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【発明の名称】 インサート成形部品
【発明者】 【氏名】児玉 雄二

【要約】 【課題】樹脂部品と金属部品の固定強度を維持し、温度変化に対する耐久性並びに組立性を向上させたインサート成形部品を提供する。

【構成】円筒状樹脂部品5の中心孔9の内壁面に金属線材が螺旋状に巻かれたコイル部品10が露出してインサート成形されており、コイル部品10の内径が樹脂部品5の内径と同等若しくは内径より小さくなるように一体成形されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状樹脂部品の中心孔の内壁面に金属線材が螺旋状に巻かれたコイル部品が露出してインサート成形されており、コイル部品の内径が樹脂部品の内径と同等若しくは内径より小さくなるように一体成形されていることを特徴とするインサート成形部品。
【請求項2】
コイル部品は樹脂部品の長手方向の全体又は一部に設けられており、当該コイル部品の内径側には駆動伝達系の軸が圧入されることを特徴とする請求項1記載のインサート成形部品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばモータ部品、プーリ、ギヤなどの駆動伝達系の部品などに用いられるインサート成形部品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の軸状部品(例えば回転軸)と樹脂部品(例えばスリーブ、マグネット、プーリ、ギヤなど)を機械的に固定して相当の伝達力を得るためには、以下の方式が取られていた。
例えば、軸状部品(金属シャフト)にステーキング加工を施し樹脂部品(スリーブ部品)に圧入して固定したり、軸状部品(金属シャフト)にローレット加工を施した後で樹脂部品(スリーブ部品)に圧入して固定したりする方式がある。また、軸状部品(金属シャフト)を直接樹脂部品にインサート成形する方式や、予め金属スリーブ状部品をインサート成形し軸状部品に圧入する方式がある。或いは以上の機械的な固定によらずに軸状部品(金属シャフト)を直接樹脂部品に接着により固定する方式が取られていた。
【特許文献1】特開2000−341905号公報
【特許文献2】実開平05−50956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した軸状部品と樹脂部品をステーキングにより固定するか、ローレットを形成して圧入する方法によれば、樹脂部品に傷や変形などを伴う。また、圧入代の設定が難しいため薄肉部品や温度変化が大きい使用環境下によっては樹脂部品の割れ、抜けが発生するおそれがある。また、軸状部品を直接インサート成形する方法によっても、軸状部品が長尺物でありインサート成形される樹脂部品も長尺である場合には、軸材と樹脂材との熱膨張率の差異により特に低温側で樹脂部品が割れ易くなる。
【0004】
また、予め金属スリーブ状部品を内部にインサート成形した樹脂部品を軸状部材に圧入すると、樹脂部品としては比較的に大きな圧入力(例えば、内径φ6mm、長さ15mm、厚さ1mm、圧入代15μm程度の黄銅材のスリーブ部品をインサート成形した場合の圧入力はおよそ200kgf)を必要とし組立性が悪いうえに、樹脂部品への負担が大きく樹脂部が破損するおそれがある。圧入等によらず接着固定を選択した場合にも、樹脂部品の金属部品への強固な固着は、温度変化による熱膨張率の差により樹脂部品に割れが生ずるおそれがあるのにかわりない。また、接着剤の塗布状態により固定力のばらつきが大きくなり、信頼性が低下する。
【0005】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、樹脂部品と金属部品の固定強度を維持し、温度変化に対する耐久性並びに組立性を向上させたインサート成形部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
筒状樹脂部品の中心孔の内壁面に金属線材が螺旋状に巻かれたコイル部品が露出してインサート成形されており、コイル部品の内径が樹脂部品の内径と同等若しくは内径より小さくなるように一体成形されていることを特徴とする。
また、コイル部品は樹脂部品の長手方向の全体又は一部に設けられており、当該コイル部品の内径側には駆動伝達系の軸が圧入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したインサート成形部品を用いれば、筒状樹脂部品の中心孔に金属線材が螺旋状に巻かれたコイル部品の内径側が露出してインサート成形されており、コイル部品の内径が樹脂部品の内径と同等若しくは内径より小さくなるように一体成形されている。このため、成形時高温となる樹脂部品が冷却されて収縮したとき、コイル部品の弾性力によりこの収縮力を吸収できるので割れにいたる残留応力が少なくなり、温度変化に対する耐久性が向上する。
また、軸状部材をインサート成形品に圧入する際にコイル部品の内径に沿って圧入されるため、接触面積が少なく、コイル部品の圧入力はコイルの材質、線径、巻き数、長さで調整できる。また、金属スリーブ状部品を用いた場合に比べて圧入力が小さいので組立性がよく、樹脂部品への負荷が減るため樹脂部の破損が生ずることもなく軸状部材に対する固定強度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るインサート成形品の最良の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態は一例として、モータ部品である回転子軸に一体に組付けられる回転子磁石について説明する。
【0009】
図3を参照して、インサート成形部品が用いられるモータ駆動装置の概略構成について説明する。
先ず、DCブラシレスモータ1は、例えばインナーロータ型の3相DCブラシレスモータが好適に用いられる。ステータコア2は例えば積層コアが用いられ、モータケース3の内壁面に固定されている。ステータコア2のティース部(図示せず)にはステータコイルが巻き回されている。ステータコア2に囲まれた空間内にロータが組み込まれている。ロータは、回転子軸(駆動軸)4の周囲に円筒状のロータマグネット5が一体に組付けられている。
【0010】
回転子軸4は、長手方向両側を軸受7により回転可能に支持されている。回転子軸4としては、例えばステンレススチール製など金属シャフトが用いられる。ロータマグネット5は磁性材料を含む円筒状の樹脂部品(成形品)が用いられ、回転方向でN極及びS極が交互に着磁されている。回転子軸4と直交配置されたセンサ基板6にはロータの回転位置や回転方向を検出する磁極センサが設けられている。センサ基板6は、ステータコア2の端面に設けられるインシュレータと蓋体8との間で挟み込まれてモ−タケース3内で固定されている。センサ基板6は図示しない制御基板と配線接続されている。
【0011】
次に、インサート成形部品の一例であるロータマグネット5の構成を組立方法と共に説明する。図1A、Bにおいて、ロータマグネット5は、例えばフェライト系やネオジウム系などの円筒状樹脂マグネット(成形品)が用いられる。このロータマグネット5の中心孔9に金属線材が螺旋状に巻かれたコイル部品10がその内径側が露出してインサート成形されている。図2において、コイル部品10としては、銅、銅合金、ステンレス線、鋼線等が用いられ、コイル部品10の長さ、線径、巻き数は、回転子軸4の材質や必要とされる固定力に応じて適宜調整することができる。
【0012】
図1Aにおいてコイル部品10の内径はロータマグネット(樹脂部品)5の内径と同等若しくは内径より小さくなるように一体成形されている。具体的には、コイル部品10が金型にセットされて内径側が露出するようにインサート成形される。これにより、成形時の高温環境から常温に冷却されてロータマグネット5が収縮したときコイル部品10の弾性力によりその収縮力を吸収できるのでロータマグネット5の残留応力は少なくなり、回転子軸4に対する固定強度を維持して、温度変化に対する耐久性が向上する。
【0013】
また、ロータマグネット5の中心孔9には、回転子軸(軸状部材)4が圧入されて組み付けられる。この回転子軸4を圧入する際にコイル部品10の内径に沿って圧入されるため、接触面積が線材であるコイル部品10の内面のみであるため、圧入力が小さくてすむ(例えば、線径φ1mm、巻き数10、内径φ6mm、長さ15mm程度の黄銅コイルをインサート成形した場合の圧入力はおよそ60kgfとなる)ため組立性がよい。また、ロータマグネット5への負荷が減るため樹脂部の破損が生ずることもなく回転子軸(軸状部材)4に対する固定強度を維持することができる。
【0014】
尚、上記実施の形態は、回転子軸4とロータマグネット5を例示して説明したが、コイル部品10を樹脂製ギヤや樹脂製プーリに内径側が露出するようにインサート成形して一体に組付けるようにしてもよい。また、樹脂部品と金属部品の固定方式も圧入のみに限らず、必要に応じて接着剤を併用してもよいし、金属部品に軽度のステーキング等を行なって圧入して固定強度の改善を行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】インサート成形部品の左側面図及び正面断面図である。
【図2】コイル部品の正面図である。
【図3】インサート成形部品を用いたDCブラシレスモータの断面説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 DCブラシレスモータ
2 ステータコア
3 モータケース
4 回転子軸
5 ロータマグネット
6 センサ基板
7 軸受
8 蓋体
9 中心孔
10 コイル部品

特許の図
【出願人】 【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫

【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春


【公開番号】 特開2008−45714(P2008−45714A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−224184(P2006−224184)