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【発明の名称】 回動角センサ
【発明者】 【氏名】庄司 幸夫
【氏名】山元 裕一
【氏名】横山 佑喜
【課題】本発明のペダルセンサは、磁石23の回転をホールICによって非接触で検出し、リニア出力信号及びスイッチ出力信号を得る。

【構成】ペダルセンサは、可動機構部と電気回路部から構成される。可動機構部は、ペダルの操作に応じて、先端側に磁石23が設けられた回転シャフトを回動させる。電気回路部内の基板には、磁石23に対向する面に複数のホールIC33A〜33Cが設けられており、磁力変化を電圧信号に変換する。リニア出力用ホールIC33Aは、磁石23の外周からやや内側寄りで磁極境界23Aの一方の端部付近に設けられる。第1スイッチ出力用ホールIC33Bは、ホールIC33Aの近傍に位置して、ホールIC33Aと同一円周上に設けられる。第2スイッチ出力用ホールIC33Cは、ホールIC33Bに対向するようにして、前記円周上に設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットル開度を制御するための操作装置(2)の回動角度を電気信号として検出する回動角センサ(3)であって、
前記操作装置の操作量を回転シャフト(22)の回転運動として検出するための可動機構部(20)と、前記回転シャフトの回転運動を非接触で検出し、電気信号に変換して出力するための電気回路部(30)とを備え、
前記可動機構部(20)は、
機構部ケース(21)と、
前記機構部ケースに回動可能に設けられ、その基端側に前記操作装置に操作に応じて回転する操作装置側シャフト(14)が接続される前記回転シャフト(22)と、
前記回転シャフトの先端側端面に設けられ、径方向に着磁された円盤状の磁石(23)と、を備えて構成され、
前記電気回路部(30)は、
前記機構部ケースと対向して分離可能に設けられ、非磁性材料から形成される前記回路部ケース(31)と、
前記回路部ケース内に設けられた基板(32)と、
前記回路部ケースの壁部を介して前記磁石(23)に対向するように前記基板に設けられた複数の磁気検出素子(33,33A,33B,33C)と、
一端側が前記基板を介して前記磁気検出素子に電気的に接続され、他端側が外部装置に接続される配線部(34)と、
を備えて構成され、
前記磁気検出素子には、前記操作装置(2)の操作量に応じたリニア信号を出力するためのリニア出力用検出素子(33A)と、前記操作装置が操作された場合にオンオフ信号を出力するためのスイッチ出力用検出素子(33B,33C)とが含まれていることを特徴とする回動角センサ。
【請求項2】
前記リニア出力用検出素子(33A)は、前記磁石の磁極境界(23A)上であって、前記磁石の外周側寄りに位置するように前記基板に配置されている請求項1に記載の回動角センサ。
【請求項3】
前記リニア出力用検出素子(33A)は、前記磁石の磁極境界(23A)上であって前記磁石の外周側寄りに位置するように前記基板に配置されており、
前記スイッチ出力用検出素子(33B,33C)は、前記リニア出力用検出素子と同一円周上に位置するように前記基板に配置されている請求項1に記載の回動角センサ。
【請求項4】
前記リニア出力用検出素子(33A)は、前記磁石の磁極境界(23A)上であって前記磁石の外周側寄りに位置するように前記基板に配置されており、
前記スイッチ出力用検出素子(33B,33C)は、前記リニア出力用検出素子よりも内側に位置して前記基板に配置されている請求項1に記載の回動角センサ。
【請求項5】
前記リニア出力用検出素子(33A)は、前記磁石の磁極境界(23A)上であって前記磁石の外周側寄りに位置するように前記基板に配置されており、
前記スイッチ出力用検出素子(33B,33C)は、前記磁石の中心を通る同一の直線上に配置されている請求項1に記載の回動角センサ。
【請求項6】
前記複数の磁気検出素子は、前記基板の両面にそれぞれ配置されている請求項1に記載の回動角センサ。
【請求項7】
前記リニア出力用検出素子(33A)に電源を供給し、該リニア出力用検出素子から信号を取り出すための第1の電気回路(101)と、前記スイッチ出力用検出素子(33B,33C)に電源を供給し、該スイッチ出力用検出素子から信号を取り出すための第2の電気回路(102)とは互いに独立している請求項2に記載の回動角センサ。
【請求項8】
前記第2の電気回路(102)は、前記スイッチ出力用検出素子からの出力電圧を参照電圧と比較し、前記出力電圧が前記参照電圧を上回っているかまたは下回っている場合にオンオフ信号を出力する比較器(103A,103B)と、
前記スイッチ出力用検出素子から前記比較器に入力される前の前記出力電圧を外部に取り出すための出力端子とを備える請求項7に記載の回動角センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ダンプトラックやホイールローダ等に設けられる電気式アクセルペダル装置に使用可能な回動角センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ダンプトラックやホイールローダ等の建設機械では、アクセルペダルの踏込み量に応じてエンジンの燃料噴射量を制御するために、電気式アクセルペダル装置を備えている。操作者がアクセルペダルを踏み込むと、この操作量は電気信号に変換されてエンジンコントローラに入力される。エンジンコントローラは、アクセルペダルの踏込み位置に応じて、燃料噴射量等を制御する。
【0003】
第1の従来技術としては、ポテンショメータを用いてペダルの回転量を電気信号に変換するものが知られている(特許文献1)。第2の従来技術としては、ホール素子を用いてアクセルペダルの回動量を電気信号に変換するものが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平6−317213号公報
【特許文献2】特開2003−148908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術では、ポテンショメータを用いため、長期間の使用によって導電パターンやブラシが摩耗する可能性があり、寿命が短いという問題がある。ホール素子を用いる場合は、非接触で回転角度を検出することができるため、信頼性は高くなる。しかし、前記第2の従来技術では、ホール素子の配置について十分に検討されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁石及び磁気検出素子を用いることにより、電気回路部と可動機構部とを分離させると共に、磁石の磁力変化を有効に利用し、使い勝手を高めた回動角センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う回動角センサは、スロットル開度を制御するための操作装置の回動角度を電気信号として検出する回動角センサであって、操作装置の操作量を回転シャフトの回転運動として検出するための可動機構部と、回転シャフトの回転運動を非接触で検出し、電気信号に変換して出力するための電気回路部とを備える。可動機構部は、機構部ケースと、機構部ケースに回動可能に設けられ、その基端側に操作装置に操作に応じて回転する操作装置側シャフトが接続される回転シャフトと、回転シャフトの先端側端面に設けられ、径方向に着磁された円盤状の磁石とを備えて構成される。電気回路部は、機構部ケースと対向して分離可能に設けられ、非磁性材料から形成される回路部ケースと、回路部ケース内に設けられた基板と、回路部ケースの壁部を介して磁石に対向するように基板に設けられた複数の磁気検出素子と、一端側が基板を介して磁気検出素子に電気的に接続され、他端側が外部装置に接続される配線部と、を備えて構成され、磁気検出素子には、操作装置の操作量に応じたリニア信号を出力するためのリニア出力用検出素子と、操作装置が操作された場合にオンオフ信号を出力するためのスイッチ出力用検出素子とが含まれていることを特徴とする。
【0007】
好適な実施形態では、リニア出力用検出素子は、磁石の磁極境界上であって、磁石の外周側寄りに位置するように基板に配置されている。
【0008】
好適な実施形態では、リニア出力用検出素子は、磁石の磁極境界上であって磁石の外周側寄りに位置するように基板に配置されており、スイッチ出力用検出素子は、リニア出力用検出素子と同一円周上に位置するように基板に配置されている。
【0009】
好適な実施形態では、リニア出力用検出素子は、磁石の磁極境界上であって磁石の外周側寄りに位置するように基板に配置されており、スイッチ出力用検出素子は、リニア出力用検出素子よりも内側に位置して基板に配置されている。
【0010】
好適な実施形態では、リニア出力用検出素子は、磁石の磁極境界上であって磁石の外周側寄りに位置するように基板に配置されており、スイッチ出力用検出素子は、磁石の中心を通る同一の直線上に配置されている。
【0011】
好適な実施形態では、複数の磁気検出素子は、基板の両面にそれぞれ配置される。
【0012】
好適な実施形態では、リニア出力用検出素子に電源を供給し、該リニア出力用検出素子から信号を取り出すための第1の電気回路と、スイッチ出力用検出素子に電源を供給し、該スイッチ出力用検出素子から信号を取り出すための第2の電気回路とは互いに独立している。
【0013】
好適な実施形態では、第2の電気回路は、スイッチ出力用検出素子からの出力電圧を参照電圧と比較し、出力電圧が参照電圧を上回っているかまたは下回っている場合にオンオフ信号を出力する比較器と、スイッチ出力用検出素子から比較器に入力される前の出力電圧を外部に取り出すための出力端子とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、可動機構部に設けられた磁石の回動量を電気回路部に設けた磁気検出素子によって検出し、電気信号に変換して出力することができる。可動機構部と電気回路部とを分離できるため、電気回路部の防水性能を高めることができる。そして、少なくとも一つ以上の磁気検出素子を磁石の外周側寄りに配置するため、磁界の変化が大きい領域を有効に利用することができる。
【0015】
また、本発明によれば、操作装置の操作量に応じたリニア信号を出力するためのリニア出力用検出素子を、磁石の磁極境界上であって、磁石の外周側寄りに位置するように基板に配置する。従って、例えば、操作装置により操作可能な操作量の中間点付近に磁極境界を位置させるように設定すれば、操作量に応じた大きな磁界変化を利用することができ、操作量に基づいたリニア信号を出力することができる。
【0016】
また、本発明によれば、基板の両面に磁気検出素子をそれぞれ配置可能なため、磁石の直径寸法を小さくした場合でも、磁力変化の大きな位置(磁極境界付近)に複数の磁気検出素子をそれぞれ配置することができる。これにより、検出感度を高くしたままセンサ全体の小型化を図ることができる。
【0017】
さらに、本発明によれば、リニア出力用検出素子に関する第1の電気回路と、スイッチ出力用検出素子に関する第2の電気回路とを互いに独立させ、両方の電気回路を分離する構成とした。これにより、一方の電気回路が他方の電気回路に影響を与えるのを未然に防止することができ、信頼性が向上する。
【0018】
また、本発明によれば、スイッチ出力用検出素子から比較器に入力される前の出力電圧を外部に取り出すための出力端子を備えるため、この出力端子から出力される電圧信号を利用することができ、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、以下に詳述するように、ペダルの操作量に応じて回転する磁石を可動機構部に設け、磁石により発生する磁力線の変化を検出するためのホールICを電気回路部に設けることにより、可動機構部と電気回路部とを分離する。そして、本実施形態では、ホールICを磁石の外周側寄りに位置して磁極境界の近傍に配置する。
【実施例1】
【0020】
図1は、電気式アクセルペダル装置1の側面図である。電気式アクセルペダル装置1は、アクセルペダル2とペダルセンサ3とを備えて構成されている。電気式アクセルペダル装置1は、例えば、ダンプトラック、ホイールローダ等に使用される。
【0021】
アクセルペダル2は、それぞれ後述するように、例えば、支持フレーム10と、取付ブラケット11と、回動ピン12と、ペダル13と、ペダル側シャフト14と、レバー15とを備えて構成される。
【0022】
支持フレーム10は、例えば金属板から形成されており、運転室の床面に取り付けられている。支持フレーム10の先端側は、上方に向けて傾斜する傾斜面10Aとなっており、支持フレーム10の基端側には取付ブラケット11が設けられている。
【0023】
ペダル13は、その基端側が取付ブラケット11に回動ピン12を介して回動可能に取り付けられている。図2に示すように、ペダル13の略中間部の下面には、下側に突出するようにして、シャフト取付部13Aが設けられている。ペダル13の表面は、例えばゴム等の樹脂材料で覆われている。
【0024】
図2に示すように、ペダル側シャフト14は、その両端がシャフト取付部13Aにそれぞれ回動可能に取り付けられている。また、ペダル側シャフト14の両端部のうちペダルセンサ3側に位置する端部には、薄肉な平板状の係合突起14Aが設けられている。
【0025】
レバー15は、その先端側に回動ピン15Aが設けられており、その基端側にはストッパ15Bが設けられている。また、レバー15の基端側寄りには、圧肉な円筒状のシャフト挿通部15Cが設けられている。レバー15の先端側には、ローラ16が回動ピン15Aを介して回動可能に取り付けられている。シャフト挿通部15Cには、ペダル側シャフト14が回転不能に挿通されている。また、シャフト挿通部15Cとシャフト取付部13Aとの間には、ペダル13をアイドル位置(初期位置)に常時付勢するための戻りバネ(不図示)が設けられている。
【0026】
ここで、図1,図2を参照して、アクセルペダル2の動作を説明する。図1に実線で示す状態は、操作者がペダル13を踏み込んでいない初期状態である。この初期状態では、エンジンはアイドリング回転数となるように、エンジンコントローラ1000は、燃料噴射量等を制御する。
【0027】
操作者がペダル13を踏み込むと、ペダル13は矢示FS方向に回動する。ペダル13の回動に応じて、ローラ16は支持フレーム10の傾斜面10Aに沿って矢示F方向に移動する。そして、ローラ16の移動に応じて、レバー15は、図1中の反時計回り方向に回動する。
【0028】
レバー15の回動に応じて、ペダル側シャフト14は回動し、このペダル側シャフト14の回動量は、係合突起14Aを介して、後述の回転シャフト22に伝達される。操作者は、レバー15がペダル13の下面側に設けられた受け部2Aに当接するまで、ペダル13を踏み込むことができる。ペダル13の踏込み量は、後述のようにペダルセンサ3により検出されてエンジンコントローラ1000に伝達される。エンジンコントローラ1000は、ペダル13の踏込み量(踏込み位置)に応じて、エンジン回転数を制御する。なお、ペダル13がIDL方向に戻る場合、ストッパ15Bが不図示の受け部に当接することにより、ペダル13はアイドル位置で停止する。
【0029】
操作者がペダル13から足を離すと、戻りバネのバネ力によって、ペダル13は、矢示IDL方向に回動し、図1中に二点鎖線で示すフルスロットル位置(最大踏込み位置)からアイドル位置に復帰する。ローラ16は矢示R方向に後退し、ペダル側シャフト14は、図1中の時計回りに回動する。
【0030】
ペダルセンサ3の構成を説明する。ペダルセンサ3は、シャフト取付部13Aの側面に取付ボルト28を介して着脱可能に取り付けられている。図2,図3を参照する。ペダルセンサ3は、可動機構部20と、電気回路部30とに大別される。可動機構部20は、ペダル13の操作量(ペダル側シャフト14の回動角)を回転シャフト22の回動角として検出するための機械的構成である。電気回路部30は、回転シャフト22の回動角を電気信号に変換して出力するための電気的構成である。
【0031】
可動機構部20の構成を先に説明する。可動機構部20は、それぞれ後述するように、機構部ケース21と、回転シャフト22と、磁石23と、圧縮可能なねじりバネ24と、ベアリング25と、ダストシール26と、Oリング27と、取付ボルト28及び座金29(図4参照)とを備えている。ベアリング25としては、通常のベアリングやブッシュのほかに、例えば、オイル封入型のベアリングを使用することもできる。
【0032】
機構部ケース21は、例えば、ステンレス鋼から段付筒状に形成されており、機構部ケース21の中心には、回転シャフト22がベアリング25を介して回動可能に支持されている。
【0033】
回転シャフト22は、ペダル側シャフト14と一緒に回動するもので、例えば、非磁性のステンレス鋼等から鍔付きの略円柱状に形成されている。回転シャフト22基端側には、ペダル側シャフト14の係合突起14Aと係合される係合凹部22Aが一体的に設けられている。回転シャフト22の先端側には、薄肉な円盤状の磁石23が一体的に設けられている。磁石23は、図6に示すように、径方向に着磁されている。即ち、磁石23の表面は中心を通る線で分割されており、一方の分割面はS極に着磁され、他方の分割面はN極に着磁されている。磁石23は、回転シャフト22と共に回転する。
【0034】
回転シャフト22の先端側寄りには、径方向に突出する鍔部22Bが一体的に設けられている。圧縮可能なねじりバネ24は、その一端側が鍔部22Bに当接し、その他端側は座金29(図4参照)を介して回路部ケース31の収容部31Aに当接している。また、圧縮可能なねじりバネ24の一端側は、図5に示すように、鍔部22Bの一部を切り欠くようにして設けられたバネ係合部22Cに着脱可能に固定されており、圧縮可能なねじりバネ24の他端側は、図4に示すように、収容部31Aに設けられたバネ係合部31Bに着脱可能に固定されている。
【0035】
ここで、圧縮可能なねじりバネ24について説明する。圧縮可能なねじりバネ24は、例えば、図4に示すように、両端側の座巻き24A,24B及びこれら座巻き24A,24B間に位置する一巻き24Cを備えた合計3巻きのコイル状に形成されている。荷重をかけない自由長状態では、線材間に若干の隙間が空くように、ねじりバネ24は形成されている。そして、ねじりバネ24は、軸方向に圧縮された状態で、収容部31Aと鍔部22Bとの間に配設される。
【0036】
周方向にのみ付勢する通常のねじりバネであれば、圧縮可能に構成する必要はない。即ち、自由長状態で線材間に隙間を設ける必要はない。圧縮するための(軸方向に付勢するための)隙間を設けると、ねじりバネが斜めに撓んでしまい、所定のバネ力を得られない可能性があるためである。
【0037】
これに対し、本実施例では、回転シャフト22のバネ係合部21Cに係合させるための一方の座巻き24Aと、回路部ケース31のバネ係合部31Bに係合させるための他方の座巻き24Bと、これら座巻き24A,24B間に設けられる中間巻き24Cとの最小限の構成で、圧縮可能なねじりバネ24を構成する。これにより、ねじりバネ24は、回転シャフト22をアイドル位置に向けて常時付勢すると共に、回転シャフト22を軸方向に付勢することができる。従って、磁石23の周方向の位置及び軸方向の位置の両方を、単一のねじりバネ24によってそれぞれ実現することができる。このように、本実施例では、圧縮可能なねじりバネ24を1個設けるだけで、磁石23の周方向及び軸方向の位置決めが可能なため、ペダルセンサ3を小型化することができる。
【0038】
さて、回転シャフト22の基端外周側には、ダストシール26が設けられている。ダストシール26は、例えば、回転用オイルシールとして構成されており、外部からの異物が回転シャフト22と機構部ケース21との間の隙間を介して、機構部ケース21内に侵入するのを防止している。
【0039】
機構部ケース21と回路部ケース31との間には、Oリング27が設けられている。Oリング27は、外部の異物がケース21とケース31との間の隙間を介して内部に侵入するのを防止している。
【0040】
次に、電気回路部30の構成を説明する。図2,図3に示すように、電気回路部30は、回路部ケース31と、基板32と、ホールIC33と、配線部34と、カバー41と、モールド部42,43と、熱収縮チューブ44及びOリング45を備えている。
【0041】
回路部ケース31は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート:Polybutylene terephthalate)樹脂等の非磁性材料から有底の段付筒状に形成されている。回路部ケース31の開口面は、例えば、SPCC(冷延鋼)等のような磁性を有する金属材料からなるカバー41によって施蓋されている。カバー41と回路部ケース31との間には、Oリング45が設けられており、外部からの異物が、カバー41と回路部ケース31との間の隙間を介して、回路部ケース31内に侵入するのを防止している。
【0042】
回路部ケース31内には、基板32が磁石23の表面と平行に設けられている。回路部ケース31の背面側には、段部31Cが形成されている。基板32は、段部31Cに当接して設けられている。基板32の前面側(磁石23側)には、複数のホールIC33が設けられている。ホールIC33の配置等については後述する。基板32の背面側(カバー41側)には、複数の電気回路素子32Aやコネクタ等が設けられている。電気回路素子32Aとしては、例えば、ノイズ保護回路やスイッチ回路等が挙げられる。
【0043】
配線部34は、その一端側が基板32に接続されており、その他端側は回路部ケース31の外部に延びてエンジンコントローラ1000に接続されている。配線部34は、各ホールIC33に電力を供給したり、各ホールIC33からの出力電圧を外部に伝達するものである。
【0044】
回路部ケース31内には、複数種類のモールド部42,43が形成されている。第1のモールド部42は、回路部ケース31内の基板32の周囲を包み込むようにして、回路部ケース31内の空間の多くを占めている。第2のモールド部43は、回路部ケース31内から外部に延びる配線部34の周囲を取り囲むようにして、回路部ケース31の一部に設けられている。
【0045】
第1のモールド部42は、比較的柔らかい樹脂材料(例えば、サンユレック製 SU3001(硬度タイプA8))から構成されており、第2のモールド部43は、比較的硬い樹脂材料(例えば、サンユレック製 SU1500(硬度タイプD83))から構成されている。第1のモールド部42は、基板32を外部の衝撃から保護すると共に、外部の異物(塵埃や水分等)が基板32に侵入するのを防止している。第2のモールド部43は、配線部34の取り出し部近傍に設けられており、配線部34の断線を防止すると共に、外部の異物が配線部34と回路部ケース31との間の隙間を介して回路部ケース31内に侵入するのを防止している。なお、上述の具体的な樹脂材料名は、一例であって、本発明は上記材料に限定されない。上記の例に示す程度の硬度差があれば、第1モールド部42による基板32の保護及び異物や水分の侵入防止という機能と、第2モールド部43による断線防止及び異物や水分の侵入防止という機能をそれぞれ実現させることができる。
【0046】
熱収縮チューブ44は、配線部34が回路部ケース31内に侵入している近傍を覆うようにして設けられている。熱収縮チューブ44は、その内周面に接着剤が予め塗布されており、回路部ケース31及び配線部34の表面に接着する。そして、熱風を吹き当てることにより、熱収縮チューブ44は収縮し、回路部ケース31及び配線部34の表面に密着する。
【0047】
次に、ホールIC33及び磁石23の構成を詳細に説明する。図6は、ホールIC33と磁石23との位置関係を模式的に示す説明図である。本実施例では、ホールIC33として、リニア出力用ホールIC33Aと、スイッチ出力用ホールIC33B,33Cとの合計3個のホールICを設けている。
【0048】
リニア出力用ホールIC33Aは、アクセル位置に応じた信号をリニアに出力するためのホールICである。説明の便宜上、図中では、このホールIC33AをAPS(Accelerator Position Sensor)と表示する場合がある。
【0049】
スイッチ出力用ホールIC33B,33Cは、ペダル13がアイドル位置にあるか否かをオンオフ出力するためのホールICである。説明の便宜上、図中では、これらスイッチ出力用ホールIC33B,33CをIVS(Idle Validation Signal)と表示する場合がある。ペダル13がアイドル位置にあるか否かの判定は、各ホールIC33B,33Cのうち、いずれか一つのスイッチ出力用ホールICだけでも行うことができる。しかし、本実施例では、ペダルセンサ3の信頼性を高めるために、2個のスイッチ出力用ホールIC33B,33Cを設け、各ホールIC33B,33Cの出力電圧を利用してアイドル位置の判定及び故障判定を行うことができるようになっている。
【0050】
各ホールIC33A〜33Cは、検出部であるホール素子331を備えている。リニア出力用ホールIC33Aは、そのホール素子331が磁石23のN極とS極との境界23A上に位置するようにして、基板32に取り付けられる。
【0051】
第1のスイッチ出力用ホールIC33Bは、リニア出力用ホールIC33Aに近接するようにして、基板32に取り付けられる。第2のスイッチ出力用ホールIC33Cは、第1のスイッチ出力用ホールIC33Bに180度対向するようにして、基板32に取り付けられる。
【0052】
より詳しくは、図6に示すように、例えば、各ホールIC33A〜33Cは、検出部であるホール素子331が磁石23の外周に接するようにして、基板32に配置される。即ち、各ホールIC33A〜33Cの各ホール素子331は、磁石23の外周の外側にはみ出ないようにして、磁石23の外周に近接するようにして配置される。なお、ホールIC33A〜33Cのうち幾つかのホールICが近接して配置される場合は、ICパッケージ同士をできるだけ接近させて配置するのが好ましい。
【0053】
図7は、各ホールIC33A〜33Cの取付状態を簡略化して示す説明図である。リニア出力用ホールIC33Aは、ペダル13が中間位置まで踏み込まれた状態で、磁極境界23A上に位置するようにして、基板32に取り付けられている。即ち、操作者がアイドル位置から角度θ1だけ踏み込んだときに、ホールIC33Aは磁極境界23Aに重なるようになっている。
【0054】
ペダル13が、アイドル位置からフルスロットル位置まで角度θ3だけ回動可能であるとした場合、角度θ1は、例えば、θ3の半分程度に設定される。操作者がペダル13をさらに角度θ2踏み込むと、ペダル13はフルスロットル位置に到達する。本実施例では、θ3=θ1+θ2(θ1=θ2)の関係が成り立つように設定されている。
【0055】
リニア出力用ホールIC33Aは、感度を上げるために、磁石23の外周側寄りに位置して設けられている。各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cは、リニア出力用ホールIC33Aと同一円周上、または、リニア出力用ホールIC33Aよりも若干内側の円周上に位置して配置される。
【0056】
図8は、磁石23の回転角度と磁力の変化との関係を示す特性図である。ホール素子が磁極境界23A上に位置する場合、磁力は0となる。リニア出力用ホールIC33Aは、図7中の0度を中心とするθ3程度の角度範囲の磁力変化を利用する。この角度範囲の磁力変化は、図7に示すように、比較的直線性が高く、この結果、ペダル13の位置に応じたリニアな出力を得ることができる。
【0057】
第1のスイッチ出力用ホールIC33Bは、リニア出力用ホールIC33Aにより利用される磁力変化とは別の磁力変化を利用する。各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cの利用する磁力変化は、リニア出力用ホールIC33Aの利用する磁力変化ほどの直線性は備えておらず、比較的なだらかに変化する。
【0058】
各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cの利用する磁力変化は、最大磁力を含まないように選択されている。即ち、最大磁力となる角度を含まない位置に、各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cは配置される。一般的に、磁石23の磁力は、温度依存性を有するため、最大磁力付近で使用すると、温度変化による磁力の変化が大きくなり、スイッチ出力用ホールIC33B,33Cの精度が低下するおそれがあるためである。
【0059】
図9は、ペダルセンサ3の電気回路図である。この電気回路は、リニア出力用電気回路101と、スイッチ出力用電気回路102とに大別される。
【0060】
ここで、リニア出力用電気回路101とスイッチ出力用電気回路102とは、出力信号、電源及びグランドの全てがそれぞれ独立しており、互いに影響を及ぼさないように設計されている。従って、例えば、各電気回路101,102内でグランドレベルをそれぞれ合わせればよい。他の電気回路101,102のそれぞれで生じたノイズやグランドレベルの変動は、他方の電気回路に影響を与えない。
【0061】
リニア出力用ホールIC33Aの出力電圧は、そのままAPS出力としてエンジンコントローラ1000に出力される。
【0062】
第1のスイッチ出力用ホールIC33Bの出力電圧は、コンパレータ103Aによって参照電圧VS1と比較される。コンパレータ103Aの出力電圧は、ホールIC33Bの出力電圧が参照電圧VS1を上回った場合に、オフ信号からオン信号に反転する。コンパレータ103Aのオン信号は、フォトスイッチ104Aを介してエンジンコントローラ1000に出力される。フォトスイッチ104Aは、入力された電圧信号を光信号に変換した後、この光信号を電圧信号に再び変換させるものである。従って、フォトスイッチ104Aの入力側と出力側とは、電気的に絶縁された状態となっている。
【0063】
第2のスイッチ出力用ホールIC33Cの出力電圧は、第1のスイッチ出力用ホールIC33Bと同様に、コンパレータ103Bによって参照電圧VS2と比較され、フォトスイッチ104Bを介して外部に出力される。但し、第2のスイッチ出力用ホールIC33Cと第1のスイッチ出力用ホールIC33Bとは、180度対向して設けられているため、信号の位相がずれている。コンパレータ103Bの出力電圧は、ホールIC33Cの出力電圧が参照電圧VS2を下回った場合に、オン信号からオフ信号に反転する。
【0064】
図10は、各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cの出力電圧と電気回路102から出力される信号との関係を示す説明図である。ここで、参照電圧VS1,VS2は、IVS電源の中間電圧として設定される。例えば、IVS電源の電圧が5ボルトに設定されている場合、参照電圧VS1,VS2は、それぞれ2.5ボルト程度に設定される。
【0065】
操作者によってペダル13が踏み込まれると、ペダル13の回動に応じて磁石23が回転し、各ホールIC33B,33Cに入射する磁力が変化する。この結果、第1のスイッチ出力用ホールIC33B(IVS1)の出力電圧は、参照電圧VS1を上回り、IVS1の信号はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0066】
同様に、第2のスイッチ出力用ホールIC33C(IVS2)の出力電圧は、ペダル13の回動に応じて磁石23の角度が変化すると、参照電圧VS2を下回るため、IVS2の信号はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0067】
従って、IVS1の信号がオンで、かつ、IVS2の信号がオフである場合に、ペダル13の踏込み開始を検出することができる。IVS1,IVS2のいずれか一方の信号だけでも、ペダル13の踏込み開始(アクセス操作の開始)を検出可能である。しかし、この場合は、断線や電圧の回り込み等によって異常な信号が出ている場合、この異常を検出することができない。これに対し、ペダル13の操作開始によって信号の反転する2種類の信号IVS1,IVS2を用いることにより、ペダル13の操作開始を確実に検出することができる。また、いずれか一方の信号が異常な場合でも、他方の正常な信号によって、この異常状態を検出することができる。
【0068】
なお、スイッチ出力用ホールIC33B,33Cに基づく出力信号IVS1,IVS2は、例えば、リニア出力用ホールIC33Aに障害が発生した場合に利用される。即ち、リニア出力用ホールIC33Aに障害が生じた場合でも、ペダル13の操作開始が検出された場合には、エンジン回転数を低速ないし中低速に設定することにより、ダンプトラックやホイールローダ等の建設機械を安全な場所まで移動させることができる。
【0069】
本実施例は、上述のように、ペダルセンサ3を非接触型のセンサとして構成し、可動機構部20と電気回路部30とに完全に分離するため、電気回路部30の防水性能を高めることができる。
【0070】
本実施例では、圧縮可能ねじりバネ24を圧縮した状態で回路部ケース31と機構部ケース21との間に配置するため、単一のねじりバネ24によって、磁石23の周方向及び軸方向の位置決めをそれぞれ行うことができる。これにより、磁石23の位置決めに要する部品点数を半減させて製造効率を高め、コストを低減することができる。また、単一のねじりバネ24によって磁石23の位置決め機構を小型化することができ、この結果、ペダルセンサ3の寸法を小型化することができる。
【0071】
本実施例では、回路部ケース31内に、比較的柔らかい樹脂材料からなり基板32を包み込むようにして設けられる第1モールド部42と、比較的硬い樹脂材料からなり配線部34の引き出し部を包み込むようにして設けられる第2モールド部43とを備える。従って、基板32を第1モールド部42によって保護すると共に、配線部34の断線を防止することができ、可動機構部20から電気回路部30を分離した構成と相俟って、信頼性をより一層高めることができる。
【0072】
本実施例では、ペダル13が中間位置まで操作された場合に、リニア出力用ホールIC33Aが磁極境界に重なるようにして配置するため、磁力が直線的に変化する範囲を有効に利用して、ペダル13の操作量を検出することができる。
【0073】
本実施例では、磁石23の磁力が最大値を取らない範囲で、スイッチ出力用ホールIC33B,33Cを使用するため、環境温度が変化して磁力が変動した場合でも、ペダル13の操作開始を検出することができ、信頼性が向上する。
【実施例2】
【0074】
図11に基づいて、ホールIC33の配置方法に関する変形例を説明する。前記第1実施例では、図7と共に述べたように、磁石23の外周よりも若干内側に位置して磁極境界23A上にリニア出力用ホールIC33Aを配置した。そして、リニア出力用ホールIC33Aの近傍に第1スイッチ出力用ホールIC33Bを配置し、このホールIC33Bに対向する位置に第2スイッチ出力用ホールIC33Cを配置する場合を説明した。
【0075】
これに対し、本実施例では、図11に示すように、リニア出力用ホールIC33A及び各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cを同一円周上に配置する。この場合、各ホールIC33A〜33Cが磁石23の外周よりも若干内側に位置するように配置するのが好ましい。磁石23の外周側に近づくほど磁力が大きくなるためである。
【実施例3】
【0076】
図12は、第3実施例に係るホールIC33の配置方法を示す説明図である。本実施例では、リニア出力用ホールIC33Aを、磁極境界23A上であって磁石23の外周のやや内側寄りに配置する。また、第1スイッチ出力用ホールIC33Bを、磁極境界23A上であって、リニア出力用ホールIC33Aよりも内側に配置する。そして、第2スイッチ出力用ホールIC33Cを、磁極境界23A上であって、リニア出力用ホールIC33Aに対向する位置に配置する。
【実施例4】
【0077】
図13は、第4実施例に係るホールIC33の配置方法を示す説明図である。本実施例では、リニア出力用ホールIC33A及び各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cを磁極境界23Aの一方の側に寄せて配置する。即ち、リニア出力用ホールIC33Aは、磁極境界23A上であって磁石23の外周のやや内側寄りに配置し、第1スイッチ出力用ホールIC33Bは、磁極境界23A上であってリニア出力用ホールIC33Aの内側に近接して配置し、第2スイッチ出力用ホールIC33Cは、磁極境界23A上であって第1スイッチ出力用ホールIC33Bの内側に近接して配置する。
【実施例5】
【0078】
図14は、第5実施例に係るホールIC33の配置方法を示す説明図である。本実施例では、リニア出力用ホールIC33Aを、磁極境界23A上であって、磁石23の外周のやや内側に配置させる。第1スイッチ出力用ホールIC33Bは、リニア出力用ホールIC33Aと同一円周上に位置して、リニア出力用ホールIC33Aの近傍に配置する。そして、第2スイッチ出力用ホールIC33Cは、リニア出力用ホールIC33A及び第1スイッチ出力用ホールIC33Bの位置する円周の内側に位置して、第1スイッチ出力用ホールIC33Bの近傍に配置させる。
【実施例6】
【0079】
図15は、第6実施例に係るホールIC33の配置方法を示す説明図である。本実施例では、複数のリニア出力用ホールIC33A,33Dと、複数のスイッチ出力用ホールIC33B,33Cとを備えている。
【0080】
各リニア出力用ホールIC33A,33Dは、磁極境界23Aの両端側に向かい合うようにして配置されている。即ち、第1リニア出力用ホールIC33Aは、磁極境界23A上であって、磁石23の外周のやや内側寄りに配置される。第2リニア出力用ホールIC33Dは、磁極境界23A上であって、第1リニア出力用ホールIC33Aと対向するように、第1リニア出力用ホールIC33Aと同一円周上に配置される。
【0081】
各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cは、リニア出力用ホールIC33A,33Dの近傍に位置して、リニア出力用ホールIC33A,33Dと同一円周上で向き合うように配置されている。
【実施例7】
【0082】
図16は、第7実施例に係るホールIC33の配置方法を示す説明図である。本実施例では、基板32の両面にホールIC33A〜33Cをそれぞれ設けている。図16の上側に、基板32,ホールIC33及び磁石23の部分断面を模式的に示すように、リニア出力用ホールIC33Aは、磁石23に対面するようにして、基板32の前面(磁石23に対面する側の面)に設けられている。リニア出力用ホールIC33Aは、磁石23の外周からやや内側寄りに位置して、磁極境界23Aの一方の端部に配置される。
【0083】
第1スイッチ出力用ホールIC33Bは、リニア出力用ホールIC33Aの真裏に位置して、基板32の後面(磁石23と向き合う面の反対側の面)に設けられている。第2スイッチ出力用ホールIC33Cは、リニア出力用ホールIC33A及び第1スイッチ出力用ホールIC33Bと同一円周上に位置して、磁極境界23Aの他方の端部に配置されている。第2スイッチ出力用ホールIC33Cは、第1スイッチ出力用ホールIC33Bと同様に、基板32の後面に設けられている。
【0084】
このように、基板32の両面を利用して各ホールIC33A〜33Cをそれぞれ設けることにより、ホールIC33A〜33Cを基板32に実装するための面積を小さくし、磁石23の直径を短くすることができる。この結果、前記各実施例よりも、ペダルセンサ3を小型化することができる。
【実施例8】
【0085】
図17は、第8実施例に係るホールIC33の配置方法を示す説明図である。第7実施例では、リニア出力用ホールIC33Aのみを基板32の前面に配置し、各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cを基板32の後面に配置した。これに対し、本実施例では、基板32の前面にリニア出力用ホールIC33A及び第2スイッチ出力用ホールIC33Cを設け、基板32の後面に第1スイッチ出力用ホールIC33Bを設ける。このように構成される本実施例も前記第7実施例と同様の効果を奏する。
【0086】
図18は、第9実施例に係るペダルセンサ3の信号パターンの利用方法を示すテーブルである。以下の説明では、図9と図18とを参照する。まず、図9を参照して、本実施例のペダルセンサ3から出力可能な信号を説明する。
【0087】
ペダルセンサ3は、合計5種類の信号を外部に出力可能である。第1の信号は、リニア出力用ホールIC33Aから出力されるリニア電圧信号(APS出力)である。第2の信号は、第1スイッチ出力用ホールIC33Bの出力電圧がコンパレータ103Aで比較されて出力されるオンオフ信号(IVS1)である。第3の信号は、第2スイッチ出力用ホールIC33Cの出力電圧がコンパレータ103Bで比較されて出力されるオンオフ信号(IVS2)である。
【0088】
第4の信号は、第1スイッチ出力用ホールIC33Bからコンパレータ103Aに入力される前の出力電圧信号(リニア出力2)である。第5の信号は、第2スイッチ出力用ホールIC33Cからコンパレータ103Bに入力される前の出力電圧信号(リニア出力3)である。図10に示すように、各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cから出力される電圧信号は、磁石23の回転による磁力変化に伴って、ほぼリニアに変化する。従って、コンパレータ103A,103Bに入力される前の出力電圧を、リニア電圧信号として利用することができる。以下、「リニア出力2」を第2のリニア出力信号と、「リニア出力3」を第3のリニア出力信号と呼ぶ場合がある。
【0089】
図18を参照する。上述のように、本実施例では、合計5種類の信号を利用することができるため、図18のセンサ信号のパターンテーブルT1に示すように、ペダルセンサ3を大きく分けて7つのタイプ(パターン)で利用可能である。
【0090】
第1のタイプは、ペダルセンサ3が一つのAPS信号のみを出力する場合である。APS信号とは、上述のように、アクセルペダル2の操作量に応じて連続的に変化する信号である。ペダルセンサ3を第1のタイプとして使用する場合、リニア出力用ホールIC33Aの出力信号のみをエンジンコントローラ1000に入力すればよい。
【0091】
第2のタイプは、ペダルセンサ3がAPS信号及びIVS信号をそれぞれ一つずつ出力する場合である。IVS信号とは、上述のように、アクセルペダル2の操作開始を検出するためのオンオフ信号である。ペダルセンサ3を第2のタイプとして使用する場合、リニア出力用ホールIC33Aの出力信号と、第1スイッチ出力用ホールIC33B(33Cでもよい)に接続されるコンパレータ103A(ホールIC33Cを用いる場合は、コンパレータ103Bとなる。以下同様)からの出力信号(IVS1)とを、エンジンコントローラ1000にそれぞれ入力すればよい。
【0092】
第3のタイプは、ペダルセンサ3が一つのAPS信号と二つのIVS信号を出力する場合である。ペダルセンサ3を第3のタイプとして使用する場合、前記各実施例で述べたように、リニア出力用ホールIC33AからのAPS信号と各スイッチ出力用ホールIC33B,33Cに基づくIVS信号とを、エンジンコントローラ1000にそれぞれ入力すればよい。
【0093】
第4のタイプは、ペダルセンサ3が二つのAPS信号と一つのIVS信号を出力する場合である。ペダルセンサ3を第4のタイプとして使用する場合、リニア出力用ホールIC33Aの出力信号と、第2スイッチ出力用ホールIC33CによるIVS信号と、第2リニア出力信号とを、エンジンコントローラ1000にそれぞれ入力すればよい。あるいは、リニア出力用ホールIC33Aの出力信号と、第1スイッチ出力用ホールIC33BのIVS信号と、第3リニア出力信号とを用いることにより、第4のタイプのペダルセンサ3を得ることもできる。
【0094】
ここで、リニア出力用ホールIC33Aと第1スイッチ出力用ホールIC33Bとは、磁石23の回転と出力電圧が比例する。即ち、ホールIC33Aの出力電圧とホールIC33Bの出力電圧は、同様にして変化する。そこで、以下の説明では、便宜上、同様の変化を示す二種類のAPS信号を「同特性」と呼び、逆の変化を示す二種類のAPS信号を「逆特性」と呼ぶ。逆特性とは、磁石23の回転に伴って、一方のAPS信号が比例変化し、他方のAPS信号が逆比例変化する場合である。比例変化するAPS信号と逆比例の変化を示すAPS信号とをグラフに重ねると、X字のように見えることから、Xパターンと呼ぶこともできる。
【0095】
第5のタイプは、ペダルセンサ3が二つのAPS信号のみを出力する場合である。この場合、3種類のサブパターンに分類可能である。第1に、リニア出力用ホールIC33AのAPS信号及び第2のリニア出力信号(リニア出力2)とを選択可能である。第2に、ホールIC33AのAPS信号及び第3のリニア出力信号(リニア出力3)とを選択可能である。第3に、第2のリニア出力信号及び第3のリニア出力信号を選択可能である。なお、ホールIC33Cから出力される第3のリニア出力信号は、180度位相をずらすことにより、APS信号及び第2のリニア出力信号と同様に、比例変化する信号として利用する。従って、第5のタイプは、複数のAPS信号を同特性で出力する。
【0096】
第6のタイプは、複数のAPS信号を逆特性で出力させると共に、一つのIVS信号を出力させる。この場合、ホールIC33AのAPS信号及び第2のリニア出力信号と、ホールIC33CのIVS信号とを選択する。または、ホールIC33AのAPS信号及び第3のリニア出力信号と、ホールIC33BのIVS信号とを選択する。
【0097】
第7のタイプは、第5のタイプと同様に、二つのAPS信号及び一つのIVS信号を出力する。第5のタイプでは、二つのAPS信号を同特性で出力するが、第7のタイプでは、二つのAPS信号を逆特性で出力させる。第7のタイプでは、第1に、リニア出力用ホールIC33AのAPS信号及び第2のリニア出力信号とを選択可能である。第2に、ホールIC33AのAPS信号及び第3のリニア出力信号とを選択可能である。第3に、第2のリニア出力信号及び第3のリニア出力信号を選択可能である。
【0098】
このように、本実施例によるペダルセンサ3は、一つのリニア出力用ホールIC33Aと二つのスイッチ出力用ホールIC33B,33Cとの合計3個のホールICによって、3種類のリニア出力信号(APS信号、第2のリニア出力信号、第3のリニア出力信号)と、2種類のIVS信号とを得ることができる。従って、エンジンコントローラ1000の制御方法に応じた適切な信号を容易に得ることができ、種々の制御方法に対応することができる。
【0099】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例による電気式アクセルペダル装置の側面図。
【図2】図1中の矢示II−II方向から見た断面図。
【図3】ペダルセンサを拡大して示す断面図。
【図4】ペダルセンサの分解斜視図。
【図5】可動機構部を磁石側から見た斜視図。
【図6】磁石とホールICの配置関係を示す説明図。
【図7】磁石とホールICの配置関係を簡略化して示す説明図。
【図8】磁石の回転角度と磁力の変化の関係を示す特性図。
【図9】ペダルセンサの電気回路図。
【図10】スイッチ出力用ホールICの出力電圧とペダルの操作開始を検出するための信号との関係を示す信号図。
【図11】第2実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図12】第3実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図13】第4実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図14】第5実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図15】第6実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図16】第7実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図17】第8実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【図18】第9実施例によるホールICの配置方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1…電気式アクセルペダル装置、2…アクセルペダル、3…ペダルセンサ、10…支持フレーム、10A…傾斜面、11…取付ブラケット、12…回動ピン、13…ペダル、13A…シャフト取付部、14…ペダル側シャフト、14A…係合突起、15…レバー、15A…回動ピン、15B…ストッパ、15C…シャフト挿通部、16…ローラ、20…可動機構部、21…機構部ケース、22…回転シャフト、22A…係合凹部、22B…鍔部、22C…バネ係合部、23…磁石、23A…磁極境界、24…圧縮可能なねじりバネ、24A,24B…座巻き、24C…中間巻き、25…ベアリング、26…ダストシール、27…Oリング、28…取付ボルト、29…座金、30…電気回路部、31…回路部ケース、31A…収容部、31B…バネ係合部、31C…段部、32…基板 、32A…電気回路素子、33A…リニア出力用ホールIC、33B,33C…スイッチ出力用ホールIC、34…配線部、41…カバー、 42…第1モールド部、43…第2モールド部、44…熱収縮チューブ、45…Oリング、101…リニア出力用電気回路、102…スイッチ出力用電気回路、103A,103B…コンパレータ、104A,104B…フォトスイッチ、331…ホール素子、1000…エンジンコントローラ

特許の図
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
【公開番号】 特開2008−8233(P2008−8233A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180836(P2006−180836)