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【発明の名称】 ラジエータを備える水冷式内燃機関
【発明者】 【氏名】平山 周二
【氏名】山西 輝英
【課題】シリンダブロックにおける水流通構造を簡素化すると共に機関本体とラジエータとを接続する冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化を図る。

【解決手段】水冷式内燃機関Eは、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21から構成される機関本体と、ラジエータ52を備える。ラジエータ52は機関本体に対して所定方向としての右方向に離隔して配置される。シリンダブロック20およびシリンダヘッド21の、右方向でラジエータ52寄りの端部20e,21eには、チェーンを備える動弁用伝動機構が収容されるチェーン室44が設けられる。シリンダヘッド21の端部21eには、ブロック側水ジャケットからヘッド側水ジャケットJhに流入した冷却水をラジエータ52に導く入口配管57が接続される冷却水出口部61がヘッド側水ジャケットJhに開口して設けられる。冷却水出口部61は右方向でチェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック側水ジャケットが設けられたシリンダブロックおよびヘッド側水ジャケットが設けられたシリンダヘッドから構成される機関本体と、前記両水ジャケットに冷却水を圧送する水ポンプおよび前記両水ジャケットの冷却水が流通するラジエータを備える冷却装置とを備える水冷式内燃機関であって、
前記ラジエータは前記機関本体に対して所定方向に離隔して配置され、
前記機関本体の、前記所定方向で前記ラジエータ寄りの端部には、前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドに渡ってシリンダ軸線に沿って配置される動弁用伝動機構が収容される収容室が設けられる水冷式内燃機関において、
前記シリンダヘッドにおける前記端部には、前記ブロック側水ジャケットから前記ヘッド側水ジャケットに流入した冷却水を前記ラジエータに導く入口配管が接続される冷却水出口部が前記ヘッド側水ジャケットに開口して設けられ、
前記冷却水出口部は前記所定方向で前記収容室よりも前記ラジエータに近い位置にあることを特徴とする水冷式内燃機関。
【請求項2】
前記冷却水出口部は前記ヘッド側水ジャケットの上端部に開口し、
前記ラジエータで放熱した冷却水が前記ブロック側水ジャケットに流入する冷却水入口部が前記シリンダブロックの下端部に設けられることを特徴とする請求項1記載の水冷式内燃機関。
【請求項3】
前記冷却装置は、暖機状態に応じて前記ラジエータへの冷却水の流通および遮断を制御するサーモスタットを備え、
前記水ポンプおよび前記サーモスタットは、いずれも前記所定方向で前記収容室よりも前記ラジエータ寄りで前記端部に取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の水冷式内燃機関。
【請求項4】
前記シリンダヘッドにおける前記端部に取り付けられて冷却水の温度を検出する温度センサが、前記シリンダヘッドの外部で前記所定方向に直交する方向に延出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の水冷式内燃機関。
【請求項5】
前記直交方向から見て前記シリンダブロックのシリンダ軸線方向に延びる吸気通路を形成する吸気装置を備え、
前記シリンダヘッドにおける前記端部には、前記冷却水出口部が設けられる配管接続部が設けられ、
前記温度センサは、前記所定方向で、前記吸気通路と、前記配管接続部に接続されて冷却水が流通する冷却水用配管との間に配置されて、前記配管接続部に取り付けられることを特徴とする請求項4記載の水冷式内燃機関。
【請求項6】
前記所定方向で前記収容室よりも前記ラジエータ寄りで前記シリンダヘッドにおける前記端部に取り付けられた前記水ポンプに滞留したエアを抜くためのエア抜き配管が、前記配管接続部に前記所定方向から接続されて、前記ヘッド側水ジャケットに連通することを特徴とする請求項5記載の水冷式内燃機関。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機関本体を構成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドに設けられた水ジャケットの冷却水が流通するラジエータを備える水冷式内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
水冷式内燃機関の冷却装置において、シリンダブロックおよびシリンダヘッドから構成される機関本体に設けられる水ジャケットの冷却水が流通するラジエータが機関本体に対して所定方向に離隔して配置され、ラジエータで放熱した後に水ポンプで圧送された低温の冷却水を水ジャケットに導く供給配管がシリンダブロックに接続され、シリンダブロックおよびシリンダヘッドを冷却した後の水ジャケットからの冷却水をラジエータに導く入口配管がシリンダブロックに接続されるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−9499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
供給配管および入口配管がシリンダブロックに接続される内燃機関では、シリンダブロックからシリンダヘッドに流入して該シリンダヘッドを冷却した後の冷却水をシリンダブロックに戻すための戻し水通路をシリンダブロックに設ける必要があるので、シリンダブロックにおける冷却水の水流通構造が複雑化し、また戻し水通路が設けられる分、シリンダブロックが大型化する。そして、シリンダブロックにサーモスタットが設けられる場合には、シリンダブロックにおける前記水流通構造が一層複雑化する。
また、機関本体の、ラジエータ寄りの端部に、例えば動弁装置のカム軸を回転駆動する伝動機構が収容される収容室が配置される内燃機関では、水ジャケットとラジエータとの間に該収容室が位置することになるため、該収容室の分だけ、機関本体に対して所定方向に離隔しているラジエータと水ジャケットとの、該所定方向での間隔が大きくなるので、機関本体とラジエータとを接続する冷却水用配管の管長が長くなって、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化が困難になる。
また、機関温度を検出するために、水ジャケットの冷却水の温度を検出する温度センサが設けられる場合、機関本体全体での機関温度状態を検出するためには、機関本体の水ジャケットにおける局所的な水温の影響が少ない部位に該温度センサが配置されることが好ましく、しかもその配置に当たっては、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化を妨げることがないようにすることが好ましい。
さらに、水ポンプ内のエアを排出するエア抜き配管がラジエータに接続される場合には、エア抜き配管の管長が長くなること、および長いエア抜き配管が他の冷却水用配管のレイアウトを制約することにより、冷却水用配管のレイアウトが煩雑になる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜7記載の発明は、シリンダブロックにおける水流通構造を簡素化すると共に機関本体とラジエータとを接続する冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化を図ることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、冷却水用配管の位置を工夫することにより冷却効率の向上を図ることを目的とし、請求項4,5記載の発明は、さらに、冷却水の温度を検出する温度センサの配置を工夫することにより、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化を促進することを目的とし、請求項5記載の発明は、さらに、機関本体全体での機関温度状態の検出精度の向上を図り、かつ温度センサをコンパクトに配置することを目的とし、請求項6記載の発明は、水ポンプに接続されるエア抜き配管の管長を短くすることにより、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化を図る目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、ブロック側水ジャケットが設けられたシリンダブロックおよびヘッド側水ジャケットが設けられたシリンダヘッドから構成される機関本体と、前記両水ジャケットに冷却水を圧送する水ポンプおよび前記両水ジャケットの冷却水が流通するラジエータを備える冷却装置とを備える水冷式内燃機関であって、前記ラジエータは前記機関本体に対して所定方向に離隔して配置され、前記機関本体の、前記所定方向で前記ラジエータ寄りの端部には、前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドに渡ってシリンダ軸線に沿って配置される動弁用伝動機構が収容される収容室が設けられる水冷式内燃機関において、前記シリンダヘッドにおける前記端部には、前記ブロック側水ジャケットから前記ヘッド側水ジャケットに流入した冷却水を前記ラジエータに導く入口配管が接続される冷却水出口部が前記ヘッド側水ジャケットに開口して設けられ、前記冷却水出口部は前記所定方向で前記収容室よりも前記ラジエータに近い位置にある水冷式内燃機関である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の水冷式内燃機関において、前記冷却水出口部は前記ヘッド側水ジャケットの上端部に開口し、前記ラジエータで放熱した冷却水が前記ブロック側水ジャケットに流入する冷却水入口部が前記シリンダブロックの下端部に設けられるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の水冷式内燃機関において、前記冷却装置は、暖機状態に応じて前記ラジエータへの冷却水の流通および遮断を制御するサーモスタットを備え、前記水ポンプおよび前記サーモスタットは、いずれも前記所定方向で前記収容室よりも前記ラジエータ寄りで前記端部に取り付けられるものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の水冷式内燃機関において、前記シリンダヘッドにおける前記端部に取り付けられて冷却水の温度を検出する温度センサが、前記シリンダヘッドの外部で前記所定方向に直交する方向に延出するものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の水冷式内燃機関において、前記直交方向から見て前記シリンダブロックのシリンダ軸線方向に延びる吸気通路を形成する吸気装置を備え、前記シリンダヘッドにおける前記端部には、前記冷却水出口部が設けられる配管接続部が設けられ、前記温度センサは、前記所定方向で、前記吸気通路と、前記配管接続部に接続されて冷却水が流通する冷却水用配管との間に配置されて、前記配管接続部に取り付けられるものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の水冷式内燃機関において、前記所定方向で前記収容室よりも前記ラジエータ寄りで前記シリンダヘッドにおける前記端部に取り付けられた前記水ポンプに滞留したエアを抜くためのエア抜き配管が、前記配管接続部に前記所定方向から接続されて、前記ヘッド側水ジャケットに連通するものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、シリンダブロックを冷却した後にヘッド側水ジャケットに流入してシリンダヘッドを冷却した冷却水を、ラジエータに流出させる前に、シリンダブロックを再度流通させる必要がないので、シリンダブロックにおける水流通構造が簡素化されると共にシリンダブロックが小型化される。しかも、冷却水出口部は、所定方向で収容室よりもラジエータに近い位置にあるので、入口配管を短くすることができて、入口配管の管路抵抗の減少により冷却効率が向上し、入口配管のレイアウトがコンパクト化される。
請求項2記載の事項によれば、シリンダブロックの下端部から流入した冷却水が、ブロック側水ジャケットを流通してヘッド側水ジャケットに流入し、ヘッド側水ジャケットの上端部からラジエータに流出するので、冷却水の流通がスムーズになって、シリンダおよびシリンダヘッドの冷却効率が向上する。
請求項3記載の事項によれば、機関本体において、所定方向で両水ジャケットとラジエータとの間に収容室が配置されるにも拘わらず、冷却水出口部、水ポンプおよびサーモスタットがラジエータに近い部位に集約されて配置されるので、冷却水用配管を短くすることができて、冷却効率が向上し、冷却水用配管のレイアウトがコンパクト化される。
請求項4記載の事項によれば、温度センサはシリンダヘッドにおける端部に取り付けられるにも拘わらず、シリンダヘッドの外部で所定方向に直交する方向に延出するので、温度センサにおいてシリンダヘッドの外部に露出している露出部が、シリンダヘッドにおける端部よりもラジエータ寄りに配置される入口配管などの冷却水用配管のレイアウトを制約することが防止されて、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化が促進される。
請求項5記載の事項によれば、温度センサは、ヘッド側水ジャケットからラジエータへの冷却水の出口である冷却水出口部が設けられる配管接続部に取り付けられるので、水ジャケットにおいてブロック側水ジャケットおよびヘッド側水ジャケットを流通した冷却水が集合して機関本体からラジエータに流出する部位に温度センサが配置される。このため、水ジャケットでの局部的な水温の影響が少ない部位での水温が温度センサにより検出されるので、機関本体全体での機関温度状態の検出精度が向上する。
しかも、温度センサは、所定方向で吸気通路と配管接続部に接続される冷却水用配管との間に形成されるスペースを利用して配置されるので、温度センサをコンパクトに配置することができる。
請求項6記載の事項によれば、エア抜き配管はシリンダヘッドにおける端部に設けられた配管接続部に所定方向から接続されるので、エア抜き配管がラジエータに接続される場合に比べてその管長を短くすることができて、該エア抜き配管を含めて、所定方向で該端部よりもラジエータ寄りに配置される冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化に寄与する。しかも、配管接続部には温度センサが設けられるにも拘わらず、温度センサは所定方向に直交する方向に延出するので、該温度センサに妨げられることなくエア抜き配管を配管接続部に接続することができて、この点でも、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9を参照して説明する。
図1〜7は、第1実施形態を説明するための図である。
図1を参照すると、本発明が適用された水冷式内燃機関Eが搭載される車両としてのスクータ型の自動二輪車1は、車体フレームFおよび該車体フレームFを覆う合成樹脂製の車体カバーCから構成される車体を備える。車体フレームFは、車体の前端部に位置するヘッドパイプ2と、ヘッドパイプ2から後方斜め下方に延びる1つのダウンチューブ3と、ダウンチューブ3の下部である水平部3aに接続されて、水平部3aの左右両側から後方斜め上方に延びる左右1対のリヤフレーム4と、左右のリヤフレーム4を連結する複数のクロスメンバ(図示されず)とを備える。
【0008】
なお、明細書または特許請求の範囲において、上下は鉛直方向での上下を意味する。また、実施形態において、前後左右は自動二輪車1の前後左右に一致し、右または左は、後述するカム軸40aの回転中心線Laの方向での一方または他方である。
【0009】
ヘッドパイプ2に回動可能に支持されるステアリング軸6には、その上端部に操向ハンドル7が、その下端部にフロントフォーク8がそれぞれ設けられる。前輪9はフロントフォーク8の下端部に軸支され、後輪10は、該後輪10を回転駆動する動力を発生するパワーユニットPの後端部に軸支される。パワーユニットPは、その前端部で1対のリヤフレーム4の前部に結合される支持プレート11にリンク12を介して支持されるピボット軸13に、後述するクランクケース23にそれぞれ設けられる1対のブラケット17a,17b(図2も参照)において枢支され、その後端部でリヤサスペンション14を介して左のリヤフレーム4の後部に支持される。このため、パワーユニットPは上下方向に揺動可能に車体フレームFに支持される。
【0010】
図2を併せて参照すると、車体フレームFに支持されて車体の左部に配置されるパワーユニットPは、クランク軸26が車幅方向(左右方向でもある。)に平行な回転中心線Leを有する横置き配置の内燃機関Eと、内燃機関Eが発生する動力を後輪10に伝達する動力伝達装置Tとを備える。動力伝達装置Tは、変速機としてのベルト式変速機15と、該変速機15を収容する変速機ケース16とを備える。変速機15は、クランク軸26と同軸に一体成形されてクランク軸26により回転駆動される駆動軸15aに設けられる駆動プーリ15bと、終減速機構を介して後輪10に連結される出力軸に設けられる被動プーリ(図示されず)と、駆動プーリ15bおよび前記被動プーリに掛け渡されるVベルト15cとを備える。そして、変速機15の変速比は、機関回転速度に応じて移動する遠心ウエイト15dにより駆動プーリ15bの巻掛け半径が変更されると同時に前記被動プーリの巻掛け半径が変更されることにより自動的に変更される。変速機ケース16は、ケース本体16aと、ケース本体16aの左端部に結合される変速機カバー16bとから構成される。
【0011】
図1〜図4を参照すると、内燃機関Eは、ピストン24が往復運動可能に嵌合するシリンダ孔20bが設けられた1つのシリンダ20aにより構成されるシリンダブロック20と、シリンダブロック20の前端部(または、シリンダ軸線方向での一方側の端部)に結合されるシリンダヘッド21と、シリンダヘッド21の前端部に結合されるヘッドカバー22と、シリンダブロック20の後端部(または、シリンダ軸線方向での他方側の端部)に結合されるクランクケース23とにより構成される機関本体を備える。シリンダ20aは、そのシリンダ軸線Lyが前方に向かってやや斜め上方に延びるように、水平面に対してやや上向きに傾斜した状態、したがって大きく前傾した状態で車体フレームFに配置される。クランクケース23は、ケース本体16aと一体成形されると共にブラケット17aが一体成形される左のケース半体23aと、ブラケット17bが一体成形されたケース半体23bとが結合されて構成される左右割りのクランクケースである。ピストン24にコンロッド25を介して連結されるクランク軸26は、クランクケース23により形成されるクランク室27に配置されると共に、両ケース半体23a,23bにそれぞれ1対の主軸受28を介して回転可能に支持される。
【0012】
図2を参照すると、クランク室27内から左方向に突出するクランク軸26の左軸端部は、変速機ケース16内に延びて駆動軸15aを構成する。一方、クランク室27内から右方向に突出するクランク軸26の右軸端部は、交流発電機31および冷却ファン53が収容される補機室30内に延びて、交流発電機31および冷却ファン53の駆動軸29を構成する。それゆえ、駆動軸29は、クランク軸26と同軸に一体成形されてクランク軸26により回転駆動される。補機室30は、ケース半体23bの右端部23eと、右端部23eに結合される筒状のシュラウド54とにより形成される。
補機室30は、ケース半体23bに結合されて交流発電機31のステータ31aを保持する部材である隔壁32により、該隔壁32とケース半体23bとにより形成される空間R1から隔てられる。左右方向で、クランク室27と補機室30との間に位置する空間R1内には、動弁装置40のカム軸40aを駆動する動弁用伝動機構43の駆動スプロケット43aおよびオイルポンプ(図示されず)を駆動する補機用伝動機構の駆動ギヤ33が収容される。
【0013】
図2,図4,図5を参照すると、シリンダヘッド21には、シリンダ軸線方向でシリンダ孔20bと対向する位置に凹部からなる燃焼室35と、燃焼室35に開口する吸気ポート36および排気ポート37と、燃焼室35内に臨む点火栓38とが設けられる。シリンダヘッド21とヘッドカバー22とで形成される動弁室39内には、吸気ポート36を開閉する吸気弁41および排気ポート37を開閉する排気弁42を開閉駆動する動弁装置40が収容される。頭上カム軸型の動弁装置40は、動弁カムとしての吸気カム40a1および排気カム40a2が設けられてシリンダヘッド21に回転可能に設けられるカム軸40aと、ロッカ軸40bに揺動可能に支持されて吸気カム40a1および排気カム40a2によりそれぞれ駆動されて揺動する吸気ロッカアーム40cおよび排気ロッカアーム40dとを備える。回転中心線Leと平行な回転中心線Laを有するカム軸40aは、巻掛け式の伝動機構43を介してクランク軸26に連結されて、クランク軸26の動力によりその1/2の回転速度で回転駆動される。伝動機構43は、駆動ギヤ33と一体成形されると共にクランク軸26に設けられる駆動体としての駆動スプロケット43aと、カム軸40aに設けられる被動体としてのカムスプロケット43bと、両スプロケット43a,43bを連結する無端伝動帯としての無端チェーン43cとを備える。そして、回転するカム軸40aの吸気カム40a1および排気カム40a2が、それぞれ吸気ロッカアーム40cおよび排気ロッカアーム40dを介して、クランク軸26の回転に同期して所定のタイミングで吸気弁41および排気弁42を開閉作動させる。
【0014】
クランクケース23、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21に渡ってシリンダ軸線Lyに沿って配置される伝動機構43は、該伝動機構43により回転駆動される部材としてのカム軸40aの回転中心線方向(この実施形態では左右方向でもある。)での一方向である右方向での機関本体の端部を構成するクランクケース23の右端部23e、シリンダブロック20の右端部20eおよびシリンダヘッド21の右端部21eに、シリンダ軸線Lyに沿って設けられる収容室としてのチェーン室44に収容される。
チェーン室44は、右方向でのシリンダブロック20の端部である右端部20eにシリンダ軸線方向に貫通して設けられた空洞からなる空間R2と、右方向でのシリンダヘッド21の端部である右端部21eにシリンダ軸線方向に延びて動弁室39と連通するように設けられた空洞からなる空間R3と、右方向でのクランクケース23の端部である右端部23eに設けられた空間R1とが、シリンダ軸線方向で両空間R1,R3が空間R2を挟んで互いに連通して形成される空間である。このように、この実施形態では、チェーン室44を形成する室壁は、シリンダブロック20、シリンダヘッド21およびクランクケース23の各右端部20e,21e,23eと隔壁32とから構成される。
そして、チェーン43cは、空間R1に収容される駆動スプロケット43aと空間R3および動弁室39に跨って収容されるカムスプロケット43bとに掛け渡されて、3つの空間R1,R2,R3に渡ってシリンダ軸線Lyに沿ってチェーン室44内に収容される。
【0015】
図1を参照すると、内燃機関Eは、エアクリーナ45a、スロットル弁装置45bおよびシリンダヘッド21の接続部21iに接続される吸気管45cを備えて吸入空気を燃焼室35に導く吸気装置45と、吸気管45cに取り付けられると共に吸入空気に燃料を供給する燃料噴射弁47と、排気ポート37から流出した排気ガスを内燃機関Eの外部に導く排気管46aおよび消音器46bを備える排気装置46とを備え、併せて図2,図4,図6を参照すると、さらに、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21を冷却する冷却水を流通させる冷却装置50を備える。
【0016】
吸気装置45により形成される吸気通路を流通する吸入空気は、スロットル弁装置45bに設けられるスロットル弁45b1により流量制御された後、燃料噴射弁47から供給された燃料と混合して混合気を形成する。該混合気は、吸気弁41の開弁時に吸気ポート36を通って燃焼室35に流入し、点火栓38により点火されて燃焼する。そして、発生した燃焼ガスの圧力により駆動されるピストン24が往復運動してクランク軸26を回転駆動する。その後、燃焼ガスは排気ガスとして排気弁42の開弁時に排気ポート37に流出する。排気ポート37からの排気ガスは、排気ポート37の出口が開口するシリンダヘッド21の接続部21tに接続される排気管46aを流通して排気装置46を通じて外部に排出される。そして、クランク軸26の動力が変速機15により機関回転速度に応じて自動的に変速されて後輪10に伝達され、後輪10が回転駆動される。
【0017】
図2,図4,図5を参照すると、冷却装置50は、シリンダ孔20bを囲むようにシリンダブロック20に設けられたブロック側水ジャケットJbと、ブロック側水ジャケットJbにガスケット49に設けられた連通孔を介して連通すると共に燃焼室35を覆うようにシリンダヘッド21に設けられたヘッド側水ジャケットJhとから構成される水ジャケットJb,Jhに対して冷却水の給排を行う。
併せて、図3,図6,図7を参照すると、冷却装置50は、水ジャケットJb,Jhに冷却水を圧送する水ポンプ51と、水ジャケットJb,Jhの冷却水が流通するラジエータ52と、ラジエータ52を流通する冷却水のからの放熱を促進するための冷却風を発生させる冷却ファン53と、冷却ファン53を覆うシュラウド54と、ラジエータ52の放熱コア52cに向けて冷却風を案内するラジエータカバー55と、内燃機関Eの暖機状態に応じてラジエータ52への冷却水の流通および遮断を制御すべくラジエータ52と水ポンプ51との間の冷却水の連通および遮断を行うサーモスタット56と、冷却水が流通する複数の冷却水用配管から構成される配管群とを備える。
【0018】
シリンダヘッド21において、右方向でラジエータ52寄りの端部である右端部21e(チェーン室44の室壁でもある。)に、チェーン室44よりも右方向でラジエータ52寄りに取り付けられる水ポンプ51は、右端部21eを貫通してチェーン室44内に配置される筒部を有すると共に右端部21eに結合されるボディ51aと、ボディ51aにボルトにより結合されると共に吸入ポート部51iおよび吐出ポート部51eが設けられるカバー51bと、ボディ51aに回転可能に支持されてカム軸40aの軸端部に結合されるポンプ軸51cと、ポンプ軸51cに結合されてボディ51aとカバー51bとにより形成されるポンプ室51p内に配置されるインペラ51dとを備える。
【0019】
ラジエータ52は機関本体に対して、所定方向としての右方向に離隔して配置される。ラジエータ52のほぼ全体は、前後方向でシリンダブロック20およびシリンダヘッド21の後方に配置され(図3参照)、右方向から見て(または冷却風の流入方向に見て)クランクケース23と重なる位置に配置される。そして、クランクケース23右方向で、チェーン室44とラジエータ52との間には、交流発電機31と冷却ファン53とが配置される(図2参照)。
クランクケース23において右方向でラジエータ52寄りの端部である右端部23e(チェーン室44の室壁でもある。)に、シュラウド54を介して結合されるラジエータ52は、両水ジャケットJb,Jhを流通してシリンダブロック20およびシリンダヘッド21を冷却した後の高温の冷却水をシリンダヘッド21からラジエータ52に導く入口配管57が接続される入口接続部52iが設けられる入口タンクとしてのアッパータンク52aと、アッパータンク52a内の冷却水が流入する多数の伝熱管52c1を備える放熱コア52cと、放熱コア52cで放熱した後の低温になった冷却水が各伝熱管52c1から流入して集合する出口タンクとしてのロアタンク52bとを備える。ロアタンク52bには、放熱後の冷却水をサーモスタット56を介して水ポンプ51の吸入ポート部51iに導く出口配管58が接続される出口接続部52eが設けられる。
入口接続部52iおよび出口接続部52eは、それぞれアッパータンク52aおよびロアタンク52bにおいて、前後方向(またはシリンダ軸線方向)で冷却水出口部61寄りおよび冷却水入口部62寄りの部位に設けられる(図3参照)。
【0020】
図2を参照すると、交流発電機31のロータ31bを介して駆動軸29に結合される冷却ファン53は、回転中心線方向においてロータ31bと放熱コア52cとの間に配置される。多数の羽根53aを備える半径流式の冷却ファン53は、ラジエータカバー55およびシュラウド54により形成される冷却風の風路において、放熱コア52cの下流で、放熱コア52cに回転中心線方向で対面するように配置されて、放熱コア52cを通過した空気を吸引することにより、放熱コア52cにその上流(右方向)から流入する冷却風を発生させる。
シュラウド54は、ラジエータ52を保持する保持部52aと、冷却ファン53の径方向外方を覆う筒状の覆い部54bとを備える合成樹脂製の単一の部材である。覆い部54bには、周方向に間隔をおいて回転中心線Leにほぼ平行に形成された複数のスリットから構成される排風口54eが形成されていて(図2参照)、冷却ファン53により補機室30から外部に押し出される冷却風が、該排風口54eを経て径方向外方に向けて排出される。
シュラウド54に結合されてラジエータ52の外周を覆うと共に放熱コア52cに対面して配置されるラジエータカバー55は、格子状の整流板を有するグリル55aを備え、該グリル55aは放熱コア52c46の上流の空気を冷却風として放熱コア52c46に向かうように案内する。
【0021】
図3〜図7を参照すると、シリンダブロック20において、右方向でラジエータ52寄りの端部である右端部20e(チェーン室44の室壁でもある。)に、チェーン室44よりも右方向でラジエータ52寄りに取り付けられるサーモスタット56は、前後方向で水ポンプ51とラジエータ52との間に配置される(図3参照)。サーモスタット56は、右端部20eに結合されるハウジング56aと、該ハウジング56a内に収容される感温部材により作動するサーモ弁(図示されず)とを備える。ハウジング56aには、ヘッド側水ジャケットJhからの冷却水が流入するバイパスポート部56bと、ラジエータ52からの冷却水をハウジング56a内に導く入口ポート部56iと、ラジエータ52からの冷却水を水ポンプ51に流出させる出口ポート部56eとが設けられる。
前記サーモ弁は、内燃機関Eの暖機時にはバイパスポート部56bと出口ポート部56eとの間で冷却水を流通させると同時に入口ポート部56iと出口ポート部56eとの間での冷却水の流通を遮断し、内燃機関Eの暖機完了後には入口ポート部56iと出口ポート部56eとの間で冷却水を流通させると同時にバイパスポート部56bと出口ポート部56eとの間での冷却水の流通を遮断する。
【0022】
シリンダヘッド21には、その右端部21eであり、かつ上端部21uにおいて、シリンダ軸線方向でシリンダヘッド21におけるシリンダブロック20寄りの位置に、上方(または、右方向から見てシリンダ軸線Lyに直交する方向(以下、「直交方向」という。)での一方向)に隆起する隆起部からなる配管接続部70が、シリンダヘッド21に一体成形されて設けられる。
【0023】
入口配管57は、右端部21eであって、かつ上端部21uに設けられる冷却水出口部61に接続されて、ブロック側水ジャケットJbからヘッド側水ジャケットJhに流入してシリンダヘッド21を冷却した後の冷却水をラジエータ52に導く。右端部21eまたは配管接続部70において右方向に突出する冷却水出口部61は、右方向でチェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にある(図5、図7参照)と共に、ヘッド側水ジャケットJhの、上方に突出する上端部Jh1に開口する(図5参照)。この上端部Jh1は、配管接続部70により形成される。そして、配管接続部70および上端部Jh1の少なくとも一部が、この実施形態では上端部Jh1のほぼ全体が、上方から見て(以下、「上平面視」という。)、チェーン室44と重なる位置に、または左右方向での位置で、チェーン室44と同じ位置に配置される(図5,図7参照)。
【0024】
配管接続部70は、いずれも該配管接続部70に一体成形されて設けられる出口形成部71および取付部72を有する。冷却水出口部61は、出口形成部71に取り付けられて設けられる管継手により構成される。出口形成部71は、右端部21eにおいて、配管接続部70から右方向に突出する突出部により構成され、しかもチェーン室44よりも右方向に位置し、したがって、チェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にある。出口形成部71は、チェーン室44よりもラジエータ52に近い位置ある先端面71aを有し、該先端面71aよりも右方向において入口配管57が冷却水出口部61に右方向から接続される。
【0025】
そして、冷却水出口部61の近傍には、冷却水温度を検出する温度センサ66の取付部72が設けられ、該温度センサ66の検知部66bはヘッド側水ジャケットJhの上端部Jh1近傍に臨んでいる。温度センサ66は、シリンダヘッド21における右端部21e、より具体的には配管接続部70に右方向から取り付けられる。
冷却水出口部61はヘッド側水ジャケットJhからラジエータ52への冷却水の出口であることから、上端部Jh1は、両水ジャケットJb,Jhを流通した冷却水が集合して機関本体からラジエータ52に流出する部位であり、したがって各水ジャケットJb,Jhでの局部的な水温の影響が少ない部位であるので、この温度センサ66により機関本体全体での機関温度状態を精度よく検出できる。
取付部72は、出口形成部71と同様に、右端部21eにおいて右方向に突出していて、チェーン室44よりも右方向に位置する。そして、温度センサ66は、シリンダヘッド21の外部において、右方向に延出している露出部66aを有する。
【0026】
入口配管57は、冷却水出口部61に接続される導管57aと、入口接続部52iに接続される導管57bと、両導管57a,57bを接続する分岐部を有するT字形の管継手57cとにより構成される。そして、入口配管57には、管継手57cにおいて分岐してバイパスポート部56bに接続される導管58bが設けられ、該導管58bと導管57aと管継手57cとによりヘッド側水ジャケットJhに連通するバイパス配管59が構成される。バイパス配管59は、内燃機関Eの暖機時に、ヘッド側水ジャケットJhからの冷却水をラジエータ52に流入させることなく、サーモスタット56を経て水ポンプ51に導く。
出口配管58は、前後方向でラジエータ52に向かって延びる吸入ポート部51iに接続されて、ラジエータ52からの低温の冷却水をサーモスタット56を介して水ポンプ51に導く。出口配管58は、出口接続部52eおよび入口ポート部56iに接続される導管58aと、出口ポート部56eおよび吸入ポート部51iに接続される導管58bとにより構成される。
吐出ポート部51eに接続される供給配管60は、シリンダブロック20の下端部20dに設けられる冷却水入口部62に接続されて、ラジエータ52から流入して水ポンプ51から吐出された冷却水をブロック側水ジャケットJbに導く。冷却水入口部62は、ブロック側水ジャケットJbの下端部Jb1に開口する(図4参照)。
ここで、入口配管27、出口配管58、バイパス配管59および供給配管60は、いずれも前記冷却水用配管である。そして、入口配管27、出口配管58およびバイパス配管59は、右方向で、シリンダヘッド21の右端部21eよりもラジエータ52寄りに配置される。
【0027】
冷却装置50により、水ポンプ51により圧送された冷却水は、供給配管60を経て冷却水入口部62からブロック側水ジャケットJbに流入してシリンダ20aを冷却し、次いでヘッド側水ジャケットJhに流入してシリンダヘッド21を冷却し、その後、ヘッド側水ジャケットJhから冷却水出口部61に流出して、バイパス配管59を流通してサーモスタット56に流入し、さらに吸入ポート部51iからポンプ室51pに流入してインペラ51dにより圧送されて、冷却水がラジエータ52を流通することなく暖機時の循環路を循環して、内燃機関Eの暖機が促進される。
そして、サーモスタット56がラジエータ52を介してヘッド側水ジャケットJhと水ポンプ51とを連通させる一方でバイパス配管59によるヘッド側水ジャケットJhと水ポンプ51との連通を遮断する内燃機関Eの暖機完了後には、ラジエータ52で放熱して低温となった冷却水が水ポンプ51に吸入され、インペラ51dにより圧送された冷却水が、供給配管60を経てブロック側水ジャケットJbに流入してシリンダブロック20を冷却し、次いでヘッド側水ジャケットJhに流入してシリンダヘッド21を冷却した後、ヘッド側水ジャケットJhから流出した冷却水は、冷却水出口部61から入口配管57を流通してラジエータ52のアッパータンク52aに流入し、放熱コア52cで冷却風により冷却された後、ロアタンク52bに流入する。そして、ロアタンク52bからの冷却水は、出口配管58を流通してサーモスタット56を通ってポンプ室51pに流入し、インペラ51dにより圧送されて、冷却水が暖機後の循環路を循環して、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21が冷却される。
【0028】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
ラジエータ52が機関本体に対して所定方向としての右方向に離隔して配置された内燃機関Eにおいて、シリンダヘッド21の右端部21eには、ブロック側水ジャケットJbからヘッド側水ジャケットJhに流入した冷却水をラジエータ52に導く入口配管57が接続される冷却水出口部61がヘッド側水ジャケットJhに開口して設けられ、冷却水出口部61は右方向でチェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にあることにより、シリンダブロック20を冷却した後にヘッド側水ジャケットJhに流入してシリンダヘッド21を冷却した冷却水を、ラジエータ52に流出させる前に、シリンダブロック20を再度流通させる必要がないので、シリンダブロック20における水流通構造が簡素化されると共にシリンダブロック20が小型化される。しかも、冷却水出口部61は、右方向でチェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にあるので、入口配管57を短くすることができて、入口配管57の管路抵抗の減少により冷却効率が向上し、入口配管52のレイアウトがコンパクト化される。しかも、冷却水出口部61が、右端部21eにおいて右方向に突出していてチェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にある出口形成部71に設けられるので、出口形成部71の分、入口配管57の管長を一層短くすることができて、入口配管57の管路抵抗を一層減少させることができる。
【0029】
冷却水出口部61はヘッド側水ジャケットJhの上端部Jh1に開口し、ラジエータ52で放熱した冷却水がブロック側水ジャケットJbに流入する冷却水入口部62がシリンダブロック20の下端部20dに設けられることにより、下端部20dから流入した冷却水が、ブロック側水ジャケットJbを流通してヘッド側水ジャケットJhに流入し、ヘッド側水ジャケットJhの上端部Jh1からラジエータ52に流出するので、冷却水の流通がスムーズになって、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21の冷却効率が向上する。しかも、上端部Jh1はヘッド側水ジャケットJhにおいて上方に突出する部分であることにより、ヘッド側水ジャケットJh内の冷却水はシリンダヘッド21全体を満遍なく冷却した後に上端部Jh1を経て冷却水出口部61に流出するので、シリンダヘッド21の冷却効率の向上に寄与する。
【0030】
冷却装置50は、いずれもチェーン室44よりも右方向でラジエータ52寄りで右端部21e,20eにそれぞれ取り付けられた水ポンプ51およびサーモスタット56を備えることにより、機関本体において、右方向で両水ジャケットJb,Jhとラジエータ52との間にチェーン室44が配置されるにも拘わらず、冷却水出口部61、水ポンプ51およびサーモスタット56がラジエータ52に近い部位に集約されて配置されるので、入口配管61および出口配管62を短くすることができて、冷却効率が向上し、入口配管61および出口配管62のレイアウトがコンパクト化される。そして、ラジエータ52、サーモスタット56および水ポンプ51が、それぞれクランクケース23、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21に振り分けられて取り付けられることにより、入口配管61および出口配管62の短縮化に寄与し、ひいては冷却効率の向上および入口配管61および出口配管62のレイアウトのコンパクト化に寄与する。
【0031】
シリンダヘッド21における右端部21eには、冷却水出口部61が設けられる配管接続部70が設けられ、温度センサ66が配管接続部70の取付部72に取り付けられることにより、温度センサ66は、ヘッド側水ジャケットJhからラジエータ52への冷却水の出口である冷却水出口部61が設けられる配管接続部70に取り付けられるので、ヘッド側水ジャケットJhにおいて両水ジャケットJb,Jhを流通した冷却水が集合して機関本体からラジエータ52に流出する部位に温度センサ66が配置される。このため、各水ジャケットJb,Jhでの局部的な水温の影響が少ない部位での水温が温度センサ66により検出されるので、機関本体全体での機関温度状態の検出精度が向上する。
【0032】
次に、図8,図9を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、第1実施形態とは、冷却装置50の冷却用配管および温度センサ66の位置が相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施形態の部材と同一の部材または対応する部材等については、図示されていない部材を含めて同一の符号を使用した。
【0033】
吸気装置45は、エアクリーナ45a(図1参照)に接続されるスロットルボディ45b2を有するスロットル弁装置45bと、スロットル弁装置45bを流通した吸入空気を吸気ポート36(図4も参照)に導く吸気管45cと、スロットル弁装置45bと吸気管45cとの間に配置されて両者を接続するゴム製の可撓管からなる接続管45dとを備える。吸入空気を吸気ポート36、さらには燃焼室35(図4参照)に導く吸気通路45pは、スロットル弁装置45bのボディであるスロットルボディ45b2、接続管45dおよび吸気管45cにより形成されて、該吸気通路45pの下流端部が吸気ポート36に開口する。吸気管45cはシリンダヘッド21の上端部21uに設けられる接続部21iにボルト18により結合される。
そして、前記直交方向での前記一方向にほぼ平行な方向から見た図である図9に示されるように、上平面視で(または前記一方向から見て)、吸気通路45pは、シリンダ軸線方向が長手方向となるように、シリンダ軸線方向に延びている。
【0034】
右方向で右端部21eおよびチェーン室44よりもラジエータ52寄りには、右端部21eに取り付けられた水ポンプ51のポンプ室51pに滞留したエアを抜くためのエア抜き配管69が配置される。エア抜き配管69は、その上流端部で水ポンプ51のカバー51bに設けられた接続部51fに接続されて、水ポンプ51のポンプ室51p(図2参照)に連通する一方で、その下流端部で配管接続部70に接続されて、ヘッド側水ジャケットJhの上端部Jh1(図5参照)に連通する。
【0035】
第1実施形態と同様の位置でシリンダヘッド21に一体成形されて設けられた配管接続部70は、いずれも配管接続部70に一体成形されて設けられる出口形成部71、取付部73およびエア流入形成部74を有する。配管接続部70は、第1実施形態と同様に、ヘッド側水ジャケットJhの上端部Jh1を形成し、またエア流入形成部74には、水ポンプ51内のエアをヘッド側水ジャケットJhに導くエア抜き配管69が接続される。
【0036】
第1実施形態の冷却水出口部61に対応する冷却水出口部67は、出口形成部71に取り付けられて設けられる分岐部を有するT字形の管継手により構成され、エア流入部68は、エア流入形成部74に取り付けられて設けられる管継手により構成される。冷却水出口部67の1対の分岐部には、入口配管57およびバイパス配管59がそれぞれ接続される。そして、冷却水出口部67にバイパス配管59が直接接続されることにより、バイパス配管が入口配管の途中に設けられる場合に比べて入口配管57の管長の一層の短縮、入口配管57のレイアウトの一層のコンパクト化が可能になる。
【0037】
出口形成部71およびエア流入形成部74は、右端部21eにおいて、配管接続部70から右方向に突出する突出部により構成され、しかもチェーン室44よりも右方向に位置して、チェーン室44よりもラジエータ52に近い位置にある。出口形成部71およびエア流入形成部74は、それぞれ、チェーン室44よりもラジエータ52に近い位置ある先端面71a,74aを有し、先端面71aよりも右方向において入口配管57が冷却水出口部67に右方向から接続され、先端面74aよりも右方向においてエア抜き配管69がエア流入部68に右方向から接続される。
そして、入口配管57は、冷却水出口部67からラジエータ52の接続部52iまで右方向とは反対方向(すなわち左方向)に屈曲することがない(図9参照)ので、この点でも、入口配管57の管長の減少および管路抵抗の減少が可能になる。また、エア抜き配管69は、入口配管57およびバイパス配管59の真下に配置されて、上平面視で入口配管57およびバイパス配管59と重なる位置に配置される。
【0038】
そして、配管接続部70において、出口形成部71、冷却水出口部67、エア流入形成部74およびエア入口部68の近傍には、上端部Jh1近傍に臨む検知部66b(図5参照)を有する温度センサ66の取付部73が設けられる。
取付部73は右端部21eにおいて上向に突出している。取付部73に上方から取り付けられる温度センサ66の露出部66aは、右方向に直交する方向であって、右方向から見て(すなわち、図8と同様に、右方向からの側面視で)、上方(または、前記直交方向での前記一方向)に延出している。
【0039】
上平面視で、温度センサ66および吸気通路45pは左右方向に並んで配置される。具体的には、上平面視で、温度センサ66は、吸気通路45pに対してラジエータ52が配置される方向と同じ方向である右方向に、吸気通路45pと並んで、吸気通路45pと、配管接続部70において冷却水出口部67に接続される入口配管57およびバイパス配管59との間に形成されるスペースを利用して配置される。また、配管接続部70、上端部Jh1、取付部73および露出部66aの少なくとも一部が、この実施形態では取付部73、上端部Jh1および露出部66aのほぼ全体が、上平面視でチェーン室44と重なる位置に、または左右方向での位置で、チェーン室44と同じ位置に配置される(図9参照)。そして、温度センサ66は、上下方向(または前記直交方向)でスロットルボディ45b2および接続管45dのそれぞれの最上部よりも下方に配置される(図8参照)。
【0040】
ここで、エア抜き配管69においてはエアと共に冷却水が流通することから、エア抜き配管69は、入口配管57などと同様に冷却水用配管である。
また、サーモスタット56と水ポンプ51とは、サーモスタット56のハウジング56aに一体成形されたフランジ56nと水ポンプ51にカバー51bに一体成形された接続管51mのフランジ51nとがボルトに寄り結合されて接続される。
【0041】
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成により、同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。
シリンダヘッド21における右端部21eに取り付けられる温度センサ66が、シリンダヘッド21の外部で右方向に直交する方向である上方(または前記直交方向での前記一方向)に延出することにより、温度センサ66は右端部21eに取り付けられるにも拘わらず、シリンダヘッド21の外部で上方に延出するので、温度センサ66においてシリンダヘッド21の外部に露出している露出部66aが、右端部21eよりもラジエータ52寄りに配置される入口配管57やバイパス配管59などの冷却水用配管のレイアウトを制約することが防止されて、冷却水用配管のレイアウトのコンパクト化が促進される。
【0042】
吸気装置45により形成される吸気通路45pは、上平面視でシリンダブロック20のシリンダ軸線方向に延びており、右端部21eには、冷却水出口部67が設けられる配管接続部70が設けられ、温度センサ66は、右方向で、吸気通路45pと、配管接続部70において冷却水出口部67に接続されて冷却水が流通する入口配管57およびバイパス配管59との間に配置されて、配管接続部70の取付部73に取り付けられることにより、温度センサ66は、ヘッド側水ジャケットJhからラジエータ52への冷却水の出口である冷却水出口部67が設けられる出口形成部71を有する配管接続部70に取り付けられるので、第1実施形態と同様に、機関本体全体での機関温度状態の検出精度が向上する。
しかも、温度センサ66は、右方向で吸気通路45pと配管接続部70において冷却水出口部67に接続される入口配管57およびバイパス配管59との間に形成されるスペースを利用して配置されるので、温度センサ66をコンパクトに配置することができる。
【0043】
右方向でチェーン室44よりもラジエータ52寄りで右端部21eに取り付けられた水ポンプ51に滞留したエアを抜くためのエア抜き配管69が、右端部21eに接続されて、ヘッド側水ジャケットJhに連通することにより、エア抜き配管69は、シリンダヘッド21において水ポンプ51が取り付けられるのと同じ右端部21eに接続されるので、エア抜き配管69がラジエータ52に接続される場合に比べてその管長を短くすることができて、該エア抜き配管69を含めて、右方向で右端部21eよりもラジエータ52寄りに配置される入口配管57およびバイパス配管59のレイアウトのコンパクト化に寄与する。
【0044】
しかも、エア抜き配管69が、温度センサ66が取り付けられる取付部73を有する配管接続部70のエア流入形成部74においてエア流入部68に右方向から接続されて、ヘッド側水ジャケットJhに連通することにより、配管接続部70には温度センサ66が設けられるにも拘わらず、温度センサ66は上方に延出するので、該温度センサ66に妨げられることなく、エア抜き配管69を配管接続部70に接続することができて、この点でも、エア抜き配管69および入口配管57のレイアウトのコンパクト化に寄与する。
【0045】
取付部73は、上平面視でチェーン室44と重なる位置に配置されるので、シリンダヘッド21においてチェーン室44を形成する部分を利用して取付部73が配置されるので、取付部73を形成するために、左右方向でシリンダヘッド21が大型化することが防止される。
【0046】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
冷却水出口部61,67は、シリンダヘッド21に一体成形されて設けられてもよい。
伝動機構43は、巻掛け式のものとして、無端伝動帯としてのベルトと該ベルトが巻き掛けられるプーリとから構成されてもよく、また、例えば歯車列から構成される巻掛け式以外の伝動機構であってもよい。
チェーン室44の室壁は、シリンダブロック20、シリンダヘッド21およびクランクケース23の各右端部20e,21e,23eと、シリンダブロック20、シリンダヘッド21およびクランクケース23の少なくとも1つとは別個の部材であって、シリンダブロック20、シリンダヘッド21またはクランクケース23に取り付けられて結合される部材、例えばカバーであってもよい。この場合、該部材(例えばカバー)も機関本体の構成部材である。
伝動機構は、動弁装置のカム軸以外の部材を駆動するものであってもよい。
内燃機関は、車両以外に使用される内燃機関に備えられてもよい。また、冷却ファンは電動モータにより回転駆動されてもよい。内燃機関は、一体に形成された複数のシリンダにより構成されるシリンダブロックを備える多気筒内燃機関であってもよい。変速機は、歯車式変速機など、ベルト式変速機以外の変速機であってもよい。
スロットル弁装置は気化器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、本発明が適用された水冷式内燃機関が搭載された自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1の内燃機関のシリンダ軸線を含むと共にクランク軸の回転中心線に平行な平面を主たる断面としたときの要部断面図である。
【図3】図1の内燃機関の要部右側面図である。
【図4】図2のIV−IV線での要部断面図である。
【図5】図4のV−V矢視での要部の図である。
【図6】図1の内燃機関の斜視図である。
【図7】図1の内燃機関の上平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示し、本発明が適用された水冷式内燃機関の図3に対応する図である。
【図9】図8の内燃機関のほぼ上平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…自動二輪車、15…変速機、20…シリンダブロック、21…シリンダヘッド、23…クランクケース、24…ピストン、26…クランク軸、40…動弁装置、43…伝動機構、44…チェーン室、50…冷却装置、51…水ポンプ、52…ラジエータ、53…冷却ファン、56…サーモスタット、57…入口配管、58…出口配管、59…バイパス配管、60…供給配管、61,67…冷却水出口部、62…冷却水入口部、68…エア流入部、69…エア抜き配管、70…配管接続部、71…出口形成部、72,73…取付部、74…エア流入形成部、
P…パワーユニット、E…内燃機関、T…動力伝達装置、Jb,Jh…水ジャケット。

特許の図
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成19年6月26日(2007.6.26)
【代理人】 【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望

【識別番号】100098176
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 訓

【識別番号】100112298
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 光春
【公開番号】 特開2008−95679(P2008−95679A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2007−168055(P2007−168055)