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【発明の名称】 通気性断熱複合パネル、及び該複合パネルを張設した鉄筋コンクリート外断熱建物の外壁構造
【発明者】 【氏名】丹 征吉
【氏名】櫻庭 高光
【課題】軽量化、広幅化の可能な外断熱通気性複合パネルを用いて、鉄筋コンクリート外断熱建物を、型枠組み施工も、複合パネル相互の上下、左右接合作業も、複合パネルの、上下接合部及び窓枠上下部での通気機能確保も、作業性良く実施する。

【構成】発泡プラスチック系断熱層1Bの層着面1Sに通気用縦条溝Gと肉厚部1Cとを交互に平行配置し、層着面1Sに成形薄剛板を層着した通気性断熱複合パネル1をコンクリート外壁型枠FWの捨型枠に採用し、上下複合パネル1の横目地dx部での断熱層1B相互の衝合当接により、通気用条溝G群の当接形態を確保し、慣用のバッカー12B及びシーリング12の横目地dxへの付与により、外壁全面の、腰水切から笠木までの上昇空気流aによる換気を可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート外断熱建築物に用いる乾式密着型の通気性断熱複合パネルであって、発泡プラスチック系断熱材の板状断熱層(1B)に、成形薄剛板の外装下地材(1A)を層着したものであり、断熱層(1B)は、層着面(1S)に、通気用条溝(G)群と層着用の肉厚部(1C)とを、縦方向に、交互に、平行に備え、両側は肉厚部(1C)であり、且つ、肉厚部(1C)が断熱層(1B)の層着面(1S)の50〜60%の面積を占めている通気性断熱複合パネル。
【請求項2】
断熱層(1B)の幅(BW)と、外装下地材(1A)の幅(AW)は等幅であり、断熱層(1B)の高さ(Bh)は、外装下地材(1A)の高さ(Ah)より大であり、幅方向には、断熱層(1B)が一側で小段差(d1)突出し、他側で小段差(d1)入り込んでおり、高さ方向には、断熱層(1B)が、上端で大段差(d3)突出し、下端で小段差(d2)入り込んでいる、請求項1の複合パネル。
【請求項3】
外装下地材(1A)は、厚さ(T2)が、12〜13mm で、比重が0.8〜1.1で、曲げ強度が100〜120kg/cmである、請求項1又は2の複合パネル。
【請求項4】
断熱層(1B)は、厚さ(T3)が75mm であり、条溝(G)の深さ(Gd)が12〜16mm であり、条溝(G)の幅(a1)が50mm である、請求項1乃至3のいずれか1項の複合パネル。
【請求項5】
断熱層(1B)は、幅(BW)が900mm で、幅(BW)を3分割した300mm 幅の、右側域(RB)及び左側域(LB)では、50mm の条溝幅(a1)と、条溝幅(a1)と同寸の幅(a2)を備えた肉厚部(1C)とを交互に、且つ最外端域が肉厚部(1C)となるように配置し、幅300mm の中央域(CB)では、50mm 幅(a1)の条溝(G)の2本を、200/3mm の幅(a3)の肉厚部(1C)間に、等間隔に配置した、請求項1乃至4のいずれか1項の複合パネル。
【請求項6】
断熱層(1B)の適所に、各縦方向条溝(G)群を連通する横断条溝(G´)を貫通配置した、請求項1乃至5のいずれか1項の複合パネル。
【請求項7】
請求項1記載の通気性断熱複合パネル(1)を、コンクリート外壁(W)に張設した鉄筋コンクリート造外断熱建物の外壁構造であって、各複合パネル(1)相互の、左右接続、及び上下接続は、断熱層(1B)相互の衝合により接続し、コンクリート基礎立上り部(5)の外面に張設した、腰水切配置用の基礎複合パネル(1´)の外装下地材(1A)上端と、上方複合パネル(1)の外装下地材(1A)下端とに亘って、所定間隔で、差渡し配置した取付板片(14)を介して、腰水切(15)を、複合パネル(1)の条溝(G)群へ空気流入可能に配置すると共に、笠木金具(10A)を、複合パネル(1)の外装下地材(1A)上端に固定したブラケット(10B)への係止と、笠木金具(10A)の下段水平板(D10)の、パラペット(P)のコンクリート上面へのネジ(Sc)固定との前後2点支持で、複合パネル(1)の条溝(G)群からの空気流出可能に配置して、腰水切(15)からの上昇空気流(a)を、条溝(G)群を介して笠木金具(10A)から放出するようにした、外壁構造。
【請求項8】
基礎複合パネル(1´)は、条溝(G)の無い断熱層(1B´)と外装下地材(1A)との層着パネルであって、上端で、断熱層(1B´)が大段差(d4)突出し、断熱層(1B´)の大段差突出部前面は、小段差(d2)残して、上方の複合パネル(1)の条溝深さ(Gd)と同寸深さの切欠(11G)を、横方向全幅に亘って備え、取付板片(14)を、上方の複合パネル(1)の外装下地材(1A)の下端辺(ed)と基礎複合パネル(1´)の外装下地材(1A)の上端辺(eu)とに、差渡し状にネジ固着し、底板(15D)に空気孔(H15)を備えた腰水切(15)を取付板片(14)に嵌着係止した、請求項7の外壁構造。
【請求項9】
取付板片(14)は、取付孔(H14)を備えた水平上片(14U)と、取付孔(H14)を備えた水平下片(14D)と、背板(14F)とを備えた断面コ字形片であり、水平上片(14U)の下部、及び水平下片(14D)の上部には、係合溝(14G)を備えている、請求項8の外壁構造
【請求項10】
腰水切(15)は、傾斜天板(15U)と、立下り板(15F)と、立下り板下端から水切片(15C)を残して後方に延出する底板(15D)とを備え、底板(15D)には所定間隔で空気孔(H15)を配置し、且つ、傾斜天板(15U)の後端からは上方に、底板(15D)後端からは下方に、それぞれ、突起片(15A)を屈曲突出している、請求項8の外壁構造。
【請求項11】
窓等の外壁開口部(29)の、下側に位置する複合パネル(1)の上部、及び上側に位置する複合パネル(1)の下部には、条溝(G)群を横断連通する横断条溝(G´)を配置して、条溝(G)群の空気流(a)が開口部(29)を迂回貫流可能とした、請求項7乃至10のいずれか1項の外壁構造。
【請求項12】
外壁開口部(29)の上側に位置する複合パネル(1)の下端面には、下面外装下地材(1A´)及び外装仕上材(2)を配置し、下面外装下地材(1A´)及び外装仕上材(2)を貫通する空気孔(H29)を、下方から条溝(G,G´)に連通配置した、請求項11の外壁構造。
【請求項13】
複合パネル(1)相互の上下接続部に生じた外装下地材(1A)間の横目地(dx)間隔には、断熱層(1B)の肉厚部(1C)にバックアップ材(12B)を当接延展配置して各条溝(G)の前面を閉止し、バックアップ材(12B)の前面をシーリング(12)で充填した、請求項7乃至12のいずれか1項の外壁構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート外断熱建物の構築に、外壁の外側枠板として用いてコンクリート壁と一体化する、乾式密着型の通気性断熱複合パネルと、該複合パネルで構築した、鉄筋コンクリート造外断熱建物の外壁構造、とに関するものであって、建築の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の外断熱建築物は、コンクリート躯体の外側を断熱層で被覆するため、太陽日射での熱ストレスによるコンクリート躯体のひび割れが抑制出来ること、コンクリート躯体が外気に接触しないために、コンクリートの中性化が抑制出来て鉄筋棒鋼の腐蝕が抑制出来、建物の耐久性が向上すること、更には、建物内の温度環境が維持出来ると共に、建物内の結露発生が抑制出来、カビ、ダニの発生が抑制出来て健康面でも優れているため、省エネルギーの高性能建物として評価されている。
【0003】
そして、出願人は、鉄筋コンクリート造の外断熱建築物を合理的に構築するために、図10に示す従来例1(特許文献1)の通気性断熱複合パネルを開発し、且つ、該複合パネルを用いて鉄筋コンクリート造の外断熱建築物を、従来例2(図11)の形態で施工実施している。
即ち、従来例1の通気性断熱複合パネルは、図10(A)に示す如く、通気用の条溝を内面に備えた板厚25mm の押出成形セメント板を、板厚75mm の断熱材と層着して、条溝を上下貫流通気層としたものであり、セメント板幅が490mm で、断熱材幅が500mm で、セメント板は、一側端縁が小段差(10mm )突出し、他側端縁が大段差(20mm )入り込んだ形態で層着しており、条溝Gは、深さが13mm 、条溝幅は30mm である。
【0004】
また、従来例1の通気性断熱複合パネルにあっては、図10(B)に示す如く、断熱材側にも、セメント板の条溝に対応する深さ10mm の断熱材条溝を配置し、条溝の深さをセメント板側での13mm +断熱材側の10mm の23mm 厚として通気機能の向上を図る手段も提案している。
【0005】
また、図11は、従来例2として挙げた外壁構造であり、出願人が本願の出願前に、開発、且つ、実施中の通気性外断熱の外壁構造であって、出願人が開発した通気性断熱複合パネルを用いて構築するものであり、該図11の外壁構造にあっては、出願人の開発した特許文献2(特許第3664697号公報)に開示の笠木、及び、出願人の開発した特許文献3(特許第3664699号公報)に開示の腰水切を適用しており、窓に関しても、出願人の開発した特許文献4(特許第3770494号公報)に開示の通気構造を採用しているものである。
【0006】
即ち、従来例2として挙げた図11の外壁構造にあっては、笠木は、図12(A)に示す如く、通気用条溝を備えた押出成形セメント板の上端に、断面アングル形態のブラケットをネジ止着し、複合パネル断熱層の上面には笠木取付用の板材を固着一体化し、笠木の前端内面をブラケットに係止すると共に、笠木の下段水平板を断熱層上の板材にネジ止着して、笠木をブラケットでの前端係止と、後端での底板の板材へのネジ固着との前後2点支持とし、複合パネルの押出成形セメント板の条溝から上昇する空気の笠木からの放出を可能としている。
【0007】
また、複合パネルの上下接続部にあっては、図12(B)に示す如く、下側複合パネルの断熱層上端辺と、上側複合パネルの断熱層下端辺との間には、横目地寸法相当厚の断熱板材を介在して、上下断熱層間を断熱板材で空密的に閉止し、下側複合パネルの押出成形セメント板上端と、上側複合パネルの押出成形セメント板下端との間隔(横目地間隔)では、上下条溝間には、本出願人が開発したハニカム構造の、プラスチック製通気バッカーを介在して条溝の上下連通を保証し、通気バッカーの前面を横目地としてシーリング閉止している。
【0008】
また、腰水切の配置は、図12(C)に示す如く、コンクリート基礎立上り部の外面に断熱層を張着し、該断熱層上に板状断熱材を介在して、1階の複合パネル下端の断熱層と空密的に閉止し、基礎立上り部の断熱層の外面(前面)にはラスモルタルを張設して、ラスモルタルの上端にパッキン材(取付下地材)を固着し、該パッキン材前面から1階複合パネル下端の押出成形セメント板下端辺に亘って、アングル形態の取付板を固定し、腰水切の底板後端のアンカー片を取付板下部に係止し、腰水切の傾斜天板後端の立上り片を取付板上部にネジ止着し、底板の空気孔から空気流aを、パッキン材上端を迂回して押出成形セメント板の条溝に案内している。
【0009】
また、窓上枠にあっては、図12(D)に示す如く、底板に空気孔を備えた雨切を窓上枠前面に固定し、雨切天板の空気孔と、上側複合パネルの押出成形セメント板下端の条溝との間に、ハニカム形態のプラスチック製通気バッカーを配置し、通気バッカーの前面に慣用の板状バッカーを配置して、板状バッカー前面にシーリングを充填して、雨切底板→雨切天板→通気バッカー→条溝、のルートで、雨切から複合パネルの通気用条溝群への空気流入を保証している。
【0010】
また、窓下枠にあっては、図12(E)に示す如く、傾斜天板と、空気孔を有する底板とを備えた水切、を窓下枠に固定し、下側の複合パネルの押出成形セメント板上端の条溝と、底板の空気孔との間に、ハニカム形態の通気バッカーを整合配置し、通気バッカーの前面には、慣用の板状バッカーを配置し、バッカーの外面にシーリングを充填して、条溝→通気バッカー→水切内→底板空気孔→外気のルートで、窓下枠の下方の複合パネルの通気機能を保証している。
【特許文献1】実用新案登録第3084180号(平成14年3月8日発行)
【特許文献2】特許第3664697号公報(特開2004−60335号)
【特許文献3】特許第3664699号公報(特開2004−76332号)
【特許文献4】特許第3770494号公報(特開2005−120786号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
〔従来例1(複合パネル)の課題〕
外装下地材の押出成形セメント板は、セメント、硅酸質原料、繊維系原料を主原料として、板状に押出成形し、オートクレーブ養生した高強度パネルであるため、複合パネルにコンクリート型枠としての十分な強度を保証し、且つ、所定の通気用条溝を保証するものとはなるが、深さ13mm 前後の条溝を確保するため、板厚は25mmとなって、標準サイズの高さ2680mm 、幅490mm のセメント板自体は35kg/mと重くなり、切断、孔開け(セパレータ挿通孔、アンカーボルト挿通孔)等の加工性も悪い。
そして、複合パネルは、該セメント板に、75mm 厚で、断熱欠損の全く生じない平坦板状で軽い(約1kg)断熱層を層着してコンクリート外壁の捨型として用いるが、重量約36kgのパネルを、衝突欠損を生じないように型枠組みする作業は、困難であり、施工面から複合パネルの軽量化の要望がある。
【0012】
また、押出成形セメント板は、金型での押出成形品であるため、剛構造のセメント板に、どのような断面形状の条溝も、設計どおりに、且つ、量産システムで形成出来るが、製造過程での乾燥時に反りの発生頻度が高く、断熱層との一体化層着時のプレス加圧時や、運搬時、型枠組立てでの横端太パイプでの直線形態配置時、コンクリート打設時等に、反りを原因とするひび割れの生ずる危険がある。
そのため、押出成形セメント板は、反りの発生防止のため、幅が短尺(標準:490mm )となり、従って、複合パネル幅が短尺となって、コンクリート外壁面への張設形態では、外壁の並列接合目地(縦目地)が多くなり、仕上げ上不利である。
【0013】
しかも、複合パネルの必要剛性を負担する成形セメント板が通気用条溝を備えていること、外壁への張着形態では、上下複合パネルのセメント板間には、施工時の衝合欠損防止、完成建物での、地震時のセメント板相互の欠損防止上から、横目地(間隔)を形成・保持することが必須であるため、複合パネル相互の上下接続部、即ち横目地部、の上下セメント板間、での上下条溝の連通形態接続の施工は、後述の従来例2(図11、図12)での説明でも明らかな如く、特殊な、且つ、断面形状の小さなハニカム通気バッカーを採用して、本件出願人が開発した技術手法によってのみ可能であって、煩雑、且つ、精緻な作業であり、生産性の低い困難な作業であった。
【0014】
また、図10(B)の改良型にあっても、断熱層側の条溝は、断熱欠損の少ない10mm 深さではあるが、押出成形セメント板の条溝は型成形であり、断熱層の条溝は、成形板材への後加工としての切欠加工であるため、押出成形セメント板と断熱層との設計形状どおりの層着は、煩雑、且つ、精緻な作業となって、通気機能改善の観点、断熱欠損の観点、及び製作上の観点から、即ち、通気機能向上の効果が少ない割に、製作が煩雑、且つ、困難であって、条溝切欠による断熱機能損失も伴うため、実施効果は少なく、しかも、コンクリート外壁に張着する複合パネルによる通気構造付与施工は、押出成形セメント板が条溝を備えているため、図10(A)の複合パネルの採用の場合と同等、若しくは、それ以上に煩雑、且つ、困難で、生産性の低い作業となるため、従来例2(図11)の出願人の開発した外壁構造の構築にあっては、従来例1の図10(A)のタイプの複合パネルで実施している。
【0015】
〔従来例2(外壁構造)の課題〕
図12(A)に示す如く、笠木部にあっては、複合パネルの断熱層上辺に笠木固定用の板材を貼着するが、板材はネジ止着のための厚さが必要であり、笠木金具が強風で煽られると、強度の小さな断熱層(板材の下面)のため変位が生じ易く、板材に固着しているネジの緩み、及び笠木金具の剥離の恐れがある。
また、板材は、腐蝕防止のため、石綿セメント板などの、スレート系素材を用いる必要があるため、板材の切断加工性が悪く、しかも、断熱層との十分な接着力付与は、接着コストが大である。
【0016】
また、図12(B)に示す如く、複合パネル相互の上下接続は、上下断熱層間に別部材としての断熱板を空密的に介在させる作業、横目地間隔を保って対向する押出成形セメント板間の、上下端辺間の条溝間隔(横目地間隔)に、断面が小(幅:13mm 、高さ:20mm )で、長さの大(パネル幅に亘る長さ)な、通気性バッカー(ハニカムバッカー)を正確に配置する作業等、コンクリート外壁の外側型枠として、複合パネルを上下、左右に接続する際に、煩雑、且つ、精緻な作業が必要であって、型枠組み作業の作業性が悪い。
【0017】
また、図12(C)に示す腰水切にあっては、基礎立上り部の断熱層と、上方の複合パネル断熱層間への断熱板の空密的配置、ラスモルタル上端へのパッキン材の位置規定配置、及びパッキン材への取付板の位置規定配置が煩雑である。
また、腰水切は、底板を取付板へ係止して、腰水切傾斜天板後端の立上り板を取付板へビス止着する作業となるため、ビス止着の作業時に、底板の係止が外れ易く、従って、腰水切の複合パネル下端への、均斉姿勢での、空気導入形態での配置作業は、注意を要する煩雑な作業である。
【0018】
また、窓等の外壁の中間開口部にあっては、開口部の、上側の複合パネル及び下側の複合パネルの通気用条溝に空気連通機能を付与するため、図12(D)に示す如く、窓枠上部にあっては、底板に空気孔を備えた雨切を窓上枠に止着し、雨切上面では、複合パネルの、押出成形セメント板の条溝への空気連通を確保する、断面が小寸の通気バッカーを正確に配置し、通気バッカーの前面を、板状バッカーを介してシーリングで閉止する必要があり、雨切の、上方の複合パネルへの通気機能を確保する配置は、作業性が悪く、煩雑である。
【0019】
また、図12(E)に示す如く、窓下枠前面に取付ける水切りも、空気孔を備えた水切底板と複合パネルの条溝上端との間に、断面が小寸の、通気バッカーを空気連通形態に、位置規制配置し、通気バッカー前面に、板状バッカーを配置して、バッカー前面をシーリング閉止する必要があり、水切の、下方の複合パネルからの通気機能を確保する配置は、作業性が悪く、煩雑である。
本発明は、従来例1の通気性断熱複合パネルの上述の問題点を解決、又は改善した、新規な通気性断熱複合パネルを提供し、また、新規な通気性断熱複合パネルを用いて、従来例2の外壁構造の構築上、機能上の問題を解決、又は改善した、合理的な構築を可能とする新規な外壁構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の通気性断熱複合パネルは、例えば図1に示す如く、鉄筋コンクリート外断熱建築物に用いる乾式密着型の通気性断熱複合パネルであって、発泡プラスチック系断熱材の板状断熱層1Bに、成形薄剛板の外装下地材1Aを層着したものであり、断熱層1Bは、層着面1Sに、通気用条溝G群と層着用の肉厚部1Cとを、縦方向に、交互に、平行に備え、両側は肉厚部1Cであり、且つ、肉厚部1Cが断熱層1Bの層着面1Sの50〜60%の面積を占めているものである。
【0021】
この場合、発泡プラスチック系断熱材の板状断熱層1Bは、成形薄剛板の外装下地材1Aに一体化層着出来る保形性を備えたものを意味し、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム等のJISA9511の発泡プラスチック系断熱材が好ましく、典型的には、厚さ75mm のJISA9511の押出法ポリスチレンフォームである。
また、断熱層1Bの層着面1Sとは、断熱層1Bの層着用の内面全面である。
【0022】
また、成形薄剛板の外装下地材1Aは、コンクリート型枠組みに耐え、外壁の外装下地材としての強度、耐衝撃性、寸法変化率を満足させる最少限の薄剛板(セメント板)であり、板厚15mm 以下であって:図2(B)に示す、酸化マグネシウム(Mg)と硅砂とを主成分とし、両面にガラス繊維不織布を埋設した、軽量(10kg/m)、高強度(100kgf/cm)で12mm 厚のマグネシウムセメント板1A−1や:図2(C)に示す、硅砂、消石灰、パルプを水に分散させて神を漉く要領で層状に成形し、オートクレーブ養生によって発生するカルシウムと化合して発生する硅酸カルシウム(Ca)の基材にバーミキュライト(B)を加えた、軽量(13.2kg/m)、高強度(100kgf/cm)で12mm 厚のケイ酸カルシウム板1A−2や:図2(D)に示す、火山礫(Sa)とフライアッシュとを主原料とし、ガラス繊維を補強材に用いてフェノール樹脂で固めた、軽量(12.4kg/m)、高強度(100kgf/cm)で13mm 厚のフェノール樹脂板1A−3が好ましい。
【0023】
また、条溝Gは、断熱層1B内に浸透して来る湿気(水蒸気)を放出する機能と、外装下地材(セメント板)の、外気による高温化を内面の空気貫流によって抑制する機能を奏するためのものであるため、断熱層1B内の湿気を集めて放湿するためにも、外装下地材1Aの日射による高熱化を抑制するためにも、条溝G群は、均等分散配置が好ましく、条溝Gの溝幅(標準:50mm )と肉厚部1Cの幅との均等配置が好ましい。
また、条溝Gの深さGd(標準:15mm )は、ドラフト空気の流速が、条溝Gの界面から20mm 、即ち、条溝深さGdが40mm で最大となり、断熱機能欠損は、条溝深さGdが大な程、大となり、空気貫流機能と、断熱機能欠損割合とが、二律背反関係であるから、断熱層1Bの断熱機能の損失を最少限に抑え、且つ、最小限必要な上昇空気流を確保するように決定すべきである。
【0024】
条溝Gの深さGdと、条溝Gの切欠による断熱欠損との関係を検討したところ、次の表1のとおりであった。
【表1】


【0025】
また、加熱垂直板面の近傍で発生する、上昇空気流速と距離との関係は、次の表2のとおりであり、最大上昇流の発生距離は、加熱垂直板(外壁表面)の温度に関係なく、境界面から20mm である。
【表2】


【0026】
従って、本発明の複合パネルの条溝Gは、両側に界面を備えているため、上昇空気流を生ずる条溝Gの形状設計に際しては、条溝Gの深さの中央位置に、上記表2の板面からの距離を適用すれば良く、条溝Gは、深さGdが、10mm の場合は、表2での板面から5mmの距離での値の0.024m/s近似値と、12mm の場合は、板面から6mmの0.026m/s近似値と、16mm の場合は、距離8mmの0.030m/s近似値と、上昇空気流の流速が、設定可能である。
そして、理論上、上昇空気流が0.01m/s以上であれば、最小限の結露防止機能、及び、セメント板(外装下地材)1Aの過加熱抑制機能が期待出来る。
【0027】
従って、本発明の複合パネル1は、通気用の条溝G群が、断熱層1Bの層着面1Sのみへの配置となるため、外装下地材1Aの接着保持に必要な接着面積さえ確保すれば、切削加工容易な断熱板への切り込み機械加工によって、縦方向の平行条溝G群、及び、必要に応じて横断条溝G´やバイヤス条溝、の付加等、所望の形態での条溝Gの形成が可能である。
また、断熱層1Bは、肉厚部1Cが層着面1Sの50%以上を占めており、且つ両側が肉厚部1Cであるため、外装下地材1Aとの、剥離の生じない、強固な層着が可能である。
そして、断熱層1Bの条溝Gを配置した層着面1Sへは、平坦な薄剛板を層着すれば良く、従来例1(図10)の押出成形セメント板より、広幅で、且つ、軽量でさえあれば、需要者の望みに応じた外装下地材1Aの選択採用が可能となり、外壁に対する需要者の好みに自在に対応出来る。
【0028】
しかも、複合パネル1は、外断熱に外壁を被覆する際には、各複合パネルの上下、左右接続は、共に、断熱層1B相互の衝合当接形態での実施が必須となるが、断熱層1Bのみに条溝が存在するため、図5(B)の如く、複合パネル相互の上下接続を断熱層1Bの衝合で実施すれば、同時に、条溝G群も上下衝合連通形態となるため、横目地dx部では、各条溝G群の前面の開放部位のみを閉止すれば良く、慣用の板状バッカー(バックアップ材)12Bを断熱層1Bの前面に当接して、シーリング12を充填するだけで、条溝Gの上下連通を保証するパネル接続となる。
【0029】
また、外壁の窓等の開口部29にあっても、図6(C)に示す如く、施工前に、予めパネル割付けにより作成する、窓枠の下側の複合パネル1及び、窓枠の上側の複合パネル1に、各条溝G群を相互に連通する横断条溝G´、或いは傾斜条溝(図示せず)を切欠形成しておくことにより、窓の下方の複合パネル1から窓の上方の複合パネル1への条溝G群及び横断条溝G´を介した通気が可能と出来、従来の窓枠(図12(D),(E))の如き、作業性の悪い通気機能付きの水切り、雨切の設置が不要となり、斬新なデザインの窓29が形成出来る。
従って、本発明の通気性断熱複合パネルは、高品質の外断熱鉄筋コンクリート建築物を、従来の構築手法(図11)より、遥かに作業性良く構築可能とし、鉄筋コンクリート外断熱建築の普及を促進するものである。
【0030】
また、複合パネル1は、図1に示す如く、断熱層1Bの幅BWと、外装下地材1Aの幅AWは等幅であり、断熱層1Bの高さBhは、外装下地材1Aの高さAhより大であり、幅方向には、断熱層1Bが一側で小段差d1突出し、他側で小段差d1入り込んでおり、高さ方向には、断熱層1Bが、上端で大段差d3突出し、下端で小段差d2入り込んでいるのが好ましい。
この場合、標準パネル1にあっては、断熱層幅BWと外装下地材幅AWが900mm で、断熱層1Bの高さBhは2700mm 、外装下地材1Aの高さAhは2680mm であり、小段差d1は10mm で、大段差d3は40mm で、小段差d2は20mm である。
【0031】
そして、該複合パネル1の相互並列当接は、図4(B)に示す如く、断熱層1B相互の衝合当接が同時に外装下地材1Aの衝合当接となり、並列接続部は、接合容易、且つ、打設コンクリートからの接合界面を介したセメント液の流出も抑制出来る相欠け接続となり、縦目地間隔は発生しない。
また、複合パネル1相互の上下接続は、図4(A)、図5(B)に示す如く、断熱層1B相互の衝合当接で外装下地材1Aは、段差d3(40mm )−段差d2(20mm )の横目地dx幅(20mm )を開けた相欠け接続となり、複合パネル1の型枠組み時の上下接続配置作業が容易である。
【0032】
そして、上下接続部のセメント板1A間には横目地dx間隔(20mm )が生じるが、接続部での断熱層1Bの上下衝合によって縦方向の各条溝Gは連通し、横目地dx間隔での断熱層1B前面への、慣用の平板状バックアップ材12Bを当接し、バックアップ材12B前面をシーリングで閉止すれば、縦条溝G群の上下連通を保証した横目地dxとなる。
従って、本発明複合パネル1を用いることにより、縦目地が無くて外装仕上げが容易、且つ、型枠組み容易で、縦条溝G群の通気機能保証作業の容易な外壁構造となる。
【0033】
また、複合パネル1の外装下地材1Aは、厚さT2が、12〜13mm で、比重が0.8〜1.1で、曲げ強度が100〜120kg/cmであるのが好ましい。
この場合、外装下地材1Aとしての成形薄剛板は、図2(B)に示す如く;酸化マグネシウムMgと、硅砂とを主成分とし、両面にガラス繊維不織布を埋設して12mm厚に成形した、マグネシウムセメント板1A−1:図2(C)に示す如く、硅砂、消石灰、パルプを水に分散させて紙を漉く要領で層状に成形し、オートクレーブ養生によりカルシウムと化合して発生するケイ酸カルシウムCaの基材に、バーミキュライトBを加えて、12mm 厚に成形したケイ酸カルシウム板1A−2:及び、図2(D)に示す如く、火山礫Saとフライアッシュとを主成分とし、ガラス繊維Gfを補強材に用い、フェノール樹脂で固めて、13mm 厚に成形した、フェノール樹脂板1A−3を採用すれば良い。
【0034】
これら各成形薄剛板と、従来例1の押出成形セメント板との比較は、次の表3のとおりである。
【表3】


【0035】
そして、表3から明らかな如く、本発明複合パネル1の外装下地材1Aとしての、マグネシウムセメント板1A−1、ケイ酸カルシウム板1A−2、及びフェノール樹脂板1A−3は、共に、比重が従来の押出成形セメント板の略1/2であり、且つ、薄板であるため、重量も、従来の押出成形セメント板の半分以下となり、本発明複合パネル1の外装下地材1Aは、従来の押出成形セメント板幅サイズ(490mm )より、遥かに大な幅サイズ(900mm )としても、尚、従来の押出成形セメント板の70%以下に軽量化出来る。
また、コンクリート外壁Wの外側捨型枠に採用する複合パネル1は、曲げ強度が100kg/cmあれば、型枠組み、及び外装下地材としての強度が十分である。
【0036】
そして、本発明複合パネル1は、従来の複合パネルより、幅が約1.8倍であっても、重量が略半分と軽く、しかも、コンクリート外壁の外側捨型枠としての型枠組みに必要な強度、及びコンクリート外壁の外装下地材としての強度を保持したものとなり、従来例1(図10(A))の複合パネルより、広幅化、軽量化が達成出来たため、施工現場での取扱いが容易となって、作業性が向上し、従来の施工現場からの軽量化要望に応えることが出来る。
そして、複合パネル1は、揚重機が無くても人手で扱えるため、施工作業の自由度が向上する。
【0037】
また、本発明複合パネルでは、図2(A)に示す如く、断熱層1Bは、厚さT3が75mm であり、条溝Gの深さGdが12〜16mm であり、条溝Gの幅a1が50mm であるのが好ましい。
断熱層1Bの厚さは、被覆一体化した外壁の熱貫流抵抗(Rt)が規定(次世代省エネ基準での壁の熱貫流率の基準)値を発揮するように決定すれば良く、日本国での基準値の最も高いI地区(北海道)の基準は、熱貫流抵抗Rt(mh℃/kcal)は、2.04mh℃/kcal以上であり、表1から明らかな如く、180mm のコンクリート外壁Wに75mm 厚の断熱層1Bを張着した外壁は、条溝Gを深さ16mm で形成しても、尚、日本国I地区(北海道)の基準値を十分満足し、日本国のI地区より基準値の低い他地区全てを満足することとなる。
【0038】
従って、条溝Gの深さGdを12〜16mm としても、該条溝Gで生ずる断熱欠損は、I地区(北海道)での規定熱貫流抵抗Rt(2.04mh℃/kcal以上)を備えたものと出来、同時に、条溝G群内に、複合パネル内の結露防止、及びセメント板(外装下地材)1Aの過加熱を抑制するために十分な、0.01m/s以上の速度の上昇空気流(ドラフト空気流)を発生させることが出来る。
しかも、断熱層1B内の水蒸気(湿気)を集めて放湿する条溝Gの幅a1が50mm であるため、条溝Gと交互に配置する肉厚部1C幅a2,a3も、50mm 又は66.7mm 幅と出来、条溝G群は、断熱層1B内の湿気(水蒸気)を均斉に放湿し、外装下地材1Aの過加熱を均斉に抑制出来、且つ、肉厚部1Cには、十分な接着力発揮スペースを提供し、図2(A)に示す如く、ボルト挿入用孔hb及びセパレータ挿入用孔hsの、肉厚部1C中央での、パネル面への分散配置を可能にする。
【0039】
また、本発明複合パネル1にあっては、断熱層1Bは、図2(A)に示す如く、幅BWが900mm で、幅BWを3分割した300mm 幅の、右側域RB及び左側域LBでは、50mm の条溝幅a1と、条溝幅a1と同寸の幅a2を備えた肉厚部1Cとを交互に、且つ最外端域が肉厚部1Cとなるように配置し、幅300mm の中央域CBでは、50mm 幅a1の条溝Gの2本を、200/3mm の幅a3の肉厚部1C間に、等間隔に配置するのが好ましい。
【0040】
一般に、JISA9511の75mm 厚発泡プラスチック断熱板は、コンクリート建物用断熱材として900mm 幅で量産され、且つ市場に提供されているため、本発明の複合パネルは、既製の断熱材の幅を切断することなく、合理的に使用することが出来る。
そして、広幅(900mm )の断熱材は、外装下地材(セメント板)1Aが軽量なことと相俟って、広幅で軽量な複合パネル1が形成出来、外壁構築作業(型枠組み)時には、作業員が1人で取扱い(移動、立設)出来ると共に、形成した外壁は、各複合パネル1間の並列接合部dy間の間隔が、従来例(図11)より大であるため、並列接合部dyの後処理も少なくなり、外壁構造構築の作業性が向上する。
【0041】
そして、図2(A)の如く、セパレータ挿入用孔hsは、断熱層1Bの両側から、それぞれ、225mm の位置で肉厚部1C中央に配置出来、複合パネル1の型枠組み時には、図9の如く、複合パネル1を外側型枠として保持する各セパレータ7Aは、型枠の横方向に、450mm 間隔の等間隔で配置出来、複合パネル1の外側捨型枠としての保持が、打設コンクリート圧に均斉、且つ十分に対抗出来る。
また、図4(A),(B)に示す如く、複合パネル1のコンクリート外壁Wからの脱落を防止するための、落下防止アンカー4Bを備えたアンカーボルト4Aは、図2(A)に示す如く、断熱層1Bの各両側から125mm の肉厚部1C中央と、幅WB中央の肉厚部1C中央とに穿孔したボルト挿入用孔hbを、図1(B)に示す如く、均等間隔に千鳥状に配置出来るため、複合パネル1を、全面に亘って、支持力を均斉配分した形態で、コンクリート外壁Wと一体化固着保持出来、複合パネル1群のコンクリート壁Wに対する強固、且つ、安全な保持が達成出来る。
【0042】
従って、複合パネル1は、断熱層幅BWに対する、特定の条溝G群の、特定の配置により、条溝Gの、断熱欠損最小化と、ドラフト通気最大化との、二律背反を、実施可能な要件で巧みに解決し、且つ、複合パネル1の型枠組み時の、セパレータ7Aによるコンクリート流圧対抗保持と、コンクリート外壁Wへの、アンカーボルト4Aによる、複合パネル1の全面での均斉な固着保持、との各要件を合理的に充足するものとなり、複合パネル1は、広幅(900mm )であるが、等幅(50mm )の各通気用条溝Gを、断熱層1Bとセメント板(外装下地材)1Aとの層着力を最大限に発揮する形態で、且つ、パネル内面の結露防止、及び外装下地材1Aの過加熱抑制を、パネル面全面に亘って均斉に発揮し、しかも、型枠組み時のパネル保持、及び形成コンクリート外壁Wへの脱落防止固着を、均斉、且つ確実に保証するものとなる。
【0043】
また、図6(C)に示す如く、断熱層1Bの適所に、各縦方向条溝G群を連通する横断条溝G´を貫通配置するのが好ましい。
この場合、横断条溝G´の、深さ及び幅は、断熱欠損の最少化、及び必要空気流量の確保の観点から設定すれば良いが、典型的には、縦条溝Gと同一構造(幅:50mm 、深さ:12〜16mm )である。
横断条溝G´の配置は、外壁Wに対するパネル割付けによって、窓枠の上側又は下側に位置する複合パネル1への配置が有効であり、図6(C)の如く、窓上枠29A近傍の断熱層1B、及び窓下枠29B近傍の断熱層1Bに配置すれば良い。
【0044】
従って、窓下枠29Bで条溝G群の上端が閉止された各条溝G内の上昇空気流aは、横断条溝G´によって窓側枠29Cの側方に迂回し、再度、窓上枠29Aの上側の横断条溝G´を介して、窓上枠29A上部の各縦条溝G群への上昇空気流aとして案内出来るため、該横断条溝G´を配置した複合パネル1を、窓の上側、下側に適用することにより、窓29には、もはや、従来例2の如き、通気構造担保のための水切り(図12(E))、雨切(図12(D))の配置が不要となり、外断熱通気外壁の構築が合理化出来る。
【0045】
本発明の外壁構造の発明は、請求項1記載の通気性断熱複合パネル1を、コンクリート外壁Wに張設した鉄筋コンクリート造外断熱建物の外壁構造であって、図3に示す如く、各複合パネル1相互の、左右接続、及び上下接続は、断熱層1B相互の衝合により接続し、コンクリート基礎立上り部5の外面に張設した、腰水切配置用の基礎複合パネル1´の外装下地材1A上端と、上方複合パネル1の外装下地材1A下端とに亘って、所定間隔で、差渡し配置した取付板片14を介して、腰水切15を、複合パネル1の条溝G群へ空気流入可能に配置すると共に、笠木金具10Aを、複合パネル1の外装下地材1A上端に固定したブラケット10Bへの係止と、笠木金具10Aの下段水平板D10の、パラペットPのコンクリート上面へのネジSc固定との前後2点支持で、複合パネル1の条溝G群からの空気流出可能に配置して、腰水切15からの上昇空気流aを、条溝G群を介して笠木金具10Aから放出するようにしたものである。
【0046】
この場合、腰水切配置用の基礎複合パネル1´は、図3に示す如く、建物の基礎立上り部5のコンクリートを外断熱被覆する基礎パネルであって、高さが短寸の複合パネルである。
また、笠木金具10Aは、出願人の所有する、特許第3664697号の笠木(図12(A)の笠木)に於いて、下段水平板を延長して、パラペットPの上面に固定可能としたものである。
また、腰水切15としては、出願人の所有する、特許第3664699号の腰水切を使用しても良い。
【0047】
従って、本発明の外壁構造は、複合パネル1が、断熱層1Bのみに通気用の条溝G群を配設し、セメント板(外装下地材)1Aは平坦な薄剛板であるため、パネルが従来のもの(図10)より軽量化、広幅化が可能で、コンクリート型枠組みでのパネルの取扱いが容易であり、しかも、条溝G群は断熱層1Bにのみ存在するため、型枠組み時の、各パネルの断熱層1B相互の衝合接続によって各条溝G群の相互連通形態が保証され、複合パネル1をコンクリート壁Wの外側捨型枠として型組みする、コンクリート壁外断熱外壁の構築が作業性良く施工出来る。
【0048】
そして、得られた外壁構造は、笠木金具10Aが、パラペットPのコンクリート上面へのネジ固定であるため、風に煽られても剥離落下の心配も無く、外壁の複合パネル1が腰水切15から笠木金具10Aまで、空気のドラフト上昇流aを保証するため、断熱層1Bの水蒸気の放出と、セメント板(外装下地材)1Aの日射による過加熱抑制とを奏し、内部結露の発生を抑制した、耐久性に富む高品質のコンクリート外断熱建物を提供する。
【0049】
また、外壁構造の発明にあって、図8に示す如く、基礎複合パネル1´は、条溝Gの無い断熱層1B´と外装下地材1Aとの層着パネルであって、上端で、断熱層1B´が大段差d4突出し、断熱層1B´の大段差突出部前面は、小段差d2残して、上方の複合パネル1の条溝深さGdと同寸深さの切欠11Gを、横方向全幅に亘って備え、取付板片14を、上方の複合パネル1の外装下地材1Aの下端辺edと基礎複合パネル1´の外装下地材1Aの上端辺euとに、差渡し状にネジ固着し、底板15Dに空気孔H15を備えた腰水切15を取付板片14に嵌着係止するのが好ましい。
【0050】
この場合、腰水切15は長尺(標準:4000mm )金具であるが、取付板片14は横方向短寸片(標準:60mm )であって、間隔(標準:400〜500mm )を保って取付けるものであるから、横方向全長に亘る切欠11Gは、各取付板片14間で前面外方に開放し、且つ、上方パネル1の各条溝Gの下端開口と空気連通形態となる。
従って、図7(A),(B)の如く、腰水切15を取付板片14に嵌着係止し、腰水切15の傾斜天板15Uと上方の外装下地材1A、及び外装仕上材2の下端縁との隙間を慣用のシーリング12によって充填閉止すれば、ドラフト上昇空気流aは、腰水切底板15Dの空気孔H15→切欠11G→条溝G群、のルートで各条溝Gに流入し、笠木金具10Aから流出するものとなり、腰水切の設置及び通気構造付与作業が容易となる。
【0051】
また、取付板片14は、図7(D)に示す如く、取付孔H14を備えた水平上片14Uと、取付孔H14を備えた水平下片14Dと、背板14Fとを備えた断面コ字形片であり、水平上片14Uの下部、及び水平下片14Dの上部には、係合溝14Gを備えているのが好ましい。
この場合、係合溝14Gは、図7(D)の如く、背板14Fから溝突片14Aを突出して形成すれば良いが、上下溝突片14Aの突出長は、取付孔H14と干渉しない長さとすべきである。
【0052】
そして、取付板片14は、図8(A)に示す断熱層1B´の小段差d2(20mm )の前面fdに、図8(B)に示す如く、両面接着テープ15P”を貼着し、上側セメント板下端辺edと下側セメント板上端辺euとの間隔d11(標準:45mm )に、取付板片14の高さY14(標準:40mm )を整合させるためのパッキン材15Pを載置して、取付板片14の背板14Fを両面接着テープ15P”に接着固定し、次いで、水平上片14Uを上側セメント板下端辺edに、水平下片14Dを下側セメント板上端辺euに、それぞれ、ネジScで止めれば、取付板片14は、上下端、及び背板の3点支持で、強固に固定出来る。
この場合、背板14Fを小段差d2(20mm )の前面に接着固定しているため、ネジScの止着振動でも、取付板片14の動きが抑制出来、ネジScの止着がスムーズに実施出来る。
従って、腰水切15は、後端を強固に固定された取付板片14の上下の係合溝14Gに、単に嵌着するだけで所定の配置となり、腰水切15の通気構造配置は、作業性良く実施出来る。
【0053】
また、腰水切15は、図7(C)に示す如く、傾斜天板15Uと、立下り板15Fと、立下り板下端から水切片15Cを残して後方に延出する底板15Dとを備え、底板15Dには所定間隔で空気孔H15を配置し、且つ、傾斜天板15Uの後端からは上方に、底板15D後端からは下方に、それぞれ、突起片15Aを屈曲突出しているのが好ましい。
この場合、腰水切15は、従来の腰水切同様に、肉厚1.5mm のアルミ押出成形で形成して、長尺物(標準:4000mm )として準備し、底板15Dには、空気孔H15を定間隔(標準:50mm )で穿孔すれば良い。
【0054】
そして、腰水切15の断面寸法を、傾斜天板15U後端の突起片15Aと、底板15D後端の突起片15Aとの上下寸法が、腰水切取付板片14の、上下溝突片14A間寸法より若干大に形成しておけば、腰水切15の取付板片14への嵌着は、腰水切15の後端の上下突起片15A間寸法を、治具16で押圧短寸化して取付板片14の上下溝突片14A間に嵌入し、押圧力を開放すれば、腰水切15は、底板15Dと傾斜天板15Uとの弾性拡開力によって、取付板片14に弾性嵌着出来る。
従って、本発明外壁構造の腰水切にあっては、取付板片14の所望間隔での強固な、且つ、作業性の良い取付けと、図8(D)に示す如き、挟着治具16を用いた腰水切15の取付板片14への簡単な弾性嵌着とにより、腰水切15の空気導入形態での配置作業は、容易に、且つ、作業性良く実施出来る。
【0055】
また、本発明外壁構造にあっては、図6(C)に示す如く、窓等の外壁開口部29の、下側に位置する複合パネル1の上部、及び上側に位置する複合パネル1の下部には、条溝G群を横断連通する横断条溝G´を配置して、条溝G群の空気流aが開口部29を迂回貫流可能とするのが好ましい。
この場合、開口部(窓)29の上下に配置する複合パネル1は、建物設計時の、外壁へのパネル割付けによって決定出来、該開口部29の上下のパネルの加工時に、断熱層1Bの条溝G群と横断条溝G´とを形成して、断熱層1Bと外装下地材1Aとを層着すれば良い。
【0056】
従って、断熱層1Bが、縦条溝G群と横断条溝G´とを備えた複合パネル1は、図6(C)の如く、窓29の下側では、下方からの、縦条溝G群を経由するドラフト上昇空気流aが、横断条溝G´を介して側方に迂回し、窓29の上側では、側方からの迂回ドラフト上昇空気流aが、横断条溝G´を介して、再度迂回して縦条溝G群内へ流入可能となるため、窓29の、下枠29B部と上枠29A部でパネル1の条溝G群が閉止されても、窓29の上下のパネル1は通気可能となる。
【0057】
従って、従来例(図12(D),(E))の如く、窓枠の下端での、ドラフト上昇空気流aを放出するための通気構造を備えた水切り、及び、窓枠の上端での、ドラフト上昇空気流aを流入させるための通気構造を備えた雨切り、の配置は不要となり、本発明の窓29にあっては、窓29の下部及び上部では、通気構造が不要であるため、パネルと窓枠との仕切施工が自在となって、窓枠施工は、簡単になり、デザインの自由度も向上する。
【0058】
また、外壁開口部29では、図6(A)に示す如く、外壁開口部29の上側に位置する複合パネル1の下端面には、下面外装下地材1A´及び外装仕上材2を配置し、下面外装下地材1A´及び外装仕上材2を貫通する空気孔H29を、下方から条溝G,G´に連通配置するのが好ましい。
この場合、外装仕上材2は、磁器質タイル、陶器質タイル、石材等、慣用仕上材を採用すれば良い。
また、複合パネル1の下端面の下面外装下地材1A´は、層着形態の複合パネル下端辺を被覆保護するものであるから、複合パネル厚(断熱層厚+セメント板厚)より若干小幅に、外装下地材1Aを裁断した、小幅で長さが複合パネル1の幅と同寸の加工板で良く、下面外装下地材1A´は、コンクリート型枠組み前に、複合パネル1の下面に接着一体化しても、複合パネル1をコンクリート壁Wと一体化した後の外装仕上段階で、複合パネル1下面に接着被覆しても良い。
【0059】
また、空気孔H29は、該複合パネル1が、下端部に、図6(C)の如く、横断条溝G´を備えているため、複数条溝G毎に、間隔を置いて配置すれば良い。
従って、空気孔H29は、窓29上部の複合パネル1の条溝G群への、横断条溝G´を経由するために流量の少なくなったパネル1内のドラフト上昇空気流aに、パネル1外部から上昇空気流aを付加して、複合パネル1の通気機能を向上させる。
【0060】
また、外壁構造の発明にあっては、図5(B)に示す如く、複合パネル1相互の上下接続部に生じた外装下地材1A間の横目地dx間隔には、断熱層1Bの肉厚部1Cにバックアップ材12Bを当接延展配置して各条溝Gの前面を閉止し、バックアップ材12Bの前面をシーリング12で充填するのが好ましい。
この場合、バックアップ材12Bは、慣用の、プラスチック板ストリップや、断面矩形のプラスチックストリップを採用すれば良い。
そして、本発明に採用する複合パネル1は、断熱層1Bのみに条溝G群を配置したものであるため、複合パネル1の上下接続を、断熱層1Bの衝合当接で実施すれば、各条溝Gは上下連通形態となる。
【0061】
従って、各複合パネル1の上下接続部に生じる、上下セメント板1A間の目地dx幅を慣用のバックアップ材12Bと慣用のシーリングだけで空密的に閉止するだけで、外壁Wを被覆する複合パネル1は、腰水切から笠木まで各条溝Gが密閉形態の空気ダクトとなり、外断熱通気性外壁が、作業性良く構築出来る。
即ち、本発明の複合パネル1を採用すれば、本発明者が開発した、特殊な通気バッカーを用いた複合パネル上下接続部への、精緻な作業による条溝群連通構造付与手段よりも、遥かに、簡単、且つ、作業性の良い、条溝G群連通構造付与が可能となる。
【発明の効果】
【0062】
本発明の複合パネル1は、通気用の条溝G群が、断熱層1Bの層着面1Sのみへの配置となるため、外装下地材(セメント板)1Aの接着保持に必要な接着面積さえ確保すれば、層着前に、切削加工の容易な断熱層1Bへの切り込み機械加工によって、縦方向の平行条溝G群のみならず、複合パネル1の適用位置に応じて、横断条溝G´や、バイヤス条溝すら付加出来、所望の形態での通気用条溝の形成が可能である。
また、断熱層1Bの条溝G群を備えた層着面1Sには、平坦な薄剛板を選択層着すれば良いため、需要者の望みに応じた外装下地材1Aの選択が可能となり、外装仕上材2としても、外装下地材1Aに張設出来る仕上材であれば自在に選択適用出来るため、外壁に対する需要者の好みに自在に対応出来る。
【0063】
また、複合パネル1は、外断熱に外壁を被覆する際には、各複合パネル1の上下、左右接続は、共に、断熱層1B相互の衝合当接形態での実施が必須であるが、断熱層1Bのみに条溝G群が存在するため、図5(B)の如く、複合パネル1を上下に、断熱層1Bの衝合で接続すれば、同時に、各条溝G群も上下衝合連通形態となり、上下の外装下地材1A間に生じる横目地dx間隔、即ち、各条溝G群の前面の開放部位、のみを空密的に閉止すれば、各条溝G群は上下連通構造となるため、横目地dx部では、慣用のバッカー(バックアップ材)12Bを用いた慣用のシーリング手段の付与だけで、条溝G群の上下連通を保証するパネル上下接続となる。
【0064】
また、外壁の窓29にあっても、図6(C)に示す如く、予め、外壁へのパネル割付けによって作成する、窓29の下側の複合パネル1、及び窓の上側の複合パネル1に、各縦条溝G群を相互に連通する横断条溝G´、或いは傾斜条溝を切欠形成しておくことにより、窓29の下側の複合パネル1から窓の上側の複合パネルへの上昇ドラフト空気流aの迂回連通が可能となり、従来の窓枠(図12(D),(E))の如き、施工作業性の悪い、通気機能付きの水切り、雨切の配置施工が不要となる。
【0065】
また、外壁構造の発明にあっては、複合パネル1が、断熱層1Bのみに通気用の条溝G群を備え、外装下地材1Aは平坦な薄剛板であるため、複合パネル1が従来のもの(図10)より軽量と出来、コンクリート型枠組み作業でのパネルの取扱いが容易となり、しかも、条溝G群は断熱層のみに存在するため、型枠組み時の、各パネルの断熱層1B相互の衝合接続によって、各パネルの条溝G群の相互連通形態が保証され、従来のセメント板に通気用条溝が存在する複合パネル相互の上下接続部での、上下セメント板条溝の目地間隔を連通するための、小寸の、特有の通気バッカーを、精密に配置する作業が不要となり、通気性断熱複合パネル1による、外断熱外壁の構築が、合理化出来る。
【0066】
また、外壁構造は、笠木金具10Aが、先端のブラケットでの係合保持と、下段水平板D10のパラペットPのコンクリート上面へのネジ固定との前後2点支持となるため、笠木金具10Aが強風に煽られても、剥離、落下は抑制出来る。
従って、腰水切から笠木まで、均斉な通気機能が外壁全面に保証された、高品質の鉄筋コンクリート外断熱建物が、作業性良く構築出来ることとなり、新規な外壁構造の合理的な構築を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
〔複合パネル(図1、図2)〕
複合パネル1は、鉄筋コンクリート外断熱建物の構築に、コンクリート躯体(CF)の外側捨型枠として採用し、打設コンクリートと一体化するパネルであって、図1(A)は複合パネル1の斜視図、図1(B)は複合パネル1のセメント板1A側の表面図である。
複合パネル1は、コンクリート壁W、及び柱、梁などから成るコンクリート躯体CFの外側を外断熱に被覆するパネルで、断熱層1Bとセメント板(外装下地材)1Aとの層着品であり、断熱層1Bの層着面1Sは、通気用の条溝G群と肉厚部1Cとを、縦方向に平行に備え、該条溝G群間の肉厚部1Cを接着部とし、平坦な薄剛板の外装下地材1Aを、肉厚部1Cを介して接着一体化したものである。
【0068】
標準サイズ用の断熱層1Bとしては、図2(A)に示す如く、厚さT3が75mmで、幅BWが900mm、高さBhが2700mm(標準高さ)の硬質ウレタンフォーム板(JISA9511)を準備し、層着面1Sとなる一面には、幅BWを、各300mmの右側域RB、中間域CB、左側域LBに配分し、右側域RB、及び左側域LBでは、幅a1が50mm、深さGdが15mmの条溝Gと、幅a2が50mmの肉厚部1Cとを交互に、且つ、最外側が肉厚部1Cとなるように、中間域CBでは、50mm幅の条溝2本を等間隔(200/3mm≒67mm )に、50mm 幅のカッター(図示せず)で、条溝Gを平行に縦設する。
【0069】
標準サイズ用の外装下地材1Aとしては、厚さT2が12mm 、幅AWが900mm 、高さAhが2680mm (標準高さ)のマグネシウムセメント板1A−1を準備する。
マグネシウムセメント板1A−1は、図2(B)に示す如く、酸化マグネシウムMgと、硅砂とを主成分とし、両面にガラス繊維不織布GCを埋設して12mm厚に型成形した、比重0.9〜1.1で、曲げ強度100kg/cm以上の、軽量、且つ高強度の薄剛板であり、成形板自体は、日東紡績(株)のシンボードライト(商品名)として入手可能である。
そして、断熱層1B(幅900×高さ2700)とセメント板1A−1(幅900×高さ2680)との層着は、上下方向では、図1(A)の如く、断熱層1Bが上端で40mm (大段差d3)突出し、下端では20mm (小段差d2)入り込み、左右方向では、図2(A)の如く、断熱層1Bが左端1Lで10mm (小段差d1)突出し、右端1Rで10mm (小段差d1)入り込む形態で接着一体化する。
【0070】
また、複合パネル1に対しては、図2(A)に示す如く、セパレータ挿入用孔hsは、断熱層1Bの幅方向で、両側から各225mm の位置の、断熱層1Bの肉厚部1C中央に、図1(B)の如く、上下方向に5本穿孔し、各複合パネル1を型枠として並列配置した際には、セパレータ挿入用孔hsが、横方向で等間隔(450mm 間隔)となるように配置する。
また、複合パネル1をコンクリート壁Wに固定確保するための、落下防止アンカー4B用のボルト挿入用孔hbも、断熱層1Bの幅方向の両側から、それぞれ125mm の位置、及び中央位置の3ヶ所に、且つ、図1(B)の如く、両側のボルト挿入用孔hbと中央のボルト挿入用孔hbとが、複合パネル1面に均斉に分散するように、千鳥状に、断熱層1Bの肉厚部1C中央位置を介して穿孔配置する。
【0071】
また、図3の如く、外壁に窓29を配置する際には、建物設計でのパネル割付け図に従って、標準サイズパネルとは、高さ、幅の異なる変形サイズのパネルも必要となるが、図6(C)に示す如く、窓29の上側に位置するパネル1には、断熱層1Bの下端に横断条溝G´を、窓29の下側に位置するパネル1には、断熱層1Bの上端に横断条溝G´を、断熱層1Bへの条溝Gのカッターでの形成時に、同時に形成しておき、所望対応寸法の外装下地材1A−1と層着すれば良い。
即ち、変形サイズの複合パネル1は、断熱層1Bの幅方向両側に、接着用肉厚部1Cが位置し、且つ、セパレータ挿入用孔hs及びボルト挿入用孔hbが断熱層肉厚部1Cに配置出来れば良い。
【0072】
〔基礎複合パネル(図3、図8)〕
基礎複合パネル1´は、図3に示す如く、腰水切15の下方、即ち1階複合パネル1の下方で、コンクリート基礎立上り部5を外断熱被覆するものであり、複合パネル1の断熱層1Bと同質の発泡プラスチック断熱板を、条溝を付与せずにセメント板1Aと層着したものであり、パネル1´の高さは、建物の基礎立上り部5に応じて決定する。
そして、基礎複合パネル1´の上端部は、図8(A)に示す如く、セメント板1Aより断熱層1B´を65mm(d4)突出させ、突出高さd4(65mm)のうち、高さ20mm(d2)残して、上方45mmを上方の複合パネル1の断熱層1Bの条溝深さGd(15mm)と同一深さで、全幅に亘る切欠11Gを形成しておく。
また、基礎パネル1´の左右側縁は、複合パネル1と同様の相欠け接合が可能に、同幅の外装下地材1Aと断熱層1B´とを左右に10mmずらして層着しておく。
【0073】
〔腰水切金具(図7)〕
腰水切15は、図3に示す如く、外壁の下端に見切りとして配置し、外壁に沿った流下雨水を案内落下させると共に、外壁の複合パネル1の通気用条溝G群への、上昇空気流の流入を保証するものであって、図7(C)に示す腰水切15と、図7(D)に示す取付板片14とで組立てるものである。
図7(C)に示す如く、腰水切15は、幅X15が36mmで後端に2mm高さの下方への突起片15Aを備えた底板15Dと、底板15Dと同幅(36mm)で、5mmの勾配高さを有し、後端に2mm高さで上方への突起片15Aを備えた傾斜天板15Uとを、高さY15が25mmの立下り板15Fで、立下り板15Fの下部を、底板15Dから5mm下方突出した水切片15C、とした断面形態に押出成形したアルミ成形品であり、底板15Dの前部には、50mm間隔で空気孔H15を穿設する。
【0074】
また、取付板片14は、図7(D)に示す如く、断面形状は、高さY14が40mmの背板14Fの上端及び下端に、幅Z14が10mmの水平上片14U及び水平下片14Dを前方に突出し、該水平上片14Uの下部及び水平下片14Dの上部には、背板からアングル形態の溝突片14Aを突出して、該溝突片14Aによって。それぞれ、係合溝14Gを内向きチャンネルの形状に形成した、一般肉厚2mmのアルミ押出成形品を、長さX14が60mmに切断したものであり、水平上片14U及び水平下片14Dの両端で、且つ、溝突片14Aに干渉しない外側位置には、幅4mm、長さ6mmの取付孔H14を、上下対応配置したものである。
【0075】
〔コンクリート躯体の形成(図4、図9)〕
図9は、複合パネル1をコンクリート壁型枠FWの外側捨型枠に配置した概略縦断面図であり、図8は、腰水切配置部、即ち、基礎コンクリート立上り部5と1階の複合パネル1の下端との接合部の縦断説明図であり、図4は形成コンクリート躯体CFと複合パネル1との一体化状態縦断面図である。
1階から最上階までの複合パネル1は、図9に示す如く、慣用の、セパレータ7A、KPコン7B、Pコン7C、軸足セパレータ7D、フォームタイ7E、リブ座金7Fを用い、複合パネル1面に分散配置したセパレータ挿入用孔hsを介して、複合パネル1を外側型として内側合板型板6Gと共に、コンクリート壁型枠FWを構築する。
また、複合パネル1には、型枠FWへの配置前に、パネル面に分散配置したボルト挿入用孔hbにボルト4Aを挿通し、ボルト4Aの先端の断熱層1B表面に落下防止アンカー4Bを螺着し、落下防止アンカー4Bを、断熱層1B面から、打設コンクリート内に埋設されるように突出しておく。
【0076】
基礎立上り部5にあっては、図8に示す如く、セメント板1Aと条溝Gの無い断熱層1Bとを層着した、高さ方向短寸の基礎複合パネル1´をコンクリート外型枠として採用するが、該基礎複合パネル1´は、図8(A)に示す如く、断熱層1B´がセメント板上端辺euから大段差d4(65mm)突出し、且つ、前面には小段差d2(20mm)残して深さGdが上方の複合パネルの条溝Gの深さGd(15mm)と同一の切欠11Gを、全幅に亘って横設したものである。
そして、コンクリート型枠FW内にコンクリート打設して、コンクリート固化後に型枠FWを解体すれば、外壁は、図4(A)の縦断面図、及び図4(B)の横断面図の如く、複合パネル1が、コンクリート壁W内に埋設した落下防止アンカー4Bで位置確保されたボルト4A群によって、コンクリート壁Wとの一体化固着する。
【0077】
尚、複合パネル1相互は、左右縁の断熱層1Bとセメント板1Aとの小段差d1(10mm)と、上下縁の断熱層1Bとセメント板1Aとの上方での大段差d3(40mm)及び下方での小段差d2(20mm)での相欠け接続により、並列横接合部dyは、図4(B)の如く、隙間の生じない密接相欠け接合となり、上下接合部は、図4(A)の如く、上下断熱層1B相互の衝合接続により、上下セメント板1A間に20mm(d3−d2)幅の横目地dx間隔が生ずるが、上下、左右の相欠け接合は、型枠組み作業が容易であるばかりでなく、上下パネル間のセメント板1A相互の横目地dx間隔を保った当接衝合は、セメント板1Aの衝突欠損が抑制出来る。
しかも、断熱層1Bの衝合当接界面がセメント板1Aによって閉止された形態となるため、打設コンクリートから外装下地材(セメント板)表面へのコンクリート液の流出が阻止出来、除去作業の困難なコンクリート液による外装下地材1A表面への汚染が防止出来る。
【0078】
次いで、コンクリート躯体CFに一体化固着された複合パネル1の表面には、図3に示す如く、複合パネル1の縦接合部dyには、慣用のガラスネット3Aを貼着し、樹脂モルタル3Bを塗布して慣用のタイル等の外装仕上材2を貼着する。
また、腰水切15は、図8(B)に示す如く、基礎立上り部5の前面の、基礎複合パネル1´の断熱層1B´の小段差d2(20mm)の前面fdに、両面接着テープ15P”を貼着し、セメント板(外装下地材)1Aの下方上端辺euにパッキン材15Pを載置して、上側セメント板下端辺edとパッキン材15Pとの間隔を取付板片14の上下寸法と整合させて、取付板片14の背板14Fを、小段差前面fdの両面接着テープ15P”に接着保持し、取付板片14の水平上片14U及び水平下片14Dを、セメント板1Aの下端辺ed及び上端辺euに、取付孔H14を介してネジ止着する。
この場合、背板14Fは接着固定されているため、振動を伴うネジ止着も、取付板片14の移動無く、スムーズに実施出来る。
【0079】
そして、腰水切15の傾斜天板15Uと底板15Dとを、図8(D)に示す如く、挟んで押圧する治具16を用いて押圧して取付板片14の溝突片14A間に挿入し、押圧力を開放して、腰水切の傾斜天板15Uと底板15Dとの弾性拡開力によって、傾斜天板15Uの突起片15Aと、底板15Dの突起片15Aを取付板片14内の上下の係合溝14Gに弾性嵌着する。
そして、図7(A),(B)の如く、傾斜天板15Uの上面では、慣用のバックアップ材12Bを介してシーリング12を充填閉止し、底板15Dの下面と基礎複合パネル1´のセメント板1A及び外装仕上材2との隙間にも、慣用のシーリング12を充填すれば良い。
【0080】
また、笠木は、本願出願人の所有する特許第3664697号の笠木を、下段水平板D10を延長したタイプで用意し、図5(A)に示す如く、アングル形態のブラケット下端を、外装下地材(セメント板)上端にネジ止着すると共に、ブラケット上端前縁を、笠木金具10Aの内面上端の係合溝に係止し、下段水平板D15の後部を、パラペットPのコンクリート上面にネジScで固定し、笠木金具の下段水平板D10の上面に、塗布断熱材10Cを介して防水層10Dを被覆し、防水層10D端縁と笠木金具の天端板との間に慣用のシーリング12を充填する。
【0081】
また、図5(B)に示す如く、複合パネル1の上下接合部の横目地dx間隔では、慣用の板状バックアップ材12Bを断熱層1Bの条溝G群の前面を閉止するように延展配置し、バックアップ材12Bの前面を、慣用のシーリング12で充填すれば、密閉横目地dxが形成出来、複合パネル1の各条溝G群が管路(ダクト)形態で連通する。
【0082】
また、窓下枠29Bにあっては、図6(B)に示す如く、慣用の水切29B´と一体化した窓下枠29Bを、下側の、断熱層上部に横断条溝G´を備えた複合パネル1の上端に当接配置し、窓下枠29B及び水切29B´と下側の複合パネル1及びコンクリート壁W間をモルタル29Dで閉止し、窓付枠29Fとコンクリート壁Wとの間に現場発泡ウレタン29Eを充填すれば良い。
【0083】
また、窓上枠29Aにあっては、図6(A)に示す如く、上側複合パネル1として、断熱層下部に横断条溝G´を備え、断熱層1B及び外装下地材1Aの層着形態を面一に裁断したパネル1の下端辺を、切断加工した断熱層1Bと略同幅の下面外装下地材1A´で被覆した複合パネルを採用し、該下端辺の下面外装下地材1A´と窓上枠29Aとの隙間に慣用のバックアップ材12Bを押込み、該バックアップ材12Bを介して隙間をシーリング12´で充填処理すれば良い。
【0084】
この場合、下端辺の下面外装下地材1A´には、図6(A)及び図6(C)に示す如く、外装仕上材2から断熱層1Bの条溝Gに貫通する空気孔H29を適当ヶ所に配置すれば、横断条溝G´への複合パネル下端辺からの空気導入が可能となり、有利である。
貫通空気孔H29は、型枠組み前に、複合パネル1に下面外装下地材1A´を一体化して、該下面外装下地材1A´に穿孔し、外壁仕上げ段階で外装仕上材2に付加穿孔しても良く、或いは、外装仕上げ段階で、複合パネル1の下端に外装仕上材2と下面外装下地材1A´とを貼着し、ドリルで下方から貫通穿孔しても良い。
【0085】
〔その他〕
実施例では、複合パネル1の外装下地材1Aとしては、表3に示す、マグネシウムセメント板1A−1を採用したが、表3から明らかな如く、ケイ酸カルシウム板1A−2(三菱マテリアル(株)製、商品名:モイス)や、フェノール樹脂板1A−3(岩倉化学工業(株)製、商品名:オーマル)等を採用しても、板厚の条件を満たした軽量板であれば、採用可能であって、所期の、広幅、且つ、軽量で、コンクリート型枠としての強度を備えた通気性断熱複合パネル1が得られる。
尚、表3から明らかな如く、従来例1(図10)の押出成形セメント板等の比重が2前後であるセメント板は、例え、条溝を排除した薄剛板としても、セメント板自体の重量が大となるため、軽量で、広幅の、複合パネルの形成に不適当である。
【0086】
また、腰水切15用の取付板片14は、実施例では、図7(D)の如く、上下の溝突片14Aを、それぞれ、水平上片14U及び水平下片14Dと平行に、背板14Fから突出形成したが、上下溝突片14Aに替えて、水平上片14U及び水平下片14Dの取付孔H14の背板14F側の位置から、それぞれ、アングル形態の溝突片を、水平上片14U及び水平下片14Dと一体化構造で突出形成しても、腰水切係止用の係合溝14Gが、水平上片14U及び水平下片14Dの内側に形成出来、腰水切15の弾性嵌合止着が可能となる。
【0087】
また、窓上枠の上側に配置する複合パネル1は、実施例では、図6(C)に示す如く、横断条溝G´を、断熱層1Bの下端に肉厚部1Cを残して、複合パネル1の下端部での、セメント板(外装下地材)1Aと断熱層1Bとの層着機能を担保して形成したが、窓上枠の上側の複合パネルの横断条溝G´を、断熱層1B下端部で、下面外装下地材1A´と当接形態に配置すれば、下面外装下地材1A´に、間隔を置いて数ヶ所配置した各空気孔H29からの流入空気流aは、横断条溝G´内へ流れ込んで全縦条溝G群への分配供給となって、横断条溝G´による縦条溝G群への、ドラフト空気流のスムーズな供給が可能となり、しかも、縦条溝G群内へ浸入した雨水は、下面の外装下地材1A´面を流れて、空気孔H29からの排水も可能となる。
そして、複合パネル下面に貼着した下面外装下地材1A´は、セメント板1Aと断熱層1Bとを面一に裁断した複合パネル1の下端面を閉止し、複合パネル1の下端面での外観及び強度を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明複合パネルの説明図であって、(A)は一部切欠斜視図、(B)は正面図である。
【図2】本発明複合パネルの説明図であって、(A)は横断面図、(B),(C),(D)は、それぞれ、(A)のB部拡大図であって、異なる外装下地材を適用した図である。
【図3】本発明の外壁構造の概略正面図である。
【図4】本発明の外壁構造の説明図であって、(A)は図3のY−Y縦断面図、(B)は図3のX−X横断面図である。
【図5】本発明の外壁構造の説明図であって、(A)は、図3のA−A縦断面図、(B)は図3のB−B縦断面図、(C)は図3のC−C縦断面図である。
【図6】本発明の窓部の説明図であって、(A)は図3のD−D縦断面図、(B)は図3のE−E縦断面図、(C)は窓外周でのパネル内上昇空気流aの流れ作用説明図である。
【図7】本発明の腰水切の説明図であって、(A)は腰水切配置状態斜視図、(B)は腰水切配置状態縦断面図、(C)は腰水切斜視図、(D)は取付板片斜視図である。
【図8】本発明の腰水切取付けの縦断説明図であって、(A)は取付位置の図、(B)は取付位置への両面接着テープ及びパッキン材配置状態図、(C)は取付板片の固定状態図、(D)は腰水切の嵌入状態図である。
【図9】本発明の外壁型枠組みの縦断説明図である。
【図10】従来例1の説明図であって、(A)は複合パネル横断面図、(B)は変形例図である。
【図11】従来例2の説明図であって、(A)は外壁正面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図12】従来例2の説明図であって、(A)は図11のイ−イ線断面図、(B)は図11のロ−ロ線断面図、(C)は図11のハ−ハ線断面図、(D)は図11のニ−ニ線断面図、(E)は図11のホ−ホ線断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 複合パネル(パネル、通気性断熱複合パネル)
1´ 短寸複合パネル(基礎パネル、基礎複合パネル)
1A 外装下地材(セメント板)
1A−1 マグネシウムセメント板(外装下地材、セメント板)
1A−2 ケイ酸カルシウム板(外装下地材、セメント板)
1A−3 フェノール樹脂板(外装下地材、セメント板)
1A´ 下面外装下地材(外装下地材)
1B 断熱層(条溝付き断熱層)
1B´ 断熱層(条溝無し断熱層)
1C 肉厚部
1S 層着面
2 外装仕上材(タイル)
3A ガラスネット
3B 樹脂モルタル
4A ボルト
4B 落下防止アンカー
5 基礎立上り部
6A パイプサポート
6B 大引きパイプ
6C 根太パイプ
6D,6G 型板
6E,6F 端太パイプ
6H 桟木
7A セパレータ
7B KPコン
7C Pコン
7D 軸足セパレータ
7E フォームタイ
7F リブ座金
8 壁鉄筋
9 床スラブ筋
【0090】
10 笠木部
10A 笠木金具
10B ブラケット
10C 塗布断熱材
10D 防水層
10E 断熱材
11G 切欠
12,12´ シーリング
12B バックアップ材(バッカー)
14 取付板片
14A 溝突片
14F 背板
14G 係合溝
14D 水平下片
14U 水平上片
15 腰水切
15A 突起片
15C 水切片
15D 底板
15F 立下り板
15P,15P´ パッキン材
15P” 両面接着テープ
15U 傾斜天板
16 治具
29 窓(開口部、外壁開口部)
29A 上枠(窓上枠)
29B 下枠(窓下枠)
29B´ 水切
29C 堅枠(窓側枠)
29D モルタル
29E 現場発泡ウレタン
29F 付枠(窓付枠)
【0091】
a ドラフト上昇空気流(空気流、上昇空気流)
CB 中央域
CF コンクリート躯体
D10 下段水平板
dx 横目地
dy 接合部
ed 下端辺
eu 上端辺
FW コンクリート壁型枠
G 条溝(縦条溝、縦方向条溝)
G´ 横断条溝(横条溝)
Gd 条溝深さ
hb ボルト挿入用孔
hs セパレータ挿入用孔
H14 取付孔
H15,H29 空気孔
LB 左側域
P パラペット
RB 右側域
S 床スラブ
Sc ネジ
Sf 床スラブ表面
W コンクリート外壁(コンクリート壁、外壁)

特許の図
【出願人】 【識別番号】396027108
【氏名又は名称】株式会社テスク
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100088269
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 利雄
【公開番号】 特開2008−2159(P2008−2159A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172656(P2006−172656)