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【発明の名称】 複合発電プラント蒸気タービンの運転制御装置
【発明者】 【氏名】山本 圭介
【氏名】園田 隆
【氏名】氏家 直樹
【氏名】中村 愼祐
【課題】ガスタービンに過剰な負担がかかることを防止しつつ発電要求量の変動に対して追従性が高い蒸気タービンの運転制御装置を提供すること。

【解決手段】ガスタービンと、該ガスタービンの排気ガスから熱回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラから発生した蒸気を用いて駆動する蒸気タービンとを備える複合発電プラントにおいて、前記蒸気タービンへ導入される蒸気の量を調節する蒸気加減弁の開度を制御することにより、前記蒸気タービンの運転を制御する蒸気タービンの運転制御装置であって、前記ガスタービンの負荷が予め設定されている高負荷領域にあり、かつ、前記複合発電プラントに対する発電要求量の変化量が予め設定されている所定の閾値よりも大きくなった場合に、前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記蒸気加減弁の開度を大きくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、該ガスタービンの排気ガスから熱回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラから発生した蒸気を用いて駆動する蒸気タービンとを備える複合発電プラントにおいて、前記蒸気タービンへ導入される蒸気の量を調節する蒸気加減弁の開度を制御することにより、前記蒸気タービンの運転を制御する蒸気タービンの運転制御装置であって、
前記ガスタービンの負荷が予め設定されている高負荷領域にあり、かつ、前記複合発電プラントに対する発電要求量の変化量が予め設定されている所定の閾値よりも大きくなった場合に、前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記蒸気加減弁の開度を大きくする蒸気タービンの運転制御装置。
【請求項2】
前記蒸気加減弁の開度を小さくしてから所定の時間経過後に、前記蒸気加減弁の開度を大きくする請求項1に記載の蒸気タービンの運転制御装置。
【請求項3】
前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記ガスタービンの負荷が前記高負荷領域に設定された第一の閾値以上となった場合に、前記蒸気加減弁の開度を大きくする請求項1に記載の蒸気タービンの運転制御装置。
【請求項4】
前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記複合発電プラントの出力変化率が所定の出力変化率以下となった場合に、前記蒸気加減弁の開度を大きくする請求項1に記載の蒸気タービンの運転制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複合発電プラントにおける蒸気タービンの運転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービン設備と蒸気タービン設備とを組み合わせた複合発電システム(GTCC;Gas Turbine Combined Cycle)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
複合発電プラントは、ガスタービンを駆動して発電するとともに、排熱回収ボイラによってガスタービンの排ガスが持つ熱エネルギーを回収して蒸気を発生させ、この蒸気によって蒸気タービンを駆動して発電するプラントである。このように、ガスタービンの排ガスが持つ熱エネルギーを回収して電力を発生させるので、プラント効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開2004−176681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の複合発電プラントでは、ガスタービンおよび蒸気タービンの起動後においては、蒸気タービンの蒸気加減弁を全開とした状態で、ガスタービンの燃料加減弁の開度だけを制御することが一般的である。つまり、図8(b)に示すように、発電要求量の変動によって蒸気加減弁の開度が制御されることはないので、蒸気タービンの出力は、いわゆる出成りの状態で保持される。これは、複合発電プラントの効率を向上させるためである。
このように、従来の複合発電プラントでは、発電要求量に応じて燃料加減弁の開度を制御することによって、ガスタービンの出力を変化させ、プラント全体の発電量を発電要求量に追従させていた。
【0004】
しかしながら、ガスタービンの高負荷時において発電要求量が急激に変化した場合に、これに伴ってガスタービンの出力を急激に変化させると、ガスタービンにかかる負担が大きくなり、結果としてガスタービンの寿命を縮めてしまう場合がある。この現象は、特に、ガスタービンが高負荷の場合において顕著である。したがって、ガスタービンに過剰な負担をかけないためには、例えば、ガスタービンの負荷が定格出力の90%を超える高負荷領域において、ガスタービンの出力変化率に制限を設けることが必要となる。
【0005】
しかしながら、このように制御すると、上記高負荷領域において発電要求量が急激に変化した場合には、図8(a)に示すように、発電要求量に対してガスタービンの出力が追従できず、発電要求量に対する追従性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、ガスタービンに過剰な負担がかかることを防止しつつ発電要求量の変動に対して追従性が高い蒸気タービンの運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明に係る蒸気タービンの運転制御装置は、ガスタービンと、該ガスタービンの排気ガスから熱回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラから発生した蒸気を用いて駆動する蒸気タービンとを備える複合発電プラントにおいて、前記蒸気タービンへ導入される蒸気の量を調節する蒸気加減弁の開度を制御することにより、前記蒸気タービンの運転を制御する蒸気タービンの運転制御装置であって、前記ガスタービンの負荷が予め設定されている高負荷領域にあり、かつ、前記複合発電プラントに対する発電要求量の変化量が予め設定されている所定の閾値よりも大きくなった場合に、前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記蒸気加減弁の開度を大きくすることを特徴とする。
【0008】
このような蒸気タービンの運転制御装置によれば、蒸気加減弁の開度を小さくすることによって排熱回収ボイラ内にエネルギーを一時的に保存し、その後、蒸気加減弁の開度を大きくすることによって保存されたエネルギーを蒸気タービンにより電力に変換するので、蒸気タービンの出力を効率的に増加させることができる。これにより、ガスタービンの出力を急激に変動させることなく発電要求量の変動に対する追従性を向上させることができる。この結果、ガスタービンに過剰な負担がかかることを防止しつつ、発電要求量の変動に追従することが可能となる。
また、排熱回収ボイラ内に保存されるエネルギーの量は、主に蒸気加減弁の開度および該開度を保持する時間によって決定される。したがって、蒸気加減弁の開度を適切に設定することによって、発電要求量に対する追従性を更に向上させることが可能となる。
【0009】
本発明に係る蒸気タービンの運転制御装置は、前記蒸気加減弁の開度を小さくしてから所定の時間経過後に、前記蒸気加減弁の開度を大きくすることを特徴とする。
【0010】
このような蒸気タービンの運転制御装置によれば、蒸気加減弁の開度を大きくするタイミングを時間によって決定するので、開度制御を容易に行うことができる。
【0011】
本発明に係る蒸気タービンの運転制御装置は、前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記ガスタービンの負荷が前記高負荷領域に設定された第一の閾値以上となった場合に、前記蒸気加減弁の開度を大きくすることを特徴とする。
【0012】
このような蒸気タービンの運転制御装置によれば、ガスタービンの負荷に応じて蒸気加減弁の制御を行うので、ガスタービンの運転状況を考慮した蒸気タービンの制御を行うことができる。これにより、発電要求量の変動に柔軟に対応することが可能となる。
【0013】
本発明に係る蒸気タービンの運転制御装置は、前記蒸気加減弁の開度を小さくし、その後前記複合発電プラントの出力変化率が所定の出力変化率以下となった場合に、前記蒸気加減弁の開度を大きくすることを特徴とする。
【0014】
このような蒸気タービンの運転制御装置によれば、複合発電プラントの出力変化率に応じて蒸気加減弁の制御を行うので、発電要求量の変動に柔軟に対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る蒸気タービンの運転制御装置によれば、ガスタービンに過剰な負担がかかることを防止しつつ、発電要求量の変動に追従することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置について、図を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る複合発電システムの装置構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る複合発電システムの全体の概略構成を示している。
図1に示すように、複合発電プラント1は、ガスタービンユニット10と、蒸気タービンユニット20とを主な構成要素として備えている。図1はガスタービンと蒸気タービンを別軸で構成されているが,同軸の構成でも良い。その場合,発電機11および21は一個の発電機となる。
【0017】
ガスタービンユニット10は、ガスと燃焼させる燃焼器2と、燃焼ガスを用いてタービンを回転させるガスタービン3と、空気を圧縮する圧縮機4と、ガスタービン3に連結された発電機11とを備えており、燃焼器2の上流側には燃料の量を調節する燃料加減弁12が設けられている。
蒸気タービンユニット20は、排ガスから熱回収を行う排熱回収ボイラ5と、蒸気を用いてタービンを回転させる蒸気タービン6と、蒸気を凝縮して液体にする復水器7と、液体を圧送する給水ポンプ8と、蒸気タービン6に連結された発電機21とを備えている。(同軸の場合は,発電機21はなし,発電機11のみとなる。)また、蒸気または液体が流通する順序に、排熱回収ボイラ5、蒸気タービン6、復水器7、および給水ポンプ8が、給水配管25によって接続されており、排熱回収ボイラ5と蒸気タービン6との間には蒸気加減弁22が設けられている。この蒸気加減弁22は、蒸気タービンの運転制御装置30によって制御されている。
また、ガスタービン3と排熱回収ボイラ5とは排ガス配管15によって接続されている。
【0018】
次に、上記構成を有する複合発電プラント1の各機器の動作について以下に説明する。
圧縮機4は外部から吸入した空気を圧縮して燃焼器2に供給する。また、燃料加減弁12を開くことによって燃焼器2に燃料が供給される。燃焼器2は、このように供給された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させ、高温の燃焼ガスをガスタービン3に供給する。燃焼器2より供給された燃焼ガスは、ガスタービン3を回転させて発電機11を駆動させる。
【0019】
ガスタービン3の排気ガスは、排熱回収ボイラ5に送られ、熱源として利用されることにより蒸気を発生させる。発生した蒸気は、蒸気タービンの運転制御装置30からの指令により蒸気加減弁22を開くことによって蒸気タービン6に供給される。そして、この蒸気を利用して蒸気タービン6を回転させて発電機21を駆動させる。なお、排熱回収ボイラ5において、熱源として利用された後の排ガスは図示しない排気口から大気へ放出される。
【0020】
蒸気タービン6を回転させるために用いられた蒸気は、蒸気タービン6の下方に配置された復水器7によって凝縮されて液体に戻される。そして、給水ポンプ8によって排熱回収ボイラ5に送られ、再び蒸気となって蒸気タービン6を回転させるために用いられる。
【0021】
以上のように、複合発電プラント1は、発電機11および発電機21を駆動することによって発電を行う。同軸の場合は,発電機11または21のいずれか一方を駆動させ発電を行う。
【0022】
次に、蒸気タービンの運転制御装置30aの詳細な制御について以下に説明する。
図2は、本実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置30aの制御ブロック図を示している。
図2において、図示しない圧力計測機器からの主蒸気圧力と、予め設定された蒸気の圧力設定値が減算部31に入力される。減算部31では、主蒸気圧力と圧力設定値の減算を行い、減算値を制御器32へ出力する。制御器32では、入力された減算値に基づいて蒸気加減弁22の開度指令値を算出し、比較部33へ出力する。
【0023】
第1選択部35は、複合発電プラント1に対する負荷上げ指令の信号が入力された場合、つまり、発電要求量の変化量が予め設定されている所定の閾値よりも大きくなった場合に、蒸気加減弁22の開度指令値として、予め設定されたα%を選択し、それ以外の場合には100%を選択する。そして、第1選択部35は、選択した蒸気加減弁22の開度指令値を第2選択部36に出力する。
【0024】
第2選択部36は、複合発電プラント1に対する負荷上げ指令の信号が入力されてから予め設定された時間λ経過後に、蒸気加減弁22の開度指令値として100%を選択し、λ経過前においては、第1選択部35からの出力値を選択する。そして、第2選択部36は、選択した開度指令値をレートリミッタ37に出力する。
【0025】
レートリミッタ37では、蒸気加減弁22の開度を大きくする場合には、第2選択部36からの出力値を上げレートηで比較部33に出力する。また、蒸気加減弁22の開度を小さくする場合には、第2選択部36からの出力値を下げレートθで比較部33に出力する。
【0026】
比較部33では、制御器32からの出力値とレートリミッタ37からの出力値とを比較して、小さい値を開度指令値として蒸気加減弁22に出力する。
【0027】
上記構成を備える蒸気タービンの運転制御装置30aにおいては、発電要求量の変動に対して、蒸気加減弁22の開度は以下のように制御される。
まず、主蒸気圧力と圧力設定値との偏差が減算部31により算出され、制御器32に出力される。制御器32は、偏差に応じた開度指令値を生成し、この開度指令値を比較部33に出力する。これにより、制御器32から出力される開度指令値は、主蒸気圧力に応じた開度指令値とされるが、主蒸気圧力が安定した後の開度指令値は100%で一定とされる。
【0028】
一方、負荷上げ指令が第1選択部35に入力されていない場合においては、第1選択部35によって、100%の開度指令値が選択され、この開度指令値が第2選択部36に出力される。第2選択部36は、第1選択部35から与えられた100%の開度指令値をレートリミッタ37に出力する。レートリミッタ37は、100%を所定のレートηで比較部33に出力する。これにより、レートリミッタ37から出力される開度指令値は、所定のレートηで増加し、最終的に100%で一定とされる。
比較部33は、制御器32からの開度指令値とレートリミッタ37からの開度指令値とを比較し、小さい値を開度指令値として蒸気加減弁22に出力する。これにより、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は最終的には100%で一定とされる(図3(b)のt〜tの期間参照)。
【0029】
次に、時刻tにおいて、負荷上げ指令が第1選択部35に入力されると、第1選択部35により開度指令値としてα%が選択されて、第2選択部36に出力される。第2選択部36は、負荷上げ指令が第1選択部35に入力されてからλまでの期間においては、第1選択部35からの開度指令値α%を選択し、選択した開度指令値をレートリミッタ37に出力する。レートリミッタ37は、第2選択部36からの開度指令値α%を下げレートθで比較部33に出力する。これにより、比較部33により選択され、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は、α%に向けて下げレートθで低下し(図3(b)の時刻t〜tの期間参照)、α%に達したところで一定とされる(図3(b)の時刻t〜tの期間参照)。
【0030】
続いて、負荷上げ指令が入力されてからλ後になると、第2選択部36によって開度指令値100%が選択され、レートリミッタ37は上げレートηで開度指令値を比較部33に出力する。これにより、比較部33により選択され、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は、100%に向けて上げレートηで上昇し、100%に達したところで一定となる(図3(b)の時刻t〜tの期間参照)。
【0031】
蒸気加減弁22の開度が100%に達した後は、次の発電要求量の負荷上げ指令が入力されるまでは、蒸気加減弁22の開度は100%に維持されることとなる(図3(b)の時刻t以降参照)。
【0032】
上記制御を行った場合の発電要求量の変動に対する追従性が、図3(a)に示されている。ここで、図3(a)は、発電要求量が変化した場合において、複合発電プラント1全体の出力および各機器の出力と時間との関係を示しており、「ST」は蒸気タービン6を、を「GT」はガスタービン3を示している。
時刻tにおいて発電要求量の変動が生じた場合に、ガスタービン3は発電要求量に追従するために出力が上がる。一方、蒸気タービン6は、蒸気加減弁22の開度が小さくなるために、出力が一時的に低下する。この間に、排熱回収ボイラ5内にはエネルギーが一時的に保存される。
そして時刻tから時間λが経過した時刻tにおいて、蒸気加減弁22の開度を除々に大きくすることによって、蒸気タービン6の出力が増加する。これに伴って、ガスタービン3の出力変化率が低減するとともに、複合発電プラント1全体の出力が発電要求量に追従することとなる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置30aによれば、時刻tから時刻tの間において、蒸気加減弁22の開度を小さくすることによって排熱回収ボイラ5内にエネルギーを一時的に保存することができる。そして、時刻tから時刻tの間において、蒸気加減弁22の開度を大きくすることによって保存されたエネルギーを蒸気タービン6により電力に変換するので、蒸気タービン6の出力を効率的に増加させることができる。これにより、ガスタービン3の出力を急激に変動させることなく発電要求量の変動に対する追従性を向上させることができる。この結果、ガスタービン3に過剰な負担がかかることを防止しつつ、発電要求量の変動に追従することが可能となる。
また、蒸気加減弁22の開度を大きくするタイミングを時間によって決定するので、開度制御を容易に行うことができる。
さらに、排熱回収ボイラ5内に保存されるエネルギーの量は、主に蒸気加減弁22の開度および該開度を保持する時間によって決定されるため、蒸気加減弁22の開度αを適切に設定することによって、発電要求量に対する追従性を更に向上させることが可能となる。
【0034】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
本実施形態の蒸気タービンの運転制御装置が第1の実施形態と異なる点は、蒸気加減弁22の開度を小さくした後、ガスタービン3の負荷が高負荷領域に設定された第一の閾値以上となった場合に蒸気加減弁22の開度を大きくする点である。以下、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0035】
図4は、本実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置30bの制御ブロック図を示している。
第1選択部45は、複合発電プラント1に対する負荷上げ指令の信号が入力された場合に、蒸気加減弁22の開度補正値として0を選択し、それ以外の場合にはεを選択して、選択した開度補正値を演算部48に出力する。ここで、εは蒸気加減弁22の開度が100%となるように予め設定された開度補正値である。
【0036】
演算部48では、複合発電プラント1全体の出力指令値から実際の出力値の減算が行われ、さらに、第1選択部45によって選択された開度補正値の加算が行われる。そして、このように演算された値を第2選択部46に出力する。
【0037】
第2選択部46は、複合発電プラント1に対する負荷上げ指令の信号を検知し、かつ、ガスタービン3の出力が予め設定された第一の閾値δよりも小さい場合には、予め設定された出力値βを選択し、それ以外の場合には演算部48から与えられた値を選択して、選択された値を制御器47に出力する。
【0038】
制御器47では、第2選択部46から与えられた値に基づいて蒸気加減弁22の開度指令値を生成し、比較部33へ出力する。
【0039】
比較部33では、制御器32からの出力値と制御器47からの出力値とを比較して、小さい値を蒸気加減弁22の開度指令値として蒸気加減弁22に出力する。
【0040】
上記構成を備える蒸気タービンの運転制御装置30bにおいては、発電要求量の変動に対して、蒸気加減弁22の開度は以下のように制御される。
まず、負荷上げ指令が第1選択部45に入力されていない場合においては、第1選択部45により開度補正値としてεが選択され、この開度補正値が演算部48に出力される。演算部48では、複合発電プラント1全体の出力指令値と実際の出力値との偏差にεを加算した値を第2選択部46に出力する。第2選択部46は、演算部48から与えられた値を制御器47に出力する。制御器47は、第2選択部46からの出力値に応じた開度指令値を生成し、この開度指令値を比較部33に出力する。
比較部33は、制御器32からの開度指令値と制御器47からの開度指令値とを比較し、小さい値を開度指令値として蒸気加減弁22に出力する。ここで、開度補正値εは蒸気加減弁22の開度が100%となるように設定されているので、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は最終的には100%で一定とされる(図5(b)のt〜tの期間参照)。
【0041】
次に、時刻tにおいて、負荷上げ指令が第1選択部45に入力されると、第1選択部45により開度補正値として0が選択され、この開度補正値が演算部48に出力される。したがって、演算部48は、複合発電プラント1全体の出力指令値と実際の出力値との偏差を第2選択部46に出力することとなる。第2選択部46は、負荷上げ指令が第2選択部46に入力され、かつ、ガスタービン3の負荷が第一の閾値δよりも小さい場合には、予め設定された出力値βを制御器47に出力する。制御器47は、第2選択部46からの出力値に応じた開度指令値を生成し、この開度指令値を比較部33に出力する。これにより、比較部33により選択され、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は、出力値βに応じた開度に向けて低下する(図5(b)の時刻t〜tの期間参照)。
【0042】
続いて、ガスタービン3の負荷が第一の閾値δ以上になると、第2選択部46によって演算部48から与えられた値が選択される。したがって、制御器47は、複合発電プラント1全体の出力指令値と実際の出力値との偏差に基づいて生成された開度指令値を比較部33に出力する。これにより、比較部33により選択され、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は、複合発電プラント1の出力に応じて上昇し、100%に達したところで一定となる(図5(b)の時刻t〜tの期間参照)。
【0043】
蒸気加減弁22の開度が100%に達した後は、次の発電要求量の負荷上げ指令が入力されるまでは、蒸気加減弁22の開度は100%に維持されることとなる(図5(b)の時刻t以降参照)。
【0044】
上記制御を行った場合の発電要求量の変動に対する追従性が、図5(a)に示されている。
時刻tにおいて発電要求量の変動が生じた場合に、ガスタービン3は発電要求量に追従するために出力が上がる。一方、蒸気タービン6は、蒸気加減弁22の開度が小さくなるために、出力が一時的に低下する。この間に、排熱回収ボイラ5内にはエネルギーが一時的に保存される。
そしてガスタービン3の出力が第一の閾値δに達した時刻tにおいて、蒸気加減弁22の開度を除々に大きくすることによって、蒸気タービン6の出力が増加する。これに伴って、ガスタービン3の出力変化率が低減するとともに、複合発電プラント1全体の出力が発電要求量に追従することとなる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置30bによれば、ガスタービン3の負荷に応じて蒸気加減弁22の制御を行うので、ガスタービン3の運転状況を考慮した蒸気タービン6の制御を行うことができる。これにより、発電要求量の変動に柔軟に対応することが可能となる。
【0046】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について以下に説明する。
本実施形態の蒸気タービンの運転制御装置が第2の実施形態と異なる点は、蒸気加減弁22の開度を小さくした後、複合発電プラント1の出力変化率が所定の出力変化率以下となった場合に蒸気加減弁22の開度を大きくする点である。以下、第2の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0047】
図6は、本実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置30cの制御ブロック図を示している。
第2選択部46は、複合発電プラント1に対する負荷上げ指令の信号を検知し、かつ、複合発電プラント1の出力変化率が所定の出力変化率よりも大きくなった場合には、予め設定された出力値βを選択し、それ以外の場合には演算部48からの出力値を選択し、選択された値を制御器47に出力する。
【0048】
上記の蒸気タービンの運転制御装置30cにおいては、発電要求量の変動に対して、蒸気加減弁22の開度は以下のように制御される。
まず、比較部33は、制御器32からの開度指令値と制御器47からの開度指令値とを比較し、小さい値を開度指令値として蒸気加減弁22に出力する。ここで、開度補正値εは蒸気加減弁22の開度が100%となるように設定されているので、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は最終的には100%で一定とされる(図7(b)のt〜tの期間参照)。
【0049】
次に、時刻tにおいて、負荷上げ指令が第2選択部46に入力され、かつ、複合発電プラント1の出力変化率が所定の出力変化率よりも大きい場合には、予め設定された出力値βを制御器47に出力する。制御器47は、第2選択部46からの出力値に応じた開度指令値を生成し、この開度指令値を比較部33に出力する。これにより、比較部33により選択され、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は、出力値βに基づいて生成された開度に向けて低下する(図7(b)の時刻t〜tの期間参照)。
【0050】
続いて、複合発電プラント1の出力変化率が所定の出力変化率以下になると、第2選択部46によって演算部48から与えられた値が選択される。これにより、制御器47は、複合発電プラント1全体の出力指令値と実際の出力値との偏差に基づいて生成された開度指令値を比較部33に出力する。これにより、比較部33により選択され、蒸気加減弁22に出力される開度指令値は、複合発電プラント1の出力に応じて上昇し、100%に達したところで一定となる(図7(b)の時刻t〜tの期間参照)。
【0051】
蒸気加減弁22の開度が100%に達した後は、次の発電要求量の負荷上げ指令が入力されるまでは、蒸気加減弁22の開度は100%に維持されることとなる(図7(b)の時刻t以降参照)。
【0052】
上記制御を行った場合の発電要求量の変動に対する追従性が、図7(a)に示されている。
時刻tにおいて発電要求量の変動が生じた場合に、ガスタービン3は発電要求量に追従するために出力が上がる。一方、蒸気タービン6は、蒸気加減弁22の開度が小さくなるために、出力が一時的に低下する。この間に、排熱回収ボイラ5内にはエネルギーが一時的に保存される。
そして複合発電プラント1の出力変化率が所定の出力変化率に達した時刻tにおいて、蒸気加減弁22の開度を除々に大きくすることによって、蒸気タービン6の出力が増加する。これに伴って、ガスタービン3の出力変化率が低減するとともに、複合発電プラント1全体の出力が発電要求量に追従することとなる。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置30cによれば、複合発電プラント1の出力変化率に応じて蒸気加減弁22の制御を行うので、発電要求量の変動に柔軟に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の各実施形態に係る複合発電プラント(多軸)の全体の概略構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置の制御ブロック図である。図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
【図3】図2の蒸気タービンの運転制御装置の発電要求量に対する追従性を示すグラフ図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置の制御ブロック図である。図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
【図5】図4の蒸気タービンの運転制御装置の発電要求量に対する追従性を示すグラフ図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る蒸気タービンの運転制御装置の制御ブロック図である。図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
【図7】図6の蒸気タービンの運転制御装置の発電要求量に対する追従性を示すグラフ図である。
【図8】従来の蒸気タービンの運転制御装置の発電要求量に対する追従性を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0055】
1 複合発電システム
3 ガスタービン
5 排熱回収ボイラ
6 蒸気タービン
22 蒸気加減弁
30,30a,30b,30c 蒸気タービンの運転制御装置

特許の図
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成19年4月27日(2007.4.27)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
【公開番号】 特開2008−274819(P2008−274819A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−117975(P2007−117975)