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【発明の名称】 都心地域の複合交通システム
【発明者】 【氏名】鳥取 誠一

【氏名】武藤 雅威

【氏名】前橋 栄一

【氏名】岡本 大

【氏名】黒川 浩嗣

【要約】 【課題】最低限の立体構築によって既存の自動車交通等との最低限の分離を最低限に行い、定時性と速達性を持たせつつ競争力を維持して建設コストの低減が可能な道路上空へ構築される複合交通システムを提供することを目的とする。

【解決手段】都心地域の複合交通システムにおいて、複数車線を有するとともに中央部にホーム2が設けられる下層走行路1と、この下層走行路1の中央部のホーム2から上空に最小限の桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路3と、この上層走行路3の中央部に構築される島状停留所4と、この島状停留所4の中央部に前記上層走行路3と下層走行路1を接続する垂直方向の昇降路5と前記島状停留所4の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路3と下層走行路1を接続する傾斜方向の昇降路と、前記上層走行路3にLRT車両が運行される車線と、ガイドウエイバスが運行される車線との共用走行路を構築する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数車線を有するとともに中央部にホームが設けられる下層走行路と、
(b)該下層走行路の中央部のホームから上空に最小限の桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路と、
(c)該上層走行路の中央部に構築される島状停留所と、
(d)該島状停留所の中央部に前記上層走行路と下層走行路を接続する垂直方向の昇降路と前記島状停留所の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路と下層走行路を接続する傾斜方向の昇降路と、
(e)前記上層走行路がLRT車両が運行される車線と、ガイドウェイバスが運行される車線との共用走行路を構築することを特徴とする都心地域の複合交通システム。
【請求項2】
請求項1記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記上層走行路の共用走行路は上り車線と下り車線とを並行に配置することを特徴とする都心地域の複合交通システム。
【請求項3】
請求項1記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路はフード付きの階段であることを特徴とする都心地域の複合交通システム。
【請求項4】
請求項1記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路はフード付きのエスカレータであることを特徴とする都心地域の複合交通システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所の上層走行路の出入口に位置する走行路は立体的な構造を有し、前記島状停留所に接続されることを特徴とする都心地域の複合交通システム。
【請求項6】
請求項1から4の何れか一項記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所と島状停留所とを接続する走行路は複数平行走行路を備えることを特徴とする都心地域の複合交通システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、都心地域の複合交通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図8に示すような四車線の道路における従来のLRT(Light Rail Transit)・バス複合システムでは、図9に示すように、LRT・バス専用走行レーン101は、自動車走行レーン102の両側に新たに路面軌道を敷設して構築する必要がある。
【0003】
新たな交通システム走行路(線路・ガイドウエイを含む)を建設、設置する場合、特に、市街地や住宅地等の都市周辺地域では用地確保が困難となる。
【0004】
高価な用地買収は、交通システム開通後の運賃や維持経費に転嫁され、経営継続困難な状況に至らしめる場合があり、一方、用地買収が容易な郊外だけに線路建設しても利用客が集まらずに経営が破綻する傾向がある。
【0005】
このような背景から、新規交通システムは利用客が見込めるものの用地買収が困難な地域に最低限の結節を図りながらも、全線にわたって建設費低減可能な構築を行わないと運営・維持管理が不可能なものとなる。
【0006】
郊外エリアでも地平構築は道路平面交差の問題も生じ、一般自動車と混在する路面軌道の長距離設備は低速運転や混雑の点で速達性、定時制を欠き乗客離れを加速するものとなる。
【0007】
なお、本願の発明者は、既に、懸垂式モノレールと路面電車とを組み合わせ、懸垂式モノレールの軌道桁下に絶縁物を介して架線を配置し、路面電車のパンタグラフを介して給電し、路面電車を懸垂式モノレールと合流させるようにした複合交通システムを提案している(下記特許文献1参照)。
【0008】
また、本願発明者らは、新たな交通システム走行路としての共用走行路を有する複合交通システムを提案している(特許文献2〜5参照)。
【特許文献1】特許第3545316号公報
【特許文献2】特開2006−89968号公報
【特許文献3】特開2006−88802号公報
【特許文献4】特開2006−89969号公報
【特許文献5】特開2006−89979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
新規な交通システムの構築においても、利用客の見込めない郊外設置だけでは採算性が不足するため、狭隘な都市市街地への結節も重要な課題となる。
【0010】
低廉な建設費と運営費を標榜する複合交通システムにおいて、例えば都市内の道路上空や水路上空等による建設を行なえば、用地取得コストが低減できる。
【0011】
ただし、かかる交通システムの構築にあたっては、狭隘部であるため設置可能な走行路幅や駅・停留所の配置にも制約が生ずることとなる。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑みて、最低限の立体構築によって既存の自動車交通等との最低限の分離を最低限に行い、定時性と速達性を持たせつつ競争力を維持して建設コストの低減が可能な道路上空へ構築される複合交通システムを提供することを目的とする。
【0013】
また、複数の異種交通手段の複合化により、運転頻度向上や乗換え利便性の向上、走行路共有化による建設、維持管理保守コストの低減を図り得る、複合交通システムを提供することを目的とする。
【0014】
すなわち、道路上空等に安価に複合交通システムを構築するための改善策を提供することにある。
【0015】
また、ガイドウエイバスとLRT車両で共用する複合交通システムの場合、いずれも桁やレールに操舵される運転形態となるため複線線路構築においても建設最大幅が一般道路以下に縮小可能で建設費も安価にできる。
【0016】
しかしながら、駅・停留所部においては運転される車両の特異な形態による制約で、進行左側に上下線個別にホームを設置する対向式ホーム配列を選択せざるをえない。この場合、両側ホームを含めた全幅が広くなり、建設規模が大きくなってコストが上昇するばかりか、地上等との立体移動に必要な階段やエレベータを複数設置することになり、建設コストだけでなく運営、保守コストも増大することになる。
【0017】
また、道路及び一般鉄道は、例えば日本においては左側通行に統一されているが、複合交通専用軌道においては逆の右側通行構築とすることで左側専用ドア扱い構造バス・LRT車両のままで島式ホーム構築が可能となり、複線路の停留所及び駅構築をスリム化でき、コスト削減効果も大きい複合交通システムを構築することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕都心地域の複合交通システムにおいて、複数車線を有するとともに中央部にホームが設けられる下層走行路と、この下層走行路の中央部のホームから上空に最小限の桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路と、この上層走行路の中央部に構築される島状停留所と、この島状停留所の中央部に前記上層走行路と下層走行路を接続する垂直方向の昇降路と前記島状停留所の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路と下層走行路を接続する傾斜方向の昇降路と、前記上層走行路にLRT車両が運行される車線と、ガイドウエイバスが運行される車線との共用走行路を構築することを特徴とする。
【0019】
〔2〕上記〔1〕記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記上層走行路の共用走行路は上り車線と下り車線とを並行に配置することを特徴とする。
【0020】
〔3〕上記〔1〕記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路は、フード付きの階段であることを特徴とする。
【0021】
〔4〕上記〔1〕記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路は、フード付きのエスカレータであることを特徴とする。
【0022】
〔5〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所の上層走行路の出入口に位置する走行路は立体的な構造を有し、前記島状停留所に接続されることを特徴とする。
【0023】
〔6〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の都心地域の複合交通システムにおいて、前記島状停留所と島状停留所とを接続する走行路は複数共用走行路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0025】
(1)都心部の道路上空へ新たな道路交通網を低コストで構築することができる。
【0026】
(2)上層走行路の停留所から下層走行路のホームへの移動が円滑であり、乗換えを容易にすることができる。
【0027】
また、ガイドウエイバスとLRT車両の共用走行路では、例えば片側(左側)にしかドアの無い簡易な従来車体構造のままの車両を導入可能となり、あわせて狭隘空間に複合共用交通路を小規模に設置可能となるため、車両、施設ともにコスト削減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の都心地域の複合交通システムにおいて、複数車線を有するとともに中央部にホームが設けられる下層走行路と、この下層走行路の中央部のホームから上空に最小限の桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路と、この上層走行路の中央部に構築される島状停留所と、この島状停留所の中央部に前記上層走行路と下層走行路を接続する垂直方向の昇降路と該島状停留所の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路と下層走行路を接続する傾斜方向の昇降路と、前記上層走行路にLRT車両が運行される車線と、ガイドウエイバスが運行される車線との共用走行路を構築する。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の実施例を示す右側通行島式の道路上空へ構築される複合交通システムの横断面図、図2はその複合交通システムの上空からみた平面図、図3はその複合交通システムの島状停留所の変形例模式斜視図、図4はそのガイドウエイバスとLRT車両が乗り入れた右側通行島式の道路上空へ構築される複合交通システムの模式図である。
【0031】
これらの図において、1は複数車線を有するとともに中央部にホーム2が設けられる下層走行路、3はこの下層走行路1の中央部のホーム2から上空に最小限の桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路であり、この上層走行路3には橋脚3Aと両側の壁3Bと桁3C構築される第1の道路3Dと第2の道路3Eとが設けられる。4はその上層走行路3の中央部に構築される島状停留所、この島状停留所の幅寸法及び上層走行路の支持部の構造は適宜変更可能である。5はその島状停留所4の中央部に設けられる上層走行路3と下層走行路1を接続する垂直方向の昇降路(エレベータ)、6,7はその島状停留所4の上流部と下流部にそれぞれ設けられる、上層走行路3と下層走行路1を接続する傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)である。なお、第1の道路3Dと第2の道路3Eには第1の車両(LRT車両)8と第2の車両(ガイドウエイバス)9が運行される。また、第1の道路3Dと第2の道路3Eは、図2に示すように、上流の郊外の地域B1より、都心地域Aに入る地点Cで立体的な構造となっており、都心地域Aでは第1の道路3Dと第2の道路3Eは、平行に配置され、また、都心地域Aから下流の郊外の地域B2に入る地点Cで立体的な構造となっている。
【0032】
このように構成されるので、下流の郊外の地域B2より入ってくる第1の車両(LRT車両)8と第2の車両(ガイドウエイバス)9は上流の郊外の地域B1からみて島状停留所4の左側に停まり、乗車客を下ろしたり、乗車させることができる。その島状停留所4で降りた者は、上層走行路3と下層走行路1を接続する島状停留所4の中央部に配置されている垂直方向の昇降路(エレベータ)5又は島状停留所4の上流部と下流部にそれぞれ設けられる上層走行路3と下層走行路1を接続する傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)6,7を利用して下層走行路1の中央部のホーム2に下りてそれぞれの交通機関に乗り換えることができる。
【0033】
上記した共用走行路(上層走行路)の構成の詳細は、上記した特許文献2に開示されているが、ここでも概略を説明する。
【0034】
図5は本発明にかかる上層走行路の片側走行路を構成する共用走行路の断面模式図、図6はそのLRT車両の模式図、図7はそのガイドウエイバスの模式図である。
【0035】
これらの図において、11は両側に配置されるガイドウエイバス用走行路、12はガイドウエイ兼防音壁、13は中央側に配置されるレール、14は小径管路、15はその小径管路14の中央に配置されるレーンマーカーである。
【0036】
そこで、図6に示すように、LRT車両21は、制御装置22、車輪23などを有し、その車輪23はレール13上を走行する。
【0037】
図7に示すように、ガイドウエイバス31はゴムタイヤシステムの場合は、そのガイドウエイバス31の先頭部分のバンパー32の下部に昇降自在な支持部33が設けられ、その支持部33に軸受34を有する。その軸受34に支持される回転シャフト35の両端にレール13上を回転する走行ガイド輪37が配置される。なお、38はタイヤ、39は磁気センサ、40は制御装置である。
【0038】
なお、図7に示すガイドウエイバスに代えて、側壁ガイド式バス(上記した特許文献4;特開2006−89969号公報の図9又は図14参照)を運行するようにしてもよい。
【0039】
本発明によれば、都心地域の道路上空へ新たなLRT車両21とガイドウエイバス31の共用複合交通システムを低コストで構築することができる。また、上層走行路3の中央部に構築される停留所4から下層走行路のホームへの移動が円滑であり、乗換えを容易にすることができる。さらに、新たな道路交通網としての例えばガイドウエイバス31及びLRT車両21は、例えば片側(左側)にしかドアの無い簡易な従来車体構造のまま導入可能となり、あわせて狭隘空間に複合共用交通路を小規模に設置可能となるため、車両、施設ともにコスト削減が可能となる。
【0040】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の都心地域の複合交通システムは、低コストで構築する都心地域の道路上空への新たなLRT車両とガイドウエイバスの共用複合交通システムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例を示す右側通行島式の狭隘道路上空へ構築される複合交通システムの横断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す右側通行島式の狭隘道路上空へ構築される複合交通システムの上空から見た平面図である。
【図3】本発明の実施例を示す複合交通システムの島状停留所の模式斜視図である。
【図4】本発明の実施例を示すガイドウエイバスとLRT車両が乗り入れた右側通行島式の道路上空へ構築される複合交通システムの図面代用の模式図である。
【図5】本発明にかかる上層走行路の片側走行路を構成する共用走行路の断面模式図である。
【図6】本発明にかかるLRT車両の模式図である。
【図7】本発明にかかるガイドウエイバスの模式図である。
【図8】従来の四車線の道路を示す図面代用の模式図である。
【図9】従来の四車線の道路へ新規共用走行路を増強する場合の模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1 下層走行路
2 下層走行路中央部のホーム
3 上層走行路
3A 橋脚
3B 両側の壁
3C 桁
3D 第1の道路
3E 第2の道路
4 上層走行路の中央部に構築される島状停留所
5 垂直方向の昇降路(エレベータ)
6,7 傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)
8 第1の車両(LRT車両)
9 第2の車両(ガイドウエイバス)
A 都心地域
B1 上流の郊外の地域
B2 下流の郊外の地域
C 郊外の地域B1,B2より都心地域Aに入る地点
11 ガイドウエイバス用走行路
12 ガイドウエイ兼防音壁
13 中央側に配置されるレール
14 小径管路
15 レーンマーカー
21 LRT車両
22,40 制御装置
23 車輪
31 ガイドウエイバス
32 先頭部分のバンパー
33 昇降自在な支持部
34 軸受
35 回転シャフト
37 走行ガイド輪
38 タイヤ
39 磁気センサ
【出願人】 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守

【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠


【公開番号】 特開2008−106529(P2008−106529A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−290889(P2006−290889)