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【発明の名称】 熱発電装置および熱発電方法
【発明者】 【氏名】神村 直樹

【要約】 【課題】劣化が生じ難く安定した発電を行える熱発電装置および熱発電方法を提供すること。

【解決手段】エンジン11、冷却ファン13、およびラジエータ14が並んで配置された自動車内部におけるエンジン11とラジエータ14との間の所定部分に、エンジン11に供給する潤滑用オイルを溜めるオイルチャンバー12を設置した。そして、熱電変換モジュール20の放熱側の面を冷却ファン13に向け、熱電変換モジュール20の吸熱側の面をオイルチャンバー12の表面に接触させた状態で、熱電変換モジュール20をオイルチャンバー12に取り付けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンを冷却するための冷却ファンと、前記エンジンに所定の液体を供給するための液体供給装置とが並んで配置された車両に設けられ、前記エンジンの放熱を利用して発電する熱発電装置であって、
前記エンジンと前記液体供給装置との間の所定部分に、前記エンジンに供給される前記所定の液体または他の液体を溜めるための液体チャンバーを設置し、吸熱側の面と放熱側の面との間に生じる温度差に応じて電力を発生する熱電変換モジュールの放熱側の面を前記冷却ファンまたは前記液体供給装置に向け、前記熱電変換モジュールの吸熱側の面を前記液体チャンバーの表面に接触させた状態で、前記熱電変換モジュールを前記液体チャンバーに取り付けたことを特徴とする熱発電装置。
【請求項2】
前記液体供給装置を、前記エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、前記液体チャンバーを、前記エンジンにオイルを供給するためのオイルチャンバーで構成した請求項1に記載の熱発電装置。
【請求項3】
前記液体供給装置を、前記エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、前記液体チャンバーを、前記ラジエータから前記エンジンに送られ前記エンジンを冷却して吸熱した状態で前記エンジンから排出されるラジエータ液を通過させて前記ラジエータに戻すためのラジエータ液チャンバーで構成した請求項1に記載の熱発電装置。
【請求項4】
エンジンと、前記エンジンを冷却するための冷却ファンと、前記エンジンに所定の液体を供給するための液体供給装置とが並んで配置された車両における前記エンジンの放熱を利用して発電する熱発電方法であって、
前記エンジンと前記液体供給装置との間の所定部分に、前記エンジンに供給される前記所定の液体または他の液体を溜めるための液体チャンバーを設置し、吸熱側の面と放熱側の面との間に生じる温度差に応じて電力を発生する熱電変換モジュールの吸熱側の面を前記液体チャンバーの表面に接触させて加熱するとともに、前記熱電変換モジュールの放熱側の面を前記冷却ファンまたは前記液体供給装置に向けて空冷することを特徴とする熱発電方法。
【請求項5】
前記液体供給装置を、前記エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、前記液体チャンバーを、前記エンジンにオイルを供給するためのオイルチャンバーで構成した請求項4に記載の熱発電方法。
【請求項6】
前記液体供給装置を、前記エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、前記液体チャンバーを、前記ラジエータから前記エンジンに送られ前記エンジンを冷却して吸熱した状態で前記エンジンから排出されるラジエータ液を通過させて前記ラジエータに戻すためのラジエータ液チャンバーで構成した請求項4に記載の熱発電方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるエンジンの放熱を利用して発電する熱発電装置および熱発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ペルチェ効果、ゼーベック効果を利用して熱電気変換を行う熱電変換モジュールが加熱・冷却装置および発電装置等に用いられている。このような熱電変換モジュールの中に、自動車のエンジンが放出する熱を利用して発電するとともに、その電力を自動車が備える機器の作動に用いる排気熱利用発電装置に組み込まれたものがある(特許文献1参照)。ただし、特許文献1においては、熱電変換モジュールは熱電変換素子と記述されている。
【0003】
この排気熱利用発電装置では、エンジンから排出される排気ガスを外部に排出するための排気管の周囲に熱電変換モジュールが設けられ、熱電変換モジュールの外部側にラジエータからエンジンに送られる冷却水を通過させるウォータージャケットが設けられている。このため、熱電変換モジュールの一方の面は、排気管を通過する排気ガスの熱によって加熱され、熱電変換モジュールの他方の面は、ウォータージャケットを通過する冷却水によって冷却される。この結果、熱電変換モジュールの両面間に所定の温度差が生じて、熱電変換モジュールが発電する。
【特許文献1】実開平6−79168号公報
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、前述した排気熱利用発電装置では、熱電変換モジュールが、排気ガスによって、600〜700℃に加熱された高温の排気管の近傍に設置されるため、高温に耐えることのできる材料や、それを接合する高融点の接合材料等を用いる必要がある。また、高温下に長時間晒されるため、熱電変換モジュールを構成する電極が劣化したり熱電素子側に拡散したりして熱電変換モジュールの性能に劣化が生じやすくなるという問題もある。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、劣化が生じ難く安定した発電を行える熱発電装置および熱発電方法を提供することである。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る熱発電装置の構成上の特徴は、エンジンと、エンジンを冷却するための冷却ファンと、エンジンに所定の液体を供給するための液体供給装置とが並んで配置された車両に設けられ、エンジンの放熱を利用して発電する熱発電装置であって、エンジンと液体供給装置との間の所定部分に、エンジンに供給される所定の液体または他の液体を溜めるための液体チャンバーを設置し、吸熱側の面と放熱側の面との間に生じる温度差に応じて電力を発生する熱電変換モジュールの放熱側の面を冷却ファンまたは液体供給装置に向け、熱電変換モジュールの吸熱側の面を液体チャンバーの表面に接触させた状態で、熱電変換モジュールを液体チャンバーに取り付けたことにある。
【0007】
このように構成した本発明の熱発電装置では、熱電変換モジュールが、吸熱側面を液体チャンバーの表面に接触させ、放熱側の面を冷却ファンまたは液体供給装置に向けた状態で取り付けられている。したがって、熱電変換モジュールの一方の吸熱側の面は、エンジン内を循環する際にエンジンの熱を吸収した液体が溜まる液体チャンバーの熱によって加熱され、他方の放熱側の面は冷却ファンの作動によって生じる空気流によって空冷される。このため、熱電変換モジュールの吸熱側の面と放熱側の面との間に温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュールは電力を発生する。
【0008】
この場合、熱電変換モジュールは、エンジンに供給される液体を一時的に溜めるための液体チャンバーの表面に取り付けられるため、従来技術に記載したような高温下で使用されることはなくなる。この結果、熱電変換モジュールを構成する各部分の材料を高温に耐える材料に限定する必要がなくなり、材料の選択の幅が増える。また、高温下に晒されることがないため、熱電変換モジュールの性能に劣化が生じ難くなり安定した発電を行えるという利点も備えている。
【0009】
また、液体チャンバーは、エンジンと冷却ファンとの間に設置してもよいし、冷却ファンと液体供給装置との間に設置してもよい。液体チャンバーをエンジンと冷却ファンとの間に設置する場合には、放熱側の面を冷却ファンに向けて熱電変換モジュールを取り付けることが好ましく、液体チャンバーを冷却ファンと液体供給装置との間に設置する場合には、放熱側の面を液体供給装置に向けて熱電変換モジュールを取り付けることが好ましい。すなわち、熱電変換モジュールの放熱側の面を高温であるエンジン側に向けないことが好ましい。
【0010】
本発明に係る熱発電装置の他の構成上の特徴は、液体供給装置を、エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、液体チャンバーを、エンジンにオイルを供給するためのオイルチャンバーで構成したことにある。
【0011】
このように構成した本発明の熱発電装置では、熱電変換モジュールが、吸熱側面をオイルチャンバーの表面に接触させ、放熱側の面を冷却ファンまたはラジエータに向けた状態で取り付けられている。したがって、熱電変換モジュールの一方の吸熱側の面は、エンジン内を循環する際にエンジンの熱を吸収したオイルが溜まるオイルチャンバーの熱によって加熱され、他方の放熱側の面は冷却ファンの作動によって生じる空気流によって空冷される。このため、熱電変換モジュールの吸熱側の面と放熱側の面との間に温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュールは電力を発生する。
【0012】
また、オイルチャンバーは、エンジンと冷却ファンとの間に設置してもよいし、冷却ファンとラジエータとの間に設置してもよい。オイルチャンバーをエンジンと冷却ファンとの間に設置する場合には、放熱側の面を冷却ファンに向けて熱電変換モジュールを取り付けることが好ましく、オイルチャンバーを冷却ファンとラジエータとの間に設置する場合には、放熱側の面をラジエータに向けて熱電変換モジュールを取り付けることが好ましい。
【0013】
本発明に係る熱発電装置のさらに他の構成上の特徴は、液体供給装置を、エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、液体チャンバーを、ラジエータからエンジンに送られエンジンを冷却して吸熱した状態でエンジンから排出されるラジエータ液を通過させてラジエータに戻すためのラジエータ液チャンバーで構成したことにある。
【0014】
このように構成した熱発電装置では、熱電変換モジュールが、吸熱側面をラジエータ液チャンバーの表面に接触させ、放熱側の面を冷却ファンまたはラジエータに向けて取り付けられている。したがって、熱電変換モジュールの一方の吸熱側の面は、エンジン内を循環する際にエンジンの熱を吸収したラジエータ液が溜まるラジエータ液チャンバーの熱によって加熱され、他方の放熱側の面は冷却ファンの作動によって生じる空気流によって空冷される。このため、熱電変換モジュールの吸熱側の面と放熱側の面との間に温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュールは電力を発生する。
【0015】
また、ラジエータ液チャンバーは、エンジンと冷却ファンとの間に設置してもよいし、冷却ファンとラジエータとの間に設置してもよい。ラジエータ液チャンバーをエンジンと冷却ファンとの間に設置する場合には、放熱側の面を冷却ファンに向けて熱電変換モジュールを取り付けることが好ましく、ラジエータ液チャンバーを冷却ファンとラジエータとの間に設置する場合には、放熱側の面をラジエータに向けて熱電変換モジュールを取り付けることが好ましい。
【0016】
本発明に係る熱発電方法の構成上の特徴は、エンジンと、エンジンを冷却するための冷却ファンと、エンジンに所定の液体を供給するための液体供給装置とが並んで配置された車両におけるエンジンの放熱を利用して発電する熱発電方法であって、エンジンと液体供給装置との間の所定部分に、エンジンに供給される所定の液体または他の液体を溜めるための液体チャンバーを設置し、吸熱側の面と放熱側の面との間に生じる温度差に応じて電力を発生する熱電変換モジュールの放熱側の面を液体チャンバーの表面に接触させて加熱するとともに、熱電変換モジュールの放熱側の面を冷却ファンまたは液体供給装置に向けて空冷することにある。
【0017】
これによると、熱電変換モジュールにおける液体チャンバーによって加熱される吸熱側の面と空冷される放熱側の面との間に温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュールは電力を発生する。また、熱電変換モジュールは、それほど高温にはならない液体チャンバーの表面に取り付けられるため、熱電変換モジュールを構成する各部分の材料を高温に耐える材料に限定する必要がなくなり、材料の選択の幅が増える。また、高温下に晒されることがないため、熱電変換モジュールの性能に劣化が生じ難くなり安定した発電と電力供給が行える。
【0018】
本発明に係る熱発電方法の他の構成上の特徴は、液体供給装置を、エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、液体チャンバーを、エンジンにオイルを供給するためのオイルチャンバーで構成したことにある。これによっても、熱電変換モジュールの吸熱側の面と放熱側の面との間に温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュールは安定した発電をするようになる。
【0019】
本発明に係る熱発電方法のさらに他の構成上の特徴は、液体供給装置を、エンジンにラジエータ液を供給するためのラジエータで構成し、液体チャンバーを、ラジエータからエンジンに送られエンジンを冷却して吸熱した状態でエンジンから排出されるラジエータ液を通過させてラジエータに戻すためのラジエータ液チャンバーで構成したことにある。これによっても、熱電変換モジュールを構成する各部分の材料を高温に耐える材料に限定する必要がなくなり材料の選択の幅が増えるとともに、熱電変換モジュールに性能劣化が生じ難くなり安定した発電が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る熱発電装置10を示している。この熱発電装置10は、自動車の車体(図示せず)に組み込まれており、車体の前部側部分に後部側から前部側に向って順に配置されたエンジン11、オイルチャンバー12、冷却ファン13およびラジエータ14で構成されている。オイルチャンバー12は、内部に潤滑用オイルを収容できる箱状の容器で構成されており、オイル用ホース15a,15bによってエンジン11に接続されている。また、オイルチャンバー12は、オイル用ホース15a,15bを介してエンジン11内の所定部分に潤滑用オイルを供給するための作動ポンプ(図示せず)も備えている。
【0021】
そして、作動ポンプを作動させることによって、オイルチャンバー12内の潤滑オイルはオイル用ホース15aからエンジン11に送られ、エンジン11内の所定部分を通過して潤滑したのちにオイル用ホース15bからオイルチャンバー12に送り返される。その際、潤滑用オイルは、エンジン11の熱を吸収して高温状態になる。このため、オイルチャンバー12も潤滑用オイルの熱によって加熱され、100℃程度の温度になる。また、冷却ファン13は、オイルチャンバー12の前側部分に後方を向いて配置されており、ファンモータ(図示せず)の作動により、車外の空気を吸引して後方のオイルチャンバー12やエンジン11に吹き付ける。これによって、オイルチャンバー12およびエンジン11の表面は空冷される。
【0022】
ラジエータ14は、車体の前部における最も外部に近い部分に配置されており、内部に冷却水(ラジエータ液)を通過させるための細い流路が形成されている。そして、このラジエータ14は冷却水用ホース16a,16bによってエンジン11に接続されている。また、ラジエータ14は、冷却水用ホース16a,16bを介してエンジン11内の所定部分に冷却水を供給するための作動ポンプ(図示せず)を備えている。そして、この作動ポンプを作動させることによって、ラジエータ14内の冷却水は、冷却水用ホース16aからエンジン11に送られ、エンジン11内の所定部分を通過して冷却したのちに冷却水用ホース16bからラジエータ14に送り返される。
【0023】
そして、オイルチャンバー12における冷却ファン13側の面に、12個の熱電変換モジュール20が並んで取り付けられている。熱電変換モジュール20は、それぞれ一方の面(吸熱側の面)をグリス等を介してオイルチャンバー12の表面に接触させた状態で取り付けられており、これによって、オイルチャンバー12の熱が効率よく熱電変換モジュール20に伝導されるようになっている。また、図2に示したように、熱電変換モジュール20の他方の面(放熱側の面)には、冷却用のヒートシンク21が固定されている。ヒートシンク21は、アルミニウムからなるブロック体の表面側部分(図2の状態での右側の部分)に一定間隔で、前後に貫通するとともに表面側が開放された複数の放熱溝21aを設けて構成されている。このヒートシンク21は、複数の放熱溝21aを設けて表面積を大きくすることによって熱電変換モジュール20の放熱性を向上させている。
【0024】
熱電変換モジュール20は、図3および図4に示したように、下基板22aと上基板22bとからなる一対の絶縁基板を備えている。そして、下基板22aの上面における所定部分に複数の下部電極23aが取り付けられ、上基板22bの下面における所定部分に複数の上部電極23bが取り付けられている。さらに、チップからなる熱電素子24が、それぞれ下端面を下部電極23aにハンダ付けにより固定され、上端面を上部電極23bにハンダ付けにより固定されて下基板22aと上基板22bとを一体的に連結している。
【0025】
下部電極23aと上部電極23bとは、それぞれ熱電素子24の略1個分に等しい距離をずらして取り付けられている。そして、上基板22bの各上部電極23bには、それぞれ2個の熱電素子24の上端面が接合されており、下基板22aの下部電極23aには、1個の熱電素子24の下端面だけが接合されるものと、2個の熱電素子24の下端面が接合されるものとがある。1個の熱電素子24の下端面だけが接合される下部電極23aは下基板22aの一方側(図3の後部)の2箇所の角部に設けられ、その下部電極23aには、リード線25a,25bがそれぞれ取り付けられて自動車が備える所定の機器等に接続可能になっている。
【0026】
下基板22aおよび上基板22bはアルミナからなる板で構成され、熱電素子24は、直方体に形成されたP型の素子とN型の素子とからなっている。また、この熱電素子24は、下基板22aと上基板22bとの間で下部電極23aおよび上部電極23bを介して電気的に接続されている。なお、P型の熱電素子24は、ビスマス−アンチモン−テルル系の合金からなっており、N型の熱電素子24は、ビスマス−アンチモン−テルル−セレン系の合金からなっている。そして、このP型の熱電素子24とN型の熱電素子24とは、交互に配置されている。
【0027】
また、熱電変換モジュール20の大きさは、左右方向および前後方向の幅がそれぞれ40mmで、高さが3mmに設定されており、1個の熱電変換モジュール20で2Wの発電が可能になっている。したがって、熱発電装置10では、略24Wの電力を発生することができる。このように構成された熱電変換モジュール20は、例えば、下基板22aが吸熱側としてオイルチャンバー12の表面に固定され、オイルチャンバー12の熱によって下基板22a側が加熱される。また、上基板22bにはヒートシンク21が固定されるとともに、この面が冷却ファン13側に向けられて冷却ファン13の送風によって冷却される。そして、加熱される下基板22aと冷却される上基板22bとの間に生じる温度差(略50℃)に応じて熱電変換モジュール20は電力を発生する。
【0028】
その際、冷却ファン13の送風に加えてヒートシンク21が大きな放熱作用を発揮するため、熱電変換モジュール20の上基板22b側が積極的に放熱されて、下基板22a側と上基板22b側との温度差がさらに大きくなり、熱電変換モジュール20が発生する電力が大きくなる。この熱電変換モジュール20が発生する電力は、熱発電装置10が備えるバッテリに充電したり、オーディオ機器やライト等の作動のために使用したりされる。また、熱発電装置10が備える各ポンプやモータの駆動用の電力として用いることもできる。さらに、この熱発電装置10が設けられた自動車には、メインスイッチ等の各種の装置が備わっており、メインスイッチをオン状態にすることにより、熱発電装置10および自動車が備える各機器等は作動を開始する。
【0029】
このように構成された熱発電装置10を使用する際には、まず、メインスイッチをオンにしてエンジン11を作動させるとともに、オイルチャンバー12の作動ポンプ、冷却ファン13のファンモータおよびラジエータ14の作動ポンプを作動させる。これによって、エンジン11はオイルチャンバー12から送られる潤滑用オイルによって潤滑されるとともに、ラジエータ14から送られる冷却水によって冷却され適度な温度に維持されて回転駆動する。また、その際に、冷却ファン13からの送風によってエンジン11の近傍は空冷される。
【0030】
その際、オイルチャンバー12は、エンジン11の熱を吸収して加熱された状態で戻ってくる潤滑用オイルによって加熱される。そして、このオイルチャンバー12の熱の一部が、熱電変換モジュール20の下基板22aに伝わっていく。また、熱電変換モジュール20の上基板22bは、オイルチャンバー12によって直接加熱されることがない上、冷却ファン13からの送風およびヒートシンク21による放熱によって冷却されるため、熱電素子24における下基板22a側の端部と上基板22b側の端部との間には大きな温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュール20は発電する。このため、この電力を利用して、熱発電装置10が備える各機器等を作動させることができる。
【0031】
このように、本実施形態に係る熱発電装置10では、熱電変換モジュール20の下基板22aをオイルチャンバー12の表面に接触させ、上基板22bの表面にヒートシンク21を取り付けるとともにその面を冷却ファン13に向けている。したがって、熱電変換モジュール20の下基板22aは加熱され、上基板22bは冷却されるようになって、熱電変換モジュール20の下基板22aと上基板22bとの間に温度差が生じ、この温度差に応じて熱電変換モジュール20は電力を発生する。
【0032】
この場合、オイルチャンバー12の表面は、100℃程度の温度になり、熱電変換モジュール20の上基板22b側の温度は50℃程度の温度になる。このため、熱電変換モジュール20を構成する各部分の材料を高温に耐える材料に限定する必要がなくなり、材料の選択の幅が増える。また、高温下に晒されることがないため、熱電変換モジュール20に性能劣化が生じ難くなり安定した発電が長期間にわったって行える。
【0033】
図5は、前述した第1実施形態の変形例による熱発電装置30を示している。この熱発電装置30では、オイルチャンバー32が、冷却ファン33とラジエータ34との間に設置されている。この熱発電装置30のそれ以外の部分の構成については、前述した熱発電装置10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。また、熱発電装置30を備えた自動車の熱発電装置30以外の部分の構成も、熱発電装置10を備えた自動車の熱発電装置10以外の部分の構成と同一である。
【0034】
この場合、熱電変換モジュール20は、上基板22b側(ヒートシンク21側)をラジエータ34側に向けた状態になり、冷却ファン33からの送風を直接受けることはなくなるが、冷却ファン33の作動によりエンジンルーム内全体の空気が拡散されるため、その空気流によって、熱電変換モジュール20の上基板22b側は冷却される。この熱発電装置30を作動させた場合、熱電変換モジュール20の下基板22a側の温度は、前述した熱発電装置10の場合と同様に、100℃程度であるが、上基板22b側の温度は、自動車の走行時と停止時とで、50〜70℃程度の範囲で変動する。このため、12個の熱電変換モジュール20を用いた熱発電装置30では、6〜24Wの発電が可能になる。この熱発電装置30のそれ以外の作用効果については前述した熱発電装置10と同様である。
【0035】
(第2実施形態)
また、図6は、本発明の第2実施形態に係る熱発電装置40を示している。この熱発電装置40では、車体の前部側部分における後部側から前部側に向って順にエンジン41、冷却ファン43、ラジエータ液チャンバー42およびラジエータ44が配置されている。ラジエータ液チャンバー42は、内部に冷却水(ラジエータ液)を収容できる箱状の容器で構成されており、ラジエータ44の吐出口部44aから冷却水ホース46aを介してエンジン41に送られ、エンジン41を冷却したのちに冷却水をラジエータ44に送り返すための冷却水ホース46bに設けられている。
【0036】
すなわち、ラジエータ液チャンバー42の両側に、接続口部42a,42bが設けられており、エンジン41から延びる冷却水ホース46bの先端部は、接続口部42aに接続されている。そして、接続口部42bとラジエータ44の吸込口44bとの間を冷却水ホース46cが接続している。なお、熱発電装置40にもエンジン41に潤滑用オイルを供給するための装置が備わっているが、ここではその説明は省略した。この熱発電装置40のそれ以外の部分の構成については、前述した熱発電装置10と同一である。また、熱発電装置40を備えた自動車の熱発電装置40以外の部分の構成も、熱発電装置10を備えた自動車の熱発電装置10以外の部分の構成と同一である。
【0037】
このように構成したため、ラジエータ44から冷却水ホース46aを介してエンジン41に送られ、エンジン41を冷却した冷却水は、冷却水ホース46bを介して、一旦、ラジエータ液チャンバー42に送られ、ラジエータ液チャンバー42を加熱して冷却された状態で、冷却水ホース46cを介してラジエータ44に送られる。その際、ラジエータ液チャンバー42は、冷却水の熱によって加熱されるため、その熱によって熱電変換モジュール20の下基板22a側も加熱される。この場合の熱電変換モジュール20の下基板22a側の温度は、90℃程度になる。また、上基板22b側の温度は、40℃程度になる。このため、12個の熱電変換モジュール20を用いた熱発電装置40では、24W程度の発電が可能になる。この熱発電装置40のそれ以外の作用効果については前述した熱発電装置10と同様である。
【0038】
また、前述した第2実施形態の変形例による熱発電装置として、図6に示したラジエータ液チャンバー42をエンジン41と冷却ファン43との間に設置することもできる。これによると、熱電変換モジュール20の上基板22b側(ヒートシンク21側)を冷却ファン43側に向けた状態になって、冷却ファン43からの送風を上基板22b側が直接受けるようになるため、熱電変換モジュール20の下基板22a側と上基板22b側との温度差が大きくなる。このため、熱電変換モジュール20が発生する電力が増加するようになる。
【0039】
また、本発明に係る熱発電装置および熱発電方法は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した各実施形態では、液体供給装置をラジエータ14,34,44で構成しているが、この液体供給装置としては、ラジエータ以外の装置であってもよく、オイルクーラーや、その他エンジンに液体を供給し、その液体にエンジンの熱を吸収させて回収できる装置であればよい。
【0040】
また、前述した各実施形態では、液体チャンバーを、オイルチャンバー12,32やラジエータ液チャンバー42で構成しているが、この液体チャンバーとしては、エンジンに液体を供給し、その液体にエンジンの熱を吸収させて回収することにより所定温度に加熱される装置であればよい。さらに、前述した各実施形態では、車両を自動車としているが、この車両としては、エンジン、冷却ファン、ラジエータ等の液体をエンジンに供給する装置を備えたものであればよい。また、熱発電装置10等を構成する他の部分についても本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱発電装置を示した分解斜視図である。
【図2】熱電変換モジュールがオイルチャンバーに取り付けられた状態を示した側面図である。
【図3】熱電変換モジュールを示した斜視図である。
【図4】熱電変換モジュールを示した正面図である。
【図5】変形例に係る熱発電装置を示した分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る熱発電装置を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10,30,40…熱発電装置、11,41…エンジン、12,32…オイルチャンバー、13,33,43…冷却ファン、14,34,44…ラジエータ、20…熱電変換モジュール、22a…下基板、22b…上基板、23a…下部電極、23b…上部電極、24…熱電素子、42…ラジエータ液チャンバー。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成18年9月29日(2006.9.29)
【代理人】 【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所


【公開番号】 特開2008−88840(P2008−88840A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−268096(P2006−268096)