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【発明の名称】 充填剤でねじ部材を固定する穴に設ける溝および溝の成形装置
【発明者】 【氏名】山崎 清水

【氏名】兼平 豊治

【要約】 【課題】鉄道のスラブに予め穿ってある穴に溝を追加形成した後にねじ部材を充填剤で固定する工法において、ねじを繰り返し締め付けても抜け出すことがない強度が得られる溝の形状と、該溝の成形装置を提供する。

【解決手段】溝の形状は、ねじの推力に対しては直角な受け面を有し且つ溝上面122と溝下面123の間隔を充填剤14固化後の所要強度が得られる寸法とした矩形状断面形状とし、ねじのトルクに対しては断面の外周が例えば花びら様に凹凸となる面を有する形状とする。溝の成形は、切削工具には側フライスを穴に挿入し穴の軸中心線の直角方向に切込み、外周の花びら様に成形は切込みの向きを変え切込みを繰り返して行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道のスラブに穿ってある穴に溝を追加成形した後にねじ部材を充填剤で固定する工法において、該溝を穴の中心線を通るたて断面においては溝の上下両側面を穴軸心に対して直角にし且つ溝上面と溝下面の間隔を充填剤固化後の所要強度が得られる寸法とした矩形状断面形状と、穴軸心に対して直角な横断面においては溝の外周を花びら様または円形の形状とで構成し、ねじ締付で発生する推力とトルクへの耐力を大きくしたこと特徴とした充填剤でねじ部材を固定する穴に設ける溝。
【請求項2】
〔請求項1〕の溝を成形する装置を、外周に切削刃を有する切削工具を取り付けモ−タによって回転駆動する主軸を具えた切削ヘッドと該切削ヘッドを主軸の軸中心線の直角方向に案内する送り案内棒を把持する送り装置と該送り装置を取付るベ−スプレ−トとを装備した切削ユニットと、該切削ユニットを載置する円板プレ−トと穴に挿入可能に突出させた爪部を夫々有し拡縮可能に対向して配置した可動爪および固定爪を具えた拡縮機構部を装備したベ−スとで構成し、拡縮機構部の可動爪の爪部と固定爪の爪部によって成形装置をスラブの穴に直接設置して溝を成形可能にしたことを特長とした〔請求項1〕の溝の成形装置。
【請求項3】
〔請求項1〕の溝を成形する装置を、外周に切削刃を有する切削工具を取り付けモ−タによって回転駆動する主軸を具えた切削ヘッドと該切削ヘッドを主軸の軸中心線の直角方向に案内する送り案内棒を把持する送り装置と該送り装置を取付るベ−スプレ−トとを装備した切削ユニットと、該ベ−スプレ−トに取り付けたスパイクを有する位置保持部材と該ベ−スプレ−トからスラブの穴に挿入可能に突き出し前記主軸の軸中心線に左右対称に開口部挟んで配置した一対の脚と該脚に取り付け夫々回転方向の反対端に爪を有するスプリングを装備した位置保持機構部とで構成し、穴に脚を挿入して設置しただけで溝を切削しても位置を保持できることを特長とした〔請求項1〕の溝の成形装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道のスラブやコンクリ−トに充填剤でねじ部材を固定する穴に設ける溝に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道のスラブに予め穿ってある穴に溝を追加形成した後にねじ部材を充填剤で固定する工法において、該穴に設ける溝は先端に刃が先端拡がりに半径方向に増大する機構を備えた中繰り棒を所定の深さまで挿入し中繰り棒を回転させながら刃先が半径方向に増大しつつ穴内面をアンダ−カットし円錐状の溝部を穴の内面に切削成形するものが従来知られている。
【0003】
この従来技術には、次のような欠点があった。刃先の半径方向の突き出し量が限られ円錐状の溝部を十分に大きくできないため、ねじを繰り返し締め付けているうちに抜け出るものが発生するという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来技術の欠点に鑑み、鉄道のスラブに予め穿ってある穴に溝を追加形成した後にねじ部材を充填剤で固定する工法において、ねじ締め切り時の推力とトルクに対してねじを繰り返し締め付けても十分な強度と耐久性が得られる溝形状と、該溝の成形装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の溝12は、鉄道のスラブ1に穿ってある穴11に溝12を追加成形した後にねじ部材13を充填剤14で固定する工法において、穴11の軸心を通る縦断面においては溝上面122および溝下面123の両面を穴11の軸心に対して直角にし且つ溝上面122と溝下面123の間隔を充填剤14固化後の所要強度が得られる寸法とした矩形状断面形状と、穴11の軸心に対して直角な横断面においては溝12を花びら様または円形の外周121a、121b、121Cの形状とで構成する。
【0006】
該溝12の成形は、外周に切削刃を有し充填剤14固化後の所要強度が得られる幅寸法を有する切削工具219を取付る主軸214A、214Bの半径を穴11の半径より溝12の半径方向の穴11の内面からの最大深さ分を差し引いた寸法以下にし、該切削工具219をスラブ1の穴11に挿入し穴11の断面の中心点を通る直径上を移動して穴11の内面に切込んで行い、所要の切込み量を移動したら切削工具219を元の位置に戻した後、移動方向を旋回して同様の切込む操作を繰り返して花びら様に溝の外周121を成形し溝12Aの成形を完成する。
【0007】
本発明の溝の第1の成形装置2Aは、外周に切削刃を有する切削工具219を取り付けモ−タ213によって回転駆動する主軸214Aを具えた切削ヘッド211Aと該切削ヘッド211Aを主軸214Aの軸中心線の直角方向に案内する送り案内棒216を把持する送り装置217と該送り装置217を取付るベ−スプレ−ト218Aとを装備した切削ユニット21Aと、切削ユニット21Aを載置する円板プレ−ト221Aと穴11に挿入可能に突出させた爪部22313Aおよび22321Aを夫々有し拡縮可能に対向して配置する可動爪2231Aおよび固定爪2232Aを具えた拡縮機構部223Aを装備したベ−ス22Aとで構成する。
上記のように構成しているので、拡縮機構部223Aの可動爪2231Aの爪部22313Aと固定爪2232Aの爪部22321Aによって成形装置2Aをスラブ1の穴11に直接設置し切削を可能にすることができる。
【0008】
本発明の溝の第2の成形装置2Bは、外周に切削刃を有する切削工具219を取り付けモ−タ213によって回転駆動する主軸214Bを具えた切削ヘッド211Bと該切削ヘッド211Bを主軸214Bの軸中心線の直角方向に案内する送り案内棒216を把持する送り装置217と該送り装置217を取付るベ−スプレ−ト218Bとを装備した切削ユニット21Bと、該ベ−スプレ−ト218B裏面に主軸中心線の同心円の円弧に対し直行するように配置したスパイク21851Bを有する位置保持部材2185Bと該ベ−スプレ−ト218B裏面からスラブ1の穴11に挿入可能に突き出し前記主軸214Bの軸中心線に左右対称に開口部252B挟んで配置した一対の脚251Bと該脚251Bに取り付け夫々回転方向の反対端に爪2531Bを有するスプリング253Bを装備した位置保持機構部25Bとで構成する。
上記のように構成しているので、穴11に脚251Bに挿入しただけで成形装置2Bをスラブ1に穴11基準で設置でき切削しても成形装置2Bの位置を保持することができる。
【発明の効果】
【0009】
(1)溝部に充填成形して得られる充填剤の突部の外周が花びら様であると共に側面が推力方向に対して直角であり且つ該突部の軸方向長さを所要の寸法が得られるよう溝を成形できるので、推力とトルク夫々の強度を得ることができ、ねじを繰り返し締め付けても抜けることがない。
【0010】
(2)本発明の第1の溝の成形装置2Aは、スラブ1の穴11に挿入しクランプできるので、他の固定機材をスラブ1に設営することなしに、成形装置2Aを容易に該穴11を基準に固定できる。
【0011】
(3)本発明の第2の溝の成形装置2Bは、切削時でも位置保持機構により成形装置2Bの位置を保持できるので、他の固定機材をスラブ1に設営することなしに、スラブ1の穴11に挿入するだけで成形装置2Bを容易に該穴11を基準に固定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
充填剤でねじ部材を固定する穴に関する本発明の溝の形状および溝成形装置について説明する。説明に当り、同一部分は同一符合を付して説明を省略する。
【0013】
図1ないし図2に本発明〔請求項1〕の溝の形状を示す。12は本発明の溝で穴11の軸心に直角な溝上面122および溝下面123と花びら様に凹凸した外周121a、121bまたは円形の外周121cで形成する。外周121a、121bは外周を花びら様に凹凸した例示である。溝12成形後ねじ部材13をスラブ1に固定する工事方法ならびに固定したねじ部材13の使用は従来技術と同じである。
【0014】
本発明の溝を成形する成形装置に関しては、以下の実施例で説明する。
【実施例1】
【0015】
図4ないし図10に〔請求項2〕に記載の本発明の溝を成形する成形装置の実施例を示す。
【0016】
2Aは成形装置で、切削ヘッド211Aと送り装置217とベ−スプレ−ト218Aとで構成する切削ユニット21Aと、ベ−ス22Aとで構成する。
【0017】
切削ヘッド211Aは、摺動穴2113を有する摺動突部2112を設けた切削ヘッド本体2111に送り雌ねじナット212と制御箱2131を有するモ−タ213と主軸214Aを装着、ならびに主軸位置センサ−215をセンサ−支持ア−ム2151を介して取付て構成する。
【0018】
送り装置217は前記切削ヘッド211Aを主軸214A軸線の直角方向に直線的に滑動案内する送り案内棒216と該送り案内棒216を把持する案内棒把持突出部21711を有する送り装置本体2171と該送り装置本体2171に送りねじ2172およびハンドル2173を組付けて構成する。
【0019】
ベ−スプレ−ト218Aは旋回摺動面21811Aと旋回雄いんろう21812Aと中央開口部21813Aとを有するベ−スプレ−ト本体2181Aに前記送り装置217を載置固定、ならびに旋回クランプ2182Aと旋回レバ−2183A取付て構成する。
【0020】
ベ−ス22Aは該ベ−ス本体222Aに旋回摺動面2211Aと旋回雌いんろう2212Aを有し角度位置表示目盛板2213Aを取り付けた円板プレ−ト221Aと対向して拡縮可能に配置した可動爪2231Aおよび固定爪2232Aを具えた拡縮機構部223Aを装備して構成する。
【0021】
拡縮機構部223Aは前記ベ−ス本体222Aに設けた支持穴2223に支持した拡縮棒2233Aと該拡縮棒2233Aの雄ねじ22331Aに螺合し前記ベ−ス本体222Aの案内溝2222Aに滑合する可動爪2231Aとスプリング2234Aと該可動爪2231Aに対抗して配置し前記ベ−ス本体222A固定した固定爪2232Aで構成する。可動爪2231Aと固定爪2232Aには穴11に挿入しスパイク223131Aおよび22321Aを夫々有する爪部22313Aおよび22321Aを具える。
【0022】
使用に当っては、穴11に可動爪2231Aの爪部22313Aと固定爪2232Aの爪部22321Aを挿入し拡縮棒2233Aで成形装置2Aを穴11に設置した後、主軸214Aを起動し送り装置217で穴11の内面に切込んで使用する。外周を花びら形状に成形する場合は主軸214Aが元の位置に戻ったことを主軸位置センサ−215で確認してから切削ユニット21Aを所要の角度旋回した後、穴11の内面に切込んで成形する。
【実施例2】
【0023】
図11ないし図20に〔請求項3〕に記載の本発明の溝を成形する成形装置の実施例を示す。
【0024】
2Bは成形装置で、切削ヘッド211Bと送り装置217とベ−スプレ−ト218Bとで構成する切削ユニット21Bとで構成する。
【0025】
切削ヘッド211Bは、切削ヘッド本体2111に送り雌ねじナット212とモ−タ213と主軸214Bと主軸位置センサ−215とを装着して構成する。
【0026】
ベ−スプレ−ト218Bは中央開口部21813Bとを有するベ−スプレ−ト本体2181Bに前記送り装置217を載置固定し、裏面に主軸中心線の同心円の円弧に対し直行するように配置したスパイク21851Bを有する位置保持部材2185Bとスラブ1の穴11に挿入可能に突き出し前記主軸214Bの軸中心線に左右対称に開口部252B挟んで配置した一対の脚251Bと該脚251Bに取り付け夫々回転方向の反対端に爪2531Bを有するスプリング253Bを装備した位置保持機構部25Bと固定して構成する。
【0027】
使用に当っては、穴11に脚251Bに挿入してスラブ1に穴11への設置を完了し、切削を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の溝の形状を示す正面断面図。
【図2】本発明の溝の形状を示す平面断面図。
【図3】従来技術の溝の形状を説明する正面断面図。
【図4】本発明の溝の成形装置を示す実施例1の一部を断面した正面外観図。
【図5】本発明の溝の成形装置を示す実施例1の平面外観図。
【図6】本発明の溝の成形装置を示す実施例1の一部を断面した左側面外観図。
【図7】図4のA−A断面図。
【図8】図6のB−B断面図。
【図9】本発明の溝の成形装置を示す実施例1の底面図。
【図10】図9のア視拡大図。
【図11】本発明の溝の成形装置を示す実施例2の正面図。
【図12】本発明の溝の成形装置を示す実施例2のの平面外観図。
【図13】図11のC−C断面図。
【図14】本発明の溝の成形装置を示す実施例2の左側面外観図。
【図15】本発明の溝の成形装置を示す実施例2の底面図。
【図16】図15のα部拡大平面図。
【図17】図16の正面図。
【図18】図17の右側面図。
【図19】図14のD−D断面図
【図20】図19のイ視図
【符合の説明】
【0029】
1 スラブ
11 穴
12 溝
121a、121b 外周
122 上面
123 下面
129 円錐状の溝部
13 ねじ部材
14 充填剤
2A、2B 成形装置
21A、21B 切削ユニット
211A、211B 切削ヘッド
2111 切削ヘッド本体
2112 摺動突部
2113 摺動穴
212 送り雌ねじナット
213 モ−タ
2131 制御箱
214A、214B 主軸
215 主軸位置センサ−
2151 センサ−支持ア−ム
216 送り案内棒
2161 案内棒支持部材
21611 案内棒支持穴
2162 位置検出フランジ
217 送り装置
2171 送り装置本体
21711 案内棒把持突出部
21712 案内棒支持穴
2172 送りねじ
2173 ハンドル
218A、218B ベ−スプレ−ト
2181A、2181B ベ−スプレ−ト本体
21811A 旋回摺動面
21812A 旋回雄いんろう
21813A、21813B 中央開口部
2182A 旋回クランプ
2183A 旋回レバ−
2184A 旋回指針
2185B 位置保持部材
21851B スパイク
219 切削工具
22A ベ−ス
221A 円板プレ−ト
2211A 旋回摺動面
2212A 旋回雌いんろう
2213A 角度位置支持目盛板
22111A 目盛
222A ベ−ス本体
2221A 中央穴
2222A 案内溝
2223A 支持穴
223A 拡縮機構部
2231A 可動爪
22311A 側面摺動部
22312A 送り雌ねじ
22313A 爪部
223131A スパイク
2232A 固定爪
22321A 爪部
223211A スパイク
2233A 拡縮棒
22331A 雄ねじ
22332A 角型突部
2234A スプリング
2235A レンチ
25B 位置保持機構部
251B 脚
2511B スプリング取付座
252B 開口部
253B スプリング
2531B 爪部
【出願人】 【識別番号】390041379
【氏名又は名称】株式会社山崎歯車製作所
【識別番号】303059071
【氏名又は名称】独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
【出願日】 平成18年11月8日(2006.11.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−121389(P2008−121389A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−328759(P2006−328759)