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【発明の名称】 乾式間仕切り壁構造
【発明者】 【氏名】西村 俊彦
【氏名】上原 茂男
【課題】鋼製スタッドの片側面又は両側面に取り付けられる耐火ボードの目地部の温度上昇を抑制する乾式間仕切り壁構造を提供する。

【構成】鋼製スタッドの片側面又は両側面に連続して取り付けられる下張り板の目地部は、同下張り板の接合部に相欠き部が形成され、隣り合う下張り板は相欠け継ぎ構造とされており、さらに前記相欠け継ぎの間に発泡性耐火材を設置させている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式構造の耐火間仕切り壁であり、鋼製スタッドの片側面又は両側面に下張り板と上張り板とで構成される耐火ボードを取り付けて成る間仕切り壁構造において、
前記鋼製スタッドの片側面又は両側面に連続して取り付けられる下張り板の目地部は、同下張り板の接合部に相欠き部が形成され、隣り合う下張り板は相欠け継ぎ構造とされており、さらに前記相欠け継ぎの間に発泡性耐火材が設置されていることを特徴とする、乾式間仕切り壁構造。
【請求項2】
乾式構造の耐火間仕切り壁であり、鋼製スタッドの片側面又は両側面に下張り板と上張り板とで構成される耐火ボードを取り付けて成る間仕切り壁構造において、
前記鋼製スタッドと下張り板との間に不燃質材が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した乾式間仕切り壁構造。
【請求項3】
下張り板の上面に連続して取り付けられる上張り板の目地部は、同上張り板の接合部に相欠き部が形成され、隣り合う上張り板は相欠け継ぎ構造とされており、さらに前記相欠け継ぎの間に発泡性耐火材が設置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した乾式間仕切り壁構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、乾式間仕切り壁の耐火性能を向上させる構造の技術分野に属し、更に云うと、鋼製スタッドの片側面又は両側面に取り付けられる耐火ボードの目地部の温度上昇を抑制する乾式間仕切り壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の軽量化の観点より、軽量鉄骨製の鋼製スタッドの片側面又は両側面に、繊維混入ケイ酸カルシウム板を設置し、その外側にせっこうボードを貼り付けて成る乾式耐火ボードの2枚張り構造とする乾式耐火間仕切り壁構造が、面積区画、竪穴区画等の防火区画壁として使用されている。
上記の間仕切り壁構造は、鋼製スタッドが直接火災の熱に曝されることを防止し、耐火性能を向上する利点があるが、加熱が進み加熱面側の耐火ボードの温度が上昇すると、前記熱が耐火ボードの各目地部を通って鋼製スタッドへ伝達され、同鋼製スタッドの温度を上昇させ変形を生じさせるので、相対峙する非加熱面側の耐火ボードの拘束にゆるみが生じてしまう。また、鋼製スタッドが配置されている空間の温度上昇が促進され、その熱がやはり非加熱面側の耐火ボードの目地部を通じて室内へ流入してしまう。したがって耐火性能は、耐火ボードが健在であるにもかかわらず、漏れる熱の温度で決まってしまい、耐火ボードが本来有している耐火性能が発揮できないという問題点があった。
【0003】
上記の点を顧みて下記の特許文献1には、耐火間仕切り壁の縦目地に耐火目地部材40を挿入する技術が開示されており、具体的には、図4に示すように前記耐火目地材40は断面形状を帽子型とする亜鉛等の防錆鋼板又は化粧鋼板であり、下張り板41の上面に位置決めされた後、上張り板42の縁部により下張り板41へ押しつけて取り付ける構成とされている。
【0004】
また、特許文献2及び3には、下張り板と上張り板で成る乾式ボードと鋼製スタッドとの間にガラス繊維混入せっこう板等の耐火板(不燃質材)を設けて、鋼製スタッドを通じて乾式ボード(非加熱面側)へ熱が伝達されることを防止する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2002−309691号公報
【特許文献2】特開2003−278298号公報
【特許文献3】特開昭60−19854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術は、耐火目地部材40により上張り板42の目地部を通って熱が入り込むことを防止している技術である。しかし、図4に示すように、耐火目地部材40は、下張り板41の上面に上張り板42を設置された構成で同上張り板42の目地部のみを隠蔽するものであるから、鋼製スタッド43が配置されている空間で上昇された熱が、下張り板41の目地部を通って入り込み耐火ボードの温度を上昇させてしまう。すると、下張り板41及び上張り板42を変形させてしまうという問題がある。
また、耐火目地部材40は高価な亜鉛等の金属板であるためコストが嵩み経済的とは言えない。
【0006】
特許文献2及び3の技術は、鋼製スタッドからの熱の伝達を防止する効果があることは認められるが、上述したように同鋼製スタッドが配置されている空間内で上昇した熱が、下張り板又は上張り板の目地部から熱が入り込み、両板を変形させ耐火性能を低減させてしまう問題点は解決していない。
【0007】
本発明の目的は、下張り板と上張り板で成る耐火ボードの目地部を通じて熱が入り込むことを最小限に抑制して、目地部による温度上昇を長時間に亘り抑制し、耐火ボードの耐火性能を効果的且つ飛躍的に向上する乾式間仕切り壁構造を提供することにある。
本発明の目的は、鋼製スタッドが熱を伝達される又は伝達することを抑制する乾式間仕切り壁構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る乾式間仕切り壁構造において、
乾式構造の耐火間仕切り壁であり、鋼製スタッドの片側面又は両側面に下張り板と上張り板とで構成される耐火ボードを取り付けて成る間仕切り壁構造において、
前記鋼製スタッドの片側面又は両側面に連続して取り付けられる下張り板の目地部は、同下張り板の接合部に相欠き部が形成され、隣り合う下張り板は相欠け継ぎ構造とされており、さらに前記相欠け継ぎの間に発泡性耐火材が設置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した乾式間仕切り構造において、
乾式構造の耐火間仕切り壁であり、鋼製スタッドの片側面又は両側面に下張り板と上張り板とで構成される耐火ボードを取り付けて成る間仕切り壁構造において、
前記鋼製スタッドと下張り板との間に不燃質材が設置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した乾式間仕切り壁構造において、
下張り板の上面に連続して取り付けられる上張り板の目地部は、同上張り板の接合部に相欠き部が形成され、隣り合う上張り板は相欠け継ぎ構造とされており、さらに前記相欠け継ぎの間に発泡性耐火材が設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は2に記載した発明に係る乾式間仕切り壁構造は、以下のような効果を奏する。
下張り板の目地部は、その接合部に相欠き部を形成し、隣り合う下張り板は相欠け継ぎ構造としたので、前記相欠き部は温度上昇された熱が下張り板の目地部から入り込む量を抑制することができる。特に鋼製スタッドが配置される空間で上昇された熱が非加熱面側の下張り板の目地部へ入り込むことを最小限に抑制して、下張り板と上張り板で成る耐火ボードの温度上昇と変形を抑制し耐火性を効果的且つ飛躍的に向上できる。
また、相欠け継ぎの間に発泡性耐火材を設置させる構成とし、相欠き部から熱が漏れてきた際に、発砲し断熱層を形成するため、熱が目地部を通り抜けることを確実に抑制するし、目地部の温度上昇を長時間に亘り抑制することができる。
更に、鋼製スタッドと下張り板との間に不燃質材を設置したので、鋼製スタッドが加熱面側の耐火ボードから熱を伝達されること及び非加熱面側の耐火ボードへ伝達することを抑制して、鋼製スタッドの変形による耐火ボードの拘束の緩みや耐火ボード自体の温度上昇の低減を促進できる。
のみならず、下張り板の目地部を相欠け継ぎ構造とし、且つ鋼製スタッドに不燃質材を設置する複合構成とすると、下張り板の目地部を通じて熱が入り込むことを確実に防止すると共に、鋼製スタッドが加熱面側の耐火ボードから熱を伝達される又は非加熱面側の耐火ボードへ熱を伝達することも確実に防止する相乗効果により下張り板と上張り板で成る耐火ボードが本来持つ耐火性能を確実に発揮できる。
【0012】
請求項3に記載した発明に係る乾式間仕切り壁構造は、下張り板の目地部に実施した相欠け継ぎ構造と発泡性耐火材の設置を、上張り板の目地部にも実施するので、熱の入り箇所、排出箇所の重要な位置における耐火性能を十分に発揮させて耐火時間を十分にかせぎ火災時の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、乾式構造の耐火間仕切り壁1であり、鋼製スタッド2の両側面に下張り板3と上張り板4とで構成される耐火ボード5を取り付けて成る間仕切り壁構造である。
前記鋼製スタッド2に連続して取り付けられる下張り板3の目地部30は、同下張り板3の接合部に相欠き部31が形成され、隣り合う前記下張り板3は相欠け継ぎ構造とされており、さらに前記相欠け継ぎの間には発泡性耐火材6を設置させた構成とされている。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明に係る乾式間仕切り壁構造の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の乾式間仕切り壁1は、例えば面積区画又は竪穴区画等の防火区画壁として好適に実施される。
【0015】
図1Aは本発明の乾式間仕切り壁1の平面図を示した。前記間仕切り壁1の軸組には鋼製スタッド2が使用される。前記鋼製スタッド2は、軽量鉄鋼製若しくは鉄鋼製のチャンネル型部材で成り、300〜600mm程度の間隔を空けて壁芯方向に整列して床スラブに対して垂直に立設されている。
【0016】
同鋼製スタッド2…の両側面に下張り板3と上張り板4とで構成される耐火ボード5が取り付けられている。具体的に下張り板3、3は繊維混入ケイ酸カルウシウム板であり、前記鋼製スタッド2の前記両側面の水平方向に連続する配置でビス及び/又は接着剤により取り付けられる。
【0017】
前記鋼製スタッド2へ連続して取り付けられた前記下張り板3、3の目地部30は、下張り板3の接合端部に相欠き部31が形成されている。また、隣り合う下張り板3、3は、前記相欠き部31、31を嵌め合わせる相欠け継ぎ構造が構築されている。前記相欠き部31は熱が目地部30から入り込む量を抑制する効果を発揮するように、その形状は平面視がクランク形状とされている。
【0018】
更に、前記下張り板3、3の相欠き継ぎ間には発泡性耐火材6が設置されている。
この発泡性耐火材6は目地部30の隙間から熱が入り込もうとすると、シールが発泡して断熱層を形成して前記熱を遮断する。上記のように相欠き部31と発泡性耐火材6を併用した構成とすると、下張り板3の各目地部30の温度上昇を長時間に亘り防止することができ、もっては耐火ボード5の耐火性能を飛躍的に向上させることができる。
前記発泡性耐火材6は図1Aでは下張り板3の略中央部分にのみ設けているが、勿論この限りではない。図1Bに示すように、相欠き部31の全面に亘って設けることが好ましい。
【0019】
上記のように目地部30を相欠け継ぎに形成した下張り板3を水平方向に連続して構築した後、その上面へ工事加工により予め表面仕上げを施したせっこうボードとする上張り板4をビス又はステープル等により連続して取り付けて耐火ボード5を完成させる。本発明は図示したとおり鋼製スタッド2の両側つまり加熱面側Fと非加熱面側Bに配置される両方の下張り板3に実施している。
従って、加熱面側Fにおいては、高い熱が下張り板3の目地部30から入り込むことを最小限に抑制する。また非加熱面側Bにおいては、前記目地部30から流入してしまった熱により鋼製スタッド2の狭い空間Sの温度が上昇し、その上昇熱が前記非加熱面側の下張り板3の目地部30及び上張り板4の目地部40へ入り込んで室内に流入することを防止できるのである。
本実施例1では鋼製スタッド2の両側面に取り付けられた下張り板3の目地部30に実施した例を示したが、図示することは省略したが鋼製スタッド2の片側面にのみ取り付けられた下張り板3の目地部30に実施することもできる。勿論、両側面に取り付けられた下張り板3、3の片側面(加熱面側)にのみ実施することもできることを付言する。
【実施例2】
【0020】
次に請求項2に記載した発明に係る乾式間仕切り壁構造を図面に基づいて説明する。
火災が発生すると同火災熱により熱くなった加熱面側Fの耐火ボード5の熱が鋼製スタッド2を経由して、非加熱面側Bの耐火ボード5へ伝達される。上記の点を防止するために、図2に示すように、鋼製スタッド2と下張り板3との間に不燃質材7を設置することが好ましい。前記不燃質材7はロックウール、セラミックファイバーブランケット、ガラス繊維混入セメント板などであり、接着剤等により上記鋼製スタッド2へ貼り付けられる。
【0021】
図3には図1と図2を併合して構成した乾式間仕切り壁構造1を示した。即ち、下張り板3の目地部30を相欠け継ぎ構造とし、且つ鋼製スタッド2と下張り板3との間に不燃質材7を設置する構成である。
上記の複合構成により、下張り板3の目地部30を通じて熱が入り込むことを最小限に抑制させると共に、鋼製スタッド2が加熱面側Fの下張り板3から熱を伝達されること又は非加熱面側Bの下張り板3へ熱を伝達することも確実に抑制させる相乗効果を実現し、耐火ボード5が本来持つ耐火性能を確実に発揮できる。もっては火災時の避難時間を十分に確保した安全性の高い構造物に寄与できるのである。
【0022】
上記下張り板3の相欠け継ぎと不燃質材7の配置関係として特に好ましいのは、クランク形状の相欠き継ぎの出口部の直下又は入り口部の直上(目地部30)に不燃質材7を備えた鋼製スタッド2が配置されることが好ましい。不燃質材7が前記目地部30の蓋若しくは吸収材として機能するからである。
【実施例3】
【0023】
また、本発明は図示することは省略したが、上述した下張り板3の目地部30に実施した、相欠け継ぎ構造と発泡性耐火材6の設置を、上張り板4の目地部40にも実施することが好適に実施される(請求項3記載の発明)。斯くすると、熱の入り箇所、排出箇所の重要な位置における耐火性能を十分に発揮するので、耐火時間を十分に確保して火災時の安全性をさらに高めることができる。
【0024】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変形、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため付言する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】Aは本発明に係る乾式間仕切り壁構造の実施例を示した平面図である。Bは目地部の接合部を拡大した平面図である。
【図2】鋼製スタッドに不燃質材を取り付けた一例を示した平面図である。
【図3】図1と図2を併合させた乾式間仕切り壁構造の一実施形態を示した平面図である。
【図4】従来技術を示した参考図である。
【符号の説明】
【0026】
1 乾式間仕切り壁
2 鋼製スタッド
3 下張り板
4 上張り板
5 耐火ボード
6 発泡性耐火材
7 不燃質材

特許の図
【出願人】 【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
【公開番号】 特開2008−2194(P2008−2194A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173963(P2006−173963)