トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F04 液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ

【発明の名称】 エゼクタ
【発明者】 【氏名】河盛 裕

【氏名】北村 直

【氏名】伊藤 嘉樹

【氏名】築地 清

【要約】 【課題】負圧発生性能が低下することを抑制しつつ小型化(省スペース化)を図ることができるエゼクタを提供すること。

【構成】ブレーキブースタ用負圧供給装置のエゼクタ10は、流体入口側に設けられたノズル21と、流体出口側に設けられたディフューザ22と、ノズル21とディフューザ22との間に設けられた減圧室13とを有し、ノズル21から噴出された流体によって減圧室13に負圧を発生させる。そして、エゼクタ10において、ディフューザ22を第1ディフューザ27、曲がり部28、および第2ディフューザ29で構成して多段化し、その中心軸断面を円形にするとともに、曲がり部28の内面を連続的な曲面で形成して中心軸断面における流路面積を一定にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口側に設けられたノズルと、流体出口側に設けられたディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間に設けられた減圧室とを有し、前記ノズルから噴出された流体によって前記減圧室に負圧を発生させるエゼクタにおいて、
前記ディフューザは、所定の角度で曲げられた曲がり部を有することを特徴とするエゼクタ。
【請求項2】
請求項1に記載するエゼクタにおいて、
前記曲がり部の内面は、連続的な曲面で形成されていることを特徴とするエゼクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するエゼクタにおいて、
前記ディフューザは、前記曲がり部の上流側に設けられた第1ディフューザと、前記曲がり部の下流側に設けられた第2ディフューザとを有することを特徴とするエゼクタ。
【請求項4】
請求項3に記載するエゼクタにおいて、
前記曲がり部は、中心軸断面における流路面積が等しいことを特徴とするエゼクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載するいずれか1つのエゼクタにおいて、
前記ディフューザの中心軸断面の形状が円形であることを特徴とするエゼクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載するいずれか1つのエゼクタは、車両に搭載されたブレーキブースタに吸気管負圧を供給するブレーキブースタ用負圧発生装置に備わるものであって、吸気配管に配置されたスロットルバルブを有するスロットルボデーに一体化されていることを特徴とするエゼクタ。
【請求項7】
請求項6に記載するエゼクタにおいて、
前記曲がり部の外側と前記ブレーキブースタとがチェックバルブを介して連通していることを特徴とするエゼクタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキブースタ等に負圧を供給するための負圧供給装置に備わるエゼクタに関する。より詳細には、負圧発生性能の低下を抑制しつつ小型化(省スペース化)を図ることができるエゼクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エゼクタを利用した負圧供給装置は、例えばブレーキブースタ等に負圧を供給するために広く使用されている。この種の負圧供給装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、空気入口側に設けられたノズルと、空気出口側に設けられたディフューザと、ノズルとディフューザとの間に設けられた減圧室とを有し、ノズルによって噴出された空気によって発生した負圧が減圧室から取出され、その負圧がブレーキブースタ等に供給されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−171925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された負圧供給(倍力)装置では、ディフューザが真直ぐに構成されている(流体入口と流体出口とが一直線上に配置されている)ため、ディフューザが長くなり負圧倍力装置の小型化(省スペース化)の障害となり、車両搭載性が悪いという問題があった。
ここで、ディフューザを短くすれば、負圧供給(倍力)装置の小型化(省スペース化)を図ることはできるが、負圧発生性能が低下してしまう。なぜなら、負圧供給(倍力)装置に要求される性能を満たすためには、一般的に、ディフューザの長さとしてディフューザ径の10倍程度は確保する必要があるからである。
【0004】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、負圧発生性能が低下することを抑制しつつ小型化(省スペース化)を図ることができるエゼクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するためになされた本発明に係る負圧供給装置は、流体入口側に設けられたノズルと、流体出口側に設けられたディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間に設けられた減圧室とを有し、前記ノズルから噴出された流体によって前記減圧室に負圧を発生させるエゼクタにおいて、前記ディフューザは、所定の角度で曲げられた曲がり部を有することを特徴とする。
【0006】
このエゼクタでは、ディフューザが所定の角度で曲げられた曲がり部を有するので、エゼクタの所定方向における寸法を短縮することができる。その結果、エゼクタを小型化することができるので、設計の自由度を向上させることができる。なお、ディフューザの長さは従来のものと同等である。特に、車載用の負圧発生装置に使用する場合には搭載性が向上する。なお、曲がり部の角度は、45度以上であることが好ましく、望ましくは90度程度がよい。このようにすることにより、エゼクタの所定方向における寸法を効果的に短縮することができ、設計の自由度がさらに増すからである。
【0007】
ここで、ディフューザに所定の角度で曲げられた曲がり部を設けることにより、負圧発生性能が低下するおそれがある。なぜなら、エゼクタでは、ノズルにより流体の速度(流速)を速めることにより減圧室に負圧を発生させているが、曲がり部において流体の流れ損失が大きくなるとノズルにおける流速が低下すると考えられるからである。
【0008】
このため、本発明に係るエゼクタにおいては、前記曲がり部の内面は、連続的な曲面で形成されていることが望ましい。
このように、曲がり部の内面を連続的な曲面にすることにより、曲がり部における流体の流れ損失を低減することができる。その結果として、ノズルにおける流速の低下を抑えることができるので、負圧発生性能の低下を抑制することができるからである。
【0009】
また、本発明に係るエゼクタにおいては、前記ディフューザは、前記曲がり部の上流側に設けられた第1ディフューザと、前記曲がり部の下流側に設けられた第2ディフューザとを有することも好ましい。
このように、ディフューザを曲がり部を介して多段階構成にすることにより、曲がり部における流れ損失を低減することができる。その結果として、ノズルにおける流速の低下を抑えることができるので、負圧発生性能の低下を抑制することができるからである。
【0010】
そしてこの場合においては、前記曲がり部は、中心軸断面における流路面積が等しいことが望ましい。
このように、曲がり部の断面積を等しく(一定に)することにより、曲がり部下流の2次流れを抑制することができるので、曲がり部における流体の流れ損失をより低減することができる。その結果、ノズルにおける流速の低下を効果的に抑えることができ、負圧発生性能の低下をより抑制することができるからである。
【0011】
また、本発明に係るエゼクタにおいては、前記ディフューザの中心軸断面の形状が円形であることも好ましい。
このようにディフューザの中心軸断面を円形状(必ずしも真円である必要はなく円形に近い形状も含む)にすることにより、流体の流れ損失を低減することができる。その結果として、ノズルにおける流速の低下を効果的に抑えることができ、負圧発生性能の低下を抑制することができるからである。
【0012】
そして、上記したエゼクタは、車両に搭載されたブレーキブースタに吸気管負圧を供給するブレーキブースタ用負圧発生装置に備わるものであって、吸気配管に配置されたスロットルバルブを有するスロットルボデーに一体化されていることが望ましい。
【0013】
上記したエゼクタは小型化が図られているのでスロットルボデーに一体化することができる。このとき、スロットルボデー周辺のスペースに適合するようにディフューザの曲げ方向(曲がり部の配置)を決めることにより、非常にコンパクトなエゼクタ付きスロットルボデーを実現することができる。そして、スロットルボデーにエゼクタを一体化することにより、エゼクタ入口のスロットルバルブ上流への接続、およびエゼクタ出口のスロットルバルブ下流への接続を専用配管を設けることなく簡単に行うことができる。これにより、配管やエゼクタ固定具が不要になるので、コスト低減が図られるとともに搭載スペースを小さくすることができる。
【0014】
この場合においては、前記曲がり部の外側と前記ブレーキブースタとがチェックバルブを介して連通していることが望ましい。
こうすることにより、吸気管負圧をブレーキブースタにそのまま供給するためのメイン通路を別に設ける必要がなくなり、エゼクタの構成を非常に簡単なものにすることができるからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエゼクタによれば、上記した通り、負圧発生性能が低下することを抑制しつつ小型化(省スペース化)を図ることができるエゼクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、本発明のエゼクタを具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、ブレーキブースタ用負圧供給装置に本発明を適用したものである。そこで、本実施の形態に係るエゼクタについて、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係るブレーキブースタ用負圧供給装置のエゼクタの概略構成を示す断面図である。図2は、図1中左方向から見た矢視図であり、エゼクタの外観および流体出口の配置位置を示すものである。図3は、図1中下方向から見たエゼクタの矢視図である。
【0017】
エゼクタ10は、図1に示すように、吸気配管内を流れる空気の一部をバイパスさせるためのバイパス通路11と、ブレーキブースタに連通される空気吸引室12と、減圧室13と吸気配管とを連通させるための連通路14とが、ハウジング15に形成されている。そして、バイパス通路11は、流体入口20と、ノズル21と、減圧室13と、ディフューザ22と、流体出口23とで構成されている。
【0018】
ここで、流体入口20は、スロットルバルブ16より上流側で吸気配管に対してバキュームスイッチングバルブ(VSV)を介して接続されるようになっている。この流体入口20に連通するノズル21は、テーパ状の内壁面によって通路断面積が漸次減少する絞り形状をなし、流体入口20から流入した空気の流速を高めるようになっている。ノズル21は、減圧室13を介してディフューザ22に連通している。そして、ディフューザ22の出口が流体出口23になっている。流体出口23は、図2に示すように、スロットルボデー17内において連通路18を介して、スロットルバルブ16の下流側で吸気配管に連通している。
【0019】
減圧室13は、一方で第1チェックバルブ24を介して空気吸引室12に接続され、他方で第2チェックバルブ25を介して連通路14に接続されている。そして、空気吸引室12には吸引管26が取り付けられており、この吸引管26とブレーキブースタとが配管により接続されるようになっている。また、連通路14は、スロットルボデー17内に形成された連通路18に接続している。これにより、連通路14は、スロットルバルブ16の下流側で吸気配管に連通するようになっている。
【0020】
そして、VSVが開かれてバイパス通路11に空気が導入されると、ノズル21を通過する空気流によって減圧室13に負圧が発生して、スロットルバルブ16より下流側の吸気配管内の吸気管負圧よりも増大された吸気管負圧が第1チェックバルブ24に作用し第1チェックバルブ24が開き、減圧室13から空気吸引室12および吸引管26を通じて、その増大された吸気管負圧がブレーキブースタに供給されるようになっている。
一方、VSVが閉じられてバイパス通路11に空気が導入されない状態では、吸気管負圧が第2チェックバルブ25および第1チェックバルブ24に作用して、両方のチェックバルブ25,24がともに開き、スロットルバルブ16より下流側の吸気管内の吸気管負圧が、連通路18,14、減圧室13、空気吸引室12、および吸引管26を通じて、そのままブレーキブースタに供給されるようになっている。
【0021】
ディフューザ22は、上流側から第1ディフューザ27と、曲がり部28と、第2ディフューザ29とにより構成されている。つまり、エゼクタ10には、2段ディフューザ22が備わっているのである。そして、2段ディフューザ22は、ほぼ90度に曲げられた曲がり部28を有しており、従来のエゼクタに備わるディフューザと比べると、全長は同等でありながらX方向における寸法が短く(1/2程度)なっている。これにより、エゼクタ10は、X方向における小型化が図られ、図3に示すようにスロットルバルブ制御装置19の寸法内に収まり、非常に車両搭載性に優れたものになっている。
【0022】
ここで、第1ディフューザ27および第2ディフューザ29は、開口径が一定割合で拡大する末広がり状に形成されている。なお、第1ディフューザ27および第2ディフューザ29の拡大率は、5〜10°程度に設定すればよい。また、曲がり部28は、ほぼ90度に曲がっており、第1ディフューザ27と第2ディフューザ29とを接続している。
【0023】
このように、ディフューザ22に曲がり部28を設けることにより、エゼクタ10のX方向における小型化を図ることはできるが、エゼクタ10の負圧発生性能が低下するおそれがある。なぜなら、曲がり部28において空気の流れ損失が大きくなりノズル21で流速が低下してしまい、減圧室13における発生負圧が小さくなると考えられるからである。
【0024】
そこで、本実施の形態では、曲がり部28の内面を連続的な曲面で形成している。これにより、曲がり部28における空気の流れ損失を低減することができ、ノズル21における流速の低下を抑えることができるようになっている。
また、曲がり部28は、中心軸断面における流路面積が等しく形成されている。これにより、曲がり部28の下流(第2ディフューザ29)における2次流れを抑制することができ、曲がり部28における流体の流れ損失をより低減することができるので、ノズル21における流速の低下を効果的に抑えることができるようになっている。
【0025】
さらに、ディフューザ22は、曲がり部28の上流側に設けられた第1ディフューザ27と、曲がり部28の下流側に設けられた第2ディフューザ29とを有する2段階構成となっている。これにより、曲がり部28における流れ損失を低減することができ、ノズル21における流速の低下を抑えることができるようになっている。
【0026】
さらにまた、第1ディフューザ27、曲がり部28、および第2ディフューザ29の中心軸断面の形状は、すべて円形となっている。なお、ここでいう円形とは、必ずしも真円である必要はなく円形に近い形状であればよい。これにより、空気の流れ損失を低減することができ、ノズル21における流速の低下を効果的に抑えることができるようになっている。
【0027】
このように、ディフューザ22に対する各種工夫を施すことにより、後述するシミュレーション結果の通り、エゼクタ10では、曲がり部28を有するディフューザ22を備えていても、負圧発生性能の低下が極力抑えられている。
【0028】
そして、このようなエゼクタ10は、吸気配管の途中に設けられたスロットルボデー17と、このスロットルボデー17内に回動自在に支持されたスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16を駆動(開閉)するための駆動機機構(モータおよびギヤなど)等とを備える周知のスロットルバルブ制御装置19に組み付けられて一体化されている。
【0029】
このように、エゼクタ10がスロットルボデー17に一体化されていることにより、エゼクタ10を固定するための固定具が不要になるとともに、エゼクタ10と吸気配管とを接続するための配管の一部(出口側)が不要になる。このため、コスト低減を図ることができるとともに搭載スペースを小さくすることができる。
【0030】
続いて、上記した構成を有するエゼクタ10の動作について説明する。VSVが閉じられて、吸気配管を流れる空気の一部がバイパス通路11に導入されない状態(例えば、エンジン温間時など)では、吸気管負圧が第2チェックバルブ25および第1チェックバルブ24に作用して、第2チェックバルブ25および第1チェックバルブ24が両方開かれる。これにより、ブレーキブースタが吸引管26、空気吸引室12、減圧室13、連通路14、および連通路18を介して吸気配管に連通する。従って、吸気管負圧がそのままブレーキブースタに供給される。
【0031】
一方、VSVが開かれ、吸気配管を流れる空気の一部がバイパス通路11に導入される状態(例えば、エンジン冷間時など)では、ノズル21を通過する空気流によって減圧室13に負圧が発生して、その増大された負圧が第1チェックバルブ24に作用して、第1チェックバルブ24が開かれる。これにより、減圧室13から空気吸引室12および吸引管26を通じて、その増大された吸気管負圧がブレーキブースタに供給される。
【0032】
次に、本実施の形態のエゼクタ10と従来のエゼクタ(ストレート形状のディフューザを備えるもの)とで、空気の流れ、ノズル出口の流速、および減圧室における負圧をそれぞれシミュレーションにより調べたので、その結果について説明する。まず、シミュレーションの条件について説明する。本実施の形態のエゼクタ10のモデルとして図4に示すものを使用し、従来のエゼクタのモデルとして図5に示すものを使用した。そして、各モデルにおいて、流体としては空気を使用(空気の物性値を使用)し、初期条件を流体入口圧力を「0kPa」、流体出口圧力(吸気管負圧)を「−25kPa」とした。また、時間刻みをΔt=1e-6、計算サイクル数を「5000サイクル」、メッシュ数を「約20万」、節点数を「約5万」、計算時間を「約15時間」として解析を行った。なお、図4は、本実施の形態のエゼクタ10のシミュレーションモデルを示す図である。図5は、従来のエゼクタのシミュレーションモデルを示す図である。
【0033】
従来のエゼクタでは、ノズル出口の流速が「MAX:386m/s」、減圧室の圧力が「−56.6kPa」であった。これに対して本実施の形態に係るエゼクタ10では、ノズル出口の流速が「MAX:375m/s」、減圧室の圧力が「−54.7kPa」であった。このように、本実施の形態に係るエゼクタ10では、図1のX方向における寸法を短縮(小型化)しても、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下を3.4%に抑えることができる。これは、図6に示すように、曲がり部28の下流(第2ディフューザ28)における2次流れを効果的に抑制することができており、その結果として曲がり部28における流体の流れ損失が低減されてノズル21における流速の低下を効果的に抑えることができたからであると考えられる。なお、図6は、本実施の形態のエゼクタ10のディフューザ22における空気の流れの解析結果を示す図である。
【0034】
ここで、エゼクタ10の変形例(ディフューザ22の形状が異なる)について説明する。まず、第1変形例について説明する。第1変形例は、図7に示すように、ディフューザを多段化することなく曲がり部を設けたエゼクタである。なお、図7は、第1変形例に係るエゼクタのシミュレーションモデル(概略構成)を示す図である。この第1変形例では、曲がり部においても末広がり状(中心軸断面における流路面積が下流に向かって徐々に拡大している)に形成されているのである。このような第1変形例でも上記した条件でシミュレーションを行ったところ、ノズル出口の流速が「MAX:375m/s」、減圧室の圧力が「−54.7kPa」であった。従って、第1変形例では、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下を4.6%に抑えることができる。このように、第1変形例でも、図1のX方向における寸法を短縮(小型化)しつつ、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下を抑えることができる。
【0035】
第1変形例では、第1の実施の形態のエゼクタ10に比べ、減圧室における負圧発生性能の低下が大きくなっている。このように第1変形例において、負圧発生性能が低下したのは、図8に示すように、第1の実施の形態に比べて曲がり部の下流における2次流れが抑制されておらず、曲がり部における流体の流れ損失が第1の実施の形態に比べて大きくなりノズルにおける流速の低下が大きくなったからであると考えられる。このことから、ディフューザに設ける曲がり部の中心軸断面における流路面積を一定にすることにより、エゼクタの負圧発生性能の低下を極力抑えられることがわかる。なお、図8は、第1変形例に係るエゼクタのディフューザにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【0036】
次に、第2変形例について説明する。第2変形例は、図9に示すように、ディフューザの曲がり部を屈曲させたエゼクタである。なお、図9は、第2変形例に係るエゼクタのシミュレーションモデル(概略構成)を示す図である。この第2変形例では、ディフューザの曲がり部が連続的な曲面で形成されずに、折れ曲がるように形成されているのである。このような第2変形例でも上記した条件でシミュレーションを行ったところ、ノズル出口の流速が「MAX:355m/s」、減圧室の圧力が「−51.2kPa」であった。従って、第2変形例では、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下が8.0%となる。このように、第2変形例でも、図1のX方向における寸法を短縮(小型化)しつつ、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下を抑えることができる。
【0037】
第2変形例では、第1の実施の形態のエゼクタ10に比べ、減圧室における負圧発生性能の低下が大きくなっている。このように第2変形例において、負圧発生性能が低下したのは、図10に示すように、第1の実施の形態に比べて曲がり部の下流における2次流れが抑制されていないとともに、曲がり部外側で流れが淀んでいるため、曲がり部における流体の流れ損失が第1の実施の形態に比べて大きくなりノズルにおける流速の低下が大きくなったからであると考えられる。このことから、ディフューザにおける曲がり部の内面を連続的な曲面で形成することにより、エゼクタの負圧発生性能の低下を極力抑えられることがわかる。なお、図10は、第2変形例に係るエゼクタのディフューザにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【0038】
以上説明したように、第1の実施の形態に係るエゼクタ10を備えるブレーキブースタ用負圧供給装置によれば、ディフューザ22を第1ディフューザ27、曲がり部28、および第2ディフューザ29で構成したので、図1のX方向において小型化を図ることができる。また、ディフューザ22を多段化(実施の形態では2段)して中心軸断面を円形にするとともに、曲がり部28の内面を連続的な曲面で形成して中心軸断面における流路面積を一定にすることにより、ディフューザ22に曲がり部28を設けたことによる負圧発生性能の低下を極力抑えることができる。このように、エゼクタ10を備えるブレーキブースタ用負圧供給装置によれば、負圧発生性能が低下することを抑制しつつ小型化(省スペース化)を図ることができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と基本的な構成は同じであるが、ディフューザの曲がり部に連通路が設けられてチェックバルブを介し曲がり部と空気吸引室とが連通されている点が異なる。また、このような構成にしたことにより、第1の実施の形態と比べると、第1の実施の形態における連通路14,18が不要になるとともに、第2チェックバルブ25の配置位置が変わっている。このため以下では、第1の実施の形態と同様な構成には同じ符号を付してその説明を適宜省略し、相違点を中心に説明する。
【0040】
そこで、第2の実施の形態に係るブレーキブースタ用負圧供給装置のエゼクタについて図11および図12を参照しながら説明する。図11は、第2の実施の形態に係るブレーキブースタ用負圧供給装置のエゼクタの概略構成を示す断面図である。図12は、図11中左方向から見た矢視図であり、エゼクタの外観および流体出口の配置位置を示すものである。図13は、図11中下方向から見たエゼクタの矢視図である。
【0041】
第2の実施の形態に係るエゼクタ10aでは、図11に示すように、吸気配管内を流れる空気の一部をバイパスさせるためのバイパス通路11aと、ブレーキブースタに連通される空気吸引室12aと、ディフューザ22aの曲がり部28aと空気吸引室12aとを第2チェックバルブ25を介して連通する連通路30とが、ハウジング15aに形成されている。そして、バイパス通路11aは、流体入口20と、ノズル21と、減圧室13aと、ディフューザ22aと、流体出口23とで構成されている。なお、流体出口23は、図12に示すように、スロットルボデー17a内においてスロットルバルブ16の下流側で吸気配管に連通している。
【0042】
減圧室13aは、第1チェックバルブ24を介して空気吸引室12に接続されている。そして、VSVが開かれてバイパス通路11aに空気が導入されると、ノズル21を通過する空気流によって減圧室13aに負圧が発生して、スロットルバルブ16より下流側の吸気配管内の吸気管負圧よりも増大された吸気管負圧が第1チェックバルブ24に作用し第1チェックバルブ24が開き、減圧室13aから空気吸引室12aおよび吸引管26を通じて、その増大された吸気管負圧がブレーキブースタに供給されるようになっている。
【0043】
一方、VSVが閉じられてバイパス通路11aに空気が導入されない状態では、吸気管負圧が第2チェックバルブ25に作用して第2チェックバルブ25が開き、スロットルバルブ16より下流側の吸気管内の吸気管負圧が、第2ディフューザ29、曲がり部28a、連通路30、空気吸引室12、および吸引管26を通じて、そのままブレーキブースタに供給されるようになっている。
【0044】
ディフューザ22aは、上流側から第1ディフューザ27と、曲がり部28aと、第2ディフューザ29とにより構成され、基本的には第1の実施の形態のディフューザ22と同じである。但し、曲がり部28aの外側に連通路30が接続している点が異なる。従って、第2の実施の形態でも、従来のエゼクタに備わるディフューザと比べるとX方向における寸法が短く(1/2程度)なっている。これにより、エゼクタ10aは、X方向における小型化が図られ、図13に示すようにスロットルバルブ制御装置19aの寸法内に収まり、非常に車両への搭載性に優れたものになっている。さらに、エゼクタ10aでは、第1の実施の形態のようにスロットルボデー17に連通路18を形成する必要もない。
【0045】
続いて、上記した構成を有するエゼクタ10aの動作について説明する。まず、VSVが閉じられて、吸気配管を流れる空気の一部がバイパス通路11aに導入されない状態(例えば、エンジン温間時など)では、吸気管負圧が第2チェックバルブ25に作用して、第2チェックバルブ25が開かれる。これにより、ブレーキブースタが吸引管26、空気吸引室12a、連通路30、およびディフューザ22a(正確には、曲がり部28aおよび第2ディフューザ29)を介して吸気配管に連通する。従って、吸気管負圧がそのままブレーキブースタに供給される。
【0046】
一方、VSVが開かれ、吸気配管を流れる空気の一部がバイパス通路11aに導入される状態(例えば、エンジン冷間時など)では、ノズル21を通過する空気流によって減圧室13aに負圧が発生して、その増大された負圧が第1チェックバルブ24に作用して、第1チェックバルブ24が開かれる。これにより、減圧室13aから空気吸引室12aおよび吸引管26を通じて、その増大された吸気管負圧がブレーキブースタに供給される。
【0047】
次に、本実施の形態のエゼクタ10aについても、モデルとして図14に示すものを使用して第1の実施の形態と同じ条件でシミュレーションを行ったので、その結果について説明する。図14は、本実施の形態のエゼクタ10aのシミュレーションモデルを示す図である。
【0048】
ここで、上記したように、従来のエゼクタでは、ノズル出口の流速が「MAX:386m/s」、減圧室の圧力が「−56.6kPa」であった。また、第1の実施の形態に係るエゼクタ10では、ノズル出口の流速が「MAX:375m/s」、減圧室の圧力が「−54.7kPa」であった。
これに対して、第2の実施の形態に係るエゼクタ10aでは、ノズル出口の流速が「MAX:382m/s」、減圧室の圧力が「−55.9kPa」となった。従って、第2の実施の形態に係るエゼクタ10aでは、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下を1.2%に抑えることができる。このように、本実施の形態に係るエゼクタ10aでも、図11のX方向における寸法を短縮(小型化)しつつ、従来のエゼクタと比べて減圧室における負圧発生性能の低下を極力抑えることができる。
【0049】
さらに、第2の実施の形態に係るエゼクタ10aは、第1の実施の形態に係るエゼクタ10よりも負圧発生性能の低下を効果的に抑制することができた。これは、図15に示すように、曲がり部28aの外側に連通路30を設けることにより、曲がり部28aの外側の流れが淀むことなくスムーズに流れる結果、内側の流れもスムーズになって曲がり部28aの下流(第2ディフューザ29)に2次流れがほとんど形成されないからであると考えられる。その結果、曲がり部28aにおける流体の流れ損失がほとんど発生せずに、ノズル21における流速の低下がほとんどなかったのである。なお、図15は、本実施の形態のエゼクタ10aのディフューザ22aにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【0050】
以上説明したように、第2の実施の形態に係るエゼクタ10aを備えるブレーキブースタ用負圧供給装置によれば、ディフューザ22aを第1ディフューザ27、曲がり部28a、および第2ディフューザ29で構成したので、図11のX方向において小型化を図ることができる。さらに、曲がり部28aと空気吸引室12aとを連通する連通路30をハウジング15aに形成しているので、第1の実施の形態のように吸気管負圧をそのまま供給するために、スロットルボデー17に連通路18を形成する必要がない。このため、第1の実施の形態に比べ構成をより簡素にすることができる。
また、連通路30を曲がり部28aの外側に接続することにより、曲がり部28aにおける流れ損失をほとんどなくすことができ、ディフューザ22aに曲がり部28aを設けたことによる負圧発生性能の低下を第1の実施の形態よりも効果的に抑えることができる。このように、エゼクタ10aを備えるブレーキブースタ用負圧供給装置によれば、負圧発生性能が低下することを抑制しつつ小型化(省スペース化)を図ることができる。
【0051】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。また、上記した実施の形態では、ブレーキブースタに負圧を供給する負圧供給装置に本発明のエゼクタを適用した場合について説明したが、本発明のエゼクタはこれに限らず、例えば水や燃料など液体を吐出するジェットポンプなどにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施の形態に係るブレーキブースタ用負圧供給装置のエゼクタの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1中左方向から見た矢視図であり、エゼクタの外観および流体出口の配置位置を示すものである。
【図3】図1中下方向から見たエゼクタの矢視図である。
【図4】第1の実施の形態のエゼクタのシミュレーションモデルを示す図である。
【図5】従来のエゼクタのシミュレーションモデルを示す図である。
【図6】第1の実施の形態のエゼクタのディフューザにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【図7】第1変形例に係るエゼクタのシミュレーションモデル(概略構成)を示す図である。
【図8】第1変形例に係るエゼクタのディフューザにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【図9】第2変形例に係るエゼクタのシミュレーションモデル(概略構成)を示す図である。
【図10】第2変形例に係るエゼクタのディフューザにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【図11】第2の実施の形態に係るブレーキブースタ用負圧供給装置のエゼクタの概略構成を示す断面図である。
【図12】図11中左方向から見た矢視図であり、エゼクタの外観および流体出口の配置位置を示すものである。
【図13】図11中下方向から見たエゼクタの矢視図である。
【図14】第2の実施の形態のエゼクタのシミュレーションモデルを示す図である。
【図15】第2の実施の形態のエゼクタのディフューザにおける空気の流れの解析結果を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10,10a エゼクタ
11,11a バイパス通路
12,12a 空気吸引室
13,13a 減圧室
14 連通路
15,15a ハウジング
16 スロットルバルブ
17,17a スロットルボデー
18 連通路
19,19a スロットルバルブ制御装置
20 流体入口
21 ノズル
22,22a ディフューザ
23 流体出口
24 第1チェックバルブ
25 第2チェックバルブ
26 吸引管
27 第1ディフューザ
28,28a 曲がり部
29 第2ディフューザ
30 連通路
【出願人】 【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所


【公開番号】 特開2008−45400(P2008−45400A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−218566(P2006−218566)