トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送

【発明の名称】 起伏ゲート
【発明者】 【氏名】松岡 春彦

【氏名】中井 信一郎

【氏名】鍋田 吉則

【要約】 【課題】水路の両岸部で堰高が変わらないようにすることで、水路の流量調整が正確に行えるようにした起伏ゲートを提供する。

【構成】扉体3を起立位置Uと倒伏位置Dとに回動させる袋体4A,4Bは、扉体3の横幅方向に少なくとも2分割して、扉体3の両端側にそれぞれ配置して、袋体4A,4B毎に空気の給排気管8A,8Bを接続するとともに、袋体4A,4B毎に空気を給排気制御する制御手段(電磁切換弁14A,14B、制御回路17)を設けることにより、外力が高い側の扉体3の一方端部3a側が下流側に撓むようになれば、この側の袋体4Aに空気をより多く供給して袋体4Aの支持力を高めることで、扉体3の一方端部3a側が撓まなくなる結果、水路1の両岸部で堰高が変わらないようになって(堰高の同調)、水路1の流量調整が正確に行えるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路の底部で、上流側の起立位置と下流側の倒伏位置との間で回動可能にクランプされた扉体と、この扉体の下流側に設置された袋体とが設けられて、空気の供給による袋体の膨張で扉体が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体の収縮で扉体が倒伏方向に回動されるようになった起伏ゲートにおいて、
前記袋体は、扉体の横幅方向に少なくとも2分割されて、扉体の両端側にそれぞれ配置され、袋体毎に空気の給排気管がそれぞれ接続されているとともに、袋体毎に空気を給排気制御する制御手段が設けられていることを特徴とする起伏ゲート。
【請求項2】
前記扉体の両端側に、扉体の両端部の傾斜角度をそれぞれ検出する傾斜計が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の起伏ゲート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水路の底部で、上流側の起立位置と下流側の倒伏位置との間で回動可能にクランプされた扉体と、この扉体の下流側に設置された袋体とが設けられて、空気の供給による袋体の膨張で扉体が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体の収縮で扉体が倒伏方向に回動されるようになった起伏ゲートがある(特許文献1参照)。
【0003】
前記のような起伏ゲートにおいて、水路の流量調整のために、扉体を中間開度(起立位置と倒伏位置との間の位置)で使用する場合がある。この中間開度では、扉体の自重および扉体に作用する水圧や土砂圧等の外力(以下、単に外力と言う。)と袋体の支持力との釣り合いで扉体の高さ(堰高)が定まることになる。
【特許文献1】特開2002−309547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水路で偏流等が発生したり、水路が曲がっているような箇所においては、水路の両岸部で外力が異なるから、袋体の支持力が一定であれば、外力が高い側の扉体の一方端側が下流側に撓むようになるので、扉体の一方端側の高さ(堰高)が他方端側よりも低くなって、両岸部で堰高が変わることで水路の流量調整が正確に行えなくなるとともに、景観的な見苦しさ、著しい偏流による下流河床部の洗掘を助長するという問題があった。
【0005】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、水路の両岸部で堰高が変わらないようにすることで、水路の流量調整が正確に行えるとともに、景観的な見苦しさを解消し、下流河床部の洗掘を低減できるようにした起伏ゲートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、水路の底部で、上流側の起立位置と下流側の倒伏位置との間で回動可能にクランプされた扉体と、この扉体の下流側に設置された袋体とが設けられて、空気の供給による袋体の膨張で扉体が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体の収縮で扉体が倒伏方向に回動されるようになった起伏ゲートにおいて、前記袋体は、扉体の横幅方向に少なくとも2分割されて、扉体の両端側にそれぞれ配置され、袋体毎に空気の給排気管がそれぞれ接続されているとともに、袋体毎に空気を給排気制御する制御手段が設けられていることを特徴とする起伏ゲートを提供するものである。
【0007】
請求項2のように、前記扉体の両端側に、扉体の両端部の傾斜角度をそれぞれ検出する傾斜計が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、扉体の両端側の袋体を、袋体毎に制御手段で空気を給排気制御することにより、外力が高い側の扉体の一方端側が下流側に撓むようになれば、この側の袋体に空気をより多く供給して袋体の支持力を高めることで、扉体の一方端側が撓まなくなる結果、水路の両岸部で堰高が変わらないようになって(堰高の同調)、水路の流量調整が正確に行えるようになる。
【0009】
また、水路の両岸部で堰高が変わらないので、景観的な見苦しさが解消され、下流河床部の洗掘も低減できるようになる。
【0010】
請求項2のように、扉体の両端部の傾斜角度を傾斜計で検出することにより、傾斜角度がほぼ同じとなるように空気の給排気制御を自動的に遠隔操作で行うことが可能となるので、水路の流量調整が常に正確に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1および図2に示すように、河川や水路1を横切るように設けられる起伏ゲート2は、水路1の底部1aで、上流側の起立位置Uと下流側の倒伏位置Dとの間で回動可能にクランプされた扉体3と、この扉体3の下流側に設置された袋体4A,4Bとが設けられて、空気の供給による袋体4A,4Bの膨張で扉体3が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体4A,4Bの収縮で扉体3が倒伏方向に回動されるようになっている。
【0013】
鋼製の扉体3は、横長長方形状に形成されて、下端部が水路1の底部1aにヒンジ部材6で回動可能にクランプされるとともに、上端部と底部1aとの間がチェーン等の可撓性連結部材7で連結されて、この連結部材7によって扉体3の起立位置Uの上限が規制されるようになる。
【0014】
ゴム製の袋体4A,4Bは、本実施形態では、扉体3の横幅方向に2分割されて、扉体3の両端側にそれぞれ配置されているが、3分割以上であっても良く、要するに、少なくとも扉体3の両端側に袋体がそれぞれ1個ずつ配置されていれば良い。
【0015】
各袋体4A,4Bは、横長枕状に形成されて、下部が底部1aに固定されることにより、上方に膨張すると共に、下方に収縮するようになる。
【0016】
袋体4A,4Bには、コンプレッサ12、圧縮空気タンク13および電磁切換弁14A,14B等を介して空気の給排気管8A,8Bがそれぞれ接続されて、電磁切換弁14A,14Bの切換によって、袋体4A,4Bに個別に空気を給気するとともに、袋体4A,4Bから個別に空気を排気するようになっている。
【0017】
扉体3の両端側には、扉体3の両端部の傾斜角度をそれぞれ検出する傾斜計(開度計)16A,16Bが設けられているとともに、傾斜計16A,16Bの検出信号で電磁切換弁14A,14Bを切換制御させるための制御回路17が設けられている。この制御回路17や電磁切換弁14A,14Bは、袋体4A,4B毎に空気を給排気制御する制御手段を構成する。
【0018】
前記のように起伏ゲート2を構成すれば、通常時は、扉体3の両端側の袋体4A,4Bに空気を等量で給排気制御することで、扉体3を起立位置Uと倒伏位置Dとに回動させるようになる。
【0019】
そして、水路1の流量調整のために、扉体3を中間開度(図2の符号N参照)で使用する場合には、図3のように、水路1の両岸部で外力が同じであれば、起伏ゲート2の扉体3の両端部3a,3b側が撓むことが無いので、扉体3の高さ(堰高)が定まることになる(堰高H1参照)。
【0020】
これに対して、水路1で偏流等が発生したり、水路1が曲がっているような箇所においては、水路1の両岸部で外力が異なるから、袋体4A,4Bの支持力(空気の供給量)が一定であれば、外力が高い側の扉体3の一方端側(図3では向かって右側の端部3aとする。)が下流側に撓むようになるので、扉体の一方端部3a側の高さ(堰高)が他方端部3b側よりも低くなる(堰高H2参照)。これにより、両岸部で堰高H1,H2が変わることで水路1の流量調整が正確に行えなくなる。
【0021】
そこで、図1のように、扉体3の両端部3a,3b側の袋体4A,4Bを、袋体4A,4B毎に電磁切換弁14A,14Bの切換で、空気を給排気制御することにより、外力が高い側の扉体3の一方端部3a側が下流側に撓むようになれば、この側の袋体4Aに空気をより多く供給して袋体4Aの支持力を高めることで、扉体3の一方端部3a側が撓まなくなる結果、水路1の両岸部で堰高H1が変わらないようになって(堰高の同調)、水路の流量調整が正確に行えるようになる。
【0022】
特に、扉体3の両端部3a,3bの傾斜角度を傾斜計16A,16Bで検出して、この検出信号に基づいて制御回路17により電磁切換弁14A,14Bを切換制御することで、傾斜角度がほぼ同じとなるように空気の給排気制御を自動的に遠隔操作で行うことが可能となるので、水路の流量調整が常に正確に行えるようになる。
【0023】
また、水路1の両岸部で堰高H1が変わらないので、景観的な見苦しさが解消され、下流河床部の洗掘も低減できるようになる。
【0024】
さらに、扉体3の両端部3a,3b側が撓むことで扉体3が偏った場合、図3に示したように、水路1の側部戸当たり4a,4bに扉体3の端部5a,5bが接触し、扉体3の回動によって各々に擦れ傷が生じる。そして、側部戸当たり4a,4bの擦れ傷が不規則に生長した場合、扉体3の回動に対する抵抗力が増大し、扉体3の起伏機能に支障が生じることがある。これに対して、本実施形態では、扉体3の偏りが防止できるので、扉体3の端部5a,5bと水路1の側部戸当たり4a,4bとの接触を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る起伏ゲートを下流側から見た正面図である。
【図2】図1の起伏ゲートの側面断面図である。
【図3】中間開度の扉体を下流側から見た正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 水路
1a 底部
2 起伏ゲート
3 扉体
4A,4B 袋体
8A,8B 給排気管
14A,14B 電磁切換弁
16A,16B 傾斜計
17 制御回路
U 起立位置
D 倒伏位置
N 中間開度
【出願人】 【識別番号】591073337
【氏名又は名称】株式会社丸島アクアシステム
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎

【識別番号】100097054
【弁理士】
【氏名又は名称】麻野 義夫


【公開番号】 特開2008−25293(P2008−25293A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201699(P2006−201699)