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【発明の名称】 トリプル湖ダム構造
【発明者】 【氏名】志賀 照匡

【要約】 【課題】本発明はダムの機能(貯水、発電、防砂など)を失うことなく、汎用機器で、簡易かつ容易にダム底部の堆積物を除去し、土砂を下流に流すことのできるトリプル湖ダム構造を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明は、上記課題を解決するために、左右に放水2cのための放水路2a、2bを設けた河川を堰き止め貯水する堤体2と、前記堤体2の左右放水路2a、2bの間から河川の上流9方向に延設され、貯水を左右ダム湖6、7に分割する仕切3と、前記仕切3の端部から湖岸6a、7aまで設けられ、前記左右ダム湖6、7の上流に上流池8を形成する左右堰4、5からなることを特徴とするダム構造の構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に放水のための放水路を設けた河川を堰き止め貯水する堤体と、前記堤体の左右放水路の間から河川の上流方向に延設され、貯水を左右ダム湖に分割する仕切と、前記仕切から湖岸まで設けられ、前記左右ダム湖の上流に上流池を形成する左右堰からなることを特徴とするダム構造。
【請求項2】
左右堰が、それぞれ上板、下板からなり、上板が上下にスライドし堰の高さを変更し得る請求項1に記載のダム構造。
【請求項3】
河川を流入させる場合において、前記左右堰がダム底と同じ高さであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダム構造。
【請求項4】
前記堤体の下部に、排砂のための排砂路を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載のダム構造。
【請求項5】
前記上流池、或いは貯水を維持している左右ダム湖から堆積物を前記排砂路を通し、排砂するための流水を獲得する手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載のダム構造。
【請求項6】
左右ダム湖の一方の堆積物を除去する場合に、当該一方のダム湖上流部にのみ堰を設置することを特徴とする請求項1〜5に記載のダム構造。
【請求項7】
前記左右堰に換え、流入時遮断板を上に支持し、流入遮断時上から前記遮断板を下げる左右水門としたことを特徴とする請求項1に記載のダム構造。
【請求項8】
左右堰又は左右水門を仕切から上流方向線に対して、鋭角に設置したことを特著とする請求項1〜請求項7に記載のダム構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム、堰、堤などの貯水施設(以下、単にダムという。)の構造に関し、詳しくは、ダムの貯水を継続しながら、ダム底に堆積した堆積物を容易に除去することができるダムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダムは、渓谷等を堰き止め、飲料水確保、洪水防止、砂防、水力発電等の多目的のために建設される。しかし、使用を続けると、底に上流より流入する泥、土砂、流木等が堆積し、期待する貯水量を確保することができなくなる。さらに、下流への土砂供給が減るために下流の河原の縮小や海岸の浸食が生じ、問題となっている。
【0003】
そのため、定期的に浚渫し、或いは貯水を一端中止し堆積物を除去しなければならない。貯水を中止する間はダムとしての機能を果たさなくなる。特に、砂防ダムのような小規模のダムでは、短期間に完全に堆積物で埋まり、頻繁に浚渫しなくてはならない。流量が少ない時期を見計らって堆積物を除去しなければならなく、費用と時間が必要であった。
【0004】
そこで、貯水を継続し、堆積物を除去、或いは堆積させないダム構造も公開されている。例えば、特許文献1においては、吸引吐出作用の生じた移送管路41の吸引口45を貯水池21底に近接させて堆積物Dを移送管路41内に吸引するとともに吸引した堆積物Dをダム堤体11の吐出路13または移送管路41の吐出口46からダム堤体11の下流域22へ放流する。また、堆積物Dの吸引場所を変更するために貯水池21の浮台31を水上移動させて移送管路41の吸引口45を貯水池21の底部沿いに変位させることを採用した。広範な貯水池底に堆積した堆積物を軽微な負担で効率よく除去することのできる方法であって、河川の自然形態を人為的に損なうことのないダム堆積物の除去方法が公開されている。
【特許文献1】特開平11−324008号公報
【0005】
また、特許文献2では、ダム堆砂除去システム1は、河川Rに建設されたダムDのダム貯水池Lに堆積した土砂(堆砂T)を除去するシステムであり、堆砂Tを採取する堆砂採取手段たる浚渫船2と、浚渫船2から堆砂Tを搬送する堆砂搬送装置3と、堆砂Tを粉砕する堆砂粉砕手段たる堆砂粉砕プラント4と、この堆砂粉砕プラント4からダムDの直上流に設けた計画堆砂領域Aに細砂Sを搬送する細砂搬送装置5と、を備えて構成された大きな粒径の堆砂も除去可能であるとともに、ダム堤体下流の河川の河床が上昇し難いダム堆砂除去方法およびダム堆砂除去システムが公開されている。
【特許文献2】特開2006−200168号公報
【0006】
さらに、特許文献3では、川をダムでせき止めて造った貯水池の上流に堰を設け、堰の上流とダムの下流とをバイパス水路トンネルで連通させ、上流からの流送土砂をダムを迂回してダム下流に放流する貯水池の排砂方法であって、堰内およびその上流域に土砂を一時的にためてバイパス水路トンネルに徐々に流入してダムの下流へ放流するようにした、川の流量が大になったときは、土砂を一時的にためておき、川の流量が小さくなったとき、バイパス水路トンネルに徐々に流入して閉塞させることなく確実にダムの下流へ放流するようにした貯水池の排砂方法が公開されている。
【特許文献3】特開2001−73349号法
【0007】
加えて、特許文献4では、堆砂層2の上面に給水開口部3を除いて当該堆砂層2を覆うように遮水シート20を配設し、堤体10の底部に上下流貫通して設けられた排砂路11のゲート12を開くことにより、給水開口部3を介して堆砂層2の上面と遮水シート0の間に侵入した水が、堆砂層2の上面と遮水シート20の間を流れて堆砂層2を形成する土砂を巻き込んで排砂路11から流出し、堆砂層2の土砂をその上面側から排出する、大きなエネルギーを必要とせず、貯水を捨てることなく堆積した土砂を下流側に徐々に放流して除去することのできる貯水池の排砂方法及び排砂設備が公開されている。
【特許文献4】2003−261924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のダム堆積物の除去方法は、ダム毎に専用のサイフォン装置を用意し、常にオペレータが業務を行わなければならない。また、特許文献2に記載のダム堆砂除去方法およびダム堆砂除去システムでも、堆砂粉砕プラント建設した特殊な浚渫舟を用いた浚渫を行い、やはり専用の装置、オペレータが必要である。
【0009】
特許文献3の方法では、ダムの貯水を維持することはできるが、貯水池の上流に設けた堰で粒径の大きい土砂を沈降させ、粒径の小さい土砂だけを放流するため、粒径の大きい土砂を排出することができなかった。結局上流の堰の堆積物は、浚渫をおこなうこととなり、根本的な解決を図ることはできない。さらには、迂回路であるバイパス水路トンネルをダムとは別に建設しなければならい。ダムが建設されるような場所は、渓谷等であり工事が容易ではない。
【0010】
特許文献4の方法では、ダムの堤体に排砂ゲートを設け、特殊なシートである遮水シート(遮水部材)で堆積層を覆い、当該排砂ゲートを開放することにより、水流の力によって堆砂を排出するが、粒径の大きな堆砂を除去することは困難である。さらには大きな、ダム全体を覆うシートなど現実的ではない。
【0011】
そこで、本発明は、ダムの機能(貯水、発電、防砂など)を失うことなく、汎用機器で、簡易かつ容易にダム底部の堆積物を除去し、土砂を下流に流すことのできるトリプル湖ダム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、左右に放水2cのための放水路2a、2bを設けた河川を堰き止め貯水する堤体2と、前記堤体2の左右放水路2a、2bの間から河川の上流9方向に延設され、貯水を左右ダム湖6、7に分割する仕切3と、前記仕切3から湖岸6a、7aまで設けられ、前記左右ダム湖6、7の上流に上流池8を形成する左右堰4、5からなることを特徴とするダム構造の構成、
左右堰4、5が、それぞれ上板4a、5a、下板4b、5bからなり、上板4a、5aが上下にスライドし堰の高さを変更し得る前記ダム構造の構成、
河川を流入させる場合において、前記左右堰4、5がダム底1aと同じ高さであることを特徴とする前記何れかに記載のダム構造の構成、
前記堤体2の下部に、排砂2eのための排砂路2dを設けたことを特徴とする前記何れかに記載のダム構造の構成、
前記上流池8、或いは貯水を維持している左右ダム湖6、7から堆積物12を前記排砂路2dを通し、排砂2eするための流水3a(5c)を獲得する手段を備えたことを特徴とする前記ダム構造の構成、
左右ダム湖6、7の一方の堆積物12を除去する場合に、当該一方のダム湖上流部にのみ堰を設置することを特徴とする前記何れかに記載のダム構造の構成、
前記左右堰4、5に換え、流入時遮断板を上に支持し、流入遮断時上から前記遮断板を下げる左右水門としたことを特徴とする前記ダム構造の構成、
左右堰4、5又は左右水門を仕切3から上流方向線に対して、鋭角に設置したことを特著とする前記何れかに記載のダム構造の構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。ダム湖を仕切ることにより、一方のダム湖で貯水を維持しつつ、他方のダム湖で堆積物の除去ができる。即ち、ダムを2個建築したことに等しい効果が得られる。さらに、ダムが建設される渓谷などの広いスペースが確保出来ない立地においても、ダム底を作業素スペースとすることができるため、浚渫専用の特殊な機器でなくとも、工事に使用される汎用重機による浚渫、破砕、運搬などができ経済的である。
【0014】
さらに、左右堰を上下移動式にすることで、上流からの貯水の流入を簡易に遮断することができる。さらに、左右堰の高さを低く抑えることで、上流池に堆積された上部堆積も貯水している一方のダム湖に移動し、ダム湖の堆積物の除去とともに併せて除去することができ、上流池の堆積物の除去をダム湖の堆積物の除去と別に行う必要がない。
【0015】
さらに、堤体の底部に排砂路を穿設することで、堆積物を下流に放流することができ、下流河川の縮小、海岸の侵食を防止することができる。
【0016】
また、排砂路から堆積物を水流で排出するため、貯水を継続している一方のダム湖、あるは上流池から、排砂に必要な必要量の流水を取得することで、ダム底から、下流に簡易低コストで排砂することができる。
【0017】
なお、左右堰を常設することなく、一方のダム湖の湖底の堆積物を除去する場合に、当該ダム湖側の上流に堰を設置することで、堰材が1セットで済み経済適である。
【0018】
さらに、左右堰又は水門を仕切から上流方向線に対して、鋭角に設置することで、上流池の左右堰又は水門を付近に堆積物が沈澱せず、貯留を継続しているダム湖側に流入させることができ、上流池の堆積物を別途、浚渫する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、ダムの機能(貯水、発電、防砂)を失うことなく、汎用機器で、簡易かつ容易にダム底部の堆積物を除去し、土砂を下流に流すことのできるダム構造を提供する目的を、左右に放水2cのための放水路2a、2b、及び下部に排砂2eのための排砂路2dを設けたを設けた河川を堰き止め貯水する堤体2と、前記堤体2の左右放水路2a、2bの間から河川の上流9方向に延設され、貯水を左右ダム湖6、7に分割する仕切3と、前記仕切3の端部から湖岸6a、7aまで仕切3から上流方向線に対して、鋭角に設けられ、前記左右ダム湖6、7の上流に上流池8を形成し、それぞれ上板4a、5a、下板4b、5bよりなり、上板4a、5aが上下にスライドし堰の高さを変更し得る左右堰4、5からなり、
前記上流池8、或いは貯水を維持している左右ダム湖6、7から堆積物12を前記排砂路2dを通し、排砂2eするための流水3a(5c)を獲得する手段を備えたことことを特徴とするダム構造の構成とすることで実現した。
【実施例1】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、本発明であるトリプル湖ダム構造について、詳細に説明する。図1は本発明であるダム構造の平面図である。図2は本発明であるダム構造のA−A断面図である。本発明であるダム構造1は、堤体2と、ダム湖を分割する仕切3と、さらに上流池8を形成する左右堰4、5からなる。
【0021】
堤体2は、河川を堰き止める一般に用いられている構造物で、その目的に応じて種々の形態がある。堤体2の中位部には水位調整のためのダム湖から河川下流10に貯水を放流する主放流設備である放水路2a、2bが仕切3を挟み左右に設けられている。必要に応じ、堤体2の下部には仕切3を挟み、左右ダム湖6、7と河川下流10を貫通し、排砂2e、2eのための左右の排砂路2d、2dが設けられている。さらに、放水路2a、2bの上方に洪水対策としての非常用洪水吐設備、その他選択取水施設、低水放流施設(ダム湖の貯水をほぼ完全に排出するため排水口を含む。)などが備えられている。
【0022】
排砂路2dは、小径の泥、砂などの排砂2eを常時排出する通路である。一般に水位が高いときは、使用することができないとされるが、本発明においては、一方のダム湖の貯水を排出するため、排砂路2dにゲートを設け、適水位のとき開放することで、適切に排砂2eすることが可能になる。また、排砂路2dは、ダム湖の貯水を完全に排水するために用いることもできる。
【0023】
なお、放流する堆積物12は、砂、泥などはそのまま徐々に放流すればよいし、大きな礫、石、岩などは粉砕、粒度選別処理の後放流してもよい。本発明では、汎用重機を搬入するスペースとしてダム底1aを十分活用することができるため、目的に沿った処理を施し、所望の形態で放流することができる。
【0024】
また、排砂路2dから堆積物12を水流で排出するため、貯水を継続している一方のダム湖、あるは上流池8から、排砂2eに必要な水量の流水3a(5c)を取得する手段を設けてもよい。これは仕切3又は左右堰4、5に穴を設け(複数であってもよい)開閉を制御すればよい。これにより、ダム底1aから、下流10に簡易かつ低コストで、水流で排砂2eすることができる。当然、排砂路2dにコンベアーを通し、移動させてもよいし、車両を利用し下流10に搬送してもよい。
【0025】
仕切3は、前記堤体2の左右放水路2a、2bの間、かつダム底1aから水位11上方まで河川の上流9方向に延設されダム湖を分割する。これによりダム湖は、2つの左右ダム湖6、7が形成される。仕切3の上端部は、通常の水位11よりさらに洪水危険水位(非常用洪水吐出口)より上方にあることが望ましい。一方のダム底1aの堆積物の除去作業中に仕切3を超え貯水が流入した場合、搬入されている重機が浸漬してしまうからである。
【0026】
仕切3はコンクリート製、金属製など素材は特に限定されないが、一方のダム湖の水圧に耐える素材、構造であればよい。また仕切3の先端部は、できるだけ上流9部まで延設することが望ましい。仕切3の先端部から湖岸6a、7aまで、好ましくは可動性の左右堰4、5を設けるためである。
【0027】
左右堰4、5は、仕切3の上流9側端部から左右の湖岸6a、7aまで設けられ、上流池8を形成する。左右堰4、5は、それぞれ上板4a、5a、下板4b、4cからなり、上板4a、5aが上下にスライドし堰の高さを変更できることが望ましい。大きなダムであっても、簡易に河川からの流入を制御することができためである。左右堰4、5の上部は河川のダム湖への流入時は、適正貯水水位より、下方に、さらにはダム底1aに位置するようにする。
【0028】
また、上板4a、5aを湖岸6a、7aからスライドし、下板4b、5bの上に載せ、河川の流入を遮断してもよい。従って、下板はレールとなる。
【0029】
さらに、左右堰4、5に換え、流入を閉止する水門とすることもできる。水門とは、開放時は遮断板が摺り下げられ、河川の流入を阻止する場合に遮断板をダム底1aまで下げ、河川の流入を制御する構造物である。これであれば、常設する左右堰4、5のように、上流池8部に上部堆積物13が沈澱することがない。
【0030】
加えて、左右堰4、5又は水門を、仕切3から上流方向線に対して、鋭角に設置することが望ましい。これにより、上流池8に上部堆積物13が蓄積せず、貯水を継続している左右ダム湖6、7の一方に上部堆積物13が誘導される。
【0031】
なお、堆積物12を除去するダム底1a側の上流に、堆積物12を除去する場合にのみ、堰を設置してもよい。この場合、予め設置する場所に、堰材(遮断板など)を着脱可能にする受けを設けておくことが望ましい。繰り返し、堰材を使用することができるためである。特に、規模の小さなダムにおいては、仕切3を河川のダム湖の入口付近まで設置することで、堰材で簡易に河川の左右ダム湖6、7への流入を止めることができ、他方の仕切られた貯水を継続しているダム湖側へ河川からの流入水を簡単に誘導することができる。
【0032】
図3は、堆積物の除去方法を示す断面模式図である。ここでは、上下稼働の上板4a、5aを備えた左右堰4、5による流入制御による貯水継続とダム底1aの堆積物12の除去方法について説明する。
【0033】
図3(A)は、右ダム湖7の貯水を停止する場面を表している。図2にあるように、上板5aが水位11より下に位置し、常時左右ダム湖6、7に貯水をしていた後、右ダム湖7のダム底1aの堆積物12を除去するとき、上板5aが上方(白抜矢印方向)にスライドし、河川上流9からの流入を遮断し、放水2cを継続し、右ダム湖7の水位が低下している。なお、左堰4は流入できる高さに留まっている。
【0034】
完全に、右ダム湖7の貯水が排出された後、汎用重機をダム底1aに搬入し、浚渫、破砕、分別等して、目的の堆積処理物を排砂2eとして、排砂路2dより河川下流10に排出する。このとき、上流池8、左ダム湖6から、排砂2eを排出する量の水量を取得し、流水によって排出してもよい。勿論、車両による搬出、コンベアーによる排出であってもよい。
【0035】
上述のように、ダム底1aに蓄積した堆積物12を除去した後、図3(B)に示すように右堰5の上板5aを降下させ、堆積物12を除去した右ダム湖7に、河川水を流入させ貯水を再開する。次ぎに、左ダム湖6の上板4aを上昇させ、左ダム湖6への河川水の流入を中止させ、貯水を排出する。その後、上述の方法によって、左ダム湖6の堆積物12を除去し、貯水を再開する。
【0036】
このように、左右ダム湖6、7への河川の流入を制御し、ダムの貯水を一方のダムで継続しつつ、他方のダム底1aの堆積物12を除去することにより、堆積物12の蓄積によるダム機能低下を簡易、経済的に再生させ、ダムの稼働年数を延ばし、自然環境にやさしいダム構造1を提供することができることとなる。
【0037】
次ぎに、他のトリプル湖ダム構造について説明する。図4は本発明である他のダム構造の平面図である。図5は本発明である他のダム構造のB−B断面図である。本発明であるダム構造1bは、実施例1と仕切3の延設長さ、下線の流入を制御する左右堰4、5が異なる。
【0038】
即ち、本発明であるダム構造1bは、左右に放水2cのための放水路2a、2bを設けた河川を堰き止め貯水する堤体2と、前記堤体2の左右放水路2a、2bの間から河川の上流9方向に延設され、貯水を左右ダム湖6、7に分割する仕切3bと、前記仕切3の端部から湖岸6a、7aまで設けられ、前記左右ダム湖6、7の上流に上流池8を形成する左右水門14、15からなることを特徴とする。
【0039】
仕切3bは、実施例1の仕切3比べ、堤体2により近い位置までとする。仕切3bの建設費用を低く抑えることができるためである。
【0040】
また、左右水門14、15は、仕切3b或いは湖底に設置された支柱(ガイド)に吊り下げられ、又は支柱に係止され、上下に昇降制御される。これにより、左右水門14、15で河川の左右ダム湖6、7への流入を制御し、実施例1のように水を除いた状態で湖底に堆積した堆積物を浚渫等により除去することができる。
【0041】
なお、土石流が、上流池8、左右ダム湖6、7に流入したことを知らせる土石流感知センサ16を、左右ダム湖6、7を囲む、堤体2、仕切3b、左右堰14、15の中位の高さのところに設置するとよい。左右ダム湖6、7の堆積物を浚渫中にダム崩壊があると作業者が危険であるため、土石流の発生を土石流感知センサ16で感知し、警告を作業者に知らせることができる。さらに、警告に基づき、ダムの崩壊を阻止する放流等の手段を講じることができる。
【0042】
図6は、堆積物の除去方法を示す断面模式図である。ここでは、上下昇降制御される左右水門14、15による流入制御による貯水継続とダム底1aの堆積物12の除去方法について説明する。
【0043】
図6(A)は、右ダム湖7の貯水を停止し、堆積物12を浚渫した後の場面を表している。図5にあるように、通常左右水門14、15が、上昇しており、常時左右ダム湖6、7に貯水をしている。右ダム湖7のダム底1aの堆積物12を除去する場合、右水門15が下に降ろされ、河川上流9からの流入を遮断し、放水2cを継続し、右ダム湖7の水位を無くす。その後、上述した方法により、湖底の堆積物12を除去する。
【0044】
このように、ダム底1aに蓄積した堆積物12を除去した後、図6(B)に示すように右水門15を上昇させ、堆積物12を除去した右ダム湖7に、河川水を流入させ貯水を再開する。この後、右水門15より上流に堆積した堆積物12は、徐々に右ダム湖7に移動する。その結果、浚渫等により除去する前の堆積物12より、全体的に少なくい堆積物12aが残存することとなる。
【0045】
次ぎに、左ダム湖6の左水門14を上昇させ、左ダム湖6への河川水の流入を中止させ、貯水を排出する。その後、上述の方法によって、左ダム湖6の堆積物12を除去し、貯水を再開する。
【0046】
このように、左右ダム湖6、7への河川の流入を制御し、ダムの貯水を一方のダムで継続しつつ、他方のダム底1aの堆積物12を除去することを繰りかえすることにより、堆積物12の蓄積によるダム機能低下を簡易、経済的に再生させ、ダムの稼働年数を延ばし、自然環境にやさしいダム構造1bを提供することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明であるダム構造の平面図である。
【図2】本発明であるダム構造のA−A断面図である。
【図3】堆積物の除去方法を示す断面模式図である。
【図4】本発明である他のダム構造の平面図である。
【図5】本発明である他のダム構造のB−B断面図である。
【図6】堆積物の除去方法を示す他の断面模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ダム構造
1a 底
1b ダム構造
2 堤体
2a 放水路
2b 放水路
2c 放水
2d 排砂路
2e 排砂
3 仕切
3a 流水
3b 仕切
4 左堰
4a 上板
4b 下板
5 右堰
5a 上板
5b 下板
5c 流水
6 左ダム湖
6a 湖岸
7 右ダム湖
7a 湖岸
8 上流池
9 上流
10 下流
11 水位
12 堆積物
12a 堆積物
13 上部堆積物
14 左水門
15 右水門
16 土石流感知センサ
【出願人】 【識別番号】307021128
【氏名又は名称】志賀 照匡
【出願日】 平成19年6月15日(2007.6.15)
【代理人】 【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄


【公開番号】 特開2008−308894(P2008−308894A)
【公開日】 平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願番号】 特願2007−158311(P2007−158311)