トップ :: E 固定構造物 :: E01 道路,鉄道または橋りようの建設

【発明の名称】 鉄道分岐器のレール付属品取付装置
【発明者】 【氏名】佐藤 泰生

【要約】 【課題】鉄道用分岐器においてレールに止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の部品をボルト・ナットで締着する場合、ボルト・ナットの弛緩、折損により脱落しても分岐器の機能に障害を生ずるおそれがなく、またレールに穿ったボルト貫通孔の周辺に亀裂が生じないようにすることを課題にする。

【解決手段】レール1の腹部一側10に熱硬化性樹脂を含浸した第1の接着材を介して添接板3を添接する。レール1の腹部他側11に熱硬化性樹脂を含浸した第2の接着材を介して止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の部品を添接する。熱硬化性樹脂を含浸した第1および第2の接着材を加熱して腹部両側10、11に添接板3および前記止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の部品を接着する。添接板3、第1および第2の接着材、止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の部品およびレール腹部に孔a、b、c、d、eを穿孔する。各孔を貫通するボルト5をナット6により締着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの腹部一側に熱硬化性樹脂を含浸した第1の接着材を介して添接板を添接し、前記レールの腹部他側に熱硬化性樹脂を含浸した第2の接着材を介して止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品を添接し、前記熱硬化性樹脂を含浸した第1および第2の接着材を加熱して前記腹部両側に前記添接板および前記止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品を接着し、しかも前記添接板、第1および第2の接着材、止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品並びにレール腹部に孔を穿孔し、前記各孔を貫通するボルトをナットにより締着することを特徴とする鉄道分岐器のレール付属品取付装置。
【請求項2】
前記請求項1において、添接板に第1および第2の接着材を加熱するための電熱ヒーター挿入孔をレール方向に穿孔したことを特徴とする鉄道分岐器のレール付属品取付装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道用分岐器におけるレール付属品の取付け手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道用分岐器において止め金具(車輪横圧でトングレールや可動レールがたわまないように、トングレール、可動レール、基本レールまたはヘ形レール腹部に取付ける金具。JIS鉄道用語辞典より)、控え棒(トングレールの横たわみを減らすために2本のトングレールをつなぐ棒。JIS鉄道用語辞典より)、ロングレール(20m以上の長さに溶接したレール)の軸力伝達装置(分岐器介在ロングレールの合流付近において温度変化に伴って生ずる基本レールとリードレールの前後相対移動を防止するために取付ける装置)を各種レールの腹部にボルト・ナット締めする場合が極めて多い。
【0003】
上記の取付け用のボルト・ナットが弛緩あるいは折損により脱落すると、前記各部品は、弛緩または脱落してその機能を果たすことが出来なくなり、鉄道分岐器の機能に障害を生ずる原因となるおそれがある。
【0004】
車輌が鉄道用分岐器を通過するときの荷重による作用力は、上記の取付け用のボルト・ナットを通して前記の各部品に作用し、その作用によりレールに穿孔した孔の周辺には、集中した応力が発生する。この応力によりレールの孔の周辺からひび割れが発生すると、車輌の通過に従って亀裂が進展してレールの破損に至り、脱線事故の原因となるおそれがあることから、入念な検査が必要になっている。
【0005】
また鉄道用分岐器の前記部品を、鉄道用分岐器用のレールに熱硬化性樹脂を含浸させた接着材を用いて取付けようとしても、工場においてガスバーナーにより加熱接着せざるを得ず、高圧ガスの取り扱いに専門技能を要する作業者が必要となり、容易に作業することができない。しかも工場で行われるガスバーナーによる加熱硬化作業は、専用の設備が必要なため、現場における加熱硬化接着作業には適していない。
【特許文献1】なし。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1に本発明は、鉄道用分岐器のレールに取付けているボルト・ナットが折損および弛緩して脱落が生じ、前記止め金具、控え棒、およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも1つの機能に障害が発生することの防止を課題とする。
【0007】
第2に本発明は、鉄道用分岐器のレールに穿孔した前記孔の周辺から亀裂が発生した場合、この亀裂が進展してレールを破損させ、破損箇所からレールが分断して分離することの防止を課題とする。
【0008】
第3に本発明は、鉄道用分岐器の止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板を、熱硬化性樹脂を含浸させた接着材を用いて鉄道用分岐器のレールに接着させるために、工場においてガスバーナーを用いて加熱接着することなく、また熟練者によることなく、現場において容易に加熱、接着することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1に本発明は、レールの腹部一側に熱硬化性樹脂を含浸した第1の接着材を介して添接板を添接し、前記レールの腹部他側に熱硬化性樹脂を含浸した第2の接着材を介して止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品を添接し、前記熱硬化性樹脂を含浸した第1および第2の接着材を加熱して前記腹部両側に前記添接板および前記止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品を接着し、しかも前記添接板、第1および第2の接着材、止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品並びにレール腹部に孔を穿孔し、前記各孔を貫通するボルトをナットにより締着することを特徴とするものである。
【0010】
第2に本発明は、前記第1の発明において、添接板に第1および第2の接着材を加熱するための電熱ヒーター挿入孔をレール方向に穿孔したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明によれば、鉄道用分岐器の止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品に対し、鉄道用分岐器のレールからの作用力を前記少なくとも一部品とレールの間にある熱硬化性樹脂を含浸させた接着材を加熱接着した接着層によりレールに分散させて作用させるため、取付け用ボルト・ナットに作用する作用力が緩和されて、ボルト・ナットが弛緩あるいは折損することを防止する効果がある。
【0012】
また、鉄道用分岐器のレールに穿孔した前記孔の周囲から亀裂が進展して、レールが分断されても、前記各部品とレール腹部にある添接板が、熱硬化性樹脂を含浸させた接着材を加熱接着した接着層によりレールに接着されているため、レールが分散することを防止できる効果がある。
【0013】
第2の本発明によれば、鉄道用分岐器の止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板の少なくとも一部品を熱硬化性樹脂を含浸させた接着材を用いて鉄道用分岐器のレールに接着させる場合に、添接板にレール方向に穿孔し、この孔に電熱ヒーターを挿入して熱硬化性の接着材を加熱することにより加熱硬化作業が容易になり、工場において熟練者による作業を必要とせず、容易、迅速かつ安価に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1に鉄道用分岐器のレール1としてトングレール12に、鉄道用分岐器の止め金具40を本発明により取付ける場合について図1〜3とともに説明する。
【0015】
コ字状突出板40aに取付板40bを一体化して成る止め金具40および厚肉細長板より成る添接板3は、それぞれトングレール12の腹部両側10、11に、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ21、22による第1および第2の接着材2、20を挟持している。
【0016】
止め金具40および添接板3には、それぞれボルト5、5を貫通させるための孔a、a、b、bが穿孔されている。
【0017】
第1の接着材2および第2の接着材20には、それぞれボルト5、5を貫通させるための孔c、c、d、dが穿孔されている。
【0018】
各ボルト5は、上記の孔a、cおよびレール1に穿設したボルト挿通孔e、孔d、bを貫通し、ワッシャ60を介して、ナット6により締着される。
【0019】
添接板3には、第1および第2の熱硬化性樹脂を含浸させた接着材2、20を加熱硬化させて添接板3および止め金具40をトングレール12の腹部両側10、11に接着させるために、電熱ヒーター8を挿入する孔、つまり電熱ヒーター挿入孔7がレール方向に穿孔されている。この電熱ヒーター8のオンにより、接着材2、20が加熱硬化する。以下の例でも同様である。
【0020】
次に鉄道分岐器のレール1としてのトングレール12に、控え棒4の連結板41を取り付ける場合について図4〜6とともに説明する。上記に説明した止め金具40の場合と機能を同一にする部品については、一部、同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0021】
連結板41は基本的に図6で示すよう断面大概L字状であり、その水平部41aを控え棒4の端部上に固着したU字金具4aに挿入し、ボルト・ナット締めして成り、図中、符号4bは前記ボルトの回り止めである。
【0022】
連結板41および添接板3は、それぞれトングレール12の腹部両側10、11に、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ21、22による第1および第2の接着材2、20を挟持している。
【0023】
連結板41および添接板3には、それぞれボルト5、5を貫通させるための孔a、a、b、bが穿孔されている。
【0024】
第1の接着材2および第2の接着材20には、それぞれボルト5、5を貫通させるための孔c、c、d、dが穿孔されている。
【0025】
各ボルト5は、上記の各孔b、dおよびレール1に穿設したボルト挿通孔e、孔c、aを貫通し、ワッシャ60、60を介して、ナット6により締め付けられる。
【0026】
添接板3には、熱硬化性樹脂を含浸させた第1・第2の接着材2、20を加熱硬化させて添接板3および連結板41をトングレール12の腹部両側10、11に接着するために、電熱ヒーター8を挿入する孔7がレール方向に穿孔されている。電熱ヒーター8の使用法および作用は第1の実施の形態での説明と同じである。
【0027】
次に鉄道用分岐器のレール1、1として基本レール13およびリードレール14にロングレール軸力伝達装置42a、43aを取り付ける場合について図7〜10とともに説明する。上記に説明した止め金具40の場合と同一にする部品については、一部、同一の符号を付け、重複説明を省略する。
【0028】
ロングレール軸力伝達装置は一方の装置42aが嵌合凸部42bを有するブロックと連結板42とを一体化して成り、また他方の装置43aが嵌合凹部43bを有するブロックと連結板43とを一体化してなる。
【0029】
連結板42、43および添接板3、3は、基本レール13およびリードレール14の各腹部両側10、11に、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ21、22による第1の接着材2および第2の接着材20を挟持している。
【0030】
連結板42、43および各添接板3には、それぞれボルト5、5を貫通させるための孔a、a、b、bが穿孔されている。
【0031】
第1の接着材2および第2の接着材20には、それぞれボルト5、5を貫通させるための孔c、c、d、dが穿孔されている。
【0032】
各ボルト5は、上記の各孔b、dおよびレール1、1に穿設したボルト挿通孔e並びに孔c、aを貫通し、ワッシャ60、60を介して、ナット6、6により締め付けられる。また嵌合凸部42bは嵌合凹部43bに嵌着される。
【0033】
各添接板3には、熱硬化性樹脂を含浸させた第1、2の接着材2、20を加熱硬化させて基本レール13およびリードレール14の腹部両側10、11に接着するために電熱ヒーター8、8を挿入する孔7、7がレール方向に穿孔されている。電熱ヒーター8の使用法および作用は第1の実施の形態の説明と同じである。
【0034】
本発明により分岐器の止め金具、控え棒の連結板およびロングレール軸力伝達装置の連結板を取り付けた分岐器用レールは、従来から用いられている座金、床板や角トメ釘など公知の方法を使用して、分岐器用まくらぎに締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】同上の一部を切欠いた平面図である。
【図3】同上の一部を切欠いた正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の分解斜視図である。
【図5】同上の一部を切欠いた平面図である。
【図6】同上の一部を切欠いた正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の半分を示す分解斜視図である。
【図8】同上の他の半分を示す分解斜視図である。
【図9】同上の一部を切欠いた平面図である。
【図10】同上の一部を切欠いた背面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 レール
2 第1の接着材
3 添接板
4 控え棒
5 ボルト
6 ナット
7 孔
8 電熱ヒーター
10 腹部一側
11 腹部他側
20 第2の接着材
40 止め金具
41 連結板
42 ロングレール軸力伝達装置の連結板
43 ロングレール軸力伝達装置の連結板
【出願人】 【識別番号】506183085
【氏名又は名称】佐藤 泰生
【出願日】 平成18年10月24日(2006.10.24)
【代理人】 【識別番号】100073081
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 敏夫

【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹


【公開番号】 特開2008−106466(P2008−106466A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−288474(P2006−288474)