トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送

【発明の名称】 起伏ゲート
【発明者】 【氏名】松岡 春彦

【氏名】中井 信一郎

【氏名】鍋田 吉則

【要約】 【課題】袋体の形状を工夫することで、扉体に対する接触面積を増加させることにより、高強度のゴム製材料や高能力のコンプレッサ等を使用する必要を無くして、低価格化を実現できるようにした起伏ゲートを提供する。

【構成】扉体3を回動させる袋体4は、扉体3の幅方向に長い略円筒形状で膨張する中央胴部4Aに、この中央胴部4Aの膨張状態の両端開口4b,4cを略偏平形状で閉塞する両端鏡部4B,4Cを貼り合わせて構成することにより、いわば立体裁断の手法で袋体4を立体成形できるようになる。したがって、空気の供給で袋体4が膨張しても、両端は略偏平形状となるために、扉体3の幅と略同じ幅の袋体4を設置している場合には、扉体3の幅と略同じ幅で袋体4が扉体3に接触するので、扉体3に対する袋体4の接触面積(加圧面積)が増加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路の底部で、上流側の起立位置と下流側の倒伏位置との間で回動可能にクランプされた扉体と、この扉体の下流側に設置された袋体とが設けられて、空気の供給による袋体の膨張で扉体が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体の収縮で扉体が倒伏方向に回動されるようになった起伏ゲートにおいて、
前記袋体は、扉体の幅方向に長い略円筒形状で膨張する中央胴部に、この中央胴部の膨張状態の両端開口を略偏平形状で閉塞する両端鏡部を貼り合わせて構成されていることを特徴とする起伏ゲート。
【請求項2】
前記膨張時の中央胴部は、水路の底部に沿う部分が略フラット形状であり、扉体の背部に沿う部分が略フラット形状であることを特徴とする請求項1に記載の起伏ゲート。
【請求項3】
前記両端鏡部に、水路の底部に固定するヒレ状固定部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の起伏ゲート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図6(a)(b)に示すように、水路11の底部11aで、上流側の起立位置Uと下流側の倒伏位置Dとの間で回動可能にクランプされた扉体13と、この扉体13の下流側に設置された袋体14とが設けられて、空気の供給による袋体14の膨張で扉体13が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体14の収縮で扉体13が倒伏方向に回動されるようになった起伏ゲート12がある(特許文献1参照)。
【0003】
前記のような起伏ゲート12において、袋体14は、通常、図7(a)のように、重ね合わせた2枚のゴム製シートの四周囲を貼り合わせて封筒状に成形している。したがって、空気の供給で袋体14が膨張すると、図7(c)の側面視では略円形状になるが、図7(b)の正面視では、両端14aが内方に大きく凹んだ略三日月状になる。
【0004】
このため、図6(b)に示したように、扉体13の幅Wと略同じ幅の袋体14を設置している場合であっても、扉体13の幅Wの略半分の幅W/2で袋体14の中央部分のみが扉体13に接触することになる(ハッチングa参照)。
【0005】
このように、扉体13に対する袋体14の接触面積が少ないことから、扉体13の自重や水圧を支えるためには、袋体14内の空気圧を高圧にする必要がある。
【特許文献1】特開2002−309547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、袋体14内の空気圧を高圧にする場合には、袋体14に作用する張力の増大に伴って、高強度のゴム製材料を使用しなければならず、空気を供給するコンプレッサ等も高能力のものを使用しなければならないので、高価格になるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、袋体の形状を工夫することで、扉体に対する接触面積を増加させることにより、高強度のゴム製材料や高能力のコンプレッサ等を使用する必要を無くして、低価格化を実現できるようにした起伏ゲートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、水路の底部で、上流側の起立位置と下流側の倒伏位置との間で回動可能にクランプされた扉体と、この扉体の下流側に設置された袋体とが設けられて、空気の供給による袋体の膨張で扉体が起立方向に回動されるとともに、空気の排出による袋体の収縮で扉体が倒伏方向に回動されるようになった起伏ゲートにおいて、前記袋体は、扉体の幅方向に長い略円筒形状で膨張する中央胴部に、この中央胴部の膨張状態の両端開口を略偏平形状で閉塞する両端鏡部を貼り合わせて構成されていることを特徴とする起伏ゲートを提供するものである。
【0009】
請求項2のように、前記膨張時の中央胴部は、水路の底部に沿う部分が略フラット形状であり、扉体の背部に沿う部分が略フラット形状であることが好ましい。
【0010】
請求項3のように、前記両端鏡部に、水路の底部に固定するヒレ状固定部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、袋体の中央胴部の膨張状態の両端開口に、両端鏡部を貼り合わせて略偏平形状で閉塞することにより、いわば立体裁断の手法で袋体を立体成形できるようになるから、空気の供給で袋体が膨張しても、両端は従来のような略三日月状ではなく、略偏平形状となるために、扉体の幅と略同じ幅の袋体を設置している場合には、扉体の幅と略同じ幅で袋体が扉体に接触することになる。
【0012】
したがって、扉体に対する袋体の接触面積(加圧面積)が増加することから、扉体の自重や水圧を支えるためには、袋体内の空気圧を高圧にする必要が無くなるので、高強度のゴム製材料や高能力のコンプレッサ等を使用する必要も無くなって、低価格化が実現できるようになる。
【0013】
請求項2のように、袋体を立体成形する結果、中央胴部の水路の底部に沿う部分を略フラット形状とすることで、水路の底部に接する面積が増加して、水路の底部に対する固定状態が安定するとともに、中央胴部の扉体の背部に沿う部分を略フラット形状とすることで、扉体に対する接触面積(加圧面積)がより増加するようになる。
【0014】
請求項3のように、両端部分のヒレ状固定部で袋体を水路の底部に固定できるので、固定作業が簡単に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1(a)(b)に示すように、河川や水路1を横切るように設けられる起伏ゲート2は、水路1の底部1aで、上流側の起立位置Uと下流側の倒伏位置Dとの間で回動可能にクランプされた扉体3と、この扉体3の下流側に設置された袋体4とが設けられて、空気の供給による袋体4の膨張で扉体3が起立方向に回動されるとともに、図2(a)(b)(c)に示すように、空気の排出による袋体4の収縮で扉体3が倒伏方向に回動されるようになっている。
【0017】
袋体4には、コンプレッサ7、圧縮空気タンク8および三方電磁切換弁9を介して空気の給排気管6が接続されて、三方電磁切換弁9の切換によって、矢印cのように袋体4に空気を給気するとともに、矢印dのように袋体4から空気を排気するようになっている。
【0018】
鋼製の扉体3は、横長長方形状に形成されて、下端部が底部1aにヒンジ部材5Aで回動可能にクランプされるとともに、上端部と底部1aとの間がチェーン等の可撓性連結部材5Bで連結されて、この連結部材5Bによって扉体3の起立位置Uの上限が規制されるようになる。
【0019】
ゴム製の袋体4は、横長枕状に形成されて、後述する両端鏡部4B,4Cのヒレ状固定部4Dが底部1aに固定されることにより、上方に膨張すると共に、下方に収縮するようになる。
【0020】
袋体4は、図3(a)(b)のように、扉体3の幅方向に長い略円筒形状で膨張する中央胴部4Aと、図3(c)(d)のように、中央胴部4Aの膨張状態の一方端開口(図では左端開口)4bを略偏平形状で閉塞する一端鏡部4Bと、図3(e)(f)のように、中央胴部4Aの膨張状態の他方端開口(図では右端開口)4cを略偏平形状で閉塞する他端鏡部4Cとを有している。
【0021】
そして、中央胴部4Aの膨張状態の両端開口4b,4cに両端鏡部4B,4Cを気密に貼り合わせることで、図5のように、袋体4が構成されている。
【0022】
膨張時の中央胴部4Aは、図3(a)のように、水路1の底部1aに沿う部分4dを略フラット形状に形成するとともに、扉体3の背部に沿う部分4eを略フラット形状に形成している。
【0023】
また、両端鏡部4B,4Cには、図4(a)(b)(c)のように、水路1の底部1aに外向きで固定するヒレ状固定部4Dが貼り付けて設けられている。
【0024】
前記のように起伏ゲート2の袋体4を構成すれば、袋体4の中央胴部4Aの膨張状態の両端開口4b,4cに、両端鏡部4B,4Cを貼り合わせて略偏平形状で閉塞することにより、いわば立体裁断の手法で袋体4を立体成形できるようになる。
【0025】
これにより、空気の供給で袋体4が膨張しても、両端は従来のような略三日月状ではなく、略偏平形状となるために、図1(b)のように、扉体3の幅Wと略同じ幅W1の袋体4を設置している場合には、扉体の幅Wと略同じ幅W´で袋体4が扉体3に接触することになる(ハッチングb参照)。
【0026】
図1(b)では、ヒレ状固定部4Dを大きく描いたために、袋体4の幅W1を扉体3の幅Wよりも狭く描いた結果、扉体の幅Wに対して接触する幅W´が狭いように感じられるが、実際には、ヒレ状固定部4Dの幅は狭いものであることから、扉体3の幅Wと袋体4の幅W1とが略同じであるので、扉体3の幅Wと略同じ幅W´で袋体4が扉体3に接触することになる。なお、袋体4をヒレ状固定部4Dで水路1の底部1aに外向きで固定するのでは無く、袋体4の下部を水路1の底部1aに固定する固定構造を採用すれば、扉体3の幅Wと袋体4の幅W1とを略同じにすることができる。
【0027】
したがって、扉体3に対する袋体4の接触面積(加圧面積)が増加することから、扉体3の自重や水圧を支えるためには、袋体4内の空気圧を高圧にする必要が無くなるので、高強度のゴム製材料や高能力のコンプレッサ等を使用する必要も無くなって、低価格化が実現できるようになる。すなわち、従来の袋体14は、扉体13の幅Wの略半分の接触幅W/2であったが、本実施形態の袋体4は、扉体3の幅Wと略同じ接触幅W´(接触幅が約2倍)であるから、袋体4内の空気圧が約1/2でよく、袋体4の材料強度が1/2のものが適用できるので、低価格化が実現できることになる。
【0028】
また、袋体4を立体成形する結果、中央胴部4Aの水路1の底部1aに沿う部分4dを略フラット形状とすることで、水路1の底部1aに接する面積が増加して、水路1の底部1aに対する固定状態が安定するとともに、中央胴部4Aの扉体3の背部に沿う部分4eを略フラット形状とすることで、扉体3に対する接触面積(加圧面積)がより増加するようになる。
【0029】
さらに、両端部分の外向きヒレ状固定部4Dで袋体4を水路1の底部1aに固定できるので、固定作業が簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る起伏ゲートであり、(a)は起立位置の側面図、(b)は下流側から見た起立位置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る起伏ゲートであり、(a)は倒伏位置の平面図、(b)は倒伏位置の側面図、(c)は下流側から見た倒伏位置の正面図である。
【図3】袋体であり、(a)は中央胴部の側面図、(b)は中央胴部の正面図、(c)は一端鏡部の側面図、(d)は一端鏡部の正面図、(e)は他端鏡部の側面図、(f)は他端鏡部の正面図である。
【図4】袋体であり、(a)は一端鏡部側の側面図、(b)は正面図、(c)は他端鏡部側の側面図である。
【図5】起立位置の扉体と袋体の斜視図である。
【図6】従来の起伏ゲートであり、(a)は起立位置の側面図、(b)は下流側から見た起立位置の正面図である。
【図7】従来の起伏ゲートの袋体であり、(a)は収縮状態の斜視図、(b)は膨張状態の正面図、(c)は膨張状態の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 水路
1a 底部
2 起伏ゲート
3 扉体
4 袋体
4A 中央胴部
4B 一方鏡部
4C 他方鏡部
4D ヒレ状固定部
4b 一方端開口
4c 他方端開口
4d 水路の底部に沿う部分
4e 扉体の背部に沿う部分
U 起立位置
D 倒伏位置
【出願人】 【識別番号】591073337
【氏名又は名称】株式会社丸島アクアシステム
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎

【識別番号】100097054
【弁理士】
【氏名又は名称】麻野 義夫


【公開番号】 特開2008−25169(P2008−25169A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197743(P2006−197743)