トップ :: E 固定構造物 :: E04 建築物

【発明の名称】 ダンボール建築材及びダンボール建築材の組立方法
【発明者】 【氏名】柴田 良一
【氏名】纐纈 啓三
【課題】リサイクル性に優れた建築物に利用される高強度及び高耐久性を有するダンボール建築材を提供することを課題とする。

【構成】ダンボール建築材は、屋根パネル1、壁パネル、及び床部によってそれぞれ構成され、屋根パネル1は、全体が略二等辺三角形状を呈し、略台形状を呈する6つの領域にそれぞれ分割して形成されたパネル11、及び該パネル11のパネル縦辺縁11a同士を縦方向に沿って連結する広幅の縦連結部12と、パネル11の横辺縁11b同士を横方向に沿って連結する広幅の横連結部13とを具備して構成されている。また、壁パネルも同様に縦連結部が2本、及び横連結部13が1本設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンボール製の壁部、屋根部、及び床部を有する建築物を構成し、多角筒状の前記壁部及び多面ドーム状の前記屋根部の少なくともいずれか一方の一部として利用可能なダンボール建築材であって、
一枚のダンボール製のパネル体として構成され、
前記壁部の壁面または前記屋根部の屋根面に相当するパネル面を有し、少なくとも二つ以上の領域に区画されたパネルと、
前記パネルのパネル辺縁同士を連結する広幅のダンボール製のパネル連結部と
を有し、
前記パネル連結部は、
前記パネル連結部及び前記パネルが連結されたパネル辺縁、及び広幅の前記パネル連結部の中央部に沿って設定された折線に従って、それぞれ交互に折畳み、前記パネル連結部の連結面同士を互いに当接させることにより、前記壁部の前記壁面または前記屋根面に相当する前記パネル面から略直交方向に突設して形成される折畳突部と、
前記折畳突部の折畳状態を保持するための折畳保持手段と
を具備することを特徴とするダンボール建築材。
【請求項2】
前記折畳保持手段は、
前記パネル連結部の前記連結面に塗布され、互いの前記連結面同士を当接させることにより、折畳状態を保持可能な接着剤が利用されることを特徴とする請求項1に記載のダンボール建築材。
【請求項3】
前記パネルは、
少なくとも四つ以上の前記領域に区画され、
前記パネルのパネル縦辺縁同士を連結する縦連結部と、
前記縦連結部に直交し、前記パネルのパネル横辺縁同士を連結する横連結部と
を具備し、
前記縦連結部及び前記横連結部の交差する交点に多角形状の空孔部が穿設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダンボール建築材。
【請求項4】
同一線上に沿って配された一方の前記折畳突部の一端近傍、及び他方の前記折畳突部の他端近傍を架渡し、互いの前記折畳突部を双方向から挟込むようにして取付けられるダンボール製の補強連結具をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のダンボール建築材。
【請求項5】
ダンボール製の壁部、屋根部、及び床部を有する建築物を構成し、多角柱形状に配される前記床部の一部として利用可能なダンボール建築材であって、
多角筒状に形成されたダンボール製の筒枠体と、
前記筒枠体の枠高さに略一致する幅長を有する広幅のダンボール製の補強体と、
前記筒枠体の上端縁を被覆するように取付けられるダンボール製のパネル状の床面パネルと
を具備して構成され、
前記補強体は、
前記筒枠体の枠内に断面網目形状をなすように組合わされて充填されることを
特徴とするダンボール建築材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の一枚のダンボール製のパネル体として構成されるダンボール建築材の組立方法であって、
少なくとも二つ以上の領域に区画されたダンボール製のパネル及び互いに隣接する前記パネルのパネル辺縁同士を連結する広幅のダンボール製のパネル連結部を有するダンボール建築材を、一対の前記パネル辺縁及び中央部に沿って設定された折線に従って交互に折畳み、パネル面から直交方向に突設された折畳突部を形成する折畳突部形成工程と、
折畳保持手段を利用し、形成された前記折畳突部の折畳状態を保持する折畳保持工程と
を具備することを特徴とするダンボール建築材の組立方法。
【請求項7】
前記折畳保持手段は、
ダンボールを接着可能な接着剤であって、
前記折畳保持工程は、
前記パネル連結部の連結面に前記接着剤を塗布する塗布工程と、
塗布された前記パネル連結部の前記連結面を互いに当接させ、前記連結面同士を押当てる力を所定の時間、双方向から加えることにより接着させる接着工程と
をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載のダンボール建築材の組立方法。
【請求項8】
同一線上に沿って配された一方の前記折畳突部の一端近傍、及び他方の前記折畳突部の他端近傍を架渡し、互いの前記折畳突部を双方向から挟込むようにしてそれぞれの前記折畳突部にダンボール製の補強連結具を取付ける補強連結工程をさらに具備することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のダンボール建築材の組立方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンボール建築材及びダンボール建築材の組立方法に関するものであり、特に仮設住宅等として利用可能なダンボールを利用した建築物に主として採用されるダンボール建築材及び当該ダンボール建築材の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、台風、地震、火山の噴火、及び豪雪等の種々の自然現象によって、家屋の倒壊や生命に対する危険性が強くなった地域に対し、避難命令や避難勧告が国または地方自治体等の行政によって発せられることがある。このような場合、避難住民は、小中学校の体育館や公民館等の当該地域では比較的安全で、かつ多人数を一度に収容することのできる公共施設に避難し、一時的な集団生活(避難生活)を送ることがある。
【0003】
係る集団生活は、当該地域の乳幼児から高齢者に至る広幅い年齢層の人々を対象とするものであり、体育館等の床面に蒲団や毛布を敷詰めて個人(または各世帯)のスペースを確保している。そのため、各世帯毎に係るスペースをパーテーションなどで区切ることができず、常に周囲の人の視線に晒される結果となる。そのため、着替えなどの日常的な行動にも他人の視線を意識しなければならず、個人のプライバシーが確保されているとは言えない精神的なストレスの溜まりやすい劣悪な環境に置かれる場合もあった。また、起床時間や就寝時間等の各避難住民の生活リズムがバラバラであり、人の動きや話声が気になって十分な睡眠時間をとれない場合も多かった。そのため、避難生活の不安やプライバシーの確保などの精神的ストレス及び睡眠不足などの肉体的な疲労が蓄積し、些細なことで避難住民同士がトラブルを起こすようなこともあった。そのため、これらの集団生活は、自然災害の発生直後の短い期間で完了し、長期にわたる避難生活はプライバシー等の確保されたものにすることが必要であった。
【0004】
係る場合において、所謂「仮設住宅」の建設が自然災害の発生した地域の自治体の主導によって行われている。この仮設住宅は、各世帯毎に供給されるため、周囲の視線に晒されることがなく、これらに係る精神的なストレスを低減することができる。そのため、避難前の生活リズムを守ることができ、避難住民同士のトラブルの発生を抑制し、さらに避難住民の健康を保持することができるようになる。
【0005】
ここで、建築される仮設住宅は、予め工場等で資材の加工及び仮組立て等の工程を完了し、実際に設置される建築現場では、基礎への設置工事やガス、電気、上下水道等のライフラインの確保及び設置を主として行うプレハブ工法による住宅(プレハブ住宅)が一般的に利用されている。このプレハブ住宅は、従来の建築物に比べ、施工に係る期間を著しく短くすることができ、短期間で多くの仮設住宅を建築することができる優れたメリットを有している。
【0006】
ところで、従来の建築物に係る建築資材は、木造建築等の木質材料、或いはコンクリート住宅等に用いられるコンクリート資材及び鉄筋資材(金属材料)などが主として建築物に必要な十分な強度を確保するために用いられていた。一方、新たな建築物に係る建築資材として、上記材料と異なり、比較的軽量なダンボール(紙質材料)に屋外耐久性や多方向から加えられる荷重に対する強度等の各種特性を向上させる加工処理を行い、係る加工済みのダンボールを用いて建築するダンボール建築物に関する技術の開発も進められている。
【0007】
ここで、ダンボールは軽量性と優れた断熱性(低熱伝導性)を備える素材であり、これらの利点を生かした建築物が既に建築されている。例えば、上記特性を利用し、複数枚のダンボールを重合わせて積層し、互いを貼合わせることによって、建築物の外装材及び内装材として使用するダンボール建築物(特許文献1参照)、ダンボールのフルート方向を互いにクロスになるように積層し、さらに接合を容易にする接合フレームで周りを囲み、そして、樹脂等をコーティングすることによって、パネル状のダンボールの耐久性及び強度を著しく向上させた積層ダンボールパネルを用いた積層ダンボールパネル構造建築物(特許文献2参照)、或いは曲面状にダンボールを積層し、さらに表面をポリエステル樹脂等でコーティングした積層曲面ダンボールパネルを組合わせ施工された曲面ダンボールを用いた建築物(特許文献3参照)などが知られている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−62100号公報
【特許文献2】特開2001−193159号公報
【特許文献3】特開2000−352147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した自治体等によって建築される仮設住宅は、下記に掲げる問題を生じることがあった。すなわち、これらの仮設住宅(プレハブ住宅)を建築しようとする場合、各自治体にはこれらの自然災害に備えた仮設住宅用のストックがなく、予め契約した建築業者等に依頼する必要があり、これらに要する手続が煩雑だった。そのため、自然災害が発生してから施工の開始までに、最低でも1ヶ月程度は必要となることがあり、係る期間は避難住民に対し、体育館等での集団生活を課することが実情であった。さらに、上述したように、プレハブ住宅の多くは、木質材料或いは金属材料を主たる建築資材として利用するために、これらの建築資材の建築現場までの搬送するための荷積、及び搬送後の建築資材の積降しの際にクレーン等の重機が必要となることがあった。また、該重機の稼働には、専門的な技能を有するオペレータが必要となり、重機及びオペレータの手配など、さらには建築現場の選定など、施工までに解決しようとする問題が山積することがあった。
【0010】
また、自然災害の発生によって、応急的に集積された建築資材を利用して係るプレハブ住宅が建築されるため、各々の仕様にバラツキが生じ、各建築資材毎に施工方法が異なったりするなど、実際の建築現場の作業員でも混乱を生じることがあった。また、広さや居住性などの点で相違が生じ、入居した避難住民の間で不公平感を覚えるなどの問題が生じることもあった。
【0011】
さらに、建築された仮設住宅は、避難命令等が解除されると、避難住民はこれらの仮設住宅を離れ、自宅に戻ったり、或いは新たな生活の場所を求め、他所に引っ越すことが一般的である。すなわち、これらの仮設住宅は、災害直後から避難住民が日常生活に戻るまでの一時的な期間を過ごすためのものであり、避難命令等の解除後は不要となり、必然的に撤去する必要があった。この場合、取り壊して撤去するためにも多くのコストが必要となり、さらに取り壊された後に残る建築廃材は、リサイクル性に乏しいものが多く、埋め立てなどの廃棄コストの多く嵩むことが多かった。
【0012】
そこで、自治体等によって災害発生前にストックすることが比較的容易であり、また搬送や取付、さらには取壊しの際にも重機やオペレータを必要とすることがなく、例えば、災害地域に集まった災害ボランティア等の一般の人々などの手によって(人力によって)簡易に建築することが可能であり、かつ使用後には再利用することが可能なリサイクル性の高い建築資材を用いた建築物を期待する声が多かった。
【0013】
一方、上述した紙質材料のダンボールを利用した建築物は、リサイクル性等の店については優れているもの、いずれも強度等の特性を向上させるために、複数枚のパネル状のダンボールを積層し、貼合わせたものを用いることがほとんどであり、壁材等の建築材料自体の重量が従来の木質材料等と比してそれほど著しく減少するものではなく、人力等では建築することが困難なケースが大部分であった。
【0014】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、軽量性及び断熱性に優れるダンボールの特性を活かし、かつ災害ボランティア等の人力によって簡易に建築することが可能な、避難用の仮設住宅としての応用が期待でき、リサイクル性に優れたダンボール製の建築物に利用される高強度及び高耐久性を有するダンボール建築材及び当該ダンボール建築材の組立方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明のダンボール建築材は、「ダンボール製の壁部、屋根部、及び床部を有する建築物を構成し、多角筒状の前記壁部及び多面ドーム状の前記屋根部の少なくともいずれか一方の一部として利用可能なダンボール建築材であって、一枚のダンボール製のパネル体として構成され、前記壁部の壁面または前記屋根部の屋根面に相当するパネル面を有し、少なくとも二つ以上の領域に区画されたパネルと、前記パネルのパネル辺縁同士を連結する広幅のダンボール製のパネル連結部とを有し、前記パネル連結部は、前記パネル連結部及び前記パネルが連結されたパネル辺縁、及び広幅の前記パネル連結部の中央部に沿って設定された折線に従って、それぞれ交互に折畳み、前記パネル連結部の連結面同士を互いに当接させることにより、前記壁部の前記壁面または前記屋根面に相当する前記パネル面から略直交方向に突設して形成される折畳突部と、前記折畳突部の折畳状態を保持するための折畳保持手段とを具備する」ことを特徴としている。
【0016】
したがって、本発明のダンボール建築材によれば、パネルと該パネルを連結する広幅のパネル連結部とによって一枚のダンボール製のパネル体としてダンボール建築剤が構成されている。そのため、これらのダンボール建築剤を製造する場合、既存のダンボールの製造設備をそのまま流用し、所望の形状にカットするだけで製造することが可能となる。さらに、パネル辺縁及びパネル連結部の中央部に沿って設けられる折線も、従来の筐体状のダンボール箱等を製造する際に行われる折線加工処理と同様の処理を行うことによって可能となる。すなわち、製造に際し、特殊な設備を要したり、複雑な加工処理等を施す必要がなく、既存の設備及び技術により、本発明のダンボール建築材を容易に製造することが可能となる。
【0017】
そして、少なくとも二つ以上に区画された領域を有するパネルを、それぞれ互いに連結するパネル連結部の中央部の折線に沿って折畳み(例えば、山折り)、さらにこの広幅のパネル連結部と各々のパネルとが連結された一対のパネル辺縁に沿って折畳む(この場合、谷折り)。これにより、壁面または屋根面のパネル面に対して略直交方向に突設した折畳突部が形成される。そして、係る折畳突部の形状を保持するために、ボルト及びナット、或いはプラスチック製のリブ等の折畳保持手段を利用して、該折畳状態を保持する。その結果、本発明のダンボール建築材は、断面略T字形状を呈して組立てられることになる。そのため、パネル面に沿って、かつ広幅のパネル連結部(または折畳突部)の長手方向からの荷重に対し、断面略T字形状のダンボール建築材は、組立前の一枚のパネル体としてよりも遙かに強い抗力を有することになる。その結果、本発明のダンボール建築材を用い、例えば、壁部を構築した場合、特に強い荷重の加えられる可能性の高い、上方及び側方からの強度を飛躍的に向上させることが可能となり、前述したような複数のダンボールパネルを積層して形成された建築材と略同等或いはそれ以上の強度を有することが可能となる。加えて、一枚のパネル体から形成されているため、複数のダンボールパネルを積層したものに比して、単位重量当たりの強度は著しく高くなる。なお、折畳んで形成された折畳突部は、そのままの状態では元の状態に戻ろうとする復元力が働くため、従来から周知の固定手段、例えば、接着剤によって互いに重ね合わされたパネル連結部の連結面同士を貼合わせて固定するものや、折畳突部を貫通する貫通孔を設け、ボルト及びナットによって締結固定するもの、あるいは、ダンボール製の折畳突部を貫通するような先端が尖ったプラスチック製のリブを差し込んで固定するもの等、各種の締結具(固定手段)を採用し、当該折畳状態を保持するものを利用することが可能である。
【0018】
さらに、本発明のダンボール建築材は、上記構成に加え、「前記折畳保持手段は、前記パネル連結部の前記連結面に塗布され、互いの前記連結面同士を当接させることにより、折畳状態を保持可能な接着剤が利用される」ものであっても構わない。
【0019】
したがって、本発明のダンボール建築材によれば、折畳保持手段としてダンボールを接着固定する接着剤が用いられている。すなわち、前述したボルト及びナット等の従来から周知の技術的手段(固定手段)を用いることが可能ではあるものの、係る手段は、パネル連結部自体に孔を穿け、さらにそれぞれの箇所にボルト及びナットを締結固定するなど、多くの作業時間が必要となることが予想される。そこで、パネル連結部の連結面に接着剤を塗布し、互いの連結面同士を貼合わせ、貼着することにより、従来の固定手段よりも作業時間を著しく短縮することができる。さらに、速乾性の接着剤を用いることにより、連結面へ塗布し、連結面を圧着するようにするだけで容易に折畳状態を保持することができる。なお、接着剤の種類によるが、数秒から数分の間で強固に接着された折畳突部を形成することができる。また、貼着直後であれば、互いの連結面同士のずれなど、微妙な位置合わせを行うことができるため、形成される折畳突部及びダンボール建築材の寸法精度を高めることができる。ここで、使用する接着剤の種類は、特に、限定されないが、例えば、エチレン−酢ビ、酢ビ−エマルジョン、アクリル共重合、ビニル共重合エマルジョン、PVA等の種々の樹脂系接着剤から速乾性或いは接着性の良好なものを適宜選択して使用する、或いはこれらの中から複数を選択し、混合して使用するものであっても構わない。しかしながら、作業性及び入手容易性、及び作業時の安全性等を考慮し、一般にダンボールの接着に利用されている酢ビ−エマルジョン系の接着剤が特に好適と思われる。さらに、接着強度を高めるために、乾燥時の接着剤樹脂の接合強度を高めるための硬化剤、或いは添加剤を少量加えるものであっても構わない。また、上述の接着剤は、一液タイプの室温硬化型のものがほとんどであるが、エポキシ系やイソシアネート系等の二液硬化型や加熱硬化型の接着剤を用いるものであってもよい。
【0020】
さらに、本発明のダンボール建築材は、上記構成に加え、「前記パネルは、少なくとも四つ以上の前記領域に区画され、前記パネルのパネル縦辺縁同士を連結する縦連結部と、前記縦連結部に直交し、前記パネルのパネル横辺縁同士を連結する横連結部とを具備し、前記縦連結部及び前記横連結部の交差する交点に多角形状の空孔部が穿設されている」ものであっても構わない。
【0021】
したがって、本発明のダンボール建築材によれば、二つの折畳突部が縦方向及び横方向に少なくとも一カ所で交差するように設けられている。そのため、ダンボール建築材に加えられる上方(縦方向に相当)の荷重、及び側方(横方向に相当)の荷重のそれぞれに対するダンボール建築材の強度を著しく高めることが可能となり、ダンボール製の建築物に十分な強度を得ることができるようになる。さらに、縦連結部及び横連結部の交差する交点に設けられた多角形状の空孔部によって、それぞれの折畳突部を組立てる際に、折畳み箇所が干渉しあって、交差する折畳みが行えないような事態を防止することができる。なお、形成される空孔部の形状は、特に限定されないが、例えば、六角形状あるいは八角形状にすることにより、パネル連結部の交点及び折線と合わせることが可能となる。
【0022】
さらに、本発明のダンボール建築材は、上記構成に加え、「同一線上に沿って配された一方の前記折畳突部の一端近傍、及び他方の前記折畳突部の他端近傍を架渡し、互いの前記折畳突部を双方向から挟込むようにして取付けられる補強連結具」を具備するものであっても構わない。
【0023】
したがって、本発明のダンボール建築材によれば、折畳突部同士を連結する補強連結具を備えることにより、ダンボール建築材同士の強度をさらに高めることができる。すなわち、折畳突部を形成することによるダンボール建築材自体の強度の向上とともに、複数のダンボール建築材を連結した場合のダンボール建築材同士の強度を増すことができる。その結果、係るダンボール建築材を利用して建築される建築物全体の強度が高められることになる。ここで、補強連結具の一例を挙げると、一枚のダンボール製のパネル材から構成され、中央付近で折畳み、互いの折畳突部を挟込むようにしてそれぞれに取付けたものが示される。これにより、互いの折畳突部が縦方向または横方向に離間しようとする動きを抑え、折畳突部の距離を一定に保つことができる。
【0024】
さらに、本発明のダンボール建築材は、上記構成に加え、「ダンボール製の壁部、屋根部、及び床部を有する建築物を構成し、多角柱形状に配される前記床部の一部として利用可能なダンボール建築材であって、多角筒状に形成されたダンボール製の筒枠体と、前記筒枠体の枠高さに略一致する幅長を有する広幅のダンボール製の補強体と、前記筒枠体の上端縁を被覆するように取付けられるダンボール製のパネル状の床面パネルとを具備して構成され、前記補強体は、前記筒枠体の枠内に断面網目形状をなすように組合わされて充填される」ものであっても構わない。
【0025】
したがって、本発明のダンボール建築材によれば、床部が筒枠体、床支持片、及び床パネルによって構成されている。そして、床面パネルがダンボール製の筒枠体及び床支持片によって支えられているため、設置面から床面を浮いた状態とすることができる。その結果、地温が床面(床面パネル)に直接伝わることがないため、居住空間の室温が冷やされることがない。さらに枠高さ方向に配された複数の床支持片によって床面パネル全体が支持されるため、床部の強度を高めることができる。
【0026】
一方、本発明のダンボール建築材の組立方法は、「上記記載の一枚のダンボール製のパネル体として構成されるダンボール建築材の組立方法であって、少なくとも二つ以上の領域に区画されたダンボール製のパネル及び互いに隣接する前記パネルのパネル辺縁同士を連結する広幅のダンボール製のパネル連結部を有するダンボール建築材を、一対の前記パネル辺縁及び中央部に沿って設定された折線に従って交互に折畳み、パネル面から直交方向に突設された折畳突部を形成する折畳突部形成工程と、折畳保持手段を利用し、形成された前記折畳突部の折畳状態を保持する折畳保持工程と」を主に具備して構成されている。
【0027】
したがって、本発明のダンボール建築材の組立方法によれば、予め設定された折線に従って折畳部を折畳み、折畳突部を形成し、さらに係る折畳状態を保持するためのボルト及びナット、プラスチック製のリブ、或いはプラスチック紐状の締結具等の折畳保持手段を用いることにより、上述した一枚のパネル体に比べ、強度が著しくアップしたダンボール建築材を組立てることが可能となる。
【0028】
さらに、本発明のダンボール建築材の組立方法は、上記構成に加え、「前記折畳保持手段は、ダンボールを接着可能な接着剤であって、前記折畳保持工程は、前記パネル連結部の連結面に前記接着剤を塗布する塗布工程と、塗布された前記パネル連結部の前記連結面を互いに当接させ、前記連結面同士を押当てる力を所定の時間、双方向から加えることにより接着させる接着工程と」を具備するものであっても構わない。
【0029】
したがって、本発明のダンボール建築材の組立方法によれば、折畳保持手段として、ダンボール等の紙質材料を貼着可能な接着剤を用い、互いに当接される連結面の少なくとも一方に塗布し、その後、連結面同士を当接させることにより、連結部が折重なった折畳突部を接着することが可能となる。これにより、特殊な器具等を必要とすることがなく、建築に関する技術や経験のない一般の人々であっても容易に折畳突部を構築することが可能となり、ダンボールを利用したダンボール建築物の建築を楽に行うことができる。
【0030】
さらに、本発明のダンボール建築材の組立方法は、上記構成に加え、「同一線上
に沿って配された一方の前記折畳突部の一端近傍、及び他方の前記折畳突部の他端近傍を架渡し、互いの前記折畳突部を双方向から挟込むようにしてそれぞれの前記折畳突部にダンボール製の補強連結具を取付ける補強連結工程を」具備するものであっても構わない。
【0031】
したがって、本発明のダンボール建築材の組立方法によれば、補強連結具を同一線上に沿って配された二つの折畳突部の端同士を架渡すように取付けることにより、互いの折畳突部が離間しようとする方向、あるいは同一線上からずれる方向への移動が規制される。その結果、壁部を構成する壁パネル同士、あるいは屋根部を構成する屋根パネル同士、さらには壁パネル及び屋根パネルの連結をより強固なものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の効果として、ダンボールを主素材として利用した建築物(ダンボール建築物)に使用されるダンボール建築材、及びダンボール建築材の組立方法によれば、一枚のパネル体からなるダンボールを折線に従って折畳み、パネル面から略直交方向に突出する折畳突部を設けることにより、ダンボール建築材の強度を著しく高めることができる。その結果、従来のように、複数枚のダンボールを積層して強度を増すようにしたものに比べ、軽量性に優れ、かつ同等以上の強度を有する建築物を建築することができる。また、折畳突部は、予め設定された折線に沿って、一枚のダンボール性のパネル体を交互に折曲げることによって形成され、かつ折畳突部の折畳状態を保持するための折畳保持手段として、接着剤を利用することにより、ダンボール建築材の製造コストを抑え、かつダンボール建築材を利用した壁部等の構築を簡易に行うことができる。その結果、建築に係る専門的な知識を有しない人(例えば、災害ボランティア等)であっても簡単にダンボールを利用した建築物を構築することが可能となる。さらに、接着剤等の折畳保持手段に加え、同一線上に沿って配された各折畳突部同士を補強連結具によって架渡し、連結することにより、過剰な力が加えられた場合であっても十分な強度を有し、建築物としての使用に耐えうることができる。
【0033】
加えて、床部に採用されるダンボール建築材は、基礎となる設置面から床部の床面パネルが、筒枠体の枠高さ(補強体の幅長に相当)の分だけ上方位置に設けられている。そのため、床面パネルと設置面との間に空気の層が形成されることになり、地面から伝達する熱の影響を受けることがない。すなわち、断熱効果を高めることができる。さらに、筒枠体の枠内に網目形状をなすように組合わせて充填されたダンボール製の補強体によって、床面パネルに上方から荷重が加わった場合でも、筒枠体及び該補強体によって係る荷重を支持することができる。その結果、建築物の室内で複数の人間が生活を送るための十分な強度を備えることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態である屋根パネル1、壁パネル2a等、及び床部材3a等、及び、これらの組立方法の実例について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、屋根パネル1、壁パネル2a等、及び床部材3a等が本発明のダンボール建築材に相当する。ここで、図1は本実施形態の屋根パネル1等のダンボール建築材を利用して建築される建築物5の外観構成を示す斜視図であり、図2は建築物5の構成を示す分解斜視図であり、図3は屋根パネル1の構成の一例を示す正面図であり、図4は壁パネル2の構成の一例を示す正面図であり、図5は屋根パネル1の折畳突部11の構成を示す拡大斜視図であり、図6は(a)正方形床部材3a、(b)三角形床部材3bのそれぞれの構成を示す説明図である。
【0035】
ここで、本発明の三種のダンボール建築材を利用して建築される建築物5について、さらに詳述すると、図1及び図2に示すように、建築物5は、予め設置面にコンクリートを流込んで固めることによって敷設し、形成された正八角形状の基礎部6の上に構築されるものについて例示している。そして、建築物5は、それぞれ形状の異なる三種類のダンボール製の壁パネル2a,2b,2cを計8枚利用し、基礎部6の外周形状に沿って各辺から垂設するように配された八角筒状の壁部7と、8枚の屋根パネル1を利用して構築され、壁部7の上端縁8と連結することにより、壁部7の上方を覆うようにするとともに、頂点付近が上方に突出した八面ドーム状の屋根部9と、複数の多角形状の床部材3a等を組合わせて敷設し、基礎部6の形状に一致するように配された正八角形状の床部10とによって構成されている。なお、前述したように、屋根パネル1、壁パネル2a等、及び床部材3a等は、いずれもダンボール製の素材から構成されているものである。そして、これらを個々に連結することにより、全体として建築物5が形成されることとなる。ここで、屋根パネル1、壁パネル2a等、床部材3a等が本発明のダンボール建築材に相当する。
【0036】
さらに詳細に説明すると、屋根部9は、図2及び図3に示すように、ダンボール製のパネル体からなる8枚の屋根パネル1を互いに連結することによって構築されている。すなわち、屋根パネル1は、図3に示すように、全体が略二等辺三角形状を呈し、建築物5の屋根面に相当し、それぞれ略台形状の6つの領域に分割されたパネル11、及び該パネル11のパネル縦辺縁11a同士を縦方向(図3における紙面縦方向に相当)に沿って連結する広幅の縦連結部12と、パネル11の横辺縁11b同士を横方向(図3における紙面横方向に相当)に沿って連結する広幅の横連結部13とを有して構成されている。なお、縦連結部12は、屋根パネル1を左右に二分割するように屋根パネル1のパネル幅の中心に沿って1本が設けられ、同様に横連結部13も屋根パネル1を上下に二分割するようにパネル高さの中心に沿って一本が設けられている。
【0037】
そして、各々の連結部12,13は、各パネル11との境界に相当する一つのパネル縦辺縁11a、あるいは一対の横辺縁11bの間の中央部に予め折線15が設定されている。ここで、パネル縦辺縁11a及びパネル横辺縁11bが本発明のパネル辺縁に相当する。そして、縦連結部12及び横連結部13が直交するように交差した交点には、六角形状の空孔部16が穿設されている。さらに、屋根パネル1には、互いに隣接する屋根パネル1同士を連結し、建築物5の情報に対して頂点方向を突出するような八面ドーム状の屋根部9を構築するために、二等辺三角形の一対の等辺に相当する等辺縁17からそれぞれ横(幅)方向に延設された等辺縁辺18と、後述する壁部7と連結するために用いられ、二等辺三角形の底辺に相当する底辺縁19から延設された壁用連結片20とをさらに具備して構成されている。なお、等辺縁辺18は、屋根パネル1が横連結部13によって高さ方向が二分割されているため、片側に二つずつ設けられている。
【0038】
一方、壁部7は、図2及び図4に主として示すように、前述した3種類の壁パネル2a,2b,2cを計8枚利用することによって構築されている。ここで、壁パネル2a等について、さらに詳細に説明すると、建築物5の内部に形成される居住空間21に居住者(使用者)が入退出を行うための出入口として機能する大きな開口が設けられた開口部22を有する出入口用の壁パネル2a(=1枚)と、居住空間21の中に生活に必要となる電気・ガス・水道等のライフラインの各種配管を通すための配線/配管孔23及び居住空間21と外気との空気の入替を行うための換気孔24がそれぞれ斜め上方位置に設けられた配線/配管/換気用の壁パネル2b(=4枚)と、居住空間21の中にいる居住者が外部の様子を確認若しくは視認するために開口され、プラスチック製の半透明の窓部25が開閉自在に取付けられる窓口部26を備える窓用の壁パネル2c(=3枚)とから構成されちえる。なお、図4においては、壁パネル2a等の代表例として、配線/配管孔23及び換気孔24を有する壁パネル2bを図示し、その他の壁パネル2a,2cについては、図2の分解斜視図において外観構成を図示している。
【0039】
この壁パネル2a等は、上述の屋根パネル1と同様に広幅の縦連結部12及び横連結部13によって6つの長方形状の領域に分割されたパネル11を備えている。さらに、パネル11と連結部12,13の境界に相当する一対のパネル縦辺縁11a及び一つの横辺縁11bの中央部には、予め折線15が設けられ、それぞれの連結部12,13の交差する交点には、六角形状の空孔部16が屋根パネル1と同様に設けられている。すなわち、壁パネル2a等の構成は、全体が略二等辺三角形状を呈する屋根パネル1に対し、全体が略長方形状を呈している点、及び、屋根パネル1が略台形状のパネル11によって四つの領域及び縦横それぞれ1本の連結部12,13で形成されていたのに対し、壁パネル2b等は、略諜報形状のパネル11によって六つの領域及び1本の縦連結部12、及び2本の横連結部13で形成されている点については、若干異なるもののほぼ同一構成によって形成されている。なお、壁パネル2a等には、その他構成として、隣接する壁パネル2a等と接続し、8枚の壁パネル2a等によって八角筒状の壁部7を構築するために、それぞれの側辺縁27から延設された一対の側辺縁片28、屋根部9の屋根パネル1の壁用連結片32と連結するために上端縁8から延設された屋根用連結片29、及び設置面に形成されたコンクリート製の基礎部6に壁部7を固定するための壁底縁30から延設された基礎固定片31とを有して構成されている。
【0040】
ここで、壁パネル2a等のその他の付属構成としては、出入用の壁パネル2aの外面側に開口部22の開口縁(図示しない)に沿って両面テープ(図示しない)を用いて取付けられ、開口部22を開閉状態とするためのビニール製のシート状の扉部32を備えている。そして、扉部32の中央付近に設けられたファスナーの操作部(図示しない)を上下に摺動させることにより、扉部32を開状態または閉状態とすることができ、居住空間21への進入及び居住空間21からの退出が可能となる。
【0041】
また、床部10は、図2及び図6に示すように、正方形状を呈し、中心付近に集積して配される4個の正方形床部材3aと、長方形状を呈し、集積した4個の正方形床部材3aの周囲にそれぞれ4個または2個ずつ配される計14個の長方形床部材3bと、直角二等辺三角形状を呈し、前述した長方形床部材3bの長手方向の長さの2倍に相当する直角対角辺、及び長方形床部材3bの短手方向の長さの2倍に相当し、互いに直交し、前述の直角対角辺を挟む二つの挟辺を有する三角形床部材10とを有し、これらを組合わせ正八角形状に構築している(図2参照)。なお、壁パネル2aに相対する部分には、図2に示すように、2個分の長方形床部材3bに相当する範囲が除去され、基礎部6が直接視認できるように露出した状態となっている。これにより、居住空間21に靴を脱いであがる際の玄関部14が基礎部6と床部10との段差によって形成されている。
【0042】
さらに、各床部材3a等の構成について詳述すると、図6(a)に示すように、正方形床部材3aは、正方形の筒状に形成された筒枠体33と、該筒枠体33の枠内に、断面網目状にして充填される補強体34と、筒枠体33の上方から被せられ、建築物5の床面として機能する床面パネル35とを具備して構成されている。ここで、筒枠体33、補強体34、及び床パネル35は、いずれもダンボールから構成されている。そして、広幅の補強体34の幅長さは、筒枠体33の枠高さと一致するため、筒枠体33の枠内に充填された補強体34は、筒枠体33の上端と補強体34の上端とがほぼ一定となる。なお、充填される補強体34は、複数の広幅のダンボールの所定の箇所に各々切込みを設け、該切込みを互いに組合わせることによって、図6(a)等に示すような網目状の構造を形成している。
【0043】
そして、筒枠体33の下端は、基礎部6と接し、上端側にダンボール製の床面パネル35が載置されている。すなわち、居住空間21における床面に相当する床面パネル35は、基礎部6の位置から筒枠体33の枠高さ分(補強体34の幅長さに一致)だけ、上方の位置に設定されていることになる。そのため、設置面から床面パネル35に伝達される熱が、床面パネル35と基礎部6との間の筒枠体33の枠内の空間による空気層によって緩和される。その結果、特に冬期等において居住空間19の温度と外気温との差が著しい場合であっても設置面(地面)から基礎部6を通じて伝達される冷たい熱が、当該空気層によって遮断されるため、居住空間19を暖かく保つことができる。さらに、該空気層によって湿気が直接居住空間に進入することを防ぐことができる。すなわち、優れた断熱効果とともに脱湿気効果を有することとなる。さらに、広幅の補強体34を網目状に組合わせ、筒枠体33の枠内に充填したことにより、床面パネル35の支持が、筒枠体33の上端の枠周36の部分のみならず、筒枠体33の中央部でも支持が可能となっている。その結果、床面パネル35の上方から強い荷重が加えられたとしても、枠周36及び補強体34によって当該荷重を分散して支持することができ、補強体34が存在しない場合に比べて大きな荷重に抗することができるようになる。そのため、居住空間19内で数人程度の大人が生活するために十分な強度を床部10は有することとなる。なお、三角形床部材3c(図6(b)参照)、及び長方形床部材3b(図示しない)も同様の手法によって構築されている。
【0044】
次に、本実施形態の屋根パネル1及び壁パネル2a等のダンボール建築材の組立方法の一例について説明する。なお、説明を簡略化するために、屋根パネル1から屋根部9を設ける例について行うものとする。まず、準備された複数(8枚)の屋根パネル1の中から一つを選び、屋根パネル1のパネル11の境界にあたるパネル縦辺縁11a、及び縦連結部12の中央位置の折線15に沿って折曲げる。ここで、パネル縦辺縁11aは、建築物5として形成した場合の外面に相当する位置を基準にすると所謂「山折り」を行い、折線15は「谷折り」を行う(折畳突部形成工程)。これにより、縦連結部12によって分割された左右のパネル11同士が互いに密接し、縦連結部12に相当する箇所が、建築物5の内側(居住空間21)の方向に突出し、縦方向に一列に並んだ折畳突部37が形成される。
【0045】
そして、上記と同様の折畳作業を2本の横連結部13に対しても実施する。このとき、縦連結部12と直交する横連結部13との交点に六角形状の空孔部16が設けられている。そのため、縦連結部12が折畳まれ、縦方向に沿って折畳突部37が一列に並んで形成された場合であっても、該空孔部16によって折畳突部37による干渉を受けることなく、横連結部13を折畳むことができる。その結果、居住空間21の側から観察すると、折畳突部37の一端が互いに接し、”十字形状”になったものが観察される(図4参照)。
【0046】
このとき、それぞれの縦連結部12及び横連結部13の連結面50には、ダンボール接着用の酢酸ビニル−エマルジョン(酢ビ−エマルジョン)系の白色の接着剤51が均一になるように塗布されている(塗布工程)。そして、縦連結部12及び横連結部13をそれぞれ折畳むことにより、互いの連結面50同士が当接し、密着する。このとき、折畳突部37を両方向から挟込むように力をさらに加え、数十秒から数分程度、この状態を保持することにより、接着剤51が乾燥し、連結面50同士の接着が完了する(接着工程)。その結果、両方向から挟込むような力を解除しても折畳突部37は、そのまま折畳まれた状態を保持することとなる。この場合、屋根パネル1は、ダンボールによって構成されているため、その表面のパネル面11(屋根面に相当)及び連結面50には、無数の微細孔(図示しない)が形成されている。そのため、該連結面50に接着剤51を塗布し、互いを当接させることにより、塗布された接着剤の一部が当該微細孔に侵入し、その状態で乾燥し、固化することになる。その結果、所謂「アンカー効果」を獲得し、接着剤51自体の接着力による強度とともに、アンカー効果によるさらなる強度の向上が図られる。これにより、通常の使用における耐久性をより高くすることができる。
【0047】
なお、接着して数秒程度は、十分な接着力を発揮する迄には至っていないため、折畳時の連結面50の位置ずれなどを僅かな力を加えることにより、修正することができる。そのため、ボルト及びナット等の従来から周知の固定手段(折畳保持手段に相当)に比べ、折畳突部37を形成する際に予め要求される精度(孔穿け位置など)を抑え、建築する実際の現場での修正が容易となっている。その結果、ボランティアスタッフ等の素人であっても、特別な知識や技術を有することなく建築が可能となる。なお、上記塗布工程及び接着工程が折畳保持工程に相当する。また、係る折畳保持工程は、前述したように、折畳突部形成工程と同じタイミングで進行することになる。さらに、ボルト及びナット、或いはプラスチック製のリブ等を使用する周知の固定手段に比べ、折畳突部37の形成から、折畳状態の維持に要する作業時間を著しく短縮することができる。なお、接着剤51を利用した接着強度は、十分に強固なものであり、本発明のダンボール建築材を利用して建築物を建築した場合であっても所定基準以上の強度を有している。さらに、乾燥後の酢ビ−エマルジョン系の接着剤51は、耐水性及び耐候性に優れた接着剤を使用することにより、屋外での使用時であっても問題のない程度の強度を有することになる。また、使用後に仮に焼却処分等をする場合であっても有害なガスを発生させることがなく、地球環境に対する影響も小さい。
【0048】
さらに、互いに一直線上に並んだ二つの縦連結部12同士または横連結部13同士を連結するためのダンボール製の補強連結具40の取付けを合わせて行う(補強連結工程)。さらに詳細に説明すると、ダンボールによって二層に形成された折畳突部37を貫通するように取付孔41を設ける。そして、該取付孔41と開孔位置を一致させた貫通孔42を有する補強連結具40を二つの縦連結部12等に架渡すようにして配する。そして、互いの位置を合わせた取付孔41及び貫通孔42にボルト38のボルト軸43を折畳突部37の一面から挿入し、他面から突出したボルト軸43の先端とナット39を螺合させ、ボルト38及びナット39による締結を行う。これにより、二層のダンボールからなる折畳突部37の折畳状態が保持されるとともに、合わせて補強連結具40の取付が可能となる。なお、折畳突部37の形成された屋根パネル1のパネル11のパネル縦辺縁11aまたはパネル横辺縁11bが密着した箇所、すなわち、折畳突部37の根本側に相当する箇所に両面テープ及びガムテープ(いずれも図示しない)を積層するように貼着し、パネル11同士の連結強度を高めるような補強をするものであっても構わない。なお、補強連結具40の取付けを従来のボルト38及びナット39を用いるものを示したが、上述の連結面50と同様に接着剤51を用い、補強するものであっても構わない。これにより、さらに工程の簡素化が図られる。
【0049】
上記作業を8枚の屋根パネル1に対してそれぞれ行い、さらに屋根パネル1のそれぞれの等辺縁17から延設された等辺縁片18同士を上記と同様に接着剤51を利用して接着することにより、8面ドーム状の屋根部9を形成する(図2参照)。
【0050】
さらに、同様に、本実施形態のダンボール建築材の壁パネル2a等を上述した屋根パネル1を組立てる。これにより、折畳突部37がそれぞれの壁パネル2a等に対して設けられる。その後、互いに隣接する壁パネル2a等同士を側辺縁片28を利用して連結することにより、八角筒状の壁部7を形成することができる。なお、係る連結は、上記と同様にボルト38及びナット39の固定手段を用い、ダンボール製の補強連結具40を用いて補強されている。
【0051】
その後、構築された壁部7の壁底縁30から延設された基礎固定片31を利用し、壁部7を基礎部6にコンクリート釘等を用いて固定し、さらに壁部7の上端縁8から延設された屋根用連結片29と、屋根部9の壁用連結片32とを固定することにより、屋根部9と壁部7とを固定する。なお、屋根部9及び壁部7の固定には、上述した接着剤51が用いられる。
【0052】
なお、屋根部9と壁部7とを連結する前に、前述した正方形床部材3a等の複数の多角形状の床部材を利用し、正八角形状に構築可能な床部10を基礎部6の上に敷設するものであってもよい。
【0053】
さらに、ダンボールからなる建築物5のその他の構成として、基礎部6の周囲の地面に八角形状の壁部7の頂点から放射方向に延長された位置に埋設されたロープ締結部(図示しない)、屋根部9を被覆するシート部44、及びシート部44のシート辺縁45の一端及びロープ締結部48とを接続し、シート部44を張設するロープ46を有する屋根シート47や、壁部7の下端近傍に巻装された防水シート49の構成を有している。これにより、屋根部9が雨水に晒されることを回避し、また、壁部7の下端から湿気等が居住空間21に浸入するのを防ぐことができる。
【0054】
上記に示したように、本実施形態の屋根パネル1、壁パネル2a等、及び床部材3a等のダンボール建築材を利用することにより、ダンボールを主たる建築材料として利用した建築物5を建築することができる。特に、屋根パネル1や壁パネル2a等は、折畳突部37を形成可能な縦連結部12及び横連結部13を備えることにより、縦方向及び横方向から加えられる荷重に十分抗する強度を有することができる。すなわち、折畳突部37の形成によって、断面T字形状の箇所が設けられることになり、係る断面T字形状の箇所に上方から荷重が加えられたとしても、一枚のパネル状(平板状)のダンボールで支えるよりも遥かに強い荷重に対して抗することができるようになる。そのため、従来のように、複数枚のダンボールを積層し、建築材料自体の重量が嵩むことがなく、軽量、かつ高強度のダンボール建築材とすることができる。また、係る折畳突部37の形成も一枚のダンボールパネルを規定された折線15及びパネル縦辺縁11a等で谷折り及び山折りを交互に行うことで容易に形成され、かつ、係る折畳状態の保持もボルト等の既存の固定保持手段によって比較的簡易に行うことができる。その結果、建築物5の建築に特殊な技能を有することがなく、建築に係る作業経験の乏しい素人(災害ボランティア等)であってもすぐに建築を行うことができる。
【0055】
さらに、折畳突部37同士を連結する補強連結具40を設けることにより、折畳突部37の長手方向に直交する方向から荷重が加えられ、折畳突部37同士が互いに離間しようとする力が作用した場合であっても該補強連結具40によって係る離間状態を防ぐことができる。その結果、建築物5の強度が増し、かつ建築物5が不用意に変形することがない。
【0056】
また、基礎部6の上に敷設される床部10が、正方形状、長方形状、及び三角形状等の複数の多角形状を呈し、筒枠体33の内部の空間によって空気層が形成された床部材3a,3b,3c等を用い、基礎部6の形状に略一致するように設けられている。そのため、基礎部6を通じた熱の伝達を抑え、冬期における居住空間21の室温の低下や下記における室温の上昇を防ぐことができる。
【0057】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0058】
すなわち、本実施形態の屋根パネル1等のダンボール建築材及びその組立方法において、正八角筒状の壁部7及び八面ドーム状の屋根部9を有する建築物5を建築するものを例示したが、これに限定されるものではなく、その他の形状の建築物を本発明のダンボール建築材及び組立方法により構築するものであっても構わない。また、屋根パネル1及び壁パネル2a等を独立して形成するものを示したが、これに限定されるものではなく、屋根パネル及び壁パネルを一体に形成した屋根・壁パネルを用いるものや、屋根パネルと壁パネルの一部とを一体化したダンボール建築材を利用するものであっても構わない。これにより、実際の建築現場での作業量を少なくすることができ、作業時間を大幅に短縮することができるようになる。
【0059】
さらに、本発明のダンボール建築材において、折畳突部37の折畳状態を保持するための折畳保持手段として、速乾性の接着剤51を用いるものを示したが、これに限定されるものではなく、上述した補強連結具40の取付用に用いたボルト38及びナット39、或いはプラスチック製のリブ等の周知の固定手段を用いることも可能である。また、折畳突部37の数を各パネル1等に対して縦方向に一列、及び横方向に1列または2列設けるものを示したがこれに限定されるものではなく、建築物5に対して要求される強度に応じ、係る列数は適宜設定することが可能である。すなわち、縦方向に複数列の折畳突部37を設けることにより、建築物に上方から加えられる荷重に対する抗力が増し、横方向に複数列の折畳突部37を設けることにより、側方から加えられる荷重に対する抗力が増加することになる。さらに、縦方向及び横方向のそれぞれの折畳突部37の交点X(図5参照)の数が必然的に増加することとなり、パネル1等の全体の強度も増すことになる。なお、折畳突部37の保持及び補強連結具40の連結等を、前述のボルト38及びナット39等によって行うことにより、一度、建築したダンボール製の建築物5を解体し、再び別の場所に移動して再建築することもできる。そのため、リサイクル性に優れたものとすることができる。しかしながら、前述したように、避難生活を送る住民の不安を一刻も早く解消するために、一度に複数の建築物5を建築しようとする場合、作業工数の減少及び作業時間の短縮が主要な課題となるため、本実施形態で示したように、主に接着剤を使用するものが特に好適と思われる。なお、本発明において、”ダンボール建築材”或いは”ダンボール”と表記するものを示したが、一般に”段ボール建築材”或いは”段ボール”と表示する場合もあり、これらの表記はいずれであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態の屋根パネル等のダンボール建築材を利用して建築される建築物の外観構成を示す斜視図である。
【図2】建築物の構成を示す分解斜視図である。
【図3】屋根パネルの構成の一例を示す正面図である。
【図4】壁パネルの構成の一例を示す正面図である。
【図5】屋根パネルの折畳突部の構成を示す拡大斜視図である。
【図6】(a)正方形床部材、(b)三角形床部材のそれぞれの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 屋根パネル(ダンボール建築材)
2a,2b,2c 壁パネル(ダンボール建築材)
3a 正方形床部材(ダンボール建築材)
3b 長方形床部材(ダンボール建築材)
3c 三角形床部材(ダンボール建築材)
5 建築物
7 壁部
8 上端縁
9 屋根部
10 床部
11 パネル面(屋根面、壁面)
11a パネル縦辺縁
11b パネル横辺縁
12 縦連結部(パネル連結部)
13 横連結部(パネル連結部)
15 折線
16 空孔部
33 筒枠体
34 補強体
35 床面パネル
36 枠周
37 折畳突部
40 補強連結具
50 連結面
51 接着剤(折畳保持手段)

特許の図
【出願人】 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】306008573
【氏名又は名称】株式会社佐合木材
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
【公開番号】 特開2008−2184(P2008−2184A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173522(P2006−173522)