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【発明の名称】 熱機関および熱交換器
【発明者】 【氏名】竹内 誠

【要約】 【課題】熱交換器の製造に困難を伴うことなく、また組み付け作業性の悪化を伴うことなく、熱交換器の熱交換効率を高める。

【解決手段】作動ガスの流れに沿って配置した加熱器11,再生器13および冷却器15に対し、高温側,低温側各ピストン55,57の移動によって作動ガスを流通させて、加熱器11側の高温作動空間65および冷却器15側の低温作動空間67の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関。この熱機関の加熱器11および冷却器15は、複数の板材17,19,21,23を互いに接触させた状態で積層した積層体25とし、各板材の貫通孔17c,19c,21c,23c,21f,23fによって熱媒流体通路27,29を形成する。一方、互いに隣接する板材相互は重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分によって作動ガス通路37,45,53を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器,再生器および冷却器を作動ガスの流れに沿って並べて配置し、これら加熱器,再生器および冷却器に対し、ピストンの移動によって前記作動ガスを流通させて熱媒流体と熱交換を行い、前記加熱器側の高温作動空間および前記冷却器側の低温作動空間の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関において、前記加熱器と冷却器の少なくともいずれか一方を、板材を互いに接触した状態で複数枚積層した積層体で構成し、この積層体に、前記各板材の板厚方向に向けて貫通して設けた貫通孔によって構成されて前記作動ガスと前記熱媒流体とのいずれか一方が流通する第1の流体通路を設け、前記互いに隣接する板材相互は、前記板材の前記貫通孔の周囲の環状部分を除き重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分によって前記作動ガスと前記熱媒流体とのいずれか他方を前記第1の流体通路に対し交差する方向に流通させる第2の流体通路を形成することを特徴とする熱機関。
【請求項2】
前記板材相互間の重なり合わない部分によって形成される前記第2の流体通路は、前記互いに隣接する板材相互間で、一方の板材に対し他方の板材が存在しない前記一方の板材に接する空間および、前記他方の板材に対し前記一方の板材が存在しない前記他方の板材に接する空間と、前記両空間相互を連通する連通部とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱機関。
【請求項3】
前記連通部は、前記一方の板材と前記他方の板材とのそれぞれの縁部が離間して形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の熱機関。
【請求項4】
前記板材相互間の重なり合わない部分によって形成される前記第2の流体通路は、前記板材の前記貫通孔の周囲の環状部分を除く他の部位の板厚を前記環状部分に比べて薄くして薄肉部を設け、この薄肉部と薄肉部を設けた部分に隣接する他の板材との間に形成されていることを特徴とする熱機関。
【請求項5】
前記板材の薄肉部をエッチングで形成することを特徴とする請求項4に記載の熱機関。
【請求項6】
前記第1の流体通路は、前記各板材に設けた貫通孔に前記積層体の積層方向に沿って挿入した円筒部材で構成したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項7】
前記積層する各板材相互を拡散接合で接合固定したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項8】
前記第2の流体通路は、作動ガスが流れる作動ガス通路であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項9】
作動ガスと熱媒流体との間で熱交換を行う熱交換器において、板材を互いに接触した状態で複数枚積層した積層体で構成し、この積層体に、前記各板材の板厚方向に向けて貫通して設けた貫通孔によって構成されて前記作動ガスと前記熱媒流体とのいずれか一方が流通する第1の流体通路を設け、前記互いに隣接する板材相互は、前記板材の前記貫通孔の周囲の環状部分を除き重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分によって前記作動ガスと前記熱媒流体とのいずれか他方を前記第1の流体通路に対し交差する方向に流通させる第2の流体通路を形成したことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作動ガスの流れに沿って並べて配置した加熱器,再生器および冷却器に対し、ピストンの移動によって作動ガスを流通させて、加熱器側の高温作動空間および冷却器側の低温作動空間の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関および熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1には、加熱器,再生器および冷却器の配列方向両側に、互いに対向する方向に所定の位相差をもって往復移動する一対のピストンを設けてスターリングサイクルを構成した熱機関が記載されている。
【0003】
このような従来のスターリングサイクルに使用している加熱器や冷却器からなる熱交換器は、熱媒流体が流通する伝熱管が貫通して設けられ、かつその周囲に複数のプレートフィンを設けた構成、つまりプレートフィンに伝熱管を貫通させる構成とされ、これら伝熱管の周囲でかつプレートフィン相互間を作動ガスが流れることで、作動ガスと熱媒流体との間で熱交換がなされる。
【特許文献1】特開2006−118430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来の熱交換器にあっては、プレートフィンの板厚が、プレス成形性を考慮して例えば0.15mm程度と極めて薄く、このためプレートフィン相互間に形成される作動ガスの流通空間が広くなりすぎて、圧縮比を高くする上で障害になるとともに、作動ガスが充分熱交換されずに通過する虞があって熱交換効率の低下を招く。
【0005】
これを避けるために、プレートフィンの板厚を厚くする、もしくはプレートフィンの枚数を増やすことが考えられるが、前者はプレートフィンに対するプレス成形性の悪化を招いて熱交換器の製造が困難となり、後者は枚数を増やすことで組み付け作業性の悪化を招く。
【0006】
特に、プレートフィンを等間隔に積層配置するために、従来では伝熱管が挿入される貫通孔の周縁を折り曲げ、この折り曲げ部の先端を隣接するプレートフィンに接触させることによって最小1.5mmの間隔を保持するようにしており、このような折り曲げ部の加工は、特に板厚が厚い場合や間隔が狭い場合には極めて煩雑であり、加工コストの上昇を招いている。
【0007】
そこで、本発明は、熱交換器の製造に困難を伴うことなく、また組み付け作業性の悪化を伴うことなく、熱交換器の熱交換効率を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加熱器,再生器および冷却器を作動ガスの流れに沿って並べて配置し、これら加熱器,再生器および冷却器に対し、ピストンの移動によって前記作動ガスを流通させて熱媒流体と熱交換を行い、前記加熱器側の高温作動空間および前記冷却器側の低温作動空間の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関において、前記加熱器と冷却器の少なくともいずれか一方を、板材を互いに接触した状態で複数枚積層した積層体で構成し、この積層体に、前記各板材の板厚方向に向けて貫通して設けた貫通孔によって構成されて前記作動ガスと前記熱媒流体とのいずれか一方が流通する第1の流体通路を設け、前記互いに隣接する板材相互は、前記板材の前記貫通孔の周囲の環状部分を除き重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分によって前記作動ガスと前記熱媒流体とのいずれか他方を前記第1の流体通路に対し交差する方向に流通させる第2の流体通路を形成することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板材の貫通孔の周囲の環状部分を除く、互いに隣接する板材相互間の重なり合わない部分を利用して流体の通路としており、この通路を例えば作動ガスが流れるようにすることで、作動ガスの流通空間が広くなりすぎることを防止し、これにより圧縮比を高くできるとともに、作動ガスを充分熱交換された状態で通過させることができ、熱交換効率を高めることができる。
【0010】
また、熱交換器は、貫通孔を設けた板材を重なり合わない部分を形成するよう単に積層するものであるから、プレス成形時のような成形性の悪化を回避して熱交換器の製造が容易になるとともに、組み付け作業性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の施形態に係わる熱交換器を備える熱機関の断面図である。この熱機関は、ハウジング本体1の図1中で上部開口にカバー3を、同下部開口にクランクケース5をそれぞれ設けてハウジング7を構成している。
【0013】
ハウジング本体1の図1中で上下方向ほぼ中央の熱交換器ハウジング部1aには熱交換器ユニット9を収容固定しており、熱交換器ユニット9は、図2中で上部から加熱器11,再生器13および冷却器15を作動ガスの流れに沿って並べて配置してある。加熱器11と冷却器15は熱交換器を構成しており、これらは互いに同一の構造を備えているので、ここでは熱交換器11,15としてまとめて説明する。
【0014】
この熱交換器11,15は、従来のようなプレートフィンを所定間隔をおいて複数積層してこれらに伝熱管を貫通させた構成とは異なり、図2(a),(d)で示す板材17,19と、図2(b),(c)で示す板材21,23を、所定の厚さを備えた大略2種の板材として複数枚積層し、図3に示すような積層体25としている。この際、図3に示すように、板材17と板材23とを互いに同一面上に配置するとともに、板材19と板材21とを互いに同一面上に配置し、これら板材17,23と板材19,21とを板厚方向に交互に配置して、互いの接触部を拡散接合により接合固定する。
【0015】
なお、図3(a)は図2のA−A線断面に相当する断面図、図3(b)は図2のB−B線断面に相当する断面図である。
【0016】
図2(a)に示す板材17と図2(d)に示す板材19は、同一形状のものを向きを変えて配置しているだけであり、これら各板材17,19一方の側縁17a,19aに半円弧形状の凸部17b,19bをそれぞれ1列に複数設けるとともに、各凸部17b,19bには円形の貫通孔17c,19cをそれぞれ設けている。
【0017】
そして、この貫通孔17cの中心より前記した一方の側縁17aを図2(a)中で左側にずれた位置とし、同様に貫通孔19cの中心より前記した一方の側縁19aを図2(d)中で右側にずれた位置としている。
【0018】
また、図2(b)に示す板材21と図2(c)に示す板材23は、同一形状のものを向きを変えて配置しているだけであり、板材21の板材17側の一方の側縁21aおよび、板材23の板材19側の一方の側縁23aには、半円弧形状の凸部21b,23bをそれぞれ1列に複数設けるとともに、各凸部21b,23bには円形の貫通孔21c,23cをそれぞれ設けている。
【0019】
ここで、図3(a)に示すように、板材17と板材21とを互いに重ね合わせる際に、互いに同形状の各貫通孔17c,21cの中心を整合させるとともに、板材19と板材23とを互いに重ね合わせる際に、互いに同形状の各貫通孔19c,23cの中心を整合させる。
【0020】
このように、板材17,21を交互に重ね合わせることで、貫通孔17c,19cが連続した一つの連通路となり、同様にして板材19,23を交互に重ね合わせることで、貫通孔19c,23cが連続した一つの連通路となり、これら各連通路が第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路27を構成する。
【0021】
また、図2に示すように板材21,23の互いに対向する側の他方の側縁21d,23dには、互いに対向する側に突出する凸部21e,23eをそれぞれ1列に複数設けるとともに、各凸部21e,23eには円形の貫通孔21f,23fをそれぞれ設けている。
【0022】
そして、この貫通孔21fの中心より前記した他方の側縁21dを図2(b)中で左側にずれた位置とし、同様に貫通孔23fの中心より前記した他方の側縁23dを図2(c)中で右側にずれた位置とする。
【0023】
ここで、図3(b)に示すように、板材21と板材23とを互いに重ね合わせる際に、互いに同形状の各貫通孔21f,23fの中心を整合させる。このように、板材21,23を交互に重ね合わせることで、貫通孔21f,23fが連続した一つの連通路となり、この連通路が第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路29を構成する。
【0024】
上記した熱媒流体通路27,29の図1中で紙面に直交する方向の両端は熱交換器ハウジング部1aから外部に開口し、この開口の一方に図示しない熱媒流体供給源の供給側を接続し、他の開口に熱媒流体を回収する回収側を接続している。
【0025】
一方、図3(a)のように熱媒流体通路27を構成する各貫通孔17c,21cの周囲の環状部分30は、板材17,21相互が互いに接触しており、この接触している環状部分30を除き、板材17と板材21とは図3(b)のように重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分では、一方の板材17の他方の板材21側の空間31と、他方の板材21の一方の板材17側の空間33とが、連通部35によって連通して作動ガスが流れる第2の流体通路としての作動ガス通路37となる。
【0026】
すなわち、第2の流体通路は、互いに隣接する板材相互間で、一方の板材に対し他方の板材が存在しない前記一方の板材に接する空間および、前記他方の板材に対し前記一方の板材が存在しない前記他方の板材に接する空間と、前記両空間相互を連通する連通部とで構成されていることになる。
【0027】
上記した連通部35は、前述したように板材17の側縁17aを貫通孔17cの中心に対してずらし、また板材21の側縁21aを貫通孔21cの中心に対してずらすことで、側縁17a,21a相互間に隙間が形成されることで構成している。
【0028】
図4は、板材21の上に板材17を重ねた状態の部分斜視図であり、板材17の側縁17aと板材21の側縁21aとの間の隙間(連通部35)を示している。この連通部35を介して、板材17の図4中で紙面裏側の空間31と、板材21の図4中で紙面表側の空間33とが連通部35を通して互いに連通して作動ガス通路37を形成する。
【0029】
同様にして、図3(a)のように熱媒流体通路27を構成する各貫通孔19c,23cの周囲の環状部分38を除き、板材19と板材23とは図3(b)のように重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分では、一方の板材19の他方の板材23側の空間39と、他方の板材23の一方の板材19側の空間41とが、連通部43によって連通して作動ガスが流れる第2の流体通路としての作動ガス通路45となる。
【0030】
さらに、図3(b)のように熱媒流体通路29を構成する各貫通孔21f,23fの周囲の環状部分46を除き、板材21と板材23とは図3(a)のように重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分では、一方の板材21の他方の板材23側の空間47と、他方の板材23の一方の板材22側の空間49とが、連通部51によって連通して作動ガスが流れる第2の流体通路としての作動ガス通路53となる。
【0031】
そして、これらの各作動ガス通路37,45,53は互いに連通した一つの作動ガス空間を構成しており、この作動ガス空間を流れる作動ガスと、前記した熱媒流体通路27,29を流れる熱媒流体とが互いに熱交換する。
【0032】
上記したような各熱交換器11,15相互間に位置する再生器13は、金網などを図1中で上下方向に複数積層して構成している。
【0033】
図1に示す加熱器11の上部側のハウジング本体1の高温側シリンダ部1b内には高温側ピストン55を、冷却器15の下部側のハウジング本体1の低温側シリンダ部1c内には低温側ピストン57を、それぞれ図1中で上下方向に移動可能に収容している。
【0034】
高温側ピストン55は、熱交換器ユニット9および低温側ピストン57に対して相対移動可能に貫通するピストンロッド59を介してクランク軸61のクランクピン61aに連結し、一方低温側ピストン57は、2本のピストンロッド63を介してクランク軸61のクランクピン61bに連結している。このような高温側ピストン55と低温側ピストン57とは、往復移動する際の互いの位相差が例えば90度という所定の位相差となるようクランク軸61に連結している。
【0035】
なお、加熱器11および冷却器15におけるピストンロッド59が貫通する部分には、前記した熱媒流体通路27,29を設けないようにする。
【0036】
上記したハウジング7および高温側,低温側各ピストン55,57に囲まれた領域が、ヘリウムなどの作動ガスが密閉状態で封入される作動ガス空間であり、このうち加熱器11と高温側ピストン55との間が、加熱器11にて加熱された作動ガスが膨脹する高温作動空間65となり、冷却器15と低温側ピストン57との間が、冷却器15にて放熱された作動ガスが圧縮される低温作動空間67となる。この低温作動空間67と高温作動空間65の間で、互いに作動ガスを移動させて作動ガスの膨脹・圧縮を繰り返すことで、熱と動力との変換が行われる。
【0037】
上記した高温側ピストン55および低温側ピストン57は、高温作動空間65および低温作動空間67それぞれに対し作動ガスの容積変化をもたらすとともに、作動ガスの圧力変化を受けて動力を伝達するパワーピストンを構成している。
【0038】
なお、本熱機関におけるハウジング7は、高温側シリンダ部1bおよび低温側シリンダ部1cがいずれも円筒形状であるが、これら相互間に位置する熱交換器ユニット9を収容する熱交換器ハウジング部1aは、熱交換器ユニット9の形状に対応して平面視で四角形状とている。
【0039】
このように構成した熱機関では、作動ガスの圧力変化に基づく各ピストン55,57の往復運動をクランク軸61が回転運動として外部に取り出すことで、本スターリングサイクルはエンジンとなり、逆にクランク軸61に外部からモータなどの駆動手段によって回転させて各ピストン55,57を往復移動させることで、加熱器11や冷却器15の熱媒流体通路27,29を流れる熱媒流体を介して外部に温熱や冷熱を供給するヒートポンプや冷凍機となる。
【0040】
この際、本実施形態では、加熱器11および冷却器15を、従来のような薄肉のプレートフィンを所定間隔をおいて複数積層してこれらに伝熱管を貫通させた構成とは異なり、複数の板材17,21同士、板材19,23同士、板材21,23同士を、それぞれを互いに接触させた状態で積層して積層体25を構成し、各板材17,21を貫通する貫通孔17c,21cおよび各板材19,23を貫通する貫通孔19c,23cにより熱媒流体通路27を形成するとともに、各板材21,23を貫通する貫通孔21f,23fにより熱媒流体通路29を形成する一方、隣接する板材、例えば板材17,21相互については、板材17,21の貫通孔17c,21cの周囲の環状部分30を除き重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分によって作動ガス通路37を形成している。
【0041】
ここで、上記した作動ガス通路37,45,53は、板材相互間の重なり合わない部分を形成することで板厚分の空間によって形成できるので、従来の熱交換器のように、プレートフィン相互間に形成される作動ガスの流通空間が広くなりすぎることはなく、したがって圧縮比を高くすることは容易であり、また作動ガスを充分熱交換させた状態で通過させることが可能であり、熱交換効率を高めることができる。
【0042】
また、従来のプレートフィンは、熱伝導度の高い銅やアルミの薄板を通常使用するが、本実施形態の板材17,19,21,23はプレートフィンよりも充分厚いものであるから、熱容量が大きくなり、したがって、銅やアルミなどより熱伝導度の低い例えば安価な鉄系の材料も使用でき、材料コストを下げることができる。
【0043】
また、本加熱器11および冷却器15からなる熱交換器は、貫通孔17c,19c,21c,23c,21f,23fを設けた板材17,19,21,23を単に積層するものであるから、プレス形成するときのような成形性の悪化を回避して製造が容易にとなるとともに、組み付け作業性も向上する。
【0044】
図5は、上記した第1の実施形態の変形例を示す、前記図3に対応する断面図である。この変形例は、図3に示す各板材17,19,21,23における互いに連通している貫通孔17c,21c、貫通孔19c,23c、貫通孔21f,23fに、それぞれ円筒部材としての管材69を挿入固定し、この管材69の内部を、第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路71としている。その他の構成は、前記図3に示した実施形態と同様であり、図3の実施形態と同一構成要素には同一符号を付してある。
【0045】
上記した変形例においては、熱媒流体通路71を、貫通孔17c,21c、貫通孔19c,23c、貫通孔21f,23fにそれぞれ挿入した管材69により構成しているので、熱媒流体の板材17,19,21,23相互間への漏れを防止して熱交換効率をより高めることができ、熱交換器としての信頼性を高めることができる。また、管材69を使用する際には、板材17,19,21,23相互を接合固定する必要がなく、単に接触させた状態でもよい。
【0046】
図6(a)は、本発明の第2の実施形態を示す、熱交換器である加熱器11および冷却器15に使用する板材73の平面図である。ここでの熱交換器は、1種の板材73を向きを変えて交互に積層して構成している。
【0047】
板材73は、図6(a)に示すように、一方の側縁73aに沿って貫通孔73bを1列に複数形成し、この各貫通孔73b相互間の位置にて側縁73aと反対側に突出するほぼ三角形状の凸部73cを設け、さらにこの凸部73cの先端に環状部73dを設けて、該環状部73d内が貫通孔73eとなっている。これら各貫通孔73b、73dは互いに同一形状である。
【0048】
そして、図6(a)に示した板材73を紙面上で180度回転させて図6(b)に二点鎖線で示す板材75と、図6(a)に示した板材73とを重ね合わせる。その際、板材73の貫通孔73bと、貫通孔73eに対応する板材75の環状部75dにおける貫通孔75eとを整合させるとともに、板材73の貫通孔73eと、板材75の一方の側縁75aに沿って設けてある、貫通孔73bに対応する貫通孔75bとを整合させる。
【0049】
このようにして、板材73と板材75とを交互に重ね合わせて積層体76を構成することで、図6のC−C断面図である図7(a)に示すように、貫通孔73b,75eが連続した一つの連通路となり、同様にして貫通孔73e,75bが連続した一つの連通路となり、これら各連通路が第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路79,81を構成する。
【0050】
一方、熱媒流体通路79を構成する各貫通孔73b,75eの周囲の環状部分82および、熱媒流体通路81を構成する各貫通孔73e,75bの周囲の環状部分84は、図7(a)に示すように板材73,75相互が接触し、この接触している環状部分82,84を除き、図6のD−D断面図である図7(b)のように板材73と板材75とは重なり合わない部分を備え、この重なり合わない部分では、一方の板材73の他方の板材75側の空間83と、他方の板材75の一方の板材17側の空間85とが、連通部87によって連通して作動ガスが流れる第2の流体通路としての作動ガス通路89となる。
【0051】
また、このとき、板材73の凸部73cにおける傾斜縁部73fと、板材75の凸部75cにおける傾斜縁部75fとの間には隙間を設けてあり、この隙間が上記した連通部87となる。
【0052】
図8は、板材73の上に板材75を重ね合わせた状態の斜視図であり、板材73の傾斜縁部73fと板材75の傾斜縁部75fとの間の隙間(連通部87)を示している。この連通部87を介して、板材73の図8中で紙面表側の空間83と、板材75の図8中で紙面裏側の空間85とが連通部87を通して互いに連通して作動ガス通路89を形成する。
【0053】
上記した作動ガス通路89を流れる作動ガスと、前記した熱媒流体通路79,81を流れる熱媒流体とが互いに熱交換する。
【0054】
上記した第2の実施形態においても、作動ガス通路89は板材相互間の重なり合わない部分を形成することで、板厚分の空間によって形成でき、したがって第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態の変形例である図5に示したものと同様に、板材73,75における互いに連通している貫通孔73b,75e、貫通孔73e,75bに、それぞれ円筒部材としての管材69を挿入固定し、この管材69の内部を、第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路71としてもよい。
【0056】
図9は、本発明の第3の実施形態を示す、熱交換器である加熱器11および冷却器15に使用する板材730の平面図である。ここでの熱交換器は、前記図6に示した第2の実施形態における板材73に代えて1種の板材730を向きを変えて交互に積層して構成している。
【0057】
板材730の板材73と異なる点は、図6の凸部73cを山形形状としているのに対し、図9の板材730は凸部730cの両側端部が互いに平行であり、かつ凸部730c相互間の縁部730fが凸部730cの配列方向に対して平行としている点である。
【0058】
本実施形態においても、実線で示す板材730と、この板材730を紙面上で180度回転させた状態の二点鎖線で示す板材750とを互いに重ね合わせる。その際、板材730の貫通孔730bと、貫通孔730eに対応する板材750の環状部750dにおける貫通孔750eとを整合させるとともに、板材730の環状部730dにおける貫通孔730eと、板材750の一方の側縁750aに沿って設けてある、貫通孔730bに対応する貫通孔750bとを整合させる。
【0059】
このようにして、板材730と板材750とを交互に重ね合わせることで、貫通孔730b,750eが連続した一つの連通路となり、同様にして貫通孔730e,750bが連続した一つの連通路となり、これら各連通路が第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路790,810を構成する。
【0060】
そして、板材730と板材750との互いに対向する縁部730f,750f相互間に、図6の連通路87に相当する連通路870が形成される。
【0061】
上記した第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、作動ガス通路は板材相互間の重なり合わない部分を形成することで、板厚分の空間によって形成でき、したがって第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
図10(a)は本発明の第4の実施形態に係わる加熱器11および冷却器15の一部を示す斜視図、図10(b)は図10(a)のE−E断面図である。この加熱器11および冷却器15においても、従来のようなプレートフィンを所定間隔をおいて複数積層してこれらに伝熱管を貫通させた構成とは異なり、複数の板材170を互いに接触した状態で積層して積層体190としている。
【0063】
各板材170には貫通孔170aをそれぞれ複数設け、これら各板材170の貫通孔170a相互を整合させて第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路210を複数形成している。熱媒流体通路210の図1中で紙面に直交する方向の両端は熱交換器ハウジング部1aから外部に開口し、この開口の一方に図示しない熱媒流体供給源の供給側を接続し、他の開口に熱媒流体を回収する回収側を接続している。
【0064】
また、上記した各板材170は、貫通孔170aの周囲の環状部分170bを除く他の部位の板厚を薄くして薄肉部170cを形成している。この薄肉部170cは、板材170の一方の面(図10中で上側の面)に対し、上記した環状部分170bにマスキングした状態で、エッチング加工することで形成している。
【0065】
そして、各板材170を、薄肉部170cを同一方向(図10中で上方)に向かせた状態で、互いに重ね合わせて拡散接合により接合固定して積層体190とする。このような積層体190は、エッチングにより薄肉化した薄肉部170cと、薄肉部170cに隣接する他の板材170との間の空間が、第2の流体通路となる前記した作動ガスが流れる作動ガス通路230となる。この作動ガス通路230を流れる作動ガスと、前記した熱媒流体通路210を流れる熱媒流体とが互いに熱交換する。
【0066】
ここで、上記した作動ガス通路230は、薄肉部170cの板厚をエッチング加工する過程で適宜調整することができるので、その通路面積を効率的な熱交換を行えるように容易に設定可能であり、したがって従来の熱交換器のように、プレートフィン相互間に形成される作動ガスの流通空間が広くなりすぎることはなく、圧縮比を高くすることが容易であり、また作動ガスを充分熱交換させた状態で通過させることが可能であり、熱交換効率を高めることができる。
【0067】
また、従来のプレートフィンは、熱伝導度の高い銅やアルミの薄板を通常使用するが、本実施形態の板材170はプレートフィンよりも充分厚いものであるから、熱容量が大きくなり、したがって、銅やアルミなどより熱伝導度の低い例えば安価な鉄系の材料も使用でき、材料コストを下げることができる。
【0068】
また、本加熱器11および冷却器15からなる熱交換器は、貫通孔170aおよび薄肉部170cを設けた板材170を単に積層するものであるから、プレス形成するときのような成形性の悪化を回避して製造が容易にとなるとともに、組み付け作業性も向上する。
【0069】
図11は、上記した第4の実施形態の変形例であり、前記図5に示したものと同様に、図10の実施形態の各板材170における互いに連通している貫通孔170aに、円筒部材としての管材69を挿入固定し、この管材69の内部を、第1の流体通路となる熱媒流体が流れる熱媒流体通路71としている。その他の構成は、前記図10に示した実施形態と同様であり、図10の実施形態と同一構成要素には同一符号を付してある。
【0070】
なお、上記した各実施形態では、板材相互を拡散接合により接合固定するものとしているが、例えばロウ付けにより行ってもよく、また第4の実施形態における薄肉部170cを形成する際のエッチング加工に代えて、サンドブラスト加工や放電加工を行ってもよい。
【0071】
また、各実施形態のような積層した熱交換器は、加熱器11と冷却器15のいずれか一方にのみ適用してもよい。さらに、熱媒流体通路27,29,79,81,210,71としている通路に作動ガスを流し、作動ガス通路37,45,53,89,230としている通路に熱媒流体を流してもよいが、この場合には複数の板材を図1中で上下方向に積層した形態となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の施形態に係わる熱交換器を備える熱機関の断面図である。
【図2】図1の熱交換器に使用する各板材の平面図である。
【図3】(a)は図2のA−A線断面に相当する断面図、(b)は図2のB−B線断面に相当する断面図である。
【図4】板材相互を重ねた状態の部分斜視図である。
【図5】第1の実施形態の変形例を示す、図3に対応する断面図である。
【図6】(a)は、本発明の第2の実施形態を示す熱交換器に使用する板材の平面図、(b)は板材相互を重ねた状態の平面図である。
【図7】(a)は図6のC−C断面図、(b)は図6のD−D断面図である。
【図8】第2の実施形態による板材相互を重ねた状態の斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係わる、図6(b)に対応する平面図である。
【図10】(a)は本発明の第4の実施形態に係わる熱交換器の一部を示す斜視図、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図11】第4の実施形態の変形例を示す、図10(b)に対応する熱交換器の断面図である。
【符号の説明】
【0073】
11 加熱器(熱交換器)
13 再生器
15 冷却器(熱交換器)
17,19,21,23,73,75,170,730,750 板材
17c,19c,21c,21f,23c,23f,73b,73e,75b,75e,170a,730b,730e,750b,750e 板材の貫通孔
25,76,190 積層体
27,29,71,79,81,210 熱媒流体通路(第1の流体通路)
30,38,46,82,84,170b 板材の貫通孔周囲の環状部分
37,45,53,89,230 作動ガス通路(第2の流体通路)
55 高温側ピストン(ピストン)
57 低温側ピストン(ピストン)
65 高温作動空間
67 低温作動空間
69 管材(円筒部材)
170c 板材の薄肉部
【出願人】 【識別番号】394009935
【氏名又は名称】株式会社サクション瓦斯機関製作所
【出願日】 平成19年3月13日(2007.3.13)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−223623(P2008−223623A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−63602(P2007−63602)