トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの

【発明の名称】 熱機関
【発明者】 【氏名】竹内 誠

【要約】 【課題】背圧空間の容積を大きくすることなく、背圧空間の圧力変化を小さく抑える。

【解決手段】互いに並列配置した2組のスターリングサイクルA,Bは、加熱器11,再生器13,冷却器15および高温側,低温側各ピストン17,19を備える。各高温側ピストン17の背圧空間31,33相互は一体化してバッファ空間35を形成し、各低温側ピストン19の背圧空間37,39相互は一体化してバッファ空間41を形成する。2組のスターリングサイクルA,B相互間での各高温側ピストン17の往復動作時の位相差を180度に設定するとともに、各低温側ピストン19の往復動作時の位相差を180度に設定することで、各スターリングサイクルA,Bの作動時におけるバッファ空間35,41の容積を常に一定とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器,再生器および冷却器を作動ガスの流れに沿って並べて配置し、これら加熱器,再生器および冷却器の配列方向両側に、互いに対向する方向に所定の位相差をもって往復移動する一対のピストンを設け、前記加熱器と前記一方のピストンとの間の空間および、前記冷却器と前記他方のピストンとの間の空間の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関において、前記スターリングサイクルを構成する部分を複数組並列して配置し、これら各スターリングサイクルにおける前記各一方のピストンの前記各加熱器と反対側の各背圧空間を互いに連通して一体化したバッファ空間を形成するとともに、前記各他方のピストンの前記各冷却器と反対側の各背圧空間を互いに連通して一体化したバッファ空間を形成し、前記複数のスターリングサイクルの作動時における前記各バッファ空間の容積がそれぞれ一定となるように、前記各スターリングサイクル相互間での前記ピストンの往復動作の位相差を設定したことを特徴とする熱機関。
【請求項2】
前記スターリングサイクルを2組並列して配置し、これら各スターリングサイクル相互間での前記各一方のピストンの往復動作の位相差および、前記各他方のピストンの往復動作の位相差を、それぞれ180度としたことを特徴とする請求項1に記載の熱機関。
【請求項3】
前記スターリングサイクルを3組並列して配置し、これら各スターリングサイクル相互間での前記各一方のピストンの往復動作の位相差および、前記各他方のピストンの往復動作の位相差を、それぞれ120度としたことを特徴とする請求項1に記載の熱機関。
【請求項4】
前記各バッファ空間相互を連通させたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱機関。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作動ガスの流れに沿って並べて配置した加熱器,再生器および冷却器の配列方向両側に、互いに対向する方向に所定の位相差をもって往復移動する一対のピストンを設け、加熱器と一方のピストンとの間の空間および、冷却器と他方のピストンとの間の空間の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱器,再生器および冷却器の配列方向両側に、互いに対向する方向に所定の位相差をもって往復移動する一対のピストンを設けてスターリングサイクルを構成する熱機関としては、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【特許文献1】特開2006−118430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した従来のスターリングサイクルは通常α型と呼ばれているが、このようなα型のスターリングサイクルでは、一対のピストンの加熱器,冷却器とそれぞれ反対側に背圧空間を設け、この背圧空間を密閉してバッファ空間を形成することがある。
【0004】
ところが、このようなバッファ空間は、ピストンの移動によって容積変化が発生し、これに伴う圧力変化によって動力損失を招くことになる。このような動力損失を避けるためには、背圧空間の容積が充分大きくなるような大型のバッファタンクを設けることで、圧力変化を小さく抑えることが可能であるが、その場合には、熱機関全体が大型化し、コストアップを招くものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、背圧空間の容積を大きくすることなく、背圧空間の圧力変化を小さく抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、加熱器,再生器および冷却器を作動ガスの流れに沿って並べて配置し、これら加熱器,再生器および冷却器の配列方向両側に、互いに対向する方向に所定の位相差をもって往復移動する一対のピストンを設け、前記加熱器と前記一方のピストンとの間の空間および、前記冷却器と前記他方のピストンとの間の空間の容積変化によりスターリングサイクルを構成する熱機関において、前記スターリングサイクルを構成する部分を複数組並列して配置し、これら各スターリングサイクルにおける前記各一方のピストンの前記各加熱器と反対側の各背圧空間を互いに連通して一体化したバッファ空間を形成するとともに、前記各他方のピストンの前記各冷却器と反対側の各背圧空間を互いに連通して一体化したバッファ空間を形成し、前記複数のスターリングサイクルの作動時における前記各バッファ空間の容積がそれぞれ一定となるように、前記各スターリングサイクル相互間での前記ピストンの往復動作の位相差を設定したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スターリングサイクルの背圧空間の容積変化を防止して圧力変化の発生を抑え、動力損失を抑えることができる。この際、背圧空間を大型化することなく圧力変化を抑えており、したがって熱機関全体として大型化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態を示す熱機関の断面図である。この熱機関は、ハウジング1の図中で上部にカバー3を、同下部にクランクケース5をそれぞれ設けてあり、該ハウジング1内に2組のスターリングサイクルを構成する部分A,B(以下単にスターリングサイクルA,Bとする)を、隔壁7を隔てて図1中で左右方向に並列して配置している。
【0010】
上記した2組のスターリングサイクルA,Bのそれぞれの構成要素自体は、互いに同一であるので、同一部分の構成要素には同一符号を付して以下に説明する。
【0011】
各スターリングサイクルA,Bは、上下方向ほぼ中央に熱交換器ユニット9を配置しており、この熱交換器ユニット9は、図1中で上部から加熱器11,再生器13および冷却器15を作動ガスの流れに沿って並べて配置している。
【0012】
加熱器11は、図1中で紙面に直交する方向に延長する伝熱管11aを備え、この伝熱管11a内には高温の伝熱流体が流れ、その周囲には複数のフィンが装着されている。冷却器15も同様に、図1中で紙面に直交する方向に延長する伝熱管15aを備え、この伝熱管15a内には低温の伝熱流体が流れ、その周囲には複数のフィンが装着されている。一方、再生器13は、金網などを積層して構成されている。
【0013】
加熱器11の上部側のハウジング1内には、高温側ピストン17を、冷却器15の下部側のハウジング1内には低温側ピストン19を、それぞれ図1中で上下方向に移動可能に収容している。
【0014】
高温側ピストン17は、熱交換器ユニット9および低温側ピストン19に対して相対移動可能に貫通するピストンロッド21を介してクランク軸23のクランクピン23aに連結し、一方低温側ピストン19は、2本のピストンロッド25を介してクランク軸23のクランクピン23bに連結している。
【0015】
このような高温側ピストン17と低温側ピストン19とは、往復移動する際の互いの位相差が例えば90度という所定の位相差となるようクランク軸53に連結している。
【0016】
上記した高温側ピストン17および低温側ピストン19は、後述する高温空間27および低温空間29それぞれに対し作動ガスの容積変化をもたらすとともに、作動ガスの圧力変化を受けて動力を伝達するパワーピストンを構成している。
【0017】
上記したハウジング1,各ピストン17,19および隔壁7に囲まれた領域が、ヘリウムなどの作動ガスが密閉状態で封入される作動ガス空間となる。
【0018】
加熱器11と高温側ピストン17との間には、加熱器11にて加熱された作動ガスが膨脹する前記した高温空間27が、冷却器15と低温側ピストン19との間には、冷却器15にて放熱された作動ガスが圧縮される前記した低温空間29がそれぞれ形成されている。
【0019】
この高温空間27と低温空間29の間で、互いに作動ガスを移動させて作動ガスの膨脹・圧縮を繰り返すことで、熱と動力との変換が行われる。
【0020】
ここで、本実施形態では、上記した2組のスターリングサイクルA,Bにおける一方のピストンとなる高温側ピストン17の高温空間27,加熱器11と反対側に高温側背圧空間31,33を形成し、これら各高温側背圧空間31,33相互を連通して一体化し、一つのバッファ空間35を形成している。このバッファ空間35は、前記したカバー3によって形成されている。
【0021】
また、2組のスターリングサイクルA,Bにおける他方のピストンとなる低温側ピストン19の低温空間29,冷却器15と反対側に低温側背圧空間37,39を形成し、これら各低温側背圧空間37,39相互を連通して一体化し、一つのバッファ空間41を形成している。なお、このバッファ空間41は、前記したクランクケース5によって形成され、クランク軸23を収容するクランク室に相当する。
【0022】
このようなバッファ空間35,41は、通常スターリングサイクルの運転時に圧力変動する高温空間27や低温空間29内の圧力の範囲内となるよう設定しており、ここでは、これら各バッファ空間35,41相互を、連結管43によって連通接続している。
【0023】
また、上記した2組のスターリングサイクルA,Bにおける各高温側ピストン17同士の往復動作での互いの位相差を180度とし、同様にして各低温側ピストン19同士の往復動作での互いの位相差を180度としている。
【0024】
すなわち、2組のスターリングサイクルA,Bにおいて、高温側ピストン17と低温側ピストン19とが互いに90度の位相差で往復移動し、かつ2組のスターリングサイクルA,B相互間では、各高温側ピストン17同士、および各低温側ピストン19同士が、それぞれ互いに180度の位相差で往復移動するように、これら各ピストン17,19をクランク軸23に連結している。
【0025】
なお、本熱機関におけるハウジング1は、高温側ピストン17および低温側ピストン19が移動する部分がいずれも円筒形状であるが、これら相互間に位置する熱交換器ユニット9を収容する部分は、熱交換器ユニット9の形状に対応して平面視で四角形状としている。
【0026】
このように構成した熱機関では、作動ガスの圧力変化に基づく各ピストン17,19の往復運動をクランク軸23が回転運動として外部に取り出すことで、本スターリングサイクルはエンジンとなり、逆にクランク軸23に外部からモータなどの駆動手段によって回転させて各ピストン17,19を往復移動させることで、加熱器11および冷却器15をそれぞれ貫通する伝熱管11aおよび15a内を流れる伝熱流体を介して外部に温熱や冷熱を供給するヒートポンプや冷凍機となる。
【0027】
この際、本実施形態では、2組のスターリングサイクルA,Bにおける背圧空間31,33同士を一体化して密閉したバッファ空間35を形成するとともに、背圧空間37,39同士を一体化して密閉したバッファ空間41を形成している。
【0028】
また、本実施形態では、2組のスターリングサイクルA,Bにおける各高温側ピストン17同士の往復動作での互いの位相差を180度とし、同様にして各低温側ピストン19同士の往復動作での互いの位相差を180度としている。
【0029】
つまり、図1のようにスターリングサイクルAの高温側ピストン17が図1中で下端部に位置しているときには、スターリングサイクルBの高温側ピストン17が図1中で上端部に位置し、図1とは逆にスターリングサイクルAの高温側ピストン17が図1中で上端部に位置しているときには、スターリングサイクルBの高温側ピストン17が図1中で下端部に位置している。
【0030】
このため、スターリングサイクルAの高温側ピストン17が、図1中で下端部に位置しているとき(スターリングサイクルBの高温側ピストン17は図1中で上端部に位置している)と上端部に位置しているとき(スターリングサイクルBの高温側ピストン17は図1中で下端部に位置している)とでは、背圧空間31,33の各容積を合わせたバッファ空間35の容積に変化はなく一定であり、また各高温側ピストン17が上端部と下端部とを移動する過程においてもバッファ空間35の容積は一定であり、したがってスターリングサイクルが動作している間はバッファ空間35の容積が常に一定となる。
【0031】
同様にして、スターリングサイクルAの低温側ピストン19が図1中で下端部に位置しているときには、スターリングサイクルBの低温側ピストン19が図1中で上端部に位置し、逆にスターリングサイクルAの低温側ピストン19が図1中で上端部に位置しているときには、スターリングサイクルBの低温側ピストン19が図1中で下端部に位置しており、これら各低温側ピストン19相互の往復移動時での位置関係は前記した各高温側ピストン17相互の位置関係と同様となるので、バッファ空間41についても、上記したバッファ空間35と同様に、スターリングサイクルが動作している間は容積が常に一定となる。
【0032】
以上より、本実施形態においては、スターリングサイクルA,Bの運転時に、バッファ空間39の容積が一定であり、またバッファ空間41の容積も一定であるので、各バッファ空間39,41を密閉しても、バッファ空間39,41の容積変化を防止して圧力変化の発生を抑え、動力損失を抑えることができる。この際、バッファ空間39,41の容積を大型化することなく、圧力変化を抑えることが可能であり、したがって熱機関全体として大型化を防止することができる。
【0033】
また、バッファ空間35,41相互を連結管43によって連通接続しているので、例えばこれら各バッファ空間35,41のいずれかにガス漏れなどが発生して、バッファ空間35,41相互間で圧力差が発生するような場合には、連結管43によって該圧力差を解消して均等化することができ、安定した運転が可能となる。
【0034】
なお、上記した実施形態では2組のスターリングサイクルA,Bを並列配置しているが、図2に示すように、3組のスターリングサイクルA,B,Cを並列配置してもよい。
【0035】
この場合にも、3組のスターリングサイクルA,B,Cにおける一方のピストンとなる各高温側ピストン17の高温空間27と反対側の高温側背圧空間31,33,34相互を連通して一体化し、一つのバッファ空間35を形成するとともに、3組のスターリングサイクルA,B,Cにおける他方のピストンとなる各低温側ピストン19の低温空間29と反対側の低温側背圧空間37,39,40相互を連通して一体化し、一つのバッファ空間41を形成する。
【0036】
そして、3組のスターリングサイクルA,B,Cにおける各高温側ピストン17同士の往復動作での互いの位相差を120度とし、同様にして各低温側ピストン19同士の往復動作での互いの位相差を120度とする。
【0037】
これにより、スターリングサイクルを3組設けた構成とした場合でも、前記図1に示したものと同様に、各スターリングサイクルの運転時にて各ピストン17,19が往復移動する際に、各バッファ空間35,41の容積が一定で容積変化が発生しないので、各バッファ空間35,41をバッファ圧力を掛けるために密閉しても、バッファ空間35,41の圧力変化の発生を抑えて動力損失を抑えることができる。
【0038】
要するに、スターリングサイクルを複数並列に配置する際に、各スターリングサイクルにおける各高温側ピストン17同士の往復動作での互いの位相差、および、各低温側ピストン19同士の往復動作での互いの位相差を、いずれも等間隔とすればよい。
【0039】
すなわち、スターリングサイクルをさらに増やして4組とした場合には、4組のスターリングサイクルにおける各高温側ピストン17同士の往復動作での互いの位相差を90度とし、同様にして各低温側ピストン19同士の往復動作での互いの位相差も90度とすればよい。また、スターリングサイクルを6組設ける場合には、例えば上記した図1の2組設けた構成と4組設けた構成を組み合わせるか、あるいは上記した図2の3組設けた構成を2つ組み合わせるなどで達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態を示す熱機関の断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す熱機関の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
A,B,C スターリングサイクル
11 加熱器
13 再生器
15 冷却器
17 高温側ピストン(一方のピストン)
19 低温側ピストン(他方のピストン)
27 高温側空間(加熱器と一方のピストンとの間の空間)
29 低温側空間(冷却器と他方のピストンとの間の空間)
31,33 一方のピストンの背圧空間
35,41 バッファ空間
37,39 他方のピストンの背圧空間
【出願人】 【識別番号】394009935
【氏名又は名称】株式会社サクション瓦斯機関製作所
【出願日】 平成19年3月9日(2007.3.9)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−223555(P2008−223555A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−61033(P2007−61033)