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【発明の名称】 スターリング機関及びスターリングエンジン並びにスターリング冷凍機
【発明者】 【氏名】窪田 ▲ひろ▼吉

【氏名】金田 平

【要約】 【課題】ディスプレーサが摺動するディスプレーサシリンダを設けたスタ―リングエンジンにおいて、可動部のシール部をなくして作動気体の漏れを防ぎ、また高性能とする。

【構成】基台2に対して往復動可能に設けられた内部を密封したシリンダ1に、ディスプレーサ15を摺動自在に設けたディスプレーサシリンダ部1A、ピストン20を摺動自在に設けたピストンシリンダ部1Bを形成し、このシリンダ1に一側を連結すると共に他側を出力軸10に連結したリンクロッド機構14とを備える。ピストン20を基台2に対して相対的に固定する固定手段を21を設け、シリンダ1自体を往復動させるようにしたことにより、シリンダ1を完全密封することで作動気体Gの漏れをなくすことができ、さらにシリンダ1の中の作動気体Gの膨張だけでなく、作動気体Gの収縮でもトルクを発生することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対して移動動可能に設けられ内部を密封しディスプレーサシリンダとピストンシリンダとを備えるシリンダと、
前記ディスプレーサシリンダ内を圧縮空間と膨張空間とに区画するディスプレーサと、
前記ディスプレーサの圧縮空間または膨張空間の一方と連通する作動空間からなる前記ピストンシリンダと、
前記ピストンシリンダ内に設けられるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段とを具備することを特徴とするスターリング機関。
【請求項2】
基台に対して往復動可能に設けられた内部を密封したシリンダと、
前記シリンダの往復運動を回転運動に転換する出力取り出し機構を備えると共に、ディスプレーサシリンダと、前記ディスプレーサシリンダ内を圧縮空間と膨張空間とに区画するディスプレーサと、
前記ディスプレーサの圧縮空間または膨張空間の一方と連通する作動空間からなるピストンシリンダと、
前記ピストンシリンダ内に設けられるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段とを具備することを特徴とするスターリングエンジン。
【請求項3】
前記ピストンは前記ピストンシリンダーの内部に配置し、磁石又は磁性体に連結すると共に前記ピストンシリンダの外部から遠隔で固定することを特徴とするスターリングエンジン。
【請求項4】
前記ピストンシリンダの外部には磁石又は磁性体から成る磁気機構を配設し、前記請求項3記載の磁石又は磁性体を吸引することにより固定することを特徴とするスターリングエンジン。
【請求項5】
前記シリンダは前記請求項2の構成をなし、完全に密封したことを特徴とするスターリングエンジン。
【請求項6】
基台に対して往復動可能に設けられた内部を密封したシリンダと、
このシリンダに一側を連結すると共に他側を出力軸に連結したリンクロッド機構とを備え、
前記シリンダ内の一側に形成したディスプレーサシリンダ部と、
該ディスプレーサシリンダ部内に摺動可能に配設され該ディスプレーサシリンダ部内を加熱側室と冷却側室とに区画するディスプレーサと、
前記加熱側室と冷却側室とを連通する再生手段と、
前記シリンダ内の他側に形成したピストンシリンダ部と、
前記ピストンシリンダ部内に摺動可能に配設されるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段と
を具備するスターリングエンジン。
【請求項7】
前記ピストンは前記加熱側室又は冷却側室に臨んで設けられることを特徴とする請求項6記載のスターリングエンジン。
【請求項8】
前記固定手段が磁気機構であることを特徴とする請求項6又は7記載のスターリングエンジン。
【請求項9】
前記シリンダの軸心の一側に前記ディスプレーサシリンダ部が形成され、前記シリンダの軸心の他側に前記ピストンシリンダ部が形成され、
前記固定手段は前記ピストンシリンダ部の内に摺動自在に設けられ前記ピストンに連結した第1の磁石と、前記ピストンシリンダ部の外に設けられ前記基台側に固定されると共に前記第1の磁石と極性が反対な第2の磁石により形成されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のスターリングエンジン。
【請求項10】
基台に対して移動動可能に設けられ内部を密封しディスプレーサシリンダとピストンシリンダとを備えるシリンダと、
前記ディスプレーサシリンダ内を圧縮空間と膨張空間とに区画するディスプレーサと、
前記ディスプレーサの圧縮空間または膨張空間の一方と連通する作動空間からなる前記ピストンシリンダと、
前記ピストンシリンダ内に設けられるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段と、
前記シリンダに設けた往復駆動手段を具備することを特徴とするスターリング冷凍機。
【請求項11】
前記ディスプレーサ側と前記シリンダ側にそれぞれ極性が同じ磁石を相互に磁界が及ぶように設けたことを特長とする請求項1記載のスターリング機関。
【請求項12】
前記ディスプレーサ側と前記シリンダ側にそれぞれ極性が同じ磁石を相互に磁界が及ぶように設けたことを特長とする請求項2記載のスターリングエンジン。
【請求項13】
前記ディスプレーサ側と前記シリンダ側にそれぞれ極性が同じ磁石を相互に磁界が及ぶように設けたことを特長とする請求項10記載のスターリング冷凍機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリング機関及びスターリングエンジン並びにスターリング冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスターリングエンジンは、作動気体が加熱、冷却されることによる膨張、収縮に伴って作動室内の圧力変化に対応してピストンが作動するように構成されていた。
【0003】
従来のスターリング機関の基本サイクルは図15に示すようにシリンダ100内の一側にディスプレーサ101が摺動自在に設けられると共に、シリンダ100内の他側にピストン102が摺動自在に設けられている。そして、シリンダ100の一側端は閉じているが、他側端には開口部100Aが形成されている。そしてシリンダ100内において該シリンダ100に一側端とディスプレーサ101との間に高温(膨張)部103が形成されると共に、ディスプレーサ101とピストン102との間に低温(圧縮)部104が形成され、さらに高温(膨張)部103と低温(圧縮)部104との間にはシリンダ100に内蔵した作動ガスなどと称する作動流体(図示せず)が移動可能な通路105が設けられており、この通路105には、高温(膨張)部103から低温(圧縮)部104にかけて加熱部106、再生器107、冷却器108が配置されている。
【0004】
そして、図15に示す第1行程においてはピストン102は下死点、ディスプレーサ101は上死点にあり、作動気体はすべて低温(圧縮)部104にある。図16に示す第2行程においては、ディスプレーサ101は上死点に留まり、ピストン102は低温にて作動流体を圧縮する。図17に示す第3行程においては、ピストン102は上死点に留まる。ディスプレーサ101は作動流体を低温(圧縮)部104から高温(膨張)部103へ移動する。そして、図18に示す第4行程においては、高温作動流体は膨張し、ピストン102とディスプレーサ101は両方とも下死点にある。次にピストン102は下死点に留まったままディスプレーサ101は上昇し、作動流体を低温(圧縮)部104に戻して再び第1行程の状態につなげるというものである。
【0005】
しかし、作動流体としてヘリウムや水素等の比熱の小さい気体が熱効率を向上させるために用いられ、しかも高圧化するにつれてエンジンのシール部分からの作動流体の漏れが大きな問題となっており、性能低下、メンテナンスの難しさ、エンジン本体の重量の増大、製造コスト及びメンテナンスコストの増大等があり、スターリングエンジンが従来の内燃機関よりも優れていると言われながら商用化されていないのが現実である。
【0006】
この作動気体の漏れとは、パワーピストンのピストンリングからエンジン本体(クランク室)内への漏れを意味しているものではなく、出力軸の摺動部分や回転部分を通してエンジンの外部への漏れである。
【0007】
そして、ディスプレーサとクランクシャフトとを連結するリンクロッド機構とを具備し、該リンクロッド機構は、一端がディスプレーサに連結され他端部が該ディスプレーサシリンダの冷却側室または加熱側室の一方に連通して形成された密封シリンダ内に摺動可能に配設された第1のロッドと、一端がクランクシャフトに連結された第2のロッドと、第2のロッドの他端に一端が連結され他端部に密封シリンダの外周面に沿って摺動可能に且つ第1のロッドの他端部と重合して配設されたホルダーを備えた第3のロッドと、第3のロッドの他端部と第1のロッドの他端部に設けられ第3のロッドの駆動力を第1のロッドに伝達する磁気駆動機構とによって構成されたものが知られている
しかしながら、前記従来技術による方法では第1のロッドからの作動気体の漏れ(作動室から機体本体、すなわちクランク室内)は防止できる。
【0008】
ところが、パワーピストンのピストンリングからの作動気体の漏れ、すなわち作動室から機体本体、すなわちクランク室への漏れはどのようなエンジンでもピストンリングを使う以上避けられないものであるが、今日問題となっているのはエンジン本体からの外部への漏れである。特に摺動部分からの漏れを防止するのは非常に難しく、ピストンリングからエンジン本体(クランク室)への漏れはどのようなエンジンでもピストンリングを使用している以上避けることができない。そこで、摺動部分をエンジン本体(クランク室)内に一体化して設けることにより、多少容易な回転部分のシール構造をとっているのが一般的である。
【0009】
そこで、摺動部分をエンジン本体(クランク室)内に一体化して設けることにより、多少容易な回転部分のシール構造をとっているのが一般的である。したがって、クランク室は高圧になるため、高圧に耐える構造になり、エンジンの大型化、重量増、製造コストの増大となる。また、回転部分のシールについても非常に高度な、精密なシール構造が要求され、メンテナンスの難しさにましてメンテナンスコストの増大となる。これがスターリングエンジンの普及しない原因の一つであるといわれている。
【0010】
また、作動気体の漏れに対して高圧の作動気体を詰めたボンベをエンジン本体に抱かせて漏れた作動機体を常に充填する構造のものもある。
【0011】
前述のエンジンの構造では高圧の作動流体がクランク室にたまり、やがてクランクシャフトのシール部から大気へと漏れるという問題は依然として残っている。
【0012】
したがって、クランク室は高圧に耐える構造にしなければならないし、高度なシール構造が必要になってくる等前述のいろいろな問題が発生する。
【0013】
そこで、後述する本件発明のフリーピストン型のスターリングエンジンではエンジン本体が密閉されており、シールがないのでピストンリングからの漏れはエンジン本体の中だけで外部への漏れはない、これが作動気体の漏れに関しては理想的な構造である。すなわち、エンジン本体が密閉されており、エンジン外部に繋がるシール部がないのが特徴であり、ピストンリングからの漏れはエンジン本体の中だけで外部への漏れはない。したがって、作動流体の漏れに関しては理想的な構造となる。
【0014】
ところが、フリーピストン型のスターリングエンジンではエンジンが密閉されているためピストンの動力をエンジンの外部へ取り出す方法がまだ確立されていない。すなわち、フリーピストン型のスターリングエンジンではエンジンが密閉されているためにピストンを負荷の変動に関係なく動かすため制御が難しいばかりでなく、ピストンの動力をエンジンの外部へ取り出すのが難しいという問題がある。
【0015】
また、スターリング機関の一例として、フリーピストン型スターリング冷凍機が知られている。このスターリング冷凍機では、ケーシングに組付けられたシリンダ内にディスプレーサとピストンとを配設して膨張空間と圧縮空間とを含む作動空間を設けている。作動空間の内部にはヘリウムなどの作動媒体が存在しており、膨張空間と圧縮空間とは作動媒体通路を介して連通している。作動媒体通路には、作動媒体の熱を蓄積するとともに蓄積した熱を作動媒体に供給する再生器が配設されている。ピストンは、後端でピストンスプリングと一体化され、リニアモータなどによってシリンダの軸方向に往復駆動される。ディスプレーサは、ピストンを貫通するディスプレーサロッドを介してディスプレーサスプリングと一体化される。該ディスプレーサスプリングとピストンスプリングとはボルトにより連結され、背圧空間内に配置される(例えば特許文献2)。
【0016】
また、従来のスターリング冷凍機においては、ピストンとディスプレーサを同軸上に配置することによりシリンダを共有化したスターリング冷凍機が一般化しつつある。また、ディスプレーサを直接駆動することなく、ピストンの往復動によって生じる冷媒ガスの圧力変化を受けてディスプレーサがピストンと共振するように構成された、いわゆるフリーピストン型のスターリング冷凍機が一般化しつつある。
【0017】
このようなものでは、ピストンがシリンダ内を軸方向に往復動する。ピストン系の総質量と板バネのバネ定数とにより定まる共振周波数に一致する周波数の交流電力をリニアモータに供給することにより、ピストン系は滑らかな正弦波状の往復動を開始する。また、ディスプレーサ系においては、ディスプレーサ系の総質量と板バネのバネ定数とにより定まる共振周波数をピストン3の駆動周波数に共振するように設定することにより、ピストン系が往復動する力を受けてディスプレーサ系も滑らかに正弦波状の往復動を開始する。
【0018】
そして、圧縮室内の作動空間においては、ピストンの往復動に伴って作動ガスの圧縮・膨張が繰り返される。この圧力変化に伴い、ディスプレーサも往復動を開始する。このとき、圧縮室と膨張室との間の流動抵抗等により、ピストンとディスプレーサとの間には位相差が生じる。以上のようにフリーピストン型スターリング冷凍機においては、定常運転時においてディスプレーサがピストンと所定の位相差と振幅比をもって同期的に振動する。
【0019】
このようなスターリング冷凍機の動作により、圧縮室内と膨張室内との間において逆スターリングサイクルが実現する。圧縮室内においては等温圧縮変化に基づいて作動ガスの温度が上昇し、膨張室7内においては等温膨張変化に基づいて作動ガスの温度が低下する。
【0020】
運転中において圧縮室と膨張室との間を往復動する作動ガスは、内部熱交換器を通過する際に熱を内部熱交換器を通じて放熱部および吸熱部に伝熱する。圧縮室から再生器に流れ込む作動ガスは高温であるため、放熱部は加熱される。これに対し、膨張室から再生器に流れ込む作動ガスは低温であるため、吸熱部は冷却される。以上により、特定の空間から吸熱部を介して熱を奪い、その熱を放熱部を介して大気に放散することにより、スターリング冷凍機が冷凍機関として機能することになる。ここで、再生器は、圧縮室と膨張室との間を流動する作動ガスの熱を相互に伝えることなく、作動ガスをそれぞれの空間に移動させる、いわゆる蓄熱装置としての機能を発揮する(例えば特許文献3)。
【特許文献1】特開2004−60489号公報
【特許文献2】特開2005−195305号公報
【特許文献3】特開2005−256796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来のスターリングエンジンの最大の問題点は作動気体がエンジンの外に漏れることである。作動流体として使用されるヘリウムや水素はその分子量が非常に小さく、例えばシール材として高分子の分子と分子の間からも透過するほどの微粒子である。したがって、現在の高度なシール技術をもってしてもシール部からの漏れをなくすことは不可能である。
【0022】
そこで、現在のフリーピストン型のスターリングエンジンではシール部をなくし、エンジン本体を完全密閉してこの問題を解決しているものである。もう一つの問題は発生した動力をエンジンの外部に取り出す方法である。フリーピストン型のステーリングエンジンではエンジン本体が完全密閉されているために、内部にリニア発電機を組み込み発電し、電力の形で取り出している。しかしながら、このようなものにおいては大電力を取り出すことは難しい。
【0023】
ところで、従来のフリーピストンエンジンは、シリンダーに機械ばね或いはガスばねを取り付け(復元力)、ピストン質量(慣性力)と負荷(粘性に相当)との兼ね合いにより、共振周波数で運転している。そして、振動系の兼ね合いにより適切なピストンストロークが得られ、さらにピストンに適切な位相差が生じた場合、通常のスターリングエンジンと同様の原理で動くものである。ところがフリーピストンエンジンはピストンのストロークが負荷変動や運転条件(温度や圧力)によって変化する。このようにストロークの変化は、エンジン述力に大きく影響するので、エンジンの開発に当っては高度の技術を必要とする。
【0024】
また、高い周波数で運転するエンジンではピストンストロークが増大し、シリンダー端面に衝突する危険がある。このようにフリーピストン型エンジンは振動系の非常に狭い共振周波数での運転であるため、過度な負荷変動が生ずるとエンジンは運転不能になってしまう。
【0025】
その上、フリーピストン型エンジンは完全に密閉された缶体の中にピストンが内蔵されているため、出力の取出しが難しく、現在用いられているのはリニアー発電機によって発電した電力の形で取り出している。しかし、リニアー発電機は一般の回転式発電機に比べ発電効率が劣る。また、エンジン本体の中に内蔵されるため、発電機を大型化できない、したがって大出力のエンジンは期待できないという問題を有している。
【0026】
解決しようとする問題点は、スターリング機関及びスターリングエンジン並びにスターリング冷凍機において、可動部のシール部をなくして作動気体の漏れを防ぎ、また高性能とする点である。また、ディスプレーサを効率的に駆動する点である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
請求項1の発明は、基台に対して移動動可能に設けられ内部を密封しディスプレーサシリンダとピストンシリンダとを備えるシリンダと、
前記ディスプレーサシリンダ内を圧縮空間と膨張空間とに区画するディスプレーサと、
前記ディスプレーサの圧縮空間または膨張空間の一方と連通する作動空間からなる前記ピストンシリンダと、
前記ピストンシリンダ内に設けられるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段とを具備することを特徴とするスターリング機関である。
【0028】
請求項2の発明は、基台に対して往復動可能に設けられた内部を密封したシリンダと、
前記シリンダの往復運動を回転運動に転換する出力取り出し機構を備えると共に、ディスプレーサシリンダと、前記ディスプレーサシリンダ内を圧縮空間と膨張空間とに区画するディスプレーサと、
前記ディスプレーサの圧縮空間または膨張空間の一方と連通する作動空間からなるピストンシリンダと、
前記ピストンシリンダ内にピストンを配設し、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段とを具備することを特徴とするスターリングエンジンである。
【0029】
請求項3の発明は、前記ピストンは前記ピストンシリンダーの内部に配置し、磁石又は磁性体に連結すると共に前記ピストンシリンダの外部から遠隔で固定することを特徴とするスターリングエンジンである。
【0030】
請求項4の発明は、前記ピストンシリンダの外部には磁石又は磁性体から成る磁気機構を配設し、前記請求項3記載の磁石又は磁性体を吸引することにより固定することを特徴とするスターリングエンジンである。
【0031】
請求項5の発明は、前記シリンダは前記請求項2の構成をなし、完全に密封したことを特徴とするスターリングエンジンである。
【0032】
請求項6の発明は、基台に対して往復動可能に設けられた内部を密封したシリンダと、
このシリンダに一側を連結すると共に他側を出力軸に連結したリンクロッド機構とを備え、
前記シリンダ内の一側に形成したディスプレーサシリンダ部と、
該ディスプレーサシリンダ部内に摺動可能に配設され該ディスプレーサシリンダ部内を加熱側室と冷却側室とに区画するディスプレーサと、
前記加熱側室と冷却側室とを連通する再生手段と、
前記シリンダ内の他側に形成したピストンシリンダ部と、
前記ピストンシリンダ部内に摺動可能に配設されるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段と
を具備するスターリングエンジンである。
【0033】
請求項7の発明は、前記ピストンは前記加熱側室又は冷却側室に臨んで設けられることを特徴とする請求項6記載のスターリングエンジンである。
【0034】
請求項8の発明は、前記固定手段が磁気機構であることを特徴とする請求項6又は7記載のスターリングエンジンである。
【0035】
請求項9の発明は、前記シリンダの軸心の一側に前記ディスプレーサシリンダ部が形成され、前記シリンダの軸心の他側に前記ピストンシリンダ部が形成され、
前記固定手段は前記ピストンシリンダ部の内に摺動自在に設けられ前記ピストンに連結した第1の磁石と、前記ピストンシリンダ部の外に設けられ前記基台側に固定されると共に前記第1の磁石と極性が反対な第2の磁石により形成されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のスターリングエンジンである。
【0036】
請求項10の発明は、基台に対して移動動可能に設けられ内部を密封しディスプレーサシリンダとピストンシリンダとを備えるシリンダと、
前記ディスプレーサシリンダ内を圧縮空間と膨張空間とに区画するディスプレーサと、
前記ディスプレーサの圧縮空間または膨張空間の一方と連通する作動空間からなる前記ピストンシリンダと、
前記ピストンシリンダ内に設けられるピストンと、
前記ピストンを前記基台に対して相対的に固定する固定手段と、
前記シリンダに設けた往復駆動手段を具備することを特徴とするスターリング冷凍機である。
【0037】
請求項11の発明は、前記ディスプレーサ側と前記シリンダ側にそれぞれ極性が同じ磁石を相互に磁界が及ぶように設けたことを特長とする請求項1記載のスターリング機関である。
【0038】
請求項12の発明は、前記ディスプレーサ側と前記シリンダ側にそれぞれ極性が同じ磁石を相互に磁界が及ぶように設けたことを特長とする請求項2記載のスターリングエンジンである。
【0039】
請求項13の発明は、前記ディスプレーサ側と前記シリンダ側にそれぞれ極性が同じ磁石を相互に磁界が及ぶように設けたことを特長とする請求項10記載のスターリング冷凍機である。
【発明の効果】
【0040】
請求項1の発明によれば、スラーリング機関は密閉され例えば往復移動等移動可能なシリンダの中にピストンを内蔵した上、そのピストンを固定手段によってシリンダの外から遠隔で固定するものである。シリンダは完全に密閉されているため作動ガス(流体)のシリンダからの漏れは皆無である。また、作動ガスの漏れがないから高圧化やメンテナンスも容易である。
【0041】
請求項2の発明によれば、スラーリングエンジンは密閉されたシリンダの中にピストンを内蔵した上、そのピストンを固定手段によってシリンダの外から遠隔で固定するものである。そして、ピストンを固定すると膨張した作動流体はシリンダを駆動し、これに連動させて出力取り出し機構を介して動力を取り出すことができるように構成しており、シリンダは完全に密閉されているため作動流体のエンジンシリンダからの漏れは皆無である。また、作動ガスの漏れがないから高圧化、高出力かがはかれ小型化できると同時にメンテナンスも容易である。
【0042】
このように、スターリングエンジンは従来のフリーピストン型のスターリングエンジンのように作動流体の漏れをなくしたことと共に、通常のスターリングエンジンの直線運動を回転運動に変える簡便な方法で発生した動力を取り出すことができるもので、それぞれの利点をあわせ持った画期的なスターリングエンジンを提供するものである。
【0043】
請求項3の発明によれば、前記発明において、前記ピストンは前記ピストンシリンダーの内部に配置し、磁石又は磁性体に連結すると共に前記ピストンシリンダの外部から遠隔で固定するものである。
【0044】
請求項4の発明によれば、前記発明において、前記ピストンシリンダの外部には磁石又は磁性体から成る磁気機構を配設し、前記請求項3記載の磁石又は磁性体を吸引することにより固定するものである。
【0045】
請求項5の発明によれば、前記発明において、前記シリンダは前記請求項2の構成をなし、完全に密封したものである。
【0046】
請求項6の発明によれば、作動気体をディスプレーサシリンダとピストンシリンダ内に形成された密閉空間に封入して完全密封でき、作動気体の漏洩をなくすことができる。また、シリンダの中の作動ガスの膨張だけでなく、作動気体の収縮でもトルクを発生することができ高出力を図ることができる。
【0047】
請求項7の発明によれば、ピストンと前記加熱側室又は冷却側室との間に作動ガスの作動室を形成することができる。
【0048】
請求項8の発明によれば、磁気機構により無接触でピストンを確実に対して固定状態とすることができる。
【0049】
請求項9の発明によれば、第1の磁石と第2の磁石の極性を反対とすることで、磁石との吸引力を利用して無接触状態でピストンを所定位置に固定することができる。
【0050】
請求項10の発明によれば、シリンダは完全に密閉されているため作動ガス(流体)のシリンダからの漏れは皆無である。また、作動ガスの漏れがないから高圧化やメンテナンスも容易である。
【0051】
請求項11〜13の発明によれば、負荷変動などで振動の速さが変わっても、ディスプレーサーの振動は位相差を持った状態で同期できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0053】
図1〜5は実施例1を示しており、一実施形態のスターリングエンジンのシリンダ1は、図1に示すように、設置用固定フレームや車体等の基台2の一側に、該基台2に対して円筒状のシリンダ1を往復動可能に設ける。シリンダ1の軸心Xは基台2の上面2Aと平行に配置されており、直線状の円筒部3と、その軸心Xの一側及び他側に形成された開口部を気密に閉塞する一側蓋部4及び他側蓋部5からなり、シリンダ1の内部は密閉空間としている。ここで、シリンダ1の内部が密封されるとは、シリンダ1に対して一側蓋部4及び他側蓋部5のようなシリンダ1の内外を区画するような箇所が摺動などにより相対的に動くことなく、相対的には固定していることをいい、この固定手段段としてはシール箇所が被シール部材に対して相対的に移送せず、シール材を被シール部材に対して相対的に固定して密封するようなボルト締めなどでもよい。ようするに、内外を区画するような箇所の漏れのおそれをなくする構造であればよい。そして、上面2Aとシリンダ1との間には軸心Xと平行に軸状の摺動案内部材6が設けられている。この摺動案内部材6の一側及び他側は基台2に第1の台部7を介して固定されている。さらに、シリンダ1の一側に固定した一側支持部材8の先端を摺動案内部材6に摺動自在に連結し、またシリンダ1の他側、すなわち後述する他側蓋部5に固定した他側支持部材9の先端を摺動案内部材6に摺動自在に連結することにより、シリンダ1は摺動案内部材6、ひいては基台2に対して往復動可能に設けられる。
【0054】
そして、基台2の他側には動力取り出しとなる出力軸10の回転中心Yが軸心Xと直交する方向に設けられている。この出力軸10は基台2の一側に設けた第2の台部11上に軸受け12を設け、この軸受け12により出力軸10は回動可能に支持されている。そして、この出力軸10にはフライホイール13が同軸状に設けられており、このフライホイール13とシリンダ1の他側、すなわち他側蓋部5との間に、シリンダの往復運動を回転運動に転換する出力取り出し機構たるリンクロッド機構14が介在している。このリンクロッド機構14は、一端を他側蓋部5に回動自在に連結すると共に、他端をフライホイール13に回転中心Yと偏心して回動自在に連結している(偏心長さZ)。これにより、リンクロッド機構14を介して軸心X方向のシリンダ1の往復動をフライホイール13に回転運動に変換できるようになっている。
【0055】
前記シリンダ1内の一側にディスプレーサシリンダ部1Aが形成され、一方他側にはピストンシリンダ部1Bが形成される。これらディスプレーサシリンダ部1Aとピストンシリンダ部1Bは軸心Xに沿って連通状態に形成されているものであり、外部に対しては密閉されている。そして、ディスプレーサシリンダ部1Aにはディスプレーサ15が軸心X方向に摺動可能に配設されており、ディスプレーサ15によりディスプレーサシリンダ部1A内は一側に加熱側室16、他側に冷却側室17が区画形成されるようになっている。
【0056】
また、ディスプレーサシリンダ部1Aには加熱側室16と冷却側室17とを連通する再生手段18が設けられる。実施例ではディスプレーサ15の一側と他側とが連通状態に形成されており、この間に再生手段18が設けられている。したがって、密閉した加熱側室16や冷却側室17の空間に封入されたヘリウムや水素等の比熱の小さい気体が作動気体Gとなって、ディスプレーサ15の一側と他側間を通過して再生されるようになっている。尚、この再生手段18は加熱側室16と冷却側室17を連通するバイパス路の途中に設けられるようにしてもよい。また、冷却側室17に対応するディスプレーサシリンダ部1Aの外周面には冷却手段たる冷却用フィン19が設けられている。この冷却用フィン19により冷却側室17は冷却されるようになっている。
【0057】
前記ピストンシリンダ部1Bにピストン20が相対的に摺動自在で、基台2に対して固定手段21を介して相対的に固定するように設けられる。このピストン20はピストンシリンダ部1Bにおけるピストン20の両側を仕切る機能を有するもので、その周面にはリング状のシール部材20Aが設けられて気密性が保たれるようになっている。そしてこのピストン20の一側面20Bは冷却側室17に臨むようにディスプレーサ15に対向している。
【0058】
そして、ディスプレーサ15に一端を連結すると共にピストン20を摺動自在に貫通した軸状の第1の連結部材22の他端が位相制御手段であるコイルスプリング23に連結している。このコイルスプリング23の一側には連結板24が設けられており、この連結板24はピストンシリンダ部1Bに摺動自在に設けられていると共に、第1の連結部材22の他端が連結している。一方、コイルスプリング23の他側は他側蓋部5の内面に当接している。これによりスプリング23が圧縮されるとその反発力で連結板24、第1の連結部材22を介してディスプレーサ15を押し戻すようになっている。
【0059】
前記固定手段21はピストンシリンダ部1Bの内に摺動自在に設けられ前記ピストン20に連結した第1の磁石25と、ピストンシリンダ部1Bの外に設けられ前記基台2側に固定されると共に前記第1の磁石25と極性が反対な第2の磁石26により形成される。第1の磁石25は第1の連結部材22とピストンシリンダ部1Bの内周面との間に設けられると共に、第1の磁石25は軸心Xを中心としてその全周面或いはほぼ全周面に設けられている。そして第1の磁石25は、第1の連結部材22とピストンシリンダ部1Bと摺動自在に設けられており、この第1の磁石25とピストン20とは第1の連結部材22を外嵌するようなパイプ状の第2の連結部材27によって一体固定化している。一方、第2の磁石26は上面2Aに第3の台部28を介して固定されるものであり、この第2の磁石26は前記第1の磁石25の周囲においてピストンシリンダ部1Bの外側に設けられる。したがって第2の磁石26は第1の磁石25に対向するように軸心Xを中心としてその全周面或いはほぼ全周面に設けられている。そしてピストンシリンダ部1Bと第2の磁石26との間にはわずかな隙間(図示せず)を形成するなどして摺動自在に設けられている。したがって、第1の磁石25、第2の磁石26とそれらの近傍にあるピストンシリンダ部1Bの材質を透磁性材料とすることで磁気機構が形成され、第1の磁石25により磁界、第2の磁石26による磁界により第1の磁石25を基台2に対して相対的に固定位置とし、これにより第1の磁石25と一体なピストン20を基台2に対して相対的に固定位置とすることができる。具体的には第1の磁石25と第2の磁石26との極性を反対にして両者の吸引力によってピストン20を所定位置に固定できるようにする。尚、磁気機構は磁石同士の組み合わせではなく、少なくとも一方を磁石とし、他方を鉄などの磁性材としてもよい。また、磁石は電磁石など磁界を生ずるものであればよい。
【0060】
次に前記構成についてその作用を説明する。前記構成ではピストン20を固定することによって、外側のシリンダ1を駆動しシリンダ1に連結されたリンクロッド機構14によって回転軸を回転させるものである。一方、ディスプレーサ15はフリーピストンエンジンと同様にスプリング23のたわみを利用して、シリンダ1の動きに対して位相を約90度先行させることによってエンジンを有効に動かす役目を果たすようになっている。
【0061】
さらに作用を詳述する。図2はシリンダ1が下死点に位置し、ディスプレーサ15が下死点後90度の位置にある状態を示している。ディスプレーサ15には連通した第2の連結部材27を備え、その他端にはスプリング23が連結している。そして、この状態ではスプリング23は伸び始めている。そしてシリンダ1の加熱側室16を加熱するとその内側の作動気体Gは膨張し圧力増加する。シリンダ1内の作動気体Gは金網などで作られた再生手段18を通過しながら、ディスプレーサ15に熱を与え、すなわち熱交換を行い冷却側室17に入りピストン20とディスプレーサ15との間が作動室となって、該作動室に作動気体Gが導入される。ここでピストン20は固定されているため、高圧の作動気体Gはシリンダ1を一側方向に移動させることとなる。シリンダ1が一側方向に動くと連結されたリンクロッド機構14は出力軸10を矢印方向に動かす。
【0062】
図3ではディスプレーサ15のスプリング23は最大に伸びきった状態となり、ディスプレーサ15は上死点、ピストン20は下死点後90度の状態となる。
【0063】
作動気体Gはなお膨張を続け、図4に示すようにシリンダ1は上死点に到達する。一方、スプリング23は圧縮され続け下死点前90度の状態になる。ここで作動気体Gは冷却側室17で冷却され、その堆積を縮め作動室の圧力が減少する。そしてピストン20が固定されているために、シリンダ1内の圧力が低くなり、シリンダ1は他側方向に移動する。
【0064】
図5ではシリンダ1は下死点前90度、ディスプレーサ15は下死点の状態を示す。このときにはスプリング23は最も縮まった状態となる。
【0065】
そして再び、図2に示す第1行程へ移行するものである。
【0066】
以上のように、前記実施例では基台2に対して往復動可能に設けられた内部を密封したシリンダ1に、ディスプレーサ15を摺動自在に設けたディスプレーサシリンダ部1A、ピストン20を摺動自在に設けたピストンシリンダ部1Bを形成し、このシリンダ1に一側を連結すると共に他側を出力軸10に連結したリンクロッド機構14とを備え、さらにピストン20を基台2に対して相対的に固定する固定手段を21を設け、シリンダ1自体を往復動させるようにしたことにより、シリンダ1を完全密封することで作動気体Gの漏れをなくすことができ、さらにシリンダ1の中の作動気体Gの膨張だけでなく、作動気体Gの収縮でもトルクを発生することができる。
【0067】
さらに、前記ピストン20は冷却側室17に臨んで設けられ、この冷却側室17におけるピストン20との間に形成される作動室により作動気体Gの作用を有効に利用することができる。
【0068】
また、固定手段21が第1の磁石25、第2の磁石26などによる磁気機構であることによって、無接触でピストン20を確実に基台2に対して固定状態とすることができる。
【0069】
しかも、第1の磁石25と第2の磁石26の極性を反対とすることで、第1の磁石25と第2の磁石26との吸引力を利用して内側の第1の磁石25と外側の第2の磁石26とが無接触状態でピストン20を所定位置に固定することができる。
【実施例2】
【0070】
図6〜9は実施例2を示しており、前記実施例1及び従来技術と同様な部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例2では、高温(膨張)部103と低温(圧縮)部104との間の通路105には、高温(膨張)部103から低温(圧縮)部104にかけて加熱部106、再生器107、冷却器108が配置されている。さらに、シリンダ1は従来技術とは異なり開口はなく、シリンダ1の内部は外部と完全に遮断された状態でディスプレーサ101、ピストン102や作動流体等が設けられている。また、発電機のような場合には設置用台、車両の場合には車体のような固定側となるスターリングエンジンが取り付けられる基台2に対してピストン102は固定手段21によって相対的に定位置に固定されている。また、シリンダ1の軸心Xの延長線上に、軸心Xに沿って往復動する運動を回転運動に変換するためのリンクロッド機構(出力取り出し機構)14の中心が配置されている。このリンクロッド機構(出力取り出し機構)14は基台2側に設けられる。
【0071】
そして、図6に示す第1行程においてはピストン20は下死点、ディスプレーサ15は上死点にあり、作動気体はすべて低温(圧縮)部17にある。この状態ではディスプレーサ15がシリンダ1の一側端を外側に押圧することによりシリンダ1はピストン20に対して一側に移動している。図7に示す第2行程においては、ディスプレーサ15は上死点に留まり、ピストン20は低温にて作動流体を圧縮する。図8に示す第3行程においては、ピストン102は上死点に留まる。ディスプレーサ101は作動流体を低温(圧縮)部104から高温(膨張)部103へ移動して、ピストン102に接することで、ディスプレーサ101も基台2に対して相対的に固定状態となる。そうすると、高温(膨張)部103の膨張によってシリンダ1はピストン20とは反対方向に移動し、この軸心X方向の移動をリンクロッド機構14により回転運動に変換することができる。そして、図9に示す第4行程においては、高温作動流体は膨張し、ピストン102とディスプレーサ101は両方とも下死点にある。次にピストン102は下死点に留まったままディスプレーサ101は上昇し、作動流体を低温(圧縮)部104に戻して再び第1行程の状態につなげるというものである。
【0072】
このように、基台2に対して軸心X方向に往復動可能に設けられた内部を作動流体を密封した密閉容器からなるシリンダ1と、前記シリンダ1内の一側に軸心X方向に摺動自在に設けられるディスプレーサ15と、前記シリンダ1内の他側に軸心X方向に摺動自在に設けられるピストン20と、ピストン20が相対的に定位置を保つようにピストン20を基台2に間接的に固定する固定手段21と、前記シリンダ1に連結されて該シリンダ1と基台2との間に介在し軸心X方向の該シリンダ1の往復運動を回転運動に転換する出力取り出し機構としてのリンクロッド機構14とを備えることにより、低温(圧縮)部104、ら高温(膨張)部103との圧力差を利用すると共に、ピストン20を相対的に固定することでスターリングサイクルの作動においてシリンダ1自体を軸心X方向に往復動させることで、作動流体の漏れを完全になくして動力を取り出すことができる。尚、ディスプレーサ101とピストン20との同期制御はバネなど適宜周知手段によって行う。
【実施例3】
【0073】
図10は実施例3を示しており、スターリング機関として、スターリング冷凍機にも利用する場合である。これは前記実施例における出力取り出し機構を入力機構として、該入力機構によってシリンダを往復移動等移動させ、そして冷却側を冷蔵室、冷凍室に臨ませたり或いはパイプ中等の冷媒(熱媒体)などを熱移動手段を介してスターリング冷凍機としても利用することができる。尚、前記実施例1と同一部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
実施例3では完全に密閉されたシリンダ1を軸心Xに沿って往復運動させるためにシリンダ1の他側蓋部5に偏心長さZとなるリンクロッド機構14を介してモータやエンジンなどの冷凍用回転型駆動源31が接続されている。冷凍用回転型駆動源31の回転軸32は第2の台部11上に軸受け12を介して設けられている。したがって、冷凍用回転型駆動源31を作動すると回転軸32の回転力はリンクロッド機構14により、シリンダ1を軸心Xに沿って往復運動する。この駆動源31とリンクロッド機構14によりシリンダ1の往復駆動手段30が形成される。すなわち、冷凍サイクルでは前述のように、ピストン20は往復動を開始する。また、ディスプレーサ15は、ピストン20が往復動する力を受けてディスプレーサ15も往復動を開始する。
【0075】
圧縮室となる冷却側室17内の作動空間においては、ピストン20の往復動に伴って作動ガスの圧縮・膨張が繰り返される。この圧力変化に伴い、ディスプレーサ15も往復動を開始する。このようなスターリング冷凍機の動作により、圧縮室17A内と膨張室16A内との間において逆スターリングサイクルが実現する。圧縮室17A内においては等温圧縮変化に基づいて作動ガスの温度が上昇し、膨張室16A内においては等温膨張変化に基づいて作動ガスの温度が低下する。
【0076】
運転中において圧縮室17Aと膨張室16Aとの間を往復動する作動ガスGは、圧縮室17Aに対応してシリンダ1に設けられた放熱部32および膨張室16Aに対応してシリンダ1に設けられた吸熱部33に伝熱する。圧縮室17Aから再生手段18に流れ込む作動ガスは高温であるため、放熱部32は加熱される。これに対し、膨張室16Aから再生手段1に流れ込む作動ガスは低温であるため、吸熱部33は冷却される。以上により、特定の空間から吸熱部33を介して熱を奪い、その熱を例えば放熱部32を介して大気に放散することにより、スターリング冷凍機が冷凍機関として機能することになる。ここで、再生手段18は、圧縮室17Aと膨張室16Aとの間を流動する作動ガスの熱を相互に伝えることなく、作動ガスGをそれぞれの空間に移動させる、いわゆる蓄熱装置としての機能を発揮する。
【0077】
以上のように、前記実施例では実施例1と同様に、シリンダ1は完全に密閉されているため作動ガスGのシリンダ1からの漏れは皆無である。また、作動ガスGの漏れがないから高圧化やメンテナンスも容易である。
【0078】
さらに、実施例1と同様に前述の請求項3〜9に対応して個々の作用効果を奏する。
【実施例4】
【0079】
図11〜図14は実施例4を示しており、前記実施例1及び従来技術と同様な部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0080】
図14に示すように、ピストン20と一体に構成された内側の磁石25を外側の磁石26によって吸引し基台2に固定する。ピストン20を固定すると膨張収縮した作動ガスGは外側の(パワー)シリンダー1を往復運動させ、これに連動したロッド(リンクロッド機構14)を介してクランク軸(出力軸10)を回転させ動力を取り出すように構成している。
【0081】
一方、ディスプレーサー15に連結したロッド(第1の連結部材22)の他側方向である一端に円筒状の第3の磁石41を備える。この第3の磁石41は連結板24に他側へ向けて円筒状となって備えられている。尚、磁石支持部材である連結板24や、ロッド(第1の連結部材22)はステンレス鋼などの非磁性材料とする。
【0082】
さらに、パワーシリンダー1の他側蓋部5の中央部にも第4の磁石42を設ける。この磁石42は前記磁石41と同極の磁石であって、両者はシリンダー1内で対向する配置になっている。すなわち磁石41と磁石42は、反発する磁極を持った磁石を取り付ける。また、ピストン固定用磁石である第2の磁石26の他側端面に磁石42に反発する第5の磁石43を取り付ける。この磁石43は磁石42と同極であって相互に反発するように対向するように配置されている。この場合にはシリンダー1は非磁性材料で透磁性材料によって形成されており、第2の磁石26と兼用してもよい。
【0083】
したがって、図11に示す膨張行程では、暖められた作動ガスGの膨張によってシリンダー1は右方向に移動し、リンクロッド機構14は反時計方向に回転する。次に図12に示す冷却行程では、シリンダー1が完全に右に移動すると、暖められた加熱側の作動ガスGはディスプレーサー15によって冷却側に送り込まれた作動ガスGは冷却される。次に図13に示す圧縮行程では、冷却された作動ガスGの収縮でシリンダー1は左方向に移動する。さらに図14に示す加熱行程では、冷やされた作動ガスGがディスプレーサー15によって加熱側に送り込まれて暖められる。
【0084】
そして、図11の状態から図12の状態になるように、シリンダー1が右方向に移動したとすると、磁石42がディスプレーサー15側の磁石41に接近する。両磁石41,42は同極の磁石であるために反発し磁石41は右方向に移動する。すなわち、ロッド(第1の連結部材22)を介してディスプレーサー15を右方向に移動することとなる。
【0085】
また、逆にピストン固定用の磁石25の端面に取り付けた磁石43に接近した場合は、ディスプレーサー用磁石41は左方向に移動することとなる。このようにディスプレーサー用磁石41と他側蓋部5の磁石42との反発、ディスプレーサー用磁石41と固定用磁石25に取り付けた磁石43との反発を繰り返してディスプレーサー15が往復移動することとなる。この往復移動は、それぞれの磁石41,42,43相互間の固有振動数で駆動されるのではなく、パワーシリンダー1の動きによって磁石41は磁石42及び磁石43によって励起され磁石と磁石の間を確実に移動することになる。また、磁石41,42,43、ロッド(第1の連結部材22)及びディスプレーサー1の質量による慣性力などによってパワーシリンダー1の動きに遅れて(位相差をもって)駆動されることとなる。
【0086】
磁石41が磁石42及び磁石43にそれぞれ接近すると同極であるために反発力が発生する。この反発力は接近した距離の二乗に反比例して大きな力が発生するため、磁石41と磁石42が衝突することはないと同時に固有振動数に関係なく、確実にディスプレーサー15を駆動することができる。この磁石41,42,43は一種のクッション材として働き、例えば従来のフリーピストン型のエンジンではスプリングに直接ディスプレーサーが衝突するためスプリングを壊す危険性があったが磁石の場合機械的な接触はない無いので破壊されることはなくなる。
【0087】
したがって、この実施例では前記実施例1と同様に、ピストン20が固定されているため、パワーシリンダー1が往復動をし、パワーシリンダー1に連結されたロッド(リンクロッド機構14)を介してクランク軸(出力軸10)を回転させることができ、従来のキナマティックエンジンと同様に出力を容易に取り出すことができる。
【0088】
さらに、従来のフリーピストン型のエンジンのようにディスプレーサー150とピストン2の2つの振動体の振動数の一致に束縛されないので、負荷変動などで振動の速さが変わっても、ディスプレーサー15の振動は必ずそれに位相差を持った状態で同期する。このように、前記実施例では負荷が変動しても、また、出力の振動数を大幅に変化させても振動は止まらない特長を有する。
【0089】
以上のように、前記実施例においては、前記ディスプレーサ15側に連結手段としての第1の連結部材22を介して他側蓋部5側に対向する磁石41を一体に設け、そしてこの磁石41に対向するように他側蓋部5に磁石42を設けると共に、磁石42と反対側に位置して磁石41と対向するように磁石25側に磁石43を設け(尚、磁石43に代えて磁石25あるいは磁石26によって兼用してもよい)、これら磁石41,42,43は極性が同じに設定されて相互に反発するようになっており、しかもこれら磁石41,42間は相互に磁界が及ぶようになっており、磁石42,43間も相互に磁界が及ぶようになっており、これによりディスプレーサー15の振動は位相差を持った状態で同期することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように本発明に係るスターリングエンジンは、各種の用途に適用できる。例えば、出力取り出し機構はシリンダの一側やシリンダの中央部に連結してもよいなど各種の変形が可能である。尚、実施例2や実施例4のような構成をスターリング冷凍機に利用できる。さらに、実施例4のものをスターリング冷凍機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1を示す第1行程の断面図である。
【図3】本発明の実施例1を示す第2行程の断面図である。
【図4】本発明の実施例1を示す第3行程の断面図である。
【図5】本発明の実施例1を示す第4行程の断面図である。
【図6】本発明の実施例2を示す第1行程の断面図である。
【図7】本発明の実施例2を示す第2行程の断面図である。
【図8】本発明の実施例2を示す第3行程の断面図である。
【図9】本発明の実施例2を示す第4行程の断面図である。
【図10】本発明の実施例3を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例4を示す第1行程の断面図である。
【図12】本発明の実施例4を示す第2行程の断面図である。
【図13】本発明の実施例4を示す第3行程の断面図である。
【図14】本発明の実施例4を示す第4行程の断面図である。
【図15】従来例を示す第1行程の断面図である。
【図16】従来例を示す第2行程の断面図である。
【図17】従来例を示す第3行程の断面図である。
【図18】従来例を示す第4行程の断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 シリンダ
1A ディスプレーサシリンダ部
1B ピストンシリンダ部
2 基台
14 リンクロッド機構(出力取り出し機構)
15 ディスプレーサ
16 加熱側室
17 冷却側室
18 再生手段
20 ピストン
21 固定手段
25 第1の磁石
26 第2の磁石
X 軸心
30 往復駆動手段
41 第3の磁石
42 第4の磁石
43 第5の磁石
【出願人】 【識別番号】506262092
【氏名又は名称】窪田 ▲ひろ▼吉
【出願日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【代理人】 【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護


【公開番号】 特開2008−57523(P2008−57523A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−324807(P2006−324807)