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【発明の名称】 カムキャップ
【発明者】 【氏名】莊司 純平
【課題】内燃機関の吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とを一体に設けたカムキャップにおいて、剛性を高めて、2つの油路接続面間の位置精度を高く維持する。

【構成】接続部16,18も含めた2つのカムキャップ部4,6の間は壁部36にて連結されている。したがって排気カムシャフト用カムキャップ部4と吸気カムシャフト用カムキャップ部6とを一体に設けたカムキャップ2の剛性を高めることができ、内燃機関への取り付け後においても2つの油路接続面16a,18a間の位置精度を高く維持できる。このためカムキャップ2側の油路接続面16a,18aとシリンダヘッドカバー側の油路接続面との間のシール性が高くなってオイル漏れを防止でき、VVT44,46の制御応答性向上や制御異常防止ができる。壁部36により作動油消費量も低減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とを一体に設けたカムキャップであって、
各カムキャップ部にカムシャフト用軸受面とは反対側に突出して設けられ、オイルコントロールバルブのポートに接続する油路が開口するシリンダヘッドカバー側の油路接続面と連結して、シリンダヘッドカバー側の油路と各カムキャップ部側の油路とを接続する油路接続面を形成している2つの接続部と、
前記2つの接続部の間を連結する壁部と、
前記壁部内に設けられて前記2つの接続部内の供給油路を結ぶ作動油供給分配油路と、
前記作動油供給分配油路に接続して形成されることで、外部からの作動油を前記作動油供給分配油路に供給する作動油導入油路と、
を備えたことを特徴とするカムキャップ。
【請求項2】
請求項1において、前記壁部は、前記2つの接続部の間も含めた前記2つのカムキャップ部の間を全て連結していることを特徴とするカムキャップ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記壁部の上縁部は一直線状に形成されていることを特徴とするカムキャップ。
【請求項4】
請求項3において、前記壁部の上縁部は下側の厚さよりも直径が大きい円柱状に形成されて前記2つの接続部の間を接続し、該上縁部内には前記作動油供給分配油路の全体が各カムキャップ部のカムシャフト用軸受面よりも高い位置に一直線状に形成されて、前記2つの接続部内の供給油路を結んでいることを特徴とするカムキャップ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記作動油導入油路は、前記壁部内に形成されて、下端部がカムキャップ底面に開口し、上端部が前記作動油供給分配油路の中間に接続することを特徴とするカムキャップ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記2つの接続部には、各々、前記オイルコントロールバルブに作動油を供給する前記供給油路と、前記オイルコントロールバルブにより調圧された作動油が給排される調圧油路とが、前記油路接続面に開口した状態で形成され、前記調圧油路の下端は各カムキャップ部のカムシャフト用軸受面に開口していることを特徴とするカムキャップ。
【請求項7】
請求項6において、前記調圧油路は前記接続部に各2つ設けられていると共に、前記オイルコントロールバルブは、前記供給油路の作動油を、前記2つの調圧油路の一方へ選択的に供給し、他方からは作動油を排出させる機能を有することを特徴とするカムキャップ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とを一体に設けたカムキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気カムシャフトや排気カムシャフトを、シリンダヘッドやカムハウジング上に形成されたジャーナル軸受上に保持するためのカムキャップとして、吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とを一体化したカムキャップが提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1では、カムキャップにおいて、シリンダヘッドカバーに配置した1つのオイルコントロールバルブ(特許文献1では「油圧制御弁」)との間で作動油の給排を仲介する油路を形成することにより、一方のカムシャフト側のみにオイルコントロールバルブにて調圧された作動油を供給している。この作動油により一方のカムシャフトの先端に設けた可変バルブタイミング機構を駆動して、吸気バルブあるいは排気バルブのバルブタイミングを調節可能としている。尚、本明細書で「調圧」とは油圧の高低調節のみでなく、油圧のオン・オフ調節も含む概念である。
【特許文献1】特開2003−227321号公報(第3−5頁、図1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなカムキャップ構成にて吸気バルブと排気バルブとの両方のバルブタイミングを調節しようとすると、上述したカムキャップとは対称な形状の別のカムキャップを加えて、シリンダヘッドカバーに増設したもう1つのオイルコントロールバルブとの間で作動油の給排を仲介する油路を形成することになる。
【0004】
この構成において、1つのシリンダヘッドカバー上に配置した2つのオイルコントロールバルブ用の油路と、2つのカムキャップに形成した油路との間の油路接続は、油路接続面を相互に当接し圧着することでなされる。しかし2つのオイルコントロールバルブ側の各油路接続面は1つのシリンダヘッドカバーに形成されているが、カムキャップ側の油路接続面は2つのカムキャップに分かれている。したがってシリンダヘッドカバー側での2つの油路接続面間の位置関係は高精度に設定できたとしても、カムキャップ側の油路接続面は2つのカムキャップに分かれているため、2つの油路接続面間の位置精度を上げることは困難である。したがって油路接続面同士の密着性が低下するおそれがある。
【0005】
同一のカムキャップに2つのオイルコントロールバルブとの間で作動油の給排を仲介する油路を形成することが考えられる。この場合においても、吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とのそれぞれに油路と油路接続面とを形成することになる。しかし2つのカムキャップ部を形成することにより長尺化しているカムキャップはそれだけ低剛性となっており、カムキャップの製造時には2つの油路接続面間の位置精度が高くても、シリンダヘッドやカムハウジング上へボルト締結する際の歪みによる2つの油路接続面間の位置精度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、内燃機関の吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とを一体に設けたカムキャップにおいて、剛性を高めることにより、内燃機関への取り付け後においても2つの油路接続面間の位置精度を高く維持できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載のカムキャップは、内燃機関の吸気カムシャフト用カムキャップ部と排気カムシャフト用カムキャップ部とを一体に設けたカムキャップであって、各カムキャップ部にカムシャフト用軸受面とは反対側に突出して設けられ、オイルコントロールバルブのポートに接続する油路が開口するシリンダヘッドカバー側の油路接続面と連結して、シリンダヘッドカバー側の油路と各カムキャップ部側の油路とを接続する油路接続面を形成している2つの接続部と、前記2つの接続部の間を連結する壁部と、前記壁部内に設けられて前記2つの接続部内の供給油路を結ぶ作動油供給分配油路と、前記作動油供給分配油路に接続して形成されることで、外部からの作動油を前記作動油供給分配油路に供給する作動油導入油路とを備えたことを特徴とする。
【0008】
2つの接続部の間は壁部にて連結されている。この壁部の存在によりカムキャップ全体の剛性が高められている。このことにより内燃機関への取り付け後においても2つの油路接続面間の位置精度を高く維持できる。
【0009】
更に、この壁部内には作動油供給分配油路が2つの接続部内の供給油路を結ぶように形成されている。このため壁部を軽量化することができるので、壁部を設けてカムキャップ全体の剛性を高めても、重量増加を抑制できる。
【0010】
請求項2に記載のカムキャップでは、請求項1において、前記壁部は、前記2つの接続部の間も含めた前記2つのカムキャップ部の間を全て連結していることを特徴とする。
壁部は、2つのカムキャップ部の間において接続部側のみに設けても良いが、2つの接続部の間も含めた2つのカムキャップ部の間を全て連結するように形成しても良い。このことによっても、作動油供給分配油路の存在により重量増加を抑えて剛性を高めることができる。
【0011】
更に、壁部が2つのカムキャップ部の間を全て連結しているために、シリンダヘッドカバー内に生じた油飛沫が、この壁部により移動が阻止されてブローバイガスとして排出される油量が低減する。したがって作動油の消費量を抑制できる。
【0012】
請求項3に記載のカムキャップでは、請求項1又は2において、前記壁部の上縁部は一直線状に形成されていることを特徴とする。
特に壁部の上縁部は一直線状に形成することで、剛性もより高くなり、作動油供給分配油路も容易に形成することができる。更に油飛沫の移動もより確実に阻止でき作動油の消費量を抑制できる。
【0013】
請求項4に記載のカムキャップでは、請求項3において、前記壁部の上縁部は下側の厚さよりも直径が大きい円柱状に形成されて前記2つの接続部の間を接続し、該上縁部内には前記作動油供給分配油路の全体が各カムキャップ部のカムシャフト用軸受面よりも高い位置に一直線状に形成されて、前記2つの接続部内の供給油路を結んでいることを特徴とする。
【0014】
このように壁部の上縁部を形成することにより、壁部の重量の割には剛性を高くできる。更に作動油供給分配油路の全体が各カムキャップ部のカムシャフト用軸受面よりも高い位置に一直線状に形成されているので、ドリル加工などにて形成する際にカムシャフト用軸受面への穿孔到達を考慮することなく加工が容易となる。
【0015】
請求項5に記載のカムキャップでは、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記作動油導入油路は、前記壁部内に形成されて、下端部がカムキャップ底面に開口し、上端部が前記作動油供給分配油路の中間に接続することを特徴とする。
【0016】
このように作動油供給分配油路ばかりか、作動油導入油路についても壁部内に形成することにより、両方の接続部に容易に作動油を供給できる。
請求項6に記載のカムキャップでは、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記2つの接続部には、各々、前記オイルコントロールバルブに作動油を供給する前記供給油路と、前記オイルコントロールバルブにより調圧された作動油が給排される調圧油路とが、前記油路接続面に開口した状態で形成され、前記調圧油路の下端は各カムキャップ部のカムシャフト用軸受面に開口していることを特徴とする。
【0017】
このように油路が形成されているので、各接続部の油路接続面をシリンダヘッドカバー側の油路接続面に連結することで、作動油供給分配油路及び供給油路からオイルコントロールバルブに作動油を供給できる。そしてオイルコントロールバルブの調圧により作動油を調圧油路から吸気カムシャフト及び排気カムシャフト内の油路に供給あるいは排出できる。こうして各カムシャフトに取り付けられた可変バルブタイミング機構を油圧駆動して、吸気バルブと排気バルブとのバルブタイミングを調節することができる。
【0018】
請求項7に記載のカムキャップでは、請求項6において、前記調圧油路は前記接続部に各2つ設けられていると共に、前記オイルコントロールバルブは、前記供給油路の作動油を、前記2つの調圧油路の一方へ選択的に供給し、他方からは作動油を排出させる機能を有することを特徴とする。
【0019】
このようにして2つのオイルコントロールバルブの油圧駆動に必要な油路を、1つのカムキャップに集中して形成することができるので、他のカムキャップ、あるいはシリンダヘッドやカムハウジングにオイルコントロールバルブ用の油路を設ける必要がなく、構成がコンパクトで油路形成も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[実施の形態1]
図1は上述した発明が適用されたカムキャップ2の平面図(A)及び正面図(B)を表し、図2は右側面図(A)及び図1でのX−X断面図(B)を表している。図3はカムキャップ2の斜視図、図4は内燃機関に適用した状態を示す要部破断斜視図である。
【0021】
カムキャップ2は、アルミニウム合金などの金属の鋳造体を研削加工にて仕上げられたものであり、排気カムシャフト用カムキャップ部4(図1左側部分)と吸気カムシャフト用カムキャップ部6(図1右側部分)とを一体に設けている。各カムキャップ部4,6にはそれぞれ半円筒状のカムシャフト用軸受面4a,6aが形成されている。カムシャフト用軸受面4a,6aは、カムキャップ2がカムハウジング7側にボルト締結(シリンダヘッドに直接締結しても良い)されると、カムハウジング7側に形成されたカムシャフト用軸受面7aとの間で、図3に破線にて示したごとく排気カムシャフト8及び吸気カムシャフト10を回転可能に支持する。尚、カムハウジング7への固定は2つのボルト挿通孔2a,2bを挿通させた各ボルトBtをカムハウジング7側の螺入孔7bに螺合することにより行われる。他の3つのボルト挿通孔2c,2d,2eは、同一位置に形成されているカムハウジング7のボルト挿通孔と共にボルトをシリンダヘッドまで挿通させるものであり、このシリンダヘッドに形成されている螺入孔にボルトを螺合することで、カムキャップ2と共にカムハウジング7の固定も実行される。又、カムキャップ2の取り付け時には、各カムシャフト8,10とカムシャフト用軸受面4a,6a,7aとの間に金属製の滑り軸受12,14が配置される。
【0022】
各カムキャップ部4,6には接続部16,18が、カムシャフト用軸受面4a,6aとは反対側に突出して形成されている。接続部16,18の先端には油路接続面16a,18aが形成されている。この油路接続面16a,18aは、図4に示したシリンダヘッドカバー20側の接続部、すなわちシリンダヘッドカバー20の下面に下垂状態に形成されている接続部22の先端(下端)にある油路接続面22bに接続されるが、この油路接続面22bとほぼ同一外形とされている。
【0023】
シリンダヘッドカバー20の接続部22における油路接続面22bは、油路開口部分以外は完全な平面である。しかしカムキャップ2の接続部16,18における油路接続面16a,18aについては、油路24,26,28,30,32,34の開口部の縁部及び油路接続面16a,18a全体の縁部は、他の部分よりも高くされて堤状をなしている。このことにより油路接続面16a,18aにはガスケット収納溝16b,18bが形成されている。このガスケット収納溝16b,18bに各油路24,26,28,30,32,34の開口部を囲む形状のガスケットが配置される。このことにより図4のごとくカムキャップ2の2つの接続部16,18と、シリンダヘッドカバー20の2つの接続部22とを接続した場合に、油路同士の接続面から作動油が漏れないようにオイルシールがなされる。
【0024】
カムキャップ2においては、カムキャップ部4,6間には壁部36が上方に立ち上がるように一体形成されている。そして壁部36の最高部位36aの高さ位置は、2つの接続部16,18に至る。本実施の形態では、油路接続面16a,18aよりわずかに下の位置まで至っている。すなわち壁部36は2つの接続部16,18の間も含めた2つのカムキャップ部4,6の間を全て連結している。
【0025】
そして壁部36の上縁部36bは一直線状に形成されていて、この上縁部36bは、壁部36において上縁部36bよりも下側の厚さよりも直径が大きい円柱状に形成されている。この上縁部36bが接続部16,18間を接続するとともに、上縁部36b内には作動油供給分配油路38が一直線状に形成されて、2つの接続部16,18内の供給油路24,30を結んでいる。この作動油供給分配油路38は、全体がカムキャップ部4,6のカムシャフト用軸受面4a,6aよりも高い位置に形成されている。尚、作動油供給分配油路38は鋳抜き又はドリル加工にて一直線状に形成されているが、両端にはプラグ38a,38bが打ち込まれており、両端から作動油が漏れないようにされている。
【0026】
壁部36には、上端部にて作動油供給分配油路38に直交状態で接続する作動油導入油路40が形成されている。この作動油導入油路40は下端部がカムキャップ2の底面2fに開口している。この作動油導入油路40は図4に示したごとくにカムハウジング7に取り付けられることで、下端部においてカムハウジング7(シリンダヘッドでも良い)側から作動油の供給を受けて、作動油供給分配油路38にポンプ圧に昇圧された作動油を供給する。このことにより作動油供給分配油路38を介して接続部16,18の供給油路24,30に作動油を供給する。尚、本実施の形態では作動油導入油路40の位置にてオイルフィルタを配置するために作動油導入油路40自体と、作動油導入油路40の外周部40aが大径でかつ先端が先鋭状に形成されている。オイルフィルタを配置しなければ、上縁部36bと同じ径の作動油導入油路40と外周部40aとを形成すれば良い。
【0027】
供給油路24,30は、シリンダヘッドカバー20側の各接続部22に対してはそれぞれの供給油路22a(図4)に接続される。尚、図4ではシリンダヘッドカバー20における一方側の接続部22のみ示しているが、もう1つの接続部についても同様な構成である。供給油路22aはオイルコントロールバルブ(以下「OCV」と略す)の装着部42の装着穴42cに装着されるOCVの供給ポートに作動油を供給する。尚、図4ではOCV装着前の装着穴42cの状態を表している。OCVは電磁バルブとして構成された流路切換弁であり、1つの供給ポート、2つの調圧ポート及び2つの排出(ドレン)ポートを備えている。供給ポートを2つの調圧ポートの一方に選択的に接続し、他方の調圧ポートは排出ポートに接続する機能を果たす。各調圧ポートは、装着穴42c内に開口する接続部22における2つの調圧油路に接続されており、この2つの調圧油路は、カムキャップ2の接続部16,18における調圧油路26,28,32,34に接続されている。したがってOCVの油路切り換え制御により、作動油を調圧油路26,32と調圧油路28,34とのいずれかに選択的に供給することができる。
【0028】
そしてOCVの排出ポートは装着穴42cにおける排出口42a,42bに接続されてシリンダヘッドカバー20の下側の空間に開放されている。このため作動油が供給されなかった方の調圧油路26,32又は調圧油路28,34の作動油は、シリンダヘッドカバー20の接続部22とOCVとを介して、いずれかの排出口42a,42bからシリンダヘッドカバー20内へ、図4にて矢線にて示すごとく排出(ドレン)される。
【0029】
調圧油路26,28,32,34の下端部はカムシャフト用軸受面4a,6aに開口している。そして更に各滑り軸受12,14、各カムシャフト8,10の周溝8a,10a、及び各カムシャフト8,10内の調圧油路8b,8c,10b,10cを介して各可変バルブタイミング機構(以下「VVT」と略す)44,46(図3)の進角油圧室と遅角油圧室とに接続されている。したがって各OCVの制御により、各接続部16,18の調圧油路26,28,32,34に対して選択的に一方側へ作動油を供給し、他方側の作動油を排出することにより、VVT44,46を駆動して、各カムシャフト8,10の回転位相をクランクシャフトに対してずらすことができる。このことにより、吸気バルブタイミングや排気バルブタイミングを進角させたり遅角させたりすることができる。
【0030】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).接続部16,18も含めた2つのカムキャップ部4,6の間は壁部36にて連結されている。したがって排気カムシャフト用カムキャップ部4と吸気カムシャフト用カムキャップ部6とを一体に設けたカムキャップ2において、その剛性を高めることができ、内燃機関への取り付け後においても2つの油路接続面16a,18a間の位置精度を高く維持できる。このためカムキャップ2側の油路接続面16a,18aとシリンダヘッドカバー20側の油路接続面22bとの間のシール性が高くなってオイル漏れを防止できるので、VVT44,46の応答性を向上できたり、オイル漏れによるVVT44,46の制御異常を防止できる。
【0031】
この壁部36内には作動油供給分配油路38が2つの接続部16,18内の供給油路24,30を結ぶように形成されている。このことにより壁部36を軽量化することができる。しかも、壁部36の上縁部36bは下側の厚さよりも直径が大きい円柱状に形成され、この円柱状部分に作動油供給分配油路38が一直線状に形成されていることから、壁部36の重量の割には剛性を高くできる。したがって重量増加を抑えて剛性を高めることができる。
【0032】
(ロ).壁部36は、最高部位36aよりも下の領域では、接続部16,18も含めた2つのカムキャップ部4,6の間を全て連結していて隙間は存在しない。
シリンダヘッドカバー20の下面側には金属板20aに覆われたブローバイガスルーム20bが存在するが、上述した壁部36は、このブローバイガスルーム20bと、タイミングチェーンが存在する側(図4ではカムキャップ2よりも右側)との間にある。したがって壁部36は、ブローバイガスルーム20bに対して排気カムシャフト用カムキャップ部4から吸気カムシャフト用カムキャップ部6に至るまで隙間なく形成された高い障壁となっている。このため内燃機関運転時にオイル飛沫がブローバイガスルーム20b側に飛散するのを壁部36が阻止できるので、ブローバイガスとして排出される油量が低減することから、オイル消費抑制効果が生じる。
【0033】
(ハ).作動油供給分配油路38が形成されている上縁部36bは一直線状に形成されているので、作動油供給分配油路38は直線状に形成すれば良く、鋳抜きやドリルなどで容易に形成することができる。しかもこの作動油供給分配油路38は、全体が各カムキャップ部4,6のカムシャフト用軸受面4a,6aよりも高い位置に形成されているので、ドリル加工などで形成する際にカムシャフト用軸受面4a,6aに開口してしまうことはなく容易に形成できる。
【0034】
(ニ).作動油導入油路40は壁部36内に形成されて、作動油供給分配油路38の中間に接続している。このことにより2つの接続部16,18側へ作動油を容易に供給することができる。
【0035】
(ホ).各接続部16,18では各2つの調圧油路26,28,32,34が設けられていると共に、各OCVは、各供給油路24,30の作動油を、この各2つの調圧油路26,28,32,34の一方へ選択的に供給し、他方からは作動油を排出させる機能を有している。このことにより、2つのOCVの油圧駆動に必要な油路24,26,28,30,32,34を、カムキャップ2に集中して形成することができるので、他のカムキャップ、あるいはシリンダヘッドやカムハウジング7にOCV用の油路を設ける必要がなく、構成がコンパクトで油路形成も容易である。
【0036】
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態において、図示したごとく壁部36は円柱形の上縁部36bよりも下側の部分も存在したが、作動油の飛び散りが他の部材により防止されていれば、上縁部36bより下の壁部36は、作動油導入油路40の外周部40aを除いて設けなくても良い。上縁部36bが接続部16,18間を接続し、更に外周部40aが上縁部36bを補強しているので、カムキャップ2の剛性は維持でき、内燃機関の軽量化にも貢献できる。
【0037】
(b).上縁部36bは直線状に形成されていたが、中央部を上方に湾曲するように突出することで、更にカムキャップ2の補強効果を生じさせても良い。作動油供給分配油路38については直線状に形成すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1のカムキャップの平面図及び正面図。
【図2】実施の形態1のカムキャップの右側面図及び図1のX−X断面図。
【図3】実施の形態1のカムキャップの斜視図。
【図4】実施の形態1のカムキャップを内燃機関に適用した状態を示す要部破断斜視図。
【符号の説明】
【0039】
2…カムキャップ、2a,2b…ボルト挿通孔、2c,2d,2e…ボルト挿通孔、2f…底面、4…排気カムシャフト用カムキャップ部、4a…カムシャフト用軸受面、6…吸気カムシャフト用カムキャップ部、6a…カムシャフト用軸受面、7…カムハウジング、7a…カムシャフト用軸受面、7b…螺入孔、8…排気カムシャフト、8a…周溝、8b,8c…調圧油路、10…吸気カムシャフト、10a…周溝、10b,10c…調圧油路、12,14…滑り軸受、16,18…接続部、16a,18a…油路接続面、16b,18b…ガスケット収納溝、20…シリンダヘッドカバー、20a…金属板、20b…ブローバイガスルーム、22…接続部、22a…供給油路、22b…油路接続面、24,30…供給油路、26,28,32,34…調圧油路、36…壁部、36a…最高部位、36b…上縁部、38…作動油供給分配油路、38a,38b…プラグ、40…作動油導入油路、40a…外周部、42…装着部、42a,42b…排出口、42c…装着穴、44,46…VVT、Bt…ボルト。

特許の図
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
【公開番号】 特開2008−57445(P2008−57445A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−235796(P2006−235796)