0109】
次いで、図12を参照して、第2実施の形態について説明する。図12(a)は、第2実施の形態における中間ゴム部材204の上面図であり、図12(b)は、図12(a)のXII−XII線における中間ゴム部材204の断面図である。
【0110】
第1実施の形態では、中間ゴム部材4にスリット44を延設する場合を説明したが、第2実施の形態では、スリット44の延設が省略されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0111】
図12に示すように、第2実施の形態における中間ゴム部材204は、ゴム状弾性材から軸心O回りに対称な円環状に形成され、座面42の外縁から外方へ張り出すリップ部243と、上面に凹設される凹溝244とを主に備えて構成されている。
【0112】
リップ部243は、上述した第1実施の形態におけるリップ部43と同様に、中間ゴム部材204が左右方向(図12(b)左右方向)に移動する際のガイドの役割を担う部位であり、外方へ張り出すフランジ状に形成されると共に、第2実施の形態では、図12(a)に示すように、中間ゴム部材204の外縁の全周にわたって形成されている。なお、座面42とリップ部243の下面(図12(b)下側面)とは、図12(b)に示すように、面一に形成されている。
【0113】
凹溝244は、大変位の入力時に、本体ゴム部材3と中間ゴム部材204との間の空気を外部に逃がして、異音の発生を抑制するための排気通路として機能する部位であり、図12(a)に示すように、軸心Oを中心として周方向等間隔(45度間隔)に8本が放射直線状に配置されている。
【0114】
凹溝244の延設方向に沿う断面形状は、中間ゴム部材204の上面形状に倣って凹設されており、図12(b)に示すように、軸心O側の部分では、座面42と略平行に凹設されると共に、残りの部分では外縁側に向かうに従って座面42に近づくように下降傾斜して凹設されている。なお、最外縁の部分においては、図12(b)に示すように、座面42と略平行に凹設されている。
【0115】
これにより、吊り下げ方向(例えば、図4下方向)への大変位の振動の入力に伴って、本体ゴム部材3の下面が中間ゴム部材204の上面に接触してこれを押圧する場合でも、これら両ゴム部材3,204間に取り残された空気を各凹溝204から挿通孔41及び開口部22aを介して外部へ排出することができるので、かかる空気が圧縮されることを未然に回避して、異音の発生を抑制することができる。
【0116】
次いで、図13を参照して、第3実施の形態について説明する。図13(a)は、第3実施の形態における中間ゴム部材304の上面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIII−XIII線における中間ゴム部材304の断面図である。
【0117】
第1実施の形態では、中間ゴム部材4にスリット44を延設する場合を説明したが、第2実施の形態では、スリット44の延設が省略されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0118】
図13に示すように、第3実施の形態における中間ゴム部材304は、ゴム状弾性材から軸心O回りに対称な円環状に形成され、上面に突設される突部344a,344bを主に備えて構成されている。
【0119】
突部344a,344bは、大変位の入力時に、異音の発生を抑制するべく、本体ゴム部材3と中間ゴム部材304との間の空気を外部に逃がす排気通路を確保するための部位であり、図13(a)に示すように、突部344aは外縁側において周方向等間隔(45度間隔)に8個が配置され、突部344bは軸心O側において周方向等間隔(45度間隔)に8個が配置されている。
【0120】
突部344aは、突部344bに対して、周方向に22.5度だけ位置ずれするように配置されている。また、突部344a,344bは、球状の突部として構成され、突部344aが突部344bよりも大径(本実施の形態では、略4倍)とされている。
【0121】
これにより、吊り下げ方向(例えば、図4下方向)への大変位の振動の入力に伴って、本体ゴム部材3の下面が中間ゴム部材304の上面に接触してこれを押圧する場合でも、突部344a,344bの高さ分だけ接触面間に隙間を形成して、両ゴム部材3,304間に取り残された空気を挿通孔41及び開口部22aを介して外部へ排出することができるので、かかる空気が圧縮されることを未然に回避して、異音の発生を抑制することができる。
【0122】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0123】
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0124】
上記第2及び第3実施の形態では、リップ部243が周方向に連続して形成されていたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、周方向複数に分断されていても良い。この場合には、その分断箇所を第1実施の形態の場合と同様とすることが好ましい。
【0125】
上記第2実施の形態では、中間ゴム部材204の上面に凹溝244を凹設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、中間ゴム部材204の上面に凸条を放射直線状に延設させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1実施の形態における防振装置の正面図である。
【図2】防振装置の部分断面斜視図である。
【図3】防振装置の上面図である。
【図4】図3のIV−IV線における防振装置の断面図である。
【図5】(a)は外部材の上面図であり、(b)は図5(a)のVb−Vb線における外部材の断面図である。
【図6】(a)は中間ゴム部材の上面図であり、(b)は中間ゴム部材の下面図である。
【図7】図6(a)のVII−VII線における中間ゴム部材の断面図である。
【図8】防振装置の部分拡大断面図である。
【図9】中間ゴム部材のリップ部を省略して構成した場合における防振装置の部分拡大断面図である。
【図10】防振装置の下面図である。
【図11】(a)は本実施の形態における防振装置の部分拡大断面図であり、(b)は中間ゴム部材のスリットを省略して構成した場合における防振装置の部分拡大断面図である。
【図12】(a)は第2実施の形態における中間ゴム部材の上面図であり、(b)は図12(a)のXII−XII線における中間ゴム部材4の断面図である。
【図13】(a)は第3実施の形態における中間ゴム部材の上面図であり、(b)は図13(a)のXIII−XIII線における中間ゴム部材の断面図である。
【図14】従来の吊り下げ式の防振装置の断面図である。
【符号の説明】
【0127】
100 防振装置
1 上部材
1a ボス部材(上部材の一部)
1b 平板部材(上部材の一部)
2 基部材
21 外部材
22 底板部
22a 開口部
23 外筒部
24 取着板部
25 本体部材
26 内筒部
27 張出板部
3 本体ゴム部材
3a ゴム壁部
3b ストッパゴム部
4 中間ゴム部材
41 挿通孔
42 座面
43 リップ部
44 スリット
45 分割体部
45a 第1分割体部
45b 第2分割体部
46 被挟持部
5 挿通部材
t1 隙間(第1の隙間)
t2 隙間(第2の隙間)
t3 隙間(第3の隙間)
L 長軸
O 軸心
BF 車体フレーム
EM エンジン側部材
【出願人】 【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー

【識別番号】100103045
【弁理士】
【氏名又は名称】兼子 直久

【識別番号】100127605
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 愛

【識別番号】100129447
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 努


【公開番号】 特開2008−2565(P2008−2565A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172629(P2006−172629)