トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの

【発明の名称】 外燃機関
【発明者】 【氏名】小田 修三

【氏名】八束 真一

【氏名】新山 泰徳

【氏名】小牧 克哉

【氏名】金子 卓

【要約】 【課題】始動開始後、速やかに所定の出力を発揮させる。

【解決手段】作動媒体が液体状態で流動可能に封入された主容器と、主容器内の作動媒体の一部を加熱して作動媒体の蒸気を発生させる加熱器と、蒸気を冷却して液化させる冷却器と、蒸気の発生と液化に伴う作動媒体の体積変動によって生じる作動媒体の液体部分の変位を機械的エネルギに変換して出力する出力部と、主容器と連通する補助容器とを備え、加熱器、冷却器及び出力部は、作動媒体の変位方向において、加熱器、冷却器、出力部の順に並んでおり、補助容器には作動媒体が封入されており、補助容器は、主容器のうち冷却器よりも出力部側の部位と連通しており、通常運転時には、主容器と補助容器とを第1の連通面積で連通させ、始動時には、主容器と補助容器とを第1の連通面積よりも大きい第2の連通面積で連通させる連通面積調節手段を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体(12)が液体状態で流動可能に封入された主容器(11)と、
前記主容器(11)内の前記作動媒体(12)の一部を加熱して前記作動媒体(12)の蒸気を発生させる加熱器(13)と、
前記蒸気を冷却して液化させる冷却器(14)と、
前記蒸気の発生と液化に伴う前記作動媒体(12)の体積変動によって生じる前記作動媒体(12)の液体部分の変位を機械的エネルギに変換して出力する出力部(1)と、
前記主容器(11)と連通する補助容器(16、1a)とを備え、
前記加熱器(13)、前記冷却器(14)及び前記出力部(1)は、前記作動媒体(12)の変位方向において、前記加熱器(13)、前記冷却器(14)、前記出力部(1)の順に並んでおり、
前記補助容器(16、1a)には前記作動媒体(12)が封入されており、
前記補助容器(16、1a)は、前記主容器(11)のうち前記冷却器(14)よりも前記出力部(1)側の部位と連通しており、
通常運転時には、前記主容器(11)と前記補助容器(16、1a)とを第1の連通面積で連通させ、始動時には、前記主容器(11)と前記補助容器(16、1a)とを前記第1の連通面積よりも大きい第2の連通面積で連通させる連通面積調節手段(17a、15b、25、26、30、21、32)を備えることを特徴とする外燃機関。
【請求項2】
前記連通面積調節手段は、
前記通常運転時に、前記主容器(11)と前記補助容器(16、1a)とを連通させる絞り部(17a、15b)と、
前記始動時に、前記主容器(11)と前記補助容器(16、1a)とを連通させ、前記絞り部(17a、15b)よりも流路面積の大きい通路(25)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の外燃機関。
【請求項3】
前記通路(25)には、前記主容器(11)から前記補助容器(16、1a)への前記作動媒体(12)の流れを許容し、前記補助容器(16、1a)から前記主容器(11)への前記作動媒体(12)の逆流を防止する逆止弁(26)が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の外燃機関。
【請求項4】
前記逆止弁(26)は、バネ部(26a)を有するバネ式逆止弁であり、
前記バネ部(26a)のバネ定数が温度に応じて変化し、前記バネ定数の変化に応じて前記逆止弁(26)の作動圧力(ΔP)が変化するようになっており、
前記バネ部(26a)は加熱手段(31)によって加熱されるようになっており、
前記始動時における前記作動圧力(ΔP)が前記通常運転時における前記作動圧力(ΔP)よりも低下するように前記加熱手段(31)を制御する制御手段(21)を有することを特徴とする請求項3に記載の外燃機関。
【請求項5】
前記連通面積調節手段は、
前記通路(25)を開閉するバルブ(30)と、
前記通常運転時には前記バルブ(30)が閉じており、前記始動時に前記バルブ(30)が開くように前記バルブ(30)の開閉を制御する制御手段(21)とを備えることを特徴とする請求項2または3に記載の外燃機関。
【請求項6】
前記連通面積調節手段は、
前記主容器(11)と前記補助容器(16、1a)とを連通させる可変絞り機構(32)と、
前記始動時における前記可変絞り機構(32)の開度が前記通常運転時における前記可変絞り機構(32)の開度よりも増加するように前記可変絞り機構(32)を制御する制御手段(21)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の外燃機関。
【請求項7】
前記主容器が第1容器(11)で構成されており、
さらに、前記第1容器(11)と同じ構成をもつ第2容器(33)を備え、
前記補助容器(16)を1つのみ備え、
前記1つの補助容器(16)が前記第1容器(11)と前記第2容器(33)の両方と連通していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の外燃機関。
【請求項8】
前記出力部(1)は、前記作動媒体(12)が封入されたケーシング(1a)を有し、
前記ケーシング(1a)によって前記補助容器が構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の外燃機関。
【請求項9】
前記出力部(1)は、前記作動媒体(12)が封入されたケーシング(1a)と、前記ケーシング(1a)と前記主容器(11)とを連通させるシリンダ(15a)と、前記シリンダ(15a)に摺動可能に支持されて前記作動媒体(12)の変位によって駆動されるピストン(15)とを有し、
前記ケーシング(1a)によって前記補助容器が構成され、
前記ピストン(15)と前記シリンダ(15a)との間に存在する微少隙間(15b)によって前記絞り部が構成されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の外燃機関。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作動媒体の蒸気の発生と液化に伴う作動媒体の体積変動によって生じる作動媒体の液体部分の変位を機械的エネルギに変換して出力する外燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外燃機関の一つとして、パイプ状の容器内に作動媒体を液体状態で封入し、容器内の作動媒体の一部を加熱器で加熱して作動媒体の蒸気を発生させると共に、その作動媒体の蒸気を冷却器で冷却して液化させることで作動媒体の全体の体積を変動させ、作動媒体の体積変動によって生じる作動媒体の液体部分の変位を機械的エネルギに変換して出力するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この従来技術では、加熱器を冷却器よりも上方に配置しており、加熱器で作動媒体の一部を加熱すると、容器のうち加熱器の配置部位に高温・高圧の作動媒体の蒸気が蓄積されて、作動媒体の液面が冷却器側に押し下げられる。これにより、容器内において作動媒体の液体部分が押し下げられる方向に変位する。
【0004】
そして、作動媒体の蒸気が容器のうち冷却器の配置部位に進入すると、冷却器で作動媒体の蒸気が冷却されて液化されるため、作動媒体の液面を押し下げる力が消滅し、作動媒体の液面が加熱器内まで上昇する。これにより、容器内において作動媒体の液体部分が上昇する方向に変位する。こうした動作の繰り返しにより、作動媒体の液体部分が周期的に流動変位するようになっている。この際、容器の内部圧力も周期的に変動することとなる。
【特許文献1】特開2005−330910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特願2006−78802号(以下、先願例と言う。)には、出力及び効率の向上を図った外燃機関が提案されている。この先願例では、容器の内部圧力の平均値を目標値に近づけるように制御することによって、外燃機関の出力及び効率を向上させることを狙っている。
【0006】
より具体的には、作動媒体が封入された主容器とは別個の補助容器に作動媒体を液体状態で封入し、主容器と補助容器とを絞り部を介して連通させ、補助容器内の作動媒体をピストン機構で圧縮または膨張させることによって補助容器の内部圧力を制御するようになっている。
【0007】
これによると、主容器と補助容器とを絞り部を介して連通させているので、補助容器の内部圧力が主容器の内部圧力に追従して周期的に変動せず、補助容器の内部圧力を主容器の内部圧力の平均値とほぼ等しい圧力で安定させることができる。そして、加熱器の温度等に基づいて主容器の内部圧力の目標値を算出し、ピストン機構によって補助容器の内部圧力を目標値に近づけるように制御する。その結果、主容器の内部圧力の平均値を目標値に近づけることができる。
【0008】
ところで、上記先願例では、外燃機関が停止して加熱器による作動媒体の加熱が停止されると加熱器の温度が雰囲気温度まで徐々に低下するのであるが、外燃機関が停止したときに主容器内に作動媒体の蒸気が蓄積されていると加熱器の温度低下に伴い作動媒体の飽和蒸気圧も低下し、作動媒体の蒸気が凝縮して液化する。このため、主容器の内部圧力が低下する。
【0009】
そして、主容器の内部圧力が補助容器の内部圧力よりも低下した場合には、補助容器内の作動媒体が絞り部を通じて徐々に主容器内に流入し、その分、主容器内の作動媒体の体積が過剰となる。この現象は、特に雰囲気温度の低い冬季に起こりやすい。
【0010】
このように主容器内の作動媒体の体積が過剰となっている状態で外燃機関を再始動して加熱器によって作動媒体を加熱すると、作動媒体の一部が気化して主容器の内部圧力が上昇する。そして、主容器の内部圧力が補助容器の内部圧力よりも上昇すると、主容器内の作動媒体の過剰分が絞り部を通じて補助容器に戻されることとなる。
【0011】
しかしながら、絞り部では作動媒体がごく僅かずつしか流れることができないので、主容器内の作動媒体の過剰分が全て補助容器へと戻るのに時間がかかってしまう。この結果、再始動してから主容器内の作動媒体の過剰分が全て補助容器へと戻るまでの時間は、所定の出力を発揮できず、再始動から所定の出力が得られるまでの始動時間が長くなってしまうという問題がある。
【0012】
この再始動時の問題を回避するためには、主容器内に作動媒体の蒸気が蓄積していないタイミングで外燃機関を停止させなければならず、外燃機関の停止操作が非常に煩わしくなってしまう。
【0013】
本発明は、上記点に鑑み、始動開始後、速やかに所定の出力を発揮できる外燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、作動媒体(12)が液体状態で流動可能に封入された主容器(11)と、
主容器(11)内の作動媒体(12)の一部を加熱して作動媒体(12)の蒸気を発生させる加熱器(13)と、
蒸気を冷却して液化させる冷却器(14)と、
蒸気の発生と液化に伴う作動媒体(12)の体積変動によって生じる作動媒体(12)の液体部分の変位を機械的エネルギに変換して出力する出力部(1)と、
主容器(11)と連通する補助容器(16、1a)とを備え、
加熱器(13)、冷却器(14)及び出力部(1)は、作動媒体(12)の変位方向において、加熱器(13)、冷却器(14)、出力部(1)の順に並んでおり、
補助容器(16、1a)には作動媒体(12)が封入されており、
補助容器(16、1a)は、主容器(11)のうち冷却器(14)よりも出力部(1)側の部位と連通しており、
通常運転時には、主容器(11)と補助容器(16、1a)とを第1の連通面積で連通させ、始動時には、主容器(11)と補助容器(16、1a)とを第1の連通面積よりも大きい第2の連通面積で連通させる連通面積調節手段(17a、15b、25、26、30、21、32)を備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、始動時に主容器(11)内の作動媒体(12)の過剰分を補助容器(16、1a)へと速やかに戻すことができるので、始動開始後、速やかに所定の出力を発揮できる。
【0016】
なお、本発明における「始動時」とは、始動を開始してから所定の出力が得られるようになるまでの時間を意味するものである。
【0017】
本発明は、具体的には、連通面積調節手段が、
通常運転時に、主容器(11)と補助容器(16、1a)とを連通させる絞り部(17a、15b)と、
始動時に、主容器(11)と補助容器(16、1a)とを連通させ、絞り部(17a、15b)よりも流路面積の大きい通路(25)とを備えればよい。
【0018】
本発明は、より具体的には、通路(25)には、主容器(11)から補助容器(16、1a)への作動媒体(12)の流れを許容し、補助容器(16、1a)から主容器(11)への作動媒体(12)の逆流を防止する逆止弁(26)が配置されているので、通常運転時に、補助容器(16、1a)内の作動媒体(12)が通路(25)を通じて主容器(11)内に逆流して、主容器(11)内の作動媒体(12)の体積が過剰になってしまうことを防止できる。
【0019】
本発明は、より具体的には、逆止弁(26)は、バネ部(26a)を有するバネ式逆止弁であり、
バネ部(26a)のバネ定数が温度に応じて変化し、バネ定数の変化に応じて逆止弁(26)の作動圧力(ΔP)が変化するようになっており、
バネ部(26a)は加熱手段(31)によって加熱されるようになっており、
始動時における作動圧力(ΔP)が通常運転時における作動圧力(ΔP)よりも低下するように加熱手段(31)を制御する制御手段(21)を有する。
【0020】
これにより、通常運転時に補助容器(16、1a)内の作動媒体(12)が通路(25)を通じて主容器(11)内に流入することを防止することと、始動時における逆止弁(26)の作動圧力を低く抑えて始動を容易化することとを両立できる。
【0021】
また、本発明は、より具体的には、連通面積調節手段が、
通路(25)を開閉するバルブ(30)と、
通常運転時にはバルブ(30)が閉じており、始動時にバルブ(30)が開くようにバルブ(30)の開閉を制御する制御手段(21)とを備えるようにしてもよい。
【0022】
また、本発明は、具体的には、連通面積調節手段が、
主容器(11)と補助容器(16、1a)とを連通させる可変絞り機構(32)と、
始動時における可変絞り機構(32)の開度が通常運転時における可変絞り機構(32)の開度よりも増加するように可変絞り機構(32)を制御する制御手段(21)とを備えるようにしてもよい。
【0023】
また、本発明は、具体的には、主容器が第1容器(11)で構成されており、
さらに、第1容器(11)と同じ構成をもつ第2容器(33)を備え、
補助容器(16)を1つのみ備え、
1つの補助容器(16)が第1容器(11)と第2容器(33)の両方と連通している。
【0024】
これにより、2つの外燃機関で1つの補助容器(16)を共有できるので、補助容器(16)の個数を削減でき、コストを低減できる。
【0025】
また、本発明は、具体的には、出力部(1)は、作動媒体(12)が封入されたケーシング(1a)を有し、
ケーシング(1a)によって補助容器が構成されている。
【0026】
これにより、補助容器を出力部(1)と一体化できるので、コストを低減できる。
【0027】
また、本発明は、具体的には、出力部(1)は、作動媒体(12)が封入されたケーシ ング(1a)と、ケーシング(1a)と主容器(11)とを連通させるシリンダ(15 a)と、シリンダ(15a)に摺動可能に支持されて作動媒体(12)の変位によって 駆動されるピストン(15)とを有し、
ケーシング(1a)によって補助容器が構成され、
ピストン(15)とシリンダ(15a)との間に存在する微少隙間(15b)によって絞り部が構成されている。
【0028】
これにより、既存のピストン(15)及びシリンダ(15a)を利用して絞り部を構成でき、別個に絞り部を形成する必要がないので、コストを低減できる。
【0029】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図7に基づいて説明する。本実施形態は、本発明による外燃機関10を発電装置に適用したものであって、図1は本実施形態による発電装置の概略構成を表す構成図である。この発電装置の基本的構成は上記先願例と同様であるので、まず上記先願例と共通する構成について説明する。
【0031】
本実施形態の外燃機関10は、永久磁石が埋設された可動子2を振動変位させることによって起電力を発生する発電機1を駆動するためのものであり、作動媒体12が液体状態で流動可能に封入された主容器11と、主容器11内の作動媒体12を加熱して気化させる加熱器13と、加熱器13にて加熱されて気化した作動媒体12の蒸気を冷却する冷却器14とを備える。なお、本例では、作動媒体12として水を用いているが、冷媒等を用いてもよい。
【0032】
本実施形態の加熱器13は高温ガス(例えば、自動車の排気ガス)と熱交換するものであるが、加熱器13を電気ヒータで構成してもよい。また、本実施形態の冷却器14には冷却水が循環するようになっている。図示を省略しているが、冷却水が作動媒体12の蒸気から奪った熱を放熱する放熱器が、冷却水の循環回路中に配置されている。
【0033】
主容器11のうち加熱器13と接触する部位である被加熱部11a及び冷却器14と接触する部位である被冷却部11bは熱伝導率に優れた材料とすることが望ましく、本例では、被加熱部11a及び被冷却部11bを銅又はアルミニウム製としている。なお、被加熱部11aに加熱器13を一体に形成してもよく、被冷却部11bに冷却器14を一体に形成してもよい。
【0034】
一方、主容器11のうち被加熱部11aと被冷却部11bとの中間部11cは断熱性に優れた材料とすることが望ましく、本例では、作動媒体12を水としていることからステンレス製としている。主容器11のうち被冷却部11bより発電機1側の部位も同様に断熱性に優れたステンレス製としている。
【0035】
そして、主容器11は、屈曲部11dが最下部に位置し、第1、2直線部11e、11fが上下方向に延びる略U字状に形成されたパイプ状の圧力容器である。主容器11のうち屈曲部11dを挟んで水平方向一端側(図1の右側)の第1直線部11eに加熱器13及び冷却器14が配置され、加熱器13が冷却器14より上方側に位置している。
【0036】
図示を省略しているが、作動媒体12が気化する空間を確保するために、第1直線部11eの上端部には所定体積の気体(例えば、空気)が封入されている。
【0037】
一方、主容器11のうち屈曲部11dを挟んで水平方向他端側(図1の左側)の第2直線部11fの上端部に発電機1が配置されている。発電機1のケーシング1a内には、作動媒体12の液体部分から圧力を受けて変位するピストン15がシリンダ15aに摺動可能に配置されている。なお、発電機1は、本発明における出力部に該当するものである。
【0038】
ピストン15は、発電機1のケーシング1a内において、可動子2のシャフト2aに連結されており、可動子2を挟んでピストン15と反対側には、可動子2をピストン15側に押圧する弾性力を発生させる弾性手段をなすバネ3が設けられている。
【0039】
主容器11のうち屈曲部11dの上方には、主容器11の内部圧力(以下、主容器内圧力と言う。)Pcを調整するための補助容器16が配置され、屈曲部11dと補助容器16の底部とが第1連絡配管17を介して連通している。この補助容器16の内容積は主容器11の内容積よりも小さくなっている。
【0040】
第1連絡配管17には、補助容器16の内部圧力(以下、補助容器内圧力と言う。)Ptを主容器内圧力Pcの平均値Pca(詳細は後述)とほぼ等しい圧力で安定させるために、絞り部17aが形成されている。本例の絞り部17aは、第1連絡配管17の通路径を縮小することによって形成されている。
【0041】
補助容器16内のうち下方部には作動媒体12が液体状態で充満し、補助容器16内のうち上方部には気体18が充満している。気体18としては作動媒体12に難溶性を示す気体を用いるのが好ましく、本例では気体18として、水に難溶性を示すヘリウムを用いている。なお、補助容器16内を液体状態の作動媒体12のみで充満させてもよい。
【0042】
補助容器16及び第1連絡配管17は断熱性に優れた材料とすることが望ましく、本例では補助容器16及び第1連絡配管17をステンレス製としている。
【0043】
補助容器内圧力Ptを調整する圧力調整機構をなすピストン機構19は、圧力調整ピストン19aと電動アクチュエータ19bとで構成されている。
【0044】
圧力調整ピストン19aは補助容器16内の上端部に配置され、補助容器16外部の電動アクチュエータ19bによって上下方向に往復駆動されるようになっている。
【0045】
次に、本実施形態における電子制御部の概要を説明すると、制御装置21はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるものであり、本発明における制御手段に該当するものである。
【0046】
制御装置21には、ピストン機構19の制御のために、被加熱部11aの温度(以下、被加熱部温度と言う。)T1を検出する被加熱部温度センサ22、被冷却部11bの温度(以下、被冷却部温度と言う。)T2を検出する被冷却部温度センサ23、及び、補助容器内圧力Ptを検出する圧力センサ24から検出信号が入力される。制御装置21はこの各センサ22〜24からの検出信号に基づいて電動アクチュエータ19bを駆動制御するようになっている。
【0047】
そして、本実施形態では、始動開始後、速やかに所定の出力を発揮するために、上記先願例に対して以下の点を変更している。
【0048】
すなわち、本実施形態では、主容器11と補助容器16との連通面積を調節する連通面積調節手段を備えている。この連通面積調節手段は、主容器11と補助容器16とを連通させる第2連絡配管25、第2連絡配管25内に配置された逆止弁26、前述の第1連絡配管17および前述の絞り部17aで構成されている。
【0049】
より具体的には、第2連絡配管25は、主容器11の屈曲部11dと、補助容器16のうち液体状態の作動媒体12の存在する下方部とを連通させている。また、第2連絡配管25の流路面積は、絞り部17aの流路面積よりも大きくなっている。本例では、第2連絡配管25を、第1連絡配管17と同様にステンレス製としている。なお、第2連絡配管25は本発明における通路に該当するものである。
【0050】
逆止弁26は、第2連絡配管25内において、主容器11から補助容器16への作動媒体12の流れを許容し、補助容器16から主容器11への作動媒体12の逆流を防止するようになっている。本例では、逆止弁26として、バネ部26aを有するバネ式逆止弁を用いている。
【0051】
この逆止弁26は、主容器内圧力Pcと補助容器内圧力Ptとの差圧が所定圧力(以下、作動圧力と言う。)ΔP以上のときのみ開弁するようになっている。本例では、作動圧力ΔPを、主容器内圧力Pcの運転時における最大圧力(以下、運転最大圧力と言う。)Pcmaxと補助容器内圧力Ptの最小圧力Ptminとの差よりも大きく設定している(ΔP>Pcmax−Ptmin)。
【0052】
なお、補助容器内圧力Ptの最小圧力Ptminとは、圧力調整ピストン19aが図1の最上端位置に操作されているときの補助容器内圧力Ptである。
【0053】
次に、上記構成における作動を図2に基づいて説明する。加熱器13及び冷却器14を動作させると、まず加熱器13により被加熱部11a内の作動媒体(水)12が加熱されて気化し、被加熱部11a内に高温・高圧の作動媒体12の蒸気が蓄積されて、主容器11の第1直線部11e内の作動媒体12の液面を押し下げる。
【0054】
すると、主容器11内において、作動媒体12の液体部分は、第1直線部11e側から第2直線部11f側に変位して、発電機1側のピストン15を押し上げる。このとき、ピストン15によってバネ3が押圧されて弾性変形する。
【0055】
また、第1直線部11e内の作動媒体12の液面が被冷却部11bまで下がり、被冷却部11b内に作動媒体12の蒸気が進入すると、この蒸気が冷却器14により冷却されて液化されるため、第1直線部11e内の作動媒体12の液面を押し下げる力が消滅する。
【0056】
この結果、作動媒体12の蒸気の膨張によって一旦押し上げられた発電機1側のピストン15がバネ3の弾性復元力によって下降し、主容器11内において作動媒体12の液体部分が第2直線部11f側から第1直線部11e側に変位して、第1直線部11e側の液面が上昇する。
【0057】
そして、こうした動作は、加熱器13及び冷却器14の作動を停止させるまで繰り返し実行され、その間、主容器11内において作動媒体12の液体部分は周期的に変位(いわゆる自励振動)して、発電機1の可動子2を上下動させることになる。
【0058】
ここで、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1と外燃機関10の性能(出力及び効率)との関係について説明する。図3(a)は外燃機関10の一状態におけるPV線図を示すものである。
【0059】
このPV線図の横軸は、主容器11とピストン15とで囲まれた空間の容積(以下、ピストン容積と言う。)であり、このピストン容積はピストン15の往復運動に伴い変動する。後述する図3(b)、(c)に示すPV線図の横軸も同様である。
【0060】
図3(a)は、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1が被加熱部温度T1での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1よりも低く、かつ、飽和蒸気圧Ps1にできるだけ近くなっている状態におけるPV線図である。このとき、外燃機関10は1周期当たりの仕事量が最も大きくなって、外燃機関10の性能が最も高くなる理想的な状態になっている。
【0061】
一方、図3(b)は、ピーク値Pc1が飽和蒸気圧Ps1よりも著しく低いときのPV線図を示している。この状態では、1周期当たりの仕事量が小さくなるので、外燃機関10の性能が低下する。
【0062】
また、図3(c)は、ピーク値Pc1が飽和蒸気圧Ps1よりも高いときのPV線図を示している。つまり、被加熱部温度T1が高くなると、ピストン15が上死点(図1の最上位置)に位置してピストン容積が最大となっている状態でも、加熱器12内には高温の蒸気が存在するようになる。
【0063】
このとき、ピストン15が上死点から下死点(図1の最下位置)に向かって移動し、ピストン容積が減少すると、作動媒体12の蒸気が圧縮されて主容器内圧力Pcが上昇し、また、作動媒体12の液体部分が被加熱部11aに進入して加熱されて気化するので、主容器内圧力Pcがさらに上昇する。この結果、ピーク値Pc1が飽和蒸気圧Ps1を超えてしまう。
【0064】
このようにピーク値Pc1が飽和蒸気圧Ps1よりも高い状態では、ピーク値Pc1が飽和蒸気圧Ps1よりも高くなるために作動媒体12の蒸気の一部が凝縮して液化してしまう。このため、ピストン15を下降させる仕事、換言すれば、マイナスの仕事をしてしまうので、外燃機関10の性能が低下してしまう。
【0065】
したがって、外燃機関10の性能を最も引き出すためには、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1を常に被加熱部温度T1での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1よりも低く、かつ、飽和蒸気圧Ps1にできるだけ近くなっている状態に維持すればよい。
【0066】
しかし、被加熱部温度T1が変動すると作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1が変動する(後述の図7を参照)。また、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1は、被加熱部温度T1及び被冷却部11bの温度(以下、被冷却部温度と言う。)T2の変動や、主容器11からの作動媒体12の洩れに伴い変化する。
【0067】
すなわち、加熱器13の熱源である高温ガスの温度及び冷却器14を循環する冷却水の温度の低下により被加熱部温度T1及び被冷却部温度T2が低下して作動媒体12の液体部分の温度が低下すると作動媒体12の液体部分が熱収縮して作動媒体12の液体部分の体積が減少する。また、主容器11から作動媒体12が少しずつ洩れることによっても作動媒体12の液体部分の体積が減少する。
【0068】
作動媒体12の液体部分の体積が減少すると、図4(a)に示すように、ピストン15が下死点に位置してピストン容積が最小となっている状態でも、液相の作動媒体12が被加熱部11a内に十分に進入できなくなる。
【0069】
このため、被加熱部11a内における作動媒体12の気化が抑制されてしまうので、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1が低下する。
【0070】
一方、被加熱部温度T1及び被冷却部温度T2が上昇すると作動媒体12の液体部分が熱膨張して作動媒体12の液体部分の体積が増加する。作動媒体12の液体部分の体積が増加すると、図4(b)に示すように、ピストン15が上死点に位置してピストン容積が最大となっている状態でも、作動媒体12の蒸気が被冷却部11b内に十分に進入できなくなる。
【0071】
このため、被冷却部11b内における作動媒体12の蒸気の液化が抑制されてしまうので、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1が上昇する。
【0072】
図5は、作動媒体12の液体部分の体積と外燃機関10の効率との関係を示すグラフである。なお、図示を省略しているが、作動媒体12の液体部分の体積と外燃機関10の出力との関係も図5と同様である。
【0073】
図5からわかるように、作動媒体12の液体部分の体積が所定の体積V1になっているとき、外燃機関10の性能が最も高くなる。なお、このときのPV線図は図3(a)のようになっている。
【0074】
一方、作動媒体12の液体部分の体積が所定の体積V1より小さい体積V2になっているときにはPV線図が図3(b)のようになり、外燃機関10の性能が低下する。また、作動媒体12の液体部分の体積が所定の体積V1より大きい体積V3になっているときにはPV線図が図3(c)のようになり、外燃機関10の性能が低下する。
【0075】
そこで、本実施形態では、外燃機関10の運転時に、主容器内圧力Pcの平均値Pcaを目標値Pc0に近づけるように調整することによって、飽和蒸気圧Ps1の変動や主容器内圧力Pcのピーク値Pc1の変動に伴う外燃機関10の性能の低下を抑制する。
【0076】
ここで、主容器内圧力Pcの平均値Pcaとは、作動媒体12の液体部分が1周期、自励振動する間における主容器内圧力Pcの平均値Pcaのことを言い、目標値Pc0とは、外燃機関10の性能が最も高くなる理想的な状態、つまり、主容器内圧力Pcのピーク値Pc1が被加熱部温度T1での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1よりも低く、かつ、飽和蒸気圧Ps1にできるだけ近くなっている状態における主容器内圧力Pcの平均値(図3(a)を参照。以下、理想平均値と言う。)Pciに近似した値のことを言う。
【0077】
図6は、本実施形態における制御の概要を示すブロック線図である。まず、被加熱部温度T1と図7に示す作動媒体12の蒸気圧曲線とに基づいて、被加熱部温度T1での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1を算出する。
【0078】
また、被冷却部温度T2と図7に示す作動媒体12の蒸気圧曲線とに基づいて、被冷却部温度T2での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps2を算出する。なお、被冷却部温度T2での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps2は、主容器内圧力Pcの1周期中の最低値Pc2(図3(a)〜(c)を参照)と同一値になる。
【0079】
次に、被加熱部温度T1での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1と被冷却部温度T2での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps2とに基づいて目標値Pc0を算出する。本実施形態では、目標値Pc0を被加熱部温度T1での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps1と被冷却部温度T2での作動媒体12の飽和蒸気圧Ps2との中間値、より具体的には略平均値としている。
【0080】
ここで、第1連絡配管17には絞り部17aが形成されているので、補助容器内圧力Ptが主容器内圧力Pcの周期的な変動に追従して変動することが抑制され、補助容器内圧力Ptが主容器内圧力Pcの平均値Pcaとほぼ等しい圧力で安定している。
【0081】
このため、補助容器内圧力Ptが目標値Pc0よりも低いときには、電動アクチュエータ19bが圧力調整ピストン19aを押し出して補助容器16の容積を減少させる。これにより液体状態の作動媒体12が圧縮されて補助容器内圧力Ptが上昇する。
【0082】
一方、補助容器内圧力Ptが目標値Pc0よりも高いときには、圧力調整ピストン19aを引き込んで補助容器16の容積を減少させる。これにより液体状態の作動媒体12が膨張して補助容器内圧力Ptが低下する。
【0083】
このように補助容器内圧力Ptを調整することによって、主容器内圧力Pcの平均値Pcaが目標値Pc0に近づく。換言すれば、主容器内圧力Pcの平均値Pcaが理想平均値Pciに近づく。
【0084】
この結果、外燃機関10の運転状態を常に理想的な状態に近づけることができるので、飽和蒸気圧Ps1の変動や主容器内圧力Pcのピーク値Pc1の変動に伴う外燃機関10の性能の低下を防止できる。
【0085】
ここで、第1連絡配管17に絞り部17aを形成していないと、補助容器内圧力Ptが主容器内圧力Pcの周期的な変動に追従して変動してしまう。このため、圧力センサ24による補助容器内圧力Ptのセンシング周期を非常に短くしないと、主容器内圧力Pcの平均値Pcaを正確に算出することができない。
【0086】
この点、本実施形態では、第1連絡配管17には絞り部17aを形成することにより、補助容器内圧力Ptが主容器内圧力Pcの周期的な変動に追従して変動することなく、主容器内圧力Pcの平均値Pcaとほぼ等しい圧力で安定させることができる。このため、補助容器内圧力Ptを検出する圧力センサ24のセンシング周期が長くても、主容器内圧力Pcの平均値Pcaを正確に算出することができる。
【0087】
ところで、液体の圧縮率は気体の圧縮率よりも低いので、補助容器18内が液体状態の作動媒体12のみで充満されていると、圧力調整ピストン19aの変位量に対する補助容器内圧力Ptの変化量が大きくなりすぎて、補助容器内圧力Ptの微調整がしづらい。
【0088】
そこで、本実施形態では、補助容器18に液体状態の作動媒体12のみならず、液体状態の作動媒体12よりも圧縮率が高い気体18を封入しているので、圧力調整ピストン19aの変位量に対する補助容器内圧力Ptの変化量を抑制することができる。このため、補助容器内圧力Ptの微調整を容易化できる。
【0089】
ところで、上記構成においては、ピストン15が下死点以外の位置にあるときに外燃機関10が停止すると、主容器11の第1直線部11e内に作動媒体12の蒸気が存在している状態で加熱器13による作動媒体12の加熱が停止されることとなる。
【0090】
すると、被加熱部温度T1が雰囲気温度まで徐々に低下して飽和蒸気圧Ps1が低下するのに伴い、作動媒体12の蒸気が凝縮して液化して、主容器内圧力Pcが低下する。
【0091】
そして、主容器内圧力Pcが補助容器内圧力Ptよりも低下してしまうと、補助容器16内の液体状態の作動媒体12が第1連絡配管17を通じて主容器11へと流入し、その分、主容器11内の作動媒体12の体積が過剰となる。この現象は、特に雰囲気温度の低い冬季に起こりやすい。
【0092】
このように外燃機関10の主容器11内の作動媒体12の体積が過剰になっていると所定の出力を発揮することができないのであるが、本実施形態では、以下に説明するように、外燃機関10の再始動時に主容器11内の作動媒体12の過剰分を補助容器16に速やかに戻すことができるので、再始動開始後、速やかに所定の出力を発揮できる。
【0093】
すなわち、本実施形態では、外燃機関10の始動時に、発電機1に外部から電力を供給して発電機1を駆動し、ピストン15が少なくとも1回以上、下死点を通過するようにする。
【0094】
ピストン15が上死点から下死点に向かって移動すると、主容器11内の作動媒体12が圧縮され、主容器内圧力Pcが運転最大圧力Pcmax以上に上昇する。
【0095】
ちなみに、本例では、外燃機関10の停止時に圧力調整ピストン19aを図1の最上端位置に操作して、補助容器内圧力Ptが最小圧力Ptminになるようにしている。このため、主容器内圧力Pcが補助容器内圧力Ptよりも大きくなる。
【0096】
ここで、第2連絡配管25を配置していない場合には、主容器内圧力Pcが補助容器内圧力Ptよりも大きくなると、主容器11内の液体状態の作動媒体12が第1連絡配管17のみを通じて補助容器16へと流入することとなるが、第1連絡配管17には絞り部17aが形成されており、絞り部17aでは液体状態の作動媒体12がごく僅かずつしか流れることができないので、作動媒体12の流通が妨げられてしまう。このため、主容器11内の作動媒体12の過剰分が全て補助容器16に戻るのに時間がかかってしまう。
【0097】
この点、本実施形態では、主容器内圧力Pcが補助容器内圧力Ptよりも大きくなると、第2連絡配管25に配置された逆止弁26が開弁し、主容器11内の液体状態の作動媒体12が第2連絡配管25を通じて補助容器16へと流入する。
【0098】
要するに、本実施形態では、通常運転時には、主容器11と補助容器16とが連通面積の小さい絞り部17aのみを介して連通しているが、始動時には、主容器11と補助容器16とが絞り部17aのみならず、絞り部17aよりも連通面積の大きい第2連絡配管25を介して連通する。このため、主容器11内の作動媒体12の過剰分を補助容器16に速やかに戻すことができる。
【0099】
ここで、逆止弁26が通常運転時に開弁してしまうようであると、通常運転時に主容器11内の液体状態の作動媒体12が第2連絡配管25を通じて補助容器16へと流入してしまう。そのため、主容器11内の作動媒体12の体積が減少してしまい、外燃機関10の性能が低下してしまう。
【0100】
そこで、本実施形態では、逆止弁26の作動圧力ΔPを、主容器内圧力Pcの運転最大圧力Pcmaxと補助容器内圧力Ptの最小圧力Ptminとの差よりも大きく設定しているので、通常運転時に逆止弁26が開弁して主容器11内の作動媒体12が第2連絡配管25を通じて補助容器16へと流入してしまうことを防止できる。
【0101】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、図8に示すように、上記第1実施形態に対して、第2連絡配管25を開閉するバルブ30を追加している。バルブ30は制御装置21により開閉制御される。バルブ30および制御装置21は、第1連絡配管17、絞り部17a、第2連絡配管25および逆止弁26とともに、連通面積調節手段を構成する。
【0102】
バルブ30は制御装置21によって、通常運転時には閉じており、外燃機関10の始動時のみ開くように制御される。このため、外燃機関10の通常運転時に逆止弁26が開弁していても、作動媒体12が第2連絡配管25を通じて補助容器16へと流入することをバルブ30によって防止できる。
【0103】
その結果、上記第1実施形態のように、逆止弁26の作動圧力ΔPを、主容器内圧力Pcの運転最大圧力Pcmaxと補助容器内圧力Ptの最小圧力Ptminとの差よりも大きく設定する必要がない。
【0104】
そこで、本実施形態では、逆止弁26の作動圧力ΔPを0より大きく、主容器内圧力Pcの運転最大圧力Pcmaxと補助容器内圧力Ptの最小圧力Ptminとの差以下に設定している(0<ΔP≦Pcmax−Ptmin)。
【0105】
上記第1実施形態では、主容器内圧力Pcが運転最大圧力Pcmaxより大きくならなければ逆止弁26が開弁しないので、外燃機関10の始動時に発電機1を大きな駆動力で駆動しなければならない。
【0106】
この点、本実施形態では、主容器内圧力Pcが補助容器内圧力Ptよりも大きければ、運転最大圧力Pcmax以下でも開弁するので、上記第1実施形態と比較して、外燃機関10の始動時における発電機1の駆動力を低減できる。このため、上記第1実施形態と比較して、外燃機関10の始動を容易に行うことができる。
【0107】
(第3実施形態)
本第3実施形態では、図9に示すように、上記第1実施形態に対して、逆止弁26の作動圧力ΔPを可変制御している。
【0108】
具体的には、逆止弁26のバネ部26aを、形状記憶合金やバイメタル等で形成し、バネ部26aのバネ定数が温度に応じて変化するようにしている。さらに、バネ部26aのバネ定数の変化に応じて逆止弁26の作動圧力ΔPが変化するようになっている。また、バネ部26aそのものに温度に応じて変化する特性を与えずに、温度に応じて伸縮するサーモスタットを設けて、逆止弁26の作動圧力ΔPを変化させてもよい。
【0109】
そして、バネ部26aが加熱装置31によって加熱されるようになっており、加熱装置31を制御装置21により制御するようになっている。
【0110】
本例では、加熱装置31を、バネ部26aに通電する通電装置で構成しており、バネ部26aに通電すると、バネ部26aがジュール熱により発熱するようになっている。
【0111】
そして、始動時における逆止弁26の作動圧力ΔPが通常運転時における逆止弁26の作動圧力ΔPよりも低下するように、制御装置21が加熱手段31を制御する。
【0112】
これにより、外燃機関10の通常運転時に逆止弁26が開弁することを防止しつつ、外燃機関10の始動時には主容器内圧力Pcが運転最大圧力Pcmax以下でも逆止弁26が開弁するようにできる。このため、上記第2実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0113】
(第4実施形態)
本第4実施形態では、図10に示すように、上記第2実施形態に対して逆止弁26を廃止している。そして、外燃機関10の始動時のうちピストン15が初めて下死点に達するまでの時間はバルブ30を開けておき、ピストン15が初めて下死点に達した瞬間にバルブ30を閉じるようにしている。
【0114】
これにより、逆止弁26を設けることなく、外燃機関10の通常運転時に作動媒体12が第2連絡配管25を通じて補助容器16へと流入することを防止できる。このため、上記第2、第3実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0115】
(第5実施形態)
本第4実施形態では、図11に示すように、上記第1実施形態に対して第2連絡配管25及び逆止弁26を廃止し、第1連絡配管17に絞り部17aを形成する代わりに電気式の可変絞り機構32を配置している。
【0116】
この可変絞り機構32の開度は制御装置21により制御され、外燃機関10の始動時のうちピストン15が初めて下死点に達するまでの時間は可変絞り機構32の開度が通常運転時の開度よりも大きくなり、ピストン15が初めて下死点に達した瞬間に可変絞り機構32の開度が通常運転時の開度になるように制御される。
【0117】
これにより、始動時に主容器11内の作動媒体12の過剰分を補助容器16に速やかに戻すことができるとともに、通常運転時に作動媒体12が補助容器16へと流入することを防止できる。このため、上記第2〜第4実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0118】
なお、本実施形態では、第1連絡配管17、可変絞り機構32および制御装置21が連通面積調節手段を構成することとなる。
【0119】
(第6実施形態)
本第6実施形態による発電装置は、図12に示すように、上記第4実施形態の外燃機関10を2つ備えている。この実施形態では、2つの外燃機関10に同じ符号を付した。なお、図12は、図示の都合上、制御装置21及び各センサ22〜24の図示を省略している。
【0120】
2つの外燃機関10の主容器の構成は、上記各実施形態の主容器の構成と同様である。便宜上、2つの外燃機関10のうち一方の外燃機関の主容器を第1容器11と言い、他方の外燃機関の主容器を第2容器33と言う。
【0121】
なお、図12では、第1容器11の被加熱部、被冷却部、中間部、屈曲部および第1、2直線部に上記各実施形態の主容器と同じ符号を付し、第2容器33の被加熱部、被冷却部、中間部、屈曲部および第1、2直線部に33a〜33fの符号を付した。
【0122】
2つの外燃機関10は、互いの主容器内圧力Pcの目標値Pc0が同一になるように構成されている。このため、2つの外燃機関10で1つの補助容器16を共用している。
【0123】
より具体的には、補助容器16を1つのみ備え、1つの補助容器16は、第1、第2容器11、31の両方と第1連絡配管17及び第2連絡配管25を介して連通している。これにより、補助容器16の個数を削減して、コストを低減することができる。
【0124】
なお、本実施形態は、外燃機関10を3つ以上備えるものにおいても適用が可能である。また、本実施形態は、上記第1〜第3、第5実施形態の外燃機関10に対しても適用が可能であることはもちろんである。ちなみに、上記第5実施形態の外燃機関10に対して適用する場合には、第2連絡配管25が不要であることは言うまでもない。
【0125】
(第7実施形態)
図13に示す第7実施形態は、上記第1実施形態に対して、補助容器16を発電機1によって構成するようにしたものである。より具体的には、発電機1のケーシング1a内に液体状態の作動媒体12及び気体18を封入し、補助容器内圧力Ptを調整するピストン機構19を発電機1の上部に配置している。第2連絡配管25は、発電機1のケーシング1aの底面部と主容器11の第2直線部11fとの間に配置されている。
【0126】
本実施形態では、シリンダ15aが上記第1実施形態における第1連絡配管17として機能し、ピストン15とシリンダ15aとの間に存在する微少隙間(クリアランス)15bが上記第1実施形態における絞り部17aとして機能する。
【0127】
これにより、上記第1実施形態と同様の効果を発揮できる。また、本実施形態では、上記第1実施形態における補助容器16、第1連絡配管17及び絞り部17aが不要であるので、部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【0128】
なお、本実施形態は、上記第2〜第4実施形態の外燃機関10に対しても適用が可能であることはもちろんである。
【0129】
(他の実施形態)
なお、上記第1〜第4、第6実施形態では、第2連絡配管25の一端部を補助容器16の下方部に接続し、第2連絡配管25の他端部を主容器11の屈曲部11dに接続しているが、第2連絡配管25の一端部を第1連絡配管17のうち絞り部17aよりも補助容器16側の部位に接続し、第2連絡配管25の他端部を第1連絡配管17のうち絞り部17aよりも主容器11側の部位に接続してもよい。
【0130】
これにより、始動時には、絞り部17aをバイパスして主容器11内の作動媒体12を補助容器16へと流入させることができるので、同様の効果を発揮することができる。
【0131】
また、上記各実施形態では、主容器11を略U字状に形成しているが、主容器11を直線状に形成してもよい。例えば、直線状の主容器11を上下方向に配置し、加熱器13、冷却器14及び発電機1を上方から下方に向かって加熱器13、冷却器14、発電機1の順に配置してもよい。この場合には、補助容器16を主容器11のうち冷却器14よりも発電機1側の部位と連通させればよい。また、加熱器13によって発生した蒸気が発電機1まで流動しない構成であればよく、例えば、加熱器13、冷却器14及び発電機1を上下方向に対して傾斜した方向または水平方向に配置してもよい。
【0132】
また、上記各実施形態では、本発明による外燃機関を発電装置の駆動源に適用した場合について説明したが、本発明による外燃機関を発電装置以外の駆動源としても利用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態による外燃機関の動作特性を説明する説明図である。
【図3】第1実施形態による外燃機関のPV線図であり、(a)は理想的な状態を示し、(b)は主容器内圧力のピーク値が飽和蒸気圧よりも低い状態を示し、(c)は主容器内圧力のピーク値が飽和蒸気圧よりも高い状態を示している。
【図4】特許文献1の外燃機関で生じる問題を説明する説明図であり、(a)は作動媒体の体積が減少した状態を示し、(b)は作動媒体の体積が増加した状態を示している。
【図5】作動媒体の体積と外燃機関の効率との関係を示すグラフである。
【図6】第1実施形態における制御の概要を示すブロック線図である。
【図7】作動媒体の蒸気圧曲線を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第3実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第4実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第5実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【図12】本発明の第6実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【図13】本発明の第7実施形態を示す発電装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0134】
11…主容器、12…作動媒体、13…加熱器、14…冷却器、16…補助容器、
17…第1連絡配管(連通面積調節手段)、17a…絞り部(連通面積調節手段)、
19…ピストン機構、25…第2連絡配管(連通面積調節手段)、
26…逆止弁(連通面積調節手段)。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成19年2月7日(2007.2.7)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二

【識別番号】100108198
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 高広

【識別番号】100111578
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 史博


【公開番号】 特開2008−190483(P2008−190483A)
【公開日】 平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願番号】 特願2007−27848(P2007−27848)