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【発明の名称】 耐火帯の連結方法および装置
【発明者】 【氏名】嘉本 宗夫
【氏名】小多 健次
【課題】1人の作業者が単独で作業して耐火帯を連結することができる耐火帯の連結方法およびそれに用いる連結装置を提供する。

【構成】各耐火帯11,12の各一端部11a,12aを、幅方向に沿って折り曲げて重ね、連結装置13によって針20を打ち込んで相互に接合する。連結装置13は、基台40に、収容部材41および押出し部材42が、回動可能に支持されて構成される。収容部材41は、針20を収容する針収容空間48と、針20が個別に通過する針押出し孔49とを有し、押出し部材42は、針押出し孔49から針20を押出す押出し片51を有する。基台40および押出し部材42には、第1および第2操作部材43,44がそれぞれ設けられている。作業者は、第1および第2操作部材43,44を把持して、連結装置13を操作することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する2つの建物の相互に空隙をあけて対向する各躯体間に、長手方向に沿って延在しかつ前記長手方向に垂直な幅方向両端部間を弛緩させた状態で、幅方向両端部が固定される複数の耐火帯の連結方法において、
各耐火帯の相互に隣接する各部分を、前記各部分が延びる方向に沿って折り曲げて厚み方向に重ね、
前記厚み方向に重なった各部分を、連結装置によって凹状の針を前記各部分が延びる方向の複数箇所に打ち込んで挟着させ、各耐火帯の各部分を相互に接合することを特徴とする耐火帯の連結方法。
【請求項2】
基台と、
前記基台に、長手方向一端部が回動軸線まわりに回動可能に支持され、複数の凹状の針が収容される針収容空間と、長手方向他端部に各針が個別に通過する針押出し孔とを有する収容部材と、
前記基台に、長手方向一端部が前記収容部材の回動軸線と共通な回動軸線まわりに回動可能に支持され、前記針収容空間内で針押出し孔に臨んで配置される針を前記針押出し孔から押し出す押出し片を有する押出し部材と、
前記基台に基端部が固定され、前記基台から離反する方向に延びる第1操作部材と、
前記押出し部材に基端部が固定され、前記押出し部材から離反する方向に延びる第2操作部材とを含むことを特徴とする耐火帯の連結装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する2つの建物の各躯体間に設けられる複数の耐火帯を相互に連結するための耐火帯の連結方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来技術の耐火帯の連結方法および装置を示す断面図である。相互に間隔を開けて隣接する2つの建物の各躯体間には、火炎などを遮断するために、複数の耐火帯1,2が設けられている。各耐火帯1,2は、定尺材であるので、複数の耐火帯1,2が、長手方向に並べて用いられている。各耐火帯1,2は、相互に隣接する部分である長手方向の各端部1a,2a同士が連結される。この連結にあたっては、図9の構成で、まず、長手方向の各端部1a,2a同士を厚み方向にずらし、突合せ方向に重複させて重ね、耐火パテなどの接着剤3によって接着する。さらに各耐火体1,2間にわたって粘着テープ4,5を貼着する。このように接着剤3および各粘着テープ4,5を用いて、各耐火帯1,2を連結している。
【0003】
図10は、他の従来技術の耐火帯の連結方法および装置を示す断面図である。図9に示す構成と同様の構成には、同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。図10の構成では、各耐火帯1,2の長手方向の各端部1a,2aを、同一側へ約90度屈曲させ、この状態で各端部1a,2aを重ねて、鉄製のクリップ6によって挟持する。このようにクリップ6を用いて、各耐火帯1,2を連結している。
【0004】
特許文献1には、さらに他の従来技術の耐火帯の連結方法および装置が示されている。特許文献1の構成では、耐火帯は、2枚の長方形セラミックファイバブランケットを積層して構成されている。このような耐火帯を連結するにあたっては、2枚のブランケットを突き合わせ方向にずらして積層して端部に合いじゃくりを形成し、下側にあたるブランケットの表面に被覆材を重ね、さらにその表面に金網を重ね合わせ、2枚のブランケット、被覆材および金網を、パンチングワイヤーによって一体化するととともに、合いじゃくりの部分を前記被覆材で覆うように延出し、2枚の耐火帯は、その端部に形成した合いじゃくりの部分に被覆材を挟み込ませた状態で接合している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−115566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9の従来技術では、各耐火帯1,2を接着剤によって接着しているが、この接着作業は、各耐火帯1,2の性状に起因し、1人の作業者が単独で実行するのが困難である。たとえば接着剤を塗布した後、2人の作業者が、耐火帯1,2を挟んで両側にそれぞれ位置し、各耐火帯1,2の端部1a,2aを近づけるように、共同して押圧するなど、各耐火帯1,2を接着するにあたっては、複数人が共同して作業しなればならない。また図9の従来技術では、接着剤3で接着した後、厚み方向両側で、粘着テープ4,5の貼着作業が必要であり、接着作業を行った側とは裏側に回込む必要がある。また連結構造が複雑であり、その結果、連結作業も複雑になってしまう。
【0007】
図10の従来技術では、各耐火帯1,2をクリップ6によって挟持しているが、この挟持作業もまた、図9の接着作業と同様、各耐火帯1,2の性状に起因し、1人の作業者が単独で実行するのが困難である。たとえば1人の作業者が、各耐火帯1,2の端部1a,2aを密着させる状態で保持し、他の作業者がクリップを弾性変形させて開き、各耐火帯1,2に装着など、各耐火帯1,2を挟持するにあたっては、複数人が共同して作業しなればならない。
【0008】
特許文献1の従来技術もまた、図9の従来技術と同様の理由で、複数人が共同して作業しなればならない。また図9の従来技術と同様に、連結構造が複雑であり、その結果、連結作業も複雑になってしまう。
【0009】
このように各従来技術の連結方法および装置では、1人の作業者が単独で作業し、各耐火帯を連結することができない。耐火帯の設置場所は、2つの建物の躯体間という狭隘な空間であり、1人の作業者によって、簡単な作業で連結することができる各耐火帯の連結方法および装置が望まれている。また作業効率の点からも、1人の作業者が単独作業によって容易かつ迅速に耐火帯を連結することができる各耐火帯の連結方法および装置が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、1人の作業者が単独で作業して連結することができる耐火帯の連結方法およびそれに用いる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、隣接する2つの建物の相互に空隙をあけて対向する各躯体間に、長手方向に沿って延在しかつ前記長手方向に垂直な幅方向両端部間を弛緩させた状態で、幅方向両端部が固定される複数の耐火帯の連結方法において、
各耐火帯の相互に隣接する各部分を、前記各部分が延びる方向に沿って折り曲げて厚み方向に重ね、
前記厚み方向に重なった各部分を、連結装置によって凹状の針を前記各部分が延びる方向の複数箇所に打ち込んで挟着させ、各耐火帯の各部分を相互に接合することを特徴とする耐火帯の連結方法である。
【0012】
また本発明は、基台と、
前記基台に、長手方向一端部が回動軸線まわりに回動可能に支持され、複数の凹状の針が収容される針収容空間と、長手方向他端部に各針が個別に通過する針押出し孔とを有する収容部材と、
前記基台に、長手方向一端部が前記収容部材の回動軸線と共通な回動軸線まわりに回動可能に支持され、前記針収容空間内で針押出し孔に臨んで配置される針を前記針押出し孔から押し出す押出し片を有する押出し部材と、
前記基台に基端部が固定され、前記基台から離反する方向に延びる第1操作部材と、
前記押出し部材に基端部が固定され、前記押出し部材から離反する方向に延びる第2操作部材とを含むことを特徴とする耐火帯の連結装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各耐火帯の相互に隣接する各部分を、折り曲げて厚み方向に重ね、各部分が延びる向の複数箇所に、連結装置によって、凹状の針を打ち込んで挟着させ、各耐火帯の各部分を接合する。前述の各耐火帯の相互に隣接する部分は、複数の耐火帯の長手方向および幅方向を含み、さらに前記長手方向または幅方向に対して予め定める角度で傾斜した方向をも含む。
【0014】
このような各部分に連結装置によって針を打ち込むにあたっては、重ねた状態の各部分に対して針を打ち込むべき部位の近傍の部位を、作業者が一方の手で保持し、他方の手で、連結装置を操作して、前記針が打ち込まれるべき部位に位置決めし、迅速に複数箇所に針を打ち込むことが可能となる。
【0015】
このような針の打ち込み作業は、一方の手で重ねた状態の耐火帯の各部分を保持し、他方の手で連結装置を操作するだけの簡単な作業であるので、1人の作業者による簡単な単独作業によって実施することが可能であり、前記従来の技術のように、複数人が作業を分担する必要がない。したがって各躯体間に目地などとして存在する狭隘な空間での耐火帯の接合作業を容易化しかつ迅速化して、耐火帯の連結作業の効率の向上および労働コストの削減を図ることができる。
【0016】
また本発明によれば、基台に対して、共通な回動軸線まわりに回動可能に、収容部材および押出し部材が支持される。収容部材には、針収容空間が形成され、複数の針を装填して収納することができる。また収容部材には、針収容空間に収容される各針が、個別に通過する針押出し孔が形成され、この針押出し孔に臨むように押出し部材の押出し片が配置される。
【0017】
基台には、第1操作部材が固定され、この第1操作部材は、基台から離反する方向に延びる。押出し部材には、第2操作部材が連結され、この第2操作部材は、押出し部材から離反する方向に延びる。これら第1および第2操作部材を互いに近接する方向に操作することによって、基台に対して押出し部材を回動させ、針収容空間に収容される針を、針押出し孔から押出して相互に接合されるべき部分に針を打ち込むことができる。第1および第2操作部材の操作によって押出し部材を基台に対して回動させることができるので、作業者が片手で操作して、各耐火帯の相互に接合しようとする各部分の複数箇所に針を打ち込んで接合ことができる。
【0018】
このように第1および第2操作部材を備える連結装置によれば、1人の作業者が第1および第2操作部材を片手で操作可能であるので、2つの耐火帯の各部分における針を打ち込むべき部位の近傍の部位を、一方の手で保持し、他方の手で、連結装置を把持して操作し、針を打ち込むべき部位に針を打ち込んで、各耐火帯を接合することができる。このように1人の作業者による簡単な単独作業を可能にし、各躯体間の狭隘な空間で、耐火帯を容易に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態の耐火帯の連結方法およびそれに用いる連結装置13を示す鉛直断面図であり、後述の図2の切断面線S1−S1から見た断面を示す。本実施の形態では、長手方向を上下方向にして互いに隣接する2つの耐火帯11,12を連結する方法について述べる。以下、2つの耐火帯11,12のうち、上方に配置される一方の耐火帯を「第1耐火帯11」とし、下方に配置される他方の耐火帯を「第2耐火帯12」とする。本実施の形態の連結方法では、耐火帯の連結装置13が用いられ、この連結装置13を作業者の片方の手14で把時して挟持動作を行うことによって、第1および第2耐火帯11,12に複数の針20を打ち込んで各部分11a,12aを挟着し、第1および第2耐火帯11,12を接合して連結することができる。
【0020】
図2は、図1の上方から見た第1耐火帯11を示す水平断面図である。図2の左右方向である水平方向に隣接する2つの建物は、コンクリート構造体である各躯体15,16をそれぞれ有し、各躯体15,16は、目地などとして存在する空隙19によって前記水平方向に相互に間隔Wをあけて対向している。前記隣接する2つの建物の各躯体15,16間には、前述のように複数の耐火帯が長手方向に沿って設けられる。
【0021】
各耐火帯11,12は、定尺のマット状であり、長手方向が上下方向(図2の紙面に垂直な方向)に延在するようにして、長手方向に沿って隣接して設けられる。図2には、複数の耐火帯のうちの第1耐火帯11の断面が示されている。
【0022】
各耐火帯11,12は、たとえば、各躯体15,16の相対的な変位を許容可能に、各躯体15,16間の空隙19を塞ぐ伸縮継手装置の構成要素として、設けられている。伸縮継手装置は、たとえば、各躯体15,16に対して変位可能に保持され、空隙19を塞ぐカバー体60と、その裏側(図2の構成では下側)に設けられ、雨水などを遮断する可撓性シートから成る止水板61と、止水板61の裏側に設けられる各耐火帯11,12とを含んで構成される。
【0023】
各躯体15,16には、埋込みボルトなどによって、各取付金具21,22がそれぞれ固定される。各取付金具21,22は、断面が略L字状の長尺材によってそれぞれ形成され、一方の取付金具21が、一方の躯体15の角部に設けられ、他方の取付金具22が、他方の躯体16の角部に設けられる。各取付金具21,22の空隙19内に配置される各一端部には、各躯体11,12の空隙17に臨む表面に対して傾斜した傾斜部23,24を有している。各取付金具21,22には、各耐火帯11,12毎に、対を成して設けられている。各取付金具21,22は、たとえばSGHCなどの鋼材から成る厚み寸法が1.2〜2.3mmの押出し形材によって実現される。
【0024】
各耐火帯11,12は、幅方向の一側部17が前記一方の取付金具21の傾斜部23に連結され、幅方向の他側部18が前記他方の取付金具22の傾斜部24に連結されて、各躯体15,16間にわたって設けられる。各耐火帯11,12の各側部17,18の各取付金具21,22への連結には、たとえばリベットなどの締結部材62,63と金属製の押え板64,65とが用いられ、各側部17,18を傾斜部23,24と押え板64,65との間に介在させ、締結部材62,63を挿通してかしめ加工することによって、各側部17,18が傾斜部23,24と押え板64,65とによって挟着された組立て状態とし、これを各躯体15,16間に搬入して、各取付金具21,22をオールインアンカーとも称されるアンカー体によって各躯体17,18に固定することによって、各耐火帯11,12が各躯体17,18に取り付けられる。
【0025】
このようにして各耐火帯11,12が各躯体17,18に取り付けられた状態では、両側部17,18間の中間部30が、カバー体60から離反する方向、すなわち図2においては下方である内方に凸となるように湾曲させた弛緩状態で設け、地震などによる各躯体15,16の相対変位を許容することができる。
【0026】
各躯体15,16に前述のようにして各耐火帯11,12が取り付けられた状態では、各耐火帯11,12の幅方向の両側部17,18の各押え板64,65から露出する部分が、各躯体11,12の空隙19に臨む対向壁面15a,16aにそれぞれ接触しており、火災発生時の火炎および高温ガスの通過が阻止されている。
【0027】
各耐火帯11,12は、耐火層27と、この耐火層27を包被する外装フィルム28,29から構成されている。耐火層27は、厚み寸法がたとえば10〜30mmの耐火材から成る層である。耐火材は、たとえばセラミックファイバを主成分とするものでよく、日本工業規格のJIS R311a1に規定されるセラミックファイバブランケットを用いることができる。
【0028】
各外装フィルム28,29は、たとえばクロス材に金属箔が積層されてそれぞれ構成され、全体での厚み寸法は、たとえば0.1〜0.5mmである。クロス材は、たとえばガラスクロスから成り、その厚み寸法は、たとえば0.42mmである。金属箔は、たとえばアルミニウムから成るアルミ箔であり、その厚み寸法は、たとえば20μmである。各外装フィルム28,29は、耐火層27の両面にたとえば接着テープによって袋状に包装されている。
【0029】
さらに各耐火帯11,12は、各外装フィルム28,29の外側に、メッシュ材が設けられてもよい。メッシュ材としては、たとえばSUS304などのステンレス鋼から成る直径0.25mmの鋼線によって網状に形成されたメッシュ材を用いることができる。このような構成の各耐火帯11,12が、各躯体15,16間にわたって、空隙19を塞いで設けられることによって、たとえば火災発生時の火炎および高温ガスを遮断することができる。
【0030】
各耐火帯11,12は、このように、火炎および高温ガスの通過を遮断することによって防火基準などによって規定される耐火性能を達成することを目的として設けられるので、各耐火帯11,12間も互いに連結し、火炎および高温ガスの通過が阻止される。したがって長手方向に隣接する第1および第2耐火帯11,12は、互いに連結され、また第1および第2耐火帯11,12以外の長手方向に隣接する2つの耐火帯に間しても、同様の構成で連結される。以下、第1および第2耐火帯11,12を例に挙げて、隣接する2つの耐火帯の連結方法について説明する。
【0031】
図1および図2を併せて参照して、耐火帯の連結方法は、重ね工程と、接合工程とを有する。重ね工程では、第1および第2耐火帯11,12の長手方向に隣接する各部分である各一端部11a,12aを、幅方向に沿って折り曲げて厚み方向に重ねる。第1および第2耐火帯11,12は、長手方向に部分的に重複するように設けられている。第1および第2耐火帯11,12の長手方向の各一端部11a,12aは、たとえば幅方向の中間部30が両端部17,18に対して凸となる側へ、約90度折り曲げられる。第1および第2耐火帯11,12の長手方向の各一端部11a,12aは、この折り曲げられた部分で、厚み方向に重ねられる。
【0032】
接合工程では、厚み方向に重なった各一端部11a,12aの幅方向の複数箇所に、連結装置13によって、凹状の針20を打ち込んで挟着させる。したがって接合工程では、第1および第2耐火帯11,12の重ね工程で重ねられた部分を、針20を用いて接合する。このように第1および第2耐火帯11,12の長手方向の各一端部11a,12aを相互に接合し、第1および第2耐火帯11を連結することによって、火炎および高温ガスが、第1および第2耐火帯11,12間を通過することを防ぐことができる。第1および第2耐火帯11,12以外の他の長手方向に隣接する2つの耐火帯もまた、同様にして連結し、その2つの耐火帯11,12間の火炎および高温ガスの通過を一定時間、たとえば1〜2時間阻止し、要求される耐火性能を達成することができる。
【0033】
図3は連結装置13を示す斜視図であり、図4は連結装置13を示す平面図である。図5は連結装置13を図3の左方から見た側面図であり、図6は連結装置13を図3の右方から見た側面図である。なお、前述の図1は連結装置13を背後から見た背面図であり、この連結装置13の背面図は正面図と左右対称に表れる。前述の連結装置13は、長手方向に隣接する2つの耐火帯11,12を相互に連結するための連結装置である。この連結装置13は、基台40と、収容部材41と、押出し部材42と、第1操作部材43と、第2操作部材44とを含んで構成される。
【0034】
基台40は、大略的に長方形の板状の部材である。収容部材41は、針20を収容保持する偏平な箱状の部材から成る。この収容部材41は、基台40に、長手方向一端部41aが回動軸線L0まわりに回動可能に連結される。基台40は、長手方向一端部40aに、幅方向両側部から厚み方向へそれぞれ突出する支持片47を有している。収容部材41は、これら各支持片47に回動可能に支持されている。
【0035】
前記基台40には、ストッパ70が前記支持片47と針受部50との間に突出して設けられる。こおnストッパ70は、基台40の表面から垂直な立ち上がり高さHによって、第1および第2操作部材43,44を近接方向に操作したときの収容部材41の基台40へ近接する方向への下限位置を制限し、針押し出し片51と針受部50との間隔を調整して、針20の前記針押出し片51による針押出し孔49からの押出し量を変化させて、各耐火帯11,12の各一端部11a,12aの針20による挟着厚さを最適な値に調整することができる。このように各一端部11a,12aの針20による挟着厚さを調整するのは、各耐火帯11,12がフラッフ状の耐火繊維をアルミ箔などのシートによって覆われた伸縮性の高いマット状であるため、針20によって各一端部11a,12aが完全密着状態まで挟着されると、各シート間の耐火繊維層における繊維間の空隙がほとんどなくなり、接合部の耐火性能が低下するため、各一端部11a,12aの接合部にも適度の厚さをもたせ、所要の耐火性能を確保するためである。
【0036】
収容部材41は、複数の凹状の針20が収容される針収容空間48と、長手方向他端部41bに各針20が個別に通過する針押出し孔49とを有する。針押出し孔49は、基台40に臨んで開放するように形成される。各針20は、両端部を基台40側に向けて、基台40および収容部材41の長手方向に沿って針収容空間48に収容されている。各針20は、針収容空間48に装着された針押圧ばねによって、収容部材41の長手方向他端部41bに向かって弾発的に押圧されている。これによって針収容空間48に収容されている各針20のうちで最も長手方向他端部41b寄りに配置される1つの針20が、針押出し孔49から外方に臨むように配置される。
【0037】
押出し部材42は、収容部材41に収容される複数の針20のうちで前記最も長手方向他端部41b寄りに配置される針20を針押出し孔49から押出すための部材である。この押出し部材42は、基台40に、長手方向一端部42aが収容部材41の回動軸線と共通な回動軸線L0まわりに回動可能に支持されている。押出し部材42は、長手方向他端部42bに、押出し片51を有している。押出し片51は、針収容空間48に収容される複数の針20を、針押出し孔49から個別に押し出すため、収容部材41の長手方向他端部41bの端壁41b1に沿って平行にかつ移動自在に設けられ、針収容空間48内で基台40とは反対側から針押出し孔49に臨んで配置されている。
【0038】
第1操作部材43は、基台40から離反する方向に延び、基端部43aが支持片47に固定され、支持片47が基台40に固定される。このようにして第1操作部材43は、基台40の長手方向一端部40aに固定され、基台40の長手方向他端部40bとは反対側へ延びている。第1操作部材43は、遊端部43b寄りの部分が図1の仮想線14で示されるように、後述の第2操作部材44とともに把時された状態で親指が掛け止められる把持部53として用いられ、広い範囲に接触させて把持力を安定して作用させることができるように、円柱状に形成されている。
【0039】
第2操作部材44は、作業者が連結装置13を操作するためのもう1つの部材である。第2操作部材44は、押出し部材42に、基端部44aが溶接されて固定され、押出し部材42から離反する方向に延びる。第2操作部材44は、基端部44aが押出し部材42の長手方向一端部42aに固定され、押出し部材42の長手方向他端部42bとは反対側へ延び、遊端部44b寄りの部分が図1の仮想線14で示されるように、前述の第1操作部材43とともに把持された状態で人差し指、中指、薬指および小指が掛け止められる把持部54として用いられ、各指を広い範囲に接触させて把時力を安定して作用させることができるように、円柱状に形成されている。
【0040】
前記連結装置13はまた、収容部材41を押圧する第1押圧ばね部材55と、押出し部材42を押圧する第2押圧ばね部材56とを有する。第1押圧ばね部材55は、圧縮コイルばねによって実現され、基台40と収容部材41との間に設けられている。第1押圧ばね部材55は、収容部材41の長手方向他端部41bを、基台40の長手方向他端部40bに対して、離反させる方向へ弾発的に押圧する。
【0041】
前記第2押圧ばね部材56は、圧縮コイルばねによって実現され、収容部材41と押出し部材42との間に設けられる。第2押圧ばね部材56は、押出し部材42の長手方向他端部42bを、収容部材41の長手方向他端部41bに対して、離反させる方向へ弾発的に押圧する。押出し部材42は、第2押圧ばね部材56によって、長手方向他端部42bが、基台40の長手方向他端部40bに対して、離反する方向へ押圧されている。第1押圧ばね部材55および第2押圧ばね部材56は、第1押圧ばね部材55によって収容部材41に与えられる回動モーメントよりも、第2押圧ばね部材56によって収容部材41に与えられる回動モーメントが大きくなるように、ばね力が設定されている。
【0042】
このような連結装置13では、作業者が第1および第2操作部材43,44に把持力を与えていない状態(以下「非操作状態」という)では、第1押圧ばね部材55および第2押圧ばね部材56のばね力によって、収容部材41が基台40から最も離反した位置に配置され、押出し部材42が収容部材41から最も離反した位置に配置されている。この非操作状態において、第1および第2操作部材43,44は、最も開いており、図1の仮想線14で示されるように片手で把持できる程度に離間した状態に保たれる。また非操作状態で、収容部材41の針収容空間48に収容される各針20のうち、最も収容部材41の長手方向他端部41b寄りの1つの針20が、針押出し孔49に臨む位置に配置されている。
【0043】
基台40は、長手方向他端部40bの針押出し孔49に臨む位置に、クリンチャとも呼ばれる針受部50を有している。非操作状態では、基台40の長手方向他端部40bと、収容部材41の長手方向他端部41bとが離間している。したがって基台40の針受部50と、収容部材41の針押出し孔49が形成される部分(以下「孔形成部」という)58とが、離間している。
【0044】
連結装置13によって、接合すべき第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aに針20を打ち込んで各一端部11a,12aを結束、すなわちクリンチ(
clinch)するにあたっては、非操作状態で、基台40の針受部40と、収容部材41の孔形成部58との間に、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aを配置する。この状態から、作業者が、第1および第2操作部43,44の各把持部53,54を把持し、第1および第2操作部43,44を近づけて閉じるように操作力を与えると、収容部材41の長手方向他端部41bおよび押出し部材42の長手方向他端部42bが、基台40の長手方向他端部40bに近づくように、収容部材41および押出し部材42が、基台40に対して回動する。
【0045】
このとき、基台40の針受部50と、収容部材41の孔形成部58とによって、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aが挟持されるまでは、収容部材41および押出し部材42が、一体となって、基台40に対して回動する。基台40の針受部50と、収容部材41の孔形成部58とによって、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aが挟持された後は、押出し部材42が、収容部材41および基台40に対して回動する。
【0046】
押出し部材42が、収容部材41および基台40に対して回動することによって、収容部材41の針収容空間48に収容される各針20のうち、最も収容部材41の長手方向他端部41b寄りの1つの針20が、押出し片51によって、基台40に向けて押圧され、針押出し孔49から押出される。押出された針20は、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aに、刺入されて貫通し、針受部50で相互に近接する方向に折り曲げられて変形し、綴じ裏が形成される。こうして各一端部11a,12aに厚み方向に打ち込まれた針20が抜止めされるとともに、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aを挟着する。このようにして、針20を打ち込んで各一端部11a,12aを結束することができる。
【0047】
連結装置13は、紙片などに比べて厚みの大きい耐火帯の各端部を重ねて接合し、各耐火帯を強固にかつ火炎などを遮断できるように気密に接合するために、紙片などを綴じるため針よりも大きくかつ剛性の高い針20を用いて現場で多数箇所を接合しなければならない。そのため、市販のステープラを用いると大型化してしまい、作業者が、基台40の長手方向他端部40bおよび押出し部材42の長手方向他端部42bを、片手で安定に把持して効率よく操作することは困難である。本実施の形態の連結装置13では、前述のように第1および第2操作部材43,44が設けられるので、作業者が第1および第2操作部材43,44を片手で把持し、容易に挟着操作することができる。したがって連結装置13を用いて、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aを接合する場合、作業者は、一方の手で、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aを保持し、他方の手で連結装置13を操作して、針20を打ち込んで接合することができる。
【0048】
前述の本実施の形態によれば、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aを、折り曲げて厚み方向に重ね、幅方向の複数箇所に、連結装置13によって、凹状の針20を打ち込んで挟着させ、第1および第2耐火帯11,12の各一端部11a,12aを接合する。連結装置13によって針20を打ち込むにあたっては、第1および第2耐火帯11,12の重ねた状態の各一端部11a,12aにおける針20を打ち込むべき部位の近傍の部位を、一方の手で保持し、他方の手で、第1および第2操作部材43,44を把持して連結装置13を保持し、針20を打ち込むべき部位が針押出し孔49と針受台50との間に配置されるように連結装置13を位置決めし、第2操作部材12が第1操作部材11に近接する方向に操作して、針20を前記各一端部11a,12aに打ち込む。このようにして針20の打ち込み作業および各耐火帯11,12の保持作業は、1人の作業者が単独で行うことができる。また作業は、一方の手で、第1および第2耐火帯11,12の重ねた状態の各一端部11a,12aを保持し、他方の手で、連結装置13の第1および第2操作部材43,44を握りしめるという簡単な作業である。したがって1人の作業者による簡素な作業によって複数箇所に針20を連続して容易に打ち込むことができ、各躯体15,16間の狭隘な空隙19での各耐火帯11,12の連結作業を容易に達成することができる。
【0049】
また連結装置13は、第1および第2操作部材43,44を有しているので、これら第1および第2操作部材43,44を近接する方向に操作することによって、基台40に対して押出し部材42を角変位させ、収容部材41の針収容空間48に収容される針20を、針押出し孔49から押し出して各一端部11a,12aに打ち込むことができる。第1および第2操作部材43,44は、基台40に対して押出し部材42を大きな回転トルクで角変位させるために設けられ、作業者が片手で同時に、しかも安定に把持して、近接/離反する方向に角変位操作することができる。
【0050】
第1および第2操作部材43,44は、作業者が把持する把持部53,54が円柱状に形成されるので、第1および第2操作部材43,44を近接/離反する方向の操作時においても、常に手指に対して円筒状に湾曲した表面が接触し、安定して挟着動作を行うことができる。また第1および第2操作部材43,44は、基台40の長手方向他端部40bおよび押出し部材42の長手方向他端部42bから延びるように形成されるのではなく、基台40および押出し部材42の各長手方向一端部40a,42aから延びており、接合対象である第1および第2耐火帯11,12が手に干渉しないように、第1および第2耐火帯11,12から離れた位置で把持することができ、第1および第2耐火帯11,12と作業者との間に適度の作業空間を確保することができ、各耐火帯11,12を連結するための作業の作業性を向上することができる。
【0051】
第1および第2操作部材43,44が無ければ、作業者は、基台40および押出し部材42を把持して操作しなければならない。連結装置13は、耐火帯の構成に起因し、基台40および押出し部材42を片手で把持することができない、または困難な寸法を有するので、基台40および押出し部材42を把持して操作するのであれば、両手で操作しなければならなくなる。このように連結装置13を両手で操作すると、連結対象の第1および第2耐火帯11,12を保持することができなくなるので、第1および第2耐火帯11,12を保持する別の作業者が必要になり、複数人の作業者が連結作業に携わらなくてはならなくなる。
【0052】
これに対して前述のように第1および第2操作部材43,44を備える連結装置13は、作業者が片手で操作可能であるので、この連結装置13を用いれば、第1および第2耐火帯11,12の一端部11a,12aにおける針20を打ち込むべき部位の近傍の部位を、一方の手で保持し、他方の手で、連結装置13を把持して操作し、針20を打ち込むべき部位に針20を打ち込んで、第1および第2耐火帯11,12を接合することができる。このように1人の作業者による連結作業を可能にし、各躯体15,16間の狭隘な空隙19での、第1および第2耐火帯11,12の連結作業の効率を向上することができる。
【0053】
図7は、本発明の実施の他の形態の耐火帯の連結装置13aを示す鉛直断面図である。なお、本実施の形態の連結装置13aは前述の実施の形態の連結装置13に類似し、対応する部分には同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施の形態の連結装置は、前述の実施の形態の耐火帯の連結方法を実施するために用いられ、各耐火帯11,12の各一端部11a,12aを連結する手順については同様である。
【0054】
本実施の形態の連結装置13aでは、押出し片51の針20の押出し方向および退避方向の作動距離と、各操作部材43,44の各他端部43a,44b間の操作角度θとを調整するために、前記収容部材41に軸73によって回動可能に連結される押圧補助部材74を介在させて、その上面を第2操作部材44の基端部44aに回動可能に設けられる押圧ローラ75によって押圧し、この押圧補助部材74によって押出し片51を押圧して針20を押し出すことができるように構成される。前記押圧ローラ75の回動軸線は、第1および第2操作部材43,44の共通な回動軸線L0と平行である。
【0055】
押出し部材42に設けた押圧ローラ75によって押圧補助部材74を押圧して押出し片51を押圧するように構成することによって、押圧ローラ75によって第1および第2操作部材43,44の回動軸線L0と押圧補助部材74の軸73の回動軸線との位置の相違による押圧補助部材74の上面への押圧位置のずれを許容し、円滑に押出し片51を上下動させて針20を押し出すことができる。
【0056】
図8は、本発明の実施のさらに他の形態の耐火帯の連結方法を示す水平断面図である。なお、前述の実施の各形態と対応する部分には同一の参照符を付す。図1〜図7に示される実施の各形態では、上下に隣接する各耐火帯11,12の各一端部11a,12aを連結装置13,13aによって接合する構成について述べたが、水平方向に隣接する2枚の耐火帯11,12を各幅方向一端部11a,12aで連結する場合にも、本発明の連結方法および連結装置13,13aを好適に実施することができる。
【0057】
このような各耐火帯11,12に各幅方向一端部11a,12aを連結する場合においても、前述の連結装置13,13aを用いて、1人の作業者によって容易に各耐火帯11,12を接合することができる。
【0058】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することができる。たとえば基台40、収容部材41、押出し部材42、第1操作部材43および第2操作部材44などの形状は、前述の形状に限定されることはなく、他の形状であってもよい。また各耐火帯11,12は、前述のような材料以外の材料から成ってもよいし、前述のような寸法以外の寸法に形成されてもよい。また各耐火帯11,12は、上下に延びる躯体間に設けられる構成であってもよい。また各耐火帯11,12が設けられる伸縮継手装置の設置場所も、特に限定されるものではない。
【0059】
図1〜図8に示される前述の実施の各形態では、押出し部材42および収容部材41は、共通な回動軸線L0まわりに回動可能に支持されるが、本実施の形態の連結装置では、押出し片51が滑らかに上下動するように、押出し部材42の長手方向他端部42bの回動軸線L0に対して、収容部材41の長手方向他端部41bの回動軸線を異なる位置に設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の一形態の耐火帯の連結方法に用いられる連結装置13を示す鉛直断面図である。
【図2】耐火帯11の取付け状態を示す水平断面図である。
【図3】連結装置13を示す斜視図である。
【図4】連結装置13を示す平面図である。
【図5】連結装置13を示す左側面図である。
【図6】連結装置13を示す右側面図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の連結装置13aを示す鉛直断面図である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態の連結方法による連結状態を示す水平断面図である。
【図9】従来技術の耐火帯の連結方法および装置を示す断面図である。
【図10】他の従来技術の耐火帯の連結方法および装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
11,12 耐火帯
11a,12a 耐火帯の一端部
13,13a 連結装置
15,16 躯体
19 空隙
20 針
40 基台
41 収容部材
42 押出し部材
43 第1操作部材
44 第2操作部材
49 押出し孔
51 押出し片
74 押圧補助部材
75 押圧ローラ

特許の図
【出願人】 【識別番号】000004732
【氏名又は名称】株式会社日本アルミ
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【公開番号】 特開2008−2245(P2008−2245A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175894(P2006−175894)