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変状監視機能付き軌道及び軌道変状監視システム並びに軌道変状監視方法 - 特開2008−169547 | j-tokkyo
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【発明の名称】 変状監視機能付き軌道及び軌道変状監視システム並びに軌道変状監視方法
【発明者】 【氏名】村本 勝己

【要約】 【課題】レールに傾斜が生じたときの傾斜角度を正確に検出することのできる機能をレールに持たせる。

【解決手段】レール1がまくらぎ2に支持された軌道において、レール1の長さ方向に間隔を置き、レール1に沿って複数個の傾斜計3を設置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールがまくらぎに支持された軌道において、前記レールの長さ方向に間隔を置き、前記レールに沿って複数個の傾斜計が設置されていることを特徴とする変状監視機能付き軌道。
【請求項2】
レールがまくらぎに支持された軌道において、前記レールの長さ方向に間隔を置き、前記レールに沿って設置される複数個の傾斜計と、前記複数個の傾斜計から得られる複数の傾斜角度と、前記傾斜計間の間隔から前記レールの沈下量を算出する演算手段とを備えることを特徴とする軌道変状監視システム。
【請求項3】
レールがまくらぎに支持された軌道において、前記レールの長さ方向に間隔を置き、前記レールに沿って設置された複数個の傾斜計から複数の傾斜角度を取得する工程と、この傾斜角度と、前記傾斜計間の間隔から前記レールの沈下量を算出する工程とを含むことを特徴とする軌道変状監視方法。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はレールを支持するまくらぎに沈下が生じたときに、レールの変状を検出する機能をレールに持たせた変状監視機能付き軌道、及び検出した変状からレールの沈下量を算出する軌道変状監視システム並びに軌道変状監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体交差工事や線路近接箇所での構造物建設等のような線路近接工事では、路盤の変形に伴って軌道が沈下したり、隆起したりする事故が発生する可能性がある。例えば図5に示すように軌道が敷設されている路盤の一部を掘削するような場合、掘削に伴い、路盤が変形し、路盤に支持されている道床(バラスト)に沈下が生ずる可能性がある。
【0003】
道床に沈下が生ずればまくらぎが沈下するため、レールが湾曲する等の変形を起こすに至る。一旦、レールに変形が生ずれば、変形量が次第に増大し、列車の事故につながり得るため、レールの変状を監視することは線路近接工事においては不可欠になる。
【0004】
線路近接工事を行う際には、軌道や路盤の変形を動態観察することになるが、工事中も列車の運行は継続するため、軌道の変形を観測するための計測は困難なことが多い。一般に行われているレーザーを用いた光学式計測(特許文献1参照)は装置自体が高価である上、運用が難しいこともあり、大規模工事でなければ、実施に適しない。
【0005】
一方、変位計を用いて軌道変位を計測するには、軌道の脇等に不動点を確保する必要があるため、そのための準備作業と設備が煩雑になる。また軌道変位を精度よく監視するには、多点での計測が不可欠であるため、信号ケーブルの本数が多くなり、工事の進行を阻害することになる。特に複々線の場合にはケーブルが軌道を跨ぐ形になり、実際の適用は困難である。
【0006】
レーザーや変位計に代え、傾斜計を用いれば、設備を簡略化することができる上、不動点を確保する必要もないが(特許文献2参照)、傾斜計の感度を高める上では傾斜計の設置位置が重要な要素になる。
【0007】
【特許文献1】特開平8−302723号公報(請求項1、段落0013、0017〜0025、図1〜図3)
【特許文献2】特開平9−273171号公報(請求項1、段落0009〜0019、図2、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば図4に示すように設置のし易いまくらぎに傾斜計を設置した場合、まくらぎは道床が沈下したときにも上下面が水平を維持したまま降下しようとするため、傾斜計本来の感度を得ることが難しい。
【0009】
特許文献2のようにレール上を走行する四輪の計測台車上に傾斜計を設置した場合には、計測台車上の傾斜計は状況に応じてはレールに生じている傾斜の角度をある程度正確に検出することができると考えられる。
【0010】
しかしながら、計測台車はレール上の距離を置いた2点間に跨ることから、レールの湾曲程度が大きいときには、湾曲したレール上で計測台車が水平な状態で静止することがあり得るため、レールの傾斜角度を正確に検出することは難しい。
【0011】
本発明は上記背景より、レールに傾斜が生じたときの傾斜角度を正確に検出することのできる機能をレールに持たせた変状監視機能付き軌道、及び傾斜角度からレールの沈下量を把握する軌道変状監視システム並びに軌道変状監視方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明の変状監視機能付き軌道は、レールがまくらぎに支持された軌道において、前記レールの長さ方向に間隔を置き、前記レールに沿って複数個の傾斜計が設置されていることを構成要件とする。傾斜計は少なくともレールの軸を含む鉛直面内の水平軸に対するレールの軸の傾斜角度を計測することができるように設置される。
【0013】
傾斜計はレールに直接設置される他、例えば隣接するまくらぎ間に、レールに沿うように架設される部材に設置される。レール、またはレールに沿った部材に設置されれば、傾斜計の設置位置は問われない。只、まくらぎ上に位置する部分ではレールの傾斜(回転変形)がまくらぎに拘束されることが想定されるため、傾斜計の感度を上げる上では、レールの拘束がない、隣接する2本のまくらぎ間の中間位置に傾斜計が設置されることが適切である。
【0014】
隣接するまくらぎ間に架設される部材の中間部に傾斜計が設置された場合には、まくらぎ間の部材は隣接するまくらぎ間単位で独立するため、連続したレールに設置された場合より、隣接するまくらぎ間の相対鉛直変位を検出し易いこともある。
【0015】
請求項1ではレールの長さ方向に間隔を置いて傾斜計が設置されることで、レールが湾曲等、変形したときに、傾斜計の設置位置におけるレールの接線と水平線とのなす角度を計測することが可能である。この接線と水平線とのなす角度はレールの傾斜角度に他ならないから、レールの傾斜角度が正確に検出されることになる。レールの傾斜角度は傾斜計が設置され、沈下を起こした全地点の内、傾斜角度が0、または0に近い2地点間の中間の地点において大きくなる。
【0016】
傾斜計が設置された任意の2点間の相対鉛直変位(相対的な沈下量)は相対的に沈下量の小さい地点における傾斜角度と、2点間の水平距離から求まる。図2−(a)に示すように相対的に沈下量の小さい地点での傾斜角度がφn、隣接する2地点間の水平距離がLnであれば、沈下量の大きい側の相対的な沈下量dnはLn×tan(φn)として求められる。但し、変形後のレール上の2地点間距離は変形前の2地点間の水平距離とほとんど同じであるため、沈下量dnの算出にレール上の2地点間距離や、隣接するまくらぎ間距離を用いることもできる。添え字のnは任意の位置を意味する。
【0017】
隣接する2地点間の水平距離Ln等と傾斜角度φnからは、隣接する2地点間の相対鉛直変位量dnが求まるため、この隣接する2地点間の相対鉛直変位量(相対沈下量)dnの合計から、最も沈下の大きい地点における絶対沈下量が求まる。
【0018】
傾斜計が2軸の能力を有する場合には、図2−(b)に示すように並列するレールの上面を含む面の、沈下による傾斜角度θnを計測することができるため、並列するレール間距離Wと傾斜角度θnから、水準偏差hnを検出することが可能である。ここでの傾斜角度θnは沈下を起こす前のまくらぎ2上面を含む面に対する、沈下後のまくらぎ2上面を含む面の傾斜角度に等しい。
【0019】
各傾斜計から得られた複数の傾斜角度等のデータは無線、または有線でパーソナルコンピュータ等の演算手段へ送信され、演算手段において各地点の相対沈下量が前記のように算出される。相対沈下量の合計値から各地点での絶対沈下量が算出され、各地点での絶対沈下量から、後述のように変形を起こした後のレールの形状を特定することも行われる。レールの形状が特定されることで、例えばレールの形状をモニタリングし、変形の度合いを目視で確認することも可能になる。
【0020】
上記した隣接する2地点間の相対沈下量dn、及び絶対沈下量の算出、並びに水準偏差hnの算出はCPU、MPU等の演算手段によって行われ、絶対沈下量からレールの高低狂いの程度が判明する。また水準偏差hnからレールの水準狂いの程度が判明し、これらの評価に基づいて道床を補修すべきか否かの判断がなされる。
【0021】
請求項2に記載の軌道変状監視システムは、レールがまくらぎに支持された軌道において、前記レールの長さ方向に間隔を置き、前記レールに沿って設置される複数個の傾斜計と、前記複数個の傾斜計から得られる複数の傾斜角度と、前記傾斜計間の間隔から前記レールの沈下量を算出する演算手段とを備えることを構成要件とする。
【0022】
請求項3に記載の軌道変状監視方法は、レールがまくらぎに支持された軌道において、前記レールの長さ方向に間隔を置き、前記レールに沿って設置された複数個の傾斜計から複数の傾斜角度を取得する工程と、この傾斜角度と、前記傾斜計間の間隔から前記レールの沈下量を算出する工程とを含むことを構成要件とする。複数個の傾斜計の傾斜角度はコントローラ等による指令によって演算手段へ送信され、演算手段において傾斜角度の取得と沈下量の算出が行われる。
【0023】
傾斜計間の間隔は基本的に任意の2地点の上記した傾斜計間の水平距離を指すが、前記の通り、変形後のレール上の2地点間距離は変形前の2地点間の水平距離とほとんど同じであるため、請求項2、請求項3における沈下量の算出にレール上の2地点間距離や、隣接するまくらぎ間距離を用いることもできる。
【発明の効果】
【0024】
レールの長さ方向に間隔を置き、レールに沿って複数個の傾斜計を設置するため、変形したレールの各部の水平線に対する傾斜角度を正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0026】
図1はレール1がまくらぎ2に支持された軌道において、レール1の長さ方向に間隔を置き、レール1に直接、または間接的に複数個の傾斜計3が設置されている変状監視機能付き軌道の具体例を示す。本発明で言う軌道は主としてレール1を指すが、レール1とまくらぎ2、道床(バラスト)4を含む総称の意味もある。
【0027】
図1ではレール1の、隣接する2本のまくらぎ2、2間の中間位置に傾斜計3を設置しているが、レール1の、まくらぎ2上に位置する部分に傾斜計3を設置することもある。また傾斜計3はまくらぎ2の沈下に起因するレール1の変形(回転変形)を検出することができればよいため、例えば隣接するまくらぎ2、2間に梁材を架設し、この梁材に傾斜計3を設置することも可能である。
【0028】
レール1に設置される場合、傾斜計3はレール1の側面に固定状態に装着される。この場合の固定手段は問われないが、傾斜計3に磁石を一体化させておけば、接着剤や取付用の部品を使用することなく、レール1への着脱作業を容易に行える利点がある。
【0029】
レール1の回転変形はレール1の軸に直交する水平軸の回りに生ずることから、傾斜計3はこの水平軸回りの回転変形量(傾斜角度φn)を計測することができればよいため、傾斜計3には1軸以上の傾斜計が使用される。傾斜計3には主として加速度センサ等が使用されるが、その種類は問われない。
【0030】
2軸の傾斜計が使用されれば、図2−(a)、(b)に示すように前記水平軸回りの回転変形量に加え、レール1の軸に直交する面内での、水平面等に対するレール1の傾斜角度θを計測することができ、レール1の水準狂いも検出することができる。
【0031】
図1に示すように道床(バラスト)4の沈下に伴ってまくらぎ2が沈下し、レール1に変形が生じたとき、図2−(a)に示すように各地点に設置されている傾斜計3においてレール1の前記した傾斜角度φnが計測される。道床4が沈下を起こした後の両レール1、1の上面を含む面が、沈下を起こす前の状態での並列するレール1、1の上面を含む面に対して角度が生じている場合には、図2−(b)に示すようにその傾斜角度θnとレール1、1間距離(軌道間隔W)から、水準偏差hnが求められる。
【0032】
各傾斜計3で計測された傾斜角度φn、θnはパーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)5、または無線LANユニット6に内蔵されるマイクロコンピュータ等におけるCPU等の演算手段に送られる。PC5には図2に示す、例えばまくらぎ2、2間距離等の傾斜計3、3間の水平距離Lnとレール間距離Wが予め記憶されている。
【0033】
演算手段において、例えば隣接する傾斜計3、3間の水平距離Lnと前記傾斜角度φnを用いてLn×tan(φn)として、隣接する傾斜計3、3間の相対的な鉛直変位量dnが算出される。また傾斜角度θnと軌道間隔Wを用いてhn=W×sin(θn)として水準偏差hnが算出される。
【0034】
演算手段ではまた、各地点での鉛直変位量dnと水準偏差hnの分布が算出される。傾斜計3は並列するレール1、1の内の少なくともいずれか一方に設置され、両レール1、1に設置された場合には、両レール1の鉛直変位量dnの分布が判明する。
【0035】
傾斜計3が一方のレール1にのみ設置された場合には、一方のレール1における鉛直変位量dnの分布と、水準偏差hnの分布から他方のレール1における鉛直変位量dnの分布が算出される。各レール1の鉛直変位量dnの分布から、各レール1の変形後の形状(曲線)が算出される。
【0036】
図3はレール1に設置された傾斜計3と、各傾斜計3から取得された傾斜角度φnを無線LANユニット6からPC5に送信する状況を示している。無線LANユニット6はまくらぎ2の上面や側面等、傾斜計3との干渉が生じない位置に設置され、例えばそのまくらぎ2を挟んで両側に位置する2個の傾斜計3、3からの傾斜角度φnのデータを取得し、直接、またはメインの無線LANユニット6を経由してPC5へ送信する。
【0037】
図3では全無線LANユニット6からのデータを一旦、メインとなる無線LANユニット6に集めた後、この無線LANユニット6からPC5へ送信しているが、送信は各無線LANユニット6から個別に行うこともある。PC5には無線LANユニット6からのデータを受信する受信ユニット7が接続される。
【0038】
全無線LANユニット6から受信したデータがPC5に保存され、PC5において、保存されたデータと、予め記憶されているLnやW等の値を用いた前記の演算が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】レールに沿って傾斜計を設置した本発明の変状監視機能付き軌道の変形時の様子を示した立面図である。
【図2】(a)は隣接するまくらぎ間に相対沈下が生じたときの様子を示したレールの側面図、(b)はレール間に水準偏差が生じたときの様子を示したレールの断面図である。
【図3】本発明の軌道変状監視システムの概要を示した概念図である。
【図4】傾斜計をまくらぎ上に設置した場合のレールの変形時の様子を示した立面図である。
【図5】線路下の路盤に対する掘削により路盤とまくらぎが沈下し、レールが変形した様子を示した立面図である。
【0040】
1……レール
2……まくらぎ
3……傾斜計
4……道床(バラスト)
5……PC(パーソナルコンピュータ)
6……無線LANユニット
7……受信ユニット

【出願人】 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【出願日】 平成19年1月9日(2007.1.9)
【代理人】 【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之

【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘


【公開番号】 特開2008−169547(P2008−169547A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−982(P2007−982)