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【発明の名称】 磁性イオン液体を利用した流体循環装置
【発明者】 【氏名】渡部 丈

【要約】 【課題】流体の循環装置で永久機関を模した装置を実現すること。

【解決手段】磁性イオン液体は、液体であるが磁性を持っており有色であるが透明である。この磁性イオン液体は、従来産業に利用されてきた磁性微粒子を懸濁させた不透明な磁性流体とは異なる物である。本発明では、磁性イオン液体を利用して、液体収容部に満たされた磁性イオン液体を液体収容部の側面ないしは上面に配置された磁石によってひきつけることにより磁性イオン液体の上面に勾配を生ぜしめて、上記勾配上面内に配置されたサイフォン部給液管からポンプ部をへてサイフォン部排液管へ磁性イオン液体を流すようにして永久機関を模した流体循環装置を実現した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容部と
前記液体収容部に収容された磁性イオン液体と
前記磁性イオン液体をひきつけて前記磁性イオン液体上面に勾配をつけるための磁石部と
前記勾配のついた前記磁性イオン液体上面の高い位置から低い位置に磁性イオン液体を流すためのサイフォン部およびポンプ部とを有する
ことを特徴とする流体循環装置。
【請求項2】
請求項1の流体循環装置であって、
前記磁性イオン液体中に薄片を混合させて、磁性イオン液体の循環を観察しやすくした
ことを特徴とする流体循環装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性イオン液体を用いた永久機関を連想させる流体循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より人類は永久機関を発明することを切望し、その実現のために様々な試みが行われたが、現代ではその実現が不可能なことは科学的に証明されており、エネルギー保存の法則または熱力学第一法則として知られている。
【0003】
しかし、永久機関に対する憧れはいまだに強く、永久機関を模した物として、水の蒸発による気化熱を利用した熱機関である玩具(特許文献1参照)や、永久機関風に見える円盤を補助モータを利用して回転させる装飾品(特許文献2参照)などがあった。
【0004】
従来、磁性流体と呼ばれるマグネタイトなどの強磁性超微粒子を液体中に懸濁させたものがあった。磁性流体は、磁場により流体の位置を閉じ込めることが可能なためその特性を利用して回転軸のシール装置などに利用されたりしている(特許文献3参照)。
【0005】
しかし、磁性流体は液体ではなく上述したように強磁性超微粒子の懸濁液であるために、不透明であることや磁場をかけた際の強磁性超微粒子の偏りによる液の不均一性や液体と固体の分離などの問題があった。
【0006】
最近、磁性流体とは異なり液体でありながら磁性をもつ磁性イオン液体が合成された(非特許文献1参照)。この磁性イオン液体は、例えば塩化鉄(III)酸1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムからなる物質で、プラスの電荷を持つ陽イオンと、マイナスの電荷を持つ陰イオンのみから構成される塩(えん)であるにもかかわらず常温で液体である化合物である。
【0007】
上記磁性イオン液体は、磁性流体と違い着色しているが透明であり、かつ磁石にひきつけられるという性質を兼ね備えている。
【0008】
【特許文献1】特公昭25−2455号公報
【特許文献2】特開平9−225148号公報
【特許文献3】特開平10−184932号公報
【非特許文献1】S. Hayashi, H. Hamaguchi, Chem. Lett., 33, 1590 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
流体の循環を行う永久機関を模した流体循環装置において、永久機関を連想させる装置が実現できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の流体循環装置は、液体収容部と前記液体収容部に収容された磁性イオン液体と前記磁性イオン液体をひきつけて前記磁性イオン液体上面に勾配をつけるための磁石部と前記勾配のついた前記磁性イオン液体上面の高い位置から低い位置に磁性イオン液体を流すためのサイフォン部およびポンプ部とを有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流体循環装置は、液体収容部と前記液体収容部に収容された磁性イオン液体と前記磁性イオン液体をひきつけて前記磁性イオン液体上面に勾配をつけるための磁石部と前記勾配のついた前記磁性イオン液体上面の高い位置から低い位置に磁性イオン液体を流すためのサイフォン部およびポンプ部とを有することを最も主要な特徴とするために、該装置を見るものに流体を利用した永久機関が実現しているかのように見せることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の流体循環装置では、磁性イオン流体を磁石によりひきつけることにより、通常は水平面状態にある液体面を勾配のある面とし、その勾配の高い面から低い面に対して液体が流れるような補助ポンプにより液体を循環させることにより実現した。
【実施例1】
【0013】
[構成]
図1は、本発明の実施例にかかわる流体循環装置の概略側面図である。
【0014】
流体循環装置10は、磁性イオン液体13と前記磁性イオン液体を収容する液体収容部11と磁性イオン液体をひきつけるためのネオジウム磁石15(磁石部)と磁性イオン液体を流すサイフォン部17,19とポンプ部21からなる。
【0015】
磁石部は、ネオジウム磁石以外の他の永久磁石であってもよいし、また、電磁石であってもよい。
【0016】
磁性イオン液体13は、液体収容部11に隣接して配置されたネオジウム磁石15によりひきつけられ、磁性イオン液体上面Pには勾配が生じる。勾配は、液体収容部11のネオジウム磁石15の配置された側の磁性イオン液体の上面Pが、その逆側(図1の右側)の磁性イオン液体の上面Pより高くなっている。
【0017】
サイフォン給液管17は、磁性イオン液体13の上面Pが高い位置にあるネオジウム磁石15に近い側に配置されている。
【0018】
サイフォン排液管19は、磁性イオン液体13の上面Pが低い位置にあるネオジウム磁石15から遠い側に配置されている。
【0019】
磁性イオン液体上面Pに勾配があるため、サイフォン給液管の給液口Qがサイフォン排液管の排液口Rより高い位置に配することが可能である。
【0020】
また、磁性イオン液体の循環の様子がより明確に目視できるようサイフォン排液管口Rは、液体状面Pより上部に配置されている。
【0021】
サイフォン給液管17とサイフォン排液管19の間にはポンプ部21が配されており、磁性イオン液体13をサイフォン給液口Qより吸い込みポンプ部21を通りサイフォン排液口Rより排出する。
【0022】
磁性イオン液体13中には、プラスチックや磁性を持たない金属などからなる薄片23が散らしてあり、磁性イオン液体13の循環に伴い薄片23がサイフォン給液管17とサイフォン排液管19内を流れる。
【0023】
[実施例1の効果]
磁性イオン液体上面Pがネオジウム磁石15によってひきつけられることにより勾配ができ、この磁性イオン液体上面の勾配を利用して、サイフォン部給液口Qをサイフォン部排液口Rより高い位置に配置して、サイフォン部を構成してポンプ部21を利用して磁性イオン液体13を循環させることにより、流体を利用した永久機関を連想させる液体循環装置を実現することが可能となった。
【0024】
また、磁性イオン液体上面Pがネオジウム磁石15によってひきつけられることにより、サイフォン給液口Qの位置を高くすることが可能となり、イオン液体の位置エネルギーを高くすることが可能となった。
【0025】
磁性イオン液体13中に薄片を懸濁させることにより、磁性イオン液体の循環が視覚的に確認しやすくなった。磁性イオン液体は、磁性流体と異なり有色ではあるが、透明なためにこのように薄片を懸濁させて、その動きを観察することが可能となった。
【実施例2】
【0026】
[構成]
図2は、本発明の別の実施例の流体循環装置の概略側面図である。
【0027】
本実施例では、磁石部であるネオジウム磁石15が中央に空孔のあるドーナツ型の形状をしている。また、このネオジウム磁石15は、液体収容部11の上面中央に配置されており、そのため磁性イオン液体13の中央部が盛り上がる形となっている。
【0028】
磁性イオン液体13は、サイフォン部給液口Qから吸い上げられ、サイフォン給液管17中を、ネオジウム磁石15の中央の空孔部を通り抜けてポンプ部21に至り、ポンプ部から排出された磁性イオン液体13は、サイフォン排液管19を通して再度ネオジウム磁石15の中央の空孔部を通り抜けてサイフォン部排液口より排出される。
【0029】
[実施例2の効果]
実施例2では、実施例1の効果に加えて、磁石部を液面中央上部に配置したことにより、磁性イオン液体の中央部が山状に盛り上がる形を成しより視覚的効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】磁石部を側面に配した流体循環装置の側面概略図である(実施例1)。
【図2】磁石部を上面に配した流体循環装置の側面概略図である(実施例2)。
【符号の説明】
【0031】
10 流体循環装置
11 液体収容部
13 磁性イオン液体
15 ネオジウム磁石(磁石部)
17 サイフォン給液管
19 サイフォン排液管
21 ポンプ部
23 薄片
P 磁性イオン液体上面P
Q サイフォン部給液口
R サイフォン部排液口
【出願人】 【識別番号】506329317
【氏名又は名称】渡部 丈
【出願日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【代理人】 【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一


【公開番号】 特開2008−82300(P2008−82300A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−265739(P2006−265739)