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【発明の名称】 多段梯子
【発明者】 【氏名】中尾 紀美代

【要約】 【課題】使い勝手が良好で、かつ極めて安全性の高い多段梯子を提供する。

【解決手段】それぞれ断面視略コ字状に形成した左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を、ベース梯子体の柱部材を外側として入れ子状に組み合わせて伸縮自在に構成するとともに、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、前記伸長用梯子体を伸縮操作するための操作綱の一部を、一端を梯子作業者に連結固定する転落防止具の他端を摺動自在に連結するための親綱と兼用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を備え、前記ベース梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせ、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、
前記伸長用梯子体を伸縮操作するための操作綱の一部を、一端を梯子作業者に連結固定する転落防止具の他端を摺動自在に連結するための親綱と兼用したことを特徴とする多段梯子。
【請求項2】
前記操作綱は、一端を前記伸長用梯子体の上端近傍に連結し、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記ベース梯子体の下部及び上部に設けた滑車を介して掛け渡して前記伸長用梯子体の下端近傍に連結固定したことを特徴とする請求項1に記載の多段梯子。
【請求項3】
前記ベース梯子体を下段梯子体とし、前記伸長用梯子体を中段梯子体及び上段梯子体として、前記下段梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせて伸縮自在に構成し、前記中段梯子体及び前記上段梯子体を所定位置で保持可能とするとともに、前記操作綱の一端を前記伸長用梯子体の上端近傍に連結し、他端を少なくとも前記ベース梯子体の下部及び上部に設けた滑車を介して掛け渡して前記伸長用梯子体の下端近傍に連結固定したことを特徴とする請求項1に記載の多段梯子。
【請求項4】
前記操作綱における親綱兼用部分に、前記転落防止具が予め連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項5】
前記操作綱における親綱兼用部分を、前記左右の柱部材間に取り付けられる踏桟の略中央に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項6】
前記伸長用梯子体の上端に、梯子昇降面側に膨出するとともに、略V字形状をした連結桿を配設し、当該連結桿の中央に前記操作綱の一端を連結するとともに、前記ベース梯子体の下部位置における梯子昇降面側に、前記操作綱を掛ける滑車を配設したことを特徴とする請求項5に記載の多段梯子。
【請求項7】
前記下段梯子体、中段梯子体の各踏桟の左右端部を潰し加工するとともに、下段梯子体の踏桟は、その左右端部を梯子昇降面側に張り出した状態で柱部材のフランジ部に取り付ける一方、中段梯子体の踏桟は、その左右端部を梯子昇降面とは反対側に張り出した状態で柱部材のフランジ部に取り付け、前記上段梯子体の踏桟は、その左右端部を柱部材のウェブ部に取り付けたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項8】
前記操作綱における親綱兼用部分を除く部分を、柱部材に沿って這わせたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項9】
前記操作綱における親綱兼用部分を除く部分を、梯子昇降面の反対面側に這わしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項10】
前記ベース梯子体を、左右柱部材の最下端の間隔が最大幅となる裾広がり形状に形成するとともに、最大幅となる位置からさらに左右に張り出し自在としたアウトリガーを設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項11】
前記アウトリガーは、ベース梯子体の下端に鞘部を設け、この鞘部内に、左右伸縮桿を収納状態で端部同士が付き合うように収納するとともに、左右伸縮桿を所定の伸長位置で保持する操作部を、前記鞘部の梯子昇降面側に設けたことを特徴とする請求項10に記載の多段梯子。
【請求項12】
最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付けたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の多段梯子。
【請求項13】
前記横ずれ防止具は、
最上段に位置する前記伸長用梯子体の左右の柱部材上端それぞれに、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、
このフック支持体の回転操作を行うとともに、当該フック支持体の回転を規制可能とした操作部と、
前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状フック体と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の多段梯子。
【請求項14】
左右の横ずれ防止具間に、弾性を有する帯体を架設したことを特徴とする請求項13に記載の多段梯子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、伸縮自在な多段梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所に移動する場合、あるいは電線などの架線工事やその修理工事などを行う場合、必要な高さに調整可能な多段梯子を用いることが多い。そして、かかる多段梯子では、高所で作業する作業者の安全を確保するために、転落防止具を使用することが一般的である。
【0003】
かかる転落防止具の一例として、吊線フックが梯子本体上端に取り付けられており、当該吊線フック下端に転落防止具の親綱上端を着脱自在に連結接続する接続金具を具備した梯子があった(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
かかる梯子を用いる場合、先ず、地上において梯子の吊線フックに設けた接続金具に、転落防止具の親綱先端に設けた接続具(所謂カラビナ)を係着し、梯子本体を伸長して吊線フックを架線に係止する。
【0005】
そして、接続具から親綱を地上に垂下し、同親綱にシートベルト式の安全器を取付けるとともに、親綱の下端を梯子下部などに捕縛し、さらに一端を安全器に連結した連結綱の他端を予め腰に装着した安全ベルトに連結して梯子を登り、作業を始める。なお、この場合でも、連結綱にはショックアブソーバが介設されている。
【0006】
したがって、作業者が転落した場合でも作業者は落下中途で引き止められ、重大な事故を未然に防止することができるとされている。
【特許文献1】実用新案登録第2366874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、架線工事従事者などからは、工事現場へ梯子などを搬送する際に、親綱などを別途用意しなければならないのは煩わしいという声があるにもかかわらず、上述した従来の梯子は、結局のところ、親綱を別途用意しておかなければならない。そして、この親綱を現場において吊線フックに設けられた接続金具に取り付けなければならず、使い勝手が良好とは言えなかった。
【0008】
また、接続金具は一側の吊線フックの側面に固設されただけのものであり、しかも、吊線フック自体も梯子本体に固着されていたため、安全器の接続具を接続しにくく、また、一旦接続した後、梯子を上昇して作業を行っているときに、作業によっては接続具を反対側に移動したくてもできないものであり、しかも、他のタイプの安全器に対応する自由度もなかった。
【0009】
さらに、親綱の下端を梯子の下部などにしっかりと固着しておかなければならず、少しでも緩みがあると、安全器の上昇が妨げられて作業者も梯子を登ることができないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決することのできる多段梯子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明では、それぞれ左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を備え、前記ベース梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせ、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、前記伸長用梯子体を伸縮操作するための操作綱の一部を、一端を梯子作業者に連結固定する転落防止具の他端を摺動自在に連結するための親綱と兼用した。
【0011】
(2)本発明は、上記(1)に記載の多段梯子において、前記操作綱は、一端を前記伸長用梯子体の上端近傍に連結し、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記ベース梯子体の下部及び上部に設けた滑車を介して掛け渡して前記伸長用梯子体の下端近傍に連結固定したことを特徴とする。
【0012】
(3)本発明は、上記(1)に記載の多段梯子において、前記ベース梯子体を下段梯子体とし、前記伸長用梯子体を中段梯子体及び上段梯子体として、前記下段梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせて伸縮自在に構成し、前記中段梯子体及び前記上段梯子体を所定位置で保持可能とするとともに、前記操作綱の一端を前記伸長用梯子体の上端近傍に連結し、他端を少なくとも前記ベース梯子体の下部及び上部に設けた滑車を介して掛け渡して前記伸長用梯子体の下端近傍に連結固定したことを特徴とする。
【0013】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多段梯子において、前記操作綱における親綱兼用部分に、前記転落防止具が予め連結されていることを特徴とする。
【0014】
(5)本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多段梯子において、前記操作綱における親綱兼用部分を、前記左右の柱部材間に取り付けられる踏桟の略中央に配置したことを特徴とする。
【0015】
(6)本発明は、上記(5)に記載の多段梯子において、前記伸長用梯子体の上端に、梯子昇降面側に膨出するとともに、略V字形状をした連結桿を配設し、当該連結桿の中央に前記操作綱の一端を連結するとともに、前記ベース梯子体の下部位置における梯子昇降面側に、前記操作綱を掛ける滑車を配設したことを特徴とする。
【0016】
(7)本発明は、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の多段梯子おいて、前記下段梯子体、中段梯子体の各踏桟の左右端部を潰し加工するとともに、下段梯子体の踏桟は、その左右端部を梯子昇降面側に張り出した状態で柱部材のフランジ部に取り付ける一方、中段梯子体の踏桟は、その左右端部を梯子昇降面とは反対側に張り出した状態で柱部材のフランジ部に取り付け、前記上段梯子体の踏桟は、その左右端部を柱部材のウェブ部に取り付けたことを特徴とする。
【0017】
(8)本発明は、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の多段梯子において、前記操作綱における親綱兼用部分を除く部分を、柱部材に沿って這わせたことを特徴とする。
【0018】
(9)本発明は、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の多段梯子において、前記操作綱における親綱兼用部分を除く部分を、梯子昇降面の反対面側に這わしたことを特徴とする。
【0019】
(10)本発明は、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の多段梯子において、前記ベース梯子体を、左右柱部材の最下端の間隔が最大幅となる裾広がり形状に形成するとともに、最大幅となる位置からさらに左右に張り出し自在としたアウトリガーを設けたことを特徴とする。
【0020】
(11)本発明は、上記(10)に記載の多段梯子において、前記アウトリガーは、ベース梯子体の下端に鞘部を設け、この鞘部内に、左右伸縮桿を収納状態で端部同士が付き合うように収納するとともに、左右伸縮桿を所定の伸長位置で保持する操作部を、前記鞘部の梯子昇降面側に設けたことを特徴とする。
【0021】
(12)本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の多段梯子において、最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付けたことを特徴とする。
【0022】
(13)本発明は、上記(12)に記載の多段梯子において、前記横ずれ防止具は、最上段に位置する前記伸長用梯子体の左右の柱部材上端それぞれに、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、このフック支持体の回転操作を行うとともに、当該フック支持体の回転を規制可能とした操作部と、前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状フック体と、を備えることを特徴とする。
【0023】
(14)本発明は、上記(13)に記載の多段梯子において、左右の横ずれ防止具間に、弾性を有する帯体を架設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、梯子に親綱が付設することになるため、親綱を忘れたり紛失したりするおそれもなく、また、車載時などにも邪魔になることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本実施形態に係る多段梯子は、それぞれ左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を備え、前記ベース梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせ、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とし、しかも、前記伸長用梯子体を伸縮操作するための操作綱の一部を、一端を梯子作業者に連結固定する転落防止具の他端を摺動自在に連結するための親綱と兼用したものである。なお、各柱部材は、それぞれフランジ部とウェブ部とを有する断面視略コ字状に形成して、ベース梯子体の柱部材を外側として入れ子状に組み合わせて伸縮自在に構成したり、あるいは、各柱部材を角パイプ状に形成して、互いに重合状態に取り付けて伸縮自在に構成したりすることができる。また、伸長用梯子体を保持するためには、ストッパ部材を伸長用梯子体の柱部材内側に設けておくものとする。
【0026】
すなわち、ベース梯子体から伸長用梯子体にかけて1本の操作綱が滑車を介して掛け渡されており、この操作綱を引張り操作することで伸長用梯子体が伸び、所望の高さ位置でこれを保持することができる。このとき、操作綱はたるむことがなく、伸びた伸長用梯子体からベース梯子体まで操作綱が張られた状態となる。そして、かかる操作綱の一部、すなわち多段梯子の昇降面側に位置する綱を、転落防止具と連結するための親綱として使用可能としている。
【0027】
そのために、前記操作綱は、一端を前記伸長用梯子体の上端近傍に連結し、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記ベース梯子体の下部及び上部に設けた滑車を介して掛け渡して前記伸長用梯子体の下端近傍に連結固定している。
【0028】
かかる構成としたことにより、梯子と親綱とが常にセットとなり、梯子を設置した場合は親綱を即座に使用可能となる。しかも、搬送・移動時に親綱を忘れたりすることがなく、また、自動車などに積載する際にかさばることもない。
【0029】
また、例えば、前記操作綱における親綱兼用部分に、前記転落防止具を予め連結しておくこともできる。
【0030】
かかる構成とすれば、親綱のみならず、転落防止具についても、梯子を設置したときに即座に使用可能となるとともに、搬送・移動時に忘れたりすることがない。そして、この場合も自動車などに積載する際にかさばることがない。
【0031】
上述の多段梯子は、例えば2段式でもよいが、前記ベース梯子体を下段梯子体とし、前記伸長用梯子体を中段梯子体及び上段梯子体として、前記下段梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせて伸縮自在に構成した3段式の多段梯子とすることができる。
この場合、前記中段梯子体及び前記上段梯子体を所定位置で保持可能とするとともに、前記操作綱の一端を前記伸長用梯子体の上端近傍に連結し、他端を少なくとも前記ベース梯子体の下部及び上部に設けた滑車を介して掛け渡して前記伸長用梯子体の下端近傍に連結固定する構成とするとよい。
【0032】
そして、前記操作綱における親綱兼用部分は、前記左右の柱部材間に取り付けられる踏桟の略中央に配置することが望ましい。
【0033】
かかる構成であれば、転落防止具は梯子の中心に連結されることになるため、万一転落しても梯子には左右いずれかに偏ることなく荷重がかかることになるため、梯子が転倒するおそれがなく、安全性がより向上する。
【0034】
さらに、転落防止具が親綱上を円滑に摺動できるように、前記伸長用梯子体の上端に、梯子昇降面側に膨出するとともに、略V字形状をした連結桿を配設し、当該連結桿の中央に前記操作綱の一端を連結するとともに、前記ベース梯子体の下部位置における梯子昇降面側に、前記操作綱を掛ける滑車を配設することが望ましい。
【0035】
すなわち、梯子昇降面側に膨出し、略V字状に形成された連結桿の中央に操作綱(親綱ともなる)の一端を連結しているため、操作綱が、特に伸長用梯子体(中段梯子体及び上段梯子体)の踏桟などとの間に間隙を保持しながら梯子中央に配置されるため、転落防止具の操作性が向上する。
【0036】
また、3段式の多段梯子にあっては、下段梯子体、中段梯子体の各踏桟の左右端部を潰し加工するとともに、下段梯子体の踏桟は、その左右端部を梯子昇降面側に張り出した状態で柱部材のフランジ部に取り付ける一方、中段梯子体の踏桟は、その左右端部を梯子昇降面とは反対側に張り出した状態で柱部材のフランジ部に取り付け、前記上段梯子体の踏桟は、その左右端部を柱部材のウェブ部に取り付けた構成とするとよい。
【0037】
すなわち、3段式の多段梯子の場合、上段梯子体、中段梯子体を下段梯子体に格納、すなわち、多段梯子を縮めた状態において、各梯子体の踏桟同士の干渉を防止することができ、収縮作業を円滑に多なうことができる。さらに、踏桟同士の間に形成できる間隙内に操作綱を張設することができるため、操作綱が踏桟と強く干渉することも防止できる。
【0038】
ところで、親綱として機能する部分は、梯子の中央に配置されることが望ましいが、操作綱として機能する部分は、必ずしも梯子中央に位置する必要はない。むしろ、親綱部分と操作綱部分との区別がつくようにしておくことが望ましい。
そこで、他の実施形態として、前記操作綱における親綱兼用部分を除く部分を、柱部材に沿って這わせることができる。
【0039】
あるいは、前記操作綱における親綱兼用部分を除く部分を、梯子昇降面の反対面側に這わせることもできる。
【0040】
いずれにしても、梯子の伸縮操作する綱と、親綱として機能する綱とが同一の綱でありながら一目で識別できるため、親綱としての機能を損なわせることなく、伸縮綱の操作性を向上させることができる。
【0041】
ところで、本実施形態に係る多段梯子は、前記ベース梯子体を、左右柱部材の最下端の間隔が最大幅となる裾広がり形状に形成するとともに、最大幅となる位置からさらに左右に張り出し自在としたアウトリガーを設けている。なお、アウトリガーは、伸縮桿の先端に、接地座が角度変更自在、及び高さ調整自在に取り付けられた周知のものである。
【0042】
一般に、梯子は現場において頻繁に移動して使用する場合が多いため、たとえ多段梯子にアウトリガーを設けてあったとしてもこれを利用しない場合が多い。
しかし、梯子の設置個所は必ずしも平たんであるとは限らないため、梯子の接地部分は可及的に幅広の方が転倒しにくいことが自明である。そこで、ベース梯子体を、左右柱部材の最下端の間隔が最大幅となる裾広がり形状に形成することで、アウトリガーを用いなくても安定するようにしている。これにアウトリガーを梯子設置個所に応じて用いれば、当然ながら安定度はより向上する。
【0043】
また、前記アウトリガーは、ベース梯子体の下端に鞘部を設け、この鞘部内に、左右伸縮桿を収納状態で端部同士が付き合うように収納するとともに、左右伸縮桿を所定の伸長位置で保持する操作部を、前記鞘部の梯子昇降面側に設けている。
【0044】
ベース梯子体を裾広がり形状に形成しているため、鞘部内において、左右伸縮桿を端部同士が付き合うように、すなわち、一直線状に収納できるため、鞘部が大型化することがなく、梯子の収納、搬送時などにかさばることがなくなる。しかも、鞘部の梯子昇降面側に操作部が設けられているため、アウトリガーの伸縮作業の操作性も向上している。
【0045】
また、上述してきた多段梯子は、最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付けている。
【0046】
かかる横ずれ防止具は、最上段に位置する前記伸長用梯子体の左右の柱部材上端それぞれに、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、このフック支持体の回転操作を行うとともに、当該フック支持体の回転を規制可能とした操作部と、前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状のフック体とを備えている。
【0047】
かかる構成により、フック体の向きを自在に変更することができ、壁面、架線のいずれにも梯子の立て掛けが容易となる。また、フック体を折った状態とすれば、梯子からの出っ張りがなくなり、運搬や収納時などの邪魔にならず、また何かにぶつけて変形させてしまうようなこともない。
このように、本実施形態に係る多段梯子は、壁面などにかける場合に横ずれが防止されて安全であるばかりでなく、架線などへの掛合や取り外しも極めて容易で操作性が良好である。
【0048】
なお、フック体は、摩擦抵抗の大きい素材などで被覆しておき、これに滑り止めパターンを形成することで、滑り止め効果を向上させることができる。
【0049】
また、この横ずれ防止具には、左右の横ずれ防止具間には弾性を有する帯体を架設している。これは梯子を電柱などに掛けるときに有用であり、この帯体で電柱を抱持するようにし、さらに左右のフック体で電柱を挟むようにすれば、電柱であっても梯子の立て掛けを安全に行える。なお、帯体は、左右のフック体間に取り付けることが好ましく、例えば梯子を壁面に立て掛けて横ずれ防止機能を発揮させているときに、首折れ自在としたフック体が何らかの拍子に折れたりすることを帯体によって防止することができる。
【0050】
以下、本実施形態に係る多段梯子について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1(a)は本実施形態に係る多段梯子の伸長状態を示す全体正面図、図1(b)は同側面図、図1(c)は同多段梯子を収縮した状態を示す側面図である。また、図2は多段梯子の柱部材及び踏桟の説明図、図3及び図4は同多段梯子のストッパの説明図、図5は操作綱の正面視による説明図、図6は同操作綱の側面視による模式的説明図、図7はアウトリガーの説明図、図8は多段梯子の使用状態を示す説明図である。
【0051】
(多段梯子の全体構成)
図1に示すように、本実施例に係る多段梯子1は、下側にベース梯子体となる下段梯子体11を設け、同下段梯子体11に、伸長用梯子体としての中段梯子体21及び上段梯子体31をそれぞれ伸縮自在に連結し、操作綱6による操作によって多段に伸長自在とした構成としている。
【0052】
下段梯子体11は、図2に示すように、断面視コ字状とし、凹部同士を互いに対向させた左右の柱部材12,12の間に、複数の踏桟13を縦方向に所定間隔をあけて取付けて構成され、同じように中段梯子体21も凹部同士を互いに対向させた左右の柱部材22,22の間に、複数の踏桟23を縦方向に所定間隔をあけて取付けて構成されている。他方、上段梯子体31は、下段梯子体11及び中段梯子体21とは逆に、断面視略コ字状とし、凹部がそれぞれ外側を向くように配設された左右の柱部材32,32の間に、複数の踏桟33を縦方向に所定間隔をあけて取付けて構成されている。なお、図1(b)に示すように、下段梯子体11の柱部材12,12及び中段梯子体21の柱部材22,22のウェブ部12b,22bはそれぞれ型抜き加工されて軽量化が図られている。
【0053】
そして、図3及び図4に示すように、上段梯子体31及び中段梯子体21には、これらを伸長状態で保持するために、踏桟23,13と係合可能としたストッパ部材34,24を柱部材32,32(22,22)内側に設けている。34a,24aはフック状に形成したストッパ部材34,24の枢支ピンである。
【0054】
また、下段梯子体11の左右の柱部材12,12の下端を結ぶように鞘部41を取付け、この鞘部41内に、左右方向へ伸長して張り出し自在としたアウトリガー4を設けている。
【0055】
図7はアウトリガー4の説明図であり、図7(a)は張り出し状態を、図7(b)は収縮状態を示している。
図示するように、アウトリガー4は、伸縮桿42の先端に、脚部43が高さ調整自在に取り付けられ(図7(a)))、この脚部43の下端に接地座44が角度変更自在に取り付けられた周知のものであるが、前記鞘部41内に、左右伸縮桿42,42を収納状態で端部同士が付き合うように収納している(図7(b))。図中、Gは設置面である。
【0056】
すなわち、一般に、梯子は現場において頻繁に移動して使用する場合が多いため、たとえ多段梯子にアウトリガーを設けてあったとしてもこれを利用しない場合が多い。しかし、梯子の設置個所は必ずしも平たんであるとは限らないため、梯子の接地部分は可及的に幅広の方が転倒しにくいことが自明である。
そこで、本実施形態では、下段梯子体11の左右の柱部材12,12の最下端の間隔が最大幅となるように裾広がり形状に形成して(図1参照)、アウトリガー4を伸縮させて使用せずとも安定して立て掛けられるようにしているのである。なお、アウトリガー4の左右伸縮桿42,42を梯子設置個所に応じて適宜引き出して用いれば、安定度がより向上することは当然のことである。
【0057】
このように、下段梯子体11を裾広がり形状に形成しているため、鞘部41も比較的に長尺となり、当該鞘部41内において、左右伸縮桿42,42の端部同士を付き合わせた状態で略一直線状に収納することが可能である。従来のように、下段梯子体11の左右の柱部材12,12がストレート形状であれば、アウトリガー4の伸縮桿42,42同士は、一部重合した状態で収納しなければ所望する伸長量を確保することができないが、本実施形態では、下段梯子体11の左右の柱部材12,12の最下端の間隔が最大幅となるように裾広がり形状に形成して、この最大幅に対応した鞘部41の長さを確保しているため、伸縮桿42の長さが従来と同じであってもこれらを伸長させたときの脚部43,43間の距離が長くとれることになって安定性が向上する。
【0058】
また、鞘部41の幅などは左右伸縮桿42,42よりもわずかに大きくするだけでよく、大型化することがないために本多段梯子1は収納、搬送時などにかさばることがない。しかも、収納時に左右伸縮桿42,42を一部重複させる従来の構成では耐性や剛性を考慮して重量が増加する傾向にあったが、本実施形態に係る鞘部41は軽量化が可能である。
【0059】
また、左右伸縮桿42,42を、それぞれ所定の伸長位置で保持するためのストッパ機能を有する操作部45,45を、鞘部41の梯子昇降面側(図1における正面側)に設けている。このように、操作部45,45を鞘部41の梯子昇降面側に設けたことにより、アウトリガー4の伸縮作業の操作性も向上している。
【0060】
さらに、図1に示すように、本実施形態に係る多段梯子1は、上段梯子体31の上端部に、当該多段梯子1を例えば壁面などに立て掛けたときに横ずれを防止する横ずれ防止具5を取り付けている。
【0061】
この横ずれ防止具5については後に詳述するが、本横ずれ防止具5は、上段梯子体31
の左右の柱部材32,32上端それぞれに、当該柱部材32に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体51と、このフック支持体51に首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターン54を設けた逆U字状のフック体53とを備えた構成としている(図9参照)。
【0062】
上述してきた本実施形態に係る多段梯子1、すなわち、伸長用梯子体である中段梯子体21、上段梯子体31を備えた多段梯子1において、本実施形態の特徴的な構成は、中段梯子体21、上段梯子体31を伸縮操作するための操作綱6の構成にある。
【0063】
すなわち、図5及び図6に示すように、下段梯子体11から上段梯子体31にかけて1本の操作綱6が第1滑車71、第2滑車72、第3滑車73、及び第4滑車74を介して掛け渡されており、この操作綱6を下側へ引張り操作することで上段梯子体31と中段梯子体21とが順次伸長し、前記ストッパ部材24,34によって、所望の高さ位置でこれらを保持することができるようになっている。
【0064】
より具体的に説明すると、図5に示すように、操作綱6の始端は、上段梯子体31の柱部材32,32の上端間に掛け渡した略V字形の親綱連結桿35の中央に連結され、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記下段梯子体11の下部に設けた前記鞘部41の中央に配設した第1滑車71に掛けて上方へ伸延させ、同下段梯子体11の最上段に位置する踏桟13の中央に吊支した第2滑車72に掛け渡して下方へ伸延させ、次に中段梯子体21の最下端近傍に掛け渡した連結桿25の略中央に取付けた第3滑車73に掛けて上方へ伸延させ、同中段梯子体21の背面側に掛け渡した連結補強板26の略中央に取付けた第4滑車74に掛けて下方へ伸延させ、上段梯子体31の下端近傍に掛け渡した連結桿36に設けた連結金具36aに連結固定している。このように操作綱6を掛け渡すことにより、操作綱6はたるむことなく下段梯子体11から上段梯子体31まで張られた状態となる。
【0065】
なお、本実施形態では、第1滑車71と第4滑車74については、滑車の軸を踏桟13(23)と直交する方向に、第2滑車72と第3滑車73については、滑車の軸を踏桟13(23)に対して平行となる向きにして取付けている。
【0066】
そして、本実施形態では、図5及び図6に示すように、かかる操作綱6の一部、すなわち多段梯子1の昇降面側に位置する綱を、転落防止具8(図8参照)と連結するための親綱として使用可能とした点に特徴がある。以下、操作綱6のうち、親綱として機能する部分を親綱部60と呼ぶことにする。
【0067】
転落防止具8は、所謂「ロリップ」と呼ばれる周知の構成のものであり、一端に急激な力が加わると、急制動がかかる機能を有する安全器81を備え、この安全器81を親綱部60に取り付け、他端にショックアブソーバを介して取り付けたフック82を、作業者の腰ベルトなどに係止するようになっている(図8参照)。
【0068】
かかる構成としたことにより、多段梯子1は、実質的に親綱を予め備えていることになり、多段梯子1を作業現場などに設置した場合、操作綱6を即座に親綱としての機能を発揮させることができる。そして、従来のように、搬送・移動時に親綱を忘れて作業に支障を来したすことがなく、また、自動車などに積載する際にも従来のように親綱の分だけかさばることもない。
【0069】
本多段梯子1を架線Lに係止して使用する場合、例えば、図8に示すように、梯子昇降面の略中央には、操作綱6と親綱部60とが並んでおり、作業者は、操作綱6を引き下げることにより(相対的に親綱部60は上方へ引き上げられる)、上段梯子体31を伸長させて上昇させる。上段梯子体31が最大伸長位置に達すると、上段梯子体31の柱部材32と中段梯子体21の柱部材22とに設けた図示しない係合具により、上段梯子体31と中段梯子体21とが係合し、さらに操作綱6を引き下げると、中段梯子体21が上昇していく。
【0070】
上段梯子体31及び中段梯子体21は、前述したようにストッパ部材34(24)を備えており、作業者は、操作綱6を操作することによって、上段梯子体31であればストッパ部材34を中段梯子体21の踏桟23のいずれかに、中段梯子体21であればストッパ部材24を下段梯子体11の踏桟13のいずれかに係合させることによって、多段梯子1を所望高さにセットすることができ、横ずれ防止具5のフック体53を架線Lに係止する。
【0071】
そして、作業者は、自身の腰ベルトに一端を連結した転落防止具8の安全器81を親綱部60に装着し、昇降面を上って作業に従事する。
【0072】
このように、本実施形態に係る多段梯子1は、これを作業現場などに設置すると、既に親綱が装備された状態となっていることから、従来のように別途用意した親綱を作業前にセットするような煩わしさがなく、作業性を向上させることができる。
【0073】
ところで、昇降面側に張られた操作綱6には、操作綱6を挿通する筒状のグリップ体(図示せず)を装着し、親綱部60との識別を容易に行えるようにするとともに、引き下げ、引き上げなどの操作を行いやすくしている。また、親綱部60であることを識別しやすくするために、操作綱6のうち親綱部60のみ他の部分と異なる色で着色することもできる。
【0074】
なお、前記親綱部60に、転落防止具8を予め連結しておくこともできる。そのような構成とすれば、親綱のみならず、転落防止具8についても、本多段梯子1を現場に設置したときに即座に使用可能となり、また、搬送・移動時に忘れたりすることもない。そして、この場合も自動車などに積載する際にかさばることがない。
【0075】
また、図1、図5及び図8に示すように、本実施形態における親綱部60は、梯子中央、すなわち、各踏桟13,23,33の略中央を縦断するように配置されている。
したがって、作業者に他端を連結した転落防止具8の一端は、多段梯子1の略中心に連結されることになり、万一作業者が転落しても、多段梯子1にはかかる荷重は左右いずれにも偏ることがないため、多段梯子1は転倒のおそれがなく、より安全性が向上する。
【0076】
ここで、親綱部60を有する操作綱6の周辺の構成について説明する。図9(a)〜図9(d)は横ずれ防止具の説明図であるが、図示するように、前記親綱連結桿35は、横ずれ防止具5が取り付けられた上段梯子体31の上端間に架設されており、この親綱連結桿35は、正面視では略V字形状に形成され、側面視においては、図9(d)に示すように、梯子昇降面側に膨出するように形成されている。そして、この親綱連結桿35の中央に、前記操作綱6(親綱部60)の一端を連結している。
【0077】
このように、梯子昇降面側に膨出し、略V字状に形成した親綱連結桿35に、操作綱6(親綱部60)の一端を連結しているため、操作綱6は、各踏桟13(23,33)との間に適度な間隙を保持して張られることになり、転落防止具8の安全器81が親綱部60を円滑に摺動するようになって、転落防止具8の操作性が向上する。
【0078】
(踏桟13,23,33の構成)
また、本実施形態に係る多段梯子1は、図2に示すように、下段梯子体11、中段梯子体21の各踏桟13(23)の左右端部13´、23´を潰し加工している。そして、下段梯子体11の踏桟13は、その左右端部13´を昇降面側に張り出した状態で柱部材12のフランジ部12aに取り付ける一方、中段梯子体21の踏桟23は、その左右端部23´を昇降面とは反対側に張り出した状態で柱部材22のフランジ部22aに取り付けている。他方、上段梯子体31の踏桟33は略直線状に形成されており、その左右端部は柱部材32のウェブ部32bに取り付けている。
【0079】
かかる構成とすることにより、本実施形態のように、多段梯子1が3段式の場合、上段梯子体31、中段梯子体21を下段梯子体から伸長したり、あるいは格納したりする場合に、各梯子体11,21,31の踏桟13,23,33同士の干渉を防止することができ、収縮作業を円滑に多なうことができる。さらに、踏桟13,23,33同士の間に形成できる間隙内に操作綱6を張設しても、操作綱6が踏桟13,23,33と強く干渉することを防止でき、操作綱6の擦れを防止できる。なお、図2において、16は下段梯子体11の昇降面とは反対側をなすフランジ部12a,12a間に取り付けられた連結補強板、26は中段梯子体21の昇降面とは反対側をなすフランジ部22a,22a間に取り付けられた連結補強板である。
【0080】
(横ずれ防止具5)
ここで、本実施形態に係る多段梯子1が備える横ずれ防止具5について説明する。図9に示すように、横ずれ防止具5は、上段梯子体31の左右の柱部材32,32上端それぞれに、棒状のフック支持体51を柱部材32に対して水平方向に回転可能に突設し、このフック支持体51に、表面に滑り止めパターン54を設けた逆U字状のフック体53をジョイント部55を介して首折れ自在に連結している。そして、前記フック支持体51の回転操作を規制するストッパ機能部52が、柱部材32,32上端内部に配設されている。なお、このストッパ機能部52は、ボールジョイント方式の周知の構造を備えたもので、フック支持体51を押し込んだ状態で水平回転が可能となっている。
【0081】
フック体53は、ジョイント部55との連結部53aと、この連結部53aに連続して水平方向に伸延し、先端に爪部53bとを連設した水平部とからなり、この水平部に硬質の合成樹脂からなる壁面当接部53cを被覆している。そして、壁面当接部53cの表面に凹凸面からなる滑り止めパターン54を形成している。
【0082】
また、爪部53bの中途には、架線Lなどのストランドに、より確実に係止するための複数の突起56を形成するとともに、先端部にはストランドからの脱落を防止するための鉤部57を連結部53a側に向けて突設している。なお、図中、58はジョイント部55を挟んでフック支持体51と連結部53aとの間に掛け渡したコイルスプリングである。
【0083】
かかる構成により、例えば、本実施形態に係る多段梯子1を壁面などに立て掛けて使用する場合、図9(a)に示すように、横ずれ防止具5のフック体53,53を、それぞれ各柱部材32の外側に回転させて壁面当接部53cが壁面に平行となるようにすれば、壁面当接部53cによって、横ずれすることなく確実に多段梯子1を支持することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る多段梯子1を、空中の架線などのストランドに係止して使用する場合は、図9(b)、図9(d)に示すように、横ずれ防止具5のフック体53,53を回転させて、壁面当接部53cが壁面に略直角となるようにして、フック体53をストランドに確実に係止して、作業者は安全に高所作業を行うことができる。
【0085】
さらに、本実施形態に係る横滑り防止具5は、図9(c)に示すように、フック体53の爪部53b,53b同士が向かい合うようにフック支持体51を回転させるとともに、ジョイント部55を介して当該フック体53を首折れ状態となすことができるため、多段梯子1の幅内にコンパクトに収めることができ、例えば、搬送時や収納時などに、フック体53などを他の物品にぶつけて変形させたり、他の物品を損傷させたりするおそれがない。
【0086】
また、図示するように、この横ずれ防止具5には、左右のフック体53,53間に弾性を有する帯体9を架設している。
これは本多段梯子1を、例えば電柱やその他円柱状のポール状の対象物に立て掛けるときに有用であり、電柱を対象物とした場合、この帯体9で電柱を抱持するようにし、さらに左右のフック体53,53で当該電柱を挟むようにすれば、表面が曲面の電柱であっても多段梯子1の立て掛けを安全に行える。
【0087】
なお、帯体9は、前述したように左右のフック体53,53間に取り付けることが好ましく、例えば本多段梯子1を壁面に立て掛けて、横ずれ防止具5により横ずれ機能を発揮させているときに、首折れ自在としたフック体53が何らかの拍子に折れたりすることを当該帯体9によって防止することができ、安全である。
【0088】
(操作綱6のレイアウトの変形例)
ところで、親綱部60として機能する部分は、多段梯子1の左右幅方向の略中央を通るように配置されることが望ましいが、操作綱6として機能する部分は、必ずしも梯子中央に位置する必要はない。むしろ、親綱部60と操作綱6とが機能的に区別がつくようにしておくことが望ましい。
【0089】
そこで、図10に示すように、前記操作綱6を、親綱部60を除いて柱部材12(22,32)に沿って這わせることができる。図10に示した構成は、操作綱6に掛かる滑車の数、配置を前述した例と異ならせている。
【0090】
すなわち、図示するように、下段梯子体11の下部に設けた前記鞘部41には、その中央に設けた第1滑車71に加え、柱部材12側に所定間隔をあけて第1中間滑車75を設けるとともに、中段梯子体21の最上段の連結補強板26の略中央に取付けた第4滑車74の横には、第1滑車71と第1中間滑車75と同じ間隔をあけて第2中間滑車76を設け、さらに、第2滑車72と第3滑車73とを前記第1中間滑車75及び第2中間滑車76と対応する位置に設けている。
【0091】
上記構成により、本変形例では、操作綱6の始端を親綱連結桿35の中央に連結し、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記第1滑車71に掛けて横方向へ伸延させ、前記第1中間滑車75に掛け回して下段梯子体11の最上段に位置する踏桟13の柱部材12側に位置させた第2滑車72に掛け渡して下方へ伸延させ、次に中段梯子体21の最下端近傍に掛け渡した連結桿25の柱部材22側に位置させた第3滑車73に掛けて上方へ伸延させ、同中段梯子体21の最上段の連結補強板26の柱部材22側に位置させた第2中間滑車76に掛けて横方向へ伸延させ、連結補強板26の略中央に取付けた第4滑車74に掛けて下方へ伸延させ、上段梯子体31の下端近傍に掛け渡した連結桿36に連結固定している。このように第1滑車71→第1中間滑車75→第2滑車72→第3滑車73→第2中間滑車76→第4滑車74というように操作綱6を掛け渡すことにより、本変形例においても操作綱6はたるむことなく下段梯子体11から上段梯子体31まで張られた状態となる。
【0092】
そして、かかるレイアウトで操作綱6を掛け回せば、伸縮操作用に用いる操作綱6の部分と親綱部60との区別が明瞭となって扱いやすくなる。また、踏桟13,23,33を昇降する作業者にとって、足元には親綱部60のみが張られていることになるので、昇降に支障を来すこともない。
【0093】
あるいは、操作綱6のレイアウトのさらなる変形例として、操作綱6における親綱部60を除く部分を、梯子昇降面の反対面側に這わせてもよい。この場合も、作業者の梯子昇降に支障を来すことなく、かつ伸縮操作用に用いる操作綱6の部分と親綱部60との区別が明瞭となって扱いやすい。
【0094】
(他の実施形態1)
上述してきた実施形態に係る多段梯子1は、3段式としているが、図11に示すように2段式であってもよい。
図11に示した2段式の多段梯子1Aについても、伸長用梯子体31´を伸縮操作するための操作綱6の一部が親綱部60と兼用される。
【0095】
(他の実施形態2)
また、操作綱6は必ずしも1本である必要はなく、操作綱6を2本用いたものにおいて、操作綱6の一部を親綱部60と兼用したものも考えられる。図12に示したものは、3段式の多段梯子1Bではあるが、操作綱6を第1操作綱6aと第2操作綱6bとから構成し、第1操作綱6aの始端を上段梯子体31の上端側に連結し、他端を梯子昇降面側を通すとともに、下段梯子体11の下部に設けた第1滑車71に掛けて上方へ伸延させ、同下段梯子体11の最上段側に設けた第2滑車72に掛け渡して下方へ伸延させ、次に中段梯子体21の最下端近傍設けた第3滑車73に掛けた後、再度下段梯子体11の上端近傍に連結固定している。15は連結固定部である。
【0096】
そして、この連結固定部15に第2操作綱6bの一端を連結固定して、多端を上方へ伸延させて中段梯子体21の最上段近傍に設けた第4滑車74に掛けて下方へ伸延させ、上段梯子体31の下端近傍に連結固定している。
【0097】
かかる構成では、第1操作綱6aの一部が親綱部60となり、第1操作綱6aを伸縮操作した場合、中段梯子体21と上段梯子体31とは両者同時に同様の伸縮態様を呈することになる。
【0098】
(他の実施形態3)
また、図13に示すように、多段梯子1の操作綱6の操作を、作業者が当該操作綱6を握って行わずにすむように、操作綱巻上装置16を設けることもできる。
例えば、図示するように、下段梯子体11の柱部材12の適宜高さの位置に、回転レバー16aと綱巻取ドラム16bからなる操作綱巻上装置16を設け、回転レバー16aを回転操作することで中段梯子体21、上段梯子体31の伸縮操作が楽に行える。勿論、この場合であっても、操作綱6の一部は親綱部60として機能することには変わりがない。
また、操作綱巻上装置16を設けたものでは、この操作綱巻上装置16が備えるブレーキ機構によって、回転レバー16aの操作時以外は操作綱6がロックされた状態となり、中段梯子体21、上段梯子体31が抜け出たりするおそれがなくなる。
【0099】
また、このように中段梯子体21、上段梯子体31が抜け出たりすることを防止するために、操作綱巻上装置16を備えていない多段梯子1であっても、操作綱6の動きを規制するロック手段を設けておくことができる。ロック手段としては、操作綱6の操作後に操作綱6をロックし、操作時にはロック解除できるものであれば、その構成は特に限定されない。
【0100】
以上、実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明は、上述してきた実施形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、操作綱6が掛けられる滑車71〜74の取付位置などは適宜設定できる。例えば、上述した実施形態では、第1滑車71は鞘部41に設けているが、必ずしも鞘部41に設ける必要はなく、下段梯子体11の下部であればよいため、最下段、最下段から2番目の踏桟13に配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】(a)は本実施形態に係る多段梯子の伸長状態を示す全体正面図、(b)は同側面図、(c)は同多段梯子を収縮した状態を示す側面図である。
【図2】多段梯子の柱部材及び踏桟の説明図である。
【図3】同多段梯子のストッパの説明図である。
【図4】同多段梯子のストッパの説明図である。
【図5】操作綱の正面視による説明図である。
【図6】同操作綱の側面視による模式的説明図である。
【図7】アウトリガーの説明図である。
【図8】多段梯子の使用状態を示す説明図である。
【図9】防止具の説明図である。
【図10】操作綱のレイアウトの変形例を示す説明図である。
【図11】他の実施形態に係る多段梯子の説明図である。
【図12】他の実施形態に係る多段梯子の説明図である。
【図13】他の実施形態に係る多段梯子の説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1 多段梯子
4 アウトリガー
5 横ずれ防止具
6 操作綱
11 下段梯子体
12,22,32 柱部材
13,23,33 踏桟
21 中段梯子体
31 上段梯子体
60 親綱部
【出願人】 【識別番号】503352062
【氏名又は名称】中尾 紀美代
【出願日】 平成19年5月21日(2007.5.21)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎


【公開番号】 特開2008−285966(P2008−285966A)
【公開日】 平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願番号】 特願2007−134512(P2007−134512)