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【発明の名称】 新素材補強マクラギ
【発明者】 【氏名】島▲崎▼ 省三

【氏名】伊藤 嗣夫

【氏名】小沼 修一

【氏名】三宅 淳一朗

【要約】 【課題】酸性物質や塩分を含んだ漏水のおきやすい地下鉄などの劣悪な環境下の利用に耐え得る新素材補強マクラギを提供する。

【解決手段】コンクリートからなるマクラギ本体2と、炭素繊維から棒状に形成され、マクラギ本体2内に配置された複数の炭素製補強部材3とから構成する。炭素製補強部材3は組紐状に形成する。マクラギ本体2は高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートから形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートからなるマクラギ本体と、炭素繊維から棒状に形成され、前記マクラギ本体内に配置された複数の炭素製補強部材とから構成されてなることを特徴とする新素材補強マクラギ。
【請求項2】
炭素製補強部材は組紐状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の新素材補強マクラギ。
【請求項3】
マクラギ本体は高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートから形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の新素材補強マクラギ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特に漏水などの悪環境下の利用に適した新素材補強マクラギに関し、主に地下鉄の軌道に利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、地下鉄の道床部は常に漏水などの劣悪な条件下にさらされ、特に都市部における地下鉄の道床部は、いろいろな混入物が漏水に混じって流れていることが予測される。
【0003】
【特許文献1】特開2001−279602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道床部に敷設されたマクラギは漏水の影響を受けやすく、特にこれまで一般に用いられているRCマクラギは、酸性物質や塩分を含んだ漏水が浸透してコンクリートおよびコンクリート内の補強筋が腐食し、爆裂して短期間のうちに損傷劣化してしまうという課題があった。
【0005】
この問題を解決する方法として、補強筋として樹脂コーティングされた鉄筋を配筋したり、補強筋の代わりにアラミド繊維材を用いたりすることが行われているが、樹脂コーティングされた鉄筋はRCマクラギの製造中に樹脂コーティングが破断してしまうことがあり、またアラミド繊維材はヤング係数が小さく、伸びが大きいためひび割れ耐力に課題があった。
【0006】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、耐久性にすぐれ、特に劣悪な環境下の利用に耐え得る新素材補強マクラギを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の新素材補強マクラギは、コンクリートからなるマクラギ本体と、炭素繊維から棒状に形成され、前記マクラギ本体のコンクリート内に配置された複数の炭素製補強材とから構成されてなることを特徴とするものである。
【0008】
本発明は、特に補強筋の代わりに炭素繊維から棒状に形成された炭素製補強部材を利用することで、酸性物質や塩分を含んだ漏水による補強部材の劣化等を防止してマクラギの耐久性を高めたものである。
【0009】
なお、炭素製補強部材には炭素繊維を例えば組紐状に編み、樹脂で含浸硬化させて所定径の棒状に形成されたものを用いることができ、また、RC構造における鉄筋の配筋方法に準じて配置し、断面設計を行うことができる。さらに、マクラギの形状や大きさに応じてあらかじめ所定の形状に組み立てておくことにより、炭素製補強部材を型枠内に効率的に配置することができる。また、この場合の炭素製補強部材は、当該炭素製補強部材どうしを接着材で接着するか、あるいは結束線で結束することにより容易に組み立てることができる。
【0010】
なお、これまでのRCマクラギには、補強筋としてD−φ6(断面積32mm、許容引張荷重5.6KN)、D−φ10(断面積71mm、許容引張荷重12.46KN)またはD−φ13(断面積126mm、許容引張荷重22.1KN)が用いられているが、本発明においては断面積25mmまたは42mm程度の炭素製補強部材を用いることができる。この程度の炭素製補強部材でも、許容引張荷重がそれぞれ18KN、29KNもあり、強度上余裕がありすぎるが、複雑な形状への加工という点で望ましい。
【0011】
請求項2記載の新素材補強マクラギは、請求項1記載の新素材補強マクラギにおいて、炭素製補強部材は組紐状に形成されてなることを特徴とするものである。炭素製補強部材が組紐状に形成されていることで、炭素製補強部材の表面が凹凸状をなしコンクリートの付着力を高めることができる。
【0012】
請求項3記載の新素材補強マクラギは、請求項1または2記載の新素材補強マクラギにおいて、マクラギ本体は高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートから形成されてなることを特徴とするものである。高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートは特に塩害に強いため、マクラギ本体が高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートで形成してあれば、酸性物質や塩分を含んだ漏水の内部への拡散が抑制されるため、マクラギ本体の劣化も抑制することができるだけでなく、高炉スラグ微粉末は高炉で銑鉄を製造する際に排出される副産物であるため、これを利用することにより資源のリサイクルにもつながり、非常に経済的である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る新素材補強マクラギは、マクラギ本体のコンクリートとして高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートが用いられ、当該マクラギ本体のコンクリート内には補強筋の代わりに炭素繊維から棒状に形成された炭素製補強部材が配置されているため、特に酸性物質や塩分を含んだ漏水に強く、地下鉄用のマクラギとして実用性が高い。
【0014】
また、銑鉄を製造する際の副産物として排出される高炉スラグを利用していることにより資源のリサイクルにもつながり、非常に経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1(a)〜(d)は短マクラギを示し、当該短マクラギ1はマクラギ本体2と当該マクラギ本体2のコンクリート内に配置された複数の炭素製補強部材3とから構成されている。
【0016】
マクラギ本体2は所定量の高炉スラグ微粉末が配合されたコンクリートから成形されている。また、マクラギ本体2の上端部の中央部に浅い凹溝状に形成されたレール締結部2aが形成され、当該レール締結部2aの底部にレール締結用埋込栓2b,2bが埋設されている。
【0017】
炭素製補強部材3は炭素繊維を組紐状に編み、樹脂で含浸硬化させて所定径の棒状に形成されている。また、炭素製補強部材3は複数、炭素製補強部材3どうしを互いに接着材で接着したり、あるいは結束線で結束したりすることによって所定の形状に組み立てられている。さらに、炭素製補強部材3の一部がマクラギ本体2の下端部に複数突設され、短マクラギ1を道床に固定するためのアンカー部3a,3aになっている。当該アンカー部3a,3aは短マクラギ本体2の軸方向の両端部に対称に突設されている。
【0018】
図2(a),(b)は長尺マクラギを示し、当該長尺マクラギ4はマクラ本体5と当該マクラギ本体5のコンクリート内に配置された複数の炭素製補強部材6とから構成されている。
【0019】
マクラギ本体5は所定量の高炉スラグ微粉末が配合されたコンクリートから成形されている。また、マクラギ本体5の材軸方向の両端部の上端部に浅い凹溝状に形成されたレール締結部5aが形成され、当該レール締結部5aの底部にレール締結用埋込栓5b,5bが埋設されている。
【0020】
炭素製補強部材6は炭素繊維を組紐状に編み、樹脂で含浸硬化させて所定径の棒状に形成されている。また、炭素製補強部材6は複数、炭素製補強部材6どうしを互いに接着材で接着したり、あるいは結束線で結束したりすることによって所定の形状に組み立てられている。さらに、炭素製補強部材6の一部がマクラギ本体5の材軸方向の両端部の下端部に突設され、長尺マクラギ4を道床に固定するためのアンカー部6aになっている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は耐久性にすぐれ、特に劣悪な環境下の利用に耐え得る新素材補強マクラギを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】短マクラギを示し、(a)は短マクラギの斜視図、(b)は軸方向の縦断面図、(c)は水平断面図、(d)は軸直角方向の縦断面図である。
【図2】長尺マクラギを示し、(a)は長尺マクラギの斜視図、(b)は軸方向の端部縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 短マクラギ
2 マクラギ本体
2a レール締結部
2b レール締結用埋込栓
3 炭素製補強部材
3a アンカー部
4 長尺マクラギ
5 マクラギ本体
5a レール締結部
5b レール締結用埋込栓
6 炭素製補強部材
6a アンカー部



【出願人】 【識別番号】398047227
【氏名又は名称】横浜市
【識別番号】591121111
【氏名又は名称】株式会社安部日鋼工業
【出願日】 平成18年12月26日(2006.12.26)
【代理人】 【識別番号】100070091
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 知

【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享


【公開番号】 特開2008−156983(P2008−156983A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−349607(P2006−349607)